JP2010157358A - 燃料電池および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料がアノード電極の外縁部を迂回し、電解質を介してカソード電極に到達してしまうのを確実に抑えることができる燃料電池および電子機器を提供する。
【解決手段】アノード側板状部材20の貫通孔21とアノード電極12の外形位置12Aの線との間に、貫通孔21を有しない逃げ領域12Bを設ける。この逃げ領域12Bが、アノード電極12の外縁部を押さえる枠となる。よって、燃料Fがアノード電極12の外縁部12Aを迂回し、電解質膜13を介してカソード電極11に到達してしまうことが抑えられる。従って、燃料Fが無駄になることが抑制されると共に、カソード電極11側での触媒燃焼により単位セル10A〜10Fの温度が過上昇することが抑えられる。
【選択図】図4
【解決手段】アノード側板状部材20の貫通孔21とアノード電極12の外形位置12Aの線との間に、貫通孔21を有しない逃げ領域12Bを設ける。この逃げ領域12Bが、アノード電極12の外縁部を押さえる枠となる。よって、燃料Fがアノード電極12の外縁部12Aを迂回し、電解質膜13を介してカソード電極11に到達してしまうことが抑えられる。従って、燃料Fが無駄になることが抑制されると共に、カソード電極11側での触媒燃焼により単位セル10A〜10Fの温度が過上昇することが抑えられる。
【選択図】図4
Description
本発明は、メタノール等と酸素との反応により発電を行う燃料電池およびこれを備えた電子機器に関する。
携帯用パーソナルコンピュータ等の小型電子機器の電源として、燃料電池の適用が検討されている。燃料電池の燃料としては、エネルギー密度の高い液体燃料(例えばメタノール)を用いることが望ましい。
液体燃料を用いる場合、電解質膜のアノード電極またはカソード電極からの露出部分を通して、燃料がアノード電極からカソード電極に到達し、クロスオーバーの原因となる可能性がある。そのため、アノード電極,電解質膜およびカソード電極の表面周囲にシール材を付与するようにした提案がある(例えば、特許文献1参照。)。
特開平8−80658号公報
しかしながら、特許文献1では、シール材の厚みと電極の厚みとの管理が難しく、製造工程も複雑になってしまっていた。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、燃料がアノード電極の外縁部を迂回し、電解質を介してカソード電極に到達してしまうのを確実に抑えることが可能な燃料電池およびこれを備えた電子機器を提供することにある。
本発明による燃料電池は、カソード電極およびアノード電極の間に電解質を有する発電部と、発電部のアノード電極側に設けられたアノード側板状部材とを備え、アノード側板状部材は、アノード電極の外形位置の線で囲まれた領域内に、アノード電極に対向する面から反対側の面に達する貫通孔を有し、貫通孔とアノード電極の外形位置の線との間に、貫通孔を有しない逃げ領域が設けられているものである。
本発明による電子機器は、上記本発明の燃料電池を備えたものである。
本発明の燃料電池、または本発明の電子機器では、アノード側板状部材の貫通孔とアノード電極の外形位置の線との間に、貫通孔を有しない逃げ領域が設けられているので、この逃げ領域が、アノード電極の外縁部を押さえる枠となる。よって、燃料がアノード電極の外縁部を迂回し、電解質を介してカソード電極に到達してしまうことが抑えられる。
本発明の燃料電池、または本発明の電子機器によれば、アノード側板状部材の貫通孔とアノード電極の外形位置の線との間に、貫通孔を有しない逃げ領域を設けるようにしたので、この逃げ領域によってアノード電極の外縁部を押さえ、燃料がアノード電極の外縁部を迂回し、電解質を介してカソード電極に到達してしまうのを確実に抑えることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る燃料電池の断面構成を表したものであり、図2は図1に示した燃料電池を分解して表したものである。燃料電池1は、例えば、携帯電話,ノート型PC(Personal Computer )等の携帯型電子機器の電源として用いられるものであり、発電部10の両側に、アノード側板状部材20およびカソード側板状部材30を備えている。
発電部10は、メタノールと酸素との反応により発電を行う直接メタノール型の燃料電池であり、カソード電極(酸素電極)11およびアノード電極(燃料電極)12の間に電解質膜13を有する一つまたは複数(図2では、例えば六個)の単位セル10A〜10Fを含んで構成されている。単位セル10A〜10Fは、面内方向に例えば3行×2列に配置されると共に、接続部材(図示せず)により電気的に直列に接続された平面積層構造とされている。単位セル10A〜10Fのすきまは、フッ素ゴム,PP(ポリプロピレン)などの耐アルコール性の高い材料よりなるシール材14により封止されている。
カソード電極11およびアノード電極12は、例えば、四辺形であり、カーボンペーパーなどよりなる集電体に、微細多孔質層(MPL;Micro Porous Layer)と、白金(Pt)あるいはルテニウム(Ru)などの触媒を含む触媒層とが形成された構成を有している。触媒層は、例えば、触媒を担持させたカーボンブラックなどの担持体をポリパーフルオロアルキルスルホン酸系プロトン伝導材料などに分散させたものにより構成されている。集電体と微細多孔質層との間(微細多孔質層の外側)には、必要に応じて、ガス拡散層(GDL;Gas Diffusion Layer )が設けられていてもよい。なお、カソード電極11には図示しない空気供給ポンプが接続されていてもよいし、接続部材(図示せず)に設けられた開口(図示せず)を介して外部と連通し、自然換気により空気すなわち酸素が供給されるようになっていてもよい。
電解質膜13は、例えば、スルホン酸基(−SO3 H)を有するプロトン伝導材料により構成されている。プロトン伝導材料としては、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系プロトン伝導材料(例えば、デュポン社製「Nafion(登録商標)」)、ポリイミドスルホン酸などの炭化水素系プロトン伝導材料、またはフラーレン系プロトン伝導材料などが挙げられる。
アノード側板状部材20およびカソード側板状部材30は、発電部10のカソード電極11側およびアノード電極12側にそれぞれ設けられ、例えば厚み1mm程度のアルミニウム板またはステンレス鋼板により構成されている。発電部10とカソード側板状部材30との間には、湿分保持のため、例えば、ポリエチレン等の多孔質膜15が設けられている。発電部10とアノード側板状部材20との間には、例えば、多孔質フッ素樹脂およびポリエステルよりなる気液分離膜16が設けられている。
アノード側板状部材20の外側には、燃料Fとして例えばメタノールが供給される燃料供給部40が配設されている。燃料供給部40には、各単位セル10A〜10Fに対応する位置に、燃料タンク(図示せず)からの燃料Fが供給される燃料供給孔41が形成されている。燃料供給部40およびアノード側板状部材20の間には、燃料Fを気化させるための燃料気化室42が設けられている。
燃料気化室42のすきまGは、例えば0.5mm以上であることが好ましい。燃料Fが気化した際の体積膨張を吸収すると共に、燃料Fの均一拡散のためのスペースを確保することができるからである。ただし、すきまGをあまり広くすると、発電部10から燃料供給部40への伝熱量が低下し、燃料Fの気化がスムースに行えなくなるので、すきまGは例えば3mm以下であることが好ましい。
図3は、アノード側板状部材20を、アノード電極12に対向する面の側から見た平面構成を表したものであり、図4はその一部を拡大して表したものである。アノード側板状部材20は、各単位セル10A〜10Fのアノード電極12の外形位置12Aの線で囲まれた六つの四辺形の領域内に、貫通孔21と、溝22とを有している。
貫通孔21は、燃料Fを流通させるためのものであり、アノード電極12に対向する面から反対側の面に達し、燃料気化室42に連通している。貫通孔21とアノード電極12の外形位置12Aの線との間には、貫通孔21を有しない逃げ領域12Bが設けられている。これにより、この燃料電池では、燃料Fがアノード電極12の外縁部を迂回し、電解質膜13を介してカソード電極11に到達してしまう(燃料Fの回り込み)のを確実に抑えることができるようになっている。
逃げ領域12Bは、例えば、アノード電極12の外形位置12Aから内側に、アノード電極12の外形寸法の10%以内の領域である。例えば、アノード電極12は一辺13mmの正方形であり、逃げ領域12Bは、アノード電極12の外形位置12Aから内側に1mm以内、好適には0.5mm以内の領域である。
貫通孔21は、逃げ領域12Bよりも内側の領域の全体にわたって配置されていることが好ましい。燃料Fを均一に供給することができ、出力の向上が可能となるからである。貫通孔21の、アノード電極12の面積に対する開口率は、例えば、30%以上とすることが望ましく、40%以上とすればより好ましい。
溝22は、アノード電極12に対向する面に設けられ、生成した二酸化炭素を効率的に除去すると共に未利用の燃料Fの排出を抑えるためのものである。また、溝22は、アノード電極12の外形位置12Aの線で囲まれた領域内から、アノード側板状部材20の側面の22Aまで設けられている。これにより、溝22内の未反応の燃料Fを必ずアノード電極12面上を経由させることができ、燃料Fが未反応のまま形骸に排出されるのを抑えることが可能となる。
溝22は、逃げ領域12Bに設けられていることが好ましい。これにより、貫通孔21の流路面積を極大化し、電池性能を高めることが可能となるからである。また、溝22はアノード側板状部材20を貫通せず、流れる流体は基本的に生成した二酸化炭素であるので、溝22を逃げ領域12Bに設けた場合でも燃料Fの回り込みを抑えることは可能だからである。
溝22は、図4に示したように、貫通孔21に連通していてもよいし、図5に示したように、貫通孔21に連通していなくてもよい。連通している場合には、生成した二酸化炭素は貫通孔21を通って溝22に排出される。一方、連通していない場合には、生成した二酸化炭素は、アノード電極12の微細多孔質層(MPL)またはガス拡散層(GDL)を介して溝22に排出される。微細多孔質層(MPL)内の水分布等による圧力損失の変化の影響を受けないので、連通しているほうが望ましい。ただし、微細多孔質層(MPL),ガス拡散層(GDL、図示せず)の最適化の結果、十分に圧力損失が低い場合には、連通させなくてもよい。
溝22は、貫通孔21に交差する方向に設けられていることが好ましい。具体的には、溝22は、アノード電極12の外形位置12Aの線で囲まれた四辺形の領域の一辺に沿って設けられ、貫通孔21は、溝22に直交する方向に設けられていることが好ましい。気化した燃料Fと生成した二酸化炭素とに、溝22が設けられた辺へ、対辺からの流れを生じさせることができ、より効率的に二酸化炭素を除去する一方、燃料Fをアノード電極12に供給することができるからである。
溝22は、アノード電極12およびシール材14で塞がれており、出口22Aにおいて大気開放されている。溝22は、出口22Aの近傍に、圧力損失をつけるため、他の部分よりも断面積が小さい絞り22Bを有することが好ましい。溝22での流速を抑え、アノード電極12表面における反応時間を稼ぐことができ、未反応の燃料Fの系外排出をより抑えることができるからである。また、複数の単位セル10A〜10Fで発電部10を構成する場合には、各単位セル10A〜10Fでの圧力損失を均一化することができ、各単位セル10A〜10Fへの燃料供給を均一に行うことができるからである。
更に、アノード側板状部材20は、アノード電極12に対向する面に、貫通孔21を相互に連通させる補助溝23を有していることが好ましい。気化した燃料Fを、より広くアノード電極12面上に拡散、供給させることができ、より効率的に電気化学反応を起こさせることができるからである。
アノード側板状部材20には、貫通孔21,溝22および補助溝23のいずれも形成されていない部分が、一定割合以上(例えば、アノード電極12の面積の20%〜40%程度)残されていることが好ましい。また、貫通孔21,溝22および補助溝23などの開口部は、均一に分散して配置されている(まとまった開口部が設けられていない、すなわち、開口部の最大寸法がアノード電極12の寸法の5分の1以下である)ことが好ましい。このようにすることにより、アノード側板状部材20とアノード電極12との接触面積を大きくして、アノード側板状部材20による発電部10への圧縮力を均一に確保することができる。よって、カソード電極11あるいはアノード電極12と電解質膜13との界面抵抗、またはカソード電極11あるいはアノード電極12内のガス拡散層(GDL)と微細多孔質層(MPL)との界面抵抗、微細多孔質層(MPL)と触媒層(いずれも図示せず)との界面抵抗の増加を抑えることができる。
カソード側板状部材30は、酸化剤としての空気(酸素)を通過させるため、カソード電極11に対向する面から反対側の面に達する貫通孔31を有している。図6は、カソード側板状部材30を、カソード電極11に対向する面の側から見た構成を表したものである。貫通孔31は、カソード電極11の外形位置11Aの線で囲まれた領域内に設けられており、その形状は、例えば多数の平行な長孔(スリット)であるが、必ずしもこれに限られるものではない。なお、図6では、カソード側板状部材30の、単位セル10A〜10Fに対応する六つの四辺形の領域のうちの一つを表している。
貫通孔31は、カソード電極11の外形位置11Aまで設けられていることが好ましい。すなわち、カソード側板状部材30には、アノード側板状部材20のような逃げ領域12Bを設ける必要はない。カソード電極11の反応面積を最大化することができ、カソード電極11の性能を最大化することができるからである。また、カソード電極11側では、アノード電極12側で見られるような燃料Fの回り込みの懸念はないので、貫通孔31をカソード電極11の外形位置11Aぎりぎりまで設けることが可能であるからである。
この燃料電池1は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、上述した材料よりなるカソード電極11およびアノード電極12の間に、上述した材料よりなる電解質膜13を挟み、熱圧着により接合し、単位セル10A〜10Fを形成する。
次いで、6個の単位セル10A〜10Fを3行×2列に配置し、接続部材(図示せず)により電気的に直列に接続する。なお、電解質膜13の周辺部には上述した材料よりなる封止材(図示せず)を設け、この封止材を接続部材(図示せず)にネジ締めにより固定する。
続いて、上述した材料よりなるアノード側板状部材20およびカソード側板状部材30を用意し、例えばエンドミルなどによる加工により、カソード側板状部材30には貫通孔31、アノード側板状部材20には貫通孔21,溝22および補助溝23を形成する。その際、貫通孔21とアノード電極12の外形位置12Aの線との間には、図4に示したように、逃げ領域12Bを設ける。なお、量産の場合には、エッチングおよび拡散接合により、または射出成型などにより形成してもよい。
そののち、連結された単位セル10A〜10Fのカソード電極11側にカソード側板状部材30、アノード電極12側にアノード側板状部材20および燃料供給部40を配置する。以上により、図1および図2に示した燃料電池1が完成する。
この燃料電池1では、アノード側板状部材20の貫通孔21を通して、各単位セル10A〜10Fのアノード電極12に燃料Fが供給され、反応によりプロトンと電子とを生成する。プロトンは電解質膜13を通ってカソード電極11に移動し、電子および酸素と反応して水を生成する。これにより、燃料Fすなわちメタノールの化学エネルギーの一部が電気エネルギーに変換され、発電部10から出力電流として取り出される。この出力電流および発電部10による起電力は、外部の負荷(図示せず)に供給され、負荷が駆動される。
ここで、アノード側板状部材20の貫通孔21とアノード電極12の外形位置12Aの線との間に、貫通孔21を有しない逃げ領域12Bが設けられているので、この逃げ領域12Bが、アノード電極12の外縁部を押さえる枠となる。よって、燃料Fがアノード電極12の外縁部を迂回し、電解質膜13を介してカソード電極11に到達してしまうことが抑えられる。従って、燃料Fが無駄になることが抑制されると共に、カソード電極11側での触媒燃焼により単位セル10A〜10Fの温度が過上昇することが抑えられる。
また、アノード側板状部材20のアノード電極12に対向する面に溝22が設けられており、この溝22は、アノード電極12の外形位置12Aの線で囲まれた領域内から側面の出口22Aまで形成されているので、燃料Fの電気化学反応により生成した二酸化炭素は、溝22を経由して排出される。よって、アノード電極12付近の二酸化炭素濃度上昇や内圧上昇が回避され、出力および発電効率の向上が可能となる。また、溝22はアノード側板状部材20を貫通していないので、溝22内の未利用の燃料Fは必ずアノード電極12面上を経由する。よって、燃料は十分に消費され、未反応のまま系外に排出されることが抑えられる。
このように本実施の形態では、アノード側板状部材20の貫通孔21とアノード電極12の外形位置12Aの線との間に、貫通孔21を有しない逃げ領域12Bを設けるようにしたので、この逃げ領域12Bによってアノード電極12の外縁部を押さえ、燃料Fがアノード電極12の外縁部を迂回し、電解質膜13を介してカソード電極11に到達してしまうのを抑えることが可能となる。
また、アノード側板状部材20のアノード電極12に対向する面に溝22を設け、この溝22を、アノード電極12の外形位置12Aの線で囲まれた領域内から側面の出口22Aまで形成するようにしたので、この溝22を経由して二酸化炭素を除去すると共に、燃料Fが未反応のまま系外に排出されるのを抑えることが可能となる。
なお、上記実施の形態では、アノード側板状部材20が、アノード電極12に対向する面に、貫通孔21を相互に連通させる補助溝23を有している場合について説明したが、図7に示したように、補助溝23を設けないで、貫通孔21および溝22のみが設けられているようにしてもよい。
また、貫通孔21は、図8に示したように、斜め方向に形成されていてもよい。図8の場合、補助溝23は、貫通孔21に直交する斜め方向に形成され、溝22は、アノード電極12に対応する四辺形の領域を囲むように形成されている。なお、図8では、溝22が貫通孔21および補助溝23に連通している場合を表しているが、必ずしも連通してなくてもよい。
更に、貫通孔21および補助溝23は、アノード電極12に対応する四辺形の領域内ですべて同じ方向に形成されている必要はなく、図9または図10に示したように、アノード電極12に対応する四辺形の領域の中心22Cを囲んで、放射状に配置されていてもよい。この場合、貫通孔21と補助溝23との連通する部分では互いに交差または直交していることが望ましい。そのため、補助溝23は部分的に曲線または屈曲していてもよい。また、このような放射状配置の場合、溝22は、アノード電極12に対応する四辺形の領域の中心22Cと、側面の出口22Aとを連通させるように形成されていることが望ましい。更に、溝22は、補助溝23に連通しているようにしてもよい。
加えて、溝22は、必ずしもアノード電極12の外形位置12Aの線で囲まれた四辺形の領域の一辺のみに設けられている必要はない。例えば図11に示したように、複数の貫通孔21を囲んで設けられていてもよいし、図12に示したように、貫通孔21の周囲および間に設けられていてもよい。
(適用例)
図13は、上記実施の形態で説明した燃料電池を備えた電子機器の外観を表したものである。この電子機器100は、例えばノート型パーソナルコンピュータである機器本体110と、燃料電池120とを備えたポータブル電子機器であり、燃料電池120で発電される電気エネルギーにより機器本体110が駆動されるようになっている。
図13は、上記実施の形態で説明した燃料電池を備えた電子機器の外観を表したものである。この電子機器100は、例えばノート型パーソナルコンピュータである機器本体110と、燃料電池120とを備えたポータブル電子機器であり、燃料電池120で発電される電気エネルギーにより機器本体110が駆動されるようになっている。
機器本体110は、例えば、文字等の入力操作のためのキーボード等を含む入力部111と、画像を表示する開閉可能な表示部112とを有している。なお、図11では、表示部112を開いた状態を表している。燃料電池120は、機器本体110の後面に取り付けられている。
更に、本発明の具体的な実施例について説明する。
(実施例1,2)
図1に示した燃料電池1を作製した。その際、アノード側板状部材20には、貫通孔21,溝22および補助溝23を、実施例1では図4に示した形状、実施例2では図5に示した形状でそれぞれ形成した。
図1に示した燃料電池1を作製した。その際、アノード側板状部材20には、貫通孔21,溝22および補助溝23を、実施例1では図4に示した形状、実施例2では図5に示した形状でそれぞれ形成した。
参考例として、図14に示したように、アノード側板状部材220の貫通孔221を、アノード電極の外形位置212Aぎりぎりまで設けたことを除いては、上記実施例1,2と同様にして燃料電池を作製した。なお、参考例では、溝222および補助溝223は実施例1,2と同様に形成した。
得られた実施例1,2および参考例の燃料電池について、出力を測定し、比較例を100%としたときの出力比を調べた。その結果を図15に示す。図15から分かるように、実施例1,2のいずれについても、参考例に比べて出力が10%〜20%程度向上した。
すなわち、アノード側板状部材20の貫通孔21とアノード電極12の外形位置12Aの線との間に逃げ領域12Bを設けるようにすれば、アノード電極12の外縁部を押さえ、燃料Fがアノード電極12の外縁部を迂回し、電解質膜13を介してカソード電極11に到達してしまうのを抑えて出力を向上させることができることが分かった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、上記実施の形態では、発電部10,アノード側板状部材20,カソード側板状部材30および燃料供給部40の構成について具体的に説明したが、他の構造あるいは他の材料により構成するようにしてもよい。
また、例えば、上記実施の形態および実施例では、発電部10が、複数の単位セル10A〜10Fを横方向(積層面内方向)に積層した平板発電体である場合について説明したが、本発明は、発電部が一つの単位セルを有する場合、または、複数の単位セルを縦方向(積層方向)に積層して燃料電池スタックを構成する場合にも適用することができる。
更に、例えば、上記実施の形態において説明した各構成要素の材料および厚み、または燃料電池の製造方法などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の製造方法としてもよい。例えば、本発明は、固体の電解質膜13に代えて液状の電解質(電解液)を用いる場合にも適用可能である。
加えて、例えば、液体燃料は、メタノールのほか、エタノールやジメチルエーテルなどの他の液体燃料でもよい。
更にまた、本発明は、気化型だけでなく、液体燃料を供給する場合にも適用可能である。
1…燃料電池、10…発電部、10A〜10F…単位セル、11…カソード電極、12…アノード電極、12A…外縁部、12B…外形位置、13…電解質膜、20…アノード側板状部材、21…貫通孔、22…溝、23…補助溝、30…カソード側板状部材、31…貫通孔、40…燃料供給部、41…燃料供給孔、42…燃料気化室
Claims (6)
- カソード電極およびアノード電極の間に電解質を有する発電部と、
前記発電部のアノード電極側に設けられたアノード側板状部材と
を備え、
前記アノード側板状部材は、前記アノード電極の外形位置の線で囲まれた領域内に、前記アノード電極に対向する面から反対側の面に達する貫通孔を有し、前記貫通孔と前記アノード電極の外形位置の線との間に、前記貫通孔を有しない逃げ領域が設けられている
燃料電池。 - 前記逃げ領域は、前記アノード電極の外形位置から内側に、前記アノード電極の外形寸法の10%以内の領域である
請求項1記載の燃料電池。 - 前記アノード側板状部材は、前記アノード電極に対向する面に溝を有し、
前記溝は、前記アノード電極の外形位置の線で囲まれた領域内から、前記アノード側板状部材の側面の出口まで形成されている
請求項1記載の燃料電池。 - 前記発電部のカソード電極側に設けられたカソード側板状部材を備え、
前記カソード側板状部材は、前記カソード電極の外形位置の線で囲まれた領域内に、前記カソード電極に対向する面から反対側の面に達する貫通孔を有する
請求項1記載の燃料電池。 - 前記アノード側板状部材の外側に、液体燃料が供給される燃料供給部と、前記燃料供給部および前記アノード側板状部材の間に形成された燃料気化室とを備えた
請求項1記載の燃料電池。 - 燃料電池を備え、前記燃料電池は、
カソード電極およびアノード電極の間に電解質を有する発電部と、
前記発電部のアノード電極側に設けられたアノード側板状部材と
を備え、
前記アノード側板状部材は、前記アノード電極の外形位置の線で囲まれた領域内に、前記アノード電極に対向する面から反対側の面に達する貫通孔を有し、前記貫通孔と前記アノード電極の外形位置の線との間に、前記貫通孔を有しない逃げ領域が設けられている
電子機器。
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JP2003272662A (ja) * | 2001-09-26 | 2003-09-26 | Sony Corp | 燃料電池,電気機器,電子基板,電子基板の製造方法,燃料電池用コネクタ,配線部材,及び燃料電池の実装方法 |
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-
2008
- 2008-12-26 JP JP2008333343A patent/JP2010157358A/ja active Pending
Patent Citations (3)
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JP2002280016A (ja) * | 2001-03-16 | 2002-09-27 | Samsung Electronics Co Ltd | ダイレクトメタノール燃料電池用単電極型セルパック |
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