以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。図1乃至図6は、本実施の形態に係る硬貨入出金装置を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における硬貨入出金装置の構成を示す上面図であり、図2は、図1に示す硬貨入出金装置の前面図であり、図3は、図1に示す硬貨入出金装置の側面図である。また、図4は、図1に示す硬貨入出金装置の制御ブロック図である。また、図5は、図1に示す硬貨入出金装置における硬貨の出金処理の動作内容を示すフローチャートであり、図6は、図1に示す硬貨入出金装置における硬貨の回収処理の動作内容を示すフローチャートである。
本実施の形態の硬貨入出金装置10は、略直方体形状の筐体12を備えており、この筐体12の上面12bには硬貨の投入口20が設けられている。筐体12内の上部において、供給ホッパ22および繰出ホッパ24がそれぞれ設けられており、筐体12の上面12bにある投入口20に投入された硬貨は供給ホッパ22に送られ、この供給ホッパ22から硬貨が繰出ホッパ24に送られるようになっている。また、繰出ホッパ24には略水平方向に延びる搬送部26が接続されており、繰出ホッパ24に収容される硬貨は1枚ずつ搬送部26に繰り出され、この搬送部26で硬貨が1枚ずつ図1の矢印方向に搬送されるようになっている。また、搬送部26には入金識別部27が設けられており、繰出ホッパ24から搬送部26に繰り出された硬貨は入金識別部27により金種、正損、真偽等の識別が行われるようになっている。
図1に示すように、搬送部26における入金識別部27よりも下流側の箇所には入金リジェクト硬貨選別部26hが設けられている。また、この入金リジェクト硬貨選別部26hの下方には、入金リジェクト硬貨シュート(図示せず)が設けられており、入金リジェクト硬貨シュートの下方には、リジェクト硬貨が集積される入金リジェクト部(図示せず)が設けられている。入金識別部27によりリジェクト硬貨であると識別された硬貨や、入金識別部27により識別することができなかった硬貨は、入金リジェクト硬貨選別部26hにより搬送部26から入金リジェクト硬貨シュートに送られ、この入金リジェクト硬貨シュートから入金リジェクト部に硬貨が自重による落下によって送られる。入金リジェクト部に集積された硬貨は、筐体12の前面12aから操作者が取り出すことができるようになっている。
また、搬送部26における入金リジェクト硬貨選別部26hよりも下流側の箇所には、5円硬貨選別部26a、1円硬貨選別部26b、50円硬貨選別部26c、100円硬貨選別部26d、および10円硬貨選別部26eがそれぞれ上流側から順に設けられている。また、搬送部26の下流側端部には、500円硬貨用開口26gが設けられている。そして、各硬貨選別部26a〜26eおよび500円硬貨用開口26gの下方にはそれぞれ入金硬貨シュート28が設けられている。入金識別部27により5円硬貨、1円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、10円硬貨と選別された硬貨は、それぞれ対応する各硬貨選別部26a〜26eにより搬送部26からそれぞれの入金硬貨シュート28に送られるようになっている。また、入金識別部27により識別された硬貨が500円硬貨である場合には、この硬貨は、各硬貨選別部26a〜26eによりこれらの硬貨選別部26a〜26eに対応する入金硬貨シュート28に送られることなく、代わりに搬送部26の下流側端部にある500円硬貨用開口26gに送られ、この500円硬貨用開口26gに対応する入金硬貨シュート28(図3における最も右側の入金硬貨シュート28)に送られることとなる。
筐体12の内部において、各入金硬貨シュート28の下方には、1つの入金一時保留部30が設けられている。入金一時保留部30は、略直方体形状のものからなり、略水平方向に延びるようになっている。より具体的には、入金一時保留部30は、筐体12の奥行き方向(図3の左右方向)に細長く延びるようになっている。この入金一時保留部30は、5円硬貨保留領域30a、1円硬貨保留領域30b、50円硬貨保留領域30c、100円硬貨保留領域30d、10円硬貨保留領域30e、500円硬貨保留領域30fからなる6つの領域に区分けされている。ここで、5円硬貨保留領域30a、1円硬貨保留領域30b、50円硬貨保留領域30c、100円硬貨保留領域30d、10円硬貨保留領域30e、500円硬貨保留領域30fには、それぞれ、5円硬貨選別部26a、1円硬貨選別部26b、50円硬貨選別部26c、100円硬貨選別部26d、10円硬貨選別部26e、500円硬貨用開口26gから各入金硬貨シュート28を介して5円硬貨、1円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、10円硬貨、500円硬貨が送られるようになっている。
入金一時保留部30は、図2の矢印に示すように筐体12の内部において略水平方向に移動することができるようになっている。より具体的には、図2に示すように、入金一時保留部30は、入金硬貨シュート28の真下の位置である第1の位置a、後述する硬貨収納繰出部(リサイクル部)40の真上の位置である第2の位置b、および後述する入金返却部32の真上の位置である第3の位置cの間で移動することができるようになっている。ここで、第1の位置aは、第2の位置bと第3の位置cとの間に位置している。また、入金一時保留部30の高さレベルよりも下方において、硬貨収納繰出部40および入金返却部32の上方にはそれぞれ硬貨収納繰出部用シュート36および入金返却部用シュート34が設けられている。ここで、入金一時保留部30は、第1の位置aにおいて入金硬貨シュート28から硬貨が送られ、この入金硬貨シュート28から送られた硬貨を一時的に保留するようになっている。そして、入金一時保留部30は、第2の位置bまたは第3の位置cに移動し、この入金一時保留部30で一時的に保留された硬貨を硬貨収納繰出部用シュート36または入金返却部用シュート34に送るようになっている。
なお、硬貨収納繰出部用シュート36および入金返却部用シュート34は、各々、入金一時保留部30の5円硬貨保留領域30a、1円硬貨保留領域30b、50円硬貨保留領域30c、100円硬貨保留領域30d、10円硬貨保留領域30e、500円硬貨保留領域30fに対応して、5円硬貨通過領域、1円硬貨通過領域、50円硬貨通過領域、100円硬貨通過領域、10円硬貨通過領域、500円硬貨通過領域からなる6つの通過領域に区分けされている。
図2に示すように、入金返却部用シュート34の下方には、1つの入金返却部32が設けられている。この入金返却部32は、操作者が筐体12の前面12aから手前側に引き出すことにより(図3において左方向に引き出すことにより)、筐体12から取り出すことができるよう構成されている。入金返却部32は、略直方体形状のものからなり、略水平方向に延びるようになっている。より具体的には、入金返却部32は、筐体12の奥行き方向(図3の左右方向)に細長く延びるようになっている。この入金返却部32は、5円硬貨収容領域32a、1円硬貨収容領域32b、50円硬貨収容領域32c、100円硬貨収容領域32d、10円硬貨収容領域32e、500円硬貨収容領域32fからなる6つの領域に区分けされている。ここで、5円硬貨収容領域32a、1円硬貨収容領域32b、50円硬貨収容領域32c、100円硬貨収容領域32d、10円硬貨収容領域32e、500円硬貨収容領域32fには、それぞれ、入金返却部用シュート34の5円硬貨通過領域、1円硬貨通過領域、50円硬貨通過領域、100円硬貨通過領域、10円硬貨通過領域、500円硬貨通過領域から5円硬貨、1円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、10円硬貨、500円硬貨が送られるようになっている。
図2に示すように、筐体12内の下部に硬貨収納繰出部40が設けられている。図2では硬貨収納繰出部40が1つしか示されていないが、実際には硬貨収納繰出部40は硬貨収納繰出部用シュート36の6つの通過領域に対応して、図2の紙面に直交する方向に沿って金種毎に6つ設けられている。そして、硬貨は各硬貨収納繰出部40に金種別に収納されるようになっているとともに各硬貨収納繰出部40から硬貨が金種別に繰り出されるようになっている。より具体的には、各硬貨収納繰出部40は、硬貨収納繰出部用シュート36を介して入金一時保留部30から送られた硬貨を金種別に収納するとともに、この収納された硬貨を1枚ずつ繰り出すようになっている。
図2に示すように、各硬貨収納繰出部40の下部には硬貨の収納部分40aが設けられている。収納部分40aには、鉛直面(図2の紙面に平行な面)に沿って略平行に配置される一対の円盤部材42が設けられており、この一対の円盤部材42は回転自在となっている。ここで、一対の円盤部材42間の間隔は、収納されるべき硬貨の径よりも大きくなっており、この一対の円盤部材42の間およびその上方部分に硬貨が収納されるようになっている。一対の円盤部材42には、この一対の円盤部材42間の間隔よりも大きな幅を有する第1の搬送ベルト44が張架されており、第1の搬送ベルト44が図2の時計回りの方向に循環移動させられると、この第1の搬送ベルト44が張架された一対の円盤部材42も図2の反時計回りの方向に回転し、第1の搬送ベルト44および一対の円盤部材42の動作により一対の円盤部材42間で硬貨の攪拌が行われる。収納部分40aに収納された硬貨は、第1の搬送ベルト44の表面に形成された突起に係合されて上方に1枚ずつ搬送され、この第1の搬送ベルト44から第2の搬送ベルト46に受け渡されるようになっている。そして、第2の搬送ベルト46により硬貨は更に上方に1枚ずつ搬送され、第2の搬送ベルト46の上端にある繰出シュート47から硬貨収納繰出部40の外部に硬貨が1枚ずつ繰り出されるようになっている。また、各硬貨収納繰出部40には、それぞれ、当該硬貨収納繰出部40から繰り出される硬貨の金種の識別を行う出金識別部48が設けられている。図2に示すように、この出金識別部48は、第2の搬送ベルト46により硬貨が上方に搬送される途中に設けられており、第2の搬送ベルト46により上方に搬送される硬貨の金種、正損、真偽等の識別が行われるようになっている。
硬貨収納繰出部40から繰り出された硬貨は、筐体12内の下部において硬貨収納繰出部40の隣に設けられた仕切枠体50に送られるようになっている。仕切枠体50は、略直方体形状のものからなり、略水平方向に延びるようになっている。より具体的には、仕切枠体50は、筐体12の奥行き方向(図3の左右方向)に細長く延びるようになっている。仕切枠体50は、その上面および下面が開口しており、硬貨収納繰出部40から繰り出された硬貨は仕切枠体50の上面の開口を介して当該仕切枠体50に送られるようになっている。
仕切枠体50は、5円硬貨領域50a、1円硬貨領域50b、50円硬貨領域50c、100円硬貨領域50d、10円硬貨領域50e、500円硬貨領域50fからなる6つの領域に区分けされている。ここで、5円硬貨領域50a、1円硬貨領域50b、50円硬貨領域50c、100円硬貨領域50d、10円硬貨領域50e、500円硬貨領域50fには、金種別に硬貨の繰り出しを行う複数の硬貨収納繰出部40から、5円硬貨、1円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、10円硬貨、500円硬貨がそれぞれ送られるようになっている。このように、仕切枠体50は、硬貨収納繰出部40から繰り出された硬貨を金種別に区分けするようになっている。なお、各硬貨領域50a〜50fは、それぞれその上面および下面が開口している点に留意されたい。
仕切枠体50は、図2の矢印に示すように筐体12の内部において略水平方向に移動することができるようになっている。より具体的には、仕切枠体50を略水平方向に移動させる仕切枠体駆動部51(図4参照)が設けられており、この仕切枠体駆動部51は、仕切枠体50を、硬貨収納繰出部40から硬貨が送られる第1の位置m、および第1の位置mから略水平方向に外れた第2の位置nの間で移動することができるようになっている。
また、仕切枠体50の下方には、この仕切枠体50の下面の開口を塞ぐための底板52が設けられている。この底板52は、仕切枠体50の5円硬貨領域50a、1円硬貨領域50b、50円硬貨領域50c、100円硬貨領域50d、10円硬貨領域50e、500円硬貨領域50fからなる6つの領域の全ての下面の開口を塞ぐよう構成されている。底板52も、仕切枠体50と同様に、図2の矢印に示すように筐体12の内部において略水平方向に移動することができるようになっている。より具体的には、底板52を略水平方向に移動させる底板駆動部53(図4参照)が設けられており、この底板駆動部53は、底板52を、第1の位置mにある仕切枠体50の下方にある第1の位置p、および第2の位置nにある仕切枠体50の下方にある第2の位置qの間で移動させることができるようになっている。ここで、仕切枠体50が第1の位置mにあり、底板52が第1の位置pにあるときには、仕切枠体50の下面の開口が底板52により塞がれ、この仕切枠体50に硬貨が一時的に保留されることとなる。また、仕切枠体50および底板52が同期して水平方向に移動し、仕切枠体50が第1の位置mから第2の位置nに移動するとともに、底板52が第1の位置pから第2の位置qに移動したときにも、仕切枠体50の下面の開口が底板52により塞がれたままであり、この仕切枠体50に硬貨が一時的に保留され続けることとなる。
図2に示すように、第1の位置pにある底板52の下方には、取出箱54が設けられている。この取出箱54は、操作者が筐体12の前面12aから手前側に引き出すことにより(図3において左方向に引き出すことにより)、筐体12から取り出すことができるよう構成されている。取出箱54は、略直方体形状のものからなり、略水平方向に延びるようになっている。より具体的には、取出箱54は、筐体12の奥行き方向(図3の左右方向)に細長く延びるようになっている。この取出箱54は、5円硬貨収容領域54a、1円硬貨収容領域54b、50円硬貨収容領域54c、100円硬貨収容領域54d、10円硬貨収容領域54e、500円硬貨収容領域54fからなる6つの領域に区分けされている。ここで、5円硬貨収容領域54a、1円硬貨収容領域54b、50円硬貨収容領域54c、100円硬貨収容領域54d、10円硬貨収容領域54e、500円硬貨収容領域54fには、それぞれ、仕切枠体50の5円硬貨領域50a、1円硬貨領域50b、50円硬貨領域50c、100円硬貨領域50d、10円硬貨領域50e、500円硬貨領域50fから5円硬貨、1円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、10円硬貨、500円硬貨が送られるようになっている。
また、取出箱54には、例えばソレノイド等により当該取出箱54の施錠を行う施錠部55が設けられている。施錠部55により取出箱54の施錠が行われると、操作者は、筐体12の前面12aから取出箱54を取り出すことができなくなるようになっている。
なお、仕切枠体50が第1の位置mにあるとともに、底板52が第2の位置qにあるときにおいて、各硬貨収納繰出部40から金種別に繰り出された各金種の硬貨は、仕切枠体50の各硬貨領域50a〜50fを通過して、直接的に取出箱54の各硬貨収容領域54a〜54fに収容されることとなる。
また、図2に示すように、第2の位置qにある底板52の下方には、後述する回収部58に硬貨を送るための回収部用シュート56が設けられている。仕切枠体50から回収部用シュート56に送られた硬貨は、回収部58に収容されるようになっている。ここで、図3に示すように、回収部用シュート56は仕切枠体50の各硬貨領域50a〜50fから硬貨を一括して受け入れるようになっており、この回収部用シュート56から回収部58に各金種の硬貨が混合状態で送られるようになっている。
また、図4に示すように、硬貨入出金装置10には、当該硬貨入出金装置10の各構成要素の制御を行うための制御部60が設けられている。より具体的には、制御部60には、筐体12内の上部に設けられた供給ホッパ22、繰出ホッパ24、搬送部26、入金識別部27、入金一時保留部30、および筐体12内の下部に設けられた硬貨収納繰出部40の第1の搬送ベルト44、第2の搬送ベルト46、出金識別部48、ならびに仕切枠体駆動部51、底板駆動部53、施錠部55にそれぞれ接続されている。ここで、入金識別部27や出金識別部48による硬貨の識別結果が制御部60に送られるようになっているとともに、制御部60は、供給ホッパ22、繰出ホッパ24、搬送部26、入金一時保留部30、第1の搬送ベルト44、第2の搬送ベルト46、仕切枠体駆動部51、底板駆動部53、施錠部55にそれぞれ制御信号を送るようになっている。
また、制御部60には操作部62、表示部64およびインターフェース66が接続されている。操作部62および表示部64は筐体12の前面12aや上面12bに設けられている。ここで、操作者が操作部62で操作を行うことにより制御部60に対して様々な指令を与えることができるようになっている。また、制御部60は表示部64に対して硬貨入出金装置10における硬貨の収納状況や処理状況等を表示させるようになっている。また、インターフェース66により、制御部60は上位装置に対して信号の送受信を行うことができるようになっている。
また、制御部60には、操作者が携帯するIDカード等のID情報の読み取りを行うためのカード読み取り部68が設けられている。このカード読み取り部68は筐体12の前面12aや上面12bに設けられている。カード読み取り部68により読み取られた操作者のIDカードのID情報は制御部60に送られるようになっており、制御部60は、カード読み取り部68により読み取られたIDカードのID情報に基づいて、操作者の権限等の確認を行うようになっている。
次に、上述のような構成からなる硬貨入出金装置10の動作について以下に説明する。なお、以下に示す硬貨入出金装置10の動作は、制御部60が硬貨入出金装置10の各構成要素を制御することにより行われる。
まず、硬貨入出金装置10における硬貨の入金処理の動作について説明する。
操作者によって筐体12の上面12bに設けられた投入口20に硬貨が投入されると、この硬貨は供給ホッパ22に集積される。そして、供給ホッパ22から繰出ホッパ24に硬貨が送られ、この繰出ホッパ24から搬送部26に硬貨が1枚ずつ繰り出される。繰出ホッパ24により搬送部26に繰り出された硬貨は入金識別部27によりその金種、正損、真偽等の識別が行われる。ここで、入金識別部27によりリジェクト硬貨であると識別された硬貨や、入金識別部27により識別することができなかった硬貨は、入金リジェクト硬貨選別部26hにより搬送部26から入金リジェクト硬貨シュートに送られ、この入金リジェクト硬貨シュートから入金リジェクト部に硬貨が自重による落下によって送られる。入金リジェクト部に集積された硬貨は、操作者により筐体12の前面12aから取り出されることとなる。
一方、入金識別部27により正常な硬貨であると識別された硬貨は、当該硬貨の金種に応じて、対応する各硬貨選別部26a〜26eにより搬送部26からそれぞれの入金硬貨シュート28に送られる。なお、入金識別部27により識別された硬貨が500円硬貨である場合には、この硬貨は、各硬貨選別部26a〜26eによりこれらの硬貨選別部26a〜26eに対応する入金硬貨シュート28に送られることなく、代わりに搬送部26の下流側端部に設けられた500円硬貨用開口26gに送られ、この500円硬貨用開口26gに対応する入金硬貨シュート28に送られる。
その後、各入金硬貨シュート28から入金一時保留部30に硬貨が金種別に送られる。より具体的には、入金一時保留部30が図2における第1の位置aに位置しているときに、入金一時保留部30の5円硬貨保留領域30a、1円硬貨保留領域30b、50円硬貨保留領域30c、100円硬貨保留領域30d、10円硬貨保留領域30e、500円硬貨保留領域30fに、それぞれ、5円硬貨選別部26a、1円硬貨選別部26b、50円硬貨選別部26c、100円硬貨選別部26d、10円硬貨選別部26e、500円硬貨用開口30fから各入金硬貨シュート28を介して5円硬貨、1円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、10円硬貨、500円硬貨が送られる。このようにして、入金一時保留部30で硬貨が金種別に一時的に保留されることとなる。
その後、操作者が操作部62により入金硬貨の返却の指令を行った場合には、または上位装置からインターフェース66を介して制御部60に対して入金硬貨の返却の指令がなされた場合には、入金一時保留部30は第1の位置aから第3の位置cに移動する。そして、入金一時保留部30の5円硬貨保留領域30a、1円硬貨保留領域30b、50円硬貨保留領域30c、100円硬貨保留領域30d、10円硬貨保留領域30e、500円硬貨保留領域30fから、各金種の硬貨が、入金返却部用シュート34を介して入金返却部32の5円硬貨収容領域32a、1円硬貨収容領域32b、50円硬貨収容領域32c、100円硬貨収容領域32d、10円硬貨収容領域32e、500円硬貨収容領域32fにそれぞれ送られる。その後、操作者が入金返却部32を筐体12の前面12aから手前側に引き出すことにより、操作者は入金返却部32に金種別に収納された硬貨を取り出すことができるようになる。
また、入金一時保留部30に硬貨が金種別に一時的に保留された状態で、操作者が操作部62により入金硬貨の入金確定の指令を行った場合には、または上位装置からインターフェース66を介して制御部60に対して入金硬貨の入金確定の指令がなされた場合には、入金一時保留部30は第1の位置aから第2の位置bに移動する。そして、入金一時保留部30の5円硬貨保留領域30a、1円硬貨保留領域30b、50円硬貨保留領域30c、100円硬貨保留領域30d、10円硬貨保留領域30e、500円硬貨保留領域30fから、各金種の硬貨が、硬貨収納繰出部用シュート36を介して各硬貨収納繰出部40に金種別に送られる。このようにして、硬貨入出金装置10における硬貨の入金処理が終了する。
次に、硬貨入出金装置10における硬貨の出金処理の動作について図5に示すフローチャートを用いて説明する。
硬貨の出金処理を行う場合、制御部60が仕切枠体駆動部51および底板駆動部53を制御することにより、予め、仕切枠体50を第1の位置mに位置させるとともに底板52を第2の位置qに位置させておく。また、初期状態において、施錠部55により取出箱54は施錠されている。
そして、各硬貨収納繰出部40において、収納部分40aに収納された硬貨が第1の搬送ベルト44により上方に1枚ずつ搬送され、この第1の搬送ベルト44から第2の搬送ベルト46に硬貨が受け渡される。そして、第2の搬送ベルト46により硬貨が更に上方に1枚ずつ搬送され、繰出シュート47から硬貨収納繰出部40の外部に硬貨が1枚ずつ繰り出される。この際に、第2の搬送ベルト46に設けられた出金識別部48により硬貨の金種、正損、真偽等の識別が行われる。
その後、繰出シュート47から硬貨収納繰出部40の外部に繰り出された硬貨は、第1の位置mにある仕切枠体50に送られる。この際に、底板52は第2の位置qにあり、仕切枠体50の底面が開口しているので、仕切枠体50に送られた硬貨はこの仕切枠体50を通過してそのまま取出箱54に送られる。このようにして、硬貨収納繰出部40から繰り出された硬貨が施錠部55により施錠された取出箱54に直接的に送られ、この取出箱54に硬貨が金種別に収容される。ここで、取出箱54が施錠部55により施錠され、操作者はすぐにこの取出箱54を取り出すことができないようになっているので、取出箱54はいわゆる一時保留部の機能を果たすこととなる。
出金処理が行われるべき金種毎の枚数の硬貨が硬貨収納繰出部40から繰り出されて取出箱54に送られた後、図5に示すフローチャートのSTEP1に示すように、制御部60において、硬貨の出金が正常に行われたか否かの判断が行われる。なお、硬貨の出金が正常に行われたか否かの判断は、例えば硬貨収納繰出部40に設けられた出金識別部48による硬貨の識別結果等に基づいて行われる。
制御部60において硬貨の出金が正常に行われたと判断されたときには、フローチャートのSTEP2に示すように、制御部60が施錠部55を制御して、取出箱54の施錠を解除させる。また、フローチャートのSTEP3に示すように、表示部64に、取出箱54の抜き取りの案内を表示させる。その後、操作者が取出箱54を筐体12の前面12aから手前側に引き出すことにより、操作者は取出箱54に金種別に収容された硬貨を取り出すことができるようになる。そして、フローチャートのSTEP4に示すように、操作者により取出箱54が筐体12の内部に再セットされると、硬貨入出金装置10における硬貨の出金処理が終了する。
一方、制御部60において硬貨の出金が正常に行われなかったと判断されたときには、フローチャートのSTEP5に示すように、表示部64において権限者取り扱いに関するエラー表示がなされる。具体的には、表示部64に、「エラー発生 出金中にエラーが発生しました。係員をお呼びください。権限者カードまたは暗証番号の入力が必要です。」と表示される。なお、通常の操作者は権限者カードを有しておらず、また、暗証番号も知らないようになっており、所定の権限者のみ、権限者カードを有していたり、あるいは暗証番号を知っていたりするようになっている。
その後、所定の権限者が硬貨入出金装置10の設置箇所に到着し、フローチャートのSTEP6に示すように、カード読み取り部68により権限者カードが読み取られたり、操作部62において暗証番号が入力されたりした場合には、フローチャートのSTEP7に示すように、制御部60における硬貨の処理モードが出金モードからエラー現金戻しモードに変更される。
その後、フローチャートのSTEP8に示すように、エラー現金戻しモードにおいて、制御部60が施錠部55を制御して、取出箱54の施錠を解除させる。また、フローチャートのSTEP9に示すように、表示部64に、取出箱54の抜き取りの案内を表示させる。その後、所定の権限者が取出箱54を筐体12の前面12aから手前側に引き出すことにより、この所定の権限者は取出箱54に金種別に収容された硬貨をエラー現金として取り出すことができるようになる。そして、フローチャートのSTEP10に示すように、所定の権限者により取出箱54が筐体12の内部に再セットされると、所定の権限者はエラー現金戻し処理を行う。より具体的には、所定の権限者はエラー現金に係る硬貨を硬貨入出金装置10の投入口20に投入し、入金識別部27により識別計数させ、各硬貨収納繰出部40に金種別に収納させる。しかしながら、この場合、制御部60において、各硬貨収納繰出部40と筐体12内の硬貨の在高は更新せず、出金された金種毎の枚数の硬貨が各硬貨収納繰出部40に戻されたか否かの確認を行う。このようにして、所定の権限者によるエラー現金戻し処理が終了する。
次に、硬貨入出金装置10における硬貨の回収処理の動作について図6に示すフローチャートを用いて説明する。
硬貨の回収処理を行う場合、制御部60が仕切枠体駆動部51および底板駆動部53を制御することにより、予め、仕切枠体50を第1の位置mに位置させるとともに底板52を第1の位置pに位置させておく。また、初期状態において、施錠部55により取出箱54は施錠されている。
そして、各硬貨収納繰出部40において、収納部分40aに収納された硬貨が第1の搬送ベルト44により上方に1枚ずつ搬送され、この第1の搬送ベルト44から第2の搬送ベルト46に硬貨が受け渡される。そして、第2の搬送ベルト46により硬貨が更に上方に1枚ずつ搬送され、繰出シュート47から硬貨収納繰出部40の外部に硬貨が1枚ずつ繰り出される。この際に、第2の搬送ベルト46に設けられた出金識別部48により硬貨の金種、正損、真偽等の識別が行われる。
その後、繰出シュート47から硬貨収納繰出部40の外部に繰り出された硬貨は、第1の位置mにある仕切枠体50に金種別に送られる。この際に、底板52は第1の位置pにあり、仕切枠体50の底面の開口は底板52により塞がれているので、仕切枠体50に送られた硬貨はこの仕切枠体50により一時的に保留されることとなる。このように、硬貨の回収処理において、仕切枠体50および底板52は一時保留部の機能を果たすこととなる。
回収処理が行われるべき金種毎の枚数の硬貨が硬貨収納繰出部40から繰り出されて仕切枠体50に送られた後、図6に示すフローチャートのSTEP1に示すように、制御部60において、硬貨の回収が正常に行われたか否かの判断が行われる。なお、硬貨の回収が正常に行われたか否かの判断は、例えば硬貨収納繰出部40に設けられた出金識別部48による硬貨の識別結果等に基づいて行われる。
制御部60において硬貨の回収が正常に行われたと判断されたときには、フローチャートのSTEP2に示すように、仕切枠体駆動部51によって仕切枠体50を第1の位置mから第2の位置nに移動させることによって、仕切枠体50および底板52により一時的に保留された硬貨を回収部用シュート56に送る。この際に、底板駆動部53によって底板52は仕切枠体50と同期して第1の位置pから第2の位置qに移動し、その後第2の位置qに到達した後再び第1の位置pに戻ることにより、第2の位置nにある仕切枠体50の底面の開口が開き、硬貨は自重による落下によって回収部用シュート56に送られることとなる。なお、回収部用シュート56に硬貨を送る他の方法としては、底板52は第1の位置pに停止したままであり、仕切枠体50のみが第1の位置mから第2の位置nに移動することにより、この仕切枠体50の底面の開口から硬貨が自重により回収部用シュート56に落下するようになっていてもよい。そして、回収部用シュート56から回収部58に各金種の硬貨が混合状態で送られ、フローチャートのSTEP3に示すように、この回収部58に各金種の硬貨が混合状態で収容される。このようにして、硬貨入出金装置10における硬貨の回収処理が終了する。
一方、制御部60において硬貨の回収が正常に行われなかったと判断されたときには、フローチャートのSTEP4に示すように、仕切枠体50が第1の位置mに停止したままの状態で、底板駆動部53によって底板52を第1の位置pから第2の位置qに移動させることによって、第1の位置mにある仕切枠体50の底面の開口を開く。このことにより、仕切枠体50および底板52により一時的に保留された硬貨が取出箱54に金種別に送られる。
その後、フローチャートのSTEP5に示すように、制御部60が施錠部55を制御して、取出箱54の施錠を解除させる。また、フローチャートのSTEP6に示すように、表示部64に、取出箱54の抜き取りの案内を表示させる。その後、操作者が取出箱54を筐体12の前面12aから手前側に引き出すことにより、操作者は取出箱54に金種別に収容された硬貨を取り出すことができるようになる。そして、フローチャートのSTEP7に示すように、操作者は取出箱54を筐体12の内部に再セットし、フローチャートのSTEP8に示すように、取出箱54から取り出された硬貨を操作者が硬貨入出金装置10の投入口20に投入する。硬貨入出金装置10の投入口20に投入された硬貨は各硬貨収納繰出部40に金種別に収納される。このようにして、制御部60において硬貨の回収が正常に行われなかった場合の動作が終了する。
なお、制御部60において硬貨の回収が正常に行われなかったと判断されたときに、フローチャートのSTEP4〜STEP8に示すような動作を行う代わりに、硬貨の出金時における図5のフローチャートのSTEP5〜STEP7に示すような所定のオペレーションを行うようになっていてもよい。この場合、所定の権限者によるエラー現金戻し処理が行われることとなる。
以上のように本実施の形態の硬貨入出金装置10によれば、取出箱54の施錠を行うための施錠部55を設け、硬貨の出金時には、仕切枠体50および底板52の位置をそれぞれ調整することにより硬貨収納繰出部40から繰り出された硬貨を施錠部55により施錠された取出箱54へ直接的に送るようにし、硬貨の回収時には、仕切枠体50および底板52の位置をそれぞれ調整することにより硬貨収納繰出部40から繰り出された硬貨を仕切枠体50および底板52により一時的に保留させ、その後回収部58に送るようにしている。このため、硬貨の出金時には、施錠部55により取出箱54の施錠を行うことによりこの取出箱54を一時保留部として機能させることができ、また、硬貨の回収時には、仕切枠体50および底板52を一時保留部として機能させることができる。このことにより、一時保留部等を別途設ける必要がなくなるので、一時保留部等の設置スペースを省略することができ、硬貨入出金装置10の省スペース化を図ることができる。
また、硬貨の出金時には、硬貨収納繰出部40から繰り出された硬貨を一時保留部等に一時的に保留させてから取出箱54に送る必要がなくなり、硬貨収納繰出部40から繰り出された硬貨を取出箱54に直接的に送ることができるようになるので、一時保留部等における硬貨の一時的な保留に係る時間が不要となり、硬貨の出金処理を迅速に行うことができる。さらに、硬貨の一時的な保留を行う一時保留部等を別途設ける必要がなくなり、硬貨の出金時には取出箱54を一時保留部として機能させるので、硬貨の出金時において一時保留部等の移動に関するトラブルの発生を防止することができる。
また、本実施の形態の硬貨入出金装置10においては、図5のフローチャートに示すように、制御部60は、硬貨の出金時において、硬貨収納繰出部40から繰り出された硬貨が施錠部55により施錠された取出箱54に送られた後、硬貨の出金が正常に行われたときには施錠部55による取出箱54の施錠を解除し、硬貨の出金が正常に行われなかったときには所定のオペレーションを行った後に施錠部55による取出箱54の施錠を解除するような制御を行うようになっている。
この際に、制御部60は、仕切枠体駆動部51により仕切枠体50を取出箱54の上方の位置(第1の位置m)に移動させるとともに底板駆動部53により底板52を取出箱54の上方から外れるような位置(第2の位置q)に移動させることにより、硬貨収納繰出部40から繰り出された硬貨を、仕切枠体50を通過させて、施錠部55により施錠された取出箱54へ送るような制御を行うようになっている。
ここで、所定のオペレーションは、制御部60における硬貨の処理モードを出金モードからエラー現金戻しモードに変更することを含んでいる(図5のフローチャートのSTEP7参照)。また、この所定のオペレーションは、所定の権限者によるモード変更を含んでいる(図5のフローチャートのSTEP6参照)。また、この所定のオペレーションは、表示部64に対してエラー表示を行わせることを含んでいる(図5のフローチャートのSTEP5参照)。
また、本実施の形態の硬貨入出金装置10においては、図6のフローチャートに示すように、制御部60は、硬貨の回収時において、硬貨収納繰出部40から繰り出された硬貨が仕切枠体50および底板52により一時的に保留された後、硬貨の回収が正常に行われたときには仕切枠体駆動部51により仕切枠体50を移動させることによって一時的に保留された硬貨を回収部58に送り、硬貨の回収が正常に行われなかったときには底板駆動部53により底板52を移動させることによって一時的に保留された硬貨を施錠部55により施錠された取出箱54へ送るような制御を行うようになっている。
この際に、制御部60は、仕切枠体駆動部51により仕切枠体50を第1の位置mに位置させるとともに底板駆動部53により底板52を前記第1の位置pに位置させることにより、硬貨収納繰出部40から繰り出された硬貨を仕切枠体50および底板52により一時的に保留させ、その後仕切枠体駆動部51により仕切枠体50を第1の位置mから第2の位置nに移動させることにより一時的に保留された硬貨を回収部58に送るような制御を行うようになっている。
なお、制御部60において、硬貨の出金や回収が正常に行われたか否かは、硬貨収納繰出部40から繰り出される硬貨の識別を行う出金識別部48による硬貨の識別結果に基づいて判断されるようになっている。
本発明による硬貨入出金装置は、上記の態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。例えば、図1乃至図6に示すような硬貨入出金装置10に対して、底板52、回収部58および回収部用シュート56が省略されたような硬貨入出金装置を用いてもよい。この場合、仕切枠体50は第1の位置mに固定されている。
このような変形例に係る硬貨入出金装置において、制御部60により施錠部55が以下のように制御されるようになっている。すなわち、制御部60は、硬貨の出金時において、硬貨収納繰出部40から繰り出された硬貨を施錠部55により施錠された取出箱54へ直接的に送るようにし、硬貨の出金が正常に行われたときには施錠部55による取出箱54の施錠を解除し、硬貨の出金が正常に行われなかったときには所定のオペレーションを行った後に施錠部55による取出箱54の施錠を解除するような制御を行う。ここで、所定のオペレーションは、図5のフローチャートのSTEP5〜STEP7に示すような所定のオペレーションと同一のものである。
このような変形例に係る硬貨入出金装置によれば、取出箱54の施錠を行うための施錠部55を設け、硬貨の出金時には、硬貨収納繰出部40から繰り出された硬貨を施錠部55により施錠された取出箱54へ直接的に送るようにし、硬貨の出金が正常に行われたときには施錠部55による取出箱54の施錠を解除し、硬貨の出金が正常に行われなかったときには所定のオペレーションを行った後に施錠部55による取出箱54の施錠を解除するようになっている。このため、硬貨の出金時には、施錠部55により取出箱54の施錠を行うことによりこの取出箱54を一時保留部として機能させることができる。このことにより、一時保留部等を別途設ける必要がなくなるので、一時保留部等の設置スペースを省略することができ、硬貨入出金装置10の省スペース化を図ることができる。
また、硬貨の出金時には、硬貨収納繰出部40から繰り出された硬貨を一時保留部等に一時的に保留させてから取出箱54に送る必要がなくなり、硬貨収納繰出部40から繰り出された硬貨を取出箱54に直接的に送ることができるようになるので、一時保留部等における硬貨の一時的な保留に係る時間が不要となり、硬貨の出金処理を迅速に行うことができる。さらに、硬貨の一時的な保留を行う一時保留部等を別途設ける必要がなくなり、硬貨の出金時には取出箱54を一時保留部として機能させるので、硬貨の出金時において一時保留部等の移動に関するトラブルの発生を防止することができる。