JP2010158979A - 車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高トルク側の動作線への動作線切り替え要求時において、トルク段差を軽減しドライバビリティの低下を抑制する。
【解決手段】ハイブリッド車両10において、ECU100は、切り替え条件設定処理を実行する。当該処理において、ECU100は、要求駆動力変化率DFtが基準値DFt1未満である場合に、第2FF項算出処理及び第2開度算出処理を実行する。前者では、FF項算出用の目標エンジントルクTetgが基準値Aに従って制限され、FF項算出用の目標エンジントルクTetg_ffに基づいて算出されるMG1トルク指令値のFF項もまた、その過度な変化が抑制される。一方、第2開度算出処理では、エンジン要求出力Pneと目標機関回転速度Netgとにより規定される目標エンジントルクTetgが、基準値Aに従って制限され、目標スロットル開度thrtgの過度に変化が抑制される。
【選択図】図8

Description

本発明は、内燃機関の動作線を切り替え可能に構成された車両の制御装置の技術分野に関する。
この種の装置として、例えば特許文献1に開示された車両の制御装置がある(以下、適宜「従来の技術」とする)。係る車両の制御装置によれば、アクセル開度、要求出力等に応じて動作線の切り替えを意味するVVT(Variable Valve Timing:可変バルブタイミング機構)の進角要求フラグのオンオフが切り替えられることにより、内燃機関の始動時に発生するショックが低減されるとされている。
尚、空燃比が切り替わる際に、予め設定された低減トルクが出力されるようにモータジェネレータMG2を制御すると共に、モータジェネレータMG1の反力トルクに基づくトルク変化量に基づいて吸気弁の作用角を変化させる装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、発電機側に作用するトルク変動を抑制するためのトルク補正値Tc1及びモータMG2における回転変動を打ち消すためのトルク補正値Tc2を設定し、該設定された各トルク補正値Tc1及びTc2を、要求トルクTr*を駆動軸に出力するために必要なモータMG1及びMG2の各トルクに加えることでトルクの補正を行う装置も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
更には、ハイブリッド車両において、VVT進角量に対応するレートを算出すると共に、気温及び気圧に基づく該レートの補正値、並びに冷却水温に基づく該レートの補正値を夫々算出し、該レート及び2つの補正値の和を算出したものを上昇レートとして設定する装置も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2007−182179号公報 特開2007−327412号公報 特開2006−67655号公報 特開2006−321465号公報
従来の技術では、VVTの進角要求の発生頻度は抑制されるものの、係る進角要求が生じた際には、動作線の切り替えに伴ってエンジン要求出力がステップ的に変更される。このため、車両の要求出力が、その変化量を制限するレート処理によって算出されていたところで、進角要求の発生に相前後して駆動軸に供給される駆動トルクが不連続となる可能性があり、所謂トルク段差が発生して、ドライバビリティが低下しかねない。即ち、従来の技術には、動作線の切り替え時において、トルクショックによるドライバビリティの低下が回避され難いという技術的な問題点がある。
本発明は、係る問題点に鑑みてなされたものであり、動作線の切り替え時におけるトルクショックを軽減しドライバビリティを向上させ得る車両の制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る車両の制御装置は、吸気絞り弁を有する内燃機関と、少なくともフィードフォワード項を含むトルク指令値に従って駆動される発電機と、前記内燃機関の機関出力軸、前記発電機の出力軸及び車軸に連結された駆動軸に夫々連結されてなる回転要素を含む、相互に差動回転可能な複数の回転要素を備えた動力分配手段とを備え、前記複数の回転要素の差動作用により前記内燃機関の動作線を切り替え可能に構成された車両の制御装置であって、低トルク側の動作線から高トルク側の動作線への前記動作線の切り替えがなされるに際して、前記内燃機関のトルクの変化を抑制する所定の第1レート処理を実行する第1実行手段と、前記低トルク側の動作線から高トルク側の動作線への動作線の切り替えがなされるに際して、前記第1レート処理に同期した、前記フィードフォワード項の変化を抑制する所定の第2レート処理を実行する第2実行手段とを具備することを特徴とする。
本発明に係る車両は、例えば各種エンジン等の形態を有する内燃機関と、例えば好適な一形態として同期電動発電機等、モータとしての機能を有し得る各種の発電機とを備え、更にこれら各々の出力軸と連結されてなる複数の回転要素を構成要素とする、例えば遊星歯車機構或いは複合型遊星歯車機構等の形態を採り得る動力分配手段とを備えており、特に、内燃機関の動作線を二値的に、段階的に又は連続的に切り替え可能に構成されている。尚、「動作線」とは、例えば機関回転速度とトルク等、内燃機関の出力に相関するパラメータを各軸に配してなる座標平面上等において規定される、内燃機関の動作条件を規定する特性線であって、例えば内燃機関の要求出力毎に選択すべき旨が規定された一動作条件としての動作点の集合である。
ここで、このような動作線の切り替え作用は、動力分配手段における回転要素相互間の差動作用により得られる。別言すれば、動力分配手段は、一回転要素に連結された発電機の回転速度及びトルクの制御により、内燃機関の動作線を自由に(物理的、機械的又は電気的な各種制約の範囲で自由であることを含む)切り替え可能な、所謂電気CVT機能を有するように、その構成が定められている。
例えば、動力分配手段が、回転要素としてサンギア、キャリア及びリングギアを有する遊星歯車機構として構成される場合、例えば、このサンギアを発電機に、キャリアを内燃機関の機関出力軸に、またリングギアを車軸に対し各種減速機や有段変速機を介して連結される駆動軸に連結する構成とすれば、リングギアの回転速度は車速と一義的となるから、当該発電機の回転速度を増減制御することにより、内燃機関の機関回転速度を増減制御することが可能となる。一方、内燃機関のトルクは、スロットルバルブ等の形態を採り得る吸気絞り弁の開閉状態(ガソリンエンジン等においては、空燃比制御の関係上、燃料噴射量と一義的である)に応じて増減制御され得る。即ち、内燃機関の動作点が、理論的には、内燃機関の機関回転速度の下限値(例えば、自立回転可能な回転速度)や上限値(例えば、所謂レブリミット)或いはトルクの上限値、又は電動機の回転速度の上限値或いはトルクの上限値等各種物理的、機械的又は電気的な各種制約の範囲で自由に選択可能となる。
但し、このような動力分配手段の構成においては、少なくとも電気CVT機能による変速が行われ得る限りにおいて、内燃機関のトルクは駆動軸に直達されないから、発電機側でこのトルクに対応する反力トルクを負担する必要がある。従って、駆動軸に供給すべきトルクとしての要求駆動トルク(車軸に供給すべき、車両の要求トルク、車両の要求駆動力或いは車両の要求出力等と一義的となり得る)を満たすためには、発電機のトルクを、内燃機関のトルクに応じて適切に増減させる必要がある。
そこで、本発明に係る発電機は、然るべき駆動手段及び制御手段により、少なくともフィードフォワード項(以下、適宜「FF項」と称する)を含むトルク指令値に従って駆動される。このフィードフォワード項は、例えば、内燃機関の実際のトルクの推定値等に基づいて決定され得る。尚、好適には、トルク指令値は、このフィードフォワード項に加えてフィードバック項(以下、適宜「FB項」と称する)を含み得る。この場合、定性的に言えば、FF項により目標トルク(例えば、内燃機関の推定トルクに対応するトルク)への追従が図られ、FB項により目標回転速度(例えば、内燃機関の目標機関回転速度に対応する回転速度)への追従が図られるのである。
内燃機関の動作点は、好適な一形態として、内燃機関の燃料消費率が理論的に又は何らかの制約の範囲で最小となる動作点を構成要素とする所謂最適燃費線等、比較的燃費性能を重視した動作線から選択され得る。この種の動作線は、大抵の場合、内燃機関の最大トルクが得られる動作点を構成要素とする所謂最大トルク線(或いはWOT動作線)とは異なっており、この種の最大トルク線よりも低トルク側に存在することが多い。
一方、アクセルペダルの操作量或いは操作速度が大きい場合等を含む過渡走行時においては、内燃機関の要求出力の変化量もまた大きくなる。このような要求出力の大なる変化が要求されるに際して、上記最適燃費線等、単一な動作線上で動作点の目標値を定めると、動作線上のトルク変化は少なくとも機関回転速度の変化に対しては緩やかであることが多いから、殆どの場合機関回転速度の大きな変化が要求されることになる。ところが、機関回転速度の過渡的な変化量が大きいと、内燃機関の回転慣性(所謂イナーシャ)の影響により、駆動軸に供給される駆動トルクの減少を招く。このような駆動トルクの減少は、無論動力性能の低下及びドライバビリティの低下となって顕在化することとなる。このような問題に対しては、動作線をより高トルク側の動作線へ切り替えることが有効な施策となり得る。即ち、動作線自体を高トルク側の動作線へ切り替えれば、機関回転速度の上昇を抑えることが可能となって、駆動力が不足するといった事態を招来せずに済むのである。
ところが、最適燃費線から最大トルク線への動作線の切り替えを好適な一形態として含む、低トルク側の動作線から高トルク側の動作線への動作線の切り替えに際しては、内燃機関の動作点の目標値が不連続となるから、大小なりトルク段差が生じ易くなる。このトルク段差が過度に大きくなると、所謂飛び出し感と称される如き、実践上看過し難いドライバビリティの低下が生じ得る。
そこで、本発明に係る車両の制御装置によれば、この種の低トルク側の動作線から高トルク側の動作線への動作線の切り替えがなされるに際して、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される第1実行手段により第1レート処理が実行され、同様に例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される第2実行手段により第2レート処理が実行される。
本発明に係る「第1レート処理」とは、内燃機関のトルクの変化を抑制する処理であり、より具体的には、ドライバビリティの低下を招来し得る程度のトルク段差に相当するトルクのステップ変化を防止する処理である。最終的にこの種の効果が得られる限りにおいて、第1レート処理の実践的な態様は何ら限定されない。例えば、第1レート処理は、例えば内燃機関の目標トルクの増加を何らかの規則に従って制限する処理であってもよいし、目標トルクを実現するための吸気絞り弁の開度の増加を何らかの規則に従って制限する処理であってもよい。
これに対し、本発明に係る「第2レート処理」とは、先に述べたFF項の変化を抑制する処理であり、特に先の第1レート処理に同期してなされる処理である。発電機のトルクは、先に述べたように駆動軸に供給される駆動トルクに影響する。このため、FF項について、その抑制に係る措置が何ら講じられないとすれば、この種の動作線の切り替え時に発電機のトルクのステップ幅が過度に大きくなって、駆動軸のトルクが変動する。また、このFF項の抑制に係る措置が講じられるにしても、第1レート処理との同期が図られない限り、内燃機関のトルクとの関係が崩れるため、この種の駆動トルクの変動を、ドライバビリティの低下を回避し得る程度に抑制することは難しいのである。尚、第1レート処理と第2レート処理とを同期させるに際しての実践的な態様は、結果的に駆動トルクの変動によるドライバビリティの低下を顕在化させない限りにおいて各種態様を有し得るものであり、また、各レート処理の実行タイミングは、一方が他方に先んじてなされるように設定されていてもよいし、同時であってもよい。或いはその実行期間は、少なくとも一部において相互に重複していてもよいし、全く独立していてもよい。
このように、本発明に係る車両の制御装置によれば、低トルク側の動作線から高トルク側の動作線への動作線の切り替え要求時において、内燃機関のトルクと、発電機の出力トルクを規定するトルク指令値のFF項とにレート処理がなされ、これらを相互に同期させつつ駆動トルクが制御される。このため、係る動作線の切り替え時に駆動トルクが変動してトルク段差が発生することに起因するドライバビリティの低下が好適に抑制されるのである。
本発明に係る車両の制御装置の一の態様では、前記内燃機関は、吸気弁の開弁時期を変化させることが可能な可変動弁手段を備え、前記車両の制御装置は、前記低トルク側の動作線から高トルク側の動作線への動作線の切り替えがなされるに際して該開弁時期を進角させる進角制御手段を具備する。
この態様によれば、内燃機関には、吸気弁の開弁時期を変化させることが可能な(必然的にバルブタイミングも変化する)物理的、機械的、電気的又は磁気的機構、装置及びシステムを包括する概念としての、例えばVVT又は当該VVTから派生する各種可変動弁装置、電磁駆動弁装置、或いはカム・バイ・ワイヤ等の各種可変動弁装置が備わっている。尚、この際、吸気弁の開弁時期が可変である限りにおいて、吸気弁のリフト量又は作用角が可変であってもよいし、それに替えて或いは加えて、排気弁の開弁時期、リフト量又は作用角が可変であってもよい。吸気弁の開弁時期は、排気弁の開弁時期が固定されている場合には特に、バルブオーバラップ量(吸排気弁が共に開弁している期間の長さ(好適には、クランク角により規定される角度概念である))を規定する指標となる。バルブオーバラップ量は、気筒内に吸入される空気又は混合気の量たる吸気量と相関しており、定性的には、低回転領域ではバルブオーバラップ量が小さくされ、内部EGRを抑制することによる吸気効率の向上が図られ、高回転領域では逆にバルブオーバラップ量が大きくされ、排気慣性による吸気の導入促進効果によって吸気効率の向上が図られ得る。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される進角制御手段により、低トルク側の動作線から高トルク側の動作線への動作線の切り替えがなされるに際して、吸気弁の開弁時期が進角される。このため、気筒への空気の吸入が促進され、トルクの上昇が支援され得る。尚、高トルク側の動作線が所謂最大トルク線である場合、高トルク側の動作線への切り替え要求とは、好適には、吸気弁の開弁時期の進角要求と一義的に扱われてもよい。
本発明に係る車両の制御装置の他の態様では、前記車両は、前記駆動軸に対しトルクの入出力が可能に構成され且つ所定の蓄電手段から供給される放電電力及び前記発電機から供給される発電電力により駆動可能な電動機を更に備える。
この態様において、車両は、動力源として内燃機関の他に電動機を備えており、駆動軸との間のトルクの入出力が可能となる。即ち、車両が所謂ハイブリッド車両として構成される。この種のハイブリッド車両では、駆動軸に供給すべき駆動トルクである要求駆動トルクに対する実際の駆動トルクの過不足分を、この電動機と駆動軸との間のトルクの入出力により補償することができる。従って、内燃機関を、より広範な運転条件において、燃料消費率の低い領域で動作させることが可能となる。
ところで、高トルク側の動作線への動作線の切り替えは、好適な一形態として、車両としてその時点で駆動軸に対し供給可能なトルク(駆動トルクの上限値)或いは出力(駆動パワの上限値)以上のトルク或いは出力が要求される場合に要求される。このため、電動機によるトルクのアシストが可能である本態様においては、この種の動作線の切り替え要求が生じた場合、電動機は、発電機から供給される発電電力と、蓄電手段から供給される最大放電電力(SOCや温度等により一義的に規定されるWout(放電制限値)に相当する)とにより実質的な最大出力状態にある。
従って、先に述べたように、発電機のトルクがFF項或いは更にFB項の影響により不安定となり、発電電力に変動が生じると、電動機からのアシストトルクが発電電力の変動を受けて変動し、駆動トルクが変動する。即ち、この種のハイブリッド車両においては、高トルク側への動作線の切り替え時における発電機のトルク変動が、顕著にドライバビリティの低下に反映され得る。このため、本発明の車両の制御装置は、この種のハイブリッド車両に適用された場合に、より高い実践上の利益を提供し得る。
本発明に係る車両の制御装置の他の態様では、前記トルク指令値は、前記内燃機関の機関回転速度を所定の目標機関回転速度へ収束させるためのフィードバック項を含む。
この態様によれば、発電機のトルク指令値にFB項が含まれるため、発電機の目標回転速度への収束精度を向上させることが可能となる。特に、本発明においては、第2レート処理が実行されることにより、FF項が内燃機関のトルクの抑制に同期して抑制される。このため、FB項の過度な変動は防止され、FB項の影響により発電機のトルク、回転速度或いは発電量が変化して、駆動トルクが変動するといった事態が防止される。
本発明に係る車両の制御装置の他の態様では、前記車両において、前記動作線は、前記内燃機関の燃料消費率が相対的に低く且つ前記内燃機関のトルクが相対的に低い前記低トルク側の動作線たる第1動作線と、前記燃料消費率が相対的に高く且つ前記内燃機関のトルクが相対的に高い前記高トルク側の動作線たる第2動作線とを含み、前記低トルク側の動作線から高トルク側の動作線への動作線の切り替えは、前記第1動作線において、前記内燃機関の動作点を前記内燃機関の要求出力に対応する要求動作点へ移行するために必要となる前記内燃機関の機関回転速度の変化量が上限値以上となる場合になされる。
この態様によれば、内燃機関の動作線が、例えば最適燃費線等の第1動作線と、例えば最大トルク線等の第2動作線との間で少なくとも切り替えられる。この際、第1動作線から第2動作線への切り替え要求は、第1動作線上で内燃機関の目標動作点を設定した場合に機関回転速度の変化量(絶対値としての変化量であってもよいし、単位時間当たりの変化量、即ち変化速度であってもよい)が上限値以上となる場合に生じる。ここで、「上限値」とは、内燃機関の回転慣性に起因する過渡的な駆動トルクの低下が顕在化しないように設定される、固定又は不定の制限値であり、要求動作点の機関回転速度が、この上限値以上の回転領域に存在する場合、第1動作線上で設定される動作点では、要求出力を賄いきれないことになる。即ち、本態様によれば、第1動作線では要求出力を賄い切れない場合に、第2動作線への切り替え要求が発生する。
従って、通常は、第1動作線に従って内燃機関を可及的に高効率に動作させつつ、第2動作線への動作線の切り替えにより駆動力の不足によるドライバビリティの低下を抑制することが可能となる。ここで特に、この第2動作線への切り替えに際して、第1及び第2レート処理が適宜に実行されることによって、過渡的に生じ得るトルク変動に起因する、ドライバビリティの低下をも好適に抑制することが可能となる。即ち、本態様によれば、経済的且つ快適な走行が実現されるのである。
本発明に係る車両の制御装置の他の態様では、前記駆動軸に供給すべき要求駆動トルクを特定する特定手段を具備し、前記第1及び第2実行手段は、前記特定された要求駆動トルクの変化率が所定値以下である場合に、夫々前記第1レート処理及び前記第2レート処理を実行する。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される特定手段により要求駆動トルクが特定され、この要求駆動トルクの変化率が固定又は可変な所定値以下である場合に(尚、「以下」とは、所定値の設定如何により容易に「未満」と置換し得る概念であって、所定値がいずれの領域に属するかは本態様の本質に影響しない)、第1及び第2レート処理が実行される。尚、本発明に係る「特定」とは、検出、推定、算出、導出、同定及び取得等を包括する概念であり、特定対象(この場合、要求駆動トルク)を、制御上参照し得る情報として第1設定手段に把握させ得る限りにおいて、そのプロセスは、各種態様を有してよい趣旨である。
この態様によれば、一方で、要求駆動トルクの変化率が低い、即ち比較的トルク段差が顕在化し易い緩やかな加速時等に限定して或いはこのような場合を優先して第1及び第2レート処理によるトルク段差の低減が図られ、他方で、要求駆動トルクの変化率が高い、即ち比較的トルク段差が顕在化し難い急加速時等には、目標トルクへの比較的大きなステップ幅を有するステップ変化が許容され、動力性能が確保される。即ち、トルク段差によるドライバビリティの低下に対しても、動力性能の低下によるドライバビリティの低下に対しても、好適な解を与え得るのである。
本発明に係る車両の制御装置の他の態様では、前記内燃機関のトルクの増加量を規定する第1レート及び前記フィードフォワード項の増加量を規定する第2レートを夫々設定する設定手段を具備し、前記第1実行手段は、前記第1レート処理において、前記設定された第1レートに基づいて前記吸気絞り弁の開度を制限し、前記第2実行手段は、前記第2レート処理において、前記設定された第2レートに基づいて前記フィードフォワード項を制限する。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される設定手段により、第1レート及び第2レートが設定され、第1レート処理においては、この設定された第1レートに基づいて吸気絞り弁の開度が制限され、第2レート処理においては、この設定された第2レートに基づいてトルク指令値のFF項が設定される。従って、第1及び第2レート処理の実行に係る実践上の利益が比較的簡便に享受され得る。
ここで、第1レートは、内燃機関のトルクの増加量(即ち、ステップ幅)を規定し、少なくとも内燃機関のトルクが何ら制限無くステップ変化することを防止し得る制限値であって、例えば、ステップ幅の上限値であってもよいしステップ幅そのものであってもよいし、目標トルクの増加率であってもよい。また、固定値であっても可変値であってもよい。同様に、第2レートは、FF項の増加量(ステップ幅)を規定し、少なくとも発電機のトルクが何ら制限無くステップ変化することを防止し得る制限値であって、例えば、ステップ幅の上限値であってもよいしステップ幅そのものであってもよいし、FF項の増加率であってもよい。また、固定値であっても可変値であってもよい。また、第1及び第2レートは、相異なる値であってもよいし、同一の値であってもよい。
尚、この態様では、前記設定手段は、前記特定された要求駆動トルクの変化率に応じて前記第1及び第2レートを設定してもよい。
この態様によれば、先の態様と同等の特定手段により要求駆動トルクが特定され、第1及び第2レートが、この特定された要求駆動トルクの変化率に応じて設定される。即ち、要求駆動トルクの変化率の大小が、第1及び第2レートの大小に夫々二値的、段階的又は連続的に対応する。このため、ドライバビリティの低下を招来する程度のトルク段差を生じさせない範囲で、可及的に迅速に動作線の切り替えを完了することが可能となる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照し、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両10の構成について説明する。ここに、図1は、ハイブリッド車両10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、ハイブリッド車両10は、ECU100、PCU(Power Control Unit)11、バッテリ12、アクセル開度センサ13及び車速センサ14並びにハイブリッド駆動装置1000を備えた、本発明に係る「車両」の一例たるハイブリッド車両である。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM等を備え、ハイブリッド車両10の各部の動作を制御可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「車両の制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述する切り替え条件設定処理を実行可能に構成されている。尚、ECU100は、本発明に係る「第1実行手段」、「第2実行手段」、「進角制御手段」、「特定手段」及び「設定手段」の夫々一例として機能するように構成された一体の電子制御ユニットであり、これら各手段に係る動作は、全てECU100によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係るこれら各手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
PCU11は、バッテリ12から取り出した直流電力を交流電力に変換して後述するモータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2に供給すると共に、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2によって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ12に供給可能に構成された不図示のインバータを含み、バッテリ12と各モータジェネレータとの間の電力の入出力を、或いは各モータジェネレータ相互間の電力の入出力(即ち、この場合、バッテリ12を介さずに各モータジェネレータ相互間で電力の授受が行われる)を制御可能に構成された制御ユニットである。PCU11は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその動作が制御される構成となっている。
バッテリ12は、後述するモータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2を力行するための電力に係る電力供給源として機能し得るように構成された充電可能な蓄電池である。
アクセル開度センサ13は、ハイブリッド車両10の図示せぬアクセルペダルの操作量たるアクセル開度Taを検出可能に構成されたセンサである。アクセル開度センサ13は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたアクセル開度Taは、ECU100によって一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
車速センサ14は、ハイブリッド車両10の車速Vを検出する可能に構成されたセンサである。車速センサ14は、ECU100と電気的に接続されており、検出された車速Vは、ECU100によって一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
ハイブリッド駆動装置1000は、ハイブリッド車両10のパワートレインとして機能する動力ユニットである。ここで、図2を参照し、ハイブリッド駆動装置1000の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、ハイブリッド駆動装置1000の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図2において、ハイブリッド駆動装置1000は、エンジン200、動力分割機構300、モータジェネレータMG1(以下、適宜「MG1」と略称する)、モータジェネレータMG2(以下、適宜「MG2」と略称する)及び減速機構400を備える。
エンジン200は、本発明に係る「内燃機関」の一例たるガソリンエンジンであり、ハイブリッド車両10の主たる動力源として機能するように構成されている。ここで、図3を参照し、エンジン200の詳細な構成について説明する。ここに、図3は、エンジン200の一平面構成を例示する模式図である。尚、同図において、図1及び図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。尚、本発明における「内燃機関」とは、例えば2サイクル又は4サイクルレシプロエンジン等を含み、少なくとも一の気筒を有し、当該気筒内部の燃焼室において、例えばガソリン、軽油或いはアルコール等の各種燃料を含む混合気が燃焼した際に発生する力を、例えばピストン、コネクティングロッド及びクランク軸等の物理的又は機械的な伝達手段を適宜介して駆動力として取り出し可能に構成された機関を包括する概念である。係る概念を満たす限りにおいて、本発明に係る内燃機関の構成は、エンジン200のものに限定されず各種の態様を有してよい。
エンジン200は、シリンダブロック内にシリンダ201が4本直列に配置されてなる直列4気筒エンジンである。エンジン200は、各シリンダ内部において空気と燃料との混合気が燃焼するに際して生じる不図示のピストンの往復運動を、コネクティングロッド及びクランクシャフト(いずれも不図示)を介して回転運動に変換可能に構成されている。このクランクシャフトの回転位置は、ECU100と電気的に接続された不図示のクランクポジションセンサによって検出されており、所定の制御バスを介してECU100により一定又は不定の周期で参照され、後述するVVTコントローラやインジェクタ等の各種動作制御に供される構成となっている。
エンジン200が動作するに際し、外部から吸入された空気は、吸気管202に導かれ、エアクリーナ203によって浄化された後に、各気筒に連通する吸気マニホールド202aへ供給される。また、吸入された空気に係る吸入空気量は、エアクリーナ203の下流に位置するエアフローメータ204によって検出される。エアフローメータ204は、ECU100と電気的に接続されており、エアフローメータ204によって検出された吸入空気量は、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
吸気管202には、スロットルバルブ205が設けられ、その開度に応じて吸気マニホールド202aに供給される吸入空気量が制御される構成となっている。スロットルバルブ205は、スロットルバルブモータ(不図示)等の電動アクチュエータにより駆動される電子制御式のスロットルバルブであり、ECU100と電気的に接続され、ECU100により、例えば不図司のアクセルペダルの開度に応じて或いはアクセルペダルの開度とは無関係にその開度が制御される構成となっている。また、スロットルバルブ205の開度たるスロットル開度thrは、スロットルバルブ205近傍に設けられたスロットル開度センサ206により検出される。スロットル開度センサ206は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたスロットル開度thrは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
シリンダ201内の燃焼室には、吸気マニホールド202aを介して供給される空気と、吸気マニホールド202aに連通する不図示の吸気ポートにおいて、例えば電子制御式のインジェクタ(図示は省略)等から噴射供給される燃料との混合気が、二個の吸気バルブ207を介して吸入される。この際、係る混合気は、吸気バルブ207の開弁時に燃焼室内へ供給される構成となっている。尚、係るインジェクタ等の燃料供給系は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその噴射量及び噴射時期(噴射クランク角)が制御される構成となっている。
燃焼室内部では、燃焼行程において点火プラグ208による点火動作により混合気が燃焼する。尚、点火プラグ208は、ECU100と電気的に接続されており(制御ラインは不図示)、ECU100によってその点火時期(点火クランク角)が制御されるように構成されている。燃焼室において燃焼済みとなった混合気は、不図示の排気ポートに連通する二個の排気バルブ209の開弁時に、排気として係る排気ポートに排出される。係る排気は、排気ポートに連通する排気マニホールド210a及び排気管210を介して排出される。
排気管210には、三元触媒211が設けられており、排気管210に排出された排気は、係る三元触媒211により浄化せしめられ、更に後段に設置される他の触媒装置により順次浄化せしめられた後に車外へ排出される構成となっている。また、エンジン200のシリンダブロック内に収容されるウォータジャケットには、冷却水が循環供給されており、係る冷却水の温度たる冷却水温Twは、水温センサ233によって検出され、水温センサ233と電気的に接続されたECU100によって絶えず把握される構成となっている。
吸気バルブ207は、不図示のシリンダヘッド上に回転可能に支持された吸気カムシャフト212に各吸気バルブ207に対応付けられて固定された吸気カム213によって、その開閉動作が制御される。一方、排気バルブ209は、不図示のシリンダヘッド上に回転可能に支持された排気カムシャフト214に各排気バルブ209に対応付けられて固定された排気カム215によって、その開閉動作が制御される。ここで、本実施形態では特に、吸気側カムシャフト212の一方の端部付近にVVTコントローラ216が備わり、吸気バルブ207のバルブタイミングが可変に制御される構成となっている。
ここで、図4を参照して、VVTコントローラ216の構成について説明する。ここに、図4は、VVTコントローラ216の、吸気カムシャフト212と直交する平面における模式断面図である。
図4において、VVTコントローラ216は、ハウジング217とロータ218とを備えた、本発明に係る「可変動弁手段」の一例である。
ハウジング217は、紙面に垂直な方向へ伸長する吸気カムシャフト212の外周に回動可能に支持されたスプロケット(不図示)にボルト等で締め付けられることによって固定されている。この際、エンジン200におけるクランクシャフトの回転は、タイミングチェーン(不図示)を介してスプロケットとハウジング217に伝達されるため、スプロケット及びハウジング214は、クランクシャフトに同期して回転可能である。
吸気カムシャフト212は、エンジン200のシリンダヘッドとベアリングキャップにより回転可能に支持されている。ロータ218は、このように支持された吸気カムシャフト212の一方の端部においてストッパを介してボルトで締め付けられることによって固定されており、ハウジング217内に回動可能に収容されている。また、ハウジング217の内部には、複数の液室が形成されており、その各々が、ロータ218の外周部に形成されたベーン219によって、進角室220及び遅角室221に区画されている。尚、ロータ218に形成された複数のベーン219のうち一つには、ロック孔223が形成されている。ロック孔223の作用については後述する。
吸気カムシャフト212の外周部分には、遅角側流路部222が環状に形成されており、遅角室221の各々に不図示の液圧流路を介して連通している。また、吸気カムシャフト212の外周部には更に、進角側流路部(不図示)が、遅角側流路部222と同様環状に形成されており、進角室220の各々に不図示の液圧流路を介して連通している。
一方、VVTコントローラ216は、前述した遅角側流路部222及び進角側流路部等の液圧流路を含む液圧伝達系225を備える。ここで、図5を参照して、液圧伝達系225について説明する。ここに、図5は、液圧伝達系225の模式図である。
図5において、液圧伝達系225は、スプリング227及びソレノイド228により駆動される液圧制御弁226を備える。液圧制御弁226は、その弁体の位置を、進角室220に液圧を伝達せしめる進角位置、遅角室221に液圧を伝達せしめる遅角位置並びに進角室220及び遅角室221の何れにも液圧を伝達させない非伝達位置のいずれかに切替え可能に構成される。尚、ソレノイド228は、不図示の駆動系を介してECU100と電気的に接続されており、ECU100の上位制御によって制御されるソレノイド電流に応じて、液圧制御弁226の弁体の位置を切替え可能に構成されている。
スプリング227は、液圧制御弁226を図示右方向に付勢する弾性部材である。ソレノイド228に電流が供給されない場合、液圧制御弁226は、スプリング227による付勢を受けて、図示するように遅角位置で停止するように構成されている。
また、液圧伝達系225は、ポンプ229を備える。ポンプ229は、エンジン200の動力によって作動するように構成されており、エンジン200における潤滑用のオイルの一部をオイルパン230から汲み上げて、VVTコントローラ216の各部に循環供給可能に構成されている。このポンプ229によって循環供給されるオイルは、液圧制御弁226に接続された遅角側デリバリ231及び進角側デリバリ232を介して、更にはこれらに連通する前述した遅角側流路部222や進角側流路部等を介して夫々最終的に遅角室221及び進角室220に供給される構成となっている。
図2に戻り、モータジェネレータMG1は、本発明に係る「発電機」の一例たる電動発電機であり、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた構成となっている。モータジェネレータMG2は、本発明に係る「電動機」の一例たる電動発電機であり、モータジェネレータMG1と同様に、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた構成となっている。尚、モータジェネレータMG1及びMG2は、例えば同期電動発電機として構成され、例えば外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータとを備える構成を有していてもよいし、他の構成を有していてもよい。
モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2は、夫々FF項及びFB項を含むトルク指令値に従って駆動される。FF項は、主として目標トルクに対する追従を担う制御項であり、FB項は、主として目標回転速度への追従を担う制御項である。尚、FB項に対応するフィードバック制御には、公知のPID制御が適用され、FB項は、P項(比例項)、I項(積分項)及びD項(微分項)を含む構成となっている。尚、これ以降の説明では特に、モータジェネレータMG1に対するトルク指令値を、「MG1トルク指令値」と称することとする。
動力分割機構300は、中心部に設けられた、本発明に係る「回転要素」の一例たるサンギア303と、サンギア303の外周に同心円状に設けられた、本発明に係る「回転要素」の他の一例たるリングギア301と、サンギア303とリングギア301との間に配置されてサンギア303の外周を自転しつつ公転する複数のピニオンギア305と、これら各ピニオンギアの回転軸を軸支する、本発明に係る「回転要素」の更に他の一例たるプラネタリキャリア306とを備えた、本発明に係る「動力分配手段」の一例たる遊星歯車機構である。
ここで、サンギア303は、サンギア軸304を介してMG1のロータ(符合は省略)に結合されており、その回転速度はMG1の回転速度Nmg1と等価である。また、リングギア301は、駆動軸302及び減速機構500を介してMG2の不図示のロータに結合されており、その回転速度はMG2の回転速度Nmg2と等価である。更に、プラネタリキャリア306は、エンジン200のクランクシャフトに結合されており、その回転速度はエンジン200の機関回転速度Neと等価である。
一方、駆動軸302は、ハイブリッド車両の駆動輪たる右前輪FR及び左前輪FLを夫々駆動するドライブシャフトSFR及びSFLと、デファレンシャル等各種減速ギアを含む減速装置としての減速機構400を介して連結されている。従って、モータジェネレータMG2から駆動軸302に出力されるモータトルクは、減速機構400を介して各ドライブシャフトへと伝達され、同様に各ドライブシャフトを介して伝達される各駆動輪からの駆動力は、減速機構400及び駆動軸302を介してモータジェネレータMG2に入力される。即ち、モータジェネレータMG2の回転速度Nmg2は、駆動軸302の回転速度Noutと等価であり、且つハイブリッド車両10の車速Vと一義的な関係にある。
動力分割機構300は、係る構成の下で、エンジン200が発する動力を、プラネタリキャリア306とピニオンギア305とによってサンギア303及びリングギア301に所定の比率(各ギア相互間のギア比に応じた比率)で分配し、エンジン200の動力を2系統に分割することが可能となっている。
尚、本発明に係る「動力分配手段」に係る実施形態上の構成は、動力分割機構300のものに限定されない。例えば、本発明に係る動力分配手段は、複数の遊星歯車機構を備え、一の遊星歯車機構に備わる複数の回転要素が、他の遊星歯車機構に備わる複数の回転要素の各々と適宜連結され、一体の差動機構を構成していてもよい。また、本実施形態に係る減速機構500は、予め設定された減速比に従って駆動軸302の回転速度を減速するに過ぎないが、ハイブリッド車両10は、この種の減速装置とは別に、例えば、複数のクラッチ機構やブレーキ機構を構成要素とする複数の変速段を備えた有段変速装置を備えていてもよい。
<実施形態の動作>
<バルブタイミング制御>
VVTコントローラ216は、以下に説明する三種類の制御モードに従ってその駆動状態が制御される。
<強制最遅角モード>
エンジン200が機関停止状態にある期間或いは始動後暫時の期間については強制最遅角モードが実行される。VVTコントローラ216に供給されるオイルの液圧が、エンジン200の停止に伴って減少すると、ベーン219は、可動部のフリクションによって徐々に遅角側に回動し、最終的には最遅角位置(即ち、ベーン219の可動範囲の中で最も遅角側に相当する位置)で停止する。強制最遅角モードにおいては、ベーン219の位置が係る最遅角位置に強制的に固定される。より具体的には、ロック孔223が形成されたベーン219の最遅角位置に相当する部位には、不図示のロックピンがロック孔223に対し出没可能に設置されている。このロックピンは、通常、コイルバネ(不図示)によってロック孔223の方向に付勢を受けており、ロック孔223に所定の解除液圧(ベーン219を回動させるのに要する液圧よりも高圧である)以上の液圧でオイルが供給され、液圧がコイルバネによる付勢に打ち勝つと、ベーン219の回動を阻害しない所定の収容孔に収容される構成となっている。従って、機関停止状態において、液圧の低下に伴いベーン219が最遅角位置で停止すると、コイルバネによる付勢を受けてロックピン224がロック孔223に嵌合し、ベーン219の回動が機械的に固定、即ちロックされる。
<フィードバックモード>
エンジン200の始動に伴って液圧が上昇する過程で、ロック孔223に加わる液圧が上述した解除液圧以上となると、上記強制最遅角モードは解除され、ベーン219はその可動範囲において回動可能な状態となる。この状態において、進角室220及び遅角室221における液圧を変化させた場合、ベーン219は所定の可動範囲内で双方の液圧の度合いに応じて図示進角方向及び遅角方向に回動する。この際、ベーン219が形成されるロータ218もベーン219に伴って回動するため、結果的に吸気カムシャフト212の回転位相は、クランクシャフトの回転位相に対して変化し、即ち吸気カムシャフト212のクランクシャフトに対する回転位相差が変化し、吸気カムシャフト212に固定された吸気バルブ207のバルブタイミングが変化する。この際、ECU100は、吸気バルブ207のバルブタイミングの目標変位角を演算し、ソレノイド228を駆動する駆動系に対しフィードバック電流値に相当する信号を供給してソレノイド228を制御する。その結果、F/Bモードでは、吸気カムシャフト212の回転位相差が、所望の値にフィードバック的に収束する。
<保持モード>
一方、液圧伝達系225を介して進角室220及び遅角室221に然るべき液圧が加えられた状態で、液圧制御弁226の弁体が非伝達位置に制御されると、保持モードが作動する。保持モードでは、進角室220及び遅角室221における液圧が保持されるため、進角室220及び遅角室221双方の液圧によってベーン219は固定され、クランクシャフトの回転に伴うハウジング217の回転がオイルを介してロータ218及びベーン219に伝達される。従って、ロータ218に固定された吸気カムシャフト212は、クランクシャフトとの間で一定の回転位相差が保持された状態でロータ218と一体に回転駆動される。ハイブリッド車両10では、エンジン200が稼動している期間においては基本的にフィードバックモードと保持モードとが適宜実行され、吸気バルブ207のバルブタイミングが目標値に維持される。
ここで、本実施形態において、吸気バルブ207のバルブタイミングは、ベーン219が所定の進角位置で停止した状態に対応する進角側バルブタイミングと、ベーン219が所定の遅角位置(上述の最遅角位置よりは進角側であるとする)で停止した状態に対応する遅角側バルブタイミングとの間で二値的に切り替えられる。より具体的には、ECU100は、エンジン200の後述する動作点が後述する最大トルク線上で制御される場合に、吸気バルブ207のバルブタイミングを係る進角側バルブタイミングに制御する構成となっている。尚、このような本実施形態に係る吸気バルブ207のバルブタイミング制御は一例であり、吸気バルブ207のバルブタイミングは、例えばより多段階に又は連続的に可変に制御されてもよい。
<動作線の制御>
本実施形態に係るハイブリッド車両10では、エンジン200の機関回転速度Neと駆動軸302の回転速度Noutとの比たる変速比を自由に選択することができる。ここで、図6を参照し、係る変速比の制御の仕組みについて説明する。ここに、図6は、ハイブリッド駆動装置1000の各部の動作状態を説明する動作共線図である。尚、同図において、図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図6において、縦軸は回転速度を表しており、横軸には、左から順にモータジェネレータMG1、エンジン200及びモータジェネレータMG2が表されている。ここで、動力分割機構300は遊星歯車機構であり、サンギア303(即ち、実質的にMG1)、プラネタリキャリア306(即ち、実質的にエンジン200)及びリングギア301(即ち、実質的にMG2)のうち二要素の回転速度が定まれば、残余の一要素の回転速度が必然的に決定される。即ち、共線図上において各要素の動作状態は、ハイブリッド駆動装置1000の一動作状態について、一の直線として表すことができる。
例えば、図6において、モータジェネレータMG2の動作点を図示m1とし、エンジン200の反力トルクを負担するモータジェネレータMG1の動作点が図示m3であるとすれば、エンジン200の動作点は必然的に図示m2となる。ここで、車速V(即ち、MG2の回転速度Nmg2及び駆動軸302の回転速度Noutと一義的である)を一定とすれば、MG1の回転速度Nmg1を制御して、MG1の動作点を図示m4或いはm5へと変化させた場合、エンジン200の動作点は、夫々図示m6或いはm7に変化する。このように、ハイブリッド駆動装置1000では、モータジェネレータMG1を回転速度制御装置として利用し、エンジン200を所望の動作点で動作させることが可能である。また、この際、駆動軸302の回転速度Noutは変化しないため、必然的に変速比が無段階に変化するのである。ハイブリッド駆動装置1000によれば、このような所謂電気CVT機能を得ることができる。
エンジン200の動作点は、ROMに格納された動作点マップに従って設定される。ここで、図7を参照し、係る動作点マップについて説明する。ここに、図7は、動作点マップの構成を概念的に表してなる模式図である。
図7において、エンジン200の動作点は、基本的に図示実線で示される最適燃費線上で設定され、係る最適燃費線と、エンジン200に要求される出力たるエンジン要求出力Pneに対応する等出力線との交点座標として設定される。尚、図7には、等出力線の一例としてエンジン出力P0、P1(P1>P0)及びP2(P2>P1)に夫々対応する3本の等出力線EP1、EP2及びEP3が示されている。例えば、現時点のエンジン要求出力PneがP0であるとする。この場合、エンジン200の動作点は、図示動作点M0(機関回転速度Ne0且つエンジントルクTe0)に設定される。より具体的には、先に述べたモータジェネレータMG1による回転速度制御によって、機関回転速度NeがNe0へと収束せしめられ、スロットルバルブ開度thrの制御によりエンジントルクTeがTe0へと収束せしめられるのである。尚、最適燃費線は、エンジン200の燃料消費率が最小となる最適燃費動作点をエンジン要求出力毎に繋げて得られる動作線であり、本発明に係る「低トルク側の動作線」及び「第1動作線」の一例である。
一方、動作点マップには、上記最適燃費動作線とは別に、図示鎖線に相当する最大トルク線が設定されている。最大トルク線は、スロットル開度thr=100(即ち、全開開度)に相当する動作線であり、エンジン200の最大トルクTemaxを規定する特性線である。最大トルク線は、本発明に係る「高トルク側の動作線」及び「第2動作線」の一例である。尚、動作点マップには、これら最適燃費線及び最大トルク線を規定する動作点のデータが数値化されて格納されている。
ここで、図示の通り、最適燃費線は、エンジン200の熱効率が最大となり最大トルク線と一致する高回転高負荷領域を除けば、エンジン200の採り得る回転領域の大部分で最大トルク線よりも低トルク側で推移する。従って、最適燃費線上で動作点が設定される場合、ECU100は、動作点が係る最適燃費線上に乗るように、スロットル開度thrを所定の上限ガード値により適宜制限する構成となっている。
ハイブリッド車両10では、その運転条件に応じて、動作線を最適燃費線から最大トルク線へと切り替えるべき旨の切り替え要求が生じることがある。この種の最大トルク線への切り替え要求について、引き続き図7を参照して説明する。
図7において、現時点のエンジン要求出力Pne=P0であり、エンジン200が、動作点マップにおける先述の動作点M0で動作しているとする。ここで、ドライバによるアクセル操作等に起因して、エンジン要求出力Pne=P2まで上昇したとする。この場合、最適燃費線上で動作点を設定するのであれば、目標動作点は、等出力線EP2と最適燃費線との交点座標に相当する図示動作点M2となる。即ち、エンジン200の機関回転速度NeをNe2まで上昇させる必要が生じる。
ところが、エンジン200は、その時点の機関回転速度Neに応じた回転慣性を有しており、短時間で極端に大きい機関回転速度Neの変化を生じさせようとした場合には、この回転慣性の影響によって、駆動軸302に現れる駆動軸トルクToutが減少することがある。本実施形態では、そのような駆動軸トルクToutの減少を防止するため、機関回転速度Neの目標値たる目標機関回転速度Netgについて、そのステップ幅(変化量)が制限される。より具体的には、目標機関回転速度Netgの最新値Netg(i)は、最大で前回値Netg(i−1)+αに制限される。ここに、αは、駆動軸トルクToutの減少をドライバビリティの低下として顕在化させない限界領域を規定する実験的に適合された可変値である。
ここで、このような制限値αによる制限を受けた目標機関回転速度Netgが、図示Ne1(Ne0<Ne1<Ne2)であるとすると、最適燃費線上の動作点は、必然的に図示動作点M1(Ne=Ne1且つTe=Te1)となり、対応するエンジン出力Peは、無論P0より高いものの要求出P2と較べれば遥かに低くならざるを得ない。一方、この種の過渡走行時には、通常、モータジェネレータMG2は、バッテリ12から、バッテリ12に対しその時点のバッテリ温度やSOC(State Of Charge)等により定まり得る放電制限値Woutに相当する最大量の電力供給を受け力行状態にある。従って、エンジン出力Peがエンジン要求出力Penに満たない場合、エンジン出力PeとモータジェネレータMG2の出力Pmとの和である駆動軸出力Poutは、駆動軸要求出力Pnに対し不足する。即ち、加速感の低下又は車速の低下若しくは上昇阻害等によるドライバビリティの低下が生じ得る。
最適燃費線から最大トルク線への動作線の切り替え要求は、このような理由から、その時点でハイブリッド駆動装置1000が駆動軸302に供給し得る駆動軸出力Poutの最大値たる最大出力Pmaxと、駆動軸302に要求される駆動軸要求出力Pn(エンジン要求出力Pneとは異なり得る)との間に、Pmax<Pnなる関係が成立する場合に生じ得る。尚、ここでは、目標機関回転速度Netgのステップ幅に制限値がαが設けられるとしたが、これは機関回転速度Neの制限態様の一例に過ぎず、機関回転速度Neの変化量の制限に関しては、各種の態様が存在してよい。或いは、この種の機関回転速度Neの制限は必ずしも必要ではないが、Netgに何らの制限も付与されないとすれば、先に述べた回転慣性による駆動トルクToutの実質的な低下により、動作点が図示動作点M2に移行するまでの相応の期間について、ドライバビリティの低下が継続し得る。従って、いずれにせよ、駆動軸要求出力Pnに増加側への過渡的変化が生じた場合には、最適燃費線から最大トルク線への動作線の切り替え要求は生じ得る。
一方、最大トルク線において、機関回転速度Neが先述した目標機関回転速度Netgの実質的な上限値Ne1であるとした場合、エンジン200の動作点は図示動作点M3(Ne=Ne1且つTe=Te2)となる。ところが、機関回転速度NeがNe1である場合に、エンジン要求出力P2を実現するためのエンジン200の動作点は、等出力線EP2と機関回転速度Ne1とにより必然的に図示動作点M5(Ne=Ne1且つTe=Te3)と定まる。このトルク値Te3は、最大トルクTe2よりも大きい。即ち、動作線を最大トルク線に切り替えただけでは、未だエンジン出力Peは、エンジン要求出力Pneに対し不足する。補足すると、最大トルク線上でエンジン要求出力P2を満たす動作点は、図示動作点M4である。従って、実際の動作線の切り替えにおいては、エンジン200の動作点を、M1→M3→M4のようにステップ的に変化させる必要が生じる。
他方、このようにエンジン200の動作点を動作点M1から動作点M3にステップ的に切り替える場合、駆動軸トルクToutの変化量は、動作点M3に相当するエンジントルクTe2と動作点M1に相当するエンジントルクTe1との差分となり、ステップ的なトルク変化量としては過大となる。即ち、動作線の切り替えに伴って、駆動軸トルクToutが不連続となり、トルク段差によって別の意味でドライバビリティの低下が生じてしまう。本実施形態では、このような最適燃費線から最大トルク線への動作線の切り替えを好適に行うために、ECU100により切り替え条件設定処理が実行される。尚、図7に示される動作線は、ハイブリッド駆動装置1000においてエンジン200が採り得る動作線の一例に過ぎず、また説明を分かり易くするため適宜模式化されている。従って、エンジン200の動作線は、無論図7に例示される以外の態様を有していてよく、その場合も以下に記述する切り替え条件設定処理に係る効果は本質的に担保される。
<切り替え条件設定処理の詳細>
ここで、図8を参照し、切り替え条件設定処理の詳細について説明する。ここに、図8は、切り替え条件設定処理のフローチャートである。
図8において、ECU100は、動作線切り替え要求が有るか否かを判別する(ステップS101)。ここで、「動作線切り替え要求」とは、低トルク側の動作線から高トルク側の動作線への動作線の切り替え要求を指し、端的には最適燃費線から最大トルク線への動作線の切り替え要求を指す。尚、本実施形態において、上述した理由等により係る動作線切り替え要求が生じた場合、予め係る動作線切り替え要求の有無を表すものとして設定されたフラグFG_WOTが、係る動作線切り替え要求が存在する旨を表す「1」に設定される。尚、係るフラグFG_WOTは、最大トルク線への動作線切り替え完了後は、初期値たる「0」に設定される。
尚、切り替え条件設定処理は、最適燃費線から最大トルク線への動作線の切り替えに際しての、スロットル開度thrの目標値たる目標スロットル開度thrtgと、モータジェネレータMG1の先述したMG1トルク指令値に係るFF(フィードフォワード)項を設定する処理である。これら設定された各制御量に基づいた実際の各部の駆動制御(MG1トルク指令値のFB項に応じたフィードバック制御(PID制御)も含む)は、ECU100が、公知の態様に従って実行するものとする。
動作線切り替え要求がない場合(ステップS101:NO)、ECU100は、処理をステップS101に戻し、一連の処理を繰り返す一方、動作線切り替え要求が有る旨が判別された場合(ステップS101:YES)、ECU100は、要求駆動力Ftの変化率DFtを算出すると共に、算出された要求駆動力変化率DFtが基準値DFt1未満であるか否かを判別する(ステップS102)。ここで、要求駆動力Ftは、言わばドライバが要求する駆動力であって、各ドライブシャフトに供給すべき駆動力である。但し、各ドライブシャフトは、減速機構400を介して駆動軸302に連結されており、要求駆動力Ftは、減速機構400が単一のギア比を有する場合には、駆動軸302に加わる駆動力と一義的な関係にある。従って、要求駆動力Ftとは、駆動軸302に供給すべき駆動力の要求値であってもよい。
要求駆動力Ftは、車速センサ14により検出される車速Vと、アクセル開度センサ13により検出されるアクセル開度Taとに基づいて、予めROMに格納された要求駆動力マップより適宜選択される。ECU100は、この選択される要求駆動力Ftを、過去一定のサンプル数保持しており、前回の要求駆動力と今回選択された要求駆動力との偏差に基づいて、要求駆動力変化率DFtを算出する。要求駆動力変化率DFtは、ドライバの意思を反映した指標値であり、定性的にはその大小が要求加速度の大小に対応する。基準値DFt1は、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、エンジン200の目標トルクに制限を与えるべきか否かを判断し得るように決定された適合値である。
要求駆動力変化率DFtが基準値DFt1以上である場合(ステップS102:NO)、ECU100は、第1FF項算出処理を実行する(ステップS200)。ここで、図9を参照し、第1FF項算出処理について説明する。ここに、図9は、第1FF項算出処理のフローチャートである。尚、第1FF項算出処理は、MG1トルク指令値のFF項を設定する処理である。
図9において、ECU100は、ハイブリッド車両10の走行条件の変化等により、或いは最大トルク線への動作線の切り替えが完了した等の理由により、先に述べたフラグFG_WOTが、動作線切り替え要求が無い旨を表す「0」に切り替えられたか否かを、即ち、動作線切り替え要求が無くなったか否かを判別する(ステップS201)。動作線切り替え要求が無くなった場合(ステップS201:YES)、ECU100は、最適燃費線と目標機関回転速度Netgとから、FF項算出用の目標エンジントルクTetg_ffを算出する(ステップS202)。尚、本実施形態において「算出する」とは、マップ等から然るべき数値を選択する処理を含むものとする。
ここで、説明を分かり易くするために、これ以降、係る動作線切り替え要求が、先に図7を参照して説明した、動作点M1から動作点M3への動作点の切り替えに相当するものとする。即ち、このような仮定の下では、目標機関回転速度Netg=Ne1であり、FF項算出用の目標エンジントルクTetg_ff=Te1である。
FF項算出用の目標エンジントルクTetg_ffを算出すると、ECU100は更に、このFF項算出用の目標エンジントルクTetg_ff、並びにエンジントルクTeの推定値たるエンジントルク推定値Tedtの前回値、予め設定された無駄時間及び時定数等に基づいて、最新のエンジントルク推定値Tedtを算出する(ステップS204)。エンジントルク推定値Tedtを算出すると、ECU100は、この算出されたエンジントルク推定値TedtからMG1トルク指令値のFF項を算出する(ステップS205)。MG1トルク指令値のFF項が算出されると、第1FF項算出処理は終了する。
一方、ステップS201において、FG_WOTが「1」、即ち動作線切り替え要求が未だ継続している場合(ステップS201:NO)、ECU100は、最大トルク線と目標機関回転速度Netgとから、FF項算出用の目標エンジントルクTetg_ffを算出する(ステップS203)。即ち、本実施形態に係る上述した仮定の下では、FF項算出用の目標エンジントルクTetg_ff=Te2である。ステップS203においてFF項算出用の目標エンジントルクTetg_ffが算出されると、ECU100は、処理をステップS204に移行させる。即ち、ステップS204では、最大トルク線又は最適燃費線のいずれか一方からFF項算出用の目標エンジントルクTetg_ffが算出され、エンジントルク推定値Tedtが算出される。
図8に戻り、第1FF項算出処理が終了すると、ECU100は、第1開度算出処理を実行する(ステップS300)。ここで、図10を参照し、第1開度算出処理の詳細について説明する。ここに、図10は、第1開度算出処理のフローチャートである。尚、第1開度算出処理は、エンジン200のスロットル開度thrを算出する処理である。
図10において、ECU100は、目標エンジントルクTetgを算出する(ステップS301)。ここで、ステップS301に係る目標エンジントルクTetgは、先のFF項算出用の目標エンジントルクTetg_ffと若干異なり、エンジン要求出力Pneと目標機関回転速度Netgから算出される。即ち、動作線とは無関係に、エンジン要求出力Pneに対応する等出力線上で目標機関回転速度Netgに相当するエンジントルクTeの値が、目標エンジントルクTetgとして算出される。本実施形態に係る仮定の下では、目標エンジントルクTetgは、動作点M5(エンジン200の採り得ない動作点である)に相当するTe3となる。
目標エンジントルクTetgが算出されると、ECU100は、この目標エンジントルクTetgと目標機関回転速度Netgとから目標スロットル開度thrtgを算出する(ステップS302)。尚、目標スロットル開度thrtgは、予め目標エンジントルクTetgと目標機関回転速度Netgとに対応付けられる形でマップ化されており、ROMに格納されている。
目標スロットル開度thrtgが算出されると、ECU100は、再びフラグFG_WOTが「0」であるか否かを判別し(ステップS303)、フラグFG_WOTが「1」である、即ち動作線切り替え要求が未だ継続して生じている場合には(ステップS303:NO)、第1開度算出処理を終了すると共に、動作線切り替え要求が無くなった場合には(ステップS303:YES)、スロットル上限ガードにより、ステップS302において算出された目標スロットル開度thrtgを補正する(ステップS304)。
ここで、スロットル上限ガードとは、エンジン200の動作点を最適燃費線上に維持するために必要となるスロットル開度thrの補正処理を指す。即ち、ステップS302において算出される目標スロットル開度thrtgは、あくまで動作線とは無関係に、エンジン要求出力Pneと目標機関回転速度Netgにより決定される。このため、元々スロットル開度thrを制限することにより最適燃費線上に動作点を維持している状況においては、動作点を動作線を最適燃費線に維持するためのスロットル開度よりも大きくなる傾向があり、何らの制限も与えない場合、エンジン200の動作点は、最適燃費線から逸脱してしまうのである。このため、ステップS304では、動作点が最適燃費線から逸脱しないようにスロットル開度thrが減少側に補正されるのである。スロットル上限ガードが実行されると、第1開度算出処理は終了する。
図8に戻り、要求駆動力変化率DFtが基準値DFt1未満である場合(ステップS102:YES)、ECU100は、第2FF項算出処理を実行する(ステップS400)。ここで、図11を参照し、第2FF項算出処理の詳細について説明する。ここに、図11は、第2FF項算出処理のフローチャートである。尚、第2FF項算出処理は、MG1トルク指令値のFF項を設定する処理である。尚、同図において、図9と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図11において、最大トルク線と目標機関回転速度Netg_ffとからFF項算出用の目標エンジントルクTetg_ffを算出すると(ステップS203)、ECU100は、算出されたFF項算出用の目標エンジントルクTetg_ffと、その前回値との差分を算出すると共に、その差分が基準値Aよりも大きいか否かを判別する(ステップS401)。ここで、基準値Aは、下記(1)式に従って算出される可変値である。
A=要求駆動トルクの変化量×駆動軸回転速度/目標機関回転速度+β・・・(1)
上記(1)式において、要求駆動トルクとは、駆動軸トルクToutの要求値であり、先述した要求駆動力Ftに対応する駆動軸トルクとして算出される。また、駆動軸回転速度とは、駆動軸302の回転速度であり、車速Vと一義な関係を有する。尚、βは、予め実験的な適合を経て決定される固定値である。従って、基準値Aは、駆動軸回転速度を等しくして比較すれば、要求駆動トルクの変化量(即ち、要求駆動力変化率DFtに相関する)が大きい程大きくなる。即ち、基準値Aの大小は、ドライバの要求加速度の大小に夫々対応している。
ステップS401において、上記差分が基準値A以下である場合(ステップS401:NO)、ECU100は、処理をステップS204に移行させ、第1FF項算出処理と同等の処理を実行する一方、上記差分が基準値Aよりも大きい場合(ステップS401:YES)、ECU100は、FF項算出用の目標エンジントルクTetg_ffの最新値Tetg_ff(i)を、前回値Tetg_ff(i−1)に基準値Aを加えた値に制限する(ステップS402)。
第2FF項算出処理では、このようにFF項算出用の目標エンジントルクTetg_ffの変化に係るステップ幅が基準値Aを超える場合には、当該ステップ幅が基準値Aに制限される。即ち、基準値Aは、本発明に係る「第2レート」の一例であり、ステップS402に係る処理は、本発明に係る「第2レート処理」の一例である(尚、これ以降、ステップS402に係る処理を適宜「第2レート処理」と称することとする)。尚、基準値Aは、本発明に係る「第2レート」の一例に過ぎず、本発明に係る第2レートは、例えば、係るステップ幅そのものを規定する値であってもよいし、FF項算出用の目標エンジントルクTetg_ffの変化率であってもよい。
第2レート処理によりFF項算出用の目標エンジントルクTetg_ffが制限されると、処理はステップS204に移行される。ここで、このようにFF項算出用の目標エンジントルクTetg_ffが制限された場合、ステップS204において算出されるエンジントルク推定値Tedtもまた、この第2レート処理の影響を受けて制限される。その結果、ステップS205において、このエンジントルク推定値Tedtに基づいて算出されるMG1トルク指令値のFF項もまた小さくなる(結果的にFF項が小さくなるため、ステップS402に係る処理が、本発明に係る「FF項の変化を抑制する第2レート処理」の一例となり得る、とも言える)。ステップS205が終了すると、第2FF項算出処理は終了する。
図8に戻り、第2FF項算出処理が終了すると、ECU100は、第2開度算出処理を実行する(ステップS500)。ここで、図12を参照し、第2開度算出処理の詳細について説明する。ここに、図12は、第2開度算出処理のフローチャートである。尚、第2開度算出処理は、エンジン200のスロットル開度thrを設定する処理である。尚、同図において、図10及び図11と重複する箇所には、同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図12において、動作線切り替え要求が未だ継続して生じている場合(ステップS303:NO)、ECU100は、第2FF項算出処理のステップS401と同様に、算出された目標エンジントルクTetgとその前回値との差分を算出し、係る算出された差分が基準値Aよりも大きいか否かを判別する(ステップS501)。算出された目標エンジントルクTetgの差分が基準値A以下であれば(ステップS501:NO)、第2開度算出処理は終了され、当該差分が基準値Aよりも大きい場合(ステップS501:YES)には、目標エンジントルクTetgが、前回値に基準値Aを加算した値に制限される(ステップS502)。
ECU100は、目標エンジントルクTetgが基準値Aにより制限されると、この制限された目標エンジントルクTetgに基づいて目標スロットル開度thrtgを算出する(ステップS503)。目標スロットル開度thrtgが算出されると、第2開度算出処理は終了する。
第2開度算出処理では、このように目標エンジントルクTetgの変化に係るステップ幅が基準値Aを超える場合には、当該ステップ幅が基準値Aに制限される。即ち、基準値Aは、本発明に係る「第1レート」の一例であり、ステップS502に係る処理は、本発明に係る「第1レート処理」の一例である(尚、これ以降、ステップS502に係る処理を適宜「第1レート処理」と称することとする)。尚、基準値Aは、本発明に係る「第1レート」の一例に過ぎず、本発明に係る第1レートは、例えば、係るステップ幅そのものを規定する値であってもよいし、目標エンジントルクTetgの変化率であってもよい。また、本実施形態では、基準値Aが、本発明に係る「第1レート」の一例としても、また「第2レート」の一例としても機能しており、同一の基準値に基づいて目標スロットル開度thrtg及びMG1トルク指令値のFF項が算出されることによって、エンジントルクTeの変化と、モータジェネレータMG1の出力トルクであるMG1トルクTmg1の変化との同期が図られる構成となっているが、両者は全く一致している必要は必ずしもない。
一方、ステップS304において、目標スロットル開度thrtgに対し最適燃費線上で動作点を維持するためのスロットル上限ガードが施されると、ECU100は更に、このスロットル上限ガードがなされた目標スロットル開度thrtgと目標機関回転速度Netgとに基づいて、目標エンジントルクTetgを再度算出する(ステップS504)。ステップS504に係る処理は、次回以降のステップS501における、目標エンジントルクTetgの前回値の精度を維持するための処理である。目標エンジントルクTetgが再度算出されると、第2開度算出処理は終了する。
図8に戻り、第1開度算出処理又は第2開度算出処理が実行されると、ECU100は、処理をステップS101に戻し、一連の処理を繰り返す、切り替え条件設定処理はこのようにして実行される。尚、係る切り替え条件設定処理は、高トルク側の動作線(ここでは、最大トルク線)への動作線の切り替え要求が生じている限り繰り返し実行される。また、既に述べたように、この切り替え条件設定処理において設定された目標スロットル開度thrtg及びMG1トルク指令値のFF項は、別途実行されるスロットルバルブ205の駆動制御、インジェクタを介した燃料噴射制御及びモータジェネレータMG1の駆動制御に適宜利用され、動作線の切り替えが遂行される。
ここで、図13及び図14を参照し、切り替え条件設定処理の効果について説明する。ここに、図13は、本実施形態に対する比較例に相当し、切り替え条件設定処理、特に先述の第1レート処理及び第2レート処理が適用されない場合における、ハイブリッド駆動装置1000の各部の状態の時間推移を表すタイミングチャートである。また、図14は、切り替え条件設定処理が適用される場合における同タイミングチャートである。尚、図14において、図13と重複する箇所には、同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図13において、上段から順に、フラグFG_WOTの設定状態(即ち、動作線切り替え要求の有無)、アクセル開度Ta、駆動軸出力Pout、MG1トルクTmg1、スロットル開度thr、モータジェネレータMG2の出力トルクであるMG2トルクTmg2及び駆動トルクToutの時間推移が示される。図示するように、ドライバがアクセルペダルを踏み増していく過程における図示時刻T0において、図示駆動軸要求出力Pn(実線参照)が、目標機関回転速度Netgの制限に影響を受ける図示供給可能出力Pmax(即ち、エンジン出力PeとモータジェネレータMG2からの出力Pmg2との和に相当する。破線参照)を上回ると、動作線切り替え要求が発生する。
ここで、比較例では、目標エンジントルクTetgに対する何らの措置も講じられないために、その時点の目標エンジントルクTetg(上述した例で言えば、最大トルク以上のトルク値である)と、前回値(例えば、最適燃費線上のトルク値である)との偏差が過大であるとしても、目標エンジントルクTetgが何ら制限されることなくステップ変化し、この目標エンジントルクTetgに応じた目標スロットル開度thrtgが設定される。このため、目標スロットル開度thrtgに応じて変化するスロットル開度thrもまた、急峻な変化を示す。
一方、MG1トルク指令値のFF項は、FF項設定用の目標エンジントルクTetg_ffに基づいて(厳密には、FF項設定用の目標エンジントルクTetg_ffから算出されるエンジントルク推定値に基づいて)設定される。このFF項設定用の目標エンジントルクTetg_ffは、対象となる動作線上のトルクとして設定されるから、動作線の切り替え要求が生じた時刻T0を境として、最大トルク線と最適燃費線とのトルク差に応じて急変化する。このため、MG1トルク指令値のFF項もまた、時刻T0を境に急変化することとなる(図示鎖線参照)。このようなFF項の急変化に伴い、MG1トルクTmg1も時刻T0を境に急変化する。他方、このようにスロットル開度thrの急変に伴うエンジントルクTeの急変及びMG1トルク指令値のFF項の急変が生じると、エンジン200の機関回転速度Neを目標機関回転速度Netgに収束させるためのMG1トルク指令値に係るFB項の追従性が低下して、MG1トルクTmg1全体の収束が遅れ、図示破線領域B1に例示するが如く過渡的に大きな変動が生じる。
ここで、この種の動作線の切り替え要求時には、モータジェネレータMG2は、バッテリ12から供給される、バッテリ12のWout(放電制限値)に相当する放電電力と、モータジェネレータMG1の発電電力とにより駆動されており、言わば最大出力状態にある。このため、MG1トルクTmg1の収束が遅れ、モータジェネレータMG1の発電量が変動すると、MG2トルクTmg2も変動することとなる(図示上限ガード(二点鎖線)参照。尚、ここで言う上限ガードとは、その時点の最大出力と最大トルクとのうちより小さい方の値に律束される制限値であり、MG1の発電電力の変動に直接影響を受ける)。従って、MG1トルクTmg1の変動が大きい比較例においては、MG2トルクTmg2もまた、図示破線領域B2に例示するように過渡的に大きく変動することとなる。
その結果、駆動軸302に供給される駆動トルクToutは、スロットル開度thrのステップ的な大きな変化に伴うエンジントルクTeの変動と、MG2トルクTmg2の変動との影響を受け、図示破線領域B3に例示するが如く、過渡的に大きく変動してしまうのである。駆動トルクToutの変動は、即ち、車軸たる各ドライブシャフトに供給される駆動力Ftの変動を意味し、ハイブリッド車両10のドライバにトルク段差として知覚されることによりドライバビリティを低下させる要因となる。
一方、本実施形態に係る切り替え条件設定処理が適用される場合、上記の不具合が好適に解消される。即ち、要求駆動力変化率DFtが先述したように基準値DFt1未満である場合、第2FF項算出処理及び第2開度算出処理が実行される。この際、第2FF項算出処理においては、上記第2レート処理において、FF項算出用の目標エンジントルクTetg_ffが、本発明に係る「第2レート」の一例たるステップ幅の上限値(基準値A)により適宜制限され、MG1トルク指令値のFF項の過度に大きな変化が抑制される。また、第2開度算出処理においては、上記第1レート処理において、目標エンジントルクTetgが、本発明に係る「第1レート」の一例たるステップ幅の上限値(基準値A)により適宜制限され、目標スロットル開度thrtgの過度に大きな変化が抑制される。
このため、図14を見れば明らかなように、切り替え条件設定処理が適用された場合には、スロットル開度thrが時刻T0を境に急変することはなく、時間的に言わばなまされた形で緩慢に上昇する。このため、エンジントルクTeの変化もまた緩やかになる。
同様に、MG1トルク指令値のFF項もまた、時刻T0を境に急変することがなく比較例に対し緩やかな変化特性となる。また、スロットル開度thrの設定に係る第1レート処理とFF項の設定に係る第2レート処理とが、夫々時間的にも、また制限項たる基準値Aに応じた処理内容からも相互に同期する形で実行されるため、MG1トルク指令値のFB項の影響によりMG1トルクTmg1の収束精度が低下することはなく、MG1トルクTmg1は、図示破線領域C1に例示するように連続的に変化する。
このようにMG1トルクTmg1の変化が連続的であると、MG1の発電電力を消費する形で供給されるMG2トルクTmg2もまた、図示破線領域C2に例示するが如く、時刻T0を境に急変することなく連続的に変化する。その結果、駆動軸302に供給される駆動トルクToutもまた、これら急変が抑制されたスロットル開度thrに伴うエンジントルクTeとMG2トルクTmg2との影響を受け、図示破線領域C3に例示するが如く、連続的に緩やかに上昇する。
このように、本実施形態に係る切り替え条件設定処理によれば、高トルク側の動作線への動作線切り替え要求時において、エンジントルクTeの過度に大きいステップ変化及びMG1トルクTmg1の変動に伴うMG2トルクTmg2の変動が抑制され、駆動トルクToutの変動を抑制し、駆動トルクToutを連続的に変化させることが可能となる。即ち、トルク段差が解消され、ドライバビリティの低下が抑制されるのである。
尚、本実施形態では特に、要求駆動力変化率DFtが算出され、トルク段差に対するドライバの感度が相対的に高い、DFtが基準値Dft1未満である運転領域においてのみ、第1及び第2レート処理がなされる。また更に、各レート処理に際して適用されるレート(ここでは上限値である)たる基準値Aは、要求駆動力変化率DFtの大小にその大小が夫々対応しており、要求駆動力変化率DFtが大きい場合には、FF項算出用の目標エンジントルクTetg_ff及び目標エンジントルクTetgの制限は相対的に緩和される。従って、必然的に目標スロットル開度thrtg及びMG1トルク指令値のFF項の制限も緩和され、トルク段差によるドライバビリティの低下を確実に抑制しつつ、ドライバの要求に適合した駆動トルクが可及的に駆動軸302に供給され得るのである。補足すると、このような措置が講じられることにより、駆動力不足によるドライバビリティの低下も好適に抑制されることとなるため、実践上極めて高い利益が提供される。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う車両の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両の構成を概念的に表してなる概略構成図である。 図1のハイブリッド車両に搭載されるハイブリッド駆動装置の構成を概念的に表してなる概略構成図である。 図2のハイブリッド駆動装置を構成するエンジンの一平面構成を例示する模式図である。 図1のハイブリッド車両に備わるVVTコントローラの、吸気カムシャフトと直交する平面における模式断面図である。 図4のVVTコントローラを駆動する液圧伝達系の模式図である。 図2のハイブリッド駆動装置の各部の動作状態を説明する動作共線図である。 動作点マップの構成を概念的に表してなる模式図である。 ECUにより実行される切り替え条件設定処理のフローチャートである。 図8の制御において適宜実行される第1FF項算出処理のフローチャートである。 図8の制御において適宜実行される第1開度算出処理のフローチャートである。 図8の制御において適宜実行される第2FF項算出処理のフローチャートである。 図8の制御において適宜実行される第2開度算出処理のフローチャートである。 実施形態の比較例に係り、図8の制御が適用されない場合のハイブリッド駆動装置の各部の状態の時間推移を表すタイミングチャートである。 実施形態の効果に係り、図8の制御が適用される場合のハイブリッド駆動装置の各部の状態の時間推移を表すタイミングチャートである。
10…エンジンシステム、100…ECU、200…エンジン、201…シリンダ、216…VVTコントローラ、217…ハウジング、218…ロータ、219…ベーン、220…進角室、221…遅角室、223…ロック孔、225…液圧伝達系、226…液圧制御弁、227…スプリング、228…ソレノイド、300…動力分割機構、1000…ハイブリッド駆動装置、MG1、MG2…モータジェネレータ。

Claims (8)

  1. 吸気絞り弁を有する内燃機関と、少なくともフィードフォワード項を含むトルク指令値に従って駆動される発電機と、前記内燃機関の機関出力軸、前記発電機の出力軸及び車軸に連結された駆動軸に夫々連結されてなる回転要素を含む、相互に差動回転可能な複数の回転要素を備えた動力分配手段とを備え、前記複数の回転要素の差動作用により前記内燃機関の動作線を切り替え可能に構成された車両の制御装置であって、
    低トルク側の動作線から高トルク側の動作線への前記動作線の切り替えがなされるに際して、前記内燃機関のトルクの変化を抑制する所定の第1レート処理を実行する第1実行手段と、
    前記低トルク側の動作線から高トルク側の動作線への動作線の切り替えがなされるに際して、前記第1レート処理に同期した、前記フィードフォワード項の変化を抑制する所定の第2レート処理を実行する第2実行手段と
    を具備することを特徴とする車両の制御装置。
  2. 前記内燃機関は、吸気弁の開弁時期を変化させることが可能な可変動弁手段を備え、
    前記車両の制御装置は、
    前記低トルク側の動作線から高トルク側の動作線への動作線の切り替えがなされるに際して該開弁時期を進角させる進角制御手段を具備する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 前記車両は、前記駆動軸に対しトルクの入出力が可能に構成され且つ所定の蓄電手段から供給される放電電力及び前記発電機から供給される発電電力により駆動可能な電動機を更に備える
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の制御装置。
  4. 前記トルク指令値は、前記内燃機関の機関回転速度を所定の目標機関回転速度へ収束させるためのフィードバック項を含む
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
  5. 前記車両において、
    前記動作線は、前記内燃機関の燃料消費率が相対的に低く且つ前記内燃機関のトルクが相対的に低い前記低トルク側の動作線たる第1動作線と、前記燃料消費率が相対的に高く且つ前記内燃機関のトルクが相対的に高い前記高トルク側の動作線たる第2動作線とを含み、
    前記低トルク側から高トルク側への動作線の切り替えは、前記第1動作線において、前記内燃機関の動作点を前記内燃機関の要求出力に対応する要求動作点へ移行するために必要となる前記内燃機関の機関回転速度の変化量が上限値以上となる場合になされる
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
  6. 前記駆動軸に供給すべき要求駆動トルクを特定する特定手段を具備し、
    前記第1及び第2実行手段は、前記特定された要求駆動トルクの変化率が所定値以下である場合に、夫々前記第1レート処理及び前記第2レート処理を実行する
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
  7. 前記内燃機関のトルクの増加量を規定する第1レート及び前記フィードフォワード項の増加量を規定する第2レートを夫々設定する設定手段を具備し、
    前記第1実行手段は、前記第1レート処理において、前記設定された第1レートに基づいて前記吸気絞り弁の開度を制限し、
    前記第2実行手段は、前記第2レート処理において、前記設定された第2レートに基づいて前記フィードフォワード項を制限する
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
  8. 前記設定手段は、前記特定された要求駆動トルクの変化率に応じて前記第1及び第2レートを設定する
    ことを特徴とする請求項7に記載の車両の制御装置。
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