JP2010151801A - ラマンイメージング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被検査部から散乱されたラマン光が入射される入射部(15a)側において光ファイバの一端が二次元平面上に配置されると共に、前記光ファイバの内部を透過した光が射出される射出部(15b)において前記光ファイバの他端が一次元直線上に沿って配置された次元変換部(15)と、各光ファイバの他端側から射出された光を、前記一次元直線に対して直交する方向に沿って、光に含まれる各波長のスペクトル成分に分光する分光部(16)と、前記一次元直線方向を第1軸方向とし且つ前記一次元直線方向に直交する方向を第2軸方向とした場合に、前記第1軸方向及び第2軸方向に沿って平面状に配列された複数の受光素子を有し、各受光素子が前記分光部で分光された各波長の光を受光する受光部(22)と、を備えた文化財検査装置(1)。
【選択図】図4
Description
このような文化財の分析を行う際に、分析用の試料を採取するために、貴重な文化財の一部を破損することは厳しく制限されていることが多く、非接触、非破壊で、しかも、文化財が設置されている場所で、すなわち、文化財を移動させずに検査を行うことが望ましい。
特許文献1(特開2004−340750号公報)には、文化財を構成する被測定物において、人工的に変質させた被測定物にラマン分光分析を行って得られたラマンスペクトルと、変質させていない被測定物にラマン分光分析を行って得られたラマンスペクトルとを比較して、変質に関して評価する技術が記載されている。なお、特許文献1記載の技術では、文化財自体の変質評価の対象物の材料を確認する際には、蛍光X線法やX線回折法により同定している。
第2は、マッピング法と呼ばれる測定法で、検査対象部位を短冊状(スリット状、一次元状の線状)に区切り、その部位のラマンスペクトルを同時に測定し、次に測定部位を移動して同様に測定する。この方法では、測定部位を移動して順次測定するため、検査対象部位の全域を測定するには、やはり測定に長時間がかかる問題があった。
被検査部に照射されるレーザー光を発生するレーザー光源と、
内部を光が透過可能な複数の光ファイバを有する次元変換部であって、前記被検査部から散乱されたラマン光が入射される入射部側において前記光ファイバの一端が二次元平面上に配置されると共に、前記光ファイバの内部を透過した光が射出される射出部において前記光ファイバの他端が一次元の線上に沿って配置された前記次元変換部と、
前記各光ファイバの他端側から射出された光を、前記一次元の線上に対して交差する方向に沿って、光に含まれる各波長のスペクトル成分に分光する分光部と、
前記一次元の線の方向を第1軸方向とし且つ前記一次元の線に交差する方向を第2軸方向とした場合に、前記第1軸方向及び第2軸方向に沿って平面状に配列された複数の受光素子を有し、各受光素子が前記分光部で分光された各波長の光を受光する受光部と、
前記受光素子の前記第1軸方向の位置として特定される前記次元変換部の一次元の線上の位置と、前記受光素子の前記第2軸方向の位置として特定されるラマン光の波長成分と、前記一次元の線上の位置およびラマン光の波長成分とで特定される二次元上の位置の前記受光素子で受光したスペクトル強度と、を対応づけて記憶するスペクトル記憶手段と、
を備えたことを特徴とする。
前記二次元平面内において前記光ファイバの一端どうしが隣り合った状態で配置され、且つ、前記一次元の線上において前記光ファイバの他端どうしが隣り合った状態で配置された前記次元変換部、
を備えたことを特徴とする。
m、nを3より大きい正数とした場合に、m行n列の格子状の二次元平面上に前記光ファイバの一端が配置されると共に、1行1列、2行1列、…、m行1列、m行2列、(m−1)行2列、…、1行2列、1行3列、2行3列、…の順に、前記光ファイバの他端が一次元の線上に沿って配置された前記次元変換部、
を備えたことを特徴とする。
前記分光部に対して入射される光の仰角に基づいて、弧状の一次元の線上に前記光ファイバの他端が配置された前記次元変換部、
を備えたことを特徴とする。
請求項3記載の発明によれば、二次元平面内においてジグザグ状に一筆書きの軌跡に沿った配列がされない場合に比べて、歪曲収差の悪影響を低減することができる。
請求項4記載の発明によれば、仰角に基づかずに光ファイバの他端を配置する場合に比べて、前記分光部に用いられている回折格子による像の曲がりの影響を低減することができる。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
なお、以下の説明において、理解を容易とするため、検査対象物の一例としての文化財の表面に沿った水平方向をX方向(左右方向)、文化財の表面に沿った鉛直方向をY方向(上下方向)、文化財に接近、離隔する方向をZ方向(前後方向)として説明する。
図1において、本発明のラマンイメージング装置の一例としての実施例1の文化財検査装置1は、移動式架台2を有する。前記移動式架台2は、複数の脚部2aを有し、脚部2aの下端には、ストッパ付の移動用のキャスター2bが支持されている。前記脚部2aの上端部には、ハンドル部2cが上下移動可能に支持されており、移動式架台2は、図示しない油圧式の昇降装置により、ハンドル部2cを上下方向(高さ方向)に位置調整可能に構成されている。ハンドル部2cの上部には図示しない回転機構と傾き機構が支持されている。なお、前記移動式架台2として、従来公知の移動式架台を使用可能であり、例えば、テレビ撮影用のカメラを移動させるための移動式架台を使用可能である。
したがって、前記移動式架台2は、キャスター2bで移動させることにより、文化財検査装置1を、固定の文化財に対して水平方向に移動させて、位置を粗調整することができる。また、上下方向の高さ調節により文化財に対する高さの粗調整や、回転機構と傾き機構により回転位置と傾きの調節もできる。
図1において、前記移動式架台2の回転機構と傾き機構の上部には、位置調節装置3が支持されている。前記位置調節装置3は、図示しないモータにより、それぞれX軸方向およびZ軸方向に位置調節可能なXZステージ3aと、前記XZステージ3a上に支持され、Y軸方向(高さ方向)に位置調節可能なYステージ3bとを有する。なお、実施例1の前記位置調節装置3は、X方向に200mm、Y方向に100mm、Z方向に100mmの可動範囲が設定されているが、可動範囲はこの範囲に限定されず、設計や仕様等に応じて任意に変更可能である。
前記Yステージ3bには、分光分析装置4が支持されている。図1、図2において、前記分光分析装置4は、ケース4aを有する。前記ケース4aの上端部には、励起レーザー入力ポート4bが形成されており、ケース4aの文化財B側には、レンズ用開口4cが形成されている。前記励起レーザー入力ポート4bには、図示しない光ファイバが接続されて光ファイバを介して外部の図示しないレーザー光源から、ラマン分光用の励起レーザーが入力される。なお、実施例1では、励起レーザー光として、波長785nmのレーザー光を使用しているが、波長が可視〜近赤外の励起レーザー光を使用可能であり、設計や仕様等に応じて、任意に変更可能である。
図2、図3において、前記エッジフィルタ8の前方には、エッジフィルタ8で反射された励起レーザー光を文化財Bの被検査部B1に集光、照射すると共に、被検査部B1からのラマン光が通過するマクロ測定用対物レンズ9が配置されている。図2Aにおいて、前記対物レンズ9の側方には、マクロ測定用対物レンズ9よりも検査可能な領域が狭いミクロ測定用対物レンズ11が配置されており、手動または自動によりマクロ測定用対物レンズ9の位置にミクロ測定用対物レンズ11を移動させる(左右方向にスライドさせる)ことで、検査対象領域を変化させることができる。
図2において、前記エッジフィルタ8の後方には、内部を光が透過可能な複数の光ファイバを有する次元変換部15が配置されている。図2、図4において、実施例1の次元変換部15は、光ファイバを束ねた構成となっており、エッジフィルタ8を通過したラマン光が入射される入射部15a側では、光ファイバの一端が格子状、すなわち、二次元平面上に配置されている。また、光ファイバを通過した光が射出される次元変換部15の射出部15b側では、光ファイバの他端が上下方向に延びる直線状、すなわち、一次元直線上に沿って配置されている。実施例1の次元変換部15では、図4に示すように、入射部15aでは、仮想的にP1〜P16の位置特定用の番号が割り振られた4×4の平面状に配置され、射出部15bではP1〜P16の番号に対応する各光ファイバが上下方向に延びる直線上に並んで配置された構成となっている。
したがって、次元変換部15に入力されたラマン光は、位置番号P1〜P16に対応する各光ファイバの入射部15aに入射され、各光ファイバの射出部15bからラマン光L1〜L16として出力される。
なお、本発明の理解の容易のために、次元変換部15として、P1〜P16の番号を割り振った光ファイバを例示したが、光ファイバの数は例示した数に限定されず、任意の個数、すなわち15以下や16以上の数とすることが可能である。
なお、図2、図4において、実際の光学系では、コリメータ17bおよび集光鏡17dは球面鏡または放物面鏡で構成されており、入射スリット16aからの各ラマン光L1〜L16は、途中で交差して受光部(22)で上下が反転するが、説明および理解を容易にするため、球面鏡等ではなく円筒面鏡またはシリンドリカル鏡で図示し、ラマン光も上下で反転せずに図示をした。
なお、実施例1では、ラマン測定用高感度CCDカメラ22には、マクロ測定用対物レンズ9やその他の光学系17の焦点距離の関係で、ラマンイメージ画像が撮影可能な被検査部B1の領域として3.33mm四方の領域が設定されている。なお、前記被検査部B1の領域の広さは、例示した広さに限定されず、設計や仕様等に応じて、適宜変更可能である。
前記移動式架台2や位置調節装置3、分光分析装置4、高解像度カラーCCDカメラ26、ノートパソコンPC等により、実施例1の文化財検査装置1が構成されている。
図5は本発明の実施例1の文化財検査装置1の制御部のブロック線図である。
図5において、前記コントローラやノートパソコンPC、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行う入出力インタフェース、必要な処理を行うためのプログラムおよびデータ等が記憶されたROM(リードオンリーメモリ)、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM(ランダムアクセスメモリ)、前記ROMに記憶されたプログラムに応じた処理を行う中央演算処理装置(CPU)、ならびにクロック発振器等を有するコンピュータにより構成されており、前記ROMに記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
前記ノートパソコンPCの本体H1は、キーボードH3やマウスH4等の入力装置、その他の信号入力要素からの信号が入力されている。
キーボードH3やマウスH4等の入力装置は、ユーザの入力に応じた信号を本体H1に出力している。
前記コントローラCは、位置調節装置3のXZステージ3aやYステージ3b、ラマン測定用高感度CCDカメラ22、測定領域モニター用カラーCCDカメラ12、その他の制御要素に接続されており、それらの作動制御信号を出力している。
前記XZステージ3aは、分光分析装置4や高解像度カラーCCDカメラ26の水平方向の位置(X方向およびZ方向の位置)を微調整する。
Yステージ3bは、分光分析装置4や高解像度カラーCCDカメラ26の高さ方向(Y方向)の位置を微調整する。
ラマン測定用高感度CCDカメラ22は、分光器16から出力された光を測定する。
測定領域モニター用カラーCCDカメラ12は、入力に応じて被検査部B1の可視像を撮像する。
前記本体H1には、前記コントローラCや高解像度カラーCCDカメラ26、ディスプレイH2、その他の制御要素に接続されており、それらの作動制御信号を出力している。
コントローラCは、ノートパソコンPCからの制御信号に応じて、位置調節装置3のXZステージ3aやYステージ3b、ラマン測定用高感度CCDカメラ22、測定領域モニター用カラーCCDカメラ12を制御する。
高解像度カラーCCDカメラ26は、被検査部B1の可視像を撮像する。
ディスプレイH2は、ノートパソコンPCからの画像情報を表示する。
前記コントローラCは、ノートパソコンPCからの入力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能を有している。
すなわち、コントローラCは次の機能を有している。
C1:位置調節装置制御手段
位置調節装置制御手段C1は、XZステージ3aの位置を制御するXZステージ制御手段C1aと、Yステージ3bの位置を制御するYステージ制御手段C1bとを有し、位置調節装置3を制御して、分光分析装置4や高解像度カラーCCDカメラ26のXYZ方向の位置を調節する。
ラマン測定用カメラ制御手段C2は、ラマン測定用高感度CCDカメラ22を制御して、ラマンイメージの撮像を行う。
C3:測定領域モニター用カメラ制御手段
測定領域モニター用カメラ制御手段C3は、測定領域モニター用カラーCCDカメラ12を使用して被検査部B1の測定領域を測定する入力がされた場合に、測定領域モニター用カラーCCDカメラ12を制御して、測定領域の可視像を撮像する。
前記ノートパソコンPCの本体H1に組み込まれた文化財検査プログラムAP1は、入力装置H3,H4からの入力信号に応じた処理を実行して、各制御要素C、26に制御信号を出力する機能を有している。
前記文化財検査プログラムAP1は次の機能手段(プログラムモジュール)を有している。
C11:メイン画像表示手段
メイン画像表示手段C11は、表示部としてのディスプレイH2にメイン画像G1(図6参照)を表示する。図6Aにおいて、メイン画像G1は、高解像度カラーCCDカメラ26で撮影した画像を表示する可視像表示部G1aと、位置調節装置3のXZステージ3aをX方向(横方向)に移動させるためのX方向位置調節ボタンG1bと、Yステージ3bをY方向(高さ方向)に移動させるためのY方向位置調節ボタンG1cと、XZステージ3aをZ方向(前後方向、被検査部B1に接近、離隔する方向)に移動させるためのZ方向位置調節ボタンG1dと、ラマンイメージの撮影を開始するための撮影開始ボタンG1eと、文化財検査プログラムAP1を終了するための終了ボタンG1fが表示される。
図6Aにおいて、前記可視像表示部G1aには、高解像度カラーCCDカメラ26により撮影された可視像撮影領域B2の画像が表示されており、中央部にラマンイメージが撮影される被検査部B1の領域を示すラマンイメージ撮影領域表示画像G1gが表示されている。前記可視像表示部G1aの表示画像は、位置の移動に伴って随時画像(静止画像)が更新される。
撮影位置調整手段C12は、メイン画像G1の各位置調節ボタンG1b〜G1dへの入力に応じて、コントローラCを介して位置調節装置3を駆動させて、分光分析装置4や高解像度カラーCCDカメラ26のXYZ方向の位置を調節する。
C13:カメラ画像撮影手段
カメラ画像撮影手段C13は、前記位置決定ボタンG1eの入力に応じて、コントローラCを介して高解像度カラーCCDカメラ26の高解像度CCDカメラ制御手段C21を介して、被検査部B1を含む可視像撮影領域B2の制止画像を撮影する。
C14:ラマンイメージ撮影手段
ラマンイメージ撮影手段C14は、コントローラCを介して、ラマン測定用高感度CCDカメラ22を制御して、被検査部B1のラマン分光法による画像であるラマンイメージ画像R1(図7参照)を撮影する。したがって、実施例1では、縦方向(第1軸方向)を位置P1〜P16、横方向(第2軸方向)を波長λ1〜λnとする平面上で、各画素で受光したラマン光L1(λ1)〜L16(λn)の強度(スペクトル強度)の値からなるラマンイメージ画像R1を撮像する。
撮影画像記憶手段C15は、カメラ画像撮影手段C13で撮影された可視静止画像(G1)を記憶する可視静止画像記憶手段C15aと、ラマンイメージ撮影手段C14で撮影されたラマンイメージ画像R1を記憶するラマンイメージ画像記憶手段(スペクトル記憶手段)C15bとを有する。
前記ラマンイメージ画像記憶手段C15bは、ラマン測定用高感度CCDカメラ22の各受光素子の前記第1軸方向の位置として特定される次元変換部15の一次元直線上の位置P1〜P16と、各受光素子の前記第2軸方向の位置として特定されるラマン光の波長成分λ1〜λnと、一次元直線上の位置P1〜P16およびラマン光の波長成分λ1〜λnとで特定される二次元上の位置の受光素子で受光したスペクトル強度と、を対応づけて記憶している。すなわち、縦方向(第1軸方向)を位置P1〜P16、横方向(第2軸方向)を波長λ1〜λn、高さ方向(第3軸方向)を各画素(受光素子)で受光したラマン光L1(λ1)〜L16(λn)のスペクトル強度、とする3次元のラマンイメージ画像R1を記憶する。
そして、実施例1の撮影画像記憶手段C15は、ラマンイメージ撮影領域表示画像G1gの情報を含む可視像撮影領域B2の可視静止画像G1と、ラマンイメージ撮影領域表示画像G1gのラマンイメージ画像R1とを対応させて(関連づけて)記憶する。
結果画像表示手段C16は、画素再配列手段C16aを有し、ラマンイメージ撮影手段C14で撮影され、撮影画像記憶手段C15に記憶されたラマンイメージ画像R1および可視静止画像G1とに基づいて、撮影結果(検査結果)の結果画像G2をディスプレイH2に表示する。図6Bにおいて、実施例1の結果画像G2は、可視静止画像R2が表示される可視像表示部G2aと、撮影画像記憶手段C15に記憶されたラマンイメージ画像R1から特定の波長λi(1≦i≦n)における被検査部B1の領域のラマン光の強度分布を抽出・演算した強度分布画像が表示される強度分布表示部G2bと、強度分布の波長λiを変更する入力を行うための波長変更入力ボタンG2cと、撮影画像記憶手段C15に記憶されたラマンイメージ画像R1から特定の位置Pj(1≦j≦16)における波長λ1〜λnのスペクトル波形R2(図7参照)を抽出・演算した波形画像が表示される波形表示部G2dと、スペクトル波形R2を表示する位置Pjを変更する入力を行うための位置変更入力ボタンG2eと、撮影位置を再設定するためにメイン画像G1を表示するための撮影位置再設定ボタンG2fと、を有する。また、実施例1の可視像表示部G2aには、中央部に、可視静止画像G1に対応する被検査部B1の領域を示すラマンイメージ撮影領域表示画像G2gが表示される。さらに、ラマンイメージ撮影領域表示画像G2gにおける特定の位置Pjに対応する画像の枠線が強調表示(太線表示)で表示されており、位置変更入力ボタンG2eへの入力に応じて強調表示の枠線の位置が更新される。また、実施例1では、前記強度分布表示部G2bに表示される強度分布画像は、ラマン光の強度が強い領域を赤で、強度が弱い領域を青色で表示し、その間の強度は強度に応じて中間調で表示するような色の分布で表示する画像が採用されている。なお、強度表示は、例示した色分けに限定されず、その他の色を使用したり、モノクロの濃淡で表示したり等、任意の表示方法が可能である。
画素再配列手段C16aは、強度分布画像G2bを表示するために、前記ラマンイメージ画像R1に基づいて、一次元状に配列された状態で記憶されているラマンイメージ画像R1の位置P1〜P16のデータを、二次元平面の被検査部B1の位置、すなわち、入射部15aの位置に対応させて、二次元的に再配列する。すなわち、次元変換部15で二次元から一次元に変換したものを、逆変換して、再び二次元の配列に戻す。
前記構成を備えた実施例1の文化財検査装置1では、移動式架台2により文化財検査装置1を文化財Bの設置されている場所に移動させることができる。そして、移動式架台2で、文化財Bの検査したい被検査部B1に対して分光分析装置4の位置を粗調整することができる。
分光分析装置4の位置が粗調整された状態で、文化財検査プログラムAP1を起動し、可視像表示部G1aを見ながら位置調節装置3を制御して、被検査部B1に対する分光分析装置4の位置を微調節できる。このとき、メイン画像G1の可視像表示部G1aには、ラマンイメージ撮影領域表示画像G1gが四角の枠で表示されており、微調整された位置と、ユーザがラマンイメージを撮影したい位置とが一致するか否かを、ユーザが容易に判断することができる。
したがって、位置番号P1〜P16の各位置におけるλ1〜λnの波長のラマンスペクトルをラマン測定用高感度CCDカメラ22で一度に測定することができる。この結果、フィルタ等を使用して、波長λ1について位置番号P1〜P16の位置のスペクトル強度を測定した後、フィルタを換えて別の波長λ2について位置番号P1〜P16の位置のスペクトル強度を測定する工程を繰り返して、波長λ1〜λnの全てのスペクトル強度を測定していく従来の構成に比べて、波長λ1〜λnについて位置番号P1〜P16の位置のスペクトル強度を一度に測定できる実施例1の構成により、短時間で測定することができ、測定速度を高速化することができる。
これにより、例えば、材料の種類や産地毎に予めラマンスペクトルのデータを採取し、データベース化して保存しておき、得られたラマンスペクトルR2と比較することで、文化財Bの一例としての壁画が描かれた材料の種類や産地等を特定することができ、文化財Bの由来等の文化史の研究や、修復、保存を行う際に、同じ色の塗料であってもどの材料の塗料を使用することが望ましいのかを判断することができる。同様に、壁画以外の文化財Bについても、例えば、神社、仏閣等の柱のラマンスペクトルR2を得て、比較することで、材料や時代を特定することができる。
なお、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
したがって、他端33側の配列に対応する一端32側では、二次元平面において、1列目が、1行1列から16行1列まで順に配列された後、2列目が1行2列からではなく16行2列から1行2列まで順に配列される。そして、3列目以降は、奇数列目が1列目と同様に配列され、偶数列目が2列目と同様に配列される。すなわち、実施例2では、実施例1と異なり、二次元平面において、ジグザグに一筆書きされた軌跡に沿って配列される。このため、実施例1のように、例えば、1行1列、…、16行1列、1行2列、…のように2次元平面において、光ファイバの一端32側が隣り合わない配列ではなく、…、16行1列、16行2列、…のように2次元平面でも隣り合い、且つ、光ファイバの他端33側でも隣り合うように配列されている。
図9は実施例2の作用を対比して説明するための説明図であり、図9Aは実施例1の次元変換部の入射部の説明図、図9Bは実施例1の次元変換部の射出部の説明図、図9Cは実施例1の次元変換部から射出された光が分光された像の説明図、図9Dは図9Cの像に歪曲収差がある場合の説明図、図9Eは図9Dの要部拡大図、図9Fは図9Eにおけるズレの文化財の被検査部に対応する位置を説明する説明図である。
図10は実施例2の作用を対比して説明するための説明図であり、図10Aは実施例2の次元変換部の入射部の説明図、図10Bは実施例2の次元変換部の射出部の説明図、図10Cは実施例2の次元変換部から射出された光が分光された像の説明図、図10Dは図10Cの像に歪曲収差がある場合の説明図、図10Eは図10Dの要部拡大図、図10Fは図10Eにおけるズレの文化財の被検査部に対応する位置を説明する説明図である。
なお、図9、図10において、図面の記載を簡略化するために、光ファイバの端を円形ではなく格子状に記載している。
図9において、実施例1のように、射出部15bが図9Bに示すように、1行1列、2行1列、3行1列、…、16行1列、1行2列、2行2列、…、16行2列、1行3列、…の順に配列された構成では、分光後の像が図9Cに示すような格子状の配列のラマンイメージ画像R1となる。このとき、光学系17を通過する際に、光学系17の性能、特性により、像に図9Dに示すような糸巻き型または図示しない樽型の歪曲収差が発生することがある。歪曲収差が発生した場合、図9D、図9Eの実線で示す一例の歪曲収差が発生したラマンイメージ画像R1′が、図9D、図9Eの破線で示すようにラマン測定用高感度CCDカメラ22の各受光素子の位置に対してずれることがある。そして、図9Eに示すように、例えば、本来16行1列の波長λ1の光が受光されるべき受光素子において、1行2列の波長λ2の光が観測されることがある。この場合、図9Fに示すように、本来の文化財Bの被検査部B1において、1行2列の位置の測定データが、大きく位置がずれた16行1列の測定データとして測定されてしまう。
したがって、歪曲収差が発生しても、ラマン測定用高感度CCDカメラ22の各受光素子で観測される測定データは、文化財Bの被検査部B1において、近傍の位置の測定データが観測される。よって、実施例1の構成において歪曲収差が発生して、大きく異なる位置のデータが測定される場合に比べて、実施例2の構成では、歪曲収差が発生しても、近傍の位置の測定データが観測されるため、あまりにもかけ離れたデータが観測されることが低減される。
よって、実施例2の次元変換部31では、特に、射出部31bの直線方向に沿った方向、すなわち、図10D、図10Eにおける像の縦方向のズレについて、観測データと実際の被検査部B1の位置とのズレを低減することができる。
図11は実施例2の変更例の説明図であり、図11Aは図10Aに対応する図、図11Bは図10Bに対応する図である。
図11において、実施例2の変更例では、次元変換部31′は、他端33′では、1行1列、2行1列、3行1列、…、16行1列、16行2列、16行3列、…、16行16列、15行16列、…、1行16列、…の順に配列されており、二次元平面において、一端32′は外周から中央に向かう渦巻き状に一筆書きされた軌跡に沿って配列される。
このため、実施例2の変更例でも、実施例2においても、一端32′側および他端33′側の両方で光ファイバの端が隣り合うように配列されている。
したがって、実施例2の変更例でも、実施例2と同様の作用、効果を有する。
なお、この実施例3の説明において、前記実施例1、2の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例3は、下記の点で前記実施例1、2と相違しているが、他の点では前記実施例1、2と同様に構成されている。
sinα+sinβ=m×λ/σ …式(1)
ここで、入射される光が、グレーティングの面に対して仰角(または俯角)を持って入射される構成では、仰角(俯角)をγとした場合、以下の式(2)となる。
cosγ×(sinα+sinβ)=m×λ/σ …式(2)
前記構成を備えた実施例3の文化財検査装置1では、次元変換部41の射出部41bにおいて、光ファイバの他端43が、仰角γに対応する弧状の曲線S2に沿って配置されている。したがって、光ファイバの他端43を直線S1上に沿って配置する場合に比べて、歪曲収差におけるグレーティング17cによる波長方向のズレが低減され、ラマン測定用高感度CCDカメラ22で観測されるデータの波長方向のズレが低減される。
よって、低価格な光学系を使用してもグレーティングによるスリット像の曲がりの悪影響が少ない観測を行うことができる。
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H015)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、測定領域モニター用カラーCCDカメラ12と高解像度カラーCCDカメラ26とを共通化して、いずれか一方を省略することも可能である。
(H02)前記実施例において、分光器の一例として2つの反射鏡17a,17eやコリメータ17b、グレーティング17c、集光鏡17dを有する構成としたが、これの構成に限定されず、設計や仕様に応じて、反射鏡の数を増減したり、絞りやフィルタを追加する等、従来公知の任意の構成を採用可能である。他にも、コリメータ17bや集光鏡17dとして、反射鏡ではなく、光を透過させるレンズを使用することも可能である。
(H05)前記実施例において、ラマンイメージ画像を撮像する領域の広さは、設計や仕様等に応じて変更可能であり、点に近い領域とすることも可能である。
(H06)前記実施例において、ラマンイメージ画像を撮像する際に、入力されるレーザー光の波長は、特定の波長のものを使用したが、これに限定されず、例えば、励起波長が異なる光源ユニットを並べて使用することも可能である。
(H08)前記実施例において、可視画像を撮像する高感度カラーCCDカメラを使用することが望ましいが、ラマンスペクトル、ラマンイメージ画像のみで十分な場合、省略することも可能である。
(H010)前記実施例において、ラマン測定用高感度CCDカメラ22の受光素子は、位置番号と波長の数と同数に設定したが、この構成に限定されず、位置番号や波長の数と画素数とを一致させない構成とすることも可能であり、例えば、16本の光ファイバに対して、縦方向に倍の32画素分の受光素子を配置し、2つの受光素子で1本の光ファイバからの光を測定するように構成することも可能である。
(H012)前記実施例において、分光部として、回折格子(グレーティング)を例示したが、グレーティングに限定されず、プリズム等、従来公知の任意の分光部材を使用可能である。
(H014)前記実施例において、反射型のグレーティングやコリメータ、反射鏡を使用する光学系を例示したが、この構成に限定されず、透過型のグレーティングや透過型のレンズ等を使用する光学系を採用することも可能である。なお、透過型のグレーティングを使用した場合でも、回折格子の式(2)は満たされ、同一の条件で次元変換部41を構成することが可能である。
(H015)前記実施例において、実施例2,3の光ファイバの一端32,42と他端33,43の配列は、実施例に例示した配列に限定されず、任意の配列とすることが可能であるが、実施例2や実施例2の変更例に例示したように、一筆書きの軌跡に沿った配列とすることで、両端32,33,42,43で互いに隣接するように配置することが望ましい。
15,31,41…次元変換部、
15a,31a,41a…入射部、
15b,31b,41b…射出部、
17…分光部、
22…受光部、
B…文化財、
B1…被検査部、
C15b…スペクトル記憶手段。
Claims (4)
- 被検査部に照射されるレーザー光を発生するレーザー光源と、
内部を光が透過可能な複数の光ファイバを有する次元変換部であって、前記被検査部から散乱されたラマン光が入射される入射部側において前記光ファイバの一端が二次元平面上に配置されると共に、前記光ファイバの内部を透過した光が射出される射出部において前記光ファイバの他端が一次元の線上に沿って配置された前記次元変換部と、
前記各光ファイバの他端側から射出された光を、前記一次元の線上に対して交差する方向に沿って、光に含まれる各波長のスペクトル成分に分光する分光部と、
前記一次元の線の方向を第1軸方向とし且つ前記一次元の線に交差する方向を第2軸方向とした場合に、前記第1軸方向及び第2軸方向に沿って平面状に配列された複数の受光素子を有し、各受光素子が前記分光部で分光された各波長の光を受光する受光部と、
前記受光素子の前記第1軸方向の位置として特定される前記次元変換部の一次元の線上の位置と、前記受光素子の前記第2軸方向の位置として特定されるラマン光の波長成分と、前記一次元の線上の位置およびラマン光の波長成分とで特定される二次元上の位置の前記受光素子で受光したスペクトル強度と、を対応づけて記憶するスペクトル記憶手段と、
を備えたことを特徴とするラマンイメージング装置。 - 前記二次元平面内において前記光ファイバの一端どうしが隣り合った状態で配置され、且つ、前記一次元の線上において前記光ファイバの他端どうしが隣り合った状態で配置された前記次元変換部、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のラマンイメージング装置。 - m、nを3より大きい正数とした場合に、m行n列の格子状の二次元平面上に前記光ファイバの一端が配置されると共に、1行1列、2行1列、…、m行1列、m行2列、(m−1)行2列、…、1行2列、1行3列、2行3列、…の順に、前記光ファイバの他端が一次元の線上に沿って配置された前記次元変換部、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載のラマンイメージング装置。 - 前記分光部に対して入射される光の仰角に基づいて、弧状の一次元の線上に前記光ファイバの他端が配置された前記次元変換部、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のラマンイメージング装置。
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