JP2010149431A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面が移動可能な支持体2と、この支持体2表面に支持される複数の画素電極3と、これらの画素電極3を絶縁被覆する保護層4と、を有する像保持体1と、像保持体1表面に接触して残留トナーTを清掃する導電性清掃部材6と、この清掃部材6と画素電極3との間に極性が変化する清掃電界を形成するように、像保持体1の移動方向に沿って配列された画素電極3を複数の領域に分け且つ隣接する領域の画素電極3と清掃部材6との間に形成される清掃電界に対し互いに極性の異なる清掃電界となる清掃電圧を印加し、清掃部材6と像保持体1との間の接触領域m内に少なくとも極性の異なる清掃電界が形成される領域を並存させる清掃電圧印加手段7と、を有する清掃装置5と、を備える。
【選択図】図1
Description
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る画像形成装置において、前記清掃部材はブラシ部材である画像形成装置である。
請求項4に係る発明は、請求項3に係る画像形成装置において、前記清掃部材は、像保持体との対向部位にて像保持体の前記移動方向と同方向に回転する画像形成装置である。
請求項5に係る発明は、請求項4に係る画像形成装置において、前記清掃部材の回転速度は、像保持体の移動速度より大きく設定されている画像形成装置である。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかに係る画像形成装置において、前記清掃装置は、像保持体と離間した位置にて前記清掃部材に対向配置されるトナー回収部材を有し、このトナー回収部材と前記清掃部材との間にトナー回収電界を作用させて清掃部材に付着したトナーをトナー回収部材にて回収するトナー回収手段を更に備える画像形成装置である。
請求項7に係る発明は、請求項6に係る画像形成装置のうち作用電界により抵抗が変化するトナーを使用する態様において、トナー回収手段は、清掃電界よりも大きなトナー回収電界を前記トナー回収部材と前記清掃部材との間に印加するものであり、トナー回収電界におけるトナー抵抗を清掃電界における抵抗よりも低抵抗に変化させるものである画像形成装置である。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有しないものに比べ、清掃部材による良好な清掃がなされるようになる。清掃部材に付着したトナーの像保持体への再付着を抑えつつ、残留トナーの清掃をより効果的に行うことができる。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有しないものに比べ、清掃部材に付着したトナーの像保持体への再付着を抑えつつ、残留トナーの清掃をより効果的に行うことができる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有しないものに比べ、像保持体に与える負荷を軽減し像保持体並びに清掃部材を長期に亘って使用することができるようになる。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有しないものに比べ、像保持体上の残留トナーが接触領域に導かれると共に清掃性能を向上することができる。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有しないものに比べ、清掃部材による清掃性能をより長期的に維持することができる。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有しないものに比べ、清掃部材に付着したトナーがトナー回収部材側へより良好に回収されるようになる。
◎実施の形態モデルの概要
図1は本発明を具現化する実施の形態モデルに係る画像形成装置の概要を示すものであり、(a)はその構成を示し、(b)は作用を示す。同図において、画像形成装置は、表面が移動可能な支持体2と、この支持体2表面に支持され、支持体2表面の移動方向及びこれに交差する交差方向に二次元状に配列され且つ画素毎に画像情報に応じたトナー像を形成するための潜像電圧が印加可能な複数の画素電極3と、これらの画素電極3を絶縁被覆する保護層4と、を有する像保持体1と、この像保持体1に対向配置され且つ像保持体1表面に接触して残留トナーTを清掃する回転可能な導電性清掃部材6と、この清掃部材6と画素電極3との間に極性が変化する清掃電界を形成するように、像保持体1の移動方向に沿って配列された画素電極3を複数の領域に分け且つ隣接する領域の画素電極3と清掃部材6との間に形成される清掃電界に対し互いに極性の異なる清掃電界となる清掃電圧を印加し、清掃部材6と像保持体1との間の接触領域m内に少なくとも極性の異なる清掃電界が形成される領域を並存させる清掃電圧印加手段7と、を有する清掃装置5と、を備えている。
ここでは、仮に、清掃部材6を接地し、接触領域m内には正電圧(V(+))が印加された画素電極3の領域(A領域)と、負電圧(V(−))が印加された画素電極3の領域(B領域)とがあるものとすると、像保持体1上の残留トナーTとして正極性のトナーT(+)と、負極性のトナーT(−)とが混在し、A領域では画素電極3から清掃部材6に向かう清掃電界E(+)が作用することで正極性トナーT(+)が清掃部材6に静電吸引され、B領域では清掃部材6から画素電極3に向かう清掃電界E(−)が作用することで負極性トナーT(−)が清掃部材6に静電吸引されるようになる。尚、ここでは極性の異なる清掃電界となる領域の数量は接触領域mに対し二つ以上の領域(例えばA領域及びB領域)であればよく、またA領域及びB領域の画素電極3の数量は特に限定されず、共に一以上の数量であれば同一数量であってもよいし、異なる数量であってもよい。
更に、清掃部材6の回転速度は像保持体1の移動速度より大きく設定されていることが好ましい。清掃部材6の回転速度を大きくすることで、清掃部材6による像保持体1上のトナーに対する摺擦力を維持することができ、像保持体1上で清掃部材6に吸引されずに残ったトナーを接触領域m内で移動させることができるようになり、清掃性が向上されるようになる。尚、このような清掃部材6の回転速度が像保持体1上の残留トナーを清掃できる程度の速度であることは言うまでもない。
そして、このようなトナー回収手段8をより一層機能させる観点から、作用電界により抵抗が変化するトナーTを使用する態様において、トナー回収手段8は、清掃電界よりも大きなトナー回収電界をトナー回収部材9と清掃部材6との間に印加するものであり、トナー回収電界におけるトナー抵抗を清掃電界における抵抗よりも低抵抗に変化させるものとすることが好ましい。つまり、トナーTとして、清掃電界において高抵抗に変化し、かつ、清掃電界より大きい電界強度を有するトナー回収電界にて清掃電界における抵抗に比して低抵抗に変化する抵抗可変部を有するものを用いる方が好ましい。
◎実施の形態1
−画像形成装置の全体構成−
図2は、上述の実施の形態モデルが適用された画像形成装置の実施の形態1を示す。同図において、本実施の形態の画像形成装置は、所謂タンデム型のカラー画像形成装置であり、装置筐体15内に例えば電子写真方式にて各色成分(例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の各色トナー像が形成される像保持体20(20a〜20d)を略垂直方向に順次並べて配置すると共に、これらの像保持体20に対向して循環回転する中間転写ベルト50を略垂直方向に掛け渡し、この中間転写ベルト50上で像保持体20上の各色トナー像を多重化するようにしたものである。
そして、装置筐体15内の下方には記録材を供給する記録材供給部70が設けられ、例えば供給容器71内に収容された記録材が、供給ロール72及び捌き機構73にて一枚毎に下流側の記録材搬送路74に向かって供給されるようになっている。
次に、本実施の形態の像保持体20について詳述する。本実施の形態における像保持体20は、図3に示すように、回転可能な支持体である剛体ドラム21上に、多数の画素が所謂マトリクス状に形成されたマトリクスパネル30を巻き付けて固定支持したものとなっている。マトリクスパネル30は、例えば耐熱性フィルムに対し、所謂IC製造プロセス等で用いられる薄膜技術を利用して作製されたもので、画素がマトリクス状に配列されたものとなっている。そして、このようにマトリクス状に配列された画素は、例えば剛体ドラム21の回転方向に沿った方向にデータラインが設けられ、回転軸方向に沿った方向に走査ラインが設けられている。そのため、マトリクスパネル30のデータライン及び走査ラインには、各画素に接続される複数のデータ用ドライバ31及び走査用ドライバ32が適宜数設けられ、これらのドライバ31,32への入力線は更にまとめられて本数を少なくした段階でマトリクスパネル30を通して、剛体ドラム21の内面側にまで配線されるようになっている。
そして、剛体ドラム21の内周面側には、図4(a)及び(b)に示すように、適宜数の端子22が剛体ドラム21の回転軸方向に沿うように設けられ、これらの端子22は夫々マトリクスパネル30のデータ用ドライバ31及び走査用ドライバ32へと接続されている。更に、これらの端子22には、回転軸中心方向で且つ夫々の端部が互いに離間する方向に延びるスライダ23が端子22に接続される形で設けられ、このスライダ23の凹部にスリップリング24の集電環24aが装着されるようになっている。尚、スリップリング24の集電環24a部位は、両側の絶縁環24bより径が小さくなっており、剛体ドラム21の回転によってもスライダ23がその対向する集電環24aに常時接触した状態を保つようになっている。尚、剛体ドラム21の溝21aは、例えばシールテープにて塞がれており、像保持体20が回転する際の気流の抵抗が低減されると共に、現像時のトナーの影響も防ぐようになっている。
次に、マトリクスパネル30の構成について説明する。
本実施の形態のマトリクスパネル30は、図5(a)に示すように、二次元状に画素が配列されており、各画素は、(b)に示すように、所謂アクティブマトリクス方式で構成され、スイッチング素子として例えばTFT(Thin Film Transistor)33を用い、その他画素電極34、蓄積容量35及び配線(ソース線、ゲート線等)が夫々形成されている。各画素及び画素間の結線は、像保持体20の回転方向に沿って各TFT33のソースが結線されるソース線(データライン)、像保持体20の回転軸方向に沿って各TFT33のゲートが結線されるゲート線(走査ライン)としてまとめられている。また、TFT33のドレインには画素電極34と蓄積容量35が並列に接続され、蓄積容量35の一方は走査ライン毎にまとめられ(図示せず)、結果的に(c)のような等価回路を呈するように構成されている。そして、マトリクスパネル30の表面には、TFT33、画素電極34、蓄積容量35を覆うように全面に保護層36(図示せず)が設けられている。
つまり、マトリクスパネル30は、図6に示すように、データライン及び走査ライン毎に所定数の画素がまとめられ、TFT33のソース側がデータライン毎に夫々データ用ドライバ31へ接続される一方、TFT33のゲート側が走査ライン毎に夫々走査用ドライバ32に接続されており、データ用ドライバ31及び走査用ドライバ32は、画像形成装置内に設けられた画素電極駆動装置80によって駆動されるようになっている。そのため、これらのデータ用ドライバ31及び走査用ドライバ32を駆動することで、所定の画素に所定の電圧が印加できるようになる。データ用ドライバ31としては、例えばサンプルホールド付きのシフトレジスタ、ラッチ、バッファ等で構成され、走査用ドライバ32としては、例えばカウンタ、ラッチ、バッファ等で構成される。尚、図6では、画素電極34は省略しているが、TFT33と蓄積容量35との間に接続された画素電極34が設けられていることは云うまでもない。
画素電極駆動装置80は、図7に示すように、画像信号に基づく電圧信号や制御信号からマトリクスパネル30のデータ用ドライバ31及び走査用ドライバ32を駆動するようになっている。画素電極駆動装置80内には、画素電極34による潜像パターンを形成するためのデータ用ドライバ31に印加する潜像電圧を形成する潜像電圧形成部81、画素電極34上の残留トナーを清掃装置42で清掃する際の画素電極34側に印加する清掃電圧を形成する清掃電圧形成部85、画像信号を一旦記憶するメモリ部88、潜像電圧形成部81及び清掃電圧形成部85にて形成された潜像電圧及び清掃電圧のうち、データ用ドライバ31に伝達する電圧を切り替える切替部89、例えば像保持体20の回転位置等の制御信号等との同期を図るため各種タイミング制御を行うタイミング制御部90等が設けられている。つまり、本例では潜像形成と清掃電圧とをマトリクスパネル30の異なるデータラインに時分割して印加することで、共通の画素電極34を潜像パターンの形成並びに清掃パターンの形成に適用するようにしている。
本実施の形態の現像装置41(100)は、図8に示すように、トナーとして導電性トナーを用い、導電性トナーに電荷注入を行うタイプのものとなっている。
同図において、現像装置100は、導電性トナー(以降適宜トナーと称す)が収容される現像容器101を有し、この現像容器101には像保持体20に対向して現像用開口102を開設すると共に、この現像用開口102に面して像保持体20と離間配置し且つ対向部位で互いに異なる方向に回転する現像ロール103を配設している。
このような現像装置100に用いられるトナー(導電性トナー)は、例えば図9(a)に示すように、導電性を有する材料からなる導電性トナー基体(導電性コア)130を有し、この導電性コア130の周囲を絶縁性被覆層(例えば絶縁性樹脂層)140で被覆すると共に、導電性コア130の一部が表面に露出するように絶縁性被覆層140に適宜数の凹部150を設けたものが用いられる。導電性トナーは、重合法や各種公知のカプセル化技術で作製することができ、導電性コア130としては、ポリエステル系樹脂やスチレン−アクリル系樹脂に導電性カーボンやITO等の透明導電粉などの導電剤を分散させたり、ポリエステル系樹脂やスチレン−アクリル系樹脂からなる粒子表面を前記導電剤により被覆することによって作製される。
本実施の形態の転写装置43は、図2に示すように、例えば転写ロールが中間転写ベルト50を挟んだ状態で像保持体20に対向配置させ、この転写ロールと像保持体20との間に像保持体20上のトナー像が中間転写ベルト50上に転写される方向の転写電界が作用するように転写バイアスが印加されるようになっている。また、このような転写装置43としてコロナ帯電器を使用することも可能であるが、放電生成物の生成を抑える意味からすれば、コロナ帯電器より転写ロールの方が好適である。更には、転写装置43として転写部位にある画素電極34に対し、例えば画像信号に応じた電圧を印加し、画素電極34上に付着したトナー量に合った転写電界を作用させるようにしても差し支えない。
本実施の形態の清掃装置42(200)は、図10に示すように、清掃容器201内に像保持体20に対向配置される清掃部材としての静電ブラシ202を有し、更に、この静電ブラシ202に付着したトナーを回収するためのトナー回収部材として一つの回収ロール204が静電ブラシ202に接触するように設けられたものとなっている。また、本実施の形態では、回収ロール204によって回収されたトナーを回収ロール204から掻き落とすブレード206が設けられると共に、ブレード206によって掻き落とされた廃トナーを清掃容器201外に搬送する撹拌搬送部材207が設けられている。尚、図中符号30aはマトリクスパネル30の基材であるフィルムを示し、符号36は保護層を示している。
同図において、静電ブラシ202にはバイアス電源203からVCの電圧が印加される一方、像保持体20と静電ブラシ202との接触領域mに位置する画素電極34(具体的にはP1〜P4位置にある画素電極)には、清掃電圧形成部85(図7参照)によって形成された清掃電圧によって、P1位置及びP3位置にVA、P2位置及びP4位置にVBが印加されるようになっている。本実施の形態では、例えばVA=50V、VB=0V、VC=25Vとし、(VA+VB)/2=VCとなるように設定されている。また、画素電極34に印加される電圧は、像保持体20と静電ブラシ202との接触領域mに至る前に該当する画素電極34にVA若しくはVBの電圧が印加されるようになっている。
本実施の形態では、一つの画素電極34毎に極性を変化させる態様を示したが、これに限定されず、一つの領域が複数の画素電極34によって構成されるようにしても差し支えない。また、接触領域mにて四つの画素電極34を備える態様を示したが、これに限られず、接触領域mにて極性の異なる清掃電界の領域が複数設けられるようになっていればよい。
−潜像形成−
図7に示したように、画素電極34に印加する潜像電圧としては、画像信号の信号波形を階調変換部82にて階調変換し、階調変換されたデータに応じた潜像電圧が画素電極34に印加されるようになる。
つまり、図12に示すように、画像信号に対し、予め決められた閾値α、β、γを設け、この閾値によって階調変換し、例えばα以下の部分に対してV0、αを超えβ以下の部分に対してV1、βを超えγ以下の部分に対してV2、γを超える部分に対してV3の潜像電圧を印加設定することで、四階調の変換がなされるようになる。そのため、この階調変換に応じて潜像電圧が印加されることで、画素電極34夫々には四階調に応じた電位ポテンシャルが形成されるようになる。
図8に示すように、アジテータ111により撹拌されたトナー(導電性トナー)がトナー供給ロール106側に供給された後、トナー供給ロール106の回転によって中間ロール104との対向部位に運ばれ、対向部位で異なる方向に回転する中間ロール104に供給される。中間ロール104上に供給されたトナーは層形成ブレード107によってその層厚が規制され、中間ロール104上に略均一なトナー層が形成される。この均一に形成された中間ロール104上のトナー層は、中間ロール104と電荷注入ロール105との対向部位にて、両者間に挟持され摺擦されながら、バイアス電源113によりもたらされる電荷注入電界によって電荷注入される。
図14(a)に示すように、転写時には、像保持体20の剛体ドラム21と転写装置43との間に像保持体20上のトナーを中間転写ベルト50側に転写させるために、例えばバイアス電源43aにて転写電圧VTを印加することで転写電界を作用させるようにしている。このような転写電界によって、画素電極34上に付着したトナーは画素電極34毎に略同量の転写がなされることから、転写像のより忠実な再現性を図るには画素電極34毎に付着したトナー量に応じた電界強度を有する転写電界を作用させる方がよい。本実施の形態では、画素電極34を使用していることから、図14(b)に示すように、例えば画素電極駆動装置80(図7参照)内に転写電圧形成部43cを設け、この転写電圧形成部43cにて形成された画像信号に応じた転写電圧(例えば−V1’、−V2’ −V3’)を画素電極34に印加するようにすれば、付着トナー量に応じた転写電界を画素電極34毎に変化させることも可能になり、付着トナー量の略全量を中間転写ベルト50に転写させることで転写像の再現性を向上させることも可能になる。尚、このとき、転写装置43はバイアス電源43bから例えばVT’の電圧が供給されるようになっていればよく、VT’の値としては適宜選定すればよい。
次に、本実施の形態における像保持体20上の残留トナーを清掃する清掃メカニズムについて説明する。
一般的に突発的な故障を防止し、像保持体20の摩耗や損傷を防止するためには、静電力を利用した清掃方式が好適である。このような静電力を利用した清掃方式としては、像保持体として感光体を用い、この感光体に対して静電ブラシや磁気ブラシを用いる方式が知られている。そして、このような静電力を利用する際の清掃電界は、清掃部材である静電ブラシあるいは磁気ブラシと感光体との間の電位関係によって一義的に決定される。これに対し、本実施の形態では、図11に示すように、静電ブラシ202及び画素電極34へ所望の電圧を印加することにより、像保持体20と静電ブラシ202との接触領域m内に極性の異なる清掃電界の領域を形成することで、両極性トナーを一つの静電ブラシ202にて清掃しようとするものである。
図15はこのことを分かり易く説明したもので、今、(a)のように、静電ブラシ202と像保持体20との対向部位(接触領域m)にて画素電極34の一部(P1位置及びP3位置)に対しVAの電圧(画素電極34側が正となる方向の清掃電界E(+)が作用する領域)、残り(P2位置及びP4位置)に対しVBの電圧(画素電極34側が負となる方向の清掃電界E(−)が作用する領域)が作用するように、清掃電圧形成部85(図7参照)にて形成された電圧が印加されるようになっており、静電ブラシ202にはバイアス電源203によってVCの電圧が接続されている。そのため、清掃電界E(+)の電界強度は(VA−VC)に比例し、清掃電界E(−)の電界強度は(VC−VB)に比例する。
このように、像保持体20に対し静電ブラシ202を同一方向に回転させ、更にその速度を速くしていることで、静電ブラシ202による像保持体20への損傷も小さく抑えられるようになり、像保持体20の長寿命化を推進することも可能になる。また、像保持体20と静電ブラシ202との接触領域の上流側にトナーを飛散させることも少なくなり、トナークラウドの発生も抑えられるようになる。
ここでは、像保持体20の回転方向に沿った画素電極34に対し一画素ずつ清掃電界の極性を変える態様を示したが、像保持体20と静電ブラシ202との接触領域mにおいて異なる清掃電界を有する領域が設けられるようにすればよい。
図18(a)に示すように、像保持体20と静電ブラシ202とが対向部位で互いに異なる方向に回転する場合、P1位置にある両極性トナーのうち、P1位置では静電ブラシ202に正極性トナーが吸引され、吸引されなかった負極性トナーは静電ブラシ202の摺擦力によって塞き止められる。この塞き止められた負極性トナーは、(b)に示すように、P1位置の後の画素電極34の極性によって静電ブラシ202に吸引されるようになる。また、P1位置で静電ブラシ202に吸引されなかった負極性トナーがP1位置に塞き止められず、P1位置の画素電極34に吸着されたまま移動しても、接触領域m内で静電ブラシ202の摺擦力によって前後の画素電極34側に移動し、その画素電極34の極性の異なる清掃電界E(−)によって静電ブラシ202に吸引されるようになる。そのため、このような回転方向では、通常、静電ブラシ202による像保持体20の摺擦力が対向部位で同方向に回転するものに比べ大きくなり、像保持体20に対する損傷を招き易い虞はあるが、清掃効果自体は良好になる。
したがって、このように像保持体20と静電ブラシ202とが対向部位で互いに異なる方向に回転する場合にも、接触領域mに対して極性の異なる清掃電界の領域を備えることがよいことが理解される。
また、静電ブラシ202の回転速度v2が像保持体20の回転速度v1に等しい場合には、静電ブラシ202による摺擦力が低減するが、静電ブラシ202のブラシ繊維の先端は像保持体20との接触によって多少摺動することから、ある程度の摺擦力が得られるようになり、像保持体20上のトナーを移動させることができる。そのため、静電ブラシ202による清掃効果が発揮されるようになる。
図19(a)(b)は、像保持体20の回転軸方向に沿っても画素電極34と静電ブラシ202との間の清掃電界の極性を変化させるようにした一例を示すもので、(a)は画素電極34毎の清掃電界の方向を像保持体20表面側から見た図であり、(b)は(a)の一つの走査ライン(ここでは例えばP2位置)を横方向から見たもので、像保持体20及び静電ブラシ202はいずれも紙面の奥側に向かって移動するようになっている。
ここで、像保持体20の回転方向に沿った方向にはP1位置からP4位置までに一つの画素電極34毎に清掃電界の極性を変化させ、更に、像保持体20の回転軸方向のH1位置からH6位置までは二つの画素電極34毎に清掃電界の極性を変化させるようにしたものを表している。尚、A領域及びB領域は極性の異なる清掃電界の領域を示し、A領域は画素電極34側が正となる方向の清掃電界E(+)の領域、B領域は画素電極34側が負となる方向の清掃電界E(−)の領域を表している。
このように、像保持体20の回転軸方向に対しても画素電極34と静電ブラシ202との間に極性の異なる清掃電界を作用させることで、より像保持体20上のトナーの清掃が良好になされるようになる。尚、像保持体20の回転軸方向の画素電極34に対してトナーの飛散を抑えることからすれば、一〜数個程度の画素電極34毎に対応して極性を切り替える方が好適である。
次に、回収ロール204による静電ブラシ202からの両極性トナーの回収メカニズムについて図20の模式図を参照しながら説明する。
本実施の形態では、トナーとして導電性トナーを用い、導電性トナーが自身に作用する電界の大きさによって電気抵抗を大きく変化させる(スイッチング)機能を有することから、静電ブラシ202からトナーを回収する際にトナーに高い電界を作用させて低抵抗へスイッチングさせ、所望の電荷注入を容易にさせることで、静電ブラシ202に吸引された両極性トナーの帯電極性を揃えるようにして回収する方式が採られている。つまり、像保持体20(具体的には画素電極34に印加される清掃電圧によって決まる)と静電ブラシ202との間の清掃電界によって像保持体20上の両極性トナーは静電ブラシ202に吸引され、更に、静電ブラシ202に保持されるようになる。静電ブラシ202に保持された両極性トナーに対しては、静電ブラシ202と回収ロール204との対向部位にて清掃電界より大きなトナー回収電界を作用させることで、両極性トナーのうち、例えば正極性トナーがトナー回収電界によって電荷注入されて負極性化する。これにより、両極性トナーが一つの回収ロール204に回収されるようになる。尚、清掃時には、トナーが低抵抗であると清掃されたトナーに電荷が注入され、電荷注入されたトナーが像保持体20に再付着するようになるため、静電ブラシ202側に清掃時に作用させる清掃電界をトナー回収電界より低電界で行うことで清掃時にはトナーは高抵抗に保たれ、効率的な清掃がなされるようになる。
本実施の形態の画像形成装置は実施の形態1の画像形成装置(例えば図2参照)と略同様に構成されるが、使用するトナーとして例えば電子写真方式の画像形成装置に通常使用されるトナーを用いており、現像装置41及び清掃装置42が実施の形態1と異なるものとなっている。以下にそれらの概要を説明する。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態の現像装置41は、潜像パターンが形成された画素電極34に対して通常のトナーによる現像を行うようにしたもので、像保持体20に対向配置される現像ロールに対して所定のトナー量が供給され、像保持体20と現像ロールとの対向部位である現像部位にて現像ロールと画素電極34との間の電界作用により、現像ロール上のトナーが像保持体20側に飛散するようになる。尚、このような現像装置41としては、公知の一成分現像方式あるいは二成分現像方式のいずれを用いても差し支えない。
本実施の形態の清掃装置42(200)は、図22に示すように、清掃容器201内に像保持体20に対向配置される静電ブラシ202を有し、静電ブラシ202に付着した両極性トナーを静電ブラシ202から回収するために二つの回収ロール208,210が設けられている。これらの回収ロール208,210は静電ブラシ202と例えば対向部位で異なる方向に回転し、一方の回収ロール208には静電ブラシ202との間に例えば回収ロール208側が正となるトナー回収電界が作用するようにバイアス電源209が接続され、もう一方の回収ロール210には静電ブラシ202との間に例えば回収ロール210側が負となるトナー回収電界が作用するようにバイアス電源211が接続されている。また、夫々の回収ロール208,210には、回収ロール208,210からトナーを掻き落とすブレード212,213が設けられている。
このような清掃装置200での静電ブラシ202による像保持体20上の両極性トナーの清掃メカニズムは実施の形態1と同様のため、ここでは、回収ロール208,210による両極性トナーの回収メカニズムについて説明する。
本実施の形態で用いられるトナーは通常のトナーであることから、実施の形態1のようにトナーに電荷注入を行うことをせず、トナーの極性毎に夫々一方の回収ロール208又は210にて回収するようになっている。つまり、静電ブラシ202に保持されたトナーのうち、負極性トナーは回収ロール208によるトナー回収電界によって回収ロール208に回収される一方、正極性トナーは回収ロール210によるトナー回収電界によって回収ロール210に回収される。そのため、静電ブラシ202に付着したトナーの極性がいずれであっても良好な回収がなされ、静電ブラシ202によるその後の清掃効果の維持がなされるようになる。
図23は、実施の形態3の画像形成装置の概略を示すものであり、本実施の形態の画像形成装置は実施の形態1の画像形成装置(図2参照)と異なり、一つの像保持体20の周りに複数(本例では四つ)の現像装置410を設けたものとなっている。
次に、画素電極に対して清掃電圧を印加する場合の効果を確認するため、画素電極を用いない場合の像保持体(ここでは感光体)上の両極性トナーの清掃作用について説明する。
図24は、参考の形態として画素電極を用いない場合の静電ブラシ方式の清掃装置600の概要を示すもので、像保持体としての感光体500上の両極性残留トナーを二つの静電ブラシ602,603で清掃しようとしたものである。この清掃装置600は、清掃容器601内に感光体500の移動方向との対向部位で同方向に回転する二つの静電ブラシ602,603を設け、夫々バイアス電源604,605により感光体500との間に互いに異なる電界が作用するようにして感光体500上の両極性トナーを夫々の静電ブラシ602,603で吸引しようとするものである。
更に、静電ブラシ602,603には夫々の付着トナーを回収する回収ロール606,607が静電ブラシ602,603と互いに異なる方向に回転するように設けられ、夫々バイアス電源608,609によって回収時の電界が作用するようになっている。尚、符号610,611は、回収ロール606,607上の回収トナーを掻き落とすブレードであり、また、符号612,613は掻き落とされたトナーを清掃容器601外に搬送する撹拌搬送部材となっている。
このような清掃装置600を用いることによっても両極性トナーの清掃がなされるが、静電ブラシ602,603を二つ要することから、装置構成が大型化し易く、また複雑にもなり易いものとなっている。
導電性トナーは、次のように作製した。一般的なカラートナー用の絶縁性トナー(平均粒径6.5μm)に、例えばITO粒子(住友金属鉱山社製)を15wt%加え、サンプルミル(SK−M10型:協立理工社製)により混合し、絶縁性トナー表面にITO粒子を付着させた。このときの抵抗測定結果は104Ω・cmであり、十分な導電化が可能であることが判明した。
そして、このITO粒子を付着させた絶縁性トナーに、更に、ポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂などからなる絶縁性微粒子を加え、混合することにより、表面に絶縁層を形成した。この絶縁層の表面被覆率を調整することで所定の電気抵抗を得ることができることが判明した。尚、表面被覆率の調整は、例えば混合時間などを調整することで行われる。
このことから、静電ブラシが不定形であるため、実際に導電性トナーに印加されている電界を特定することは難しいが、清掃電界が3×104V/cm付近、トナー回収電界が1〜3×105V/cm付近であれば、良好なトナー回収がなされ、像保持体の清掃性が維持されるものと予想される。尚、実用的には、像保持体上、静電ブラシ上、回収ロール上の導電性トナーの帯電量の変化を測定し、電荷注入の有無を測定することによって導電性トナーの電気抵抗が有効にスイッチングを行っていることが確認できた。
Claims (7)
- 表面が移動可能な支持体と、
この支持体表面に支持され、支持体表面の移動方向及びこれに交差する交差方向に二次元状に配列され且つ画素毎に画像情報に応じたトナー像を形成するための潜像電圧が印加可能な複数の画素電極と、
これらの画素電極を絶縁被覆する保護層と、を有する像保持体と、
この像保持体に対向配置され且つ像保持体表面に接触して残留トナーを清掃する回転可能な導電性清掃部材と、
この清掃部材と前記画素電極との間に極性が変化する清掃電界を形成するように、前記像保持体の移動方向に沿って配列された画素電極を複数の領域に分け且つ隣接する領域の画素電極と清掃部材との間に形成される清掃電界に対し互いに極性の異なる清掃電界となる清掃電圧を印加し、清掃部材と像保持体との間の接触領域内に少なくとも極性の異なる清掃電界が形成される領域を並存させる清掃電圧印加手段と、を有する清掃装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1記載の画像形成装置において、
前記清掃電圧印加手段は、更に、前記像保持体の前記交差方向に沿って清掃部材と前記画素電極との間に極性が変化する清掃電界を形成するように、前記交差方向に沿って配列された画素電極を複数の領域に分け且つ隣接する領域の画素電極と清掃部材との間に形成される清掃電界に対し互いに極性の異なる清掃電界となる清掃電圧を印加するようにしたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記清掃部材はブラシ部材であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項3記載の画像形成装置において、
前記清掃部材は、像保持体との対向部位にて像保持体の前記移動方向と同方向に回転するものであることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項4記載の画像形成装置において、
前記清掃部材の回転速度は、像保持体の移動速度より大きく設定されていることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記清掃装置は、像保持体と離間した位置にて前記清掃部材に対向配置されるトナー回収部材を有し、このトナー回収部材と前記清掃部材との間にトナー回収電界を作用させて清掃部材に付着したトナーをトナー回収部材にて回収するトナー回収手段を更に備えることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項6記載の画像形成装置のうち作用電界により抵抗が変化するトナーを使用する態様において、
トナー回収手段は、清掃電界よりも大きなトナー回収電界を前記トナー回収部材と前記清掃部材との間に印加するものであり、トナー回収電界におけるトナー抵抗を清掃電界における抵抗よりも低抵抗に変化させるものであることを特徴とする画像形成装置。
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