JP2010155563A - 旋回挙動制御装置、旋回挙動制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】差分E1を算出し(ステップS1)、差分E1が第一の所定値th1を超えたら(ステップS3の判定が“Yes”)、その時点の推定値γeを目標値γ*として設定する(ステップS4)。そして、差分E2を算出し(ステップS6)、この差分E2が第二の所定値th2より大きいときに(ステップS7の判定が“Yes”)、差分E2に応じて転舵角θwの修正量Δθを算出し(ステップS8)、修正量Δθに応じてカウンターステアを行う。その後、再び差分E2が第二の所定値th2より小さくなり、且つ差分E1が第一の所定値th1より小さくなったら(ステップS10の判定が“Yes”)、修正量Δθの算出及びカウンターステアを終了する。
【選択図】図5
Description
本発明の課題は、旋回性能の低下を防ぎつつ旋回挙動の安定化を図ることである。
《構成》
図1は、ステアリングバイワイヤの概略構成図である。
ステアリングホイール1は、ステアリングシャフト2に連結され、操舵輪3L及び3Rは、ナックルアーム4、タイロッド5、及びラックアンドピニオン6を順に介してピニオンシャフト7に連結される。ステアリングシャフト2及びピニオンシャフト7は、機械的に分離された非連結状態にあり、夫々、図示しないハウジング等によって回動自在に保持される。
ステアリングシャフト2には、操舵角θsを検出する操舵角センサ11が設けられ、ピニオンシャフト7には、転舵角θwを検出する転舵角センサ12が設けられている。左右輪の夫々のハブユニットには、タイヤ横力を検出するハブセンサ13が設けられ、変速機の出力側には、車速Vを検出する車速センサ14が装着されている。バネ上となる車体には、ヨーレートの実測値γsを検出するヨーレートセンサ15が設けられている。なお、操舵角センサ11及び転舵角センサ12は、右旋回時に正の値を検出し、左旋回時に負の値を検出するように構成されている。
これら操舵角センサ11、転舵角センサ12、ハブセンサ13、車速センサ14、及びヨーレートセンサ15で検出される各種信号が、例えばマイクロコンピュータで構成されたコントローラ20へ入力される。なお、ハブセンサ13で検出される左右輪のタイヤ横力は、その合計値Yfが入力される。
転舵角制御部21は、ステアリングシャフト2の操舵角θs及びピニオンシャフト7の転舵角θwを入力し、操舵角θwに応じて転舵モータ9を駆動することで転舵角θwを制御する。
γe={Yf×(L/Lr)}/(m×V) …………(1)
γe :ヨーレートの推定値
Yf :操舵輪のタイヤ横力
L :ホイールベース
Lr :車両重心点と後輪車軸との距離
m :車両重量
V :車速
但し、車速Vが低速の所定値V1以下であるときには、上記(1)式には、所定値V1を代入することとする。この所定値V1は、例えば20km/h程度の値である。
一般車両の車両運動方程式は下記(2)式で表される。
may=Yf+Yr
Iγ=YfLf+YrLr …………(2)
ay :横加速度
I :ヨーイング慣性モーメント
Yr :後輪タイヤ横力
Lf :車両重心点と前輪車軸との距離
may=Yf+Yr=mVγ
YfLf=YrLr …………(3)
上記(3)式を整理すると下記(4)式が導かれる。
Yf{(Lf+Lr)/Lr}=mVγ …………(4)
上記(4)式をγについて解くと前記(1)式が導かれる。
図4は、オーバーステア傾向の具体例であり、例えばブレーキによる荷重移動により、後輪のタイヤ横力Yrが飽和し、前輪のタイヤ横力Yfが増加すると、ヨーレートが増加し、オーバーステア傾向となる。
ステップS1では、下記に示すように、実測値γsと推定値γeとの差分E1を算出する。
E1=γs−γe
続くステップS2では、制御フラグがF=0にリセットされているか否かを判定する。なお、初期設定ではF=0にリセットされている。ここで、制御フラグがF=0にリセットされていれば、まだカウンターステアは開始されていないと判断してステップS3に移行する。一方、制御フラグがF=1にセットされていれば、既にカウンターステアが開始されていると判断して後述するステップS6に移行する。
γ* ← γe
続くステップS5では、制御フラグをF=1にセットする。
続くステップS6では、下記に示すように、実測値γsと目標値γ*との差分E2を算出する。
E2=γs−γ*
続くステップS9では、修正量Δθを転舵角制御部21へ出力してから所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS11では、制御フラグをF=0にリセットしてから所定のメインプログラムに復帰する。
先ず、推定値γeの算出について説明する。
一般に、車速Vや操舵角θsに基づいてヨーレートを推定することが知られているが、 実際に発生するヨーレートは、路面摩擦係数の影響を受けるので、車速Vや操舵角θsに基づいて算出したヨーレートの推定値には、摩擦係数に応じた補正が必要となる。しかしながら、摩擦係数を正確に検出すること自体が難しいため、ヨーレートの正確な推定が難しかった。
差分E1を算出し(ステップS1)、差分E1が第一の所定値th1より小さいとき(ステップS3の判定が“No”)、つまり推定値γeに対して実測値γsが近似しているときには、車両がオーバーステア傾向にはなく、カウンターステアは不要であるので、タイムチャートの区間T1で示すように、旋回挙動の制御はOFFとなる。
そして、差分E2を算出し(ステップS6)、この差分E2が第二の所定値th2より大きいときに(ステップS7の判定が“Yes”)、差分E2に応じて転舵角θwの修正量Δθを算出し(ステップS8)、修正量Δθに応じてカウンターステアを行うことで、タイムチャートの区間T2で示すように、旋回挙動の制御がONとなる。
そして、再びオーバーステア傾向が現れ、差分E2が第二の所定値th2より大きくなったら(ステップS7の判定が“Yes”)、修正量Δθに応じてカウンターステアを再開することで、タイムチャートの区間T4で示すように、もう一度、旋回挙動の制御がONとなる。
なお、本実施形態では、ホール素子と着磁式のエンコーダを用いてタイヤ横力Yfを検出しているが、この種のハブセンサ13は、車速が極低速である場合に、精度よくタイヤ横力Yfを検出できない可能性がある。そこで、車速Vが低速の所定値V1以下であるときには、転舵モータ9の駆動電流を検出したり、ラック軸力を検出したり、ピニオントルクを検出したりして、これらを代用してヨーレートの推定値γeを算出してもよい。これにより、車速Vが低速であっても、ヨーレートの推定を継続して実行することができる。
γe={{Yf×(L/Lr)}/(m×V)}
×(1/1+Ts) …………(5)
また、本実施形態では、ステアリングバイワイヤについて説明したが、これに限定されるものではなく、オーバーステア傾向を検出し旋回挙動を制御するものであれば、舵角比可変機構(VGR)によって操舵輪の転舵角θwを制御するものにも適用可能である。
以上より、転舵モータ9が「アクチュエータ」に対応し、推定値算出部23が「推定値算出手段」に対応し、ヨーレートセンサ15が「実測値検出手段」に対応し、旋回挙動制御部24が「制御手段」に対応している。
(1)操舵輪の舵角を制御可能なアクチュエータと、ヨーレートの推定値を算出する推定値算出手段と、ヨーレートの実測値を検出する実測値検出手段と、前記推定値算出手段が推定した推定値、及び前記実測値検出手段が検出した実測値の差分が第一の所定値より大きければ、現時点の当該推定値をヨーレートの目標値として設定し、当該目標値と前記実測値との差分に応じて前記アクチュエータの駆動制御を開始する制御手段と、を備える。
このように、推定値及び実測値の差分が第一の所定値より大きければ、現時点の推定値をヨーレートの目標値として保持し、以後、目標値と実測値との差分に応じてアクチュエータを駆動制御するので、旋回性能の低下を防ぎつつ、旋回挙動の安定化を防ぐことができる。
このように、ヨーレートの推定値を算出する際に、タイヤ横力を用いるので、路面摩擦係数の影響を受けることなく、正確に推定することができ、車両の旋回挙動も精度よく検出することができる。
γe={Yf×(L/Lr)}/(m×V)
γe :ヨーレートの推定値
Yf :操舵輪のタイヤ横力
L :ホイールベース
Lr :車両重心点と従動輪車軸との距離
m :車両重量
V :車速
このように、ヨーレートの推定値を算出する際に、タイヤ横力を用いるので、路面摩擦係数の影響を受けることなく、正確に推定することができ、車両の旋回挙動も精度よく検出することができる。
このように、代入する車速に下限値を設けることで、推定値の極大化を防ぎ、実態に即した推定値を算出することができる。
(5)前記制御手段は、前記目標値と前記実測値との差分が第二の所定値より小さければ、前記目標値の設定を維持したまま、前記アクチュエータの駆動制御を一時停止する。
これにより、再びオーバーステア傾向が現れるときに、同一の目標値に基づいて直ちにアクチュエータの駆動制御を再開することができる。
これにより、切り増し方向へのアクチュエータの駆動制御は行わず、オーバーステア傾向を抑制するときだけ、アクチュエータの駆動制御を行うことができる。
これにより、再び現れたオーバーステア傾向を抑制し、旋回挙動の安定化を図ることができる。
(8)前記制御手段は、前記目標値と前記実測値との差分が第二の所定値より小さければ、前記目標値の設定を解除すると共に、前記アクチュエータの駆動制御を終了することを特徴とする請求項1又は2に記載の旋回挙動制御装置。
これにより、簡易的に駆動制御のON/OFFを切替えることができる。
これにより、精度よく駆動制御のON/OFFを切替えることができる。
(10)前記制御手段は、前記目標値と前記実測値との差分が前記第二の所定値より小さく、且つ車速が低速領域の第三の所定値より小さければ、前記目標値の設定を解除すると共に、前記アクチュエータの駆動制御を終了する。
一般に、車速が低速走行している状態では、旋回挙動が大きな問題になることはないので、簡易的に駆動制御をOFFにすることができる。
一般に、ヨーレートが小さい状態では、旋回挙動が大きな問題になることはないので、簡易的に駆動制御をOFFにすることができる。
このように、推定値及び実測値の差分が第一の所定値より大きければ、現時点の推定値をヨーレートの目標値として保持し、以後、目標値と実測値との差分に応じてアクチュエータを駆動制御するので、旋回性能の低下を防ぎつつ、旋回挙動の安定化を防ぐことができる。
8 反力モータ
9 転舵モータ
11 操舵角センサ
12 転舵角センサ
13 ハブセンサ
14 車速センサ
15 ヨーレートセンサ
20 コントローラ
21 転舵角制御部
22 操舵反力制御部
23 推定値算出部
24 旋回挙動制御部
Claims (12)
- 操舵輪の舵角を制御可能なアクチュエータと、ヨーレートの推定値を算出する推定値算出手段と、ヨーレートの実測値を検出する実測値検出手段と、前記推定値算出手段が推定した推定値、及び前記実測値検出手段が検出した実測値の差分が第一の所定値より大きければ、現時点の当該推定値をヨーレートの目標値として設定し、当該目標値と前記実測値との差分に応じて前記アクチュエータの駆動制御を開始する制御手段と、を備えることを特徴とする旋回挙動制御装置。
- 前記推定値算出手段は、車速、及び操舵輪のタイヤ横力に応じてヨーレートの前記推定値を算出することを特徴とする請求項1に記載の旋回挙動制御装置。
- 前記推定値算出手段は、次式に従い、前記車速検出手段が検出した車速、及び前記横力検出手段が検出したタイヤ横力に応じてヨーレートの推定値を算出することを特徴とする請求項2に記載の旋回挙動検出装置。
γe={Yf×(L/Lr)}/(m×V)
γe :ヨーレートの推定値
Yf :操舵輪のタイヤ横力
L :ホイールベース
Lr :車両重心点と従動輪車軸との距離
m :車両重量
V :車速 - 前記推定値算出手段は、算出する推定値の位相を、前記実測値検出手段の検出する実測値の位相に一致させるフィルタを有することを特徴とする請求項2又は3に記載の旋回挙動検出装置。
- 前記制御手段は、前記目標値と前記実測値との差分が第二の所定値より小さければ、前記目標値の設定を維持したまま、前記アクチュエータの駆動制御を一時停止することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の旋回挙動制御装置。
- 前記制御手段は、前記目標値と前記実測値との差分が第二の所定値より大きく、且つ前記実測値が前記目標値よりも小さければ、前記目標値の設定を維持したまま、前記アクチュエータの駆動制御を一時停止することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の旋回挙動制御装置。
- 前記制御手段は、前記目標値と前記実測値との差分が前記第二の所定値より大きく、且つ前記実測値が前記目標値よりも大きければ、前記アクチュエータの駆動制御を再開することを特徴とする請求項5又は6に記載の旋回挙動制御装置。
- 前記制御手段は、前記目標値と前記実測値との差分が第二の所定値より小さければ、前記目標値の設定を解除すると共に、前記アクチュエータの駆動制御を終了することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の旋回挙動制御装置。
- 前記制御手段は、前記目標値と前記実測値との差分が第二の所定値より小さく、且つ前記実測値と前記推定値との差分が前記第一の所定値より小さければ、前記目標値の設定を解除すると共に、前記アクチュエータの駆動制御を終了することを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の旋回挙動制御装置。
- 前記制御手段は、前記目標値と前記実測値との差分が前記第二の所定値より小さく、且つ車速が低速領域の第三の所定値より小さければ、前記目標値の設定を解除すると共に、前記アクチュエータの駆動制御を終了することを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の旋回挙動制御装置。
- 前記制御手段は、前記目標値と前記実測値との差分が前記第二の所定値より小さく、且つ前記実測値が前記目標値よりも小さな第四の所定値より小さければ、前記目標値の設定を解除すると共に、前記アクチュエータの駆動制御を終了することを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の旋回挙動制御装置。
- 操舵輪の舵角を制御可能なアクチュエータを駆動制御する旋回挙動制御方法であって、
ヨーレートの推定値を算出すると共に、ヨーレートの実測値を検出し、前記推定値及び前記実測値の差分が第一の所定値より大きければ、現時点の当該推定値をヨーレートの目標値として設定し、当該目標値と前記実測値との差分に応じて前記アクチュエータの駆動制御を開始することを特徴とする旋回挙動制御方法。
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