JP2010155555A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】膠着が起きやすい繊維を用いて、転がり抵抗を低減し、かつ、耐久性にも優れた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】左右一対のビード部1と、クラウン部から両サイド部2を経て両ビード部1に延びる1枚以上のカーカスプライ4からなるカーカス層と、カーカス層のタイヤ半径方向外側に1層以上のベルト層8と、ベルト層8のタイヤ半径方向外側にベルト補強層9と、を備えた空気入りタイヤである。カーカスプライ4、ベルト層8、ベルト補強層9のうち1以上の部材に、次式、単糸膠着率(%)=[1−(見かけの単糸数/単糸数)]×100(式中、見かけの単糸数は、繊維を10cmの長さに切断し、膠着して分繊ができない単糸の組を1本として数えたときの単糸の本数、単糸数は、前記繊維の製造に用いた紡口口金の孔数と同じ値である)で表される単糸膠着率が30%より大きい繊維からなるコードを適用してなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、膠着が起きやすい繊維を用いて、転がり抵抗を低減し、かつ、耐久性にも優れた空気入りタイヤに関する。
一酸化炭素と、エチレンやプロピレンのようなオレフィンとをパラジウムやニッケル等といった遷移金属錯体を触媒として用いて重合させることにより、一酸化炭素とオレフィンが実質完全に交互共重合したポリケトンが得られることが知られている(非特許文献1)。ポリケトンを産業資材用繊維として応用する検討が多くの研究者によってなされ、高強度、高弾性率、高温での寸法安定性、接着性、耐クリープ特性を生かしてタイヤコード、ベルト等の補強繊維、コンクリート補強用繊維といった複合材料用繊維への応用が期待されている。
かかるポリケトン繊維の改良技術としては、例えば、特許文献1では、加撚時の強力低下を抑制することを目的とした、単糸膠着率が30%以下であるポリケトン繊維が開示されている。
「工業材料」、12月号、第5ページ、1997年 特開2002−242045号公報
しかしながら、単糸膠着率が30%以下のポリケトン繊維をタイヤのコード材として用いた場合、フィラメント間で摩擦が起こりやすく、転がり抵抗が十分に小さいとはいえなかった。また、単糸膠着率が30%以下のポリケトン繊維は、フィラメント−フィラメント間の拘束性が弱い。そのため、原糸を撚り合わせ、ゴムとの接着のためにRFL処理(ディップ処理)する場合、各フィラメントの全周囲にディップ液が含浸しやすいものの、絞りロールにてディップ液量を調整した場合、ディップ液が生コード外部へと移動しやすいという特性を有している。そのため、ゴムとの接着力を向上させ、タイヤの耐久性の改善するには改良の余地が残されていた。
また、生コード内部に含浸したディップ液を、コード最表面に押出すための絞りロール圧は250Pa〜2000Paが一般的である。単糸膠着率が30%以下のポリケトン原糸では、ディップ液成分が生コード内部に含浸しやすく、1000〜2000Paの比較的高い圧力で絞る必要があり、そのため、コード潰れてしまい、楕円形のディップコードができやすく、接着層に生じる歪に対して、耐性が異なる傾向があった。
そこで、本発明の目的は、膠着が起きやすい繊維を用いて、転がり抵抗を低減し、かつ、耐久性にも優れた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記構成とすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の空気入りタイヤは、
左右一対のビード部と、クラウン部から両サイド部を経て両ビード部に延びる1枚以上のカーカスプライからなるカーカス層と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に1層以上のベルト層と、該ベルト層のタイヤ半径方向外側にベルト補強層と、を備えた空気入りタイヤにおいて、
前記カーカスプライ、ベルト層、ベルト補強層のうち1以上の部材に、次式、
単糸膠着率(%)=[1−(見かけの単糸数/単糸数)]×100
(式中、見かけの単糸数は、繊維を10cmの長さに切断し、膠着して分繊ができない単糸の組を1本として数えたときの単糸の本数、単糸数は、前記繊維の製造に用いた紡口口金の孔数と同じ値である)で表される単糸膠着率が30%より大きい繊維からなるコードを適用してなることを特徴とするものである。
本発明においては、前記繊維の−60〜250℃における損失正接tanδの最大値は0.3以下であることが好ましく、また、前記繊維は繰返し単位の95%以上が下記式(I)、
Figure 2010155555
で示されるポリケトン繊維であることが好ましく、さらに、前記ポリケトン繊維の単糸繊度は0.5〜10.0dtexであることが好ましく、さらにまた、前記ポリケトン繊維の引張強度は10.0cN/dtex以上であることが好ましい。
また、本発明は、前記カーカスプライの内面に沿って、両サイド部の全域またはほぼ全域にわたり、子午断面が三日月状のサイド補強ゴム層を備えたランフラットタイヤに好適に適用することができる。
本発明によれば、膠着が起きやすい繊維を用いて、転がり抵抗を低減し、かつ、耐久性にも優れた空気入りタイヤを提供することができる。
以下、本発明の好適実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の空気入りタイヤの好適例の断面図である。図1に示すタイヤは、左右一対のビード部1及び一対のサイド部2と、両サイド部2に連なるトレッド部3とを有し、一対のビード部1間にトロイド状に延在して、これら各部1、2、3を補強する一枚以上のカーカスプライ4からなるカーカス層と、を備える。
図2は、本発明の空気入りタイヤの他の好適例の断面図である。図2に示すタイヤは、左右一対のビード部1及び一対のサイド部2と、両サイド部2に連なるトレッド部3とを有し、一対のビード部1間にトロイド状に延在して、これら各部1、2、3を補強する一枚以上のカーカスプライ4からなるカーカス層と、カーカスプライ4の内面に沿って、両サイド部2の全域またはほぼ全域にわたり、子午断面が三日月状のサイド補強ゴム層5と、を備える。
また、図1、2のタイヤにおいては、ビード部1内に夫々埋設したリング状のビードコア6のタイヤ半径方向外側にビードフィラー7が配置されており、更に、カーカスプライ4のトレッド部のタイヤ半径方向外側には2枚のベルト層からなるベルト8が配置されている。さらに、このベルト8のタイヤ半径方向外側でベルト8の全体を覆うようにベルト補強層9Aが配置され、更に、該ベルト補強層9Aの両端部のみを覆うように一対のベルト補強層9Bが配置されている。ここで、ベルト層は、通常、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層、好ましくは、スチールコードのゴム引き層からなり、図示例の2枚のベルト層は、該ベルト層を構成するコードが互いに赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト8を構成する。また、ベルト補強層9は、通常、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなる。
なお、図示例のカーカスプライ4は、平行に配列された複数の補強コードをコーティングゴムで被覆してなるカーカスプライ1枚から構成され、また、カーカスプライ4は、ビード部1内に夫々埋設した一対のビードコア6間にトロイド状に延在する本体部と、各ビードコア6の周りでタイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部とからなるが、本発明の空気入りタイヤにおいて、カーカスプライ4のプライ数及び構造は、これに限られるものではない。また、更に、図示例のベルト8は、2枚のベルト層からなるが、本発明の空気入りタイヤにおいては、ベルト8を構成するベルト層の枚数はこれに限られるものではない。更に、本発明の空気入りタイヤにおいては、ベルト補強層9A、9Bとしては、別の構造のとすることもできる。
本発明においては、カーカスプライ、ベルト層、ベルト補強層のうち1以上の部材に、単糸膠着率が30%より大きい繊維からなるコードを適用してなることが肝要である。繊維の単糸膠着率を30%より大きくすると、tanδを低減することができ、その結果、転がり抵抗に優れた空気入りタイヤを得ることができる。単糸膠着率が30%より大きい繊維としては、ポリビニルアルコールやポリケトン繊維(以下、「PK繊維」とも称する)を挙げることができる。
また、コードのディップ処理に際しては、ディップ液を含浸させた後、絞りロールにて接着液量を調整している。単糸膠着率が30%より大きい繊維は、ディップ液成分がコード内部に含浸しにくいため、生コードの内部に含浸したディップ成分を最表面へ押出すためのロール圧を、比較的低圧である250Pa〜1000Paとすることができる。これにより、コードが潰れてしまうという不具合を解消することができる。好適には、250Pa〜500Paである。
さらに、コード表面の膠着部分に接着剤の成分を保持させることができるため、ゴムとの接着処理(RFL処理)に最も重要な、ディップコード最表面層の接着層を良好に形成することができ、膠着率が30%以下の原糸では達成できなかった、ゴムとの良好な接着力を有するコードを得ることができる。これにより、耐久性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。上記効果を良好に得るためには、繊維の単糸膠着率は65%以上であることが好ましい。一方、85%を超えると、強力利用率が低下してしまうため、好ましくない。
また、本発明においては、繊維の−60〜250℃における損失正接tanδの最大値が0.3以下であることが好ましい。−60〜250℃におけるtanδの最大値を0.3以下とすることでタイヤの発熱を抑制し、さらに転がり抵抗を低減することが可能となり、タイヤの低燃費性を向上させることができる。
上記PK繊維は、下記一般式(II)、
Figure 2010155555
(式中、Aは不飽和結合によって重合された不飽和化合物由来の部分であり、各繰り返し単位において同一であっても異なっていてもよい)で表される。本発明においては、繰り返し単位の95モル%以上が1−オキソトリメチレン(上記式(I))であることが好ましく、より好ましくは99モル%以上であり、100モル%が最も好ましい。
かかるポリケトンは、部分的にケトン基同士、不飽和化合物由来の部分同士が結合していてもよいが、不飽和化合物由来の部分とケトン基とが交互に配列している部分の割合が90質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
また、上記式(II)において、Aを形成する不飽和化合物としては、エチレンが最も好ましいが、プロピレン、ブテン、ペンテン、シクロペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、スチレン、アセチレン、アレン等のエチレン以外の不飽和炭化水素や、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ビニルアセテート、アクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ウンデセン酸、ウンデセノール、6−クロロヘキセン、N−ビニルピロリドン、スルニルホスホン酸のジエチルエステル、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルピロリドンおよび塩化ビニル等の不飽和結合を含む化合物等であってもよい。
さらに、上記ポリケトンの重合度としては、下記式(III)、
Figure 2010155555
(上記式中、tおよびTは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノールおよび該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間であり、cは、上記希釈溶液100mL中の溶質の質量(g)である)で定義される極限粘度[η]が、1〜20dL/gの範囲内にあることが好ましく、3〜8dL/gの範囲内にあることがより一層好ましい。極限粘度が1dL/g未満では、分子量が小さ過ぎて、高強度のポリケトン繊維コードを得ることが難しくなる上、紡糸時、乾燥時および延伸時に毛羽や糸切れ等の工程上のトラブルが多発することがあり、一方、極限粘度が20dL/gを超えると、ポリマーの合成に時間およびコストがかかる上、ポリマーを均一に溶解させることが難しくなり、紡糸性および物性に悪影響が出ることがある。
さらにまた、PK繊維は、結晶化度が50〜90%、結晶配向度が95%以上の結晶構造を有することが好ましい。結晶化度が50%未満の場合、繊維の構造形成が不十分であって十分な強度が得られないばかりか加熱時の収縮特性や寸法安定性も不安定となるおそれがある。このため、結晶化度としては50〜90%が好ましく、より好ましくは60〜85%である。
上記ポリケトンの繊維化方法としては、(1)未延伸糸の紡糸を行った後、多段熱延伸を行い、該多段熱延伸の最終延伸工程で特定の温度および倍率で延伸する方法や、(2)未延伸糸の紡糸を行った後、熱延伸を行い、該熱延伸終了後の繊維に高い張力をかけたまま急冷却する方法が好ましい。上記(1)または(2)の方法でポリケトンの繊維化を行うことで、上記ポリケトン繊維コードの作製に好適な所望のフィラメントを得ることができる。
ここで、上記ポリケトンの未延伸糸の紡糸方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、特開平2−112413号、特開平4−228613号、特表平4−505344号に記載されているようなヘキサフルオロイソプロパノールやm−クレゾール等の有機溶剤を用いる湿式紡糸法、国際公開第99/18143号、国際公開第00/09611号、特開2001−164422号、特開2004−218189号、特開2004−285221号に記載されているような亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液を用いる湿式紡糸法が挙げられ、これらの中でも、上記塩の水溶液を用いる湿式紡糸法が好ましい。
例えば、有機溶剤を用いる湿式紡糸法では、ポリケトンポリマーをヘキサフルオロイソプロパノールやm−クレゾール等に0.25〜20質量%の濃度で溶解させ、紡糸ノズルより押し出して繊維化し、次いでトルエン、エタノール、イソプロパノール、n−ヘキサン、イソオクタン、アセトン、メチルエチルケトン等の非溶剤浴中で溶剤を除去、洗浄してポリケトンの未延伸糸を得ることができる。
一方、水溶液を用いる湿式紡糸法では、例えば、亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液に、ポリケトンポリマーを2〜30質量%の濃度で溶解させ、50〜130℃で紡糸ノズルから凝固浴に押し出してゲル紡糸を行い、さらに脱塩、乾燥等してポリケトンの未延伸を得ることができる。ここで、ポリケトンポリマーを溶解させる水溶液には、ハロゲン化亜鉛と、ハロゲン化アルカリ金属塩またはハロゲン化アルカリ土類金属塩とを混合して用いることが好ましく、凝固浴には、水、金属塩の水溶液、アセトン、メタノール等の有機溶媒等を用いることができる。
また、得られた未延伸糸の延伸法としては、未延伸糸を該未延伸糸のガラス転移温度よりも高い温度に加熱して引き伸ばす熱延伸法が好ましく、さらに、かかる未延伸糸の延伸は、上記(2)の方法では一段で行ってもよいが、多段で行うことが好ましい。熱延伸の方法としては、特に制限はなく、例えば、加熱ロール上や加熱プレート上に糸を走行させる方法等を採用することができる。ここで、熱延伸温度は、110℃〜(ポリケトンの融点)の範囲内が好ましく、総延伸倍率は、好適には10倍以上とする。
上記(1)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、上記多段熱延伸の最終延伸工程における温度は、110℃〜(最終延伸工程の一段前の延伸工程の延伸温度−3℃)の範囲が好ましく、また、多段熱延伸の最終延伸工程における延伸倍率は、1.01〜1.5倍の範囲が好ましい。一方、上記(2)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、熱延伸終了後の繊維にかける張力は、0.5〜4cN/dtexの範囲が好ましく、また、急冷却における冷却速度は、30℃/秒以上であることが好ましく、更に、急冷却における冷却終了温度は、50℃以下であることが好ましい。熱延伸されたポリケトン繊維の急冷却方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、ロールを用いた冷却方法が好ましい。なお、こうして得られるポリケトン繊維は、弾性歪みの残留は大きいため、通常、緩和熱処理を施し、熱延伸後の繊維長よりも繊維長を短くすることが好ましい。ここで、緩和熱処理の温度は、50〜100℃の範囲が好ましく、また、緩和倍率は、0.980〜0.999倍の範囲が好ましい。
また、PK繊維コードの高い熱収縮特性を最も効果的に活用するには、加工時の処理温度や使用時の成型品の温度が、最大熱収縮応力を示す温度(最大熱収縮温度)と近い温度であることが望ましい。具体的には、必要に応じて行われる接着剤処理におけるRFL処理温度や加硫温度等の加工温度が100〜250℃であること、また、繰り返し使用や高速回転によってタイヤ材料が発熱した際の温度は100〜200℃にもなることなどから、最大熱収縮温度は、好ましくは100〜250℃の範囲内、より好ましくは150〜240℃の範囲内である。
また、本発明に用いるPK繊維の単糸繊度は、0.5〜10.0dtexであることが好ましい。単糸繊度が0.5dtex未満の場合には、スティフネスが柔らかいために、生タイヤ成型時の作業性に劣る。一方、単糸繊度が10.0dtex超えると疲労性が劣ることになる。
さらにまた、本発明に用いるPK繊維としては、引張強度が10cN/dtex以上であることが好ましく、より好ましくは15cN/dtex以上である。この引張強度が10cN/dtex未満の場合、タイヤとしての強度が不十分となる。また、引張強度が高いほど使用する繊維の重量を少なくすることができる。
さらにまた、引張弾性率は高いほど同一荷重下での寸法変化が小さく、形態安定性に優れていため、本発明に用いる繊維としては、原糸の引張弾性率が200cN/dtex以上であることが好ましく、より好ましくは250cN/dtex以上である。引張弾性率が200cN/dtex未満の場合、ランフラット走行耐久性を十分に向上させることができない。なお、引張強度および引張弾性率は、JIS−L−1013に準じて測定することにより得られる値であり、引張弾性率は伸度0.1%における荷重と伸度0.2%における荷重から算出した初期弾性率の値である。
本発明に用いるコードは、下記式(IV)、
Figure 2010155555
(式中、Tは撚り数(回/100mm)、Dはコードの総繊度(dtex)、ρはコードに使用される繊維素材の密度(g/cm)である)で定義される撚り係数αが0.25〜1.25の範囲であることが好ましい。繊維コードの撚り係数αが0.25未満では、熱収縮応力が十分に確保できず、一方、1.25を超えると、弾性率が十分に確保できず、補強能が小さくなる。
本発明の空気入りタイヤは、上記要件を満足することのみが重要であり、それ以外のタイヤ構造の詳細や材料などについては特に制限されるものではなく、常法により製造することができる。また、タイヤ内に充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスを用いることができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
(実施例1〜10)
<ポリケトン繊維の調製例>
常法により調製したエチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度5.3のポリケトンポリマーを、塩化亜鉛65質量%/塩化ナトリウム10質量%含有する水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌溶解しポリマー濃度8質量%のドープを得た。
このドープを80℃に加温し、20μm焼結フィルターでろ過した後に、80℃に保温した紡口径0.10mmφ、50ホールの紡口より10mmのエアーギャップを通した後に5質量%の塩化亜鉛を含有する18℃の水中に吐出量2.5cc/分の速度で押出し、速度3.2m/分で引きながら凝固糸条とした。
引き続き凝固糸条を濃度2質量%、温度25℃の硫酸水溶液で洗浄し、さらに30℃の水で洗浄した後に、速度3.2m/分で凝固糸を巻取った。この凝固糸にIRGANOX1098(Ciba Specialty Chemicals社製)、IRGANOX1076(Ciba Specialty Chemicals社製)をそれぞれ0.05質量%ずつ(対ポリケトンポリマー)含浸せしめた後に、該凝固糸を240℃にて乾燥後、仕上剤を付与して未延伸糸を得た。
仕上剤は以下の組成のものを用いた。オレイン酸ラウリルエステル/ビスオキシエチルビスフェノールA/ポリエーテル(プロピレンオキシド/エチレンオキシド=35/65:分子量20000)/ポリエチレンオキシド10モル付加オレイルエーテル/ポリエチレンオキシド10モル付加ひまし油エーテル/ステアリルスルホン酸ナトリウム/ジオクチルリン酸ナトリウム=30/30/10/5/23/1/1(質量%比)。
得られた未延伸糸につき、Journal of AppliedPolymer Science Vol94,446−452(2004)の記載のとおり、延伸倍率および乾燥温度を適宜変更することにより、表1〜4の物性を有するポリケトン原糸を得た。例えば、得られた未延伸糸を、1段目を240℃で、引き続き258℃で2段目、268℃で3段目、272℃で4段目の延伸を行った後に、引き続き5段目に200℃で1.08倍(延伸張力1.8cN/dtex)の5段延伸を行い、巻取機にて巻取る。未延伸糸から5段延伸糸までの全延伸倍率は17.1倍とする。この繊維原糸は強度15.6cN/dtex、伸度4.2%、弾性率347cN/dtexの高物性を有している。
<タイヤの製造>
下記表1〜4に示す単糸膠着率、損失正接tanδ、引張強度、原糸繊度、単糸繊度を有するポリケトン繊維にて、同表中に示す繊度・構造を有するポリケトンコードを作製した。得られたコードを同表中に示すタイヤ部材に適用して、実施例1〜5は図1、実施例6〜11はサイド補強ゴムを有する図2タイプのタイヤを、タイヤサイズ235/55R17にて作製した。得られた各供試タイヤにつき、転がり抵抗および耐久性の指標として接着性の評価をおこなった。
(比較例1、2および従来例1、2)
<ポリケトン繊維の調製例>
実施例1〜10のポリケトン繊維の製造方法の240℃の乾燥工程で、ピンガイドにより繊維をしごく装置に通したこと以外は同様の方法により、ポリケトン繊維を製造した。なお、前述と同条件の延伸倍率、乾燥温度にて得た繊維原糸は強度18.0cN/dtex、伸度5.0%、弾性率352cN/dtexと高物性を有している。
<タイヤの製造>
下記表1〜4に示す単糸膠着率、損失正接tanδ、引張強度、原糸繊度、単糸繊度を有するポリケトン繊維にて、同表中に示す繊度・構造を有するポリケトンコードを作製した。得られたコードを同表中に示すタイヤ部材に適用して、比較例1および従来例1は図1、比較例2および従来例2は図2タイプのタイヤを、タイヤサイズ235/55R17にて作製した。得られた各供試タイヤにつき、転がり抵抗および耐久性の指標として接着性の評価をおこなった。
<転がり抵抗>
転がり抵抗は、速度80km/hのドラムテストにて、各供試タイヤの抵抗力を直接測定することにより評価した。結果は、従来例1の抵抗力を100として指数表示した。指数値が小なるほど、転がり抵抗が小さく、優れていることを示す。得られた結果を下記の表1〜4に示す。
<接着性>
コードのゴムに対する接着力は撚糸したコードまたはディップ処理コードを未加硫ゴム組成物に埋め込み、160℃で20分間、20kgf/cmの加圧かで得られた加硫物からコードを掘り起こし、30mm/minの速度でコードを加硫物から剥離させ、剥離効力を測定してこれを接着力(N/本)とした。
Figure 2010155555
※−60℃〜250℃における値の最大値
Figure 2010155555
※−60℃〜250℃における値の最大値
Figure 2010155555
※−60℃〜250℃における値の最大値
Figure 2010155555
※−60℃〜250℃における値の最大値
表1〜4より、本発明の空気入りタイヤは、転がり抵抗および耐久性ともに向上していることがわかる。
本発明の一実施の形態に係る空気入りタイヤの断面図である。 本発明のその他の実施の形態に係る空気入りタイヤの断面図である。
符号の説明
1 ビード部
2 サイド部
3 トレッド部
4 カーカスプライ
5 サイド補強ゴム
6 ビードコア
7 ビードフィラー
8 ベルト
9A,9B ベルト補強層

Claims (6)

  1. 左右一対のビード部と、クラウン部から両サイド部を経て両ビード部に延びる1枚以上のカーカスプライからなるカーカス層と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に1層以上のベルト層と、該ベルト層のタイヤ半径方向外側にベルト補強層と、を備えた空気入りタイヤにおいて、
    前記カーカスプライ、ベルト層、ベルト補強層のうち1以上の部材に、次式、
    単糸膠着率(%)=[1−(見かけの単糸数/単糸数)]×100
    (式中、見かけの単糸数は、繊維を10cmの長さに切断し、膠着して分繊ができない単糸の組を1本として数えたときの単糸の本数、単糸数は、前記繊維の製造に用いた紡口口金の孔数と同じ値である)で表される単糸膠着率が30%より大きい繊維からなるコードを適用してなることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記繊維の−60〜250℃における損失正接tanδの最大値が0.3以下である請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記繊維が繰返し単位の95%以上が下記式(I)、
    Figure 2010155555
    で示されるポリケトン繊維である請求項1または2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ポリケトン繊維の単糸繊度が0.5〜10.0dtexである請求項3記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記ポリケトン繊維の引張強度が10.0cN/dtex以上である請求項3または4記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記カーカスプライの内面に沿って、両サイド部の全域またはほぼ全域にわたり、子午断面が三日月状のサイド補強ゴム層を備える請求項1〜5のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
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