JP2010147568A - 画像処理装置、画像処理方法、および、画像処理プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】S/Nが悪い原画像信号を分離した場合に、充分なノイズ低減効果を得ることができない。
【解決手段】原画像信号を、複数の成分画像に分離し(S20)、複数の成分画像のうち、ノイズを含む成分画像から注目領域を抽出する(S40)。また、ノイズを含む成分画像から、任意の画像領域を抽出し(S60)、抽出された画像領域に対応する原画像信号上の画像領域、および、注目領域に対応する原画像信号上の画像領域間の類似度を算出する(S70)。そして、抽出された画像領域および類似度に基づいて、注目領域のノイズ低減処理を行う(S110)。
【選択図】図4
【解決手段】原画像信号を、複数の成分画像に分離し(S20)、複数の成分画像のうち、ノイズを含む成分画像から注目領域を抽出する(S40)。また、ノイズを含む成分画像から、任意の画像領域を抽出し(S60)、抽出された画像領域に対応する原画像信号上の画像領域、および、注目領域に対応する原画像信号上の画像領域間の類似度を算出する(S70)。そして、抽出された画像領域および類似度に基づいて、注目領域のノイズ低減処理を行う(S110)。
【選択図】図4
Description
本発明は、画像のノイズを除去する画像処理技術に関する。
従来、原画像信号Fを、複数の成分、例えば、骨格成分(幾何学的画像構造)である第1成分Uと、骨格成分以外の成分である第2成分Vとに分離し、第2成分Vに含まれる信号依存性雑音に対し、軟判定閾値処理によりノイズ低減を行う手法が特許文献1に開示されている。特許文献1の手法では、第2成分V上の画素ごとに含まれるノイズ量を推定し、推定したノイズ量に基づいて、軟判定閾値処理の閾値を制御することにより、ノイズが多く含まれると考えられる画素に対して強いノイズ低減処理を行っている。
特開2008−172431号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、S/Nが悪い原画像信号を分離した場合に、ノイズが全て第2成分Vに分離されない場合がある。この場合、第2成分V上の画素に含まれるノイズ量の推定精度が低くなる場合があるため、充分なノイズ低減効果を得ることができない可能性があった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、S/Nが悪い原画像信号に対しても、充分なノイズ低減効果を得ることを目的とする。
本発明のある態様に係る画像処理装置は、原画像信号を、複数の成分画像に分離する成分分離部と、前記複数の成分画像のうち、ノイズを含む成分画像から注目領域を抽出する注目領域抽出部と、前記ノイズを含む成分画像から、前記注目領域のノイズ低減処理を行うために用いる画像領域を抽出する画像領域抽出部と、前記抽出された画像領域に対応する前記原画像信号の画像領域、および、前記注目領域に対応する前記原画像信号の画像領域間の類似度を算出する類似度算出部と、前記抽出された画像領域および前記類似度に基づいて、前記注目領域のノイズ低減処理を行うノイズ低減部と、を備えることを特徴とする。
本発明の別の態様に係る画像処理方法は、原画像信号を、複数の成分画像に分離するステップと、前記複数の成分画像のうち、ノイズを含む成分画像から注目領域を抽出するステップと、前記ノイズを含む成分画像から、前記注目領域のノイズ低減処理を行うために用いる画像領域を抽出するステップと、前記抽出された画像領域に対応する前記原画像信号の画像領域、および、前記注目領域に対応する前記原画像信号の画像領域間の類似度を算出するステップと、前記抽出された画像領域および前記類似度に基づいて、前記注目領域のノイズ低減処理を行うステップと、を備えることを特徴とする。
本発明のさらに別の態様に係る画像処理プログラムは、原画像信号を、複数の成分画像に分離するステップと、前記複数の成分画像のうち、ノイズを含む成分画像から注目領域を抽出するステップと、前記ノイズを含む成分画像から、前記注目領域のノイズ低減処理を行うために用いる画像領域を抽出するステップと、前記抽出された画像領域に対応する前記原画像信号の画像領域、および、前記注目領域に対応する前記原画像信号の画像領域間の類似度を算出するステップと、前記抽出された画像領域および前記類似度に基づいて、前記注目領域のノイズ低減処理を行うステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
これら態様によれば、ノイズを含む成分画像上の注目領域と他の画像領域間の類似度を、原画像信号の対応する領域に基づいて算出するので、類似度を高精度に算出することができ、高精度に算出した類似度を用いて、効果的なノイズ低減処理を行うことができる。これにより、S/Nが悪い原画像信号に対しても、充分なノイズ低減効果を得ることができる。
本発明によれば、S/Nが悪い原画像信号に対しても、充分なノイズ低減効果を得ることができる。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る画像処理装置を撮像装置に適用した場合の構成図である。撮像装置は、例えば、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像用電子機器であるが、これらの撮像用電子機器以外にも、正しく作動するために電流または電磁界に依存する機器である電子機器に適用可能である。
図1は、第1の実施形態に係る画像処理装置を撮像装置に適用した場合の構成図である。撮像装置は、例えば、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像用電子機器であるが、これらの撮像用電子機器以外にも、正しく作動するために電流または電磁界に依存する機器である電子機器に適用可能である。
撮像装置は、システムコントローラ100(制御部)、光学系101、撮像素子102、A/D変換部103(以下、単にA/D103と呼ぶ)、信号処理部104、分離部105、注目領域抽出部106、類似領域抽出部107、類似度算出部108、加算係数算出部109、加算部110、合成部111、圧縮部112、出力部113を備える。これら各部を、論理回路から構成してもよいし、CPU(中央演算処理装置)と、演算プログラムを格納するメモリ等から構成するようにしてもよい。
撮像素子102は、A/D103を介して、信号処理部104へ接続されている。信号処理部104は、分離部105、注目領域抽出部106、類似領域抽出部107へ接続されている。分離部105は、注目領域抽出部106、類似領域抽出部107、合成部111へ接続されている。注目領域抽出部106は、類似領域抽出部107、類似度算出部108、加算部110へ接続されている。類似領域抽出部107は、類似度算出部108、加算部110へ接続されている。類似度算出部108は、加算係数算出部109へ接続されている。
加算係数算出部109は、加算部110へ接続されている。加算部110は、合成部111へ接続されている。合成部111は、圧縮部112へ接続されている。圧縮部112は、出力部113へ接続されている。各処理部は、システムコントローラ100に接続されており、システムコントローラ100により動作を制御される。
撮像素子102は、システムコントローラ100の制御に基づき、光学系101を通して撮像素子102面上に結像した光学像をアナログ画像信号として出力する。アナログ画像信号は、A/D103へ転送される。A/D103は、アナログ画像信号をデジタル信号に変換し、信号処理部104へ転送する。
信号処理部104は、デジタル信号に対し、所定の信号処理、例えばγ補正処理等を施し、モノクロ原画像信号(以下、原画像信号Fと呼ぶ)を生成する。原画像信号Fは、分離部105、注目領域抽出部106、類似領域抽出部107へ転送される。
分離部105は、原画像信号Fを、第1成分Uおよび第2成分Vに分離する。ここで、第1成分Uは、平坦成分(緩やかに変化する成分)とエッジ成分を含む原画像信号の骨格成分(幾何学的画像構造)である。第2成分Vは、骨格成分以外の成分であり、原画像信号に対する第1成分Uの残差成分を表している。
図2(a)は、原画像信号Fのラインプロファイルの一例と、原画像の一例を示す図である。図2(b)は、図2(a)に示す原画像の骨格成分のラインプロファイルの一例と、その画像の一例を示す図である。図2(c)は、図2(a)に示す原画像の骨格成分以外の成分のラインプロファイルの一例と、その成分画像の一例を示す図である。
図2(b)に示すように、骨格成分としての第1成分Uは、原画像信号の大局的な構造を表す成分である。大局的な構造は、原画像信号が有する特徴の概要を表す概要成分であり、エッジ成分と、エッジによって区分された輝度変化の滑らかな領域の平坦成分(緩やかに変化する成分)から構成される。
図2(c)に示すように、骨格成分以外の成分(第2成分V)は、原画像信号の局所的な構造を表す成分である。局所的な構造は、原画像信号が有する特徴の詳細を表す概要成分であり、上記大局的な構造に対して、相対的に微細な詳細構造成分(テクスチャのような細かい構造成分)と、ノイズとから構成される。
再度、念のため、本実施形態に係る第1成分と第2成分を分かりやすく言い換えれば、第1成分Uは、エッジ成分およびエッジ以外の部分から抽出した平坦成分(緩やかに変化する成分)を含む原画像信号の骨格成分(幾何学的画像構造)であり、“原画像信号に含まれる急峻なエッジ、及びエッジによって区分された輝度変化の滑らかな平坦領域”を含み、“原画像信号の大局的な構造を示す成分”、または、“原画像信号よりテクスチャの様な細かな構造成分(以下、テクスチャ成分)を除いた成分”として定義される。第2成分Vは、テクスチャ成分とノイズを含む、原画像信号に対する第1成分Uの残差成分として定義される。
画像分解の手法には、加算型分離と乗算型分離がある。本実施形態においては、加算型分離に関して説明を行い、乗算型分離に関する詳細な説明は省略する。
加算型分離では、次式(1)で示すように、原画像信号Fが第1成分Uと第2成分Vの和として表される。
原画像信号Fの分解では、有界変動関数とノルムを用いた分解方法が使用される。分解を行うために、既知のA2BC変分モデル(Aujol-Aubert-Blanc-Feraud-Chambolle model)を用いる。最適解として求められる第1成分Uの性質は、不連続境界によって区分された複数の“滑らかな輝度変化の小部分領域”から構成された有界変動関数空間BV(Bounded Variation Function Space)としてモデル化される。第1成分Uのエネルギーは全変動エネルギーとして、次式(2)のTV(Total Variation)ノルムJ(U)で定義される。
ただし、式(2)において、xは第1成分Uの横方向の画素位置であり、yは縦方向の画素位置である。
一方、式(1)中の第2成分Vの関数空間は、振動関数空間Gとモデル化される。振動関数空間Gは、振動母関数g1、g2によって式(3)のように表現された関数の空間であり、そのエネルギーは式(4)のGノルム‖V‖Gとして定義される。
原画像信号Fの分解問題は、エネルギー汎関数を最小化する式(5)の変分問題として定式化される。この変分問題は、ChambolleのProjection法によって解くことができる。
原画像信号Fから分解される第2成分Vはノイズの影響を受ける。しかし、第1成分Uはノイズの影響をほとんど受けないため、エッジを鈍らせることなく骨格成分(幾何学的画像構造)が抽出される。
なお、乗算型分離では、原画像信号Fが第1成分Uと第2成分Vの積によって式(6)のように表されるが、原画像信号Fを対数変換した対数原画像信号をfとすると、式(7)のように加算型分離問題に変換することができる。
従って、乗算型分離の場合、原画像信号Fの画素毎に対数変換した信号値に対し、加算型分離と同様の処理を施して成分分離した後、分離成分毎に逆対数変換を行うことにより、式(6)に示す乗算型の分離処理が実現できる。
分離部105で分離された第1成分Uは合成部111へ、第2成分Vは、注目領域抽出部106、類似領域抽出部107へ転送される。
第2成分Vに対するノイズ低減処理は、注目領域抽出部106、類似領域抽出部107、類似度算出部108、加算係数算出部109、加算部110により構成される。これらのユニットにより構成されるノイズ低減処理は、第2成分V上に含まれる全画素に対して同様に適用されるが、ここでは例として、第2成分Vに対する注目画素Pa(i,j)(i,jは、注目画素のX,Y座標値)に対する処理を、図3を参照しながら、具体的に説明する。図3(a)、図3(b)はそれぞれ、第2成分Vおよび原画像信号Fにおける各領域を示している。
注目領域抽出部106は、まず第2成分Vに対して、ノイズ低減対象である注目画素Pa(i,j)を選択すると同時に、注目画素を中心とする所定範囲の注目領域Va(i+t1,j+t2)を抽出する(図3(a)参照)。所定範囲として、例えば縦横3×3画素の領域(t1=−1〜1,t2=−1〜1)が予め設定される。
次に、信号処理部104から取得した原画像信号Fから、注目領域と対応する領域、すなわちVa(i+t1,j+t2)に属する画素群の座標値と、原画像信号Fにおける同じ座標上に位置する画素群により構成される領域Fa(i+t1,j+t2)を抽出する(図3(b)参照)。
注目領域Va(i+t1,j+t2)は加算部110へ、注目領域に対応する原画像上の領域Fa(i+t1,j+t2)は類似度算出部108へ転送される。また注目画素Pa(i,j)の座標値が類似領域抽出部107へ転送される。
類似領域抽出部107は、まず注目領域抽出部106より転送された注目画素Pa(i,j)の座標値に基づき、分離部105から転送された第2成分Vに対して、画素Pc(l,m)を中心とし、注目領域Va(i+t1,j+t2)と同サイズ(縦横3×3画素)の領域Vc(l+t1,m+t2)を抽出する。画素Pc(l,m)は、注目画素Pa(i,j)の周辺の所定の範囲内から抽出される(図3(a)参照)。領域Vc(l+t1,m+t2)は、注目領域Va(i+t1,j+t2)内の注目画素Pa(i,j)のノイズ低減処理を行うために用いる画像領域である。
次に、信号処理部104から取得した原画像信号Fから、領域Vc(l+t1,m+t2)と対応する領域、すなわち領域Vc(l+t1,m+t2)に属する画素群の座標値と、原画像信号Fにおける同じ座標上に位置する画素群により構成される領域Fc(l+t1,m+t2)を抽出する(図3(b)参照)。
画素Pc(l,m)、および領域Vc(l+t1,m+t2)は加算部110へ、領域Vc(l+t1,m+t2)に対応する原画像信号F上の領域Fc(l+t1,m+t2)は、類似度算出部108へ転送される。
ここで、本実施形態においては、画素Pc(l,m)は、注目画素Pa(i,j)を中心とした縦横7×7画素の範囲内から抽出する。この場合、注目画素Pa(i,j)と重なる点を除き、最大N=48通りの異なる画素Pc(l,m) 、領域Vc(l+t1,m+t2)、領域Fc(l+t1,m+t2)が抽出可能である。
以降48通りの画素Pc(l,m)(n) 、領域Vc(l+t1,m+t2)(n)、領域Fc(l+t1,m+t2)(n)に対して、48通りの類似度、及び加算係数の算出を行う。ここで、nは48通りの画素Pc(l,m)、領域Vc(l+t1,m+t2)、領域Fc(l+t1,m+t2)に対する通し番号を表し、n=0〜N−1である。
類似度算出部108は、注目領域抽出部106から取得した領域Fa(i+t1,j+t2)と、類似領域抽出部107から取得した領域Fc(l+t1,m+t2)(n)間の類似度を評価する。類似度を表す評価指標としては、例えば信号値の差分の総和(SAD:Sum of absolute Difference)、信号値の差分の2乗和(SSD:Sum of Squared Difference)、正規化相互相関(ZNCC:Zero-mean Normalized Cross-Correlation)等を用いることができる。ここでは、信号値の差分の2乗和SSDを次式(8)により算出する。
なお、SSD(n)を算出する際、注目画素の座標値と画素(i,j)との距離t1,t2に応じて、例えばガウス分布に従う重みを掛けることで重み付けを行っても良い。その場合、注目画素と距離が近い画素ほど、差分値の類似度算出への寄与が大きくなり、逆に距離が遠いほど、差分値の類似度算出への寄与が小さくなる。
類似度算出部108で算出された類似度は、加算係数算出部109に転送される。
加算係数算出部109は、類似度算出部108から転送されたSSD(n)に基づき、次式(9)から、加算係数Wを算出する。
ここで、σは所定の定数である。式(9)により、SSD(n)が小さく、類似度が高いほど、加算係数W(n)が大きくなる。
加算係数算出部109で算出された加算係数W(n)は、加算部110へ転送される。
以上の類似度算出処理、加算係数算出処理が48通りの画素Pc(l,m)(n)、領域Vc(l+t1,m+t2)(n)、領域Fc(l+t1,m+t2)(n)の全てに対して行われた後、次の重み付け加算処理に移行する。
加算部110は、注目領域抽出部106から転送された注目画素Pa(i,j)の信号値、及び、類似領域抽出部107から転送された画素Pc(l,m)(n)の信号値、および、加算係数算出部109から転送された加算係数W(n)に基づき、式(10)による重み付け加算処理を行うことで、ノイズ低減処理を行う。
式(10)において、Pa(i,j)’は、ノイズ低減後のPa(i,j)を表している。
すなわち、処理対象の注目画素Pa(i,j)に対して、類似度に応じて周辺画素の信号値(画素値)を重み付け加算することにより、注目画素Pa(i,j)のノイズを低減している。このとき、第2成分V上で類似度を判定するのではなく、原画像信号F上で類似度を判定するので、類似度を高精度に判定することができ、ノイズを効果的に低減することができる。
以上により、注目画素Pa(i,j)に対するノイズ低減が行われる。上記処理を第2成分Vに含まれる全ての画素に対して行うことで、ノイズ低減処理を終了する。ノイズ低減後の第2成分Vは、合成部111へ転送される。
合成部111は、分離部105から転送された第1成分Uと、加算部110から転送されたノイズ低減後の第2成分Vとを所定の比率で合成し、合成成分F’を得る。所定の比率は通常1:1の比率であるが、例えば、Vの比率を多くすることにより、細部コントラストの強調などが可能となる。合成成分F’は圧縮部112へ転送され、JPEG形式等に圧縮された後、出力部113へ転送される。出力部113は、合成成分F’を、フラッシュメモリ等で構成される出力部等に記録する。
なお、上述した説明では、式(10)に基づき、注目画素Pa(i,j)、および周辺の各画素Pc(l,m)(n)の重み付け加算を行うものとした。しかし、注目領域Va(i+t1,j+t2)と、領域Vc(l+t1,m+t2)(n)とに基づいて、領域全体に対して重み付け加算処理を行っても良い。この場合、それぞれの領域に含まれ、領域内の相対的位置が同じ画素(t1,t2が同じ画素)間において、重み付け加算処理を行う。
なお、本実施形態において、骨格成分に相当する第1成分Uと、ノイズを含むテクスチャ成分に相当する第2成分Vに分離しているが、これに限定されるものではなく、他の成分に分離するようにしてもよい。例えば、骨格成分に相当する第1成分Uと、原画像信号Fおよび第1成分Uに基づいて算出される第2成分とを含む複数の成分画像に分解してもよい。また、直交変換等による周波数分解を行い、ノイズを含む帯域(周波数成分)をノイズ低減対象とする構成としてもよい。
上述した説明では、ハードウェアによる処理を前提としていたが、このような構成に限定されるものでもない。例えば、撮像素子102からの原画像信号を未処理のままのRawデータとしてメモリカード等の記録媒体に記録する。さらに、撮像条件などの付随情報(例えばISO感度などの撮像条件など)をRawデータのヘッダ情報として記録媒体に記録しておく。そして、別途のソフトウェアである画像処理プログラムをコンピュータに実行させて、記録媒体の情報をコンピュータに読み取らせ、処理することも可能である。
なお、記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)には、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が含まれる。また、撮像部からコンピュータへの各種情報の伝送は、記録媒体を介して行うに限らず、通信回線等を介して行うようにしても構わない。すなわち、画像処理プログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該画像処理プログラムを実行する。
図4は、画像処理プログラムによる処理のメインルーチンを示すフローチャートである。ステップS10では、Raw画像や、露光条件、画像処理条件などのヘッダ情報を読み込むとともに、Raw画像に対して所定の処理を施すことにより、モノクロの原画像信号Fを生成する。
ステップS20では、原画像信号Fに対して成分分離処理を行い、第1成分Uと第2成分Vに分離する。
ステップS30では、第2成分Vにおいて、処理対象である注目画素Pa(i,j)を設定する。
ステップS40では、第2成分V上に位置する注目画素Pa(i,j)を中心とした注目領域Va(i+t1,j+t2)、および注目領域Va(i+t1,j+t2)と同座標上に位置する原画像F上の領域Fa(i+t1,j+t2)を抽出する。
ステップS50では、注目画素Pa(i,j)の周辺に位置する画素Pcの通し番号nの初期値として、n=0を設定する。
ステップS60では、注目画素Pa(i,j)の周辺に位置する画素Pc(l,m)(n)、第2成分V上に位置し、画素Pc(l,m)(n)を中心とした領域Vc(l+t1,m+t2)(n)、領域Vc(l+t1,m+t2)(n)と同座標上に位置する原画像信号F上の領域Fc(l+t1,m+t2)(n)を抽出する。
ステップS70では、原画像信号F上の領域Fa(i+t1,j+t2)と領域Fc(l+t1,m+t2)(n)間の類似度を求めるため、式(8)より、SSD(n)を算出する。
ステップS80では、ステップS70で求めたSSD(n)を用いて、式(9)より、加算係数W(n)を算出する。
ステップS90では、nを1増分する。
ステップS100では、nが予め設定された最大値Nに達したか否かを判定する。上述したように、画素Pc(l,m)を、注目画素Pa(i,j)を中心とした縦横7×7画素の範囲内から抽出する場合には、N=48となる。n<Nの場合には、ステップS60に戻り、nがNと等しくなった場合には、ステップS110に進む。
ステップS110では、注目画素Pa(i,j)の信号値、画素Pc(l,m)(n)の信号値、加算係数W(n)に基づいて、式(10)より、重み付け加算処理を行うことにより、ノイズ低減後の信号値を求める。
ステップS120では、第2成分V上の全画素に対して、ノイズ低減処理が施されたか否かを判定する。未処理の画素が存在する場合には、ステップS130に進み、未処理の画素を、処理対象画素である注目画素に設定して、ステップS40に戻る。一方、第2成分V上の全画素に対して、ノイズ低減処理が施された場合には、ステップS140に進む。
ステップS140では、第1成分Uと、ノイズ低減処理が行われた第2成分Vを合成して、ノイズ低減処理が行われた合成成分を得る。
第1の実施形態における画像処理装置によれば、まず、原画像信号を、複数の成分画像に分離し、分離した複数の成分画像のうち、ノイズを含む成分画像から注目領域を抽出する。また、ノイズを含む成分画像から、任意の画像領域を抽出し、抽出した画像領域に対応する原画像信号上の画像領域、および、注目領域に対応する原画像信号上の画像領域間の類似度を算出する。そして、抽出した画像領域および類似度に基づいて、注目領域のノイズ低減処理を行う。ノイズを含む成分画像上の注目領域および各画像領域間の類似度を、原画像信号上の対応する領域に基づいて算出するので、ノイズの影響を受けることなく、高精度に類似度を算出することができる。これにより、効果的なノイズ低減処理を行うことができる。
特に、第1の実施形態における画像処理装置によれば、ノイズを含む成分画像上の画像領域ごとに、類似度に基づいて、注目領域に対する加算係数を算出し、算出した加算係数に基づいて、ノイズを含む成分画像上の画像領域内の画素値と注目領域内の画素値を重み付け加算することにより、注目領域のノイズ低減を行う。これにより、注目領域と各画像領域間で類似する微細構造を保持することができ、ノイズのみ平滑化することができる。
また、第1の実施形態における画像処理装置によれば、原画像信号を、大局的構造を表すエッジ成分および平坦成分を含む骨格成分である第1成分と、原画像信号に対する第1成分の残差成分であって、テクスチャおよびノイズを含む局所的な微細構造を表す第2成分とに分離する。これにより、各成分に対して、それぞれの特徴に沿った最適な処理を行うことが可能となる。例えば、第1成分に対して階調変換を行い合成することで、ノイズの増幅のない階調変換を実現することができる。また、第2成分に対してノイズ低減処理を行うことで、第1成分に含まれる骨格成分に影響を与えないノイズ低減が可能となる。さらに、第2成分に対して、所定のゲインを乗算して、第1成分と合成することにより、テクスチャ等の微細構造のみ先鋭化することができる。
<第2の実施形態>
図5は、第2の実施形態に係る画像処理装置を撮像装置に適用した場合の構成図である。図1に示す第1の実施形態と同様の構成部分には、同じ符号を付し、詳しい説明は省略する。以下では、第1の実施形態と異なる構成について、主に説明する。なお、第1の実施形態と同様に、本発明はデジタルカメラやデジタルビデオカメラ等(撮像用電子機器)に適用されるものとして説明するが、これに限定されることなく、撮像用電子機器以外の電子機器等にも適用可能である。
図5は、第2の実施形態に係る画像処理装置を撮像装置に適用した場合の構成図である。図1に示す第1の実施形態と同様の構成部分には、同じ符号を付し、詳しい説明は省略する。以下では、第1の実施形態と異なる構成について、主に説明する。なお、第1の実施形態と同様に、本発明はデジタルカメラやデジタルビデオカメラ等(撮像用電子機器)に適用されるものとして説明するが、これに限定されることなく、撮像用電子機器以外の電子機器等にも適用可能である。
第2の実施形態における撮像装置は、システムコントローラ100(制御部)、光学系101、撮像素子401、A/D変換部103、補間部402、輝度信号算出部403、分離部105、注目領域抽出部106、類似領域抽出部107、類似度算出部108、加算係数算出部405、加算部110、ノイズ推定部404、合成部111、信号処理部406、圧縮部112、出力部113を備える。上記各部を、論理回路から構成してよいし、CPU(中央演算処理装置)と、演算プログラムを格納するメモリ等から構成してもよい。
撮像素子401は、A/D103を介して、補間部402へ接続されている。補間部402は、分離部105、輝度信号算出部403へ接続されている。分離部105は、注目領域抽出部106、類似領域抽出部107、ノイズ推定部404、合成部111へ接続されている。
輝度信号算出部403は、注目領域抽出部106、類似領域抽出部107へ接続されている。注目領域抽出部106は、類似領域抽出部107、類似度算出部108、加算部110、ノイズ推定部404へ接続されている。類似領域抽出部107は、類似度算出部108、加算部110へ接続されている。類似度算出部108およびノイズ推定部404は、加算係数算出部405へ接続されている。
加算係数算出部405は、加算部110へ接続されている。加算部110は、合成部111へ接続されている。合成部111は、信号処理部406へ接続されている。信号処理部406は、圧縮部112へ接続されている。圧縮部112は、出力部113へ接続されている。各処理部は、システムコントローラ100に接続しており、システムコントローラ100により動作を制御される。
撮像素子401は、システムコントローラ100の制御に基づき、光学系101を通して撮像素子401面上に結像した光学像をアナログ画像信号として出力する。本実施形態において、撮像素子401は、色フィルタアレイを前面に配置したカラー用撮像素子である。撮像素子401は、単板方式、多板方式のいずれでもよい。
補間部402は、デジタル信号に対し、所定のデモザイク処理を施し、カラー三板画像信号(以下、原画像信号Fと呼ぶ)を生成する。本実施形態において、原画像信号Fは、R(赤)、G(緑)、B(青)の色信号により構成されている。以後、R(赤)、G(緑)、B(青)の色信号をそれぞれFr、Fg、Fbと呼ぶこととする。原画像信号Fr、Fg、Fbは、分離部105および輝度信号算出部403へ転送される。
輝度信号算出部403は、原画像信号Fr、Fg、Fbに基づき、式(11)により輝度信号Yを算出する。なお、式(11)において、CbおよびCrは、色差信号である。
輝度信号算出部403で算出された輝度信号Yは、注目領域抽出部106および類似領域抽出部107へ転送される。
分離部105は、第1の実施形態と同様の方法により、原画像信号Fr、Fg、Fb のそれぞれに対して独立に、第1成分および第2成分に分離する成分分離を行う。ここでは、各色信号別に生成された第1成分をそれぞれUr、Ug、Ub、第2成分をそれぞれVr、Vg、Vbと呼ぶ。生成された第1成分Ur、Ug、Ubは、ノイズ推定部404および合成部111へ転送され、第2成分Vr、Vg、Vbは、注目領域抽出部106および類似領域抽出部107へ転送される。
なお、以下の説明では、各色信号別に生成された第1成分Ur、Ug、Ubを総称して、第1成分Uと呼び、第2成分Vr、Vg、Vbを総称して、第2成分Vとも呼ぶ。
第2成分Vr、Vg、Vbに対するノイズ低減処理は、注目領域抽出部106、類似領域抽出部107、類似度算出部108、ノイズ推定部404、加算係数算出部405、および、加算部110により構成される。これらのユニットにより構成されるノイズ低減処理は、第2成分Vr、Vg、Vbに対して、基本的に独立に適用される。
ただし、第1の実施形態においては、類似度の算出を原画像信号Fに基づき行ったことに対し、本実施形態においては、輝度信号Yに基づき行う点が異なる。ここでは例として第2成分Vgに対する注目画素Pa(i,j)(i,jは、注目画素のx、y座標値)に対する処理を具体的に説明する。
注目領域抽出部106は、第1の実施形態と同様の処理により、まず第2成分Vgに対してノイズ低減対象である注目画素Pa(i,j)を選択すると同時に、注目画素を中心とする所定範囲の注目領域Va(i+t1,j+t2)を抽出する。
次に、第1の実施形態とは異なり、輝度信号算出部403より輝度信号Yを取得し、輝度信号Yから、注目領域と対応する領域、すなわち注目領域Va(i+t1,j+t2)に属する画素群の座標値と、輝度信号Yにおける同じ座標上に位置する画素群により構成される領域Fa(i+t1,j+t2)を抽出する。
注目領域Va(i+t1,j+t2)は加算部110へ転送され、注目領域に対応する輝度信号Y上の領域Fa(i+t1,j+t2)は類似度算出部108へ転送される。また、注目画素Pa(i,j)の座標値が類似領域抽出部107、ノイズ推定部404へ転送される。
類似領域抽出部107は、第1の実施形態と同様の処理により、まず分離部105から転送された第2成分Vgに対して、画素Pc(l,m)を中心とし、注目領域Va(i+t1,j+t2)と同サイズの領域Vc(l+t1,m+t2)を抽出する。
次に、第1の実施形態とは異なり、輝度信号算出部403より輝度信号Yを取得し、輝度信号Yから、領域Vc(l+t1,m+t2)と対応する領域、すなわち領域Vc(l+t1,m+t2)に属する画素群の座標値と、輝度信号Yにおける同じ座標上に位置する画素群により構成される領域Fc(l+t1,m+t2)を抽出する。
画素Pc(l,m)、および領域Vc(l+t1,m+t2)は加算部110へ転送され、領域Vc(l+t1,m+t2)に対応する輝度信号Y上の領域Fc(l+t1,m+t2)は、類似度算出部108へ転送される。
ここで、第1の実施形態と同様に、7×7の範囲内で注目画素と重ならないN=48通りの画素Pc(l,m)(n)、領域Vc(l+t1,m+t2)(n)、領域Fc(l+t1,m+t2)(n)(n=0〜N−1)が抽出されるものとし、これらに対し48通りの類似度、及び加算係数の算出を行う。
類似度算出部108は、注目領域抽出部106から取得した注目領域Fa(i+t1,j+t2)と、類似領域抽出部107から取得した領域Fc(l+t1,m+t2)(n)間の類似度を第1の実施形態と同様に式(8)により算出する。算出した類似度は、加算係数算出部405に転送される。
次に、ノイズ推定部404において、注目画素Pa(i,j)に対して付加されているノイズ量の推定を行う。ノイズ推定部404は、まず、注目領域抽出部106より、注目画素Pa(i,j)の座標値を取得する。ノイズ推定部404には、図6に示すような、信号レベルとノイズ量との関係を定めた信号レベル−ノイズ分散モデル(以降、ノイズモデルと呼ぶ)が予め設定されている。ノイズ推定部404は、分離部105から取得した第1成分Ug上の、注目画素Pa(i,j)と同座標上に位置する画素値の信号レベルに基づいて、ノイズモデルを参照することにより、注目画素Pa(i,j)に対するノイズ量σSDを推定する。ノイズモデル、および、ノイズ推定部404におけるノイズ量の推定方法の詳細は後述する。
推定したノイズ量σSDは、加算係数算出部405へ転送される。加算係数算出部405は、類似度算出部108から転送されたSSD(n)、および、ノイズ推定部404から転送されたノイズ量σSDに基づき、式(12)に従い、加算係数W(n)を算出する。ただし、式(12)において、Cは、所定の定数である。
式(12)により算出される加算係数W(n)は、SSD(n)が小さく、類似度が高いほど、大きい値となり、また、ノイズ量σSDが多いほど、大きい値となる。
加算係数算出部405で算出された加算係数W(n)は、加算部110へ転送される。
上述した類似度算出処理、加算係数算出処理は、48通りの画素Pc(l,m)(n)、領域Vc(l+t1,m+t2)(n)、領域Fc(l+t1,m+t2)(n)の全てに対して行われた後、次の重み付け加算処理に移行する。
加算部110は、第1の実施形態と同様に、注目領域抽出部106から転送された注目画素Pa(i,j)の信号値、および類似領域抽出部107から転送された画素Pc(l,m)(n)の信号値、および加算係数算出部405から転送された加算係数W(n)に基づいて、式(10)による重み付け加算処理を行うことで、ノイズ低減処理を行う。上述したように、ノイズ量σSDが多いほど、加算係数W(n)は大きい値となるので、ノイズ量が多い画素ほど、平滑化の度合いが強くなる。
以上により、第2成分Vg上の注目画素Pa(i,j)に対するノイズ低減が行われる。上記処理を色信号毎の第2成分Vr、Vg、Vbに含まれる全ての画素に対して行うことでノイズ低減処理を終了する。ノイズ低減後の第2成分Vr’、Vg’、Vb’は、合成部111へ転送される。
なお、各色信号それぞれ共通に、輝度信号に基づいて類似度SSDを算出するため、各色信号の類似度SSDに差は出ず、同じ値が算出される。そのため、重み付け加算処理において、同座標上に位置する領域は、色信号によらず同一の重みが掛けられるため、色ずれを抑制することが可能となる。
また、本実施形態においては、色信号毎に独立に処理する例を説明するため、色信号毎に類似度SSDを算出するものとした。しかし、第2成分Vr、Vg、Vb上の同座標上に位置する各注目画素Pra(i,j)、Pga(i,j)、Pba(i,j)に対して、共通の類似度(SSD)を1回だけ算出する構成とすることにより、処理を高速化することが可能となる。
合成部111は、分離部105から転送された第1成分Ur、Ug、Ubと、加算部110から転送されたノイズ低減後の第2成分Vr’、Vg’、Vb’とを所定の比率で合成し、合成成分F’を得る。所定の比率は通常1:1の比率であるが、例えば、第2成分の比率を多くすることにより、細部コントラストの強調などが可能となる。合成成分F’は、信号処理部406へ転送される。
合成成分F’は、信号処理部406において所定の信号処理、例えばγ補正処理等を施された後、圧縮部112へ転送される。圧縮部112は、所定の信号処理が施された合成成分F’をJPEG形式等に圧縮した後、出力部113へ転送する。出力部113は、圧縮部112で圧縮されたデータを、フラッシュメモリ等で構成される出力部等に記録する。
次に、図6を参照して、ノイズ推定部404におけるノイズ量の推定方法について説明する。ノイズ量の推定において、原画像信号Fに対し、あらかじめ実測に基づき測定されたノイズモデルを記録しておき、ノイズモデルを参照することで、原画像信号Fの信号値に対するノイズ量σSDを推定することが可能である。
ところで、原画像信号Fに対し成分分離処理を行い、第1成分U、第2成分Vに分離した際、大部分のノイズは第2成分Vに含まれるため、第2成分Vの所定の画素に付加されるノイズ量は、原画像信号F上の同座標上に位置する画素に含まれるノイズ量と、ほぼ等しいと考えられる。すなわち、原画像信号Fに対するノイズモデルを近似的に第2成分Vに対するノイズモデルとして用いることが可能である。
原画像信号Fに対するノイズモデルにおいて、ノイズ量σSDは、A/D103による変換直後の信号レベルに対して、2次曲線的に増加する。特開2005−175718号公報に開示されているように、信号レベル−ノイズ分散モデルを2次関数で表すと、式(13)のように近似できる。
式(13)において、α、β、γは定数項であり、LはA/D103での変換直後の信号レベルを表す。しかしながら、ノイズ量σSDは信号レベルだけではなく、素子の温度やゲインによっても変化する。図6では、一例として、ある温度tにおけるゲインに関連する3種類のISO感度(ゲイン)100、200、400に対するノイズ量σSDをプロットしている。個々の曲線は、式(13)に示される形態をしているが、その係数はゲインに関連するISO感度により異なる。温度をt、ゲインをgとし、上記を考慮した形でノイズモデルの定式化を行うと式(14)で表すことができる。式(14)において、αgt、βgt、γgtは、温度t、ゲインgに応じて決まる定数項である。
カラー映像信号の場合、このノイズモデルは、各色信号に対して独立に適用する。
上述のノイズモデルを、第2成分Vの注目画素Pa(i,j)に対するノイズ量の推定に用いる場合、信号レベルLとして、第2成分V上の注目画素Pa(i,j)と同座標上に位置する(分離部105より取得した)第1成分U上の画素の信号レベルを用いる。これにより、ノイズの影響を抑えた高精度なノイズ量の推定が可能となる。
上述した説明では、ハードウェアによる処理を前提としていたが、このような構成に限定されるものでもない。例えば、撮像素子102からの原画像信号を未処理のままのRawデータとしてメモリカード等の記録媒体に記録する。さらに、撮像条件などの付随情報(例えばISO感度などの撮像条件など)をRawデータのヘッダ情報として記録媒体に記録しておく。そして、別途のソフトウェアである画像処理プログラムをコンピュータに実行させて、記録媒体の情報をコンピュータに読み取らせ、処理することも可能である。
なお、記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)には、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が含まれる。また、撮像部からコンピュータへの各種情報の伝送は、記録媒体を介して行うに限らず、通信回線等を介して行うようにしても構わない。すなわち、画像処理プログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該画像処理プログラムを実行する。
図7は、第2の実施形態において、画像処理プログラムによる処理のメインルーチンを示すフローチャートである。なお、図4に示すフローチャートの処理と同一の処理を行うステップについては、同一のステップ番号を付して、詳しい説明は省略する。
ステップS700では、Raw画像や、露光条件、画像処理条件などのヘッダ情報を読み込むとともに、Raw画像に対して、デモザイク処理等の所定の処理を施すことにより、カラー原画像信号Fを生成する。
ステップS710では、カラー原画像信号Fに基づいて、輝度信号Yを生成する。
ステップS30に続くステップS40Aでは、第2成分V上に位置する注目画素Pa(i,j)を中心とした注目領域Va(i+t1,j+t2)、および、注目領域Va(i+t1,j+t2)と同座標上に位置する輝度信号Y上の領域Fa(i+t1,j+t2)を抽出する。
ステップS50に続くステップS60Aでは、注目画素Pa(i,j)の周辺に位置する画素Pc(l,m)(n)、第2成分V上に位置し、画素Pc(l,m)(n)を中心とした領域Vc(l+t1,m+t2)(n)、輝度信号Y上において、領域Vc(l+t1,m+t2)(n)と同座標上に位置する領域Fc(l+t1,m+t2)(n)を抽出する。
ステップS70に続くステップS720では、注目画素Pa(i,j)に対するノイズ量を推定する。
ステップS720に続くステップS80Aでは、式(12)に基づいて、加算係数W(n)を算出する。
ステップS90以後の処理は、図4に示すフローチャートの処理と同じである。
第2の実施形態における画像処理装置によれば、注目領域内の画素に対するノイズ量を推定し、推定したノイズ量および画像領域間の類似度に基づいて、ノイズ低減処理で用いる加算係数を算出するので、平滑化の程度をノイズ量に応じて適切に制御することができる。
また、第2の実施形態における画像処理装置によれば、原画像信号は、複数の色成分を含んでおり、原画像信号の色成分ごとに、成分分離処理、注目領域抽出処理、画像領域抽出処理、類似度算出処理、および、ノイズ低減処理を順次適用する。特に、原画像信号から輝度信号を算出する輝度信号算出部403を備え、類似度算出部108は、ノイズを含む成分画像から抽出された画像領域ごとに対応する輝度信号の画像領域、および、注目領域に対応する輝度信号の画像領域間の類似度を算出する。これにより、色成分間で同座標上に位置する画像領域に対して同一の類似度が算出されることになり、ノイズ低減による色成分間の色ずれが抑えられる。
さらに、複数の色成分に共通の類似度として、複数の色成分のうちのいずれか一つの色成分に対して類似度を算出することにより、色成分ごとに類似度を算出する必要がなくなり、処理を高速化することができる。
本発明は、上述した第1〜第2の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、第1の実施形態では、式(9)により、加算係数W(n)を算出したが、第2の実施形態と同様に、式(12)から、加算係数W(n)を算出してもよい。
100…システムコントローラ
101…光学系
102、401…撮像素子
103…A/D変換部
104、406…信号処理部
105…分離部
106…注目領域抽出部
107…類似領域抽出部
108…類似度算出部
109、405…加算係数算出部
110…加算部
111…合成部
112…圧縮部
113…出力部
402…補間部
403…輝度信号算出部
404…ノイズ推定部
101…光学系
102、401…撮像素子
103…A/D変換部
104、406…信号処理部
105…分離部
106…注目領域抽出部
107…類似領域抽出部
108…類似度算出部
109、405…加算係数算出部
110…加算部
111…合成部
112…圧縮部
113…出力部
402…補間部
403…輝度信号算出部
404…ノイズ推定部
Claims (14)
- 原画像信号を、複数の成分画像に分離する成分分離部と、
前記複数の成分画像のうち、ノイズを含む成分画像から注目領域を抽出する注目領域抽出部と、
前記ノイズを含む成分画像から、前記注目領域のノイズ低減処理を行うために用いる画像領域を抽出する画像領域抽出部と、
前記抽出された画像領域に対応する前記原画像信号の画像領域、および、前記注目領域に対応する前記原画像信号の画像領域間の類似度を算出する類似度算出部と、
前記抽出された画像領域および前記類似度に基づいて、前記注目領域のノイズ低減処理を行うノイズ低減部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。 - 前記ノイズ低減部は、
前記抽出された画像領域ごとに、前記類似度に基づいて、前記注目領域に対する加算係数を算出する加算係数算出部と、
前記加算係数に基づいて、前記抽出された画像領域内の画素値と前記注目領域内の画素値を重み付け加算することにより、前記注目領域のノイズ低減処理を行う加算部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記注目領域内の画素に対するノイズ量を推定するノイズ推定部をさらに備え、
前記加算係数算出部は、前記類似度および前記ノイズ量に基づいて、前記加算係数を算出することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。 - 前記ノイズ推定部は、前記成分分離部で分離された複数の成分画像のうち、前記ノイズを含む成分画像以外の成分画像上の画素であって、前記注目領域内の画素に対応する画素の信号レベルに基づいて、前記注目領域内の画素に対するノイズ量を推定することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
- ノイズ低減処理が行われたノイズを含む成分画像と、前記成分分離部によって分離されたその他の成分画像とを合成する合成部をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
- 前記合成部は、前記ノイズ低減処理が行われたノイズを含む成分画像と、前記成分分離部によって分離されたその他の成分画像とを所定の比率で合成することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
- 前記成分分離部は、前記原画像信号を、大局的構造を表すエッジ成分および平坦成分を含む骨格成分である第1成分と、前記原画像信号および前記第1成分に基づいて算出される第2成分とを含む複数の成分画像に分離することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
- 前記成分分離部は、前記原画像信号を、前記第1成分と、前記原画像信号に対する前記第1成分の残差成分であって、テクスチャおよびノイズを含む局所的な微細構造を表す第2成分とに分離することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
- 前記原画像信号は、複数の色成分を含み、
前記原画像信号の色成分ごとに、前記成分分離部、前記注目領域抽出部、前記画像領域抽出部、前記類似度算出部、および、前記ノイズ低減部を順次適用することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の画像処理装置。 - 前記原画像信号から輝度信号を抽出する輝度信号抽出部をさらに備え、
前記類似度算出部は、前記抽出された画像領域に対応する前記輝度信号の画像領域、および、前記注目領域に対応する前記輝度信号の画像領域間の類似度を算出することを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。 - 前記類似度算出部は、前記複数の色成分に共通の類似度として、前記複数の色成分のうちのいずれか一つの色成分に対して、前記類似度を算出することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の画像処理装置。
- 請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の画像処理装置を備えることを特徴とする電子機器。
- 原画像信号を、複数の成分画像に分離するステップと、
前記複数の成分画像のうち、ノイズを含む成分画像から注目領域を抽出するステップと、
前記ノイズを含む成分画像から、前記注目領域のノイズ低減処理を行うために用いる画像領域を抽出するステップと、
前記抽出された画像領域に対応する前記原画像信号の画像領域、および、前記注目領域に対応する前記原画像信号の画像領域間の類似度を算出するステップと、
前記抽出された画像領域および前記類似度に基づいて、前記注目領域のノイズ低減処理を行うステップと、
を備えることを特徴とする画像処理方法。 - 原画像信号を、複数の成分画像に分離するステップと、
前記複数の成分画像のうち、ノイズを含む成分画像から注目領域を抽出するステップと、
前記ノイズを含む成分画像から、前記注目領域のノイズ低減処理を行うために用いる画像領域を抽出するステップと、
前記抽出された画像領域に対応する前記原画像信号の画像領域、および、前記注目領域に対応する前記原画像信号の画像領域間の類似度を算出するステップと、
前記抽出された画像領域および前記類似度に基づいて、前記注目領域のノイズ低減処理を行うステップと、
をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
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JP2006023959A (ja) * | 2004-07-07 | 2006-01-26 | Olympus Corp | 信号処理システム及び信号処理プログラム |
JP2008172431A (ja) * | 2007-01-10 | 2008-07-24 | Univ Kanagawa | 画像処理装置および撮像装置 |
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