JP2010153790A - 化学機械研磨用水系分散体およびそれを用いた化学機械研磨方法、ならびに化学機械研磨用水系分散体の製造方法 - Google Patents

化学機械研磨用水系分散体およびそれを用いた化学機械研磨方法、ならびに化学機械研磨用水系分散体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】配線材料、バリアメタル膜および層間絶縁膜に対する高研磨速度と高平坦化特性を同時に備えた化学機械研磨用水系分散体、およびこれを用いた化学機械研磨方法を提供することにある。
【解決手段】本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、(A)シリカ粒子と、(B)マレイン酸と、(C)複素環化合物と、を含有し、pHの値は、8以上12未満であり、前記(B)マレイン酸の含有量(W:質量%)と前記(C)複素環化合物の含有量(W:質量%)との比率(W/W)は、1.5〜100であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、化学機械研磨用水系分散体およびそれを用いた化学機械研磨方法、ならびに化学機械研磨用水系分散体の製造方法に関する。
近年、配線の微細化による多層配線部分での信号遅延がULSIデバイスの高速化の障害となりつつある。信号遅延は、配線抵抗値と配線間容量に依存することから、より低抵抗な配線材料と低誘電率な層間絶縁膜材料の導入が進められている。配線材料では従来のAlに代わり、より低抵抗なCuの導入が本格化しており、配線プロセスも従来のAlギャップフィル法からCuダマシン法(以下、単に「ダマシン法」ともいう。)へと大きな変革が起きている。
ダマシン法の具体的手法の一つについて説明する。まず、低誘電率な層間絶縁膜の上にそれを保護するための層間絶縁膜(以下、「キャップ層」ともいう。)を設け、これらの絶縁膜に配線形成用溝を形成する。次いで、配線形成用溝に硬質のTa等の金属よりなるバリアメタル膜を形成し、さらにCu等の配線材料を堆積させて被処理体を得る。次いで、この被処理体の配線材料、バリアメタル膜およびキャップ層を化学機械研磨により除去することによって配線を形成する。通常、かかる被処理体の化学機械研磨では、多段階の研磨工程を要する。一般的には、第1研磨工程において主にCu等の配線材料を研磨し、第2研磨工程において主にバリアメタル膜やキャップ層を研磨する、二段階研磨法が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
二段階研磨法においては、前述のように各研磨工程ごとに研磨対象が異なることから、各研磨対象にそれぞれ適した化学機械研磨用水系分散体を使用する必要があった。このような二段階研磨法では、第1研磨工程、第2研磨工程に使用する化学機械研磨用水系分散体の種類が異なるため、作業効率の低下を招くことがあった。
そこで、研磨品質を損なうことなく作業効率を向上させる観点から、低誘電率の層間絶縁膜の損傷を防ぎつつ、配線材料、バリアメタル膜および層間絶縁膜に対する高研磨速度と高平坦化特性を同時に備えた化学機械研磨用水系分散体の開発が求められていた。
特開2001−77062号公報
本発明の目的は、配線材料、バリアメタル膜および層間絶縁膜に対する高研磨速度と高平坦化特性を同時に備えた化学機械研磨用水系分散体、およびこれを用いた化学機械研磨方法を提供することにある。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、
(A)シリカ粒子と、
(B)マレイン酸と、
(C)複素環化合物と、を含有し、
pHの値は、8以上12未満であり、
前記(B)マレイン酸の含有量(W:質量%)と前記(C)複素環化合物の含有量(W:質量%)との比率(W/W)は、1.5〜100であることを特徴とする。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体において、前記(C)複素環化合物は、含窒素複素環化合物であることができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体において、前記含窒素複素環化合物は、窒素原子の隣接位にカルボキシル基を有する化合物であることができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体において、前記含窒素複素環化合物は、キナルジン酸およびキノリン酸から選択される少なくとも1種であることができる。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体において、さらに、(D)酸化剤を含有することができる。
本発明に係る化学機械研磨方法は、上記の化学機械研磨用水系分散体を用いて、金属膜、バリアメタル膜および絶縁膜から選択される少なくとも一種を有する半導体装置の被研磨面を研磨することを特徴とする。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体の製造方法は、少なくとも水および(A)シリカ粒子を含有し、pHの値が8以上11.5以下である液(I)と、少なくとも水、(B)マレイン酸および(C)複素環化合物を含有し、前記(B)マレイン酸の含有量(W:質量%)と前記(C)複素環化合物の含有量(W:質量%)との比率(W/W)が1.5〜100であって、かつ、pHの値が11.5以上13.5以下である液(II)と、を混合して、pHの値が8以上12未満である化学機械研磨用水系分散体を調製することを特徴とする。
上記化学機械研磨用水系分散体によれば、低誘電率の層間絶縁膜の損傷を防ぎつつ、配線材料(例えば、銅膜)、バリアメタル膜(例えば、Ta膜)および層間絶縁膜(例えば、TEOS膜)に対する研磨速度を同程度に高め、かつ、平坦性に優れた被研磨面を得ることができる。さらに、上記化学機械研磨用水系分散体によれば、ディッシング、スクラッチといった研磨欠陥を低減することができる。
上記化学機械研磨方法によれば、配線材料、バリアメタル膜および絶縁膜から選択される二種以上を有する被研磨面において、該被研磨面を一度の研磨工程で研磨することができる。
本実施の形態に係る化学機械研磨方法に用いられる被処理体を示す断面図。 本実施の形態に係る化学機械研磨方法の研磨工程を模式的に示す断面図。 本実施の形態に係る化学機械研磨方法の研磨工程を模式的に示す断面図。 本実施の形態に係る化学機械研磨方法の研磨工程を模式的に示す断面図。
以下、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変型例も含む。
1.化学機械研磨用水系分散体
本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(A)シリカ粒子と、(B)マレイン酸と、(C)複素環化合物と、を含有し、pHの値は、8以上12未満であって、前記(B)マレイン酸の含有量(W:質量%)と前記(C)複素環化合物の含有量(W:質量%)との比率(W/W)は、1.5〜100であることを特徴とする。
まず、本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体に含まれる各成分について、詳細に説明する。なお、以下(A)ないし(D)の各成分をそれぞれ(A)成分ないし(D)成分と省略して記載することがある。
1.1.(A)シリカ粒子
本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(A)シリカ粒子を含有する。
(A)シリカ粒子としては、気相中で塩化ケイ素等を、酸素および水素と反応させるヒュームド法により合成されたヒュームド法シリカ、金属アルコキシドから加水分解縮合して合成するゾルゲル法により合成されたシリカ、精製により不純物を除去した無機コロイド法等により合成されたコロイダルシリカ等が挙げられる。特に、(A)シリカ粒子としては、精製により不純物を除去した無機コロイド法等により合成されたコロイダルシリカが好ましい。
(A)シリカ粒子の形状は、球状であることが好ましい。ここで、球状とは、鋭角部分を有さない略球形のものを含み、必ずしも真球に近いものである必要はない。球状のシリカ粒子を用いることにより、十分な研磨速度で研磨することができるとともに、被研磨面におけるスクラッチ等の発生も抑制できる。
(A)シリカ粒子の平均粒子径は、好ましくは0.01〜3μmであり、より好ましくは0.05〜1μmであり、特に好ましくは0.1〜0.7μmである。この範囲の平均粒子径を有するシリカ粒子であれば、十分な研磨速度を有し、かつ、粒子の沈降・分離を生ずることのない安定な化学機械研磨用水系分散体を得ることができる。平均粒子径が0.01μm未満では、十分に研磨速度が大きい化学機械研磨用水系分散体を得ることができないことがある。平均粒子径が3μmを超えると、砥粒の沈降・分離により、安定な水系分散体とすることが容易ではない。なお、(A)シリカ粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡で観察することにより測定することができる。
(A)シリカ粒子の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対し、好ましくは0.5〜30質量%であり、より好ましくは0.1〜20質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%、特に好ましくは1〜7質量%である。(A)シリカ粒子の含有量が上記範囲未満であると、十分な研磨速度が得られない場合があり、研磨工程を終了するのに多大な時間を要する場合がある。一方、(A)シリカ粒子の含有量が上記範囲を超えると、コストが高くなるとともに、化学機械研磨用水系分散体の貯蔵安定性が低下するため好ましくない。
1.2.(B)マレイン酸
本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(B)マレイン酸を含有する。マレイン酸を含有することにより、Ta、TaN、Ti、TiN等からなるバリアメタル膜に対する研磨速度を高めることができる。なお、無水マレイン酸は、化学機械研磨用水系分散体中に容易に溶解し加水分解されてマレイン酸を形成するため、常温で固体の無水マレイン酸を含有してもよい。
マレイン酸は、概ね下記のようなメカニズムによって上記の効果を奏するものと推測される。マレイン酸は、炭素−炭素二重結合を軸とする回転ができないため、常に炭素−炭素二重結合に対して一方のみにカルボキシル基を有する形態(cis型)で存在する。そのため、Cu等の金属原子に対して、キレートを形成するように結合しやすいと考えられる。このように配位することにより、配線金属やバリアメタル膜の研磨により発生する多価イオンが安定化され金属塩やその他の化合物からなるパーティクル等の析出を抑制することで、被研磨面の表面荒れを抑制し高い平坦性を維持することができる。
マレイン酸は、一段階目の解離定数(pKa1値)が1.75であり、二段階目の解離定数(pKa2値)は5.83である。この二つのpKa値の違いは、マレイン酸の有する二つのカルボキシル基が単独ではなく相互作用していることを示しており、上記キレート配位性能の特異性を裏付けている。一方、例えば二以上のカルボキシル基を有する有機酸であるグルタル酸のpKa1値は4.13、pKa2値は5.03であり、二つのカルボキシル基の間に相互作用が存在しないために一段階目と二段階目の解離定数の間の比率に大きな差はない。
マレイン酸と同様に、カルボキシル基の間の2つの炭素原子の間に炭素−炭素二重結合が同じ方向(cis型)に2つ存在する形態として、例えばフタル酸が挙げられる。フタル酸のpKa1値は2.95であり、pKa2値は5.41である。しかしながら、pKa1値とpKa2値との比率は、マレイン酸の酸解離定数と比較すると一段階目と二段階目の解離定数の間の比率に大きな差はない。そのため、マレイン酸と比較すると、金属キレートの安定化が良好ではないと推測できる。このようなカルボキシル基の特性の違いの結果、マレイン酸を用いると金属キレートが安定化され、特に研磨液中に溶け込んだ金属キレート塩の析出が抑制され易く、これにより、研磨対象表面のスクラッチを防ぐことができると推測される。上記説明では、具体的に金属塩について述べたが、バリアメタル膜等を研磨する際に発生するその他の化合物からなるパーティクルとも錯体を形成し、その他の化合物の析出の抑制も可能となると推測される。
(B)マレイン酸の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対し、好ましくは0.001〜3質量%であり、より好ましくは0.01〜2質量%、特に好ましくは0.1〜1.5質量%である。(B)マレイン酸の含有量が上記範囲未満であると、特にバリアメタル膜に対して十分な研磨速度が得られない場合があり、研磨工程を終了するのに多大な時間を要する場合がある。一方、(B)マレイン酸の含有量が上記範囲を超えると、シリカ粒子の凝集を招き、被研磨面にスクラッチが発生する場合がある。
1.3.(C)複素環化合物
本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(C)複素環化合物を含有する。複素環化合物を含有することにより、Cu等の配線金属の研磨により水系分散体中に溶出されたCuイオンと複素環化合物とが配位結合し、Cuの析出を防ぐことができる。これにより、配線金属上のスクラッチ等の表面欠陥を抑制することができる。
(C)複素環化合物としては、例えばピロール、ピロリン、ピロリドン、インドール、インドレニン、インドリン、オキシインドール、ジオキシインドール、オキシルインドール、イサチン、インドキシル、ピラゾール、2H−1,2,3−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、4H−1,2,4−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、1H−1,2,3,4−トリアゾール、2H−1,2,3,4−トリアゾール、ベンゾイミダゾール、1,2−ベンゾピラゾール、2,1−ベンゾピラゾール、1−ベンゾトリアゾール、2−ベンゾトリアゾール、ピリジン、2,2−ビピリジニル、キノリン、イソキノリン、ピリダジン、シンシノリン、フタラジン、フタラジノン、ピリミジン、プリン、プテリジン、キナゾリン、ピラジン、キノキサリン、トリアジン、テトラジン、テトラゾール、およびこれらの化合物中における水素原子が、アルキル基、水酸基、アミノ基、カルボニル基またはアルデヒド基で置換された誘導体等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは含窒素複素環化合物であり、より好ましくは窒素原子の隣接位にカルボキシル基を有する含窒素複素環化合物である。窒素原子の隣接位にカルボキシル基を有する含窒素複素環化合物としては、例えば5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアジアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−アミノベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−アミノ−6−メチルベンゾチアゾール、キノリン酸、およびキナルジン酸等が挙げられる。これらの中でも特に好ましいとされる含窒素複素環化合物は、キノリン酸とキナルジン酸である。キノリン酸およびキナルジン酸は、環状の窒素原子を介してCuイオンと配位結合を形成しやすく、CuおよびCuイオンとの親和性を高め、Cu等の配線材料の表面に吸着して適度に保護することができる。窒素原子の隣接位にカルボキシル基を有する含窒素複素環化合物は、さらにCuイオンと配位結合を形成しやすくなり、上記の効果が得られやすくなる。
(C)成分の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対し、好ましくは0.001〜3質量%であり、より好ましくは0.01〜2質量%、特に好ましくは0.1〜1.5質量%である。(C)成分の含有量が上記範囲未満であると、特にCu膜に対して十分な研磨速度が得られない場合があり、研磨工程を終了するのに多大な時間を要する場合がある。一方、(C)成分の含有量が上記範囲を超えると、Cu等の配線材料やバリアメタル膜の腐食が発生する場合がある。
1.4.pH
本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体のpHの値は、8以上12未満であり、好ましくは8以上11以下、より好ましくは9以上10以下である。pHの値が8未満であると、シリカ粒子の表面に存在するシラノール基同士の水素結合を切ることができず、シリカ粒子の凝集を引き起こす場合がある。また、Cu等の配線材料に対するエッチング作用が強くなり、ディッシングおよびエロージョン等が発生しやすくなる場合がある。一方、pHの値が12以上である場合、スラリーを長時間保管すると、スラリー中に存在するシリカ粒子が一部溶解してしまうことがある。その結果、スラリーの研磨特性が変化してしまい絶縁膜が過度に研磨され、良好な配線パターンが得られないことがある。
pHを調整するための手段としては、例えば水酸化カリウム、アンモニア、エチレンジアミン、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)等の塩基性塩に代表されるpH調整剤を添加することにより、pHを調整することができる。
1.5.含有比率(W/W
本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(B)マレイン酸の含有量(W:質量%)と(C)複素環化合物(W:質量%)との含有比率(W/W)は、1.5〜100であり、好ましくは1.5〜80であり、より好ましくは2〜50であり、特に好ましくは2〜25である。含有比率(W/W)が1.5未満であると、Cu等の配線材料やバリアメタル膜の腐食が発生する場合がある。一方、含有比率(W/W)が100を超えると、研磨速度が高くなりすぎディッシングやエロージョン等が発生する場合がある。
すなわち、本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(B)マレイン酸および(C)複素環化合物の二成分を上記の範囲でバランス良く配合することで、各成分の機能を阻害することなく発揮できることを特徴とするものである。
1.6.その他の添加剤
本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、(D)酸化剤を含有することができる。(D)酸化剤を含有することで、さらに研磨速度が向上する。(D)酸化剤としては、広範囲の酸化剤を使用することができるが、適切な酸化剤として酸化性金属塩、酸化性金属錯体、非金属系酸化剤の例えば過酸化水素、過酢酸や過ヨウ素酸、鉄系イオンの例えばニトレート、スルフェート、EDTA、シトレート、フェリシアン化カリウム等、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第4アンモニウム塩、ホスホニウム塩、あるいは過酸化物のその他のカチオン塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、硝酸塩、過マンガン酸塩、過硫酸塩およびこれらの混合物が挙げられる。
これらの(D)酸化剤の中でも、過酸化水素であることが特に好ましい。過酸化水素は、その少なくとも一部が解離し、過酸化水素イオンが生成する。なお、「過酸化水素」とは、分子状過酸化水素の他、上記過酸化水素イオンをも含むものを意味する。
上記(D)酸化剤の含有量は、化学機械研磨用水系分散体の全質量に対し、好ましくは0.01〜5質量%であり、より好ましくは0.05〜3質量%、特に好ましくは0.07〜1質量%である。酸化剤の含有量が0.01質量%未満であると、被研磨面に対して十分な研磨速度が得られない場合があり、研磨工程を終了するのに多大な時間を要する場合がある。一方、酸化剤の含有量が5質量%を超えると、Cu等の配線材料やバリアメタル膜の腐食が発生する場合がある。
1.7.用途
本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、銅膜、バリアメタル膜、および絶縁膜を同一条件により研磨した場合に、前記銅膜の研磨速度(RCu)と前記バリアメタル膜の研磨速度(RBM)との比(RCu/RBM)が0.5〜1.1であり、かつ、前記銅膜の研磨速度(RCu)と前記絶縁膜の研磨速度(RIn)との比(RCu/RIn)が0.5〜1.5であることを特徴とする。本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、上記のような特徴を有することから、ダマシン配線形成工程における第2研磨工程に用いることが望ましい。
前記「同一条件」とは、特定の形式の研磨装置を使用し、その定盤およびヘッドの回転数、研磨圧力、研磨時間、研磨パッドの種類、ならびに化学機械研磨用水系分散体の単位時間当たりの供給量を同一にすることを意味する。
前記研磨速度の「比」は、銅膜、バリアメタル膜、および絶縁膜を、上記の同一条件の下に別個に研磨し、各々の研磨速度の値から算出することができる。該研磨は、銅膜、バリアメタル膜、または絶縁膜を備えるウエハを用いて行うことができる。
前記銅膜の研磨速度(RCu)と前記バリアメタル膜の研磨速度(RBM)との比(RCu/RBM)は、0.5〜1.1であるが、好ましくは0.6〜1.0、より好ましくは0.7〜0.9である。この比(RCu/RBM)が0.5未満の場合、銅膜に対する研磨速度が不十分となる。例えば二段階研磨法における第1研磨工程において、絶縁膜上の配線用凹部以外の銅膜の除去が不完全であった場合、第2研磨工程において銅膜の不要部分の除去に長時間を要する。一方、比(RCu/RBM)が1.1を超える場合、銅膜が過度に研磨されるため、ディッシング発生の原因となり、良好なダマシン配線の形成ができないことがある。
前記銅膜の研磨速度(RCu)と前記絶縁膜の研磨速度(RIn)との比(RCu/RIn)は、0.5〜1.5であるが、好ましくは0.6〜1.4、より好ましくは0.7〜1.3である。この比(RCu/RIn)が0.5未満の場合、絶縁膜が過度に研磨され、良好なダマシン配線を形成することができない。一方、比(RCu/RIn)が1.5を超える場合、銅膜が過度に研磨されるため、ディッシング発生の原因となり、十分に平坦化された精度の高い仕上げ面とすることができない。
前記銅膜を形成する銅は、純銅だけでなく、銅−シリコン、銅−アルミニウム等の銅を95重量%以上含有する合金を含む。
前記バリアメタル膜を形成する金属は、タンタル、チタン等があり、またそれらの窒化物、酸化物であってもよい。窒化物として、例えば窒化タンタル、窒化チタンがある。また、タンタルやチタンは、純タンタルや純チタンに限らず、例えばタンタル−ニオブ等の合金を含む。
前記絶縁膜としては、SiO膜のほか、超LSIの性能向上を目的とした低誘電率の層間絶縁膜をも含む。低誘電率の層間絶縁膜としては、フッ素添加SiO(誘電率;約3.3〜3.5)、ポリイミド系樹脂(誘電率;約2.4〜3.6;日立化成工業社製、商品名「PIQ」;Allied Signal社製、商品名「BCB」等)、水素含有SOG(誘電率;約2.5〜3.5)、および有機SOG(誘電率;約2.9;日立化成工業社製、商品名「HSGR7」等)からなる層間絶縁膜が挙げられる。
1.8.化学機械研磨用水系分散体調製用キット
本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体は、純水に直接(A)シリカ粒子、(B)マレイン酸、(C)複素環化合物およびpH調整剤等のその他の添加剤を添加して混合・撹拌することにより調製することができる。このようにして得られた化学機械研磨用水系分散体をそのまま使用してもよいが、各成分を高濃度で含有する(濃縮された)化学機械研磨用水系分散体を調製し、使用時に所望の濃度に希釈して使用してもよい。
また、上記成分のいずれかを含む複数の液(例えば、2つまたは3つの液)を調製し、これらを使用時に混合して使用することもできる。上記成分のいずれかを含む複数の液に分けておくことで、貯蔵安定性を向上させることができる。この場合、複数の液を混合して化学機械研磨用水系分散体を調製した後、これを化学機械研磨装置に供給してもよいし、複数の液を個別に化学機械研磨装置に供給して定盤上で化学機械研磨用水系分散体を形成してもよい。
具体例としては、少なくとも水および(A)シリカ粒子を含有し、pHが8〜11.5の範囲内に調整された水系分散体である液(I)と、少なくとも水、(B)マレイン酸、(C)複素環化合物を含有し、前記(B)マレイン酸の含有量(W:質量%)と前記(C)複素環化合物の含有量(W:質量%)との比率(W/W)が1.5〜100であって、かつ、pHが11.5〜13.5の範囲内に調整された液(II)とからなり、これらの液を混合して上記化学機械研磨用水系分散体を調製するためのキットが挙げられる。液(I)は、あらかじめpH調整剤を添加することによりpHを8〜11.5に調整しておけば、(A)シリカ粒子の分散安定性を確保することができる。
上記液(I)および(II)における各成分の濃度は、これらの液を混合して最終的に調製される化学機械研磨用水系分散体中の各成分の濃度が上記範囲内であれば特に限定されない。例えば、各成分を化学機械研磨用水系分散体の濃度よりも高濃度で含有する液(I)および(II)を調製し、使用時に、必要に応じて液(I)および(II)を希釈して、これらを混合し、各成分の濃度が上記範囲にある化学機械研磨用水系分散体を調製する。具体的には、上記液(I)と(II)とを1:1の重量比で混合する場合には、化学機械研磨用水系分散体の濃度の2倍の濃度の液(I)および(II)を調製すればよい。また、化学機械研磨用水系分散体の濃度の2倍以上の濃度の液(I)および(II)を調製し、これらを1:1の重量比で混合した後、各成分が上記範囲となるように水で希釈してもよい。以上のように、液(I)と液(II)とを別々に調製することにより、水系分散体の保存安定性を向上させることができる。
上記のキットを使用する場合、研磨時に上記化学機械研磨用水系分散体が形成されていれば、液(I)と液(II)との混合の方法およびタイミングは特に限定されない。例えば、液(I)と液(II)とを混合して上記化学機械研磨用水系分散体を調製した後、これを化学機械研磨装置に供給してもよいし、液(I)と液(II)とを独立して化学機械研磨装置に供給し、定盤上で混合してもよい。あるいは、液(I)と液(II)とを独立して化学機械研磨装置に供給し、装置内でライン混合してもよいし、化学機械研磨装置に混合タンクを設けて、混合タンク内で混合してもよい。また、ライン混合の際には、より均一な水系分散体を得るために、ラインミキサーなどを用いてもよい。
2.化学機械研磨方法
本発明の一実施形態に係る化学機械研磨方法について、以下詳細に説明する。
2.1.被処理体
図1は、本実施の形態に係る化学機械研磨方法に用いられる被処理体を示す断面図である。
(1)まず、低誘電率絶縁膜10を塗布法またはプラズマCVD法により形成する。低誘電率絶縁膜10としては、無機絶縁膜および有機絶縁膜が挙げられる。無機絶縁膜としては、例えば、SiOF膜(k=3.5〜3.7)、Si−H含有SiO膜(k=2.8〜3.0)などが挙げられる。有機絶縁膜としては、カーボン含有SiO膜(k=2.7〜2.9)、メチル基含有SiO膜(k=2.7〜2.9)、ポリイミド系膜(k=3.0〜3.5)、パリレン系膜(k=2.7〜3.0)、テフロン(登録商標)系膜(k=2.0〜2.4)、アモルファスカーボン(k=<2.5)などが挙げられる(上記のkは誘電率を表す。)。
(2)低誘電率絶縁膜10の上に、CVD法または熱酸化法を用いて絶縁膜20を形成する。絶縁膜20は、低誘電率絶縁膜10を保護するためのキャップ層としての役割を担う。絶縁膜20としては、例えば、TEOS膜等が挙げられる。
(3)低誘電率絶縁膜10および絶縁膜20を連通するようにエッチングして配線用凹部30を形成する。
(4)CVD法を用いて絶縁膜20の表面ならびに配線用凹部30の底部および内壁面を覆うようにバリアメタル膜40を形成する。バリアメタル膜40は、銅膜との接着性および銅膜に対する拡散バリア性に優れる観点から、TaまたはTaNであることが好ましい。
(5)バリアメタル膜40の上に銅を堆積させて銅膜50を形成することにより、被処理体100が得られる。
2.2.化学機械研磨方法
図2ないし図4は、本実施の形態に係る化学機械研磨方法の研磨工程を模式的に示す断面図である。本研磨工程では、主に銅膜を研磨する第1研磨工程と、不要な銅、バリアメタル膜および絶縁膜を研磨する第2研磨工程と、が行われる。
2.2.1.第1研磨工程
まず、被処理体100のバリアメタル膜40の上に堆積した銅膜50を除去するために、銅膜用の化学機械研磨用水系分散体を用いて化学機械研磨を行う。図2に示すように、第1研磨工程では、バリアメタル膜40が表出した時点で化学機械研磨をストップさせる。なお、第1研磨工程は、堆積させた銅膜50をバリアメタル膜40が露出する直前まで高速で研磨するバルク研磨工程と、バルク研磨工程において残留した銅膜50をバリアメタル膜40が露出するまで研磨するファイン研磨工程と、に分けて実施することができる。
2.2.2.第2研磨工程
次いで、本発明に係る化学機械研磨用水系分散体を用いて、バリアメタル膜40および銅膜50を同時に化学機械研磨する。図3に示すように、絶縁膜20が表出した後も、なお引き続き化学機械研磨を進めて絶縁膜20を除去する。低誘電率絶縁膜10が表出した時点で化学機械研磨をストップさせることにより、図4に示すような半導体装置200が得られる。本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、絶縁膜20、バリアメタル膜40、銅膜50に対する研磨速度をほぼ同等とすることができるため、一工程で半導体装置を仕上げることができる。
2.2.3.研磨装置および研磨条件
本実施の形態に係る化学機械研磨方法では、市販の化学機械研磨装置を用いることができる。市販の化学機械研磨装置として、例えば、荏原製作所社製、型式「EPO−112」、「EPO−222」;ラップマスターSFT社製、型式「LGP−510」、「LGP−552」;アプライドマテリアル社製、型式「Mirra」等が挙げられる。
好ましい研磨条件としては、使用する化学機械研磨装置により適宜設定されるべきであるが、例えば化学機械研磨装置として「EPO−112」を使用する場合には下記の条件とすることができる。
・定盤回転数;好ましくは30〜120rpm、より好ましくは40〜100rpm
・ヘッド回転数;好ましくは30〜120rpm、より好ましくは40〜100rpm
・定盤回転数/ヘッド回転数比;好ましくは0.5〜2、より好ましくは0.7〜1.5
・研磨圧力;好ましくは60〜450gf/cm、より好ましくは200〜400gf/cm
・化学機械研磨用水系分散体供給速度;好ましくは50〜300mL/分、より好ましくは100〜200mL/分
3.実施例
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
3.1.シリカ粒子分散体の作製
容量2リットルのフラスコに、25質量%アンモニア水70g、イオン交換水40g、エタノール175gおよびテトラエトキシシラン21gを投入し、回転速度180rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。温度を60℃に維持しながら2時間撹拌した後、室温まで冷却し、平均粒子径が0.23μmのコロイダルシリカ/アルコール分散体を得た。
次いで、エバポレータにより、この分散体に80℃の温度でイオン交換水を添加しながらアルコール分を除去する操作を数回繰り返し、分散体中のアルコールを除くことにより、固形分濃度が8質量%のシリカ粒子分散体を得た。
3.2.化学機械研磨用水系分散体の調製
イオン交換水50質量部、前述したシリカ粒子分散体をポリエチレン製の瓶に入れ、これにマレイン酸を0.8質量部、キナルジン酸を0.2質量部、さらに10質量%の水酸化カリウム水溶液を添加してpHを10.0に調整した。さらに、30質量%の過酸化水素水を過酸化水素に換算して0.1質量部に相当する量を添加し、15分間撹拌した。最後に、シリカ粒子が5質量部および全成分の合計量が100質量部となるようにイオン交換水を添加した後、孔径5μmのフィルターで濾過することにより、pHが10.0の化学機械研磨用水系分散体S1を得た。
化学機械研磨用水系分散体S2〜S18は、(A)ないし(C)成分の種類もしくは含有量、pHを表1または表2に記載の通りに変更したこと以外は、上記の化学機械研磨用水系分散体S1と同様にして作製した。
Figure 2010153790
Figure 2010153790
3.3.化学機械研磨試験
化学機械研磨装置(荏原製作所社製、型式「EPO112」)に多孔質ポリウレタン製研磨パッド(ニッタ・ハース社製、品番「IC1000」)を装着し、化学機械研磨用水系分散体S1を供給しながら、下記の各種研磨速度測定用基板につき、下記の研磨条件にて1分間研磨処理を行い、下記の手法によって研磨速度、平坦性および欠陥の有無を評価した。
また、化学機械研磨用水系分散体S2〜S18についても上記と全く同様の操作を行い評価した。これらの結果を表1および表2に併せて示す。
3.3.1.研磨速度の評価
(1)研磨速度測定用基板(ブランケットウエハ)
・膜厚15,000オングストロームのCu膜が積層された8インチ熱酸化膜付きシリコン基板。
・膜厚2,000オングストロームのTa膜が積層された8インチ熱酸化膜付きシリコン基板。
・膜厚10,000オングストロームのPETEOS膜が積層された8インチシリコン基板。
(2)研磨条件
・ヘッド回転数:50rpm
・ヘッド荷重:350gf/cm
・テーブル回転数:50rpm
・化学機械研磨水系分散体の供給速度:200mL/分
この場合における化学機械研磨用水系分散体の供給速度とは、全供給液の供給量の合計を単位時間当たりで割り付けた値をいう。
(3)研磨速度の算出方法
Cu膜およびTa膜については、電気伝導式膜厚測定器(ケーエルエー・テンコール社製、形式「オムニマップRS75」)を用いて、研磨処理後の膜厚を測定し、化学機械研磨により減少した膜厚および研磨時間から研磨速度を算出した。
PETEOS膜については、光干渉式膜厚測定器(ナノメトリクス・ジャパン社製、型式「Nanospec6100」)を用いて、研磨処理後の膜厚を測定し、化学機械研磨により減少した膜厚および研磨時間から研磨速度を算出した。ここで、Cu膜に対する研磨速度(RCu)とTa膜に対する研磨速度(RTa)との比(RCu/RTa)は、好ましくは0.5〜1.1であり、特に好ましくは0.7〜0.9である。また、Cu膜に対する研磨速度(RCu)とPETEOS膜に対する研磨速度(RIn)との比(RCu/RIn)は、好ましくは0.5〜1.5であり、特に好ましくは0.7〜1.3である。表1および表2において、比(RCu/RTa)および比(RCu/RIn)の双方が上記の特に好ましい範囲に属している場合には「◎」と評価し、比(RCu/RTa)および比(RCu/RIn)の少なくとも一方が上記の特に好ましい範囲には属さないが、その双方が上記の好ましい範囲に属している場合には「○」と評価し、比(RCu/RTa)および比(RCu/RIn)の少なくとも一方が上記の好ましい範囲外である場合には「×」と評価した。
3.3.2.平坦性評価
上記ブランケットウエハの評価で算出されるCu膜、Ta膜およびPETEOS膜の研磨速度とその比率を算出することにより、本実施例に係る化学機械研磨用水系分散体の基本的研磨特性を確認することができる。しかしながら、配線パターンとなる溝が形成されたパターンウエハのCMPでは、局所的に過剰に研磨される箇所が発生することが知られている。これは、CMP前のパターンウエハ表面には配線パターンとなる溝を反映した凹凸が金属膜の表面に生じており、CMPを行う場合にパターン密度に応じて局所的に高い圧力がかかり、その部分の研磨速度が速くなるためである。そこで、半導体基板に模したパターンウエハを研磨して評価することにより、本実施例に係る化学機械研磨用水系分散体の実際に使用する状態における研磨特性を確認することができる。
パターン付きウエハ(SEMATECH INTERNATIONAL社製、形式「SEMATECH 854」、種々の配線パターンを有する銅膜研磨のテスト用の基板、銅膜厚さ;11,000オングストローム)を被研磨物とした。研磨時間を研磨開始からテーブル上から発する赤外線によって検知した終点に到るまでの時間の1.2倍としたこと以外は、上記「3.3.1.銅膜の研磨速度評価」における研磨条件と同様にして、化学機械研磨を行った。
研磨処理後のパターン付き基板の被研磨面につき、高解像度プロファイラー(KLAテンコール社製、形式「HRP240ETCH」)を用いて、銅配線幅(ライン、L)/絶縁膜幅(スペース、S)がそれぞれ100μm/100μmの銅配線部分におけるディッシング量(nm)を測定した。ここで、「ディッシング」とは、研磨後の被研磨面において、測定位置の銅配線を挟むPETEOS膜の上面と測定位置の銅配線の最低部位との高低差をいう。なお、ディッシング量は、銅配線上面が基準面(絶縁膜上面)よりも上に凸である場合はマイナスで表示した。ディッシング量は、−5nm以上30nm以下であることが好ましく、0nm以上15nm未満であることが特に好ましい。表1および表2の評価欄において、ディッシング量が上記のより好ましい範囲内である場合には「◎」と標記し、上記の特に好ましい範囲には属さないが上記の好ましい範囲に属する場合には「○」と表記し、上記の好ましい範囲外である場合には「×」と表記した。
3.3.3.欠陥評価
研磨処理後のパターン付き基板の被研磨面を、欠陥検査装置(KLAテンコール社製、形式「2351」)を使用して研磨傷(スクラッチ)の数を測定した。この結果を表1および表2に示す。表1および表2において、ウエハ一枚あたりのスクラッチ個数を「個/ウエハ」という単位を付して記す。スクラッチ個数は、650個/ウエハ以下であることが好ましい。表1および表2においてスクラッチ評価の欄には、500個/ウエハ以下である場合には「◎」、500個/ウエハ以上650個/ウエハ以下である場合には「○」、650個/ウエハを超える場合には「×」と表記している。
3.3.4.評価結果
実施例1〜11に係る化学機械研磨用水系分散体を用いた場合には、いずれもRCu/RTaおよびRCu/RInの値が好ましい範囲内にあるため、Cu膜、Ta膜、およびPETEOS膜(以下、「三膜」ともいう。)の存在する被研磨面を一工程で研磨できることが分かった。また、実施例1〜10に係る化学機械研磨用水系分散体を用いてパターン付き基板を研磨した場合には、ディッシング、スクラッチ等の表面欠陥を抑制することができ、被研磨面の良好な平坦性を実現することができた。
比較例1に係る化学機械研磨用水系分散体は、(B)マレイン酸を含有していないため、含有比率(W/W)が1.5未満となる。そのためバランスを失し、Ta膜に対する研磨速度が著しく小さくなり、三膜の存在する被研磨面を一工程で研磨することは困難である。また、パターン付き基板を研磨した場合には、ディッシングが発生し、良好な被研磨面が得られなかった。
比較例2に係る化学機械研磨用水系分散体は、(C)複素環化合物を含有していない。そのためバランスを失し、特にCu膜に対する研磨速度が著しく小さくなり、三膜の存在する被研磨面を一工程で研磨することは困難である。また、パターン付き基板を研磨した場合には、(B)マレイン酸の作用によりスクラッチが多数発生し、良好な被研磨面が得られなかった。
比較例3に係る化学機械研磨用水系分散体は、含有比率(W/W)が1.0である。そのためバランスを失し、RCu/RTaが大きくなってしまい、良好な被研磨面が得られなかった。
比較例4に係る化学機械研磨用水系分散体は、含有比率(W/W)が1.5〜100の範囲内であるが、(C)複素環化合物の代わりにフタル酸を用いた例である。フタル酸では、Cu膜やTa膜の保護作用に乏しく、(B)マレイン酸の作用によりスクラッチが多数発生し、良好な被研磨面が得られなかった。
比較例5に係る化学機械研磨用水系分散体は、含有比率(W/W)が1.5〜100の範囲内であるが、pHが7.5である。pHが8未満であると、(A)シリカ粒子の凝集に伴う多数のスクラッチが発生したため、良好な被研磨面が得られなかった。
比較例6に係る化学機械研磨用水系分散体は、含有比率(W/W)が120である。そのためTa膜に対する研磨速度のみが著しく大きくなり、RCu/RTaが小さくなることにより良好な被研磨面が得られなかった。
比較例7に係る化学機械研磨用水系分散体は、pHが12である。そのため、PETEOS膜に対する研磨速度が著しく大きくなり、RCu/RInが小さくなることにより良好な被研磨面が得られなかった。また、パターン付き基板を研磨した場合には、ディッシングが発生し、良好な被研磨面が得られなかった。
本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、Cu、Al、W、Ti、TiN、Ta、TaN、V、Mo、Ru、Zr、Mn、Ni、Fe、Ag、Mg、Mn、Si、これらの元素を含む積層構造、あるいは実質的にバリアメタルが存在しないような構造に対しても有効である。また、本発明に係る化学機械研磨用水系分散体は、ほとんどの金属を研磨してダマシン配線を形成する際に同様の効果を発揮することができる。
10…低誘電率絶縁膜、20…絶縁膜、30…配線用凹部、40…バリアメタル膜、50…銅膜、100…被処理体、200…半導体装置

Claims (7)

  1. (A)シリカ粒子と、
    (B)マレイン酸と、
    (C)複素環化合物と、を含有し、
    pHの値は、8以上12未満であり、
    前記(B)成分の含有量(W:質量%)と前記(C)成分の含有量(W:質量%)との比率(W/W)は、1.5〜100であることを特徴とする、化学機械研磨用水系分散体。
  2. 請求項1において、
    前記(C)複素環化合物は、含窒素複素環化合物である、化学機械研磨用水系分散体。
  3. 請求項2において、
    前記含窒素複素環化合物は、窒素原子の隣接位にカルボキシル基を有する化合物である、化学機械研磨用水系分散体。
  4. 請求項2において、
    前記含窒素複素環化合物は、キナルジン酸およびキノリン酸から選択される少なくとも1種である、化学機械研磨用水系分散体。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
    さらに、(D)酸化剤を含有する、化学機械研磨用水系分散体。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の化学機械研磨用水系分散体を用いて、金属膜、バリアメタル膜および絶縁膜から選択される少なくとも1種を有する半導体装置の被研磨面を研磨することを特徴とする、化学機械研磨方法。
  7. 少なくとも水および(A)シリカ粒子を含有し、pHの値が8以上11.5以下である液(I)と、
    少なくとも水、(B)マレイン酸および(C)複素環化合物を含有し、前記(B)マレイン酸の含有量(W:質量%)と前記(C)複素環化合物の含有量(W:質量%)との比率(W/W)が1.5〜100であって、かつ、pHの値が11.5以上13.5以下である液(II)と、
    を混合して、pHの値が8以上12未満である化学機械研磨用水系分散体を調製する、化学機械研磨用水系分散体の製造方法。
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