JP2010159698A - 電子制御装置の異常診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子制御装置の異常について適切に判定をすることのできる電子制御装置の異常診断装置を提供する。
【解決手段】内燃機関の停止要求が検知されるときには、ECUが停止される前に正常終了フラグFを「1」に設定して、この停止が正常終了である旨記録する。そして、機関始動時において、正常終了フラグFが「0」であって正常終了である旨記録されていない(ステップS210:NO)ことに基づいて、ECUの前回の停止が異常終了であった旨判定する(ステップS240)。
【選択図】図3

Description

この発明は、内燃機関を制御する電子制御装置の異常を判定する異常診断装置に関する。
内燃機関には、同機関の運転状態を把握するためのセンサが種々設けられている。そして、この内燃機関を制御する電子制御装置では、これら各種センサの出力信号に基づいて同機関の運転状態を把握し、その把握した運転状態に応じた制御を実行している。そのため、こうした各種センサに異常が発生すると、内燃機関の運転状態に応じた適切な制御を電子制御装置によって実行することができなくなるといった不都合が生じる。
そこで従来、内燃機関に設けられた各種センサの異常判定を実行するようにした電子制御装置が知られている。
例えば、特許文献1に記載の電子制御装置では、内燃機関を始動するスタータモータの通電時にオン状態となるスタートスイッチについての異常判定を実行している。具体的には、内燃機関が始動状態であるときにスタートスイッチがオフ状態である場合には、オフ故障であると判定される。また、内燃機関が始動完了後であって非始動状態であるときにスタートスイッチがオン状態である場合には、オン故障であると判定される。このように、オフ故障又はオン故障といったスタートスイッチの異常を判定することにより、内燃機関の運転状態に応じた制御を適切に実行しようとしている。
特開平5−321801号公報
ところで、内燃機関を適切に制御することができなくなるといった状況は、上述したような各種センサに異常が発生した場合だけではなく、電子制御装置そのものに異常が発生した場合や、この電子制御装置の電源系に異常が発生した場合にも起こり得る。
例えば、これら電子制御装置やその電源系に異常が発生することによって電子制御装置が停止すると、これにより例えば燃料供給が停止するため、内燃機関の回転数が低下したり、エンジンストールに至ったりする場合がある。また、このように電子制御装置に関する異常が発生した場合には、十分な量の燃料を供給することができなくなる等の理由により、機関始動に不具合が生じる場合もある。
ここで、上述したような各種センサについては、上記特許文献1にも記載されるように、電子制御装置によって監視することにより異常を判定することが可能である。一方、電子制御装置の異常については、この電子制御装置によって自己の監視をしたとしても、異常の発生時にその異常を検知することが困難であるといった問題がある。特に、異常が比較的短い期間に発生して正常復帰するような場合には、内燃機関の運転状態が比較的良好に保たれるため、機関始動の不具合等に基づいて異常の判定をすることもできず、異常の判定をすることがさらに困難なものとなる。
なお、電子制御装置の異常を判定する態様として、複数の電子制御装置によって稼働状況を互いに監視するといった態様も考えられる。しかしながら、こうした態様では、監視するための回路を設けることが必要となるため、その構成が複雑となるといった問題がある。また、共通の電源に瞬断が発生することにより、これら複数の電子制御装置において同時に異常が発生した場合には、それらの異常を検知することができないといった問題もある。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子制御装置の異常について適切に判定をすることのできる電子制御装置の異常診断装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関を制御する電子制御装置の異常を判定する異常診断装置であって、内燃機関の停止要求を検知する停止要求検知手段と、前記停止要求検知手段により前記内燃機関の停止要求が検知されるときに、前記電子制御装置が停止される前にこの停止が正常終了である旨記録する正常終了記録手段と、機関始動時において、前記正常終了記録手段により正常終了である旨記録されていないことに基づいて前記電子制御装置の前回の停止が異常終了であった旨判定する異常判定手段とを備えることを要旨とする。
ここで、内燃機関の停止要求に応じて電子制御装置が停止することを電子制御装置の正常終了といい、内燃機関の停止要求がないときに電子制御装置が停止することを電子制御装置の異常終了という。
上記構成では、内燃機関の停止要求を検知するときに、電子制御装置が停止される前にこの停止が正常終了である旨記録するようにしている。すなわち、電子制御装置の異常終了によって電子制御装置が停止する場合には、上述した正常終了である旨の記録がなされない。そのため、上記構成のように、内燃機関の始動時において、正常終了である旨記録されていないことに基づいて電子制御装置の前回の停止が異常終了であった旨を判定することができる。したがって、電子制御装置の異常について、これを直接検知することなく異常を適切に判定することができるようになる。
さらに、同構成によれば、電子制御装置の異常が比較的短い期間に発生して正常復帰するような場合であって、異常の発生後においても例えば内燃機関の始動が比較的良好に完了するなど同機関の運転状態が比較的良好に保たれる場合であっても、電子制御装置の異常終了を判定することができる。したがって、そうした比較的短い期間に発生するような異常についても適切に判定することができるようになる。
なお、本明細書において単に「電子制御装置の異常」というときには、電子制御装置そのものの異常の他、この電子制御装置の電源系の異常についても含めるものとする。
さらに、請求項2に記載の発明によるように、正常終了記録手段により正常終了である旨記録されていることに基づいて、電子制御装置の前回の停止が正常終了であった旨判定し、この判定後に正常終了記録手段により記憶された正常終了である旨の記憶を消去するようにする正常判定手段を備えるといった態様を採用することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電子制御装置の異常診断装置において、前記電子制御装置が停止状態から稼働状態に移行したときに、前記内燃機関が運転状態であるか否かを判定する機関運転判定手段を備え、前記異常判定手段は、前記機関運転判定手段により前記内燃機関が運転状態である旨判定されるときに、前記電子制御装置の前回の停止が異常終了であった旨判定することを要旨とする。
上述したように、電子制御装置の異常終了に伴って内燃機関が停止した場合には、その後の内燃機関の始動時において、上記異常判定手段により電子制御装置の異常終了を判定することができる。
しかしながら、内燃機関の運転中に電子制御装置の異常終了が生じた場合であっても、これによる電子制御装置の停止期間が比較的短く、早期に正常復帰して稼働状態になるときには、内燃機関の運転が継続される場合がある。
そこで、上記構成では、電子制御装置が停止状態から稼働状態に移行したときに、すでに内燃機関が運転状態である旨判定されるときには、電子制御装置の前回の停止が異常終了であった旨判定するようにしている。すなわち、電子制御装置が正常終了する場合には、この正常終了により内燃機関は停止状態になるため、その次に電子制御装置が停止状態から稼働状態に移行したときには、内燃機関が停止状態にあると判定される。そのため、電子制御装置が停止状態から稼働状態に移行したときに、すでに内燃機関が運転状態であるときには、電子制御装置の前回の停止が異常終了であると判定することができる。したがって、電子制御装置の異常終了について、これを直接検知することなく適切に判定することができるようになる。
さらに、同構成によれば、電子制御装置の異常終了により内燃機関が停止状態に至らなかった場合であっても、その異常終了を判定することができるようになる。したがって、電子制御装置に発生した異常が例えば電源系の瞬断等であってその異常が継続しない場合であっても、そうした異常を適切に判定することができるようになる。
上記機関運転判定手段としては、請求項4に記載の発明によるように、以下の3つの条件の少なくとも1つについて肯定判定がなされるときに内燃機関が運転状態である旨判定するといった態様を採用することができる。
・内燃機関の回転速度が所定回転速度以上である。
・内燃機関が搭載された車両の速度が所定車速以上である。
・内燃機関に接続された変速機のシフト位置が動力伝達位置にある。
なお、所定回転速度および所定車速については、内燃機関が運転状態である旨を判定することができる適切な値が予め設定される。また、上記動力伝達位置とは、変速機において、内燃機関から入力された回転速度を変速した上で車両の駆動輪側に伝達するときのシフト位置(前進位置)や、内燃機関から入力された回転を逆向きに変換した上で駆動輪側に伝達するときのシフト位置(後進位置)に相当する。
上記停止要求検知手段としては、請求項5に記載の発明によるように、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わったことを内燃機関の停止要求として検知するといった態様を採用することができる。
本発明にかかる電子制御装置の異常診断装置を具体化した第1の実施形態の概略構成図。 同実施形態における正常終了記録処理の手順について示すフローチャート。 同実施形態における始動時異常判定処理の手順について示すフローチャート。 ECUが正常終了するときにおいて、同実施形態における各処理により設定される正常終了フラグの状態と、内燃機関、ECU、及びIGスイッチの変化態様を示すタイムチャート。 ECUが異常終了するときにおいて、同実施形態における各処理により設定される正常終了フラグの状態と、内燃機関、ECU、及びIGスイッチの変化態様を示すタイムチャート。 第2の実施形態における異常判定処理の手順について示すフローチャート。
(第1の実施形態)
以下、図1〜図5を参照して、本発明にかかる電子制御装置の異常診断装置を具体化した第1の実施形態について説明する。図1に、同実施形態にかかる異常診断装置が適用されたECU20と、このECU20により制御される内燃機関10の概略構成を示している。
同図1に示すように、内燃機関10における各種制御は、ECU20により実行される。こうした各種制御としては、例えば内燃機関10の燃焼室(図示略)に供給する燃料の量などを制御する燃料噴射制御や、この燃焼室に供給する空気量を調整する空気量制御等がある。
ECU20は、内燃機関10の制御にかかる演算処理を実行する中央演算処理装置(CPU)、その制御に必要なプログラムやデータが記憶された読み出し専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果が一時的に記憶される揮発性メモリ(RAM)、記憶データを書き換え可能な不揮発性メモリ(EEPROM)、外部との間で信号を入出力するための入力ポート及び出力ポート等を備えて構成されている(いずれも図示略)。
ECU20の入力ポートには、内燃機関10の運転状態を検出するために設けられる各種センサが接続されている。こうした各種センサとしては、例えば、運転者によって切り替え操作される「オフ」、「アクセサリ」、「オン」、及び、「スタート」といった4つの切替位置のいずれかに対応した信号を出力するイグニッション(IG)スイッチ21、図示しないスタータモータの通電時にオン信号を出力するスタートスイッチ22、機関回転速度NEを検出する機関回転速度センサ23、内燃機関10が搭載された車両の速度Vcを検出する車速センサ24、内燃機関10に接続された図示しない変速機のシフト位置が動力伝達位置ではないことを検出するニュートラルスイッチ25等が挙げられる。
なお、動力伝達位置とは、変速機において、内燃機関10から入力された回転速度が変速された上で車両の駆動輪(図示略)側に伝達されるときのシフト位置(前進位置)や、内燃機関10から入力された回転が逆向きに変換された上で駆動輪側に伝達するときのシフト位置(後進位置)に相当する。例えば、変速機が自動変速機であって、そのシフト位置が、前進位置であるDレンジと、後進位置であるRレンジと、Pレンジと、Nレンジとの4通りに変更可能である場合には、Dレンジ及びRレンジが上記動力伝達位置に相当する。また、Pレンジ及びNレンジが、上述した動力伝達位置ではない位置に相当し、これらPレンジ及びNレンジにあることがニュートラルスイッチ25により検出される。
ECU20の出力ポートには、上記内燃機関10に設けられた各種装置の駆動回路の他、運転席のインストルメントパネル(図示略)に設けられてECU20に異常がある旨判定されるときに点灯する警告ランプ30の駆動回路等が接続されている。そして、ECU20は、上記各種センサから入力した検出信号に基づいて内燃機関10の運転状態を把握し、その把握した運転状態に応じて上記出力ポートに接続された各種駆動回路に指令信号を出力する。これにより、上述したような燃料噴射制御や吸気量制御などの各種制御が実行される。
ところで、上記ECU20やその電源系に異常が発生してECU20が停止すると、これにより例えば燃料供給が停止するため、内燃機関10の回転数が低下したり、エンジンストールに至ったりする場合がある。また、このようにECU20に関する異常が発生した場合には、十分な量の燃料を供給することができなくなる等の理由により、機関始動に不具合が生じる場合もある。
特に、異常が比較的短い期間に発生して正常復帰するような場合には、内燃機関10の運転状態が比較的良好に保たれるため、機関始動の不具合等に基づいて異常の判定をすることもできず、異常部位の特定をすることがさらに困難なものとなる。
そこで、本実施形態にかかるECU20は、図2に示す正常終了記録処理と図3に示す始動時異常判定処理とを実行することにより、その異常について自己判定を実行するようにしている。すなわち、このECU20が異常診断装置として機能する。なお、本実施形態において「ECU20の異常」というときには、ECU20そのものの異常の他、このECU20の電源系の異常についても含めるものとする。
次に、図2を参照して、ECU20により実行される正常終了記録処理の手順について説明する。
本処理が開始されると、IGスイッチ21が「オン」から「オフ」に切り替わったか否かが判定される(ステップS100)。具体的には、IGスイッチ21から出力される信号に基づいて、同IGスイッチ21の「オン」から「オフ」への切り替えが検知され、これが運転者による内燃機関10の停止要求として検知される。本ステップの処理が内燃機関10の停止要求を検知する停止要求検知手段に相当する。
そして、IGスイッチ21が「オン」から「オフ」に切り替わっていない旨判定される場合には(ステップS100:NO)、運転者による内燃機関10の停止要求がないと判定されて、本処理は一旦終了される。
一方、IGスイッチ21が「オン」から「オフ」に切り替わった旨判定される場合には(ステップS100:YES)、運転者による内燃機関10の停止要求がある旨判定されて、正常終了フラグFが「1」に設定される(ステップS110)。なお、この正常終了フラグFの初期値は「1」に設定されている。本ステップでの処理が、ECU20が停止される前にこの停止が正常終了である旨記録する正常終了記録手段に相当する。
こうして正常終了フラグFが「1」に設定されると、その後にECU20が終了される(ステップS120)。このように、運転者による内燃機関10の停止要求に応じてECU20が停止されるときには、このECU20の終了が「正常終了」として記憶される。これにより、本処理は終了される。
次に、図3を参照して、上記正常終了記録処理に並行してECU20により実行される始動時異常判定処理の手順について説明する。
本処理が開始されると、まず、機関始動時か否かが判定される(ステップS200)。具体的には、上記スタートスイッチ22によりオン信号が出力されることに基づいて機関始動時である旨が判定される。
そして、機関始動時である旨判定されない場合には(ステップS200:NO)、本処理は一旦終了される。
一方、機関始動時である旨判定される場合には(ステップS200:YES)、正常終了フラグFが「1」であるか否かが判定される(ステップS210)。具体的には、先の図2のステップS110の処理により正常終了フラグFが「1」に設定された場合に、本ステップにおいて肯定判定がなされる。
これにより、正常終了フラグFが「1」である旨判定される場合には(ステップS210:YES)、ECU20の前回の終了が正常終了であったと判定される(ステップS220)。
こうして前回の終了が正常終了であった旨判定されると、正常終了フラグFが「0」に設定されて(ステップS230)、これにより正常終了である旨の記憶が消去される。こうして本処理は終了される。なお、上記ステップS210〜S230の各処理が正常判定手段に相当する。
一方、正常終了フラグFが「1」ではない旨、すなわち「0」である旨判定される場合には(ステップS210:NO)、ECU20の前回の終了が異常終了であったと判定される(ステップS240)。この「異常終了」とは、内燃機関10の停止要求がないときにECU20が停止されることに相当する。すなわち、ECU20の前回の終了が異常終了であった場合には、先の図2に示したステップS100において肯定判定がなされないため、上述した正常終了フラグFが「1」に設定される処理(ステップS110)が実行されない。したがって、このときには、正常終了であるとの記録がなされず、正常終了フラグFが「0」に設定されたままECU20が終了する。そして、その次に機関始動が実行されるときには、正常終了フラグが「0」に設定されている状態になる。そのため、正常終了であるとの記録(正常終了フラグF=1)がないこと、すなわちこの正常終了フラグFが「0」であることに基づいて、ECU20の前回の終了が異常終了であった旨を判定することができる。なお、上記ステップS210及びステップS240での各処理が異常判定手段に相当する。
そして、このように異常終了であった旨が判定されると、異常警告が実行される(ステップS250)。具体的には、ECU20に異常が発生した旨を運転者に報知するべく上記警告ランプ30が点灯されるとともに、ECU20が異常であることを示す異常コードが、ECU20のEEPROMに記憶される。
これにより、本処理は終了される。
なお、上述したように、正常終了フラグFの初期値は「1」に設定されているため、内燃機関10の初回の始動時にあっては、上記ステップS210の判定処理において肯定判定がなされる(ステップS210:YES)。そのため、ステップS230の処理により正常終了フラグFの値が「0」に設定されて、ステップS250に移行されることは回避され、内燃機関10の初回運転時において異常警告の実行がされることが回避される。
次に、図4を参照して、ECU20が正常終了するときにおいて、上記正常終了記録処理及び始動時異常判定処理を通じて設定される正常終了フラグの状態について説明する。
同図4には、時刻t11において内燃機関10の停止要求があり、時刻t13に機関始動が実行された例を示す。
時刻t11においてIGスイッチが「ON」から「OFF」に切り替えられると、運転者による停止要求があると判定されて(ステップS100:YES)、正常終了フラグFが「1」に設定される(ステップS110)。その後、時刻t12においてECU20が終了されて「OFF」となり(ステップS120)、これにより内燃機関10が停止されて「OFF」となる。
次に、時刻t13においてIGスイッチ21は「ON」になり、さらに内燃機関10が始動されて「ON」になると(ステップS200:YES)、正常終了フラグFが「1」に設定されているため(ステップS210:YES)、ECU20の前回の終了が正常終了である旨判定される(ステップS220)。この判定の後、時刻t14に正常終了フラグFが「0」に設定される(ステップS230)。
次に図5を参照して、ECU20が異常終了するときにおいて、上記正常終了記録処理及び始動時異常判定処理を通じて設定される正常終了フラグの状態について説明する。
時刻t21においてECU20が異常終了して「OFF」になると、正常終了フラグFが「0」に設定されたまま、内燃機関10が停止して「OFF」になる。
その後、時刻t22においてIGスイッチ21及びECU20が「ON」になり、さらに機関始動が実行されて「ON」になるときには(ステップS220:YES)、正常終了フラグFが「0」に設定されているため(ステップS210:NO)、ECU20の前回の終了が異常終了である旨判定される(ステップS240)。
以上説明した第1の実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)内燃機関10の停止要求が検知されるときには、ECU20が停止される前に正常終了フラグFが「1」に設定され、この停止が正常終了である旨記録される(ステップS110)。すなわち、ECU20の異常終了によってこのECU20が停止される場合には、正常終了フラグFが「0」の状態になり、上述した正常終了である旨の記録がなされない。そのため、内燃機関10の始動時において、正常終了フラグが「0」であって、正常終了である旨記録されていない(ステップS210:NO)ことに基づいてECU20の前回の停止が異常終了であった旨を判定することができる(ステップS240)。したがって、ECU20の異常について、これを直接検知することなく異常を適切に判定することができるようになる。さらに、本実施形態によれば、ECU20の異常が比較的短い期間に発生して正常復帰するような場合であって、異常の発生後においても例えば内燃機関10の始動が比較的良好に完了するなど同機関10の運転状態が比較的良好に保たれる場合であっても、ECU20の異常終了を判定することができる。したがって、そうした比較的短い期間に発生するような異常についても適切に判定することができるようになる。
(2)本実施形態によれば、ECU20の異常について、これを直接検知することなくその異常を判定することができる。そのため、ECU20の異常について自己判定をすることもでき、同ECU20が異常診断装置として機能することができるようになる。よって、たとえECUが単独で設けられる場合であっても、このECUに異常があることを適切に判定することができるようになる。したがって、ECU20を監視する異常診断装置として別の装置を追加することなく、このECU20の異常を適切に判定することができるようになる。
(3)ECU20の前回の終了が異常終了であったと判定されるときには(ステップS240)、異常警告が実行される(ステップS250)。そのため、ECU20の異常が比較的短い期間に発生して正常復帰するような場合であって、異常の発生後においても例えば内燃機関10の始動が比較的良好に完了するなど同機関10の運転状態が比較的良好に保たれる場合であっても、このECU20に異常が発生したことを運転者が検知することができるようになる。
(第2の実施形態)
次に、本発明にかかる電子制御装置の異常診断装置を具体化した第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
ここで、上述したように、ECU20の異常終了に伴って内燃機関10が停止した場合には、上記第1の実施形態のように、その後の内燃機関10の始動時において、始動時異常判定処理によりECU20の異常終了を判定することができる。
しかしながら、内燃機関10の運転中にECU20の異常終了が生じた場合であっても、その異常終了が例えば電源系が瞬断等であって、これによるECU20の停止期間が比較的短く、早期に正常復帰して稼働状態になるときには、内燃機関10の運転が継続される場合がある。
そこで、本実施形態では、そうしたECU20の異常終了についても判定するべく、図6に示す異常判定処理が実行される。なお、同図6に示す異常判定処理と並行して、先の図2に示した正常終了記録処理が実行される。
図6に示す異常判定処理が開始されると、まず、ECU20が「オフ」から「オン」に切り替わったか否かが判定される(ステップS300)。すなわち、ECU20が停止状態から稼働状態に移行したときに、本ステップの判定処理について肯定判定がなされる。
そして、ECU20が「オフ」から「オン」に切り替わっていない旨判定される場合(ステップS300:NO)、すなわちECU20がすでに稼働状態にあった場合には、本処理は一旦終了される。
一方、ECU20が「オフ」から「オン」に切り替わった旨判定される場合には(ステップS300:YES)、ECU20が停止状態から稼働状態に移行したと判定される。
ところで、内燃機関10が停止状態から始動されるときには、IGスイッチ21が「オフ」から「オン」に切り替えられ、これによりECU20が「オフ」から「オン」に切り替えられて稼働状態に移行し、その後にスタータモータによる機関始動が実行される。この場合には、ECU20が稼働状態に移行したときに、未だ内燃機関10は停止状態にある。
一方、内燃機関10において、すでに自立運転が実行されている状態においてECU20が異常終了し、この異常終了により内燃機関10が停止状態に至らないまま、同ECU20が正常復帰するときには、すでに内燃機関10が運転状態にある。
そこで、このようにECU20が稼働状態に移行したときに(ステップS300:YES)、内燃機関10が停止状態にあるのか、あるいは内燃機関10がすでに運転状態であるのかを判定するべく、以下の第1条件〜第3条件の3つの条件が満たされるか否かについて判定される。
(第1条件)機関回転速度NEが所定回転速度α以上(NE≧α)。
(第2条件)内燃機関10が搭載された車両の速度Vcが所定車速β以上(Vc≧β)。
(第3条件)内燃機関10に接続された変速機のシフト位置が動力伝達位置にある。
まず第1条件として、機関回転速度NEが所定回転速度α以上であるか(NE≧α)が判定される(ステップS310)。この機関回転速度NEについては、機関回転速度センサ23の出力信号に基づいて検出される。また、所定回転速度αについては、内燃機関10が運転状態である旨を判定することができる適切な値が予め設定されている。
そして、機関回転速度NEが所定回転速度α未満であって(NE<α)、上記第1条件について満たさない旨判定される場合には(ステップS310:NO)、次に、第2条件として、内燃機関10が搭載された車両の速度Vcが所定車速β以上であるか(Vc≧β)否かが判定される(ステップS320)。この車両の速度Vcについては、車速センサ24の出力信号に基づいて検出される。また、所定車速βについては、内燃機関10が運転状態である旨を判定することができる適切な値が予め設定されている。
そして、車両の速度Vcが所定車速β未満であって(Vc<β)、上記第2条件について満たさない旨判定される場合には(ステップS320:NO)、次に、第3条件として、内燃機関10に接続された変速機のシフト位置が動力伝達位置にあるか否かが判定される。(ステップS330)。この動力伝達位置について、具体的には、ニュートラルスイッチ25により、変速機のシフト位置がPレンジ又はNレンジであるときに出力される「オン信号」が出力されていないことに基づいて判定される。
そして、シフト位置が動力伝達位置にあって、上記第3条件について否定判定がなされる場合には(ステップS330:NO)、変速機のシフト位置がPレンジ又はNレンジにあると判断される。この場合には、上述した第1条件〜第3条件まですべて満たされないため、ECU20が停止状態から稼働状態に移行したときにおいて内燃機関10が停止状態にあると判定される(ステップS340)。そこで、ステップS350において先の図3に示した始動時異常判定処理が実行され、この処理を通じて、さらにECU20の前回の終了が異常終了であったかが否かが判定される。これにより本処理は終了される。なお、上記ステップS310〜ステップS330の各処理が、機関運転判定手段に相当する。
一方、上記ステップS310〜S330の判定処理において、第1条件〜第3条件のいずれか1つについて満たすとの肯定判定がなされる場合には、内燃機関がすでに運転状態にあると判定される(ステップS360)。
この場合には、ECU20の前回の終了が異常終了であったと判定される(ステップS370)。すなわち、ECU20が正常終了する場合には、この正常終了により内燃機関10は停止状態になるため、その次にECU20が停止状態から稼働状態に移行したときには、内燃機関10が停止状態にあると判定される。そのため、ECU20が停止状態から稼働状態に移行したときに、すでに内燃機関10が運転状態であるときには、ECU20の前回の停止が異常終了であると判定することができる。
こうしてECU20の前回の終了が異常終了であった旨判定されると、異常警告を実行する(ステップS380)。本ステップの処理は、上記ステップS250の処理と同一である。これにより、本処理は終了される。
以上説明した第2の実施形態によれば、上記(1)〜(3)の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏することができる。
(4)ECU20が停止状態から稼働状態に移行したときにおいて、すでに内燃機関10が運転状態であるときに、ECU20の前回の停止が異常終了であると判定される(ステップS370)。したがって、ECU20の異常終了について、これを直接検知することなく適切に判定することができるようになる。さらに、ECU20の異常終了により内燃機関10が停止状態に至らなかった場合であっても、その異常終了を判定することができるようになる。したがって、ECU20に発生した異常が例えば電源系の瞬断等であってその異常が継続しない場合であっても、そうした異常を適切に判定することができるようになる。
(その他の実施形態)
なお、この発明にかかる電子制御装置の異常診断装置は、上記各実施形態にて例示した構成に限定されるものではなく、それら実施形態を適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記各実施形態では、図2に示す正常記録処理において正常終了フラグFを「1」に設定する(ステップS110)とともに、図3に示す始動時異常判定処理において、正常終了フラグFを「0」に設定する(ステップS230)例を示した。しかし、こうした正常終了である旨の記録する態様については、適宜変更することができる。例えば、上記ステップS110において「正常終了」である旨を記録し、上記ステップS230において「正常終了判定済み」である旨の記録を実行するといった態様を採用することもできる。この場合であっても、上記(1)〜(4)に示した作用効果を奏することができる。
・上記第2の実施形態での異常判定処理において示した第1条件〜第3条件の判定順序については一例であって、適宜変更することができる。
・上記第2の実施形態において、上記第1条件〜第3条件のいずれか1つについて肯定判定がなされる場合に内燃機関10がすでに運転状態である旨判定する(ステップS360)例を示した。これに対し、これら3条件についての判定処理をすべて実行した上で、少なくとも1つの条件が満たされることに基づいて内燃機関10がすでに運転状態であった旨を判定するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、ECU20を異常診断装置として構成し、同ECU20の異常について自己判定をする例を示した。しかし、本発明は、別に設けられる異常診断装置によってECUを監視するといった構成にも適用することが可能であり、例えばECUが複数設けられる構成では、互いにECUの異常を監視するようにしてもよい。
10…内燃機関、20…ECU(電子制御装置、異常診断装置)、21…イグニッションスイッチ、22…スタートスイッチ、23…機関回転速度センサ、24…車速センサ、25…ニュートラルスイッチ、30…警告ランプ。

Claims (5)

  1. 内燃機関を制御する電子制御装置の異常を判定する異常診断装置であって、
    内燃機関の停止要求を検知する停止要求検知手段と、
    前記停止要求検知手段により前記内燃機関の停止要求が検知されるときに、前記電子制御装置が停止される前にこの停止が正常終了である旨記録する正常終了記録手段と、
    機関始動時において、前記正常終了記録手段により正常終了である旨記録されていないことに基づいて前記電子制御装置の前回の停止が異常終了であった旨判定する異常判定手段とを備える
    ことを特徴とする電子制御装置の異常診断装置。
  2. 請求項1に記載の電子制御装置の異常診断装置において、
    前記正常終了記録手段により正常終了である旨記録されていることに基づいて、前記電子制御装置の前回の停止が正常終了であった旨判定し、この判定後に前記正常終了記録手段により記憶された正常終了である旨の記憶を消去する正常判定手段を備える
    ことを特徴とする電子制御装置の異常診断装置。
  3. 請求項1又は2に記載の電子制御装置の異常診断装置において、
    前記電子制御装置が停止状態から稼働状態に移行したときに、前記内燃機関が運転状態であるか否かを判定する機関運転判定手段を備え、
    前記異常判定手段は、前記機関運転判定手段により前記内燃機関が運転状態である旨判定されるときに、前記電子制御装置の前回の停止が異常終了であった旨判定する
    ことを特徴とする電子制御装置の異常診断装置。
  4. 請求項3に記載の電子制御装置の異常診断装置において、
    前記機関運転判定手段は、前記内燃機関の回転速度が所定回転速度以上である旨、および前記内燃機関が搭載された車両の速度が所定車速以上である旨、および前記内燃機関に接続された変速機のシフト位置が動力伝達位置にある旨の少なくとも1つについて肯定判定がなされるときに前記内燃機関が運転状態である旨判定する
    ことを特徴とする電子制御装置の異常診断装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子制御装置の異常診断装置において、
    前記停止要求検知手段は、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わったことを前記内燃機関の停止要求として検知する
    ことを特徴とする電子制御装置の異常診断装置。
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