JP2010152536A - 画像処理方法及びコンピュータプログラム - Google Patents

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Abstract

【目的】入力画像の輝度に関するコントラストを調整した出力画像を得る。
【構成】入力画像に含まれる各画素の輝度値を調整する画像処理方法において、まず、入力画像中の複数の画素からなる閉領域β(x,y)を演算対象領域として区画し、前記演算対象領域を前記入力画像内で所定の画素単位で移動させる。このとき、前記演算対象領域内における輝度配列として定義される輝度エネルギーの最大値と最小値とをそれぞれ算出し、その輝度エネルギーの差分データを算出する(ステップS4)。次に、入力画像にステップS4で算出した差分データを適応することにより出力画像を生成する(ステップS6)。
【選択図】 図1

Description

本発明は、画像データの階調を調整する画像処理に関し、入力画像のコントラストを高めるデジタル画像の画像処理方法及びコンピュータプログラムに関するものである。
入力された画像データ(これを「入力画像」という。)に含まれる輝度や三原色(RGB)のヒストグラム(階調分布)をとり、そのヒストグラムを補正することにより、デジタル画像のコントラストが高められる。ヒストグラムの補正方法には、平坦化と伸長化が知られている。
例えば、露出時間などの関係から光量が多すぎて全体的に白っぽく霧がかかったように見えるデジタル画像(本明細書ではこれを「霧画像」という。)や、逆に光量が足りず全体的に黒っぽく暗い感じに見えるデジタル画像は、入力画像の輝度値のヒストグラムをとり、ヒストグラムを平坦化又は伸長化することによって入力画像の輝度値を適切な値に補正し、コントラストを高めた鮮明な画像に調整できることが知られている(例えば、特許文献1〜3等参照)。
特開昭63−040471号公報 特開2006−191401号公報 特開2007−292804号公報
ところが、ヒストグラムに基づく画像処理方法では、入力画像の階調を一律に平均化したり伸長化したりするため、もともとコントラストが十分にある領域も補正されるという問題がある。
すなわち、入力画像の中には、もともと十分なコントラストが得られている領域と、逆にコントラストが不十分な領域とが偏在している場合に、入力画像全体のヒストグラムを用いて一律に補正してしまうと、高い階調を持つ画素の影響がその周囲の領域に及ぶことになる。その結果、画像処理後もなお、局所的にはコントラストが不十分となったり、画像処理の結果、微小な重要な画像が目立たなくなってしまったりする。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、入力画像に多様なコントラストが偏在して含まれている場合にも、適切なコントラストに調整し、特に輪郭を強調した出力画像を得ることができる画像処理方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
本発明に係る画像処理方法は、入力画像に含まれる各画素の輝度値を調整する画像処理方法において、まず、入力画像中の複数の画素からなる閉領域β(x,y)を演算対象領域として区画し、前記演算対象領域を前記入力画像内で所定の画素単位で移動させる。このとき、前記演算対象領域内における輝度配列として定義される輝度エネルギーの最大値と最小値とをそれぞれ算出し、その輝度エネルギーの差分データを算出する(ステップS4)。次に、入力画像にステップS4で算出した差分データを適応することにより出力画像を生成する(ステップS6)。
本発明に係る画像処理方法は、いずれもコンピュータに実行させるコンピュータプログラムによって実現することができる。また上記コンピュータ及びプログラムをデジタルカメラ、デジタルテレビその他デジタル画像を表示する機器に実装することもできる。
本発明に係る画像処理方法によると、入力画像に多様なコントラストが偏在して含まれている場合にも、適切なコントラストに調整し、特に輪郭を強調した出力画像を得ることができる。また、各ステップの一部を選択的に実行した場合でも、入力画像に応じた一定の効果が得られる。その詳細については下記の実施形態において説明する。
(第1の実施形態)−適応コントラストフィルタ処理について−
図1は、コンピュータに各ステップを実行させる場合の処理の流れを示すフローチャートである。この一連の画像処理のことを、以下、本明細書では、「適応コントラストフィルタ」と呼ぶ。本発明に係る画像処理方法は、デジタル画像に含まれる輝度に関する特徴点を抽出し、所定の演算を行うことを特徴とするものであり、好ましい実施形態としては、大きく分けて、次の6つのステップからなる:
S1.平均輝度シフト
S2.特徴部分抽出
S3.特徴部分の補完
S4.ブロック輝度抽出
S5.適応処理
S6.画像データ出力
上記ステップS1〜S6は、コンピュータやデジタルカメラその他種々のデジタル画像機器に搭載されたコンピュータ上で実行される。
第1の実施形態で説明する例は、下記(I)〜(III)のそれぞれ独立した複数の要素から成り立っている。
(I)ステップS4による、ブロック輝度抽出に関する本発明の基本ステップ
(II)ステップS1及びS5(平均輝度シフト及び線形変換)による輝度の適切な範囲でのスケーリングのステップ
(III)ステップS2及びS3(特徴部分抽出除去及び補完)による急激な点状の輝度変化を抽出するための特徴点の抽出と除去および補完のステップ
各ステップの詳細については後述するが、本発明の技術的思想の最も重要な部分は、ステップS4において、演算対象領域内の最小輝度エネルギー配列と最大輝度エネルギー配列をそれぞれ別々に算出することによって輝度エネルギーの差分画像を生成し、ステップS6において、最終的に画像データを出力する点にある。その他のステップ(S1及びS2〜S3)は、より画像処理の精度を高めるための補助的なステップとして位置づけられる。
以上のような演算処理を行うことにより、微小な重要な画像を除去することなく、全体として入力画像よりも高いコントラストのデジタル画像を得ることができる。
S1.平均輝度シフト
最初のステップでは、入力画像全体の平均輝度値の分布を算出し、次に、算出された平均輝度値を、輝度分布の波形が変わらないように平行移動させる。このステップは、適応コントラストフィルタを行うための初期化処理処理として行うものである。入力画像に含まれる輝度分布の変化が小さい領域のコントラストを十分に大きくするため、全体的に輝度の振れ幅の平均値となるように輝度値をシフト(並行移動)させている。このステップは、入力画像によっては省略することもできる。
図2(a)は、入力画像全体の平均輝度値の分布(y座標を固定したx座標)を表している。輝度値の階調は8ビットの場合256段階(0〜255)であるから、入力画像の輝度値の最大は255である。このときの平均輝度がIであったとする。
図2(b)は、入力画像に対し、入力画像全体の平均輝度値を算出すると共に平均輝度値と後述するステップ(S5)における線形変換後の輝度値の最大値とに基づいて定められる一定量の輝度値を入力画像の輝度分布に加算することにより輝度分布の波形が変わらないように、すなわち、輝度値の値域の最大値をI(=512)とし、輝度平均Iが最大値Iの2分の1(=256)と一致するように、平行移動した様子を示している。
これは、線形変換後の輝度値が0〜255の範囲に収まるようにしなければならないという要請に基づくものである。すなわち、輝度値の座標軸上の最大値をIとする。この最大値Iは、輝度分布の平均値I1 =I/2と一致するように平行移動させた時、輝度値の値域が0未満とIを超えることがないような「安全な」値としなければならない。そして、最も安全なIの値は輝度の階調が8ビットの場合、256×2=512である。これを超えると桁上がりが生じるなどの理由から処理速度が低下したり適切な出力画像が得られなかったりするといった問題が生じる。
S2.特徴部分抽出
このステップS2と次のステップS3は、入力画像の中に高い階調を持つ画素が狭い領域に集中している部分を特徴部分として予め抽出して除去し、除去した座標については輝度が0になってしまうため入力画像の平均輝度で補完するというステップである。
後述する適応処理のステップ(S5)では、輝度の変化を大きくするために輝度値を線形変換するため、入力画像中に光源や太陽などのような高い輝度が集中している領域(以下、「高輝度集中領域」という。)が存在していると、高輝度集中領域の画素の影響を受けて、その周囲にある低輝度領域の輝度が平均的に上がってしまう問題がある。その結果、画像処理後もなお、輝度の変化が小さい暗い部分は殆どコントラストが強調されず、黒っぽいまま殆ど変化がなかったり、画像処理の結果、高輝度集中領域のそばにある微小な重要な画像が目立たなくなってしまったりする。本発明では、このような問題を回避するため、入力画像から予め輝度が集中している特徴部分を抽出し、その部分を除去する処理を行っている。
本件発明者らの実験では、特徴部分の抽出に、特徴点を抽出するための演算方法として知られている「モラベックオペレータ」を利用した。モラベックオペレータはいわゆる「エッジ処理」と異なり、線と線との交点などの特徴を強く抽出する特徴がある。
図3は、「モラベックオペレータ」の演算手順について説明する図であり、この図に示す表(ウインドウ)は、演算対象領域となる複数の画素からなる閉領域β(x,y)を表している。図3に示すように、演算対象領域内の中心をI0,0と表し、これを中心とする正方形のブロック内を演算対象領域とし、その中にある画素の輝度値がスカラー量(8ビットの場合、0〜255)で表されている。演算対象領域の大きさは任意に取ることができるが、大きくすればするほど入力画像の影響が強くなり滑らかな画像になる。
モラベックオペレータの演算式は以下に示す(式1)により表される。
(式1)
Figure 2010152536
このオペレータは、2つのステップから構成されている。第1のステップでは、ウインドウ内の上下、左右、対角の4方向で、各方向上にある画素の値とウインドウ内の中心画素I0,0との差の二乗和を計算する。そして、4つの値から最小値を選択する。このウインドウ処理を画像全体に適用する。第2のステップでは、第1段階で出力された画像から極大値を選択して、最終的にオペレータの出力とする。この演算値は特徴部分すなわちこの適用例では輝度値の差の大小関係を反映した値であり、「モラベックオペレータ値」と呼ばれるスカラー量である。
S3.特徴部分の補完
適応処理の精度を上げるためには、輝度と集中度が高い画素のみを取り除かなければならない。しかし、モラベックオペレータ値は、輝度の差が出力値と比例関係を持つため、輝度の差が大きい微小面積の点などの重要な特徴部分まで抽出し除去してしまう危険性がある。そこで、輝度と集中度の両方が共に高い画素のみを除去することを考える。この発明では、集中度だけでなく輝度にも比例する値を計算により求めている。以下、これにより求められた値を「画素の輝度集中度」と定義する。画素の輝度集中度の演算式はモラベックオペレータ値と輝度値の積であり、以下に示す(式2)により表される。
(式2)
Figure 2010152536
そして、この輝度集中度の値に閾値を設けて、閾値以上の画素を除去してその画素には輝度分布の平均値であるIを補完する。この操作によって輝度の差の大きい微小領域を除去することなく、高輝度集中領域の画素の影響を受けて、その周囲にある低輝度領域の輝度が平均的に上がってしまうことを防ぐことができる。
S4.ブロック輝度抽出
図4(a)は、入力画像1の中に任意に区画される演算対象領域2を表している。演算対象領域2は複数の画素からなる閉領域β(x,y)であり、その大きさは入力画像の中で任意の大きさに設定することができる。
図4(b)は、ある任意の位置で固定した閉領域β1の内部の輝度値の配列を表している。この配列から、閉領域β1の中で最も高い輝度値が56、最も低い輝度値が12であったことが読み取れる。次に、yを固定した状態で、任意の画素数分だけ演算対象領域2をx方向に移動させる。このときなるべく重なり合うように移動する。例えば1画素x方向に移動した閉領域をβ2とすると、図4(c)は、閉領域β2の内部の輝度値の配列を示している。座標で表現すると、β1(x,y)に対し、β2(x+dx,y)となる。なお、図4(b)、(c)では、斜め下方向に移動したように表しているが表現の便宜上のためであり、yは固定しているのでここでは無視しても構わない。閉領域β2の配列から、閉領域β2の中で最も高い輝度値が54、最も低い輝度値が10であったことが読み取れる。
そして、演算対象領域2における最大輝度エネルギーと最小エネルギーの値を、演算対象領域2を移動させるたびごとに加算して、最後に移動回数で除算する。こうして得られた値を、「輝度エネルギー」と定義する。
図5(a)及び(b)は、最大輝度エネルギー配列Emaxと最小輝度エネルギー配列Emin の一例を示している。移動回数3(β1〜β3)の場合、最大輝度エネルギー配列Emax={B1,B2,B3}、最小輝度エネルギー配列Emin={b1,b2,b3}と表され、最大輝度エネルギーemax={B1+B2+B3}/3、最小輝度エネルギーEmin={b1+b2+b3}/3と求められる。そして、輝度エネルギーの差分データは以下に示す(式3)により表される。
(式3)
Figure 2010152536
なお、移動回数3として説明しているが実際には入力画像、演算対象領域及び移動する画素単位によって膨大な回数になるが、演算対象領域2の大きさや移動の画素単位は画像処理の目的や入力画像の内容によって適宜最適なものとすることができる。より演算対象領域が大きいほど、また、移動画素の単位が小さいほど、計算量は増大するがより高精度のブロック輝度抽出ができると考えられる。
演算対象領域がある一定の広がりを持っているため、移動する画素単位が小さい場合には輝度エネルギーの計算上重複して輝度値がカウントされることになるが、精度を上げる上でこの点が非常に重要である。また、説明の便宜上、yを固定してxを動かすとして説明をしたが、実際にはどのように移動しても構わない。
次に、求められた最大輝度エネルギー配列Emaxと最小輝度エネルギー配列Eminの差分Ediff=Emax−Eminを算出する。この値は、微分されたコントラスト幅であるため、ある画素のコントラスト幅をもとめることができる。これにより、ステップS−1の平均輝度シフト処理でシフトした領域内で、次のステップS5で画素毎の適応的なコントラストの引き伸ばしを行う。
S5.線形変換
図6(a)は、入力画像内の(x,y)座標において、y=jと固定したときの、最大輝度エネルギーと最小エネルギーの分布を示している。ある任意のx座標iにおける最大輝度エネルギーと最小輝度エネルギーの差分は上で述べた(式3)で計算される。
S5の適応処理のステップとは、線形変換、すなわち輝度の差を線形的に引き伸ばして、コントラストを高めるための処理である。この適応処理のステップS5の詳細は次のとおりである。
S5−1:任意の画素の0〜eminの幅と、emax 〜Iまでの幅とを比較し、幅が小さい方の値をLとする。すなわち、
L=min(I−emax,emin
と定義する。
S5−2:e’max=emax+L、e’min=emin−L、e’diff=emax−eminとして、画素上のシフト後の輝度値p(L,j)をemin〜emaxをe’min〜e’maxと変化させるように線形変換する。変換した値をp’(i,j)とおく。
S5−3:(S5−1)〜(S5−2)を全ての画素に適用する。
S5−4:変換された値の最大値・最小値を求め、8ビットの場合、0〜255の範囲に収まるように線形変換する。このときの線形変換は以下の一次関数の式(式4)により表される。
(式4)
Figure 2010152536
図6(b)は、上記ステップS5−1〜S5−4を図示したものである。ただし、p(i,j):(y,x)=(i,j)上におけるステップS1(平均輝度シフト)後の輝度値、p’(i,j):(y,x)=(i,j)上におけるステップS5(適応処理)後の輝度値を、それぞれ表している。
既に述べたように、線形変換にあたり、事前のステップS1において引き延ばしの上限(線形変換後の輝度値のとりうる値域の最大値I)を設定しているため、適応処理後の輝度値が最適な範囲(e’min〜e’max)で分布するようになる。
S6.適応処理による画像データ出力
図1の全体フローチャートに示すように、最終的に、平均輝度シフトを行った入力画像に対し、輝度エネルギーの差分画像を各画素に適応させることにより、出力画像が得られる。
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態では、最も好ましい態様として、上述の(I)〜(III)の全ての要素(すなわち、ステップ(S1〜S6)の全部)を実行する場合について説明したが、入力画像或いは求める出力画像によっては、必須のステップであるステップS4(及びS6)さえ含んでいれば、その他のステップについては下記(1)〜(3)のように、一部のステップのみを実行してもよい。
(1)ステップS4→S6(変形例1)
(2)ステップS1→S4→S5→S6(変形例2)
(3)ステップS2→S3→S4→S6(変形例3)
(変形例1)ステップS4→S6
変形例1は、入力画像に対し、第1の実施形態で説明したブロック輝度抽出のステップS4のみを実行する場合である。霧画像のように、輝度の急激な差が存在しないような画像、すなわちコントラスト幅が一様な画像を入力画像とする場合には、ステップS4を実行するだけでも、実用性の高い画像処理を実現することができる。
図10(a)は入力画像の例を、図10(b)は、この入力画像にステップS4及びS6を実行して得られた出力画像を示している。両画像中で特徴ある差異が現れた部分を枠で囲って示している。入力画像は画面全体が白っぽく輝度の差が小さいため、画像内に何が写っているのか、被写体の輪郭を識別することは殆どできない。このような画像に対して、第1の実施形態において説明した、ステップS4(ブロック輝度抽出)を行うことで、図10(b)のような、高コントラストの分布画像を得ることができる。
(変形例2)ステップS1→S4→S5→S6
変形例2は、入力画像に対し、第1の実施形態で説明したブロック輝度抽出のステップS4と、平均輝度シフト及び線形変換のステップS1及びS5を実行する場合である。この場合も、変形例1と同様に霧画像のように、輝度の急激な差が存在しないような画像、すなわちコントラスト幅が一様な画像を入力画像とする場合に効果がある。変形例2では、入力画像のコントラスト幅が一様である場合には、出力画像のコントラスト幅が適切な範囲に調整されるため、出力画像の中の白つぶれや黒つぶれを防ぐことができる。
図10(c)は入力画像の例を、図10(d)は、この入力画像にステップS1、S4、S5及びS6を実行して得られた出力画像を示している。両画像中で特徴ある差異が現れた部分を枠で囲って示している。入力画像は画面全体が白っぽく輝度の差が小さいため、画像内に何が写っているのか、被写体の輪郭を識別することは殆どできない。しかし、この処理を行うことで図10(d)のような、高コントラストの分布画像を得ることができる。
(変形例3)ステップS2→S3→S4→S6
変形例3は、入力画像に対し、第1の実施形態で説明したブロック輝度抽出のステップS4の前処理として、特徴部分の抽出・除去と補完を行うためのステップS2及びS3を実行する場合である。この場合、暗い領域の中に輝度の高い点状の光などがあった場合のように、輝度の急激な差が存在するような画像である場合に、コントラスト幅を適切な範囲に調整することができる。
図10(e)は入力画像の例を、図10(f)は、この入力画像にステップS2、S3、S4及びS6を実行して得られた出力画像を示している。両画像中で特徴ある差異が現れた部分を枠で囲って示している。入力画像は画面全体中に高輝度集中領域を持つが、それ以外の部分は輝度の調整が不適切であるため、黒っぽく表示されて画像内に何が写っているのか、被写体の輪郭を識別することは殆どできない。しかし、この処理を行うことで図10(f)のような、暗い領域の中に輝度の高い点状の光などがあった場合でも、適切にコントラスト分布を広げることが出来る。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータ上で実行される画像処理用アプリケーションプログラムとして、本発明の画像処理方法を実現するコンピュータプログラムを提供する形態を示している。
図7は、本発明の第2の実施形態における画像処理装置の構成を示すブロック図である。パーソナルコンピュータに本発明に係る各画像処理方法の各ステップを実行させるプログラムをインストールした画像処理装置20は、装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit)21、RAM(Random Access Memory)等の一時記憶手段22、ハードディスクなどの記憶手段23、記録媒体から各データを読み取る光学ディスクドライブ等の補助記憶手段24、マウス及びキーボード等の入力手段25、モニタやプリンタ等の出力手段26を備えている。記録媒体に記録された本発明に係るコンピュータプログラムを記憶手段23に読み取り、制御手段21の制御により、オペレーティングシステム上で実行させることにより、パーソナルコンピュータは本発明に係る画像処理装置20として動作する。
画像処理装置20では、記憶手段22に記憶させたコンピュータプログラムを制御手段21の制御に基づいて第1の実施形態(又はその変形例)で説明した各ステップを実行することにより、記憶手段23などに記憶している画像や外部とのインターフェース27を通じて入力を受け付けた画像を入力画像に対し、画像処理を行い、出力手段26から出力画像を出力する。
図8(a)及び図9(a)は、本発明に係る画像処理装置20の入力画像の一例を示している。輝度の調整が不十分であり、背景の夕陽以外は暗くて殆ど判別不能である。図8(b)及び図9(b)は、比較例として、入力画像に対し、ヒストグラム平坦化処理を行った結果得られる出力画像を示している。太陽が昼間のように明るく強調されているが、太陽の近傍では、太陽の輝度に引きずられて輪郭がぼやけている。
図8(c)及び図9(c)は、入力画像に対し、本発明に係る適応コントラストフィルタ処理を行った出力画像を示している。コントラストが適切に調整され、全ての輪郭が鮮明に表示された出力画像が得られた。
本発明は、入力画像が多様なコントラストを持つ場合でも、その輪郭を強調することができる点で、特定の腫瘤などを抽出する画像診断などの医療分野或いは特定の人物などを抽出する防犯や安全装置などの分野などへの応用が期待される。従って、本発明の産業上利用可能性は極めて大きい。
コンピュータに各ステップを実行させる場合の処理の流れを示すフローチャートである。 (a)は、入力画像全体の平均輝度値の分布(y座標を固定したx座標)を、(b)は、輝度値をI(=512)とし、輝度平均がI(=256)と一致するように平行移動した様子を示している。 「モラベックオペレータ」について説明する図である。 (a)は、入力画像1の中に任意に区画される演算対象領域2を表す。(b)は、ある任意の位置で固定した閉領域β1の内部の輝度値の配列を表す。(c)は、ある任意の位置で固定した閉領域β1の内部の輝度値の配列を表す。 (a)及び(b)は、最大輝度エネルギー配列Emaxと最小輝度エネルギー配列Emin の一例を示す図である。 (a)は、入力画像内の(x,y)座標において、y=jと固定したときの、最大輝度エネルギーと最小エネルギーの分布を示す図である。(b)は、適応処理ステップS5の詳細を図示したものである。 本発明の第2の実施形態における画像処理装置の構成を示すブロック図である。 (a)は、入力画像の一例を示している。(b)は、ヒストグラム平坦化処理を行った結果を示す出力画像(比較例)である。(c)は、本発明に係る画像処理方法を適用した出力画像を示している。 (a)は、入力画像の他の例を示している。(b)は、ヒストグラム平坦化処理を行った結果を示す出力画像(比較例)である。(c)は、本発明に係る画像処理方法を適用した出力画像を示している。 (a)、(c)、(e)は、入力画像の他の例を示している。(b)、(d)、(f)は、第1の実施形態の変形例(1〜3)を実施した各結果を示す出力画像である。
符号の説明
20 本発明のプログラムをインストールした画像処理装置
21 CPU(Central Processing Unit)
22 一時記憶手段(RAM)
23 記憶手段(ハードディスク)
24 補助記憶手段(光学ディスクドライブ等)
25 入力手段(マウス及びキーボード等)
26 出力手段(モニタやプリンタ等)
27 入出力インターフェース

Claims (5)

  1. 入力画像に含まれる各画素の輝度値を調整する画像処理方法において、
    前記入力画像中の複数の画素からなる閉領域β(x,y)を演算対象領域として区画し、前記演算対象領域を前記入力画像内で所定の画素単位で移動させることにより、
    前記演算対象領域内における輝度配列として定義される輝度エネルギーの最大値と最小値とをそれぞれ算出し、その輝度エネルギーの差分データを算出するステップ(S4)と、
    前記入力画像に前記差分データを適応することにより出力画像を生成するステップ(S6)とを含む、画像処理方法。
  2. 請求項1記載の画像処理方法において、
    前記差分データを算出するステップ(S4)の後に、前記差分データに基づいて各座標における輝度値を1次関数に基づいて線形変換するステップ(S5)を更に含むと共に、
    前記入力画像に対し、前記入力画像全体の平均輝度値(I)を算出し、前記平均輝度値(I)とステップ(S5)における線形変換後の輝度値の最大値(I)とに基づいて定められる一定量の輝度値(I/2−I)を、前記入力画像の輝度分布に加算するステップ(S1)を含む、画像処理方法。
  3. 請求項1記載の画像処理方法において、
    前記差分データを算出するステップ(S4)の前に、前記入力画像に対し、前記演算対象領域内において中心画素と前記領域内の任意の画素との輝度値の差が最も大きい部分に関する座標データとその輝度値の差の大小関係を反映した演算値とを求めるステップ(S2)及び前記演算値と前記入力画像中の輝度値との積を演算することにより各座標毎の画素の輝度集中度を算出すると共に、前記輝度集中度が予め設定した閾値以上の座標における輝度値ついては別途算出した前記演算値を輝度平均値と置換することで輝度値を補完するステップ(S3)を含む、画像処理方法。
  4. 入力画像に含まれる各画素の輝度値を調整する画像処理方法において、
    入力画像中の複数の画素からなる閉領域β(x,y)を演算対象領域として区画し、前記演算対象領域を前記入力画像内で所定の画素単位で移動させることにより、前記入力画像に含まれる輝度値の差が大きい特徴部分に関する座標データと輝度値の差の大小関係を反映した演算値とを求めるステップ(S2)と、
    前記演算値と前記入力画像中の輝度値との積を演算することにより各座標毎の画素の輝度集中度を算出すると共に、前記輝度集中度が予め設定した閾値以上の座標における輝度値ついては別途算出した前記演算値を輝度平均値と置換することで輝度値を補完するステップ(S3)と、
    前記輝度値の補完が行われた以外の座標における輝度値について、各座標毎の前記演算対象領域内における輝度配列として定義される輝度エネルギーの最大値と最小値とをそれぞれ算出し、その輝度エネルギーの差分データを算出するステップ(S4)と、
    前記差分データに基づいて各座標における輝度値を線形変換するステップ(S5)と、
    前記入力画像に対し、前記入力画像全体の平均輝度値(I)を算出し、前記平均輝度値(I)とステップ(S5)における線形変換後の輝度値の最大値(I)とに基づいて定められる一定量の輝度値(I/2−I)を、前記入力画像の輝度分布に加算するステップ(S1)と、
    前記入力画像に含まれる各画素に対し前記線形変換した輝度値を適応することにより出力画像を生成するステップ(S6)とを含んでいる、
    画像処理方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の各ステップを、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
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