JP2010158201A - 光シグナルの検出方法及び核酸増幅方法 - Google Patents

光シグナルの検出方法及び核酸増幅方法 Download PDF

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Abstract

【課題】目的とする液体試料が微量でも基板上の所定箇所に安定して保持でき、該液体試料中の光シグナルを簡便且つ高精度に検出できる光シグナルの検出方法、及び該検出方法を利用して、光シグナルをリアルタイムで検出できる核酸増幅方法の提供。
【解決手段】基板1の表面11に設けられた親水性領域111に液体試料10を保持し、液体試料10よりも比重が小さく、液体試料10とは混和しない被覆液15で、保持された液体試料10を被覆し、基板1に対向させて基板4を配置して、基板1及び4間で液体試料10を挟持し、液体試料10中の光シグナルをリアルタイムに検出する。液体試料10として核酸増幅を行う反応液を挟持して核酸増幅反応を行い、反応液中の増幅核酸に由来する光シグナル、又は増幅核酸を標識する標識物質に由来する光シグナルを検出して、反応液中の核酸増幅量を定量する。
【選択図】図6

Description

本発明は、基板上に保持された液体試料中の光シグナルの検出方法、及び該検出方法を利用する核酸増幅方法に関する。
近年、医学分野において、DNAやRNAの検出を活用した診断が注目を集めている。また、農業分野においても、遺伝子組み換え作物の品種判定に、DNA鑑定が活用されている。このような診断や品種判定は、血液、組織、細胞等のヒト由来の試料や、作物由来の試料中における、標的とするDNA又はRNAの有無、あるいは塩基配列の違い(変異等)を検出することで行われるが、試料中の標的とするDNAやRNAは、微量である場合が多い。そこで、このような診断や品種判定に先立って、試料中に含まれるこれらDNAやRNAを増幅することが必要となる。
これに対して、試料中の標的DNAを特異的に増幅する方法として、各種の核酸増幅反応が提案されている。特にポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction;PCR)法による核酸増幅反応は、バイオテクノロジー分野における基本技術として確立されている。標的がRNAである場合には、逆転写(reverse transcription;RT)を行ってから、PCRを行う方法(RT−PCR法)が適用される。
PCR法では、鋳型DNA、プライマー、基質、耐熱性ポリメラーゼなどを混合して反応液を調製し、その温度を所定の3通り又は2通りに順次設定して、これを15〜40回程度繰り返すことで、目的とするDNAの増幅産物が多量に得られる。
RT−PCR法では、試料中のRNAを高温で変性させた後、逆転写酵素を使用して、恒温でRNAを一旦DNAに逆転写した後、PCR法を適用することで、同様にDNAの増幅産物が多量に得られる。
そして、従来のPCRでは、反応容器としてマイクロチューブを使用し、その中に試料やPCRプライマー等、増幅反応に必要な成分を含む反応液を入れて、このマイクロチューブ内の反応液を所定の温度に設定する方法が採用されてきた。しかし、マイクロチューブを使用するために、反応液として相応の量が必要であり、試料が微量である場合には、上記のような診断や品種判定を行えないという問題点があった。
これに対して、PCRによるDNAの増幅を、基板上で保持した反応液中で行う方法が開示されている(特許文献1〜3参照)。
特許文献1では、表面にくぼみや溝等が設けられたガラス板等を使用し、これらくぼみや溝等が設けられた表面を開放するようになっているPCR槽を使用して、核酸増幅反応を行う方法が開示されている。
特許文献2では、ガラス板からなる第一層とシリコンゴムからなる第二層が積層され、第二層には第一層との接触面側に微細な溝加工が施されて、第一層と第二層との間で空隙部が形成された基板を使用し、その空隙部で核酸増幅を行う方法が開示されている。この方法によれば、前記空隙部の容積が小さいので、反応液量が少なくて済み、ごく少量の試料でも核酸増幅を行うことができる。
特許文献3では、撥水膜をコートした基板上にオイルなどの液体層を形成し、その液体層中にインクジェット技術などで微量液滴(液量40pl程度)を打ち込むことで、微量液滴を基板上で蒸発を抑制しながら保持する技術が開示されている。この方法によれば、微量液滴中の光シグナルを容易に検出でき、さらにPCRなども行うことができる。
特開2003−83965号公報 特開2006−115741号公報 特許第3120453号公報
しかし、特許文献1及び2に記載の方法では、基板に使用するガラスの加工が複雑であるという問題点があった。また、特許文献1及び2に記載の方法では、核酸増幅時に光シグナルをリアルタイムに検出できないという問題点があった。さらに、特許文献1に記載の方法では、核酸増幅時に細胞から核酸を抽出する際に、基板上の所定箇所への細胞の配置及び配置箇所の確認が困難であるという問題点があった。
一方、特許文献3に記載の方法では、微量液滴の打ち込みは手作業では行うことができず、インクジェット技術が必要で操作が煩雑になるという問題点があった。また、予め基板上に細胞を配置して乾燥させたり、鋳型DNAを分注して乾燥させてから、さらに反応に必要な液体を分注する場合には、オイル中に細胞や鋳型DNAが流出してしまう可能性があり、さらに、細胞や鋳型DNAが配置箇所から移動してしまう可能性があるという問題点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、目的とする液体試料が微量でも基板上の所定箇所に安定して保持でき、該液体試料中の光シグナルを簡便且つ高精度に検出できる光シグナルの検出方法、及び該検出方法を利用して、光シグナルをリアルタイムで検出できる核酸増幅方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、
請求項1に記載の発明は、基板上の液体試料中の光シグナルを検出する方法であって、
第一の基板の表面に設けられた親水性領域に液体試料を保持し、前記液体試料よりも比重が小さく、前記液体試料とは混和しない被覆液で、保持された前記液体試料を被覆し、前記第一の基板に対向させて第二の基板を配置して、該第一及び第二の基板間で前記液体試料を挟持し、挟持した前記液体試料中の光シグナルをリアルタイムに検出することを特徴とする光シグナルの検出方法である。
請求項2に記載の発明は、前記第一の基板の表面には、第一親水性領域と、該第一親水性領域周縁部を包囲する第一撥水性領域とが設けられ、前記第一親水性領域に前記液体試料を保持することを特徴とする請求項1に記載の光シグナルの検出方法である。
請求項3に記載の発明は、前記第一の基板の表面には、さらに、前記第一撥水性領域の外側周縁部を包囲する第二親水性領域と、該第二親水性領域の外側周縁部を包囲する第二撥水性領域とが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の光シグナルの検出方法である。
請求項4に記載の発明は、前記第二の基板の表面には、前記第一の基板と同じパターンの親水性領域が設けられ、前記液体試料が、互いに位置合わせされた前記第一及び第二の基板の親水性領域間で挟持されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光シグナルの検出方法である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光シグナルの検出方法を利用する核酸増幅方法であって、前記液体試料として核酸増幅を行う反応液を挟持して核酸増幅反応を行い、前記反応液中の増幅核酸に由来する光シグナル、又は増幅核酸を標識する標識物質に由来する光シグナルを検出して、前記反応液中の核酸増幅量を定量することを特徴とする核酸増幅方法である。
請求項6に記載の発明は、核酸増幅サイクル一回あたりに、一回以上光シグナルを検出することを特徴とする請求項5に記載の核酸増幅方法である。
請求項7に記載の発明は、逆転写反応後に前記核酸増幅反応を行うことを特徴とする請求項5又は6に記載の核酸増幅方法である。
請求項8に記載の発明は、細胞を前記第一の基板の表面に分取し、分取した前記細胞の少なくとも一部が前記親水性領域に位置することを確認し、前記親水性領域において核酸増幅反応に必要な液体に前記細胞を浸漬させて得られた液体を前記反応液として使用することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の核酸増幅方法である。
請求項9に記載の発明は、鋳型核酸を前記第一の基板の親水性領域に配置し、核酸増幅反応に必要な液体を前記親水性領域に分注して得られた液体を前記反応液として使用することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の核酸増幅方法である。
本発明によれば、目的とする液体試料が微量でも基板上の所定箇所に安定して保持でき、液体試料中の光シグナルを簡便且つ高精度に検出できる。また、光シグナルをリアルタイムで検出しながら核酸を増幅できる。
本発明における、表面に親水性領域が設けられた基板を例示する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のI−I線における断面図である。 本発明における、表面に親水性領域が設けられた基板の他の例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のII−II線における断面図である。 本発明における、アダプターを設けた第一の基板を例示する斜視図である。 本発明における、アダプターを設けた第一の基板の他の例を示す斜視図である。 本発明における、アダプターを設けた第一の基板の他の例を示す斜視図である。 本発明において、第一及び第二の基板間で液体試料が挟持されている様子を例示する断面図である。 本発明の他の実施形態において、第一及び第二の基板間で液体試料が挟持されている様子を例示する断面図である。 本発明のさらに他の実施形態において、第一及び第二の基板間で液体試料が挟持されている様子を例示する断面図である。 本発明のさらに他の実施形態において、第一及び第二の基板間で液体試料が挟持されている様子を例示する断面図である。 本発明のさらに他の実施形態において、第一及び第二の基板間で液体試料が挟持されている様子を例示する断面図である。 本発明のさらに他の実施形態において、第一及び第二の基板間で液体試料が挟持されている様子を例示する断面図である。 実施例1における蛍光シグナルの検出結果を示すグラフである。 比較例1における蛍光シグナルの検出結果を示すグラフである。 実施例1及び比較例1における蛍光シグナルの検出結果から算出したCt値を示すグラフである。 実施例2における蛍光シグナルの検出結果を示すグラフである。 実施例3における光シグナルの検出結果を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明について詳しく説明する。
<光シグナルの検出方法>
本発明に係る光シグナルの検出方法は、基板上の液体試料中の光シグナルを検出する方法であって、第一の基板の表面に設けられた親水性領域に液体試料を保持し、前記液体試料よりも比重が小さく、前記液体試料とは混和しない被覆液で、保持された前記液体試料を被覆し、前記第一の基板に対向させて第二の基板を配置して、該第一及び第二の基板間で前記液体試料を挟持し、挟持した前記液体試料中の光シグナルをリアルタイムに検出することを特徴とする。ここで、「リアルタイムに検出する」とは、「所望のタイミングで検出する」ことを指す。
本発明においては、まず、第一の基板の表面に設けられた親水性領域に液体試料を保持する。ここで、「親水性領域に液体試料を保持する」とは、液体試料を、その少なくとも一部が親水性領域内に位置するように保持することを指す。そして本発明においては、液体試料を、その全量が親水性領域内に位置するように保持することが好ましい。このようにすることで、液体試料の基板表面における移動が抑制されて、液体試料を安定して基板上で保持できる。
液体試料としては、目的に応じて所望のものを使用できる。なかでも好ましいものは、水溶液等の親水性の液体試料である。該親水性の液体試料としては、好ましいものとして核酸を含む試料が例示でき、より好ましいものとして、核酸増幅反応を行う反応液が例示できる。
核酸は、DNA、RNA、その他のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド等いずれでも良い。そして、核酸増幅反応は特に限定されず、ポリメラーゼ連鎖反応(以下、PCRと略記する)法等、公知のいずれの方法でも良い。
反応液中の核酸は、例えば、増幅反応で得られた増幅核酸、増幅反応時に鋳型となる核酸、増幅核酸の原料となる核酸、プライマー等である。すなわち、反応液としては、酵素などの増幅反応に必要な各成分を含有する増幅反応開始前の反応液や、増幅反応中の反応液が例示できる。これら反応液は、通常水溶液である。
核酸増幅をPCR法で行う場合、鋳型となる核酸としてDNAを使用しても良いし、鋳型となる核酸としてRNAを使用して、逆転写(reverse transcription)反応を行ってから核酸増幅反応を行っても良い(RT−PCR)。
液体試料として核酸増幅反応を行う反応液を使用する場合、該反応液は公知の手法を適用して種々準備できる。
例えば、第一の基板の親水性領域に、予め調製済みの反応液を配置しても良いし、前記親水性領域で反応液を調製して直ちに核酸増幅を行っても良い。
前記親水性領域で反応液を調製する場合、例えば、予め調製済みの鋳型核酸(DNA又はRNA)を前記親水性領域に配置し、ここへ核酸増幅反応に必要な液体を分注して得られた鋳型核酸を含む液体を反応液としても良い。あるいは第一の基板の表面に細胞を分取し、分取した前記細胞の少なくとも一部が前記親水性領域に位置することを確認し、前記親水性領域に、核酸増幅反応に必要な液体を分注して前記細胞を浸漬させて得られた核酸を含む液体を反応液としても良い。この場合、基板を使用することで、細胞の分取及び位置確認は極めて容易となる。
これらの方法では、核酸の分解を抑制するために、核酸増幅反応に必要な液体を分注する前の鋳型となる核酸あるいは細胞を乾燥させても良い。
液体試料中の光シグナルは、光学的に検出可能なシグナルであれば特に限定されず、本発明の光シグナルの検出方法を適用する対象に応じて、任意に選択できる。
前記光シグナルとしては、例えば、液体試料として前記反応液を使用する場合には、反応液中の核酸、又は該核酸を標識する標識物質などに由来する光シグナルが例示できる。ここで「核酸を標識する標識物質」とは、核酸に共有結合している標識物質、又は核酸と共有結合せずに相互作用する標識物質のことを指す。この場合の光シグナルは、反応液中の核酸や標識物質などが、励起光の照射等により励起された結果発するものである。
また、発光を伴う反応を行い、この時の光シグナルを検出するようにしても良い。発光を伴う反応としては、種々の酵素反応が例示でき、例えば、ルシフェラーゼ存在下でのATPとルシフェリンとの反応が挙げられる。例えば、ATPは、ATPスルフリラーゼ等の酵素を使用してピロリン酸(PPi)から得られ、ピロリン酸は核酸増幅時に生成されるので、ルシフェラーゼを使用する上記反応により、核酸増幅反応を追跡できる。
本発明においては、挟持した反応液中で核酸増幅反応行い、該反応液中の光シグナルをリアルタイムに検出して核酸増幅量を定量することにより、核酸増幅量をリアルタイムに確認できる。
前記標識物質としては、好ましいものとして蛍光物質が例示できる。
そして、該蛍光物質としては、公知の如何なるものも使用でき特に限定されない。具体的には、フルオレセイン、ローダミン(ローダミングリーン、TAMRA等)、アクリフラビン、アレクサ(アレクサ647等)、サイバーグリーン(SYBR Green)等が例示できる。
例えば、サイバーグリーンI(SYBR GREEN I)は、二重らせん構造を形成している核酸と特異的にインターカレートし、その結果、青色光(波長488nm)を吸収し、緑色光(波長522nm)の蛍光を発することが知られている。したがって、サイバーグリーンIを含む反応液を増幅反応に供して核酸を増幅すると、増幅された核酸の二重らせんにサイバーグリーンIがインターカレートするので、励起光を照射すると蛍光を発し、この時の蛍光強度は、増幅された核酸の量に比例する。
標識物質は一種を単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率等は、目的に応じて適宜選択し得る。
また、増幅核酸に導入する標識物質の量も、目的に応じて適宜選択し得る。
液体試料の量は、目的に応じて適宜設定すれば良い。本発明の光シグナルの検出方法は、特に液体試料が微量である場合に、優れた効果を発揮する。このような液体試料の量は、好ましくは0.5〜10μl、より好ましくは1〜3μlである。下限値以上とすることにより、光シグナルを容易に検出でき、上限値以下とすることにより、一度に多数の液体試料を検出に供することができると共に、試薬の使用量を低減できるので、光シグナルを高効率かつ低コストで検出できる。
また、被覆液の量は、液体試料の露出部位を被覆できる範囲で選択すれば良いが、液体試料の量に応じて、第一及び第二の基板間で高い安定性で液体試料を挟持できる範囲内で選択することが好ましい。このような好ましい被覆液の量を、対応する液体試料の量と共に表1に示す。
Figure 2010158201
第一及び第二の基板の材質は特に限定されないが、第一又は第二の基板を介して、反応液中に励起光を照射したり、光シグナルを検出する場合、当該基板は透光性の材質からなるものとする。ここで、透光性の材質とは、光の透過率が高く且つ自家蛍光の少ない材質を指し、具体的にはガラス類や透明な樹脂類が例示できる。なかでも好ましいものとしては、水板ガラス、白板ガラス、ハーフホワイトガラス等のガラス類が例示できる。本発明においては、第一及び第二の基板の材質がいずれも透光性であることが好ましい。
基板は、表面及び裏面が平滑なものが好ましい。ここで、基板の表面とは、後記する試料保持部が設けられている側の基板の面を指し、基板の裏面とは、前記表面とは反対側の基板の面を指す。
基板の大きさは特に限定されず、例えば表面及び裏面の大きさは、目的に応じて適宜選択し得る。また、基板の厚さも目的に応じて適宜選択し得るが、強度も考慮して取り扱いのし易さという観点からは、0.9〜1.1mmであることが好ましい。
本発明においては、次いで、保持された前記液体試料を被覆液で被覆する。これにより、液体試料の露出部位が被覆されて、溶媒成分の蒸発が抑制される。
被覆液は、前記液体試料よりも比重が小さく、前記液体試料とは混和しないものである。ここで「液体試料と混和しない」とは、液体試料と混合した際に、少なくとも混合比が極端に大きいか又は小さい場合を除いて、単一層を形成しないことを指す。したがって、液体試料が水溶液等の親水性であれば、被覆液は親油性である。
被覆液は、液体試料が水溶液である場合に、主溶媒である水の蒸発を抑制し、液体試料の加熱時における耐熱性を持たせるという目的から、沸点が100℃以上であることが好ましい。
被覆液としては、上記のような物性を有するものであれば如何なるものも使用し得るが、好ましい市販品として、各種ミネラルオイルが例示できる。
以下、基板の具体例を挙げながら、より詳細に説明する。
図1は、本発明における、表面に親水性領域が設けられた基板を例示する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のI−I線における断面図である。なお、図1(a)においては、I−I線と重なる試料保持部でのみ、液体試料10を保持した状態を示している。
ここに示す基板1は、第一及び第二基板のいずれにも使用し得るものである。基板1の表面11には、親水性領域111と、該親水性領域111の周縁部を包囲する撥水性領域112とが設けられている。親水性領域111は、液体試料10を保持するための試料保持部であり、液体試料10が上記反応液である場合には、試料保持部は、核酸増幅反応を行う部位でもある。
親水性領域111の数は、4×12で合計48である。
親水性領域111及び撥水性領域112は、平面状であることが好ましい。そして、親水性領域111の外形は、ここに示すように略円形状であることが好ましいが、その他の形状でも良く、目的に応じて選択すれば良い。また、ここに示すように、表面11上の親水性領域111を除く全面に、撥水性領域112が設けられていることが好ましいが、撥水性領域112の外形はその他の形状でも良く、目的に応じて選択すれば良い。
親水性領域111一つあたりの面積は、液体試料10の量等に応じて適宜設定すれば良く、特に限定されない。例えば、ここで示すように親水性領域111が略円形状であり、液体試料10の量が上記範囲内である場合には、その直径D111は0.5mm〜6mmであることが好ましい。またこの時、隣り合う親水性領域111の中心間の距離L111は、前記D111に応じて設定すれば良いが、3〜14mmであることが好ましい。
撥水性領域112の面積は、基板1の大きさや試料保持部の数を考慮して、適宜設定すれば良い。
基板1では、液体試料10が親水性領域111で安定して保持される。その結果、液体試料10を被覆する被覆液15も安定して保持される。そして、撥水性領域112により、液体試料10の基板1上での移動を抑制する一層高い効果が得られる。撥水性領域112は必ずしも設ける必要性はないが、上記のような理由から設けることが好ましい。
親水性領域の配置形態は、ここに示すものに限定されず、目的に応じて設定すれば良い。例えば、親水性領域の数は、液体試料の数や基板の大きさを考慮して設定すれば良い。また、親水性領域は、ここに示すように、直交する二方向に一定の間隔をおいて設けても良いが、間隔はすべて一定でなくても良いし、直交する二方向以外に設けても良い。また、ここに示すように、親水性領域はすべて同等の面積でも良いし、一部又は全部が異なる面積でも良い。
また、基板は、親水性領域及び撥水性領域が、ここに示したように、基板表面だけに設けられていても良いが、基板の厚さ方向全体に渡って親水性又は撥水性とされていても良い。これは、以下に示す基板においても同様である。
図2は、本発明における、表面に親水性領域が設けられた基板の他の例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のII−II線における断面図である。なお、図2(a)においては、II−II線と重なる試料保持部でのみ、液体試料10を保持した状態を示している。なお、図2において、図1に示した構成と同様のものには、図1における符号と同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。これは、その他の図面においても同様である。
ここに示す基板2も、第一及び第二基板のいずれにも使用し得るものである。基板2の表面21には、第一親水性領域211と、該第一親水性領域211の周縁部を包囲する第一撥水性領域212とが設けられ、さらに該第一撥水性領域212の外側周縁部を包囲する第二親水性領域213と、該第二親水性領域213の外側周縁部を包囲する第二撥水性領域214とが設けられている。すなわち、親水性領域及び撥水性領域として、いずれも二つのパターンが存在する点が上記基板1と異なり、それ以外の点は基板1と同様である。
基板2では、第一親水性領域211により、液体試料10を安定して保持できる。そして、第一撥水性領域212により、液体試料10の基板2上での移動を抑制する一層高い効果が得られる。さらに、第二親水性領域213により、被覆液15を一層安定して保持できる。そして、第二撥水性領域214により、被覆液15の基板2上での移動を抑制するさらに高い効果が得られる。
基板2において、第一親水性領域211は、基板1における親水性領域111と同様である。また、第二親水性領域213は、その外形が異なること以外は、基板1における親水性領域111と同様である。
そして、第一撥水性領域212及び第二撥水性領域214は、外形が異なること以外は、基板1における撥水性領域112と同様である。
第一撥水性領域212及び第二親水性領域213の外形はリング状であるが、その他の形状でも良い。ただしリング状とすることで、液体試料10及び被覆液15を安定して保持する高い効果が得られる。
また、第二撥水性領域214は、ここに示すように、表面21上の第二親水性領域213の外側全面に設けられていることが好ましいが、外形はリング状等、その他の形状でも良く、目的に応じて選択すれば良い。
第一親水性領域211、第一撥水性領域212及び第二親水性領域213は、同心状に設けられていることが好ましい。
第一親水性領域211の直径D211は、基板1における親水性領域111の直径D111と同様である。また、隣り合う第一親水性領域211の中心間の距離L211は、基板1におけるL111と同様である。
第一撥水性領域212の幅W212及び第二親水性領域213の幅W213は、液体試料10や被覆液15の量等に応じて適宜設定すれば良く、特に限定されない。例えば、液体試料10及び被覆液15の量が上記範囲内である場合には、0.2mm〜3mmであることが好ましい。
第二撥水性領域214の面積は、基板2の大きさや試料保持部の数を考慮して、適宜設定すれば良い。
親水性領域及び撥水性領域を有する基板は、公知の方法で作製できる。具体的には、基板表面に親水処理及び撥水処理を施す方法、親水性基板表面に撥水処理を施す方法が例示できる。
親水処理としては、水酸基、アミノ基又はカルボキシ基等の親水性の官能基を基板表面に導入するものが例示できる。撥水処理としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基又はアルケニルオキシ基等の低極性の官能基や、一つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基又はアルコキシ基等の疎水性の官能基を基板表面に導入するものが例示できる。
このような、親水性領域及び撥水性領域を有する基板としては市販品を使用しても良く、例えば、基板2と同様のものであれば、Advalytix製のAmpliGrid(登録商標)が好適である。
本発明においては、次いで、前記第一の基板に対向させて第二の基板を配置して、該第一及び第二の基板間で前記液体試料を挟持する。これにより液体試料は、第一及び第二の基板間でこれらの表面に接触した状態で保持されると共に、これらの表面に接触していない部位は、被覆液で被覆された状態となる。そして液体試料は、第一の基板上においては、親水性領域で保持されるので、第一の基板上における移動が抑制され、第一及び第二の基板間で安定して挟持される。
第二の基板は、その表面が、第一の基板の親水性領域が設けられた面と対向するように配置する。そのためには、例えば、支持手段で支持しながら第二の基板の配置位置を調整するようにしても良いし、第一の基板の対向面(親水性領域が設けられた面)及び/又は第二の基板の対向面(第一の基板の親水性領域設けられた面と対向する面)に、第二の基板を対向配置させるためのアダプターを設けて、このアダプターを介して第二の基板を配置しても良い。本発明においては、操作を簡略化できる点から、上記のアダプターを使用して、第二の基板を対向配置することが好ましい。
前記アダプターは、第一及び第二の基板の表面間の距離を、所定の範囲に維持できるものであれば、如何なる形態でも良い。
例えば、第一及び第二の基板の表面に、それぞれ互いに嵌合可能な突起物を設けて、アダプターとする方法が例示できる。この場合、突起物は、基板表面に接着剤等で固定することが好ましい。
また、第一及び第二の基板のいずれか一方又は両方の表面に、単に突起物を設けてアダプターとする方法も例示できる。図3は、このようなアダプターを設けた基板を例示する斜視図である。
図3において、基板2は第一の基板であり、図2で説明したものである。基板2の試料保持部には、被覆液15で被覆された液体試料10が保持されている。
そして、基板2の表面21のうち、長手方向両端部近傍には、一対の四角柱状のアダプター3,3が、その一側面を第二撥水性領域214への設置面として設けられている。アダプター3の前記設置面とは反対側の面は、第二の基板(図示略)との接触面となる。
アダプター3の材質は、液体試料10中の光シグナルの検出を妨げないものであれば、目的に応じて任意に選択できるが、自家蛍光が無いものや透光性のものが好ましい。ここで、透光性の材質とは、第一及び第二の基板で説明したものと同様である。また、液体試料10として核酸増幅反応を行う反応液を使用する場合には、該反応液を加熱する際の温度に対して耐熱性を有するものが好ましい。このような観点から、具体的な材質として、各種プラスチックやゴム等の樹脂類が例示できる。
図3に示すように、試料保持部を真上に向けて基板2を配置する場合には、アダプター3は、基板2に固定化されていても良いし、固定化されることなく載置されているだけでも良いが、液体試料10を一層安定して保持するためには、固定化されていることが好ましい。試料保持部を真上以外の方向に向けて基板2を配置する場合には、アダプター3は、基板2に固定化されていることが好ましい。アダプター3を基板2に固定化するためには、接着剤等を使用すれば良い。
アダプター3の厚さTは、少なくとも、アダプターを介して配置した第二の基板の、第一の基板に対する対向面が、基板2上の被覆液15と接触する厚さとする。すなわち、Tは、基板2上に保持された液体試料10を被覆する被覆液15の高さよりも小さい値とし、液体試料10及び被覆液15の量に応じて調節する。このようなTの好ましい範囲を、対応する液体試料10及び被覆液15の量と共に表2に示す。
Figure 2010158201
アダプター3の設置面の幅W及び長手方向の長さLは、第一及び第二の基板間で安定するように適宜調整すれば良い。
図3では、アダプター3が、基板2の長手方向両端部近傍に設けられているものについて説明したが、アダプターの設置箇所は、これに限定されず適宜調整できる。
例えば、図4に例示するように、基板2の表面21のうち、短手方向両端部近傍に、一対のアダプター3’,3’が設けられていても良い。ここに示すアダプター3’は、長手方向の長さが異なる点以外は、図3に示すアダプター3と同様である。
さらに、例えば図5に例示するように、基板2の表面21において周縁部に沿って、アダプター3及び3’が連設されていても良い。
基板に固定化又は載置するアダプターは、ここに示すものに限定されず、適宜選択できる。例えば、アダプター3及び3’は、四角柱状以外の形状でも良く、細長形状であれば、その他の角柱状、円柱状等としても良いし、ブロック状等、細長形状以外の形状としても良い。ただし、第一及び第二の基板とは、面接触する形状であることが好ましい。また、アダプターの数も二つや四つに限定されず、任意に選択できる。そして、例えば、図5に示すアダプター3及び3’をすべて一体化させたものなど、枠状としても良い。
ここでは、基板2にアダプターを設けた例について説明したが、アダプターを設ける基板の種類は、本発明に適用できるものである限り、特に限定されない。
また、ここでは、第一の基板にアダプターを設けた例について説明したが、第二の基板にアダプターを設けても良く、第一及び第二の基板の両方にアダプターを設けても良い。第二の基板へのアダプターの設置形態は、第一の基板の場合と同様である。本発明においては、アダプターは、第一及び第二の基板のいずれか一方に設けられていれば、十分な効果が得られる。
次に、対向配置された第一及び第二の基板間で、液体試料が挟持されている様子の断面図を図6に例示する。図6において、基板1は、図1に示したものと同じであり、第一の基板である。そして、基板1に対向して配置された基板4は、第二の基板であり、その対向面である表面41全面には、撥水性領域412が設けられている。
液体試料10は、概ね基板1上の親水性領域111と、基板4上の撥水性領域412との間で挟持され、さらに、これら基板に接触していない部位は、被覆液15で被覆されている。このように、液体試料10は、基板1及び4並びに被覆液15により、露出箇所無く挟持されているので、加熱条件下でも溶媒成分の蒸発が抑制される。また、被覆液も、基板1及び4で挟持されることにより、蒸発が抑制される。
一方、被覆液15は、概ね基板1上の撥水性領域112と、基板4上の撥水性領域412との間に位置している。
そして、液体試料10及び被覆液15は、基板1により移動が抑制され、安定して挟持される。
また、液体試料10及び被覆液15の厚みT10は、基板1及び4(第一及び第二の基板)間の距離で決定され、すべての試料保持部においてほぼ一定となっていることが好ましい。
図7は、他の実施形態における、液体試料が挟持されている様子を例示する断面図である。本実施形態は、第一の基板が基板1ではなく、図2に示した基板2である点が、図6に示す実施形態とは異なる。
ここでは、液体試料10は、概ね基板2上の第一親水性領域211と、基板4上の撥水性領域412との間で挟持され、さらに、これら基板に接触していない部位は、被覆液15で被覆されており、図6の場合と同様に、液体試料10は、溶媒成分の蒸発が抑制される。
一方、被覆液15は、概ね基板2上の第二親水性領域213を含む領域と、基板4上の撥水性領域412との間に位置している。
そして、液体試料10及び被覆液15は、基板2により移動が抑制され、安定して挟持される。
図6及び7では、第二の基板として、表面全面に撥水性領域が設けられた基板を使用した場合について説明したが、表面全面に親水性領域が設けられた基板を使用しても、同様に液体試料を挟持できる。図8は、第一の基板として基板1を、第二の基板として、表面51全面に親水性領域511が設けられた基板5を使用した場合の、液体試料が挟持されている様子を例示する断面図である。本実施形態は、第二の基板が基板4ではなく、前記基板5である点が、図6に示す実施形態とは異なる。そして、液体試料10及び被覆液15は、図6に示す実施形態の場合と同様に挟持される。
図9は、第一の基板として基板2を、第二の基板として、前記基板5を使用した場合の、液体試料が挟持されている様子を例示する断面図である。本実施形態は、第二の基板が基板4ではなく、前記基板5である点が、図7に示す実施形態とは異なる。そして、液体試料10及び被覆液15は、図7に示す実施形態の場合と同様に挟持される。
なお、図6及び7では、基板4として表面41のみが撥水性領域412となっているものを、図8及び9では、基板5として表面51のみが親水性領域511となっているものをそれぞれ示したが、基板の厚さ方向全体に渡って撥水性又は親水性とされていても良い。
本発明においては、第一及び第二の基板として、同じパターンの親水性領域が設けられものを使用し、これら基板の親水性領域を互いに位置合わせして配置することにより、一層安定して液体試料を挟持できる。そして、第一及び第二の基板として、同じ種類のものを使用することが特に好ましい。ここで、親水性領域を互いに位置合わせするとは、第一及び第二の基板の表面(又は裏面)を真上から見た時に、これら基板を、その親水性領域がほぼ一致するように配置することを指す。
図10は、第一及び第二の基板として、共に基板1を使用した場合の、液体試料が挟持されている様子を例示する断面図である。
本実施形態では、液体試料10及び被覆液15は、図6に示す実施形態の場合と同様に挟持されるが、二つの基板で移動が抑制されるので、一層安定して挟持される。
図11は、第一及び第二の基板として、共に基板2を使用した場合の、液体試料が挟持されている様子を例示する断面図である。
本実施形態では、液体試料10及び被覆液15は、図7に示す実施形態の場合と同様に挟持されるが、二つの基板で移動が抑制されるので、一層安定して挟持される。
本発明においては、必ずしも、図6〜11に示すように、液体試料が第二の基板の表面に接触している必要性はないが、接触している方が液体試料を一層安定して挟持できる。
また、同様の理由で、第一の基板は上に向けて配置することが好ましく、真上に向けて配置することが特に好ましい。
本発明においては、親水性領域が設けられた第一の基板と、第二の基板を使用することにより、液体試料及び被覆液の基板上での移動が抑制される。また、液体試料及び被覆液の厚さは、第一及び第二の基板間の距離で決定され、常に一定であり、移動が抑制されることで、形状も一定となる。このように、液体試料や被覆液は安定して挟持されるので、近傍のものとの接触や混合も抑制される。
これに対して、第一の基板に親水性領域が設けられていない場合には、液体試料は第一の基板と直接接触せずに、被覆液を介して接触し易く、この場合、光シグナルの検出精度が低下することがある。また、第二の基板を配置しない場合には、液体試料や被覆液の上部は略球状となり、被覆液によってレンズ効果が生じることがある。
また、本発明においては、液体試料及び被覆液はスポット状であり、これらの第一の基板上への配置も、特別な装置を使用することなく容易に行うことができる。また、特許第3120453号公報に記載のように、オイル層中に微量液滴を打ち込む方法等とは異なり、液体試料がオイル中に移動したりすることも無い。
本発明においては、次いで、挟持した前記液体試料中の光シグナルをリアルタイムに検出する。検出する光シグナルは、先に説明した通りである。
光シグナルは、基板の表面に対して略垂直な方向から検出することが好ましい。例えば、図6に示す実施形態の場合には、基板1の裏面12側又は基板4の裏面42側から検出することが好ましい。例えば、液体試料が核酸増幅を行う反応液であり、基板上で核酸増幅反応を行う場合には、サーマルサイクラーや、ヒーティングブロック等の温度調節手段に基板1を設置することが必要である。この場合、基板1の裏面12を、前記温度調節手段に接触させることが好ましく、基板4の裏面42側から光シグナルを検出することが好ましい。
図7に示す実施形態の場合にも同様であり、基板1の裏面12側に代わり、基板2の裏面22側から検出すること以外は、図6の場合と同様に光シグナルを検出すれば良い。
そして、図8に示す実施形態の場合には、基板4の裏面42側に代わり、基板5の裏面52側から検出すること以外は、図6の場合と同様に光シグナルを検出すれば良い。
以下、図9〜11に示すその他の実施形態の場合も同様である。
光シグナルは、その種類に応じて、顕微鏡等の検出手段を使用して検出すれば良い。
液体試料として、核酸増幅を行う反応液を使用し、基板上で核酸増幅反応を行う場合には、核酸増幅サイクル一回あたりに、一回以上光シグナルを検出することが好ましい。このようにすることで、核酸増幅量をリアルタイムに定量でき、種々の有用な情報を取得できる。
本発明の光シグナルの検出方法によれば、液体試料の基板上での移動が抑制されるので、光シグナルを煩雑な操作を伴うことなく簡便に検出できる。また、液体試料の厚さ及び形状が一定であり、液体試料や被覆液同士の接触や混合も抑制され、液体試料及び被覆液の蒸発も抑制されるので、光シグナルを高精度に検出できる。さらに被覆液の蒸発が抑制されることで、装置の維持管理も簡略化できる。
<核酸増幅方法>
本発明に係る核酸増幅方法は、上記本発明の光シグナルの検出方法を利用する核酸増幅方法であって、前記液体試料として核酸増幅を行う反応液を挟持して核酸増幅反応を行い、前記反応液中の増幅核酸に由来する光シグナル、又は増幅核酸を標識する標識物質に由来する光シグナルを検出して、前記反応液中の核酸増幅量を定量することを特徴とする。
かかる核酸増幅方法については、上記の光シグナルの検出方法のところであわせて説明したので、ここでの説明は省略する。
本発明の核酸増幅方法によれば、反応液中の光シグナルを簡便且つ高精度に検出できるので、核酸増幅量を簡便且つ高精度に定量できる。特にリアルタイムPCRへの適用に好適である。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(反応液の調製)
以下に示すプライマー、プローブ、鋳型DNA及び試薬を使用し、鋳型DNAの濃度がそれぞれ2000pg/μl、500pg/μl、 125pg/μl、31.25pg/μl、0pg/μl(ネガティブコントロール)となるように、核酸増幅を行う反応液を調製した。
プライマー;ヒトβ−グロビン(最終濃度;0.3μM、配列番号1に示す塩基配列のフォワードプライマー及び配列番号2に示す塩基配列のリバースプライマー)
プローブ;TaqMan probe(配列番号3に示す塩基配列の5’−末端にFAM、3’−末端にTAMRAがそれぞれ結合したもの)
鋳型DNA;PSCDA0205(財団法人ヒューマンサイエンス製)
試薬;2×Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems社製)
(反応液の保持)
次いで、第一の基板として、図2における基板2と同様の構成を有するAdvalytix製のAmpliGrid(登録商標)を使用し、その5箇所の第一親水性領域に前記反応液を1μlずつアプライし、さらに反応液をそれぞれ5μlのオイルで被覆した。そして、図3に示すアダプターを介して、第二の基板としてスライドガラスを設置して、図7に示すように前記反応液を挟持した。
(核酸増幅反応)
次いで、以下に示す温度条件で基板を加熱及び冷却して、反応液中でリアルタイムPCRを行った。
・PCRの温度条件
95℃/10分 → (95℃/15秒 → 60℃/1分)×40サイクル
なお、加熱、冷却時の温度変化の速度は、それぞれ1℃/秒、−1℃/秒とした。
反応液中の蛍光シグナルは、第二の基板上に設置した蛍光顕微鏡(BX51、オリンパス社製)を使用して、各サイクルの60℃の時に、3秒間露光することで検出し、検出した蛍光シグナルは、Image Pro(Media Cybernetics社製)を使用して解析した。蛍光シグナルの検出結果を図12に示す。また、これらの検出結果から、Ct値を算出した。算出結果を図14に示す。なお、図14中、グラフの横軸の「鋳型DNA量」とは、鋳型DNA濃度の対数値のことである。
[比較例1]
第二の基板を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にリアルタイムPCRを行った。蛍光シグナルの検出結果を図13に示す。また、Ct値の算出結果を図14に示す。
図12及び13から明らかなように、同じ鋳型DNAの濃度同士で比較した場合、実施例1の方が比較例1よりも、蛍光シグナルの検出値が大きかった。さらに、図14から明らかなように、同じ鋳型DNAの濃度同士で比較した場合、実施例1の方が比較例1よりもCt値が小さかった。これらの結果から、実施例1の方が比較例1よりも検出感度が高いことが確認された。
[実施例2]
(反応液の調製)
ヒト細胞中のX染色体上の遺伝子であるXist、及びY染色体上の遺伝子であるSRYを標的遺伝子としてPCRを行うために、以下に示すプローブ及び試薬を使用して反応液プレミックスを調製した。
プローブ;TaqMan probe(Xistに対してFAM−TAMRA、SRYに対してVIC−TAMRA)
試薬;2×Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems社製)
次いで、ヒト女性細胞であるNCC−StC−K140細胞の培養液、及びヒト男性細胞であるMKN74細胞の培養液を採取し、細胞計測板を試用してそれぞれ細胞数を計測し、どちらの培養液も細胞数が5×10個/mlとなるように希釈した。
次いで、第一の基板として、図2における基板2と同様の構成を有するAdvalytix製のAmpliGrid(登録商標)を使用し、その24箇所の第一親水性領域に、希釈した培養液を1μlずつアプライし、顕微鏡(IX81、オリンパス社製)で細胞数を確認した。
次いで、細胞を乾燥させ、細胞が5個計測されたスポットに、前記反応液プレミックスを1μlずつアプライして反応液を調製し、さらに反応液をそれぞれ5μlのオイルで被覆した。そして、図3に示すアダプターを介して、第二の基板としてスライドガラスを設置して、図7に示すように前記反応液を挟持した。
(核酸増幅反応)
次いで、実施例1と同様に、リアルタイムPCRを行った。蛍光シグナルの検出結果を図15に示す。また、これらの検出結果から、Ct値を算出した。算出結果を表3に示す。
Figure 2010158201
XistはX染色体上にある遺伝子、SRYはY染色体上に存在する遺伝子である。そして、MKN74細胞中にはXistとSRYが1つずつ存在するが、MKN74細胞からの増幅核酸では、図15に示すように、これらの遺伝子についてはほぼ同じ増幅曲線が得られ、XistとSRYが1コピーずつ存在することを示す結果が得られた。
一方、NCC−StC−K140細胞中にはY染色体がなく、Xistが2つ存在するが、NCC−StC−K140細胞からの増幅核酸では、図15に示すように、SRYが存在せず、MKN74細胞の場合に対してXistが2倍であり(Ct値で約1サイクルの違い)、Xistが2コピー存在することを示す結果が得られた。
以上より、細胞を使用して核酸増幅でき、高精度に光シグナルを検出できることが確認された。
[実施例3]
(反応液の調製)
表4に示す組成の混合液を調製した。この混合液は、25℃でpH8.8であった。そして、この混合液18.6μlに、濃度が0.4ng/μlである配列番号10の塩基配列の鋳型DNA溶液1μl、及びBst DNAポリメラーゼ(8U/μl Bst DNAポリメラーゼ(New England Biolabs社製))0.4μlを加えて、反応液を調製した。さらにコントロールとして、前記混合液18.6μlに0.4ng/μlの鋳型DNA溶液を1μl加え、DNAポリメラーゼを加えないものを調製した。
Figure 2010158201
(反応液の保持)
次いで、第一の基板として、図2における基板2と同様の構成を有するAdvalytix製のAmpliGrid(登録商標)を使用し、その2箇所の第一親水性領域に、前記反応液を1μlずつアプライし、さらに反応液をそれぞれ5μlのオイルで被覆した。そして、図3に示すアダプターを介して、第二の基板としてスライドガラスを設置して、図7に示すように前記反応液を挟持した。前記コントロールも同様に挟持した。
(核酸増幅反応)
次いで、50℃に保持したヒーティングブロックで基板を加熱し、リアルタイムで光シグナルを検出しながら、核酸増幅反応を行った。
本実施例では、核酸増幅の際に生成されるピロリン酸(PPi)が、ATPスルフリラーゼによりATPへ変換され、このATPとルシフェリンがルシフェラーゼによって反応する際に発光するが、この時の光シグナルを検出した。光シグナルは、第二の基板上に設置した蛍光顕微鏡(BX51、オリンパス社製)を使用して、10秒間露光し、1分おきに40分間検出した。検出した光シグナルは、Image Pro(Media Cybernetics社製)を使用して解析した。前記コントロールも同様に光シグナルの検出に供した。光シグナルの検出結果を図16に示す。図16中、グラフの横軸は、核酸増幅反応開始後の時間を表し、グラフの縦軸は光シグナル検出値を表す。
図16から明らかなように、反応液の光シグナルの検出値は、初期には減少したが、その後時間の経過と共に増加に転じ、再度減少した。一方、コントロールでは、時間の経過と共に光シグナルの検出値は、減少するだけであった。反応液では、最終的に光シグナルの検出値がコントロールよりも小さくなったが、これはルシフェラーゼがピロリン酸により阻害されたことを示していると推測される。
さらに、前記反応液及びコントロールを核酸増幅に供した後、アガロースゲル電気泳動を行ったところ、反応液からは増幅核酸が検出されたが、コントロールからは増幅核酸は検出されなかった。
以上より、ルシフェラーゼを使用する化学発光による光シグナルの検出も、本発明において好適であることが確認された。
[実施例4]
第一の基板として、図1に示す基板1を使用し、図6に示すように反応液を挟持したこと以外は、実施例1と同様にリアルタイムPCRを行った。その結果、実施例1と同様の結果が得られた。
[実施例5]
第二の基板として、表面全面が撥水性である基板を使用し、図9に示すように反応液を挟持したこと以外は、実施例1と同様にリアルタイムPCRを行った。その結果、実施例1と同様の結果が得られた。
[実施例6]
第二の基板として、表面全面が撥水性である基板を使用し、図8に示すように反応液を挟持したこと以外は、実施例4と同様にリアルタイムPCRを行った。その結果、実施例4と同様の結果が得られた。
[実施例7]
第二の基板として、第一の基板と同様のAdvalytix製のAmpliGrid(登録商標)を使用し、図11に示すように反応液を挟持したこと以外は、実施例1と同様にリアルタイムPCRを行った。その結果、実施例1と同様の結果が得られた。
[実施例8]
第二の基板として、第一の基板と同様の基板1を使用し、図10に示すように反応液を挟持したこと以外は、実施例4と同様にリアルタイムPCRを行った。その結果、実施例4と同様の結果が得られた。
本発明は、DNAやRNA等の微量成分の検出に利用可能であり、特に医学分野における遺伝子診断や、農業分野におけるDNA鑑定等への適用に好適である。
1,2,4,5・・・基板、10・・・液体試料、11,21・・・基板表面、15・・・被覆液、111・・・親水性領域、211・・・第一親水性領域、212・・・第一撥水性領域、213・・・第二親水性領域、214・・・第二撥水性領域、412・・・撥水性領域、511・・・親水性領域

Claims (9)

  1. 基板上の液体試料中の光シグナルを検出する方法であって、
    第一の基板の表面に設けられた親水性領域に液体試料を保持し、
    前記液体試料よりも比重が小さく、前記液体試料とは混和しない被覆液で、保持された前記液体試料を被覆し、
    前記第一の基板に対向させて第二の基板を配置して、該第一及び第二の基板間で前記液体試料を挟持し、
    挟持した前記液体試料中の光シグナルをリアルタイムに検出することを特徴とする光シグナルの検出方法。
  2. 前記第一の基板の表面には、第一親水性領域と、該第一親水性領域周縁部を包囲する第一撥水性領域とが設けられ、前記第一親水性領域に前記液体試料を保持することを特徴とする請求項1に記載の光シグナルの検出方法。
  3. 前記第一の基板の表面には、さらに、前記第一撥水性領域の外側周縁部を包囲する第二親水性領域と、該第二親水性領域の外側周縁部を包囲する第二撥水性領域とが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の光シグナルの検出方法。
  4. 前記第二の基板の表面には、前記第一の基板と同じパターンの親水性領域が設けられ、前記液体試料が、互いに位置合わせされた前記第一及び第二の基板の親水性領域間で挟持されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光シグナルの検出方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の光シグナルの検出方法を利用する核酸増幅方法であって、
    前記液体試料として核酸増幅を行う反応液を挟持して核酸増幅反応を行い、前記反応液中の増幅核酸に由来する光シグナル、又は増幅核酸を標識する標識物質に由来する光シグナルを検出して、前記反応液中の核酸増幅量を定量することを特徴とする核酸増幅方法。
  6. 核酸増幅サイクル一回あたりに、一回以上光シグナルを検出することを特徴とする請求項5に記載の核酸増幅方法。
  7. 逆転写反応後に前記核酸増幅反応を行うことを特徴とする請求項5又は6に記載の核酸増幅方法。
  8. 細胞を前記第一の基板の表面に分取し、分取した前記細胞の少なくとも一部が前記親水性領域に位置することを確認し、前記親水性領域において核酸増幅反応に必要な液体に前記細胞を浸漬させて得られた液体を前記反応液として使用することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の核酸増幅方法。
  9. 鋳型核酸を前記第一の基板の親水性領域に配置し、核酸増幅反応に必要な液体を前記親水性領域に分注して得られた液体を前記反応液として使用することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の核酸増幅方法。
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