JP2010156387A - ショックアブソーバおよびサスペンション装置 - Google Patents

ショックアブソーバおよびサスペンション装置 Download PDF

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正弘 米谷
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Abstract

【課題】サスペンション装置に好適に採用可能なビスカスカップリング機構を有するショックアブソーバを提供する。
【解決手段】ショックアブソーバ1は、粘性流体を収容する作動室8を形成するシリンダ4と、シリンダ4に対して当該シリンダ4の軸方向に相対移動可能に挿通されたロッド6とを備えている。ショックアブソーバ1は、ロッド6のシリンダ4に対する相対移動に応じて作動室8内の粘性流体に生じるせん断力によって、減衰力を発生させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ショックアブソーバおよびサスペンション装置に関する。特にビスカスカップリング機構を有するショックアブソーバ、および当該ショックアブソーバを搭載したサスペンション装置に関する。
従来、車両のボデー部とシャシー部とをコイルスプリングとショックアブソーバとで連結した構成を備えた車両が一般に多く普及している(例えば、特許文献1参照)。この構成では、コイルスプリングのばね力により車体の上下変位を抑制するとともに、ショックアブソーバの上下ストロークにより減衰力を発生させて車体の上下振動を緩衝している。このような構成に用いられるショックアブソーバは、一般に、作動液が充填されたシリンダと、シリンダに挿入され、先端にピストンが連結されたロッドとを備えている。ピストンにはポートが設けられており、ロッドの軸方向の移動にともなってピストンがシリンダ内を摺動すると、作動液がポートを流れ、その際に生じる流動抵抗によってショックアブソーバは減衰力を発生させている。
一方、減衰力を発生させる構成として、ビスカスカップリングが知られている(例えば、特許文献1参照)。ビスカスカップリングは、ロッドに設けたプレートと、シリコンオイル等の粘性流体が封入された中空ケーシング内に設けたプレートとを差動回転させ、その回転差に応じて粘性流体に生じるせん断力によって減衰力を発生させるものである。特許文献1には、車両の急旋回時に発生するロールに起因して左右の車輪が互いに逆向きに上下動する振動を減衰するためのロールダンパ装置にビスカスカップリングを採用した構成が提案されている。
特許第2803870号公報
ビスカスカップリングは、オイル漏れを起こさない等の優れた点を有する。そのため、ビスカスカップリングを車体の上下振動を減衰するためのショックアブソーバに適用したいとの要望があり得る。上述したような、車両のボデー部とシャシー部とをコイルスプリングとショックアブソーバとで連結した従来構造にビスカスカップリングを適用しようとした場合、次のような問題があることを本発明者は認識するに至った。
すなわち、車体の上下振動をビスカスカップリングのロッドと中空ケーシングの回転運動に変換するために、例えば、ボールねじ機構、ラック・アンド・ピニオン機構、ハイポイドギア機構等の運動変換機構を設ける必要があった。そのため、ショックアブソーバが大型化してしまうという問題があった。また、所望の減衰力を得るために、プレート同士が重なり合う領域の面積を確保しなければならないため、これによりビスカスカップリング自体の大きさも大型化してしまう場合があった。
本発明は本発明者によるこうした認識に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、サスペンション装置に好適に採用可能なビスカスカップリング機構を有するショックアブソーバを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のショックアブソーバは、粘性流体を収容する作動室を形成するシリンダと、前記シリンダに対して当該シリンダの軸方向に相対移動可能に挿通されたロッドと、を備え、前記ロッドの前記シリンダに対する相対移動に応じて前記粘性流体に生じるせん断力によって、減衰力を発生させることを特徴とする。
この態様によれば、サスペンション装置に好適に採用可能なビスカスカップリング機構を有するショックアブソーバを提供することができる。
上記態様において、前記ロッドに連結された複数の第1突出部と、前記シリンダに連結されて前記作動室において前記第1突出部と交互に配置された複数の第2突出部と、を備えていてもよい。この態様によれば、ショックアブソーバの大型化を抑えるとともに、より大きな減衰力を発生させることができる。
上記態様において、前記第1突出部は、前記ロッドの軸周りに所定の間隔をおいて連結され、前記ロッドの径方向に突出するとともに軸方向に延び、前記第2突出部は、前記シリンダの軸周りに所定の間隔をおいて連結され、前記シリンダの径方向に突出するとともに軸方向に延びていてもよい。この態様によっても、ショックアブソーバの大型化を抑えるとともに、より大きな減衰力を発生させることができる。
上記態様において、前記ロッドの軸を中心として同心円状に配置されて、前記ロッドに連結された複数の第1円筒状フィンと、前記シリンダに連結されて前記作動室において前記第1円筒状フィンと交互に配置された複数の第2円筒状フィンと、を備えていてもよい。この態様によっても、ショックアブソーバの大型化を抑えるとともに、より大きな減衰力を発生させることができる。
上記態様において、前記ロッドにおける軸方向の運動の一部を回転運動に変換する運動変換部を備えたてもよい。この態様によれば、ショックアブソーバの大型化を抑えるとともに、より大きな減衰力を発生させることができる。
上記態様において、前記シリンダと前記ロッドとの間に配置され、前記ロッドに対して当該ロッドの軸方向に相対移動可能に連結されたリング部材を備え、前記ロッドと前記リング部材との相対移動で減衰力を発生させる第1状態と、前記リング部材を前記ロッドと共に移動させ、前記シリンダと前記リング部材との相対移動で減衰力を発生させる第2状態とを有していてもよい。この態様によれば、ショックアブソーバの大型化を抑えるとともに、減衰力を柔軟に変化させることができる。
上記態様において、前記リング部材は、当該リング部材の上端に連結された第1弾性体と、前記リング部材の下端に連結された第2弾性体とを介して前記ロッドに連結されており、前記第1弾性体と前記第2弾性体とは、弾性率が異なっていてもよい。この態様によれば、ショックアブソーバの大型化を抑えるとともに、減衰力を柔軟に変化させることができる。
上記態様において、前記ロッドは、前記リング部材の移動範囲内の所定領域における径が、前記移動範囲内の他の領域における径と異なっていてもよい。この態様によれば、ショックアブソーバの大型化を抑えるとともに、減衰力を柔軟に変化させることができる。
上記態様において、前記ロッドの外周面に連結されたロッド突出部と、前記リング部材の内周面に連結されて前記作動室において前記ロッド突出部と交互に配置された複数のリング内周面側突出部と、を備えていてもよい。この態様によれば、ショックアブソーバの大型化を抑えるとともに、より大きな減衰力を発生させることができる。
上記態様において、前記リング部材の外周面に連結されたリング外周面側突出部と、前記シリンダの内周面に連結されて前記作動室において前記リング外周面側突出部と交互に配置された複数のシリンダ突出部と、を備えていてもよい。この態様によれば、ショックアブソーバの大型化を抑えるとともに、より大きな減衰力を発生させることができる。
本発明の別の態様は、サスペンション装置である。このサスペンション装置は、上述のいずれかの態様のショックアブソーバを備えたことを特徴とする。このサスペンション装置によれば、車両の乗り心地を向上させることができる。
本発明によれば、サスペンション装置に好適に採用可能なビスカスカップリング機構を有するショックアブソーバを提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るショックアブソーバの概略断面図である。図2は、図1におけるA−A線上の断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るショックアブソーバ1は自動車のサスペンション装置に好適に用いられ、筐体となるシェル2と、シェル2内に設けられたシリンダ4と、シリンダ4に挿通されたロッド6と、を備える。
シェル2は中空の円筒状部材であり、その内部にはシリンダ4が配設されている。シリンダ4は、シェル2と同様に中空の円筒状部材であり、その内部にはシリコンオイル等の粘性流体が充填された作動室8が形成されている。また、シリンダ4は、軸方向の3つの部材に分割されており、上側と下側の支持部4aの間に、後述する第2突出部40が固定されたフィン固定部4bが配置され、フィン固定部4bが上下の支持部4aに挟持された構造を有する。なお、シリンダ4の構造は特に限定されず、シリンダ4は一つの部材から構成されていてもよい。
ロッド6は、シリンダ4に対して、シリンダ4の軸心を通り、かつシリンダ4の軸方向に相対移動可能に挿通されている。ロッド6は、外部からの力を受けてシリンダ4の軸方向、すなわちロッド6の軸方向に摺動しする。ロッド6は、シリンダ4の車両ボデー100側に設けられた環状のロッドガイド10と、シリンダ4のシャシー(図示せず)側に設けられた環状のロッドガイド12によって摺動可能に支持されている。また、作動室8は、車両ボデー100側は環状のオイルシール14によって液密に封止され、シャシー側はロッドガイド12によって液密に封止されている。
ロッド6の車両ボデー100側の端部は、軸受16を介してアッパーサポート18に連結されており、アッパーサポート18はナット20がロッド6端部に螺合することによってロッド6にネジ止め固定されている。また、アッパーサポート18は、所定の位置に貫通孔を有し、車両ボデー100に設けられた固定用突起102が当該貫通孔に挿入されている。そして、ナット22、24が固定用突起102に螺合することで、アッパーサポート18が車両ボデー100にネジ止め固定されている。ロッド6のシャシー側の端部は自由端となっており、シェル2のシャシー側の端部(図示せず)が、シャシーに連結されている。
ロッド6には、複数の第1突出部30が連結され、シリンダ4には複数の第2突出部40が連結されている。図2に示すように、第1突出部30および第2突出部40は、作動室8において交互に配置されている。本実施形態では、第1突出部30は、ロッド6の軸周りに所定の間隔をおいて連結され、ロッド6の径方向に突出するとともに、ロッド6の軸方向に延在している。また、第2突出部40は、シリンダ4のフィン固定部4bの軸周りに所定の間隔をおいて連結され、シリンダ4の径方向に突出するとともに、シリンダ4の軸方向に延在している。すなわち、第1突出部30および第2突出部40は、それぞれ軸方向に延びる平板フィンである。
第1突出部30は、例えば溶接によりロッド6の外周面に連結されている。また、第2突出部40は、その一端がフィン固定部4bの内周面に設けられた凹部5に嵌合し、これによりシリンダ4の内周面に連結されている。シリンダ4の内側に、シリンダ4に対して相対回転可能にカラー(図示せず)を設け、当該カラーに第2突出部40を設けてもよい。なお、第1突出部30および第2突出部40は、例えば図7に示すように径方向の断面視で三角形状であって、それぞれロッド6およびフィン固定部4bに一体的に設けられていてもよい。また、第1突出部30および第2突出部40の形状は、半円形状等であってもよい。
上述のような構成において、本実施形態に係るショックアブソーバ1は、ロッド6がシリンダ4に対してシリンダ4の軸方向、すなわちロッド6の軸方向に相対移動し、この相対移動に応じて作動室8に封入された粘性流体にせん断力が生じ、これにより減衰力を発生させている。また、作動室8において、第1突出部30と第2突出部40とが互いに所定の間隔を置いて設けられているため、粘性流体に生じるせん断力が増大し、より大きな減衰力を発生させることができる。ショックアブソーバ1が発生させる減衰力は、第1突出部30および第2突出部40の配設数、厚さ等を調整することで調整可能である。また、ロッド6の外周面とシリンダ4の内周面との相対移動のみによって十分な減衰力が得られる場合には、第1突出部30および第2突出部40を設けなくてもよい。この場合は、ロッド6とシリンダ4との間隔を調整することで、すなわち、ロッド6およびシリンダ4の径を調整することで、ショックアブソーバ1が発生させる減衰力を調整可能である。
以上説明した構成による作用効果を総括すると、本実施形態に係るショックアブソーバ1は、粘性流体を収容する作動室8を形成するシリンダ4と、シリンダ4に対してシリンダ4の軸方向に相対移動可能に挿通されたロッド6とを備えている。そして、ロッド6をシリンダ4に対して相対移動させた際に粘性流体に生じるせん断力によって、減衰力を発生させている。これによれば、車両ボデー100とシャシーとをコイルスプリングとショックアブソーバとで連結した従来構造にビスカスカップリング機構を有するショックアブソーバを適用する際に、ショックアブソーバの大型化を回避することができる。そのため、本実施形態に係るショックアブソーバ1は、サスペンション装置に好適に採用可能である。また、本実施形態に係るショックアブソーバ1をサスペンション装置に採用した場合には、サスペンション装置を小型にできるため、当該サスペンション装置を車両に搭載した場合には、サスペンション装置の設置スペースが縮小され、車両の居住スペースを拡大することができる。その結果、車両における居住性を向上させることができる。
また、ロッド6に第1突出部30が連結され、シリンダ4に第2突出部40が連結されているため、ショックアブソーバの大型化を抑えるとともに、より大きな減衰力を発生させることができる。また、第1突出部30が、ロッド6の軸周りに所定の間隔をおいて連結され、ロッド6の径方向に突出するとともに軸方向に延び、第2突出部40がシリンダ4の軸周りに所定の間隔をおいて連結され、シリンダ4の径方向に突出するとともに軸方向に延びた構成を有する場合においても、ショックアブソーバの大型化を抑えるとともに、より大きな減衰力を発生させることができる。
(実施形態2)
実施形態2に係るショックアブソーバは、ロッド軸を中心として同心円状に配置された第1円筒状フィンと、第1円筒状フィンと交互に配置された第2円筒状フィンとを備えた点と、ロッドの軸方向運動の一部を回転運動に変換する運動変換部を備えた点が実施形態1と異なる。以下、本実施形態について説明する。なお、ショックアブソーバのその他の構成は実施形態1と基本的に同一である。実施形態1と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は適宜省略する。
図3は、実施形態2に係るショックアブソーバの概略断面図である。図4は、図3におけるB−B線上の断面図である。
図3に示すように、本実施形態に係るショックアブソーバ1は、シェル2と、シェル2内に設けられたシリンダ4と、シリンダ4に挿通されたロッド6と、を備える。シリンダ4の内部には粘性流体が充填された作動室8が形成されている。ロッド6は、シリンダ4に対してシリンダ4の軸方向に相対移動可能に挿通されている。シリンダ4の上側(車両ボデー側)に設けられた環状のロッドガイド26と、シリンダ4の下側(シャシー側)に設けられた環状のロッドガイド12とは、ロッド6を摺動可能に支持するとともに、作動室8を液密に封止している。
ロッド6には、複数の第1円筒状フィン50が固定部52を介して連結されている。また、シリンダ4には、複数の第2円筒状フィン60がロッドガイド12を介して連結されている。具体的には、固定部52がロッド6の外周面からロッド6の径方向に延びるように設けられており、第1円筒状フィン50は、ロッド6の軸方向に延在するように配置されて、その上側の端部が固定部52に固定されている。また、第2円筒状フィン60は、ロッド6の軸方向に延在するように配置されて、その下側の端部がロッドガイド12に固定されている。また、図4に示すように、第1円筒状フィン50および第2円筒状フィン60は、ロッド6の軸を中心として同心円状に配置されており、両者は作動室8において交互に配置されている。
また、ロッド6は、所定領域に螺溝6aが形成されており、螺溝6aが形成された領域において、運動変換部としてのボールねじ機構70と係合している。ボールねじ機構70は、環状のボールねじナット72とボール74とを含み、ロッド6とボールねじナット72とはボール74を介して係合している。したがって、ロッド6が軸方向(図3中矢印a方向)に移動すると、ロッド6における軸方向の運動の一部がボールねじ機構70によって回転運動に変換され、ロッド6は、図3中矢印bに示すように軸周りに回転しながらシリンダ4に対して進入、後退する。
上述のような構成において、本実施形態に係るショックアブソーバ1は、ロッド6がシリンダ4に対してシリンダ4の軸方向、すなわちロッド6の軸方向に相対移動し、この相対移動に応じて作動室8に封入された粘性流体にせん断力が生じ、これにより減衰力を発生させている。また、作動室8において、第1円筒状フィン50と第2円筒状フィン60とが互いに所定の間隔を置いて設けられているため、粘性流体に生じるせん断力が増大し、大きな減衰力を発生させることができる。さらに、ロッド6が軸方向運動に加えて回転運動することで、より大きな減衰力を発生させることができる。なお、第1円筒状フィン50の軸方向移動だけで十分な減衰力が得られる場合には、ボールねじ機構70を設けなくてもよい。あるいは、第1円筒状フィン50をロッド6の軸方向に移動させずに、軸周りに回転させるだけで減衰力を発生させるようにしてもよい。この場合、例えば、固定部52をロッド6にセレーション嵌合させて、固定部52がロッド6の軸方向運動に追従しないようにすることで、第1円筒状フィン50をロッド6の軸方向に移動させずに軸周りに回転させることができる。
以上説明した構成による作用効果を総括すると、本実施形態に係るショックアブソーバ1は、ロッド6の軸を中心として同心円状に配置された第1円筒状フィン50と、第1円筒状フィン50と交互に配置された第2円筒状フィン60とを備えている。このような構成によっても、ショックアブソーバの大型化を抑えるとともに、より大きな減衰力を発生させることができる。また、ロッド6の軸方向運動の一部を回転運動に変換するボールねじ機構70を備えることで、より大きな減衰力を発生させることができる。
(実施形態3)
実施形態3に係るショックアブソーバは、環状の第1突出部30と、第1突出部30と交互に配置された環状の第2突出部40とを備えた点と、ロッドの軸方向運動の一部を回転運動に変換するボールねじ機構70を備えた点が実施形態1と異なる。以下、本実施形態について説明する。なお、ショックアブソーバのその他の構成は実施形態1と基本的に同一であり、ボールねじ機構70の構成は実施形態2と基本的に同一である。実施形態1または2と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は適宜省略する。
図5は、実施形態3に係るショックアブソーバの概略断面図である。図5に示すように、本実施形態に係るショックアブソーバ1は、シェル2と、シェル2内に設けられたシリンダ4と、シリンダ4に挿通されたロッド6と、を備える。シリンダ4の内部には粘性流体が充填された作動室8が形成されている。ロッド6は、シリンダ4に対してシリンダ4の軸方向に相対移動可能に挿通されている。シリンダ4の上側(車両ボデー側)に設けられた環状のロッドガイド26と、シリンダ4の下側(シャシー側)に設けられた環状のロッドガイド12とは、ロッド6を摺動可能に支持するとともに、作動室8を液密に封止している。
ロッド6には、複数の第1突出部30が連結され、シリンダ4には複数の第2突出部40が連結されている。第1突出部30および第2突出部40は、作動室8において所定の間隔をおいて交互に配置されている。本実施形態では、第1突出部30は、中心にロッド6が挿通される貫通孔が設けられた環状構造を有し、貫通孔の内周面がロッド6に当接している。また、第2突出部40は、中心にロッド6が挿通される貫通孔が設けられた環状構造を有し、その外周面がシリンダ4に当接している。
また、ロッド6は、所定領域に螺溝6aが形成されており、螺溝6aが形成された領域において、運動変換部としてのボールねじ機構70と係合している。ボールねじ機構70は、ボールねじナット72とボール74とを含み、ロッド6とボールねじナット72とはボール74を介して係合している。したがって、ロッド6が軸方向(図5中矢印a方向)に移動すると、ロッド6における軸方向の運動の一部がボールねじ機構70によって回転運動に変換され、ロッド6は、図5中矢印bに示すように軸周りに回転しながらシリンダ4に対して進入、退出する。
ここで、第1突出部30および第2突出部40は、それぞれロッド6およびシリンダ4に対して、ロッド6の軸方向に対する螺溝6aの傾斜角と同じ傾斜角となるように連結されている。すなわち、第1突出部30および第2突出部40は、螺溝6aの延びる方向と平行になるように、それぞれロッド6およびシリンダ4に連結されている(図5中のC−C線とD−D線とが平行になっている)。これにより、ロッド6が軸周りに回転しながらシリンダ4に進入、退出した場合であっても、第1突出部30と第2突出部40とが互いに接触することがない。
上述のような構成において、本実施形態に係るショックアブソーバ1は、ロッド6がシリンダ4に対してシリンダ4の軸方向、すなわちロッド6の軸方向に相対移動し、この相対移動に応じて作動室8に封入された粘性流体にせん断力が生じ、これにより減衰力を発生させている。また、作動室8において、第1突出部30と第2突出部40とが互いに所定の間隔を置いて設けられ、ロッド6が軸方向運動に加えて回転運動するため、粘性流体に生じるせん断力が増大し、大きな減衰力を発生させることができる。
以上説明した構成による作用効果を総括すると、本実施形態に係るショックアブソーバ1は、ロッド6の軸周りに環状の第1突出部30が連結され、シリンダ4の内周面に環状の第2突出部40が連結され、作動室8においてこれらが交互に配置されている。そして、ロッド6が軸方向運動に加えて軸周りに回転するように構成されている。このような構成によっても、ショックアブソーバの大型化を抑えるとともに、より大きな減衰力を発生させることができる。
(実施形態4)
実施形態4に係るショックアブソーバは、シリンダとロッドとの間に配置され、ロッドに対して当該ロッドの軸方向に相対移動可能に連結されたリング部材を備えた点が実施形態1と異なる。以下、本実施形態について説明する。なお、ショックアブソーバのその他の構成は実施形態1と基本的に同一である。実施形態1と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は適宜省略する。
図6は、実施形態4に係るショックアブソーバの概略断面図である。図7は、図6におけるE−E線上の断面図である。
図6に示すように、本実施形態に係るショックアブソーバ1は、シェル2と、シェル2内に設けられたシリンダ4と、シリンダ4に挿通されたロッド6と、を備える。シリンダ4は、2つの支持部4aの間にフィン固定部4bが挟まれた構造を有し、シリンダ4の内部には粘性流体が充填された作動室8が形成されている。ロッド6は、シリンダ4に対してシリンダ4の軸方向に相対移動可能に挿通されている。シリンダ4の上側(車両ボデー側)に設けられた環状のロッドガイド26と、シリンダ4の下側(シャシー側)に設けられた環状のロッドガイド12とは、ロッド6を摺動可能に支持するとともに、作動室8を液密に封止している。
ロッド6には、複数のロッド突出部130が連結され、シリンダ4には複数のシリンダ突出部140が連結されている。図7に示すように、本実施形態のロッド突出部130およびシリンダ突出部140は、断面視三角形状であり、それぞれロッド6およびフィン固定部4bに一体的に設けられている。また、ロッド突出部130およびシリンダ突出部140は、ロッド6およびフィン固定部4bの軸周りに所定の間隔をおいて配置され、シリンダ4の径方向に突出するとともに、シリンダ4の軸方向所定領域に延在している。
シリンダ4とロッド6との間には、リング部材80が配設されている。リング部材80は、ロッド6に対してロッド6の軸方向に相対移動可能に連結されている。ここで、リング部材80は、シリンダ4に対するリング部材80の相対変位を吸収する変位吸収機構を介してロッド6に連結されている。これにより、ロッド6のストローク速度が所定速度以下である場合には、リング部材80がシリンダ4に対してほぼ停止した状態を維持できるように構成されている。
本実施形態では、変位吸収機構としてのコイルばね92、93を介してロッド6に連結されている。具体的には、リング部材80の上端に第1弾性体としてのコイルばね92が連結され、リング部材80の下端に第2弾性体としてのコイルばね94が連結されている。また、ロッド6におけるロッド突出部130の形成領域の上端および下端には、それぞればね受け座93およびばね受け座95が設けられており、コイルばね92、93のリング部材80と連結された側と反対側の端部は、それぞればね受け座93、95に当接している。コイルばね94は、コイルばね92よりも自由長が長く、またコイルばね94よりもばね定数が小さく設定されており、コイルばね92とコイルばね94とでセット荷重を等しくしている。これにより、リング部材80は、ロッド突出部130の形成領域中の中央領域(中立位置)に維持されている。ばね定数は、コイルばねの巻き数、材質(剛性)、自由長長さ等を変更することで調整可能である。
リング部材80の外周面には、複数のリング外周面側突出部82が連結され、リング部材80の内周面には、複数のリング内周面側突出部84が連結されている。図7に示すように、リング外周面側突出部82およびリング内周面側突出部84は、断面視三角形状であり、リング部材80に一体的に設けられている。また、リング外周面側突出部82およびリング内周面側突出部84は、シリンダ4の径方向に突出するとともに、シリンダ4の軸方向に延在し、作動室8において、それぞれシリンダ突出部140およびロッド突出部130と交互に配置されている。これにより、粘性流体に生じるせん断力が増大し、より大きな減衰力を発生させることができる。なお、ロッド突出部130、シリンダ突出部140、リング外周面側突出部82、およびリング内周面側突出部84の形状は特に限定されず、例えば実施形態1に示す第1突出部30および第2突出部40のような平板フィン形状であってもよい。
また、ショックアブソーバ1は、ロッド6とリング部材80との相対移動によって発生する減衰力と、シリンダ4とリング部材80との相対移動によって発生する減衰力とが異なるように調整されている。本実施形態では、例えばロッド6(ロッド突出部130)とリング部材80(リング内周面側突出部84)との隙間を、シリンダ4(シリンダ突出部140)とリング部材80(リング外周面側突出部82)との隙間よりも小さくしたり、ロッド6とリング部材80との対向面積を、シリンダ4とリング部材80との対向面積よりも大きくするなどして、ロッド6とリング部材80との相対移動によって発生する減衰力を、シリンダ4とリング部材80との相対移動によって発生する減衰力よりも大きくしている。ロッド6とリング部材80との対向面積の増大は、例えば、ロッド突出部130とリング内周面側突出部84の数を、シリンダ突出部140とリング外周面側突出部82の数よりも多くすることで実現できる。なお、発生させる減衰力の大きさに応じて、ロッド突出部130、シリンダ突出部140、リング外周面側突出部82、およびリング内周面側突出部84の有無は適宜選択可能である。また、ロッド6とリング部材80との相対移動によって発生する減衰力とシリンダ4とリング部材80との相対移動によって発生する減衰力との大きさの関係は、ショックアブソーバ1に求められる減衰力特性に応じて適宜変更可能である。
上述のような構成において、本実施形態に係るショックアブソーバ1は、ロッド6がシリンダ4に対してシリンダ4の軸方向に相対移動し、この相対移動に応じて作動室8に封入された粘性流体にせん断力が生じ、これにより減衰力を発生させている。また、本実施形態のショックアブソーバ1は、ロッド6とリング部材80との相対移動で減衰力を発生させる第1状態と、リング部材80がロッド6と共に移動し、シリンダ4とリング部材80との相対移動で減衰力を発生させる第2状態とを有する。
すなわち、ロッド6のストローク速度が所定速度以下であり、ロッド6とリング部材80との相対変位により変位吸収機構にかかる力が変位吸収機構における変位吸収限界以下の場合、ロッド6とリング部材80とが相対移動し、これにより減衰力が発生する(第1状態)。一方、ロッド6のストローク速度が増大し、ロッド6とリング部材80との相対変位により変位吸収機構にかかる力が変位吸収機構における変位吸収限界を上回ると、リング部材80がロッド6と共に移動し始め、シリンダ4とリング部材80とが相対移動し、これにより減衰力が発生する(第2状態)。
本実施形態では、リング部材80がリングばね92、93を介してロッド6に連結されている。そのため、ロッド6のストローク速度が相対的に小さく、コイルばね92、93にかかる力がリングばね92、93のセット荷重以下の場合には、ロッド6とリング部材80との相対移動により減衰力が発生する(第1状態)。一方、ロッド6のストローク速度が増大し、コイルばね92、93にかかる力がリングばね92、93のセット荷重を上回った場合には、リング部材80がロッド6と共に移動し始め、シリンダ4とリング部材80との相対移動により減衰力が発生する(第2状態)。
これにより、ショックアブソーバ1の減衰力特性は図8に示すようなものとなる。図8は、ショックアブソーバの減衰力特性を示す図である。図8において、Xは、リング部材80が移動し始めるロッド6のストローク速度、Aは、ロッド6とリング部材80との相対移動により発生する減衰力特性を示す曲線、Bは、シリンダ4とリング部材80との相対移動により発生する減衰力特性を示す曲線、Cは、ショックアブソーバ1の減衰力特性を示す曲線である。
図8に示すように、ロッド6のストローク速度がXとなるまでは、主にロッド6とリング部材80との相対移動により減衰力が発生する第1状態にある。そのため、ショックアブソーバ1の減衰力特性Cは、ロッド6とリング部材80との相対移動により発生する減衰力特性Aとほぼ一致する。そして、ロッド6のストローク速度がXを上回ると、リング部材80がロッド6と共に移動し、主にシリンダ4とリング部材80との相対移動により減衰力が発生する第2状態となるため、ショックアブソーバ1の減衰力特性Cは、シリンダ4とリング部材80との相対移動により発生する減衰力特性Bとほぼ一致する。このように、本実施形態に係るショックアブソーバ1では、ロッド6のストローク速度Xを境にして、減衰力特性を切り換えることができる。
なお、第1状態では、リング部材80とシリンダ4との相対移動により減衰力が発生し得るが、その大きさはロッド6とリング部材80との相対移動により発生する減衰力の大きさと比べて無視できる程度とすることができる。また、第2状態では、ロッド6とリング部材80との相対移動により減衰力が発生し得るが、その大きさはシリンダ4とリング部材80との相対移動により発生する減衰力の大きさと比べて無視できる程度とすることができる。本実施形態では、ロッド6とリング部材80との相対移動により発生する減衰力よりも小さい減衰力がシリンダ4とリング部材80との相対移動により発生する場合も第1状態に含めることができ、シリンダ4とリング部材80との相対移動により発生する減衰力よりも小さい減衰力がロッド6とリング部材80との相対移動により発生する場合も第2状態に含めることができる。
また、第1弾性体と前記第2弾性体とは、弾性率が異なっていてもよい。本実施形態では、コイルばね92のばね定数と、コイルばね94のばね定数とを異ならせている。これによれば、ロッド6がシリンダ4外部へ退出する方向に変位する伸び工程(伸び側)と、ロッド6がシリンダ4内部へ進入する方向に変位する縮み工程(圧側)とで、発生する減衰力を異ならせることができる。図9は、ショックアブソーバの減衰力特性を示す図である。図9において、Mは、ロッド6が伸び側に変位したときのショックアブソーバ1の減衰力特性を示す曲線、Nは、ロッド6が圧側に変位したときのショックアブソーバ1の減衰力特性を示す曲線である。
図9に示すように、ロッド6が伸び側に変位するときは、ロッド6がリング部材80に対して、相対的にばね定数の小さいコイルばね94が圧縮される方向に変位する。一方、ロッド6が圧側に変位するときは、ロッド6がリング部材80に対して、相対的にばね定数の大きいコイルばね92が圧縮される方向に変位する。したがって、ロッド6とリング部材80との相対移動量は、圧側よりも伸び側の方が多くなる。そして、本実施形態では、ロッド6とリング部材80との相対移動によって発生する減衰力が、シリンダ4とリング部材80との相対移動によって発生する減衰力よりも大きくなるように設定されている。そのため、ロッド6とリング部材80との相対移動によって発生する減衰力は、圧側(曲線N)よりも伸び側(曲線M)で大きくすることができる。
以上説明した構成による作用効果を総括すると、本実施形態に係るショックアブソーバ1は、シリンダ4とロッド6との間に配置され、ロッド6に対してロッド6の軸方向に相対移動可能に連結されたリング部材80を備えている。そして、ショックアブソーバ1は、ロッド6とリング部材80との相対移動で減衰力を発生させる第1状態と、リング部材80をロッド6と共に移動させ、シリンダ4とリング部材80との相対移動で減衰力を発生させる第2状態とを有する。そのため、ショックアブソーバの大型化を抑えるとともに、ロッドのストローク速度に応じて減衰力を柔軟に変化させることができる。その結果、ショックアブソーバ1を備えたサスペンション装置を搭載した車両においては、車両の状態に応じてより適切な減衰力を発生させることができ、これにより、車両の乗り心地を向上させることができる。
また、リング部材80を、コイルばね92およびコイルばね94を介してロッド6に連結しており、コイルばね92とコイルばね94とで弾性力を異ならせている。そのため、ロッド6の伸び側と圧側とで発生する減衰力を異ならせることができ、車両における乗り心地をより向上させることができる。
また、ロッド6の外周面にロッド突出部130が連結され、リング部材80の内周面にリング内周面側突出部84が連結されている。また、リング部材80の外周面にリング外周面側突出部82が連結され、シリンダ4の内周面にシリンダ突出部140が連結されている。これにより、ショックアブソーバの大型化を抑えるとともに、より大きな減衰力を発生させることができる。
(実施形態5)
実施形態5に係るショックアブソーバは、シリンダとロッドとの間に配置され、ロッドに対して当該ロッドの軸方向に相対移動可能に連結されたリング部材を備えた点と、リング部材の移動範囲内の所定領域におけるロッドの径が、移動範囲内の他の領域における径と異なる点が実施形態1または4と異なる。以下、本実施形態について説明する。なお、ショックアブソーバのその他の構成は実施形態1または4と基本的に同一である。実施形態1または4と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は適宜省略する。
図10は、実施形態5に係るショックアブソーバの概略断面図である。図11は、図10におけるF−F線、G−G線、H−H線上の断面図である。図11(A)は、F−F線上の断面図であり、図11(B)は、G−G線およびH−H線上の断面図である。
図10に示すように、本実施形態に係るショックアブソーバ1は、シェル2と、シェル2内に設けられたシリンダ4と、シリンダ4に挿通されたロッド6と、を備える。シリンダ4の内部には粘性流体が充填された作動室8が形成されている。ロッド6は、シリンダ4に対してシリンダ4の軸方向に相対移動可能に挿通されている。シリンダ4の上側(車両ボデー側)に設けられた環状のロッドガイド26と、シリンダ4の下側(シャシー側)に設けられた環状のロッドガイド12とは、ロッド6を摺動可能に支持するとともに、作動室8を液密に封止している。
シリンダ4とロッド6との間には、リング部材80が配設されている。リング部材80は、ロッド6に対してロッド6の軸方向に相対移動可能に連結されている。リング部材80は、シリンダ4に対するリング部材80の相対変位を吸収する変位吸収機構を介してロッドに連結されている。本実施形態では、コイルばね92、93を介してロッド6に連結されている。具体的には、リング部材80の上端に第1弾性体としてのコイルばね92が連結され、リング部材80の下端に第2弾性体としてのコイルばね94が連結されている。そして、コイルばね92、93のリング部材80と連結された側と反対側の端部が、それぞれロッド6に設けられたばね受け座93およびばね受け座95に当接している。コイルばね94は、コイルばね92よりも自由長が長く、またコイルばね94よりもばね定数が小さく設定されており、コイルばね92とコイルばね94とでセット荷重を等しくしている。これにより、リング部材80は、所定の中立位置に維持されている。
ロッド6は、リング部材80の移動範囲内の所定領域における径が、移動範囲内の他の領域における径と異なるように構成されている。具体的には、ばね受け座93は、ロッド6の外周面に沿って、下方向(ばね受け座95の方向)に向かって突出した突起部93aを有する。突起部93aは、先端(下方向)に近づくにつれて幅が細くなるように形成された側面を備えている。これにより、図11に示すように、ロッド6の径は、ばね受け座93とばね受け座95との間のリング部材80の中立位置から、ばね受け座93に近づくにつれて大きくなり、突起部93aが延在する領域におけるロッド6とリング部材80との間の作動室8a(図11(A))は、突起部93aが延在しない領域における作動室8b(図11(B))よりも狭くなっている。また、ばね受け座95は、ロッド6の外周面に沿って、上方向(ばね受け座93の方向)に向かって突出した突起部95aを有する。突起部95aは、先端(上方向)に近づくにつれて幅が細くなるように形成された側面を備えている。これにより、図11に示すように、ロッド6の径は、リング部材80の中立位置から、ばね受け座95に近づくにつれて大きくなり、突起部95aが延在する領域におけるロッド6とリング部材80との間の作動室8a(図11(A))は、突起部95aが延在しない領域における作動室8b(図11(B))よりも狭くなっている。すなわち、ロッド6は、リング部材80の移動範囲における上下端領域の径が、移動範囲における中心領域の径よりも大きく、また、移動範囲の上下端に近づくにつれて径が徐々に大きくなるような形状となっている。なお、突起部93a、95aは、ロッド6に一体的に設けられていてもよい。
また、ショックアブソーバ1は、実施形態4と同様に、ロッド6とリング部材80との相対移動によって発生する減衰力とシリンダ4とリング部材80との相対移動によって発生する減衰力とが異なるように調整されている。
上述のような構成において、本実施形態に係るショックアブソーバ1は、ロッド6がシリンダ4に対してシリンダ4の軸方向に相対移動し、この相対移動に応じて作動室8に封入された粘性流体にせん断力が生じ、これにより減衰力を発生させている。ここで、本実施形態のショックアブソーバ1は、ロッド6とリング部材80との相対移動で減衰力を発生させる第1状態と、リング部材80がロッド6と共に移動し、シリンダ4とリング部材80との相対移動で減衰力を発生させる第2状態とを有する。
すなわち、ロッド6のストローク速度が所定速度以下であり、ロッド6とリング部材80との相対移動により変位吸収機構にかかる力が変位吸収機構における変位吸収限界以下の場合、ロッド6とリング部材80とが相対移動し、これにより減衰力が発生する(第1状態)。一方、ロッド6のストローク速度が増大し、ロッド6とリング部材80との相対移動により変位吸収機構にかかる力が変位吸収機構における変位吸収限界を上回ると、リング部材80がロッド6と共に移動し始め、シリンダ4とリング部材80とが相対移動し、これにより減衰力が発生する(第2状態)。本実施形態では、リング部材80はリングばね92、93を介してロッド6に連結されている。そのため、ロッド6のストローク速度が相対的に小さく、コイルばね92、93にかかる力がリングばね92、93のセット荷重以下の場合には、第1状態となり、ロッド6のストローク速度が増大し、コイルばね92、93にかかる力がリングばね92、93のセット荷重を上回った場合には、第2状態となる。これにより、本実施形態に係るショックアブソーバ1では、ロッド6のストローク速度に応じて、減衰力特性を切り換えることができる。
なお、第1状態では、リング部材80とシリンダ4との相対移動により減衰力が発生し得るが、その大きさはロッド6とリング部材80との相対移動により発生する減衰力の大きさと比べて無視できる程度とすることができる。また、第2状態では、ロッド6とリング部材80との相対移動により減衰力が発生し得るが、その大きさはシリンダ4とリング部材80との相対移動により発生する減衰力の大きさと比べて無視できる程度とすることができる。本実施形態では、ロッド6とリング部材80との相対移動により発生する減衰力よりも小さい減衰力がシリンダ4とリング部材80との相対移動により発生する場合も第1状態に含めることができ、シリンダ4とリング部材80との相対移動により発生する減衰力よりも小さい減衰力がロッド6とリング部材80との相対移動により発生する場合も第2状態に含めることができる。
また、本実施形態では、ロッド6の径がリング部材80の移動範囲における上下端領域において大きくなっている。そのため、ロッド6のストローク速度が大きく、リング部材80が移動範囲の上下端領域にまで相対移動した場合に発生する減衰力は、ロッド6のストローク速度が小さく、リング部材80が移動範囲の中心領域近辺で相対移動した場合に発生する減衰力よりも大きくなる。これにより、本実施形態に係るショックアブソーバ1では、ロッド6のストローク速度に応じて、より柔軟に減衰力特性を切り換えることができる。
以上説明した構成による作用効果を総括すると、本実施形態に係るショックアブソーバ1は、シリンダ4とロッド6との間に配置され、ロッド6に対してロッド6の軸方向に相対移動可能に連結されたリング部材80を備えている。そして、ショックアブソーバ1は、主にロッド6とリング部材80との相対移動で減衰力を発生させる第1状態と、リング部材80をロッド6と共に移動させ、主にシリンダ4とリング部材80との相対移動で減衰力を発生させる第2状態とを有する。そのため、ショックアブソーバの大型化を抑えるとともに、ロッドのストローク速度に応じて減衰力を柔軟に変化させることができる。また、減衰力のチューニング幅を拡げることができる。その結果、ショックアブソーバ1を備えたサスペンション装置を搭載した車両においては、車両の状態に応じてより適切な減衰力を発生させることができ、これにより、車両の乗り心地を向上させることができる。
また、ショックアブソーバ1は、リング部材80の移動範囲内の所定領域におけるロッド6の径が、移動範囲内の他の領域における径と異なっている。そのため、ロッド6のストローク速度に応じて減衰力をより柔軟に変化させることができ、車両における乗り心地をより向上させることができる。
本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施の形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれ得る。
実施形態1に係るショックアブソーバの概略断面図である。 図1におけるA−A線上の断面図である。 実施形態2に係るショックアブソーバの概略断面図である。 図3におけるB−B線上の断面図である。 実施形態3に係るショックアブソーバの概略断面図である。 実施形態4に係るショックアブソーバの概略断面図である。 図6におけるE−E線上の断面図である。 ショックアブソーバの減衰力特性を示す図である。 ショックアブソーバの減衰力特性を示す図である。 実施形態5に係るショックアブソーバの概略断面図である。 図10におけるF−F線、G−G線、H−H線上の断面図である。
符号の説明
1 ショックアブソーバ、 2 シェル、 4 シリンダ、 6 ロッド、 8 作動室、 10,12,26 ロッドガイド、 14 オイルシール、 18 アッパーサポート、 30 第1突出部、 40 第2突出部、 50 第1円筒状フィン、 60 第2円筒状フィン、 70 ボールねじ機構、 80 リング部材、 82 リング外周面側突出部、 84 リング内周面側突出部、 92,94 コイルばね、 93,95 ばね受け座、 93a,95a 突起部、 130 ロッド突出部、 140 シリンダ突出部。

Claims (11)

  1. 粘性流体を収容する作動室を形成するシリンダと、
    前記シリンダに対して当該シリンダの軸方向に相対移動可能に挿通されたロッドと、
    を備え、前記ロッドの前記シリンダに対する相対移動に応じて前記粘性流体に生じるせん断力によって、減衰力を発生させることを特徴とするショックアブソーバ。
  2. 前記ロッドに連結された複数の第1突出部と、
    前記シリンダに連結されて前記作動室において前記第1突出部と交互に配置された複数の第2突出部と、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載のショックアブソーバ。
  3. 前記第1突出部は、前記ロッドの軸周りに所定の間隔をおいて連結され、前記ロッドの径方向に突出するとともに軸方向に延び、
    前記第2突出部は、前記シリンダの軸周りに所定の間隔をおいて連結され、前記シリンダの径方向に突出するとともに軸方向に延びることを特徴とする請求項2に記載のショックアブソーバ。
  4. 前記ロッドの軸を中心として同心円状に配置されて、前記ロッドに連結された複数の第1円筒状フィンと、
    前記シリンダに連結されて前記作動室において前記第1円筒状フィンと交互に配置された複数の第2円筒状フィンと、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載のショックアブソーバ。
  5. 前記ロッドにおける軸方向の運動の一部を回転運動に変換する運動変換部を備えたことを特徴とする請求項1、2、4のいずれか1項に記載のショックアブソーバ。
  6. 前記シリンダと前記ロッドとの間に配置され、前記ロッドに対して当該ロッドの軸方向に相対移動可能に連結されたリング部材を備え、
    前記ロッドと前記リング部材との相対移動で減衰力を発生させる第1状態と、前記リング部材を前記ロッドと共に移動させ、前記シリンダと前記リング部材との相対移動で減衰力を発生させる第2状態とを有することを特徴とする請求項1に記載のショックアブソーバ。
  7. 前記リング部材は、当該リング部材の上端に連結された第1弾性体と、前記リング部材の下端に連結された第2弾性体とを介して前記ロッドに連結されており、
    前記第1弾性体と前記第2弾性体とは、弾性率が異なることを特徴とする請求項6に記載のショックアブソーバ。
  8. 前記ロッドは、前記リング部材の移動範囲内の所定領域における径が、前記移動範囲内の他の領域における径と異なることを特徴とする請求項6または7に記載のショックアブソーバ。
  9. 前記ロッドの外周面に連結されたロッド突出部と、
    前記リング部材の内周面に連結されて前記作動室において前記ロッド突出部と交互に配置された複数のリング内周面側突出部と、
    を備えたことを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載のショックアブソーバ。
  10. 前記リング部材の外周面に連結されたリング外周面側突出部と、
    前記シリンダの内周面に連結されて前記作動室において前記リング外周面側突出部と交互に配置された複数のシリンダ突出部と、
    を備えたことを特徴とする請求項6ないし9のいずれか1項に記載のショックアブソーバ。
  11. 衝撃を緩衝するための減衰力発生手段として請求項1ないし10のいずれか1項に記載のショックアブソーバを備えたことを特徴とするサスペンション装置。
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