JP2010158770A - ブラストメディア及びブラスト方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被処理対象物に対し、過度の損傷や機能劣化を生ずることなく微細加工が可能であり、かつ被処理対象物に残留した場合でも容易に除去可能とする。
【解決手段】基板1に、ブラストメディアを噴射し、バイアホール7内部または周縁部に付着したスミア9を除去する。ブラストメディアは、平均粒子径が20μm以下で、粒子径50μm以上の粒子が5質量%以下であり、水溶性無機塩を90質量%以上含む。
【選択図】図1
【解決手段】基板1に、ブラストメディアを噴射し、バイアホール7内部または周縁部に付着したスミア9を除去する。ブラストメディアは、平均粒子径が20μm以下で、粒子径50μm以上の粒子が5質量%以下であり、水溶性無機塩を90質量%以上含む。
【選択図】図1
Description
本発明はブラストメディア及びブラスト方法に係わり、特に被処理対象物に対し、過度の損傷や機能劣化を生ずることなく微細加工が可能であり、かつ被処理対象物に残留した場合でも容易に除去可能なブラストメディア及びブラスト方法に関する。
近年、電子技術の進歩に伴い、コンピューター等の電子機器に対する高密度化や演算機能の高速度化が進められているが、多層配線基板においても例外ではなく、高密度配線や高密度実装が可能な多層配線基板が盛んに開発されている。
この多層配線基板の形成方法としては、上層配線パターンと下層配線パターンとを電気的に接続するためのバイアホールを設けるビルドアップ法による製造方法が知られている。
このビルドアップ法による多層配線基板の製造方法においては、バイアホールの形成に時間を要し、作業の効率が悪いことから、樹脂組成物で形成した層間絶縁層を炭酸ガスレーザー光やエキシマレーザー光等の高出力レーザー光を選択的に照射し、層間絶縁層の任意の箇所をレーザー光で熱分解、揮散、消失させてバイアホールを形成するシステムが提案されている。
図1に、このシステムによりレーザー光を用いて、層間絶縁層にバイアホールを形成した多層配線基板の様子を図示する。図1において、基板1上に、1〜200μm程度の配線パターン3を形成する。そして、この上に層間絶縁層5を形成し、その後、層間絶縁層5の任意の箇所をレーザー光により熱分解等処理し、バイアホール7を形成する。
かかるシステムの導入により、バイアホール7の形成は比較的短時間で終了する。このため、作業効率が大幅に向上したが、その反面、熱分解、揮散により消失した層間絶縁層5の一部が、バイアホール7内、又はバイアホール7周縁部に再付着または堆積してスミア9を形成する。このスミア9は、次工程であるメッキ処理時に、下層配線パターンとの導通不良を起したり、あるいは層間絶縁層5の膜厚を変化させるなどの欠点を有していた。
この欠点を解決するため、バイアホール7が形成された基板1をスミア除去液に浸漬する方法が提案されたが、従来のスミア除去液ではスミア9の完全な除去が困難である上に、層間絶縁層5を変質させるなどの問題を有していた。
更に、高出力レーザー光をガラスなどの無機繊維を含有するエポキシ樹脂組成物で形成した層間絶縁層5に照射すると、樹脂部分のみが除去され無機繊維がバイアホール7内に表出し、導電層の形成を困難にした。また、この表出した繊維の除去にスミア除去液を使用しても取り除くことが困難で、良好な導電層の形成が極めて困難であった。
一方、ブラスト材を用いたスミア処理に関しても知られている。この場合は、スミア除去液を使用する場合とは異なり、スミア9や表出無機繊維をきれいに取り除き、形状に優れたバイアホール7の形成に極めて有効である。
しかしながら、特に100μm以下のバイアホール7をブラスト法で処理する場合、従来からブラスト材として一般的に使用されているガラスビーズ、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、酸化ジルコニウム等においては、バイアホール7内にブラスト材が互いに挟まりあってバイアホール7の穴を塞ぎ、以降の洗浄工程を経ても完全に除去することが出来ずに、良好な導電層の形成に支障をきたすおそれがあった。
本発明はこのような従来の課題に鑑みてなされたもので、被処理対象物に対し、過度の損傷や機能劣化を生ずることなく微細加工が可能であり、かつ被処理対象物に残留した場合でも容易に除去可能な水溶性ブラストメディア及びブラスト方法を提供することを目的とする。
このため本発明(請求項1)は、被処理対象物に対し、過度の損傷や機能劣化を生ずることなく微細加工が可能であり、かつ被処理対象物に残留した場合でも容易に除去可能な水溶性ブラストメディアであって、平均粒子径が10μm未満で、かつ粒子径50μm以上の粒子の含有量が5質量%以下であり、水溶性無機塩を90質量%以上含み、前記被処理対象物が100μm以下のバイアホールの形成された基板であることを特徴とする。
平均粒子径については、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を使用して測定した体積基準での平均粒子径の数値をいうものとする。以下、単に平均粒子径というときは、この方法で測定した値をいうものとする。また、%表記に関し、例えば44μm以上の粒子の含有量がx%といった場合には、50gの試料を目開き44μmの金網を張った篩に入れて、これをロータップ振とう篩で10分間篩分けたときの篩上品の質量割合(x%)を意味する。
例えば、多層配線基板のバイアホール形成後のスミア除去処理をブラスト法で実施する場合、これに使用するブラストメディアとしては、スミア及び表出無機繊維をきれいに除去でき、かつブラストメディア自体がバイアホール内に残留しないことが必要である。
本発明のブラストメディアはその平均粒子径が10μm未満で、かつ粒子径50μm以上の粒子の含有量が5質量%(以下、単に%という)以下であり、特に100μm以下のバイアホールのスミア処理に適した大きさである。
また、本発明のブラストメディアは水溶性の無機塩を90%以上含むため、バイアホール中に複数の粒子が入り込んでこれを閉塞させるような場合でも、水洗によりきれいに除去することが可能である。
このため、バイアホールのスミア処理の如き微細加工に極めて有効である。形状に優れたバイアホールが形成されるため、層間絶縁層とめっき導電層との密着性を良好にし、信頼性の高い多層配線基板の製造が可能である。
なお、本発明のブラストメディアは、同様な微細加工分野であるプラズマディスプレイにおける隔壁形成のようなパターン形成作業や、樹脂封止型半導体装置における樹脂バリの除去作業等にも極めて有効である。
即ち、本発明(請求項2)は、被処理対象物に対し、過度の損傷や機能劣化を生ずることなく微細加工が可能であり、かつ被処理対象物に残留した場合でも容易に除去可能な水溶性ブラストメディアであって、平均粒子径が10μm未満で、かつ粒子径50μm以上の粒子の含有量が5質量%以下であり、水溶性無機塩を90質量%以上含み、前記被処理対象がプラズマディスプレイパネル製造方法における隔壁形成時の隔壁材料層の除去であることを特徴とする。
また、本発明(請求項3)は、被処理対象物に対し、過度の損傷や機能劣化を生ずることなく微細加工が可能であり、かつ被処理対象物に残留した場合でも容易に除去可能な水溶性ブラストメディアであって、平均粒子径が10μm未満で、かつ粒子径50μm以上の粒子の含有量が5質量%以下であり、水溶性無機塩を90質量%以上含み、前記被処理対象が樹脂封止型半導体装置製造方法における樹脂封止時に生成する樹脂バリの除去であることを特徴とする。
更に、本発明(請求項4)は、被処理対象物に対し、過度の損傷や機能劣化を生ずることなく微細加工が可能であり、かつ被処理対象物に残留した場合でも容易に除去可能な水溶性ブラストメディアであって、平均粒子径が10μm未満で、かつ粒子径50μm以上の粒子の含有量が5質量%以下であり、水溶性無機塩を90質量%以上含み、前記被処理対象が銅やアルミニウムなどの軟質金属材料表面の目荒らしであることを特徴とする。
即ち、本発明(請求項2)は、被処理対象物に対し、過度の損傷や機能劣化を生ずることなく微細加工が可能であり、かつ被処理対象物に残留した場合でも容易に除去可能な水溶性ブラストメディアであって、平均粒子径が10μm未満で、かつ粒子径50μm以上の粒子の含有量が5質量%以下であり、水溶性無機塩を90質量%以上含み、前記被処理対象がプラズマディスプレイパネル製造方法における隔壁形成時の隔壁材料層の除去であることを特徴とする。
また、本発明(請求項3)は、被処理対象物に対し、過度の損傷や機能劣化を生ずることなく微細加工が可能であり、かつ被処理対象物に残留した場合でも容易に除去可能な水溶性ブラストメディアであって、平均粒子径が10μm未満で、かつ粒子径50μm以上の粒子の含有量が5質量%以下であり、水溶性無機塩を90質量%以上含み、前記被処理対象が樹脂封止型半導体装置製造方法における樹脂封止時に生成する樹脂バリの除去であることを特徴とする。
更に、本発明(請求項4)は、被処理対象物に対し、過度の損傷や機能劣化を生ずることなく微細加工が可能であり、かつ被処理対象物に残留した場合でも容易に除去可能な水溶性ブラストメディアであって、平均粒子径が10μm未満で、かつ粒子径50μm以上の粒子の含有量が5質量%以下であり、水溶性無機塩を90質量%以上含み、前記被処理対象が銅やアルミニウムなどの軟質金属材料表面の目荒らしであることを特徴とする。
このように、本発明のブラストメディアは、微細加工分野において、作業効率に優れ、かつ被処理対象物に残留した場合でも容易に除去することが可能である。
また、本発明(請求項5)は、前記無機塩は炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸水素カリウムであることを特徴とする。
炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸水素カリウム(以下、炭酸水素ナトリウム等という)は、ブラスト処理に適し、かつ適度の硬度を有するため、過度に基板等に損傷を与える可能性が小さい。ここで炭酸水素ナトリウムは吸湿性が無く取り扱いやすいが、ナトリウムの残留を特に嫌う場合は炭酸水素カリウムの使用がより好適である。
本発明(請求項6)は、平均粒子径が20μm以下の固結防止剤が含有されることを特徴とする。
本発明のブラストメディアは、粒径の小さい炭酸水素ナトリウム等を用いるため、長期間保存しておいたときに固結する可能性がある。このため、固結防止剤を配合することが好ましい。
以上により、ブラストメディアは固結することが無くなり、ブラストの作業効率を向上させることが出来る。
以上により、ブラストメディアは固結することが無くなり、ブラストの作業効率を向上させることが出来る。
更に、本発明(請求項7)は、前記固結防止剤がシリカであることを特徴とする。
シリカは、例えばヒュームドシリカ、ホワイトカーボン等である。
更に、本発明(請求項8)は、前記固結防止剤が親水性シリカであることを特徴とする。
ブラストメディアの除去や、除去された廃棄物の処理にあたっては固結防止剤が親水性であると操作がより容易である。
シリカは、例えばヒュームドシリカ、ホワイトカーボン等である。
更に、本発明(請求項8)は、前記固結防止剤が親水性シリカであることを特徴とする。
ブラストメディアの除去や、除去された廃棄物の処理にあたっては固結防止剤が親水性であると操作がより容易である。
更に、本発明(請求項9)は、ブラスト方法の発明であり、請求項1〜8のいずれか1項に記載のブラストメディアを、流体を噴射媒体として被処理対象物に対し吹き付けることを特徴とする。
ここに、流体はガスや液体等をいう。
ここに、流体はガスや液体等をいう。
以上説明したように本発明のブラストメディアによれば、微細加工分野において、作業効率に優れ、かつ被処理対象物に残留した場合でも容易に除去することが可能である。
また、ブラストメディアに炭酸水素ナトリウム等を用いた場合は、ブラスト処理に適し、過度に基板等に損傷を与える可能性が小さい。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態であるブラストメディアは、例えば図1の多層配線基板に形成されたバイアホール7に対するブラスト処理に使用される。
図1において、スミア9が形成された基板1の前面に、本発明のブラストメディアを空気や窒素ガスを媒体として噴射して、バイアホール7内部またはその周縁部に付着または堆積したスミア9を除去する。ブラストメディアの粒度については、平均粒子径が20μm以下で、かつ粒子径50μm以上の粒子が5%以下であるものを使用する。
平均粒子径が20μmを超える場合及び/又は粒子径50μm以上の粒子が5%を超える場合、特に150μm以下の大きさのバイアホール7のスミア除去処理において、メディアを吹き付けた時に複数のメディア粒子が互いに挟まりバイアホール7を塞ぎスミア処理の効率が悪化する。
ここに、ブラストメディアの最大粒子径は篩を使用して粒子を篩分け、大粒子を除去することにより一定値に制限される。例えば最大粒子径44μmという場合は、目開き44μmの金網を張った振動篩で分級した時の篩下品であることを意味する。
更に、バイアホール7の孔径が微細化されるときは、ブラストメディアの粒度としては粒子径30μm以上の粒子が5%以下であることが好ましい。
更に、バイアホール7の孔径が微細化されるときは、ブラストメディアの粒度としては粒子径30μm以上の粒子が5%以下であることが好ましい。
本発明のブラストメディアの主成分としては、水溶性の無機塩であれば特に限定されるものではないが、ブラスト処理に適し、かつ過度に基板1自体に損傷を与える可能性が小さい、適度の硬度を有する炭酸水素ナトリウム等が特に好ましい。
本発明のブラストメディアは、炭酸水素ナトリウム等を、平均粒子径が20μm以下で、かつ粒子径50μm以上の粒子が5%以下となるように、望ましくは30μm以上の粒子が5%以下になるように粉砕して製造することができる。粉砕法としては、乾式粉砕または湿式粉砕のいずれも好適に採用できる。
乾式粉砕の場合、衝撃式粉砕機、ジェットミル(衝突気流による粉砕機)、ボールミルなどを用いるのが好ましい。風力式分級機を備えた衝撃式粉砕機を用い、粉砕機から排出される粒子を分級して粗粒子は再度粉砕機に戻しながら、炭酸水素ナトリウム等を粉砕する場合は、高い収率で目的の粒径の炭酸水素ナトリウム等を得ることができるのでより好ましい。
また、ジェットミルを用いる場合も、篩い分けによる粗粒子除去なしに、高い収率で目的の粒径の炭酸水素ナトリウム等を得ることができるのでより好ましい。
一方、湿式粉砕の場合、媒体撹拌ミル、ボールミルなどを用いるのが好ましい。特に炭酸水素ナトリウム等を実質的に溶解しない液体中に炭酸水素ナトリウム等を分散したスラリーを、媒体撹拌ミルまたはボールミルで湿式粉砕し、得られた炭酸水素ナトリウム等を分離して乾燥する場合は、平均粒径の小さな炭酸水素ナトリウム等を得ることができるので好ましい。
炭酸水素ナトリウム等を実質的に溶解しない液体は、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ性によって変質せず、粘度が低い液体を使用することが好ましい。このような液体として、メタノール、エタノール、アセトン、2−ペンタノン、C4 F9 OCH3 などを挙げることが出来る。
炭酸水素ナトリウム等を実質的に溶解しない液体は、炭酸水素ナトリウム等の溶解度が3%以下であるものが好ましく、溶解度が1%以下である場合は更に好ましい。
本発明のブラストメディアにおいては、粒径の小さい水溶性無機塩を用いるため、長期間保存しておいたときに固結する可能性がある。この固結は、メディアの輸送配管内での閉塞を誘発するなど、ブラストの作業効率を著しく低減させるおそれがあるので、固結防止剤を添加することが好ましい。
固結防止剤としては、シリカ、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪藻土などが好適である。シリカとしては、例えばヒュームドシリカ、ホワイトカーボン等があるが、なかでもヒュームドシリカと呼ばれる極めて微細な無水ケイ酸が、少量の添加量で効果があるので好ましい。特に、疎水化処理されたヒュームドシリカは、より少量の添加で高い流動性の付与が可能である。
一方、本ブラストメディアの除去や除去された廃棄物の処理にあたって、採用されるプロセスによっては、固結防止剤が親水性である方が操作がより容易である。すなわち水溶性無機塩は水に容易に溶解するため水洗により容易に除去され、水に溶解した場合に水面に浮上せず酸による中和が容易であること、中和時に発泡した泡が消失し易いこと、固結防止剤自体も水に容易に分散するので除去し易いこと等の利点が挙げられる。疎水化処理されたヒュームドシリカが使用された場合には、水に溶解したときに固結防止剤自体や固結防止剤が付着した水溶性無機塩が水に浮上し中和作業が不便となる。また、塩酸等で中和した場合に発泡した泡が消失しづらく、中和設備内で泡が充満し不都合を生ずる。
一方、本ブラストメディアの除去や除去された廃棄物の処理にあたって、採用されるプロセスによっては、固結防止剤が親水性である方が操作がより容易である。すなわち水溶性無機塩は水に容易に溶解するため水洗により容易に除去され、水に溶解した場合に水面に浮上せず酸による中和が容易であること、中和時に発泡した泡が消失し易いこと、固結防止剤自体も水に容易に分散するので除去し易いこと等の利点が挙げられる。疎水化処理されたヒュームドシリカが使用された場合には、水に溶解したときに固結防止剤自体や固結防止剤が付着した水溶性無機塩が水に浮上し中和作業が不便となる。また、塩酸等で中和した場合に発泡した泡が消失しづらく、中和設備内で泡が充満し不都合を生ずる。
固結防止剤の含有量としては、炭酸水素ナトリウム等の粉砕程度や貯蔵状態により最適量は異なるが、固結防止剤を含むブラストメディア全体の0.1%以上10%未満が好ましい。また、固結防止剤の平均粒子径はブラストメディアと同等か又はそれより小さいことが好ましく、20μm以下、特に10μm以下が好適である。
ブラストメディアによりブラストする方法としては、ドライブラスト法、ウェットブラスト法、ウオータージェットブラスト法等がある。噴射媒体として気体を使用するドライブラスト法は、水分を嫌う被処理物を施工する場合やブラストメディアを循環しながら使用する場合は好ましい。
ドライブラスト法に用いる噴射媒体は特に限定されるものではないが、汎用的な空気、窒素などを使用することが好ましい。
また、ドライブラスト法又はウェットブラスト法における噴射媒体の噴射圧力としては、本来圧力を上げた方がスミア処理速度が早くなり加工時間も短くなるが、過度に上げ過ぎると摩擦熱の発生や衝撃力により基板への損傷が生じやすいので、噴射圧力としては0.05〜0.5MPaが好ましい。
ドライブラスト法に用いる噴射媒体は特に限定されるものではないが、汎用的な空気、窒素などを使用することが好ましい。
また、ドライブラスト法又はウェットブラスト法における噴射媒体の噴射圧力としては、本来圧力を上げた方がスミア処理速度が早くなり加工時間も短くなるが、過度に上げ過ぎると摩擦熱の発生や衝撃力により基板への損傷が生じやすいので、噴射圧力としては0.05〜0.5MPaが好ましい。
また、ウオータージェットブラスト法においても本発明のブラストメディアは好適に使用され、本発明のブラストメディアを用いることにより極めて高い施工効率が得られる。この場合は、溶媒自身炭酸水素ナトリウム等を実質的に溶解しない溶媒を採用したり、水を使用する場合にはエタノール等のアルコールを混合して炭酸水素ナトリウム等の溶解度を落としたり、炭酸水素ナトリウム等の飽和溶液を使用したりするとブラストメディアの溶媒への溶解を防止することができ、ブラストの効果を高く維持できる。しかしながら、溶媒が水単独でも作業時間は延長するが、施工は十分可能である。また、C4 F9 OCH3 を使用する場合は、不燃であり取り扱いが容易である。ブラストメディアの洗浄除去は水洗か酸洗浄が好適に使用される。ウオータージェットブラスト法における噴射圧力は1〜10MPaが好ましい。
本発明のブラストメディアを用いた多層配線基板のバイアホール7形成時に生成するスミア処理のためのブラスト方法としては、以下のような方法が好ましい。すなわち、ブラスト室に搬送された基板1は、ノズルから噴射される本発明のブラストメディアにより、バイアホール7のスミア9や表出無機繊維を切削するようにして除去される。
噴射されたブラストメディアは、除去されたスミア9や表出無機繊維とともに、吸引ファンによりブラスト室から吸気され、サイクロンで分級される。サイクロンで捕集される再使用可能なブラストメディアは回収され、ブラストメディア供給ラインに循環し再利用される。
一方、サイクロンで捕集できなかった、砕けて再利用できないブラストメディア、除去されたスミア9及び表出無機繊維は、さらにバグフィルター等の集塵機に捕集され系外に排出される。ブラスト処理された基板1はエアブローにより表面に付着した異物を除去した後、更にシャワー洗浄あるいは超音波洗浄などの方法によりバイアホール7中に残留する異物を洗浄除去して、次のメッキ処理工程へ送られる。
以上のように、本発明のブラストメディアを用いたブラスト方法は、バイアホール7のスミア9や表出無機繊維の除去にも極めて有効である。
また、本発明のブラストメディアを用いたブラスト方法は、層間絶縁層5の表面やバイアホール7側壁部の表面を適度に粗面化することが可能で、めっき処理時に接着強度を高くすることができ、密着性に優れた導電層を形成することが可能である。
また、本発明のブラストメディアを用いたブラスト方法は、層間絶縁層5の表面やバイアホール7側壁部の表面を適度に粗面化することが可能で、めっき処理時に接着強度を高くすることができ、密着性に優れた導電層を形成することが可能である。
更に、本発明のブラストメディアを用いたブラスト方法は、バイアホール7の形成に限らず、例えば溝状の形状をなすものやスルーホール(貫通孔)など複数層の配線パターンを互いに電気的に接続するための導通部の形成においても有効である。
なお、本発明のブラストメディア及びそれを用いたブラスト方法の用途としては、上述の多層配線基板製造時のバイアホール7形成後のスミア処理に限定されるものではなく、プラズマディスプレイパネル製造方法における隔壁形成時の隔壁材料層の除去のようなパターン形成作業、及び樹脂封止型半導体装置製造方法における樹脂封止時に生成する樹脂バリの除去作業等、他の用途においても好適に使用される。更には、銅やアルミニウムなどの軟質金属材料表面の目荒らしにも有効に適用できる。
図2に、プラズマディスプレイパネル製造時における隔壁形成の様子を示す。図2において、ガラス等の絶縁性基板11上に蒸着法によりアドレス電極13を形成する。そして、更にその上に誘電体層15、及び隔壁材料層17を形成し、更に隔壁材料層17上部にマスク19を配設する。
その後、本発明のブラストメディアを用いてブラスト処理すれば、図3に示すように、極めて効率良くマスキング処理を施した箇所以外の隔壁材料層17を除去し、隔壁21を生成させることが可能である。
また、樹脂封止型半導体装置製造方法における樹脂封止時に生成する樹脂バリの除去作業についても、同様に本発明のブラストメディアが適用可能である。例えば、リードフレームに取り付けた半導体チップを保護するために、半導体チップはモールド樹脂でパッケージされている。
そして、このモールド樹脂パッケージは、半導体チップを取り付けたリードフレームを金型の所定の形状に形成されたキャビティ内に配置し、モールド樹脂を注入して半導体チップを樹脂内に埋設して形成される。
この際、モールド樹脂が透明のエポキシ樹脂等であると、エポキシ樹脂にはフィラーが混合されていないので、モールド金型を構成する固定金型と可動金型とのパーティング部の隙間にエポキシ樹脂が侵入して、モールド樹脂パッケージの周囲に樹脂バリが形成される。
この樹脂バリは、モールド成型以降の製造工程に種々の悪影響を及ぼすので除去することが必要であるが、本発明のブラストメディアを用いてブラスト処理すれば、樹脂バリを極めて効率良くかつ完全に除去することが可能である。
また、アルミニウムやマグネシウム等を素材とする金属の研磨やバリ取りにおいては、アルミニウムやマグネシウム等の粉体が可燃性であるが、炭酸水素ナトリウム等自体には、消火性があるので、他のメディア材料と比較して、これをブラストメディアとして使用することは安全性の面でより好ましい。特に、マグネシウム材料のブラストの場合は、ウォータージェットブラスト法によるブラストがマグネシウム金属粉末の発火を防止するために特に好ましい。
多層配線基板の製造時のスミア処理について、以下に各実施例を説明する。本実施例の例1、3では、ブラストメディアとして炭酸水素ナトリウムを例示したが、炭酸水素カリウムでも同様に実施できる。
(例1)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂を主成分とする層間絶縁組成物を、100メッシュ/インチのポリエステル製スクリーンを用いて、予め銅配線パターンが形成された、厚さ1mmのガラス布−エポキシ樹脂積層基板1上に、乾燥後の膜厚が50μmとなるようにスクリーン印刷して塗膜を形成した。
(例1)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂を主成分とする層間絶縁組成物を、100メッシュ/インチのポリエステル製スクリーンを用いて、予め銅配線パターンが形成された、厚さ1mmのガラス布−エポキシ樹脂積層基板1上に、乾燥後の膜厚が50μmとなるようにスクリーン印刷して塗膜を形成した。
この塗膜を150℃で40分間加熱硬化させ、層間絶縁層5を形成した。そして、この層間絶縁層5に短パルス炭酸ガスレーザー光を用いて、孔径70μmのバイアホール7を配設した。
次に、粒径95μmの炭酸水素ナトリウムを乾式粉砕したものを98%、固結防止剤として親水性のヒュームドシリカ(( 株) トクヤマ製、レオロシールQS−102)を2.0%を含有する粉末(平均粒子径8.0μmで、かつ最大粒子径20μm)をブラストメディアとして、空気を噴射媒体としてブラスト圧0.3MPaでバイアホール7に対し20秒間ブラスト処理を実施した。その後、バイアホール7を純水にて水洗し乾燥した。
処理後バイアホール7を観察したところ、ホール周辺部、及びホール内のスミア9はきれいに取り除かれ、極めて良好な結果が得られた。また、ブラストメディアの残留も認められなかった。周辺に付着したブラストメディアも水洗により、除去できていた。さらに施工後のブラストメディアは洗浄水に溶解しており、PHも9未満であったために、研磨屑をろ過で分離除去した後に排水できた。
(例2)
ブラストメディアとして平均粒子径8.2μmで、かつ最大粒子径20μmの炭化ケイ素を使用し、空気を噴射媒体としてブラスト圧0.3MPaで20秒間ブラスト処理を行なったこと以外は、例1と全く同様に処理を行った。
ブラストメディアとして平均粒子径8.2μmで、かつ最大粒子径20μmの炭化ケイ素を使用し、空気を噴射媒体としてブラスト圧0.3MPaで20秒間ブラスト処理を行なったこと以外は、例1と全く同様に処理を行った。
そして、バイアホール7を観察したところ、ホール周辺部、及びホール内のスミア9はきれいに取り除かれ、極めて良好な結果が得られた。しかしながら、バイアホール7の一部に、ブラストメディアである炭化ケイ素粒子の残留物の付着が認められた。
(例3)
予め銅配線パターンが形成された、厚さ1mmのガラス繊維−エポキシ樹脂積層板上に、加圧/加熱硬化後の厚さが1.2mmとなるようにガラス繊維/エポキシ樹脂プリプレグを真空圧着した。次いで、0.5MPaの圧力を加えながら200℃で30分間、加圧/加熱硬化した。
予め銅配線パターンが形成された、厚さ1mmのガラス繊維−エポキシ樹脂積層板上に、加圧/加熱硬化後の厚さが1.2mmとなるようにガラス繊維/エポキシ樹脂プリプレグを真空圧着した。次いで、0.5MPaの圧力を加えながら200℃で30分間、加圧/加熱硬化した。
これに短パルス炭酸ガスレーザー光を用いて、孔径100μmのバイアホール7を配設した。このとき、エポキシ樹脂部分は取り除かれていたが、ガラス繊維がバイアホール7内に表出していた。
次いで、例1と同じブラストメディアを使用し、空気を噴射媒体としてブラスト圧0.3MPaで40秒間ブラスト処理を実施した。処理後、バイアホール7を点検したところ、エポキシ樹脂スミアと表出ガラス繊維は取り除かれ、バイアホール7の形状は極めて良好であった。
(例4(比較例))
例3において、孔径100μmのバイアホール7を配設した後、重クロム酸/硫酸/フッ化ナトリウム混液を用いてバイアホール7を処理し、エポキシ樹脂スミアと表出ガラス繊維の除去作業を実施した。このとき、スミア9は除去できたが、表出ガラス繊維を完全に除去することは不可能であった。
例3において、孔径100μmのバイアホール7を配設した後、重クロム酸/硫酸/フッ化ナトリウム混液を用いてバイアホール7を処理し、エポキシ樹脂スミアと表出ガラス繊維の除去作業を実施した。このとき、スミア9は除去できたが、表出ガラス繊維を完全に除去することは不可能であった。
(例5(比較例))
ブラストメディアとして、平均粒子径95μmで、かつ最大粒子径250μmの炭酸水素ナトリウムを使用し、空気を噴射媒体としてブラスト圧0.3MPaで30秒間ブラスト処理を行なったこと以外は、例3と全く同様にバイアホール7の処理を行った。
ブラストメディアとして、平均粒子径95μmで、かつ最大粒子径250μmの炭酸水素ナトリウムを使用し、空気を噴射媒体としてブラスト圧0.3MPaで30秒間ブラスト処理を行なったこと以外は、例3と全く同様にバイアホール7の処理を行った。
そして、バイアホール7を観察したところ、ホール周辺部、及びホール内のエポキシ樹脂スミア及び表出ガラス繊維の残留が認められ、ブラスト処理効果としては不十分であった。
(例6)
例1において、ヒュームドシリカを疎水性のもの((株)トクヤマ製、レオロシールMT−10)とした以外は同様にしてブラスト処理を実施した。
例1において、ヒュームドシリカを疎水性のもの((株)トクヤマ製、レオロシールMT−10)とした以外は同様にしてブラスト処理を実施した。
仕上がりは、例1と同様に良好であった。一方、洗浄水に溶解された施工後のブラストメディアは、一部水に浮上していたため、研磨屑と一緒にろ過で分離除去した後に排水した。
1 基板
3 配線パターン
5 層間絶縁層
7 バイアホール
9 スミア
11 絶縁性基板
13 アドレス電極
15 誘電体層
17 隔壁材料層
19 マスク
21 隔壁
3 配線パターン
5 層間絶縁層
7 バイアホール
9 スミア
11 絶縁性基板
13 アドレス電極
15 誘電体層
17 隔壁材料層
19 マスク
21 隔壁
Claims (9)
- 被処理対象物に対し、過度の損傷や機能劣化を生ずることなく微細加工が可能であり、かつ被処理対象物に残留した場合でも容易に除去可能な水溶性ブラストメディアであって、平均粒子径が10μm未満で、かつ粒子径50μm以上の粒子の含有量が5質量%以下であり、水溶性無機塩を90質量%以上含み、前記被処理対象物が100μm以下のバイアホールの形成された基板であることを特徴とするブラストメディア。
- 被処理対象物に対し、過度の損傷や機能劣化を生ずることなく微細加工が可能であり、かつ被処理対象物に残留した場合でも容易に除去可能な水溶性ブラストメディアであって、平均粒子径が10μm未満で、かつ粒子径50μm以上の粒子の含有量が5質量%以下であり、水溶性無機塩を90質量%以上含み、前記被処理対象がプラズマディスプレイパネル製造方法における隔壁形成時の隔壁材料層の除去であることを特徴とするブラストメディア。
- 被処理対象物に対し、過度の損傷や機能劣化を生ずることなく微細加工が可能であり、かつ被処理対象物に残留した場合でも容易に除去可能な水溶性ブラストメディアであって、平均粒子径が10μm未満で、かつ粒子径50μm以上の粒子の含有量が5質量%以下であり、水溶性無機塩を90質量%以上含み、前記被処理対象が樹脂封止型半導体装置製造方法における樹脂封止時に生成する樹脂バリの除去であることを特徴とするブラストメディア。
- 被処理対象物に対し、過度の損傷や機能劣化を生ずることなく微細加工が可能であり、かつ被処理対象物に残留した場合でも容易に除去可能な水溶性ブラストメディアであって、平均粒子径が10μm未満で、かつ粒子径50μm以上の粒子の含有量が5質量%以下であり、水溶性無機塩を90質量%以上含み、前記被処理対象が銅やアルミニウムなどの軟質金属材料表面の目荒らしであることを特徴とするブラストメディア。
- 前記無機塩は炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸水素カリウムである請求項1〜4のいずれか1項に記載のブラストメディア。
- 平均粒子径が20μm以下の固結防止剤が含有される請求項1〜5のいずれか1項に記載のブラストメディア。
- 前記固結防止剤がシリカである請求項6記載のブラストメディア。
- 前記固結防止剤が親水性シリカである請求項6記載のブラストメディア。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のブラストメディアを、流体を噴射媒体として被処理対象物に対し吹き付けるブラスト方法。
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