JP2009272418A - 研磨剤組成物および半導体集積回路装置の製造方法 - Google Patents

研磨剤組成物および半導体集積回路装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 半導体集積回路装置の製造における被研磨面の研磨において、埋込み金属配線を有する絶縁層の平坦な表面を得ることができる研磨用研磨剤組成物を提供する。
【解決手段】 半導体集積回路装置の被研磨面を研磨するための研磨用研磨剤組成物であって、シリカ粒子と、式(1)で表される化合物(ただし、RおよびRは互いに独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、カルボン酸基またはアミノ基である。)と、プルランと、塩基性化合物とを含有し、pHが8〜11の範囲にある。
【化4】
Figure 2009272418

【選択図】なし

Description

本発明は、半導体集積回路装置の製造工程に用いられる化学的機械的研磨(以下、CMPという。)用研磨剤組成物および半導体集積回路装置の製造方法に関する。より詳しくは、たとえば、配線材料として銅金属を用い、バリア層材料としてタンタル系金属を用いた埋込み金属配線の形成に好適なCMP用研磨剤組成物およびそれを用いた半導体集積回路装置の製造方法に関する。
近年、半導体集積回路装置の高集積化・高機能化に伴い、半導体集積回路装置の製造工程において、微細化・高密度化のための微細加工技術の開発が進められている。特に多層配線形成工程においては、層間絶縁膜や埋込み配線の平坦化技術が重要である。
配線材料としては、低比抵抗でエレクトロマイグレーション耐性に優れる銅が着目されている。銅配線の形成には、絶縁層に配線パターン等の溝部を形成し、銅の拡散を防止するバリア層を形成した後に、スパッタ法やメッキ法等により溝部に埋め込むように銅層を成膜し、溝部以外の絶縁層表面が露出するまで余分な銅層と余分なバリア層とをCMP法で除去して表面を平坦化することにより、埋込み金属配線を形成するダマシーン(Damascene)法が用いられる。バリア層としてはタンタル、タンタル合金または窒化タンタル等のタンタル化合物からなるタンタル系バリア層が用いられる。
このような銅埋込み配線形成においては、埋込み配線部分以外では、余分な銅層を除去して露出したバリア層をCMPにより取り除く必要がある。しかしながら、バリア層は銅に比べて非常に硬く十分な研磨速度が得られない場合が多い。そこで余分な金属配線層を除去する第1研磨工程と、余分なバリア層を除去する第2研磨工程とからなる2段階研磨法が提案されている。よって、用いる工程や研磨対象物などによって、CPM用研磨剤組成物は、その組成や特性は変化すると考えられる。
埋込み金属配線をCMPにより形成する方法を、図1を用いて説明する。本図では二酸化ケイ素などの絶縁材料からなるキャップ層5を用いる場合を例示しているが、キャップ層を用いない場合もあり、その場合も同様である。
図1(a)は、基板1上に形成された絶縁層2およびキャップ層5に、まず埋込み配線6を形成するための溝が形成され、次いでバリア層3および金属配線層4がこの順で形成された研磨前の断面図である。図1(b)は、金属配線層4の余分な部分を除去する第1研磨工程をおこなった後の断面図である。第1研磨工程終了後は、図1(b)中に矢印で示したディッシング7と呼ばれる金属配線部の目減りや、図2に矢印8で示したエロージョン8と呼ばれる絶縁層の目減りが生じる。
ディッシング7とは、図1(b)や図2の符号7で示したように、金属配線層4が過剰に研磨されて配線部の中央部の窪みまたは窪んだ量をいう。
エロージョンとは、図2に矢印8で示したように、配線部のうち、配線幅が細い部分や高配線密度の部分で、配線パターンのない絶縁層部分(Global部)、配線幅が広い部分や低配線密度の部分と比べて研磨が速く進行して、Global部に対して絶縁層2が過剰に研磨されて生じた窪みまたは窪んだ量をいう。なお、図2においては、バリア層3は省略している。
次いで、おこなわれる第2研磨工程により、不要なバリア層とキャップ層5を研磨して除去する。ディッシングやエロージョン、スクラッチは、配線抵抗の増加やエレクトロマイグレーションの原因となってデバイスの信頼性を低下させるため、第2研磨工程では、これらの欠点を低減して金属配線部と絶縁層とが同一面に揃った平坦面を実現することが重要である。
図1(c)は第2研磨工程の途中の断面図で、余分な銅層を除去して露出したバリア層は除去されているが、ディッシング7が残っている。なお、図1(d)ではキャップ層5をすべて除去しているが、必ずしもすべて除去しなくてもよい。
第1研磨工程後のディッシングは、バリア層の膜厚より大きく、第2研磨工程中にも金属埋込み配線6の研磨が進んだり、エロージョンが生じたりすることがある。そのため、第1研磨工程で生じたディッシングやエロージョンを除去して、図1(d)の断面図のように金属配線部と絶縁層とが同一面に揃った平坦面を得るためには、バリア層とキャップ層とを研磨した後、さらに絶縁層を削り込む必要があり、研磨剤組成物として、金属配線層、バリア層、および二酸化ケイ素膜や低誘電率膜などの絶縁層に対して同様の研磨速度を有する、すなわち、「ノンセレクティブ」すなわち「非選択的」な研磨特性を有する研磨剤組成物を用いることが好ましい。
特許文献1には、第2研磨工程においてディッシングやエロージョンの発生を抑えるとともに、上述のバリア層:金属配線層:絶縁層の適切な研磨速度比を得るために、ベンゾトリアゾール(以下、BTAという)を始めとするトリアゾール系化合物からなる保護膜形成剤およびプルランを含有させた研磨剤組成物が記載されている。
しかしながらトリアゾール系化合物の保護膜形成剤の添加は、銅研磨速度を大きく低下させ、研磨に長時間を要するようになり、かえってディッシングやエロージョンを増加させるおそれがある。また、銅および銅合金に強く吸着されて除去しにくく、後工程に悪影響を及ぼす恐れがある。更に、この研磨剤組成物は、バリア層および絶縁層の研磨速度が、銅膜の研磨速度に対して約2倍であることが記載されている。
特許文献2には、砥粒としてシリカ粒子を使用し、プルラン、硝酸を含有させ、研磨速度調整剤として5−アミノ−1H−テトラゾール(HAT)を含有させるとともにpH10〜12としてSiCの研磨速度を向上させた研磨剤組成物の発明が記載されている。この研磨剤組成物は、SiC層の研磨用であって、SiC層/二酸化ケイ素層膜の研磨速度比が3以上であることが好ましく、具体的には3.5〜4.6である。酸化剤は非含有であって、また、銅膜、バリア層の研磨に用いることについては何ら記載がない。
特許文献3には、1H−テトラゾール(1HT)、酸化剤(過水)、pH9.5の研磨剤、砥粒は0.002質量%で、アラニンを使用し、銅合金のベタ膜を、面内均一性よく高速に研磨できることが効果として記載されている。
特開2005−294798号公報(特許請求の範囲) 国際公開公報2007029465号(特許請求の範囲) 特開2006−049790号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、これらの文献はいずれも、第2研磨用に適する研磨剤とは言えない。
本発明は、半導体集積回路装置の製造における埋込み金属配線の形成において、研磨により、絶縁層と埋め込まれた埋込み金属配線との平坦な被研磨面を実現する技術を提供することを目的としている。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
本発明の態様1は、絶縁層上にバリア層と金属配線層とがこの順に形成された半導体集積回路装置用の多層構造体において当該金属配線層の研磨により当該バリア層が露出した被研磨面を研磨するために用いられる研磨剤組成物であって、
平均粒径が5〜300nmの範囲にあるシリカ粒子と、
式(1)で表される化合物(ただし、RおよびRは互いに独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、カルボン酸基またはアミノ基である。)と、
プルランと、
塩基性化合物と、
を含有し、
任意的に、過酸化水素、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウムからなる群から選ばれる1種以上である酸化剤を含有し、
pHが8〜11の範囲にある、
研磨剤組成物を提供する。
Figure 2009272418
態様2は、式(1)で表される化合物が5−アミノ−1H−テトラゾールである、態様1に記載の研磨剤組成物を提供する。
態様3は、前記塩基性化合物が、アンモニア、KOH、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、およびテトラエチルアンモニウムヒドロキシドからなる群から選ばれる1種以上である、態様1または2に記載の研磨剤組成物を提供する。
態様4は、硝酸および硫酸からなる群から選ばれた1種以上である酸をさらに含有する、態様1〜3のいずれかに記載の研磨剤組成物を提供する。
態様5は、有機カルボン酸をさらに含有する、態様4に記載の研磨剤組成物を提供する。
態様6は、前記研磨剤組成物の全量が100質量部である場合に、
前記シリカ粒子を0.1〜20質量部、
前記酸化剤を0.01〜50質量部、
式(1)で表される化合物を0.001〜5質量部、
前記プルランを0.005〜20質量部、
および前記塩基性化合物を0.01〜20質量部
含有する、態様1〜5のいずれかに記載の研磨剤組成物を提供する。
態様7は、前記絶縁層が3以下の誘電率を有する、態様1〜6のいずれかに記載の研磨剤組成物を提供する。
態様8は、前記金属配線層の研磨速度PRMeと前記絶縁層の研磨速度PRILDとの比PRMe/PRILDおよび前記バリア層の研磨速度PRBRと前記絶縁層の研磨速度PRILDとの比PRBR/PRILDが、ともに0.5〜2の範囲にある、態様1〜7のいずれかに記載の研磨剤組成物を提供する。
態様9は、前記多層構造体が、前記絶縁層と前記バリア層との間にキャップ層を備えたものである、態様1〜8のいずれかに記載の研磨剤組成物を提供する。
態様10は、前記キャップ層の研磨速度PRCapと前記絶縁層の研磨速度PRILDとの比PRCap/PRILDが0.5〜2の範囲にある、態様9に記載の研磨剤組成物を提供する。
態様11は、前記金属配線層が銅からなり、前記バリア層が、タンタル、タンタル合金およびタンタル化合物からなる群から選ばれた1種以上よりなる、態様1〜10のいずれかに記載の研磨剤組成物を提供する。
態様12は、半導体集積回路装置の製造方法であって、
当該半導体集積回路装置は、溝部を有する絶縁層と、当該溝部に形成された埋込み金属配線とを備えており、
当該絶縁層上にバリア層と金属配線層とがこの順に形成された当該半導体集積回路装置用の多層構造体において当該金属配線層の研磨により当該バリア層が露出した被研磨面を、態様1〜10のいずれかに記載の研磨剤組成物を用いて研磨して当該埋込み金属配線を形成する工程を含む、半導体集積回路装置の製造方法を提供する。
態様13は、前記金属配線層が銅からなり、前記バリア層が、タンタル、タンタル合金およびタンタル化合物からなる群から選ばれた1種以上よりなる、態様12に記載の半導体集積回路装置の製造方法を提供する。
態様14は、前記多層構造体が、前記絶縁層と前記バリア層との間にキャップ層を備えたものである、態様12または13に記載の半導体集積回路装置の製造方法を提供する。
態様15は、前記溝部を有する絶縁層が3以下の誘電率を有する、態様12〜14のいずれかに記載の半導体集積回路装置の製造方法を提供する。
本発明の研磨剤組成物を用いると、半導体集積回路装置の製造における埋込み金属配線の形成工程において、被研磨面を高平坦に研磨することができる。それにより、高平坦化された多層構造を持つ半導体集積回路装置を得ることができる。また、被研磨面の洗浄が容易であるので、研磨剤組成物の成分が吸着し残留することによるその後の処理への悪影響を抑制することができる。
以下に、本発明の実施の形態を図、表、式、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、表、式、実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得る。
本発明の研磨剤組成物は、絶縁層上にバリア層と金属配線層とがこの順に形成された半導体集積回路装置用の多層構造体において当該金属配線層の研磨により当該バリア層が露出した被研磨面を研磨するために用いられる研磨剤組成物であって、
平均粒径が5〜300nmの範囲にあるシリカ粒子と、
式(1)で表される化合物(ただし、RおよびRは互いに独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、カルボン酸基またはアミノ基である。)と、
プルランと、
塩基性化合物と、
を含有し、
任意的に、過酸化水素、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウムからなる群から選ばれる1種以上である酸化剤を含有し、
pHが8〜11の範囲にある、
スラリー状の組成物である。
Figure 2009272418
「絶縁層上にバリア層と金属配線層とがこの順に形成された半導体集積回路装置用の多層構造体において当該金属配線層の研磨により当該バリア層が露出した被研磨面を研磨する」とは、上述の第2研磨工程(図1の説明では、図1(b)の後の工程)における研磨面の研磨を意味する。
なお、「任意的に」とは、「過酸化水素、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウムからなる群から選ばれる1種以上である酸化剤」を含む組成物も含まない組成物もこの組成物の範疇に属することを意味する。
<シリカ粒子>
シリカ粒子は、シリカを主成分とする粒子であればよく、種々の公知の方法で製造されるものを使用できる。たとえばアルコキシド化合物やケイ酸ナトリウムから作製されたコロイダルシリカや、四塩化ケイ素から気相合成されたヒュームドシリカを用いることができる。なかでも、粒径が制御しやすく高純度品を得ることができる点から、コロイダルシリカが好ましい。なお、ここで、「主成分とする」とは、具体的には、SiOが80質量%以上であることを意味する。90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。
シリカ粒子の平均粒径は、研磨特性と分散安定性の点から、5〜300nmの範囲にあることが好ましい。平均粒径は、レーザー散乱法等公知の方法で求めることができる。
シリカ粒子の濃度は、研磨速度、研磨対象面内における研磨速度の均一性、分散安定性等を考慮して、研磨剤組成物の全量に対して0.1〜20質量%の範囲で適宜設定することが好ましく、研磨剤組成物全量の1〜15質量%の範囲がより好ましい。
以下、研磨剤組成物中の各成分の濃度は、特に断りのない限り研磨剤組成物全量に対する質量%をいう。すなわち、研磨剤組成物全量を100質量部とした場合における各成分の質量部を意味する。なお、上記において、0.1質量%未満では、研磨速度が不十分となる場合が多く、20質量%を超えると研磨剤組成物の粘度が高くなり過ぎ、取り扱いが困難になり得る。
本発明研磨剤組成物中にはシリカ粒子以外の砥粒が含まれていてもよい。ただし、砥粒の主成分(質量割合で50%以上)は上記シリカ粒子であり、好ましくは砥粒のうち50〜100%が上記シリカ粒子である。また上記シリカ粒子を主成分とする砥粒全体の量は、研磨剤組成物の全量に対して0.1〜20質量%の範囲が好ましく、研磨剤組成物全量の1〜15質量%、特に4〜8質量%の範囲がより好ましい。
なお、この場合も、0.1質量%未満では、研磨速度が不十分となる場合が多く、20質量%を超えると研磨剤組成物の粘度が高くなり過ぎ、取り扱いが困難になり得る。
シリカ粒子以外の砥粒としては、具体的には、コロイダルアルミナ粒子や、液相法や気相法で作製された酸化セリウム粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化チタン粒子、酸化スズ粒子、酸化亜鉛粒子、酸化マンガン粒子を使用することができる。これら粒子の平均粒径は5〜300nmの範囲にあることが好ましい。
<酸化剤>
酸化剤はバリア層表面に酸化皮膜を形成させ、この酸化皮膜が研磨時に機械的な力により被研磨面から除去されることによりバリア層の研磨が促進されると考えられる。
酸化剤としては、過酸化水素、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩および過リン酸塩から選ばれた1種以上を用いることができて、前記塩としては、アンモニウム塩や、カリウム塩等の塩を用いることが好ましい。すなわち、酸化剤としては、過酸化水素や、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の塩が好ましい。なお、アルカリ金属成分を含有せず副生成物を生じにくい過酸化水素が特に好ましい。
酸化剤の研磨剤組成物中における濃度は、研磨促進の十分な効果を得る点から、研磨剤組成物の全量に対して0.01〜50質量%の範囲で、研磨速度等を考慮して適宜設定することが好ましい。50質量%を超えても研磨速度に特段の効果が認められない場合が多い。研磨剤組成物全量に対して0.05〜20質量%、特に0.05〜2質量%の範囲がより好ましい。
なお、これらの酸化剤は、その酸化能力が変化し易いため、使用直前まで、その他の成分とは組み合わされず、使用に際して初めてその他の成分と組み合わされて、研磨剤組成物となる場合が多い。特に過酸化水素の場合は、使用に際して、初めてその他の成分と組み合わされる場合が多い。
<式(1)で表される化合物>
式(1)で表される化合物は、研磨時に、金属配線層表面に物理吸着または化学吸着して皮膜を形成し、それにより金属配線層の溶出を抑制して金属配線層のディッシングを防止する機能を果たしていると考えられる。
式(1)中、RおよびRは互いに独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、カルボン酸基またはアミノ基である。RおよびRは、アルキル基である場合はメチル基であることが好ましく、アルコキシ基である場合はメトキシ基であることが好ましい。式(1)で表される化合物は、具体的には1H−テトラゾール(1HT)、5−アミノ−1H−テトラゾール(HAT)、5−メチル−1H−テトラゾール(M5T)等が挙げられる。中でも5−アミノ−1H−テトラゾール(HAT)、1H−テトラゾール(1HT)を用いることが好ましい。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。式(1)で表される化合物の濃度は、研磨特性の点から0.001〜5質量%の範囲が好ましい。0.001質量%未満では、金属配線層の溶出を抑制する効果が不十分である場合が多く、5質量%を超えても特段の効果は期待できない場合が多い。0.01質量%以上、特に0.05質量%以上、更には0.3質量%以上とするとより優れた研磨の平坦性が実現される。研磨剤組成物の凝集を防いでより優れた分散安定性を得るためには2.0質量%以下、特に1.5質量%以下がより好ましい。
なお、本発明においては、式(1)で表される化合物と共にBTAが共存してもよいが、その場合には、BTAの含有量が0.8質量%以下が好ましく、特には0.3質量%以下、特に0.1質量%以下が好ましい。BTAの含有量が0.8質量を超えると、前述の通り、銅研磨速度を大きく低下させ、研磨に長時間を要するようになり、かえってディッシングやエロージョンを増加させる等のおそれが生じやすくなる。
<プルラン>
研磨剤組成物中にプルランを添加して用いると、理由は定かではないが、配線部のうち、配線パターンのない絶縁層部分(Global部)、配線幅が広い部分や低配線密度の部分の研磨が促進されて、配線幅が細い部分や高配線密度の部分の研磨が抑制されるので、エロージョンが低減されて、平坦な研磨が可能になる。
プルランとは、グルコース3分子がα−1,4結合したマルトトリオースが、さらにα−1,6結合した多糖類である。プルランは、重量平均分子量が1万〜100万の範囲にある場合にその効果が高い。水酸基の存在が重要な因子になっているものと考えられる。重量平均分子量が1万未満では、研磨速度向上効果が小さく、100万を超えても格段の効果増大は望めない場合が多い。特に、5万〜30万の範囲が好ましい。なお、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定することができる。
プルランの研磨剤組成物中における濃度は、研磨促進の十分な効果を得る点から、0.005〜20質量%、特に0.01〜10質量%、さらに0.01〜5質量%、0.01〜1質量%の範囲で、研磨速度、研磨剤組成物のスラリーとしての均一性等を考慮して適宜設定することが好ましい。20質量%を超えても特段の効果は期待できない場合が多い。
なお、プルランとHATとの組み合わせることで、エロージョンとディッシングンの少ない良好な平坦性得られる。
<水、塩基性化合物、pH>
水は、研磨剤組成物中に砥粒を分散させ、薬剤を溶解するための溶媒であり、純水または脱イオン水が好ましい。水は本研磨剤組成物の流動性を制御する機能を有するので、その含有量は、研磨速度、平坦化特性等の目標とする研磨特性に合わせて適宜設定することができる。
本研磨剤組成物は塩基性化合物を含む。塩基性化合物としては、アンモニア、水酸化カリウム(KOH)、あるいは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドやテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(以下、TEAHという。)のような4級アンモニウムヒドロキシド等を上げることができる。好ましくはKOH、アンモニアが用いられる。塩基性化合物の濃度は、研磨剤組成物のpHが8〜11となるように0.01〜20質量%、0.01〜10質量%、0.03〜1.5質量%の範囲で調整することが好ましい。塩基性化合物の添加量の調整により、バリア層、絶縁膜およびはキャップ層の少なくとも一つの層の研磨速度を変化させて、絶縁層に対する金属配線層、バリア層、キャップ層の研磨速度比を調整することができる。
また、塩基性化合物と共に、本研磨剤組成物中に酸を添加してもよい。酸を添加することにより、金属配線層、バリア層、絶縁膜、キャップ層のそれぞれの研磨速度を増大させることができる。
酸としては、硝酸、硫酸および有機カルボン酸からなる群から選ばれた1種以上が好ましく、硝酸および硫酸からなる群から選ばれた1種以上がより好ましい。なかでも、酸化力のあるオキソ酸であり、ハロゲンを含まない硝酸が好ましい。酸の濃度は0.01〜20質量%、0.01〜10質量%、0,05〜3質量%、0.05〜0.5質量%の範囲が好ましい。酸の濃度が0.01質量%未満では、研磨速度増大の効果が発揮されにくく、20質量%を超えても特段の効果が望めない場合が多い。
有機カルボン酸としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、シュウ酸、グリシルグリシンを用いることができて、好ましくはクエン酸および/またはグリシルグリシンを用いることができる。これら有機カルボン酸は、pH緩衝効果もあわせ持っていて好ましい。
本研磨剤組成物のpHは、研磨特性、研磨後の被研磨面の洗浄性、研磨剤組成物の分散安定性などのさまざまな因子を考慮すると、8以上かつ11以下(pHが8-11)である。pHが8より低いと絶縁膜の研磨速度が高くなり過ぎる場合があり、11より高すぎるとシリカの溶解が起こる懸念がある。研磨剤組成物の長期保管時の分散安定性を考慮すると、pHは8-11がより好ましく、pH9−11の範囲が更により好ましい。
<その他の成分>
本発明に係る研磨剤組成物には、本発明の効果が得られる限り必要に応じて、pH緩衝剤、水溶性高分子、界面活性剤、キレート化剤、還元剤、段差解消剤、粘性付与剤または粘度調節剤、凝集防止剤または分散剤、防錆剤等を適宜含有させることができる。ただし、これらの剤が、酸化剤、塩基性化合物、酸等の本発明に係る剤としての機能を有する場合は、これらの剤として扱う。
段差解消剤や粘度調整剤は、第2研磨工程において、バリア層およびバリア層に近接する絶縁層が過剰に研磨され、金属配線層に比べてバリア層や絶縁層が局所的に凹む減少を防止するために好ましい場合が多い。段差解消剤としてはプルランが望ましい。粘度調整剤段差解消剤としては、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)やヒドロキシプロピルセルロースが好適である。
また、有機溶媒を含有させると、研磨剤組成物の流動性や分散安定性が向上し、研磨速度を調節することができて好ましい場合もある。好ましい有機溶媒としては、炭素数1〜4の1級アルコール、炭素数2〜4のグリコール及び
CHCH(OH)CHOC2m+1−−−(2)
で表されるプロピレングリコールモノアルキルエーテル(ただし、mは1〜4の整数。)、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン及び炭酸プロピレンからなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。具体的には、1級アルコールとしては、メチルアルコノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールが好ましい。グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコールが好ましい。上記エーテルとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルがあげられる。
<研磨剤組成物特性>
本発明に係る研磨剤組成物は、特に第2研磨工程を研磨するのに好適な研磨剤組成物である。特に、本発明に係る研磨剤組成物は、特に粘度が低い点が特徴的であり、その粘度は、1.0〜1.5mP・sであることが好ましい。なお、粘度は、研磨を行う際の取り扱いや研磨の安定性などに効く非常に重要性の高い特性である。
<被研磨物>
本発明に係る研磨剤組成物は、絶縁層上に、バリア層、金属配線層がこの順で形成された被研磨面を研磨するのに適する。絶縁層とバリア層との間にはキャップ層が配されることが多い。より具体的には、半導体集積回路装置の製造において、埋込み金属配線とされる溝部が形成された絶縁層上に、バリア層、金属配線層がこの順で形成され、必要に応じて絶縁層とバリア層との間にはキャップ層が配された被研磨面を、CMPに代表される研磨により研磨する研磨工程において、余分な金属配線層(たとえば銅層)を除去してバリア層の少なくとも一部が露出した被研磨面を研磨する第2研磨工程に用いて、平坦な表面を得るのに好適である。本発明に係る研磨剤組成物はバリア層の高速研磨と、埋め込まれた金属配線を有する絶縁層の平坦化との両方の機能を併せ持つことも可能である。
特にバリア層が、タンタル、タンタル合金およびタンタル化合物からなる群から選ばれた1種以上からなる層であるときに、高い平坦化の効果が得られる場合が多い。しかしながら、他の金属等からなる膜に対しても適用でき、バリア層としてタンタル以外の金属または金属化合物、たとえばTi、TiN、TiSiN、WN等からなる膜を用いた場合にも、充分な効果が得られる場合も多い。なお、タンタル化合物としてはタンタルナイトライドを挙げることができる。
本発明に係る研磨剤組成物の研磨対象となる金属配線層としては、銅、銅合金および銅化合物から選ばれた1種以上の場合に高い効果が得られる場合が多い。しかしながら、本研磨剤組成物は、銅以外の金属、たとえばAl、W、Ag、Pt、Au等の金属膜に対しても適用可能である場合も多い。
本発明に係る研磨剤組成物による研磨対象の一つである絶縁層を構成する材料としては、公知のどのようなものを使用してもよく、例えば二酸化ケイ素膜を例示できる。二酸化ケイ素膜としては、一般にはSiとOとの架橋構造よりなり、SiとOの原子数の比が1:2のものが使用されるが、これ以外のものでもよい。このような二酸化ケイ素膜としてはテトラエトキシシラン(TEOS)やシランガス(SiH)を用い、プラズマCVDにより堆積させたものが一般的に知られている。
また、近年、信号遅延の抑制を目的として絶縁層として使用されるようになってきている、比誘電率が3以下の低誘電率材料(本明細書では「3以下の低誘電率材料」を単に「低誘電率材料」ともいう)からなる膜、例えば、フッ素添加酸化ケイ素(SiOF)からなる膜、有機SOG膜(Spin on glassにより得られる有機成分を含む膜)、ポーラスシリカ膜等の低誘電率材料膜や、主にSi−O結合から構成され、Si−CH結合を含む有機ケイ素材料(一般にSiOCと表記される)膜、に対しても、本発明に係る研磨剤組成物は、好適に使用できる。これらの材料の誘電率の下限は2.0程度である。これより低い誘電率の材料は機械的強度が不足する場合が多い。
低誘電率材料である有機ケイ素材料としては、商品名:Black Diamond(比誘電率2.7、アプライドマテリアルズ社技術)、商品名Coral(比誘電率2.7、Novellus Systems社技術)、Aurora2.7(比誘電率2.7、日本ASM社技術)等を挙げることができ、とりわけSi−CH結合を有する化合物が好ましく用いられる。
本発明に係る研磨剤組成物は、既に触れたとおり、絶縁層上にキャップ層が形成された場合についても好適に使用できる。すなわち、低誘電率絶縁層上にキャップ層、バリア層および金属配線層を順次積層してなる多層構造において、キャップ層を完全に除去した後、絶縁層を削り込んで平坦化するのに好適である。
キャップ層は、絶縁層に低誘電率材料を使用する場合に、絶縁層とバリア層との密着性を高めたり、化学的機械的に脆弱な低誘電率絶縁層に金属配線層を埋め込むための溝をエッチングにより形成する際のマスク材として用いたり、低誘電率材料の変質防止を図ったりすることを目的として設けられる層である。
キャップ層としては、一般にケイ素と酸素とを構成要素とする膜が使用される。このような膜としては二酸化ケイ素膜を例示できる。二酸化ケイ素膜としては、一般にはSiとOとの架橋構造よりなり、SiとOの原子数の比が1:2のものが使用されるが、これ以外のものでもよい。このような二酸化ケイ素膜としてはテトラエトキシシラン(TEOS)やシランガス(SiH)を用い、プラズマCVDにより堆積させたものが一般的に知られている。なお、この場合には、材質的にキャップ層と絶縁層とが区別できない場合もあり得る。そのような場合には、キャップ層と絶縁層とからなると考えても、絶縁層のみからなると考えても差し支えない。
本発明に係る研磨剤組成物は、本発明に係るキャップ層として、このような、テトラエトキシシラン(TEOS)をCVDにより堆積させた二酸化ケイ素膜を用い、絶縁層として、低誘電率材料の有機ケイ素材料である、Si−CH結合を有する化合物、商品名:Black Diamond(比誘電率2.7、アプライドマテリアルズ社技術)を用いる場合に、特に好適に使用することができる。
<研磨特性>
本発明に係る研磨剤組成物は、砥粒と、酸化剤と、式(1)で表される化合物と、プルランと、塩基性化合物と、水と、を含有し、pHが8〜11の範囲にあることにより、絶縁層上にバリア層と金属配線層とを積層して形成された被研磨面を、銅層、バリア層、および絶縁層に対して同様の研磨速度で研磨することができる。
好ましい研磨速度としては、
PRMe/PRILD=金属配線層の研磨速度PRMeと前記絶縁層の研磨速度PRILDとの比、
PRBR/PRILD=バリア層の研磨速度PRBRと前記絶縁層の研磨速度PRILDとの比、
が、ともに0.5〜2の範囲、特に0.6〜1.5の範囲にある。これらの範囲内にあれば、ディッシングやエロージョンの抑制が容易である。
キャップ層が存在する場合には、PRCap/PRILD=キャップ層の研磨速度PRCapと前記絶縁層の研磨速度PRILDとの比も0.5〜2の範囲、特に0.6〜1.5の範囲にあることが好ましい。
これらの研磨速度は、金属配線層、絶縁層、バリア層、キャップ層、またはこれらのモデル層のブランケットウェハに対して研磨試験をおこなって求めることができる。
本発明の研磨剤組成物は、研磨剤組成物を研磨パッドに供給し、被研磨面と接触させて被研磨面と研磨パッドを相対運動させて行う研磨方法に適用できる。必要により、パッドコンディショナーを研磨パッドの表面に接触させて、研磨パッド表面のコンディショニングを行いながら研磨してもよい。
本発明に係る研磨剤組成物は、必ずしもあらかじめ構成する研磨材料がすべて混合された状態で研磨の場に供給される必要はなく、本発明にかかる研磨剤組成物を構成するすべての研磨材料が、研磨をおこなうときに混合されていてもよい。
本発明に係る研磨剤組成物は、上述の研磨特性を有するので、基板上の絶縁層に配線用の溝パターンやビア等の凹部を形成し、次にバリア層を形成した後に、金属たとえば銅を溝部に埋め込むためにスパッタ法やメッキ法等で成膜した被研磨面において、凹部以外の絶縁層表面が露出するまで金属とバリア層とをCMP等の研磨により除去して、埋込み金属配線層を形成する方法に好適に用いられる。
このような特徴は、CMP等の研磨技術において、研磨剤組成物の薬剤組成に起因する化学的研磨と砥粒がもたらす機械的研磨とが融合して得られるものと考えられ、従来の研磨剤組成物では実現できなかった効果である。さらに、本研磨剤組成物を用いて研磨をおこなった後の被研磨面は、研磨剤組成物の成分の吸着、残留が極く少なく、残留物による後工程への悪影響を抑制することができる場合が多い。
<半導体集積回路装置の製造方法>
本発明に係る研磨剤組成物は、半導体集積回路装置の製造方法に好適に用いられる、具体的には、半導体集積回路装置は、溝部を有する絶縁層と、当該溝部に形成された埋込み金属配線とを備えており、当該絶縁層上にバリア層と金属配線層とがこの順に形成された当該半導体集積回路装置用の多層構造体において、当該金属配線層の研磨により当該バリア層が露出した被研磨面を、本発明に係る研磨剤組成物を用いて研磨して当該埋込み金属配線を形成する工程を含む、半導体集積回路装置の製造方法に好適に用いられる。
以下に本発明を、例によりさらに具体的に説明する。
(1)(研磨剤組成物の分散性評価)
研磨剤の分散性を評価するため、表1に記載されている各組成の研磨剤組成物を調整した。なお、表1において、pH以外の数値は、各例において使用した各成分の研磨剤組成物全質量に対する濃度(質量%)を示しており、溶媒としては純水を用いた。次に、調整直後のシリカ粒子の初期平均粒径を測定した。研磨剤組成物中のシリカ粒子の平均粒径は、マイクロトラックUPA(日機装社製)を用いて測定した。
次に、調整した研磨剤組成物を室温で10日間保管して、保管後の平均粒径を同様の方法で測定した。表1に示した番号1〜7の各組成の研磨剤組成物について、初期平均粒径および室温で10日間保管後の平均粒径を測定した結果を表2にまとめた。その前後の平均粒径の変化から研磨剤組成物の分散安定性を評価することが可能である。
この結果、シリカ粒子やHATなどを含む本条件においては、pHを8〜11に保つことにより、優れた分散安定性が得られることが分かる。
なお、番号1〜7の研磨剤組成物は、酸化剤、プルランおよび水溶性高分子の各成分を含有しないが、これらの成分は分散安定性への影響が実質的にないことが実験的に確かめられている。従って、番号1〜4の研磨剤組成物は本発明の研磨剤組成物の実施例に相当し、番号5〜7の研磨剤組成物は比較例に相当すると考えることができる。
(2)研磨剤組成物の研磨特性評価
[実施例1〜6、比較例1,2]
表3に記載されている各成分を用いて、各研磨剤組成物を以下のように調製した。なお、表3において、pH以外の数値は、各例において使用した各成分の研磨剤組成物全質量に対する濃度(質量%)を示している。
まず、溶媒である純水に、塩基性化合物、HATおよびプルランを加えて10分間撹拌した。有機溶媒を加える場合には、各成分を加える前にあらかじめ水と有機溶媒とを混合して混合溶媒とした。また、酸および段差調整剤(HEC)を含有させる場合は、撹拌前に含有させ、上述の成分と同時に攪拌した。次に砥粒の水分散液を徐々に添加後、30分間撹拌して研磨剤組成物を得た。酸化剤は研磨の直前に加え、攪拌により溶解することを確認しながら成分を順次添加し、最後にコロイダルシリカを添加した。
このようにして実施例1〜6および比較例1,2の組成の各研磨剤組成物を作製した。各例において使用した各成分の研磨剤組成物全質量に対する濃度(質量%)は表3に示した通りで、水は各成分合計量の残りである。
これらの組成物について下記の方法で評価した研磨速度、および研磨速度比を表4に示す。Ta研磨速度(PRTa)がPRBRに、Cu研磨速度(PRCu)がPRMeに、SiO研磨速度(PRSiO2)がPRCapに、SiOC研磨速度(PRSiOC)がPRILDに、それぞれ該当する。表4より、実施例では、PRTa/PRSiOC、PRCu/PRSiOC、PRSiO2/PRSiOCが0.7〜1.4の範囲にあるのに対し、比較例では、0.1や0.3と低い値を示すものや、2を超える高い値を示すものが多く見出された。
この結果より、本発明に係る研磨剤組成物は、銅、タンタル、二酸化ケイ素、SiOCの研磨速度をほぼ同等にすることができ、いわゆる「ノンセレクティブ Slurry」(非選択な研磨剤組成物)であることが理解できる。
研磨には以下の条件を採用した。
(1)研磨条件
研磨は、以下の装置および条件で行った。
研磨機:全自動CMP装置MIRRA(APPLIED MATERIALS社製)
研磨圧:14kPa
回転数:プラテン(定盤)103回転/分(rpm)、ヘッド(基板保持部)97rpm
研磨剤組成物供給速度:200ミリリットル/分
研磨パッド:IC1400−k groove(ロデール社製)。
(2)被研磨物
次の(a)〜(d)のブランケットウェハを使用した。
(a)金属配線層(Cu)研磨速度評価用ウェハ
基板上に厚さ1500nmの銅層をメッキで成膜した8インチウェハを使用した。
(b)バリア層(Ta)研磨速度評価用ウェハ
基板上に厚さ200nmのタンタル層をスパッタで成膜した8インチウェハを使用した。
(c)キャップ層研磨速度評価用ウェハ
基板上に厚さ800nmの二酸化ケイ素(SiO)層をプラズマCVDで成膜した8インチウェハを使用した。
(d)低誘電率絶縁層研磨速度評価用ウェハ
基板上に厚さ800nmのSiOC層をプラズマCVDで成膜した8インチウェハを使用した。
(3)研磨速度および研磨速度比の評価方法
研磨速度(PR)は、研磨前後の膜厚から算出した。膜厚の測定には、銅とタンタルについては四探針法による表面抵抗から算出するシート抵抗測定装置RS75(KLAテンコール社製)を用い、低誘電率絶縁層およびキャップ層については光干渉式全自動膜厚測定装置UV1280SE(KLAテンコール社製)を用いた。
研磨速度比については、求めた研磨速度の比を計算し求めた。
[比較例3] 実施例2におけるHATをベンゾトリアゾールに置き換えた以外は同様の組成の研磨剤組成物を同様にして作製して、比較例3の研磨剤組成物を得た。
銅層ブランケットウェハに対して、実施例1および比較例3の研磨剤組成物を用いて上述の研磨条件で研磨試験をおこなったところ、比較例3の研磨剤組成物による被研磨面は、BTAが吸着し、水を上に置くと弾き、撥水性を示した。それに対して実施例1のベンゾトリアゾールを含有しない研磨剤組成物で研磨した被研磨面は親水性を示し、、水を上に置くと濡れた。これにより、ベンゾトリアゾールを含有する研磨面は、ベンゾトリアゾールが吸着しており、その後の工程に悪影響を及ぼすおそれがあると考えられる。
(実際の研磨における効果)
実施例1〜6の研磨剤組成物を用いて、絶縁層上にバリア層と金属配線層とがこの順に形成された半導体集積回路装置用の多層構造体において、当該金属配線層の研磨により当該バリア層が露出した被研磨面を研磨した結果、ディッシングやエロージョンもなく良好な結果が得られる。これに対し、比較例1〜3の研磨剤組成物を用いた場合は、ディッシングやエロージョンが散見される。
Figure 2009272418
Figure 2009272418
Figure 2009272418
Figure 2009272418
なお、表における記号の意味は次の通りである。また、pH以外の数字は濃度(質量%)を表す。
APS: 過硫酸アンモニウム
: 過酸化水素
HAT: 5−アミノ−1H−テトラゾール
HEC: ヒドロキシエチルセルロース
DBS: ドデシルベンゼンスルホン酸
EG: エチレングリコール
GG: グリシルグリシン
半導体集積回路装置の製造工程における埋込み金属配線の製造工程の研磨において、本発明の研磨剤組成物を用いると、被研磨面をディッシングやエロージョンを抑制して高平坦に、かつ、スクラッチを低減して研磨することができる。それにより、配線抵抗の増加やエレクトロマイグレーションが抑制され信頼性が高い半導体集積回路装置が実現される。また、研磨後の被研磨面の洗浄が容易であるので、研磨剤組成物の成分が吸着し残留することによる後工程への悪影響を抑制することができる。
CMPによる埋込み配線の形成方法を示す工程における半導体集積回路装置の模式的断面図。 ディッシングおよびエロージョンの定義を説明するための半導体集積回路装置の模式的断面図。
符号の説明
1 Si基板
2 絶縁層
3 バリア層
4 金属配線層
5 キャップ層
6 埋込み配線
7 ディッシング部分
8 エロージョン部分
9 Global部の研磨部分

Claims (15)

  1. 絶縁層上にバリア層と金属配線層とがこの順に形成された半導体集積回路装置用の多層構造体において当該金属配線層の研磨により当該バリア層が露出した被研磨面を研磨するために用いられる研磨剤組成物であって、
    平均粒径が5〜300nmの範囲にあるシリカ粒子と、
    式(1)で表される化合物(ただし、RおよびRは互いに独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、カルボン酸基またはアミノ基である。)と、
    プルランと、
    塩基性化合物と、
    を含有し、
    任意的に、過酸化水素、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウムからなる群から選ばれる1種以上である酸化剤を含有し、
    pHが8〜11の範囲にある、
    研磨剤組成物。
    Figure 2009272418
  2. 式(1)で表される化合物が5−アミノ−1H−テトラゾールである、請求項1に記載の研磨剤組成物。
  3. 前記塩基性化合物が、アンモニア、KOH、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、およびテトラエチルアンモニウムヒドロキシドからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1または2に記載の研磨剤組成物。
  4. 硝酸および硫酸からなる群から選ばれた1種以上である酸をさらに含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の研磨剤組成物。
  5. 有機カルボン酸をさらに含有する、請求項4に記載の研磨剤組成物。
  6. 前記研磨剤組成物の全量が100質量部である場合に、
    前記シリカ粒子を0.1〜20質量部、
    前記酸化剤を0.01〜50質量部、
    式(1)で表される化合物を0.001〜5質量部、
    前記プルランを0.005〜20質量部、
    および前記塩基性化合物を0.01〜20質量部
    含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の研磨剤組成物。
  7. 前記絶縁層が3以下の誘電率を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の研磨剤組成物。
  8. 前記金属配線層の研磨速度PRMeと前記絶縁層の研磨速度PRILDとの比PRMe/PRILDおよび前記バリア層の研磨速度PRBRと前記絶縁層の研磨速度PRILDとの比PRBR/PRILDが、ともに0.5〜2の範囲にある、請求項1〜7のいずれかに記載の研磨剤組成物。
  9. 前記多層構造体が、前記絶縁層と前記バリア層との間にキャップ層を備えたものである、請求項1〜8のいずれかに記載の研磨剤組成物。
  10. 前記キャップ層の研磨速度PRCapと前記絶縁層の研磨速度PRILDとの比PRCap/PRILDが0.5〜2の範囲にある、請求項9に記載の研磨剤組成物。
  11. 前記金属配線層が銅からなり、前記バリア層が、タンタル、タンタル合金およびタンタル化合物からなる群から選ばれた1種以上よりなる、請求項1〜10のいずれかに記載の研磨剤組成物。
  12. 半導体集積回路装置の製造方法であって、
    当該半導体集積回路装置は、溝部を有する絶縁層と、当該溝部に形成された埋込み金属配線とを備えており、
    当該絶縁層上にバリア層と金属配線層とがこの順に形成された当該半導体集積回路装置用の多層構造体において当該金属配線層の研磨により当該バリア層が露出した被研磨面を、請求項1〜10のいずれかに記載の研磨剤組成物を用いて研磨して当該埋込み金属配線を形成する工程を含む、半導体集積回路装置の製造方法。
  13. 前記金属配線層が銅からなり、前記バリア層が、タンタル、タンタル合金およびタンタル化合物からなる群から選ばれた1種以上よりなる、請求項12に記載の半導体集積回路装置の製造方法。
  14. 前記多層構造体が、前記絶縁層と前記バリア層との間にキャップ層を備えたものである、請求項12または13に記載の半導体集積回路装置の製造方法。
  15. 前記溝部を有する絶縁層が3以下の誘電率を有する、請求項12〜14のいずれかに記載の半導体集積回路装置の製造方法。
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