JP2010156957A - 画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】1組の静電荷像現像用トナーを用いるデジタル電子写真方式によるものであって、1組の静電荷像現像用トナーは、黒トナーとライトグレートナーを含み、静電潜像形成工程と、黒トナーによる現像工程と、ライトグレートナーによる現像工程と、黒トナー像およびライトグレートナー像の定着工程とを含み、黒トナーは60〜105℃の範囲に吸熱ピークを有するワックスを含有し、ライトグレートナーはポリエチレンレテフタレートシート上に形成されたトナー付着量4.0g/m2 の定着画像部分において測定される透過率が40〜90%の範囲にあり、60〜105℃の範囲に吸熱ピークを有するワックスを含有することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
静電潜像担持体上に露光手段によって記録される高濃度の画像部分(以下、「シャドウ部」ともいう。)は単位面積当たりのドット数も多く、1ドットの大きさも大きい。一方、低濃度の画像部分(以下、「ハイライト部」ともいう。)は単位面積当たりのドット数も少なく1ドットの大きさも小さい。このため、現像後における静電潜像担持体上の高濃度の画像部分ではトナー付着量が多く、低濃度の画像部分ではトナー付着量が少なくなる。このように、記録画像の濃淡の差異は、静電潜像担持体上に現像によって付着する単位面積当たりのトナー付着量の多少によって表現されるところ、低濃度の画像部分では、粒状性が悪化しやすく、安定した階調性を得られにくいという問題があった。ここで、「粒状性が悪い」とは、均質に露光されたハイライト部において、目視で認識される微細な明暗のザラツキ感、不均質感がある状態のことをいう。
ソフトトーンとは、相対的には、ビビットトーンの画素率を低下させたライトトーン(ティントカラー・明清色)に対し、わずかに墨入れをしたトーンをいい、ダルトーンとは、このソフトトーンより墨入れ量をわずかに増加させたトーンをいう。
ソフトトーンは、柔和でなじみやすいイメージがあるので、比較的幅広い用途に用いられる。ダルトーンは、渋みのある落ち着いたイメージがあるので、ファッションやインテリアなどに用いられる。カタログなど商品画像を掲載する印刷物は、現物の色調との微妙な乖離が印象を変える傾向にあるため、色再現性に厳しさが要求されている。
ここで、ソフトトーンをカラーコード、すなわちWebページ上で表現される色を指定するための制御コードで例示すると、#e09696、#e0ce96、#bbe096、#96e0a9、#96e0e0、#96a9e0、#bb96e0、#e096ce、#cc7a7a、#cc967a、#ccb17a、#cccc7a、#b1cc7a、#96cc7a、#7acc7a、#7acc96、#7accb1、#7acccc、#7ab1cc、#7a96cc、#7a7acc、#967acc、#b17acc、#cc7acc、#cc7ab1、#cc7a96、#cc6666、#cc9966、#cccc66、#99cc66、#66cc66、#66cc99、#66cccc、#6699ccなどが挙げられる。
一方、ダルトーンをカラーコードで例示すると、#b35959、#b37759、#b39559、#b2b359、#95b359、#77b359、#59b359、#59b377、#59b395、#59b3b3、#5995b3、#5977b3、#5959b3、#7759b3、#9559b3、#b259b3、#b35995、#b35977、#8c3f3f、#8c663f、#8c8c3f、#668c3f、#3f8c3f、#3f8c66、#3f8c8c、#3f668c、#3f3f8c、#663f8c、#8c3f8c、#8c3f66、#996666、#999966、#669966、#669999、#666699、#996699などが挙げられる。
そのため、カラートナーの彩度および明度を抑制させるよう制御することができる新たなトナーおよびこれを用いた画像形成方法が求められている。
前記1組の静電荷像現像用トナーは、黒トナーとライトグレートナーを含み、この黒トナーとライトグレートナーが、各々、結着樹脂、着色剤および離型剤を含有するトナー粒子よりなり、
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
黒トナー像を形成するために前記黒トナーにより静電潜像を現像する現像工程と、
ライトグレートナー像を形成するために前記ライトグレートナーにより静電潜像を現像する現像工程と、
黒トナー像およびライトグレートナー像を定着する定着工程とを含み、
前記黒トナーは、離型剤として、60〜105℃の範囲に吸熱ピークを有するワックスを含有し、
前記ライトグレートナーは、ポリエチレンレテフタレートシート(以下、「PETシート」ともいう。)上に形成されたライトグレートナー付着量4.0g/m2 のライトグレートナーによる定着画像部分において測定される透過率が40〜90%の範囲にあり、かつ、ライトグレートナーは、離型剤として、60〜105℃の範囲に吸熱ピークを有するワックスを含有することを特徴とする。
カラートナー像を形成するために前記カラートナーにより静電潜像を現像する現像工程およびカラートナー像を定着する定着工程が行われ、
画像支持体上に形成された定着画像において、ライトグレートナーによる画像が、カラートナーによる画像よりも上層側に重なるように規定された順序で各現像工程が行われることが好ましい。
一般式(2);−O−Si(R1 )(R2 )(R3 )
〔一般式(2)中、R1 〜R3 は、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または炭素数6〜18のアリールオキシ基を示す。〕
さらに、本発明の画像形成方法によれば、カラートナー像の上にライトグレートナー像を重ねて画像を形成する場合において、ライトグレートナーによるPETシート上に形成された定着画像部分における透過率が特定の範囲であることから、下層のカラートナー像を適度にくすませた状態で画像を形成することになるので、ソフトトーン画像およびダルトーン画像などのハーフトーン画像を形成する場合においても、表現力が増し、高品質な画像を形成することができる。
本発明の画像形成方法に係るライトグレートナー(以下、「特定のライトグレートナー」ともいう。)は、結着樹脂、着色剤および離型剤を含有するトナー粒子(以下、「ライトグレートナー粒子」ともいう。)よりなるものである。
また、このライトグレートナーは、PETシート上に形成されたライトグレートナー付着量4.0g/m2 のライトグレートナーによる定着画像部分において測定される透過率が40〜90%の範囲にあり、かつ、離型剤として、60〜105℃の範囲に吸熱ピークを有するワックスを含有するものである。
関係式;{(a* )2 +(b* )2 }1/2 ≦5
すなわち、坪量128g/m2 、明度93の転写紙、例えば、「PODグロスコート紙」(王子製紙(株)製)を用いて、分光光度計「Gratag Macbech Spectrolino」(Gratag Macbech社製)により、光源をD65光源とし、反射測定アパーチャをφ 4mmとして、波長域380〜730nmを10nm間隔で、視野角を2°として測定される。なお、基準合わせには専用白タイルを用いるものとする。
PETシート上に形成されたライトグレートナーによる定着画像部分において測定される透過率は、以下のようにして算出されるものである。
すなわち、分光光度計「U−3500」(株式会社日立ハイテクフィールディング製)を用いて、トナーが担持されていないPETシートをレファレンスとして可視分光透過率を測定し、波長600nmでの分光透過率を求める。次に、PETシート上にトナー付着量4g/m2 で定着された画像について同様にして波長600nmの分光透過率を求め、レファレンスの分光透過率を100%としたときのPETシート上の定着画像の分光透過率を、本発明における「透過率」とする。なお、画像の形成には市販の複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を使用する。また、トナー付着量は、トナーが未定着の状態のPETシートからトナーをブローオフし、ブローオフ前後の質量差を画像面積で除した値とする。ただし、画像形成装置の構造上、トナーが未定着の状態のPETシートをサンプリングすることが困難な場合においては、PETシート上の定着画像について、PETシートを溶解しない溶剤、例えばメチルエチルケトンなどで洗浄して、ブローオフ前後の質量差を画像面積で除して算出することができる。
ライトグレートナーによる定着画像部分において測定される透過率が上記の範囲であることにより、ライトグレートナーによる画像が適度に下地を透かすために、明暗の差が緩やかとなり、ザラツキ感、不均質感が解消され、ソフトトーン画像およびダルトーン画像などのハーフトーン画像を形成する場合においても、優れた粒状性を得ることができ、また、カラートナー像の上にライトグレートナー像を重ねて画像を形成する場合においては、下層のカラートナー像を適度にくすませた状態で画像を形成することになるので、ソフトトーン画像およびダルトーン画像などのハーフトーン画像を形成する場合においても、表現力が増し、高品質な画像を形成することができる。また、ソフトトーン画像およびダルトーン画像などのハーフトーン画像を形成する場合において、カラートナーによるドットとライトグレートナーによるドットとが面積にして5〜50%の割合で重なっていることが好ましい。ただし、カラートナーによるドットとライトグレートナーによるドットとが重ならず、隣接している状態であっても、黒トナーによるドットを用いる場合よりも、明暗のザラツキ感が減少し、粒状性に優れた画像を形成することができる。さらには、ソフトトーン画像およびダルトーン画像などのハーフトーン画像において、明暗のザラツキ感が減少することによって、服地などの現物がもつ色調、風合いを所期の色調として印刷物に再現することができる。
すなわち、黒トナーの現像電位の最大値をVmax とすると、Vmax の1/256以上でVmax の1/4未満の電位を持つドット潜像には、ライトグレートナーのみが現像するドットとして変換される。Vmax の1/4以上でVmax の1/2未満の電位を持つドット潜像には、ライトグレートナーと黒トナーとを併用するが、ライトグレートナーのトナー付着量(現像量)は、黒トナーのトナー付着量(現像量)より多くなるように調整して用いることが好ましい。そして、Vmax の1/2以上の電位を持つドット潜像には、黒トナーのみが現像するドットとして変換される。
Vmax は反転現像方式の場合、現像ローラに印加される現像バイアス電位と、最大露光時の感光体電位との差である。
ライトグレートナーは、従来黒トナーが形成していた文字画像やモノクローム画像に用いてもよいが、イエロー、マゼンタ、シアンのドットが重なり、黒トナーで置き換え可能なドットにおいて、前述のようにドット電位に応じて黒トナーとライトグレートナーとを分担させて用いることが特に好ましい。
ライトグレートナーを構成するライトグレートナー粒子に含有される離型剤としては、ワックスが用いられ、具体的には、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;モンタンワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックスなどのエステル系ワックスなどが挙げられ、2種以上組み合わせることもできる。
離型剤の融点は、吸熱ピークのピークトップの温度を示し、示差走査カロリメーター「DSC−7」(パーキンエルマー製)および熱分析装置コントローラー「TAC7/DX」(パーキンエルマー製)を用いて示差走査熱量分析によってDSC測定される。
具体的には、試料4.5mgをアルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットし、測定温度0〜200℃で、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、加熱−冷却−加熱の温度制御を行い、その2度目の加熱におけるデータをもとに解析される。ただし、リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用する。
離型剤の吸熱ピークが60℃未満である場合においては、離型剤の融点が低いためトナー像とその表面に滲み出すワックスが過多になることから、トナー付着量の多いシャドウ部の光沢が高くなり、光沢差の少ない均一な画像を形成することができなくなるおそれがある。一方、離型剤の吸熱ピークが105℃を超える場合においては、離型剤の融点が高いためトナー像とその表面に滲み出すワックスが過少になることから、トナー付着量の少ないハイライト部の光沢が小さくなり、光沢差の少ない均一な画像を形成することができなくなるおそれがある。
ライトグレートナーを構成するライトグレートナー粒子に含有される結着樹脂として、トナー粒子が粉砕法、溶解懸濁法などによって製造される場合には、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系樹脂などのビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルホン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂などの公知の樹脂を挙げることができる。
また、トナー粒子が懸濁重合法、ミニエマルション重合凝集法、乳化重合凝集法などによって製造される場合には、トナーを構成する各樹脂を得るための重合性単量体として、例えばビニル系単量体などの公知の種々の重合性単量体を挙げることができる。また、重合性単量体としては、イオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが好ましい。さらに、重合性単量体としては、多官能性ビニル系単量体を用いて架橋構造の結着樹脂を得ることもできる。
ライトグレートナーを構成するライトグレートナー粒子に含有される着色剤として、カーボンブラックが用いられる場合においては、ライトグレートナーによる定着画像部分の透過率を制御する観点から、カーボンブラックが結着樹脂100質量部に対して0.03〜2.0質量部含まれることが好ましく、さらに好ましくは0.03〜0.54質量部である。
好ましい黒色染料としては、C.I.Direct Black(以下、「DBk」という。)−19、DBk−38、DBk−71、DBk−74、DBk−75、DBk−90、DBk−112、DBk−117、DBk−154、Acid Black(以下、「ABk」という。)−2、ABk−24、ABk−31、ABk−52などが挙げられる。
本発明の画像形成方法に係る黒トナーは、結着樹脂、着色剤(以下、「黒着色剤」ともいう。)および離型剤を含有するトナー粒子(以下、「黒トナー粒子」ともいう。)よりなるものであり、離型剤として、60〜105℃の範囲に吸熱ピークを有するワックスを含有するものである。
ここに、本発明でいう黒トナーとは、上述した方法の試料を黒トナーに変更する他は同様の方法にて測定したPETシート上に形成された黒トナー付着量4.0g/m2 の黒トナーによる定着画像部分において測定される透過率が、0〜20%の範囲にあるものをいう。
黒着色剤として、カーボンブラックまたは黒色染料を用いる場合においては、黒着色剤の総含有量が結着樹脂100質量部に対して3.5〜11.0質量部含まれることが好ましく、さらに好ましくは6.5〜10.0質量部である。
また、黒着色剤として、酸化鉄を用いる場合においては、酸化鉄が結着樹脂100質量部に対して14.0〜100.0質量部含まれることが好ましい。
本発明の画像形成方法に係るイエロートナーは、結着樹脂、着色剤(以下、「イエロー着色剤」ともいう。)および離型剤を含有するトナー粒子(以下、「イエロートナー粒子」ともいう。)よりなるものである。イエロー着色剤としては、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー35、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ソルベントイエロー94、C.I.ソルベントイエロー162が挙げられ、特に、C.I.ピグメントイエロー74が用いられることが好ましい。
イエロー着色剤が結着樹脂100質量部に対して3〜10質量部含まれることが好ましく、さらに好ましくは4〜8質量部である。
本発明の画像形成方法に係るシアントナーは、結着樹脂、着色剤(以下、「シアン着色剤」ともいう。)および離型剤を含有するトナー粒子(以下、「シアントナー粒子」ともいう。)よりなるものである。シアン着色剤としては、上記一般式(1)で表されるケイ素フタロシアニン化合物が含まれることが好ましい。上記一般式(1)で表されるケイ素フタロシアニン化合物は、従来用いられてきた銅フタロシアニン化合物に比べて明度が高く、グリーンの発色性に優れる特性を有している。さらに、シアン着色剤として一般式(1)で表されるケイ素フタロシアニン化合物を含有するシアントナーと特定のライトグレートナーを組み合わせて用いることにより、ソフトトーン画像およびダルトーン画像の表現力が増し、高品質な画像を形成することができる。
上記一般式(1)で表されるケイ素フタロシアニン化合物の具体例としては、下記式(1−1)および下記式(1−2)で表されるケイ素フタロシアニン化合物を挙げることができる。特に、下記式(1−2)で表されるケイ素フタロシアニン化合物が用いられることが好ましい。
シアン着色剤が結着樹脂100質量部に対して2〜9質量部含まれることが好ましく、さらに好ましくは3〜7質量部である。
本発明の画像形成方法に係るマゼンタトナーは、結着樹脂、着色剤(以下、「マゼンタ着色剤」ともいう。)および離型剤を含有するトナー粒子(以下、「マゼンタトナー粒子」ともいう。)よりなるものである。マゼンタ着色剤としては、上記一般式(3)で表される化合物が含まれることが好ましい。上記一般式(3)で表される化合物は、従来用いられてきたマゼンタ有機顔料に比べてビビットトーンの表現力に優れる特性を有している。さらに、マゼンタ着色剤として一般式(3)で表される化合物を含有するマゼンタトナーと特定のライトグレートナーを組み合わせて用いることにより、ソフトトーン画像およびダルトーン画像の表現力が増し、高品質な画像を形成することができる。
上記一般式(3)で表される化合物の具体例としては、下記式(3−1)および下記式(3−2)で表される化合物を挙げることができる。特に、下記式(3−2)で表される化合物が用いられることが好ましい。
マゼンタ着色剤が結着樹脂100質量部に対して3〜12質量部含まれることが好ましく、さらに好ましくは4〜8質量部である。
本発明の画像形成方法に係るトナーは、その軟化点温度が70〜120℃であることが好ましく、さらに好ましくは、80〜110℃である。トナーの軟化点温度が上記範囲にあることにより、定着工程においてトナーに適度の溶融状態が得られ、高い色再現性を有する画像を得ることができる。トナーの軟化点温度が70℃未満の場合においては、複数のトナー像を重ね合わせて画像を形成したときに、各々のトナーの結着樹脂による層の界面が消失された状態となるので、画像に混色が発生するおそれがある。一方、トナーの軟化点温度が120℃を超える場合においては、定着工程においてトナーの溶融が進行しにくくなり、着色剤に含有される染料や顔料等が均一に分散せず、画像に色再現性が得られにくくなる場合がある。
本発明の画像形成方法に係るトナーを製造する方法としては、混練・粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法、ミニエマルジョン重合凝集法、カプセル化法、その他の公知の方法などを挙げることができるが、画像の高画質化を達成するために小粒径化されたトナーを得る必要があることを考慮して、製造コスト及び製造安定性の観点から、乳化重合凝集法を用いることが好ましい。乳化重合凝集法は、乳化重合法によって製造された結着樹脂よりなる微粒子(以下、「結着樹脂微粒子」ともいう)の分散液を、着色剤よりなる微粒子(以下、「着色剤微粒子」ともいう。)の分散液と混合し、pH調整による微粒子表面の反発力と電解質体よりなる凝集剤の添加による凝集力とのバランスを取りながら緩慢に凝集させ、平均粒径及び粒度分布を制御しながら会合を行うと同時に、加熱撹拌することで微粒子間の融着を行って形状制御を行うことにより、トナー粒子を製造する方法である。
(1)着色剤が微粒子状に分散された着色剤微粒子の分散液を調製する着色剤微粒子分散液調製工程、(2−1)離型剤、荷電制御剤などを含有したコア結着樹脂よりなる結着樹脂微粒子を得て、この分散液を調製するコア結着樹脂微粒子重合工程、(2−2)シェル樹脂よりなる樹脂微粒子を得てこの分散液を調製するシェル樹脂微粒子重合工程、(3)コア結着樹脂微粒子と着色剤微粒子とを水系媒体中で凝集、融着させてコア粒子となるべき会合粒子を形成する凝集・融着工程、(4)会合粒子を熱エネルギーにより熟成させて形状を制御し、コア粒子を得る第1の熟成工程、(5)コア粒子の分散液中に、シェル層を形成すべきシェル樹脂微粒子を添加してコア粒子の表面に当該シェル樹脂微粒子を凝集、融着させてコアシェル構造の粒子を形成するシェル層形成工程、(6)コアシェル構造の粒子を熱エネルギーにより熟成させて形状を制御し、コアシェル構造の着色粒子を得る第2の熟成工程、(7)冷却された着色粒子の分散系(水系媒体)から着色粒子を固液分離し、当該着色粒子から界面活性剤などを除去するろ過、洗浄工程、(8)洗浄処理された着色粒子を乾燥する乾燥工程から構成され、必要に応じて乾燥工程の後に、(9)乾燥処理された着色粒子に外添剤を添加してトナー粒子を得る外添剤処理工程を加えてもよい。
以下、コアシェル構造を有するトナーを得るためのトナーの各製造工程について説明する。
この工程においては、水系媒体中に着色剤である顔料を添加して分散機によって分散処理することにより、着色剤が微粒子状に分散された着色剤微粒子の分散液を調製する処理が行われる。具体的には、着色剤の分散処理は後述する様に界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態の水系媒体中で行われる。分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは、超音波分散機、機械式ホモジナイザ、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザ等の加圧分散機、サンドグラインダ、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミルなどの媒体型分散機が挙げられる。
この着色剤微粒子分散液における着色剤微粒子の分散径は、体積基準のメジアン径で40〜200nmであることが好ましい。
この工程においては、重合処理を行って離型剤、荷電制御剤などを含有したコア結着樹脂よりなる結着樹脂微粒子の分散液を調製する処理が行われる。
この工程における重合処理の好適な一例においては、臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体中に、必要に応じて離型剤、荷電制御剤などが含有された重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで水溶性の重合開始剤を添加し、当該液滴中において重合反応を進行させる。なお、前記液滴中に油溶性重合開始剤が含有されていてもよい。この様な工程においては、機械的エネルギーを付与して強制的な乳化(液滴の形成)を行う処理が必須となる。かかる機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサ、超音波、マントンゴーリンなどの強い撹拌または超音波振動エネルギーの付与手段を挙げることができる。
ここで、上記着色剤微粒子分散液やコア結着樹脂微粒子の重合時に使用する水系媒体に用いられる界面活性剤について説明する。
界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウムなど)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなど)などのイオン性界面活性剤を好適なものとして例示することができる。また、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールとのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドとのエステル、ソルビタンエステルなどのノニオン性界面活性剤も使用することができる。
以下、コア結着樹脂微粒子重合工程で使用される重合開始剤、連鎖移動剤、荷電制御剤について説明する。
水溶性の重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素などを挙げることができる。
また、油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などが挙げられる。
この重合工程においては、得られるコア結着樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく、例えばn−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル等のメルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、および、α−メチルスチレンダイマー等が使用される。
トナー粒子中には、必要に応じて荷電制御剤が含有されていてもよい。荷電制御剤としては、公知の種々の化合物を用いることができる。
この工程においては、コア結着樹脂微粒子として着色剤を含有したものを製造してもよい。着色剤によって着色されたコア結着樹脂微粒子は、着色剤を含有する重合性単量体組成物を重合処理することにより得られる。予め着色剤によって着色されたコア結着樹脂微粒子を用いる場合、(1)の着色剤微粒子分散液調製工程を行うことなく、後述する(3)の凝集・融着工程においてこの着色されたコア結着樹脂微粒子を凝集させることによって着色されたコア粒子を得ることができる。
この工程においては、上記(2−1)のコア結着樹脂微粒子重合工程と同様に重合処理を行って、シェル樹脂よりなるシェル樹脂微粒子の分散液を調製する処理が行われる。
この工程は、コア結着樹脂微粒子と着色剤微粒子とを水系媒体中で凝集、融着させてコア粒子となるべき会合粒子を形成する工程である。この工程における凝集、融着の方法としては、(1)の着色剤微粒子分散液調製工程により得られた着色剤微粒子、及び、(2−1)のコア結着樹脂微粒子重合工程により得られたコア結着樹脂微粒子を用いた塩析/融着法が好ましい。また、当該凝集・融着工程においては、コア結着樹脂微粒子や着色剤微粒子とともに離型剤微粒子や荷電制御剤などの内添剤微粒子を凝集、融着させることができる。
ここで、「塩析/融着」とは、凝集と融着を並行して進め、所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、さらに、必要に応じて粒子形状を制御するための加熱を継続して行うことをいう。
また、塩析剤をコア結着樹脂微粒子のガラス転移温度以下で加え、その後にできるだけ速やかに昇温し、コア結着樹脂微粒子のガラス転移温度以上であって、かつ、コア結着樹脂微粒子と着色剤微粒子の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱する。この昇温までの時間としては1時間未満が好ましい。さらに、昇温を速やかに行う必要があるが、昇温速度としては、0.25℃/分以上が好ましい。上限としては特に明確ではないが、瞬時に温度を上げると塩析が急激に進行するため、粒径制御がやりにくいという問題があり、5℃/分以下が好ましい。以上の塩析/融着法により、コア結着樹脂微粒子及び任意の微粒子が塩析/融着されてなる会合粒子(コア粒子)の分散液が得られる。
また、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらのうち、生成される樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
この工程においては、会合粒子を熱エネルギーにより熟成させる熟成処理が行われる。そして、凝集・融着工程の加熱温度や特に第1の熟成工程の加熱温度と時間を制御することにより、粒径が一定で分布が狭く形成されたコア粒子表面が平滑だが均一的な形状を有するものになる様に制御することができる。具体的には、凝集・融着工程で加熱温度を低めにしてコア結着樹脂微粒子同士の融着の進行を抑制させて均一化を促進させ、第1の熟成工程で加熱温度を低めに、かつ、時間を長くしてコア粒子の表面が均一な形状のものに制御する。
このシェル層形成工程では、コア粒子の分散液中にシェル樹脂微粒子の分散液を添加してコア粒子の表面にシェル樹脂微粒子を凝集、融着させ、コア粒子の表面にシェル樹脂微粒子を被覆させてコアシェル構造の粒子を形成するシェル化処理が行われる。
このシェル層形成工程は、低温定着性と耐熱保存性の両方の性能を付与するための好ましい製造条件である。また、カラー画像を形成する場合に、二次色について高い色再現性を得るために、このシェル層形成を行うことが好ましい。
具体的には、コア粒子の分散液を上記凝集・融着工程及び第1の熟成工程における加熱温度を維持した状態でシェル樹脂微粒子の分散液を添加し、加熱撹拌を継続しながら数時間かけてゆっくりとシェル樹脂微粒子をコア粒子表面に被覆させてコアシェル構造の粒子を形成させる。加熱撹拌時間は、1〜7時間が好ましく、3〜5時間が特に好ましい。
シェル層形成工程によりコアシェル構造の粒子が所定の粒径になった段階で塩化ナトリウムなどの停止剤を添加して粒子成長を停止させ、その後もコア粒子に付着させたシェル樹脂微粒子を融着させるために数時間加熱撹拌を継続する。そして、コア粒子の表面を被覆するシェル樹脂微粒子による層の厚さを100〜300nmとする。このようにして、コア粒子の表面に樹脂微粒子を固着させてシェル層を形成し、丸みを帯び、しかも形状の揃ったコアシェル構造の着色粒子が形成される。
本発明の画像形成方法に係るトナーの製造方法では、第2の熟成工程の時間を長めに設定したり、熟成温度を高めに設定することで着色粒子の形状を真球方向に制御することが可能である。
この工程においては、先ず、前記着色粒子の分散液を冷却処理する。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却することが好ましい。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
次いで、所定温度まで冷却された着色粒子の分散液から当該着色粒子を固液分離し、その後、固液分離されたトナーケーキ(ウエット状態にある着色粒子をケーキ状に凝集させた集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理が施される。ここで、ろ過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧ろ過法、フィルタープレス等を使用して行うろ過法など特に限定されるものではない。
この工程は、洗浄処理されたトナーケーキを乾燥処理し、乾燥された着色粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥処理された着色粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2質量%以下とされる。なお、乾燥処理された着色粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
本発明の画像形成方法に用いられるトナーとなる着色粒子は、そのままでトナー粒子を構成することができるが、流動性、帯電性の改良及びクリーニング性の向上などの目的でいわゆる外添剤を添加してなるトナー粒子にすることができる。これら外添剤としては特に限定されるものではなく、種々の無機微粒子や有機微粒子、及び、脂肪族金属塩を使用することができる。
上記無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナなどの無機酸化物粒子を使用することが好ましく、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤などによって疎水化処理されていることが好ましい。
また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形のものを使用することができる。この有機微粒子としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体を使用することができる。
これら外添剤の添加割合は、トナーにおいて0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜4.0質量%となる割合である。また、外添剤は種々のものを組み合わせて使用してもよい。
本発明の画像形成方法に使用可能な画像支持体としては、トナー像を保持することができる支持体であれば限定されない。具体的には、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙、あるいは、コート紙などの塗工された印刷用紙、市販の和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布、PETシートなどの各種支持体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の画像形成方法に係るトナーは、非磁性の一成分現像剤として使用することができるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用することもできる。トナーを二成分現像剤として使用する場合、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとして、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアやバインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなるバインダー型キャリアなどを用いることもできる。
コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル系共重合体樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、バインダー型キャリアを構成するバインダー樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレン−アクリル系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
本発明の画像形成方法は、少なくとも特定のライトグレートナーおよび黒トナーを含む1組のトナーを用いるものであって、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成工程と、黒トナー像を形成するために黒トナーにより静電潜像を現像する現像工程と、ライトグレートナー像を形成するためにライトグレートナーにより静電潜像を現像する現像工程と、黒トナー像およびライトグレートナー像を定着する定着工程とを含むものであり、カラー画像を形成する場合においては、イエロートナーおよび/またはシアントナーおよび/またはマゼンタトナーよりなるカラートナーによる現像工程およびカラートナー像を定着する定着工程が行われる。具体的には、静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーにより顕像化して形成されるトナー像を画像支持体に直接転写する工程を、互いに異なる色のトナーを用いて2回以上繰り返して画像支持体上にトナー像を形成することにより、トナー像を担持した画像支持体を得、このトナー像を画像支持体に定着させることにより行われる。
図1は、本発明の画像形成方法において用いられる画像形成装置の構成の一例を示す説明用断面図である。
この画像形成装置は、5組の画像形成ユニット18Y、18M、18C、18G、18Bkが搬送ベルト15Aに沿って設けられた構成の、中間転写体を用いない、いわゆる直接転写方式のフルカラー画像形成装置である。
なお、図1において、19Y、19M、19C、19G、19Bkは、クリーニング器である。
また、搬送ベルト15Aの表面は、適当に粗面化されていることが好ましく、例えば十点表面粗さRzを0.5〜2μmにすることが好ましい。搬送ベルト15Aをその表面がこのように粗面化されたものとすることにより、画像支持体Pと搬送ベルト15Aとの密着性が高いものとなり、搬送ベルト15A上における画像支持体Pの揺動が抑止され、感光体ドラム10Y、10M、10C、10G、10Bkから画像支持体Pへのトナー像の転写性を良好なものとすることができる。
そして、定着装置16において、加熱ロール16aおよび加圧ロール16bにより形成されるニップ部Nに画像支持体Pが挟持されて熱と圧力とが加えられることにより、画像支持体P上の重ね合わせたカラートナー像が定着された後、機外へ排出される。
定着装置16における定着温度は、110〜200℃が好ましく、さらに好ましくは、120〜160℃である。
なお、本発明の画像形成方法は、上記に限定されるものではなく、例えば、静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、当該静電潜像をトナーにより顕像化させてトナー像を得、このトナー像を中間転写体に転写した後、紙などの画像支持体上に転写し、これを定着させて画像を形成するいわゆる中間転写方式による画像形成方法などを挙げることができる。
具体的には、中間転写方式の画像形成装置による画像形成方法においては、黒トナーによる現像工程、ライトグレートナーによる現像工程の順序で行われることが好ましく、図1に示すような直接転写方式の画像形成装置による画像形成方法においては、ライトグレートナーによる現像工程、黒トナーによる現像工程の順序で行われることが好ましい。このような順序の現像工程が行われることにより、ソフトに表現したい部分には、より連続的な階調性が得られ、シャープに表現したい部分には、明瞭な輪郭を与えることができる。
また、カラー画像を形成する場合においては、画像支持体上に形成された定着画像において、ライトグレートナーによる画像が、カラートナーによる画像よりも上層側に重なるように規定された順序で各現像工程が行われることが好ましい。
具体的には、中間転写方式の画像形成装置による画像形成方法においては、ライトグレートナーによる現像工程、イエロートナーによる現像工程、シアントナーによる現像工程、マゼンタトナーによる現像工程の順序で行われることが好ましく、図1に示すような直接転写方式の画像形成装置による画像形成方法においては、イエロートナーによる現像工程、シアントナーによる現像工程、マゼンタトナーによる現像工程、ライトグレートナーによる現像工程の順序で行われることが好ましい。以上のような順序の現像工程が行われることにより、前述したように、ライトグレートナー像をカラートナー像に重ねて画像を形成した場合において、下層のカラートナー像のくすみの程度をライトグレートナーの付着量とドットが重なる面積率によって調整することができる。
〔樹脂粒子Aの作製〕
(第一段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8gをイオン交換水3Lに溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10gをイオン交換水200gに溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃とし、
スチレン 480g
n−ブチルアクリレート 250g
メククリル酸 68.0g
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 16.0g
よりなる単量体混合液を1時間かけて滴下後、80℃で2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子〔1H〕を調製した。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7gをイオン交換水800mLに溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱後、上記樹脂粒子〔1H〕260gと、
スチレン 245g
n−ブチルアクリレート 120g
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 1.5g
パラフィンワックスA 95g
エステルワックスA 480g
よりなる単量体混合物を90℃で溶解させた溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)により1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6gをイオン交換水200mLに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃で1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子〔1HM〕を得た。
さらに、過硫酸カリウム11gをイオン交換水400mLに溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、
スチレン 435g
n−ブチルアクリレート 130g
メタクリル酸 33g
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8g
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却して樹脂粒子〔A〕を得た。
(第一段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム2.3gをイオン交換水3Lに溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10gをイオン交換水200gに溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃とし、
スチレン 520g
n−ブチルアクリレート 210g
メタクリル酸 68.0g
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 16.0g
よりなる単量体混合液を1時間かけて滴下後、80℃で2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子〔B〕を調製した。
ドデシル硫酸ナトリウム90gをイオン交換水1600mLに撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、着色剤としてカーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)42gを徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子の分散液(以下、「着色剤分散液〔1〕」という。)を調製した。この着色剤分散液〔1〕における着色剤微粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、樹脂粒子〔A〕を固形分換算で300gと、イオン交換水1400gと、着色剤分散液〔1〕120gと、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3gをイオン交換水120mLに溶解させた溶液を仕込み、液温を30℃に調整した後、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム35gをイオン交換水35mLに溶解した水溶液を、撹拌下、30℃で10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて90℃まで昇温し、90℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で、「コールターマルチサイザーIII 」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径が3.1μmになった時点で樹脂粒子〔B〕を260g添加し、さらに粒子成長反応を継続させた。所望の粒子径になった時点で、塩化ナトリウム150gをイオン交換水600mLに溶解させた水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、融着工程として液温度98℃にて加熱撹拌することにより、「FPIA−2100」(Sysmex社製)による測定で円形度0.965になるまで、粒子間の融着を進行させた。その後、液温30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを4.0に調整し、撹拌を停止した。
凝集・融着工程において生成させた粒子をバスケット型遠心分離機「MARK III 型式番号60×40」(松本機械(株)製)で固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥してトナー母体粒子〔1〕を作製した。
上記のトナー母体粒子〔1〕に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量%および疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、本発明に係るライトグレートナー〔1〕を作製した。なお、ライトグレートナー〔1〕の軟化点は110℃であった。
ライトグレートナーの製造例1において、着色剤および各離型剤の仕込み量を表1に示す処方に従って変更したこと以外は同様にしてライトグレートナー〔2〕〜〔9〕を作製した。なお、ライトグレートナー〔2〕〜〔5〕が本発明に係るものであり、ライトグレートナー〔6〕〜〔9〕は比較用のものである。なお、ライトグレートナー〔2〕〜〔9〕の軟化点は110℃であった。
上記のライトグレートナー〔1〕〜〔9〕の各々に、シリコーン樹脂を被覆した体積基準のメジアン径60μmのフェライトキャリアを、ライトグレートナーの濃度が6質量%になるようV型混合機によって混合し、ライトグレー現像剤〔1〕〜〔9〕を調製した。
黒着色剤として、「リーガル330R」(キャボット社製)1680gを使用した他はライトグレートナーの製造例1と同様にして、黒トナー〔1〕を作製した。
イエロー着色剤として、「C.I.ピグメントイエロー74」1680gを使用した他はライトグレートナーの製造例1と同様にして、イエロートナー〔1〕を作製した。
シアン着色剤として、上記式(1−2)で表されるケイ素フタロシアニン化合物1600gを使用した他はライトグレートナーの製造例1と同様にして、シアントナー〔1〕を作製した。
マゼンタ着色剤として、上記式(3−2)で表される化合物1720gを使用した他はライトグレートナーの製造例1と同様にして、マゼンタトナー〔1〕を作製した。
上記の黒トナー〔1〕、イエロートナー〔1〕、シアントナー〔1〕およびマゼンタトナー〔1〕の各々に、シリコーン樹脂を被覆した体積基準のメジアン径60μmのフェライトキャリアを、各々のトナーの濃度が6質量%になるようV型混合機によって混合し、黒現像剤〔1〕、イエロー現像剤〔1〕、シアン現像剤〔1〕およびマゼンタ現像剤〔1〕を調製した。
以上のようにして得られたライトグレー現像剤〔1〕〜〔9〕の各々と、黒現像剤〔1〕、イエロー現像剤〔1〕、シアン現像剤〔1〕およびマゼンタ現像剤〔1〕とを用いて、デジタル方式による複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)を改造して、ライトグレートナーの画像形成ユニットを設けたものに、各現像剤を投入した現像装置を装填して下記(1)および(2)の評価を行った。なお、定着工程における定着温度は、180℃にて行った。また、上述した手順により測定したライトグレートナーによるPETシート上に形成されたライトグレートナー付着量4.0g/m2 の定着画像部分において測定される透過率の値を表1に示す。
写真画像ハイライト部(銀食器の反射光部分)と比較用に組み込んだ黒色高濃度パッチ画像をプリンタモードで出力し、両者の光沢を比較し、光沢差として下記式により算出し、下記の基準で評価した。ここに、前記写真画像ハイライト部はライトグレートナーにより形成し、前記黒色高濃度パッチ画像は黒トナーにより形成した。
光沢度計は「PG−3G」(日本電色工業社製;入射角75度)を用いて測定を行った。測定画像の中央部および四隅の5点の平均値を光沢度とした。
式:光沢差=〔黒色高濃度パッチ画像の75度光沢度〕−〔写真画像ハイライ卜部の1回定着面(表面)の75度光沢度〕
A; 光沢差≦3
B; 3<光沢差≦6
C; 6<光沢差≦10
D;10<光沢差
Web Safe Colorのソフトトーンのカラーコード、#cc6666、#cc9966、#cccc66、#99cc66、#66cc66、#66cc99、#66cccc、#6699ccのパッチ画像をプリンタモード出力し、それぞれの粒状性を総合的に判定した。以下の基準で評価した。
A;ルーペ(倍率10倍)で見てもきめが細かく、均一なハーフトーン画像が再現されている。
B;肉眼ではほとんど判別できないが、ルーペで見ると若干粒状性による荒れがある。
C;肉眼で粒状性による荒れが判別できるが、画像として許容できる。
D;肉眼で粒状性による荒れがひどく、がさついた画像に見える。
Web Safe Colorのダルトーンのカラーコード、#996666、#999966、#669966、#669999、#666699、#996699のパッチ画像をプリンタモード出力し、それぞれの粒状性を総合的に判定した。以下の基準で評価した。
A;ルーペ(倍率10倍)で見てもきめが細かく、均一なハーフトーン画像が再現されている。
B;肉眼ではほとんど判別できないがルーペで見ると若干粒状性による荒れがある。
C;肉眼で粒状性による荒れが判別できるが画像として許容できる。
D;肉眼で粒状性による荒れがひどく、がさついた画像に見える。
また、表1において、離型剤に含まれるワックスの融点・分子量は下記の通りである。
パラフィンワックスA;融点65℃・分子量ピーク位置420
パラフィンワックスB;融点105℃・分子量ピーク位置1780
パラフィンワックスC;融点75℃・分子量ピーク位置900
エステルワックスA(パルミチン酸ステアリル);融点65℃・分子量ピーク位置480
エステルワックスB(トリコンタン酸トリアコンタリル);融点94℃・分子量ピーク位置790
カラム;東ソー社製 TSKgel G2000HXL×3本、40℃
溶離液;THF 1.0(ml/min)
検出;RI
較正曲線;標準ポリスチレン、n−ヘキシルベンゼン
11Y、11M、11C、11G、11Bk 帯電器
12Y、12M、12C、12G、12Bk 露光器
13Y、13M、13C、13G、13Bk 現像器
14Y、14M、14C、14G、14Bk 転写器
15A 搬送ベルト
15B AC除電器
15C 分離爪
15D 搬送部
16 定着装置
16a 加熱ロール
16b 加圧ロール
18Y、18M、18C、18G、18Bk 画像形成ユニット
19Y、19M、19C、19G、19Bk クリーニング器
N ニップ部
P 画像支持体
Claims (7)
- 1組の静電荷像現像用トナーを用いるデジタル電子写真方式による画像形成方法であって、
前記1組の静電荷像現像用トナーは、黒トナーとライトグレートナーを含み、この黒トナーとライトグレートナーが、各々、結着樹脂、着色剤および離型剤を含有するトナー粒子よりなり、
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
黒トナー像を形成するために前記黒トナーにより静電潜像を現像する現像工程と、
ライトグレートナー像を形成するために前記ライトグレートナーにより静電潜像を現像する現像工程と、
黒トナー像およびライトグレートナー像を定着する定着工程とを含み、
前記黒トナーは、離型剤として、60〜105℃の範囲に吸熱ピークを有するワックスを含有し、
前記ライトグレートナーは、ポリエチレンレテフタレートシート上に形成されたライトグレートナー付着量4.0g/m2 のライトグレートナーによる定着画像部分において測定される透過率が40〜90%の範囲にあり、かつ、ライトグレートナーは、離型剤として、60〜105℃の範囲に吸熱ピークを有するワックスを含有することを特徴とする画像形成方法。 - 画像支持体上に形成された定着画像において、黒トナーによる画像が、ライトグレートナーによる画像よりも上層側に重なるよう規定された順序で各現像工程が行われることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記静電荷像現像用トナーの軟化点が70〜120℃であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成方法。
- 前記1組の静電荷像現像用トナーが、イエロートナーおよび/またはシアントナーおよび/またはマゼンタトナーよりなるカラートナーをさらに含み、
カラートナー像を形成するために前記カラートナーにより静電潜像を現像する現像工程およびカラートナー像を定着する定着工程が行われ、
画像支持体上に形成された定着画像において、ライトグレートナーによる画像が、カラートナーによる画像よりも上層側に重なるように規定された順序で各現像工程が行われることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像形成方法。 - 前記イエロートナーが、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー74を含むことを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。
- 前記シアントナーが、着色剤として下記一般式(1)で表されるケイ素フタロシアニン化合物を含むことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の画像形成方法。
〔一般式(1)中、Mは、ケイ素原子を示し、A1 〜A4 は、各々独立に、ベンゼン環を構成する原子団、または、塩素原子、ニトロ基、シアノ基およびパーフルオロ基のいずれかで置換されたベンゼン環を構成する原子団を示し、Z1 およびZ2 は、各々独立に、ヒドロキシ基、塩素原子、炭素数6〜18のアリールオキシ基、炭素数1〜22のアルコキシ基、または下記一般式(2)で表される基を示す。〕
一般式(2);−O−Si(R1 )(R2 )(R3 )
〔一般式(2)中、R1 〜R3 は、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または炭素数6〜18のアリールオキシ基を示す。〕 - 前記マゼンタトナーが、着色剤として下記一般式(3)で表される化合物を含むことを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれかに記載の画像形成方法。
〔一般式(3)中、R4 〜R10は、各々独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示し、A- は、塩素イオン、炭素数1〜22のカルボン酸イオン、または下記一般式(4)〜一般式(6)で表される原子団を示す。mは、1または2の整数である。〕
〔一般式(4)〜一般式(6)中、R11〜R13は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、Z3 〜Z9 は、各々独立に、水素原子、アルキル基、−SO3 -基を示す。但し、1原子団につき、少なくとも1つのZが−SO3 -基である。〕
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