JP2010145778A - 液晶表示装置用カラーフィルター基板の製造方法および液晶表示装置用カラーフィルター基板 - Google Patents

液晶表示装置用カラーフィルター基板の製造方法および液晶表示装置用カラーフィルター基板 Download PDF

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Abstract

【課題】低露光量でパターン加工が可能であり、生産性の向上したカラーフィルター基板の製造方法を提供する。
【解決手段】基板に黒色感光性樹脂組成物を塗布・乾燥し、次いで露光、現像、加熱硬化する工程を含む液晶表示装置用カラーフィルター基板の製造方法において、該黒色感光性樹脂組成物がチタン窒化物粒子を含有し、かつ露光光源からの光が波長380nmから440nmのレーザー光であって、露光光源からの光を2次元光変調デバイスで変調して露光することを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルター基板の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、フォトマスクを使うことなく、安価で高い生産性を有する液晶表示装置用カラーフィルターのブラックマトリックスの製造方法に関するものである。
現在、液晶表示装置は軽量、薄型、低消費電力等の特性を生かし、液晶テレビ、ノートPC、携帯情報端末、携帯電話、デスクトップモニタ、デジタルカメラなど様々な用途で使用されている。
液晶表示装置に使用するカラーフィルターは、基板上に感光性樹脂を形成後に、露光、現像、加熱硬化させる工程からなるフォトリソ法が主に用いられている。露光工程では、フォトマスクを通して紫外光を照射して、フォトマスクパターンを転写する方法が主に用いられている。
カラーフィルターを作製するには、ブラックマトリックス用および画素形成用フォトマスクを準備する必要がある。フォトマスクは露光における紫外光の透過率が高いことや、寸法安定性が高いことが求められるので、3〜13mm厚みの石英ガラスが主に用いられる。石英ガラスは高価であるで、フォトマスクがカラーフィルターのコスト上昇の原因になっている。さらに、フォトマスクは作製に時間を要することから、フォトマスク設計からフォトマスクが完成するまではカラーフィルターの製造ができずに、カラーフィルター製造までに時間がかかる問題がある。
フォトマスクを使わずにカラーフィルター基板を安価に製造するために、レーザーによる直接描画が考案されている(特許文献1参照)。この方法によれば、フォトレジスト膜にレーザー光を直接照射することでパターンを描画するので、フォトマスクを使用することなくパターン加工が可能である。しかし、レーザー光をポリゴンミラーによる走査方式で走査するため、単一の光源から発振されたレーザーを光学系によって絞って露光する必要がある。この場合は、レーザー光をより小さく絞れば、レーザー照射場所の照度は上がるが、レーザーでの描画時間が長くなり。生産性が低下する。レーザー光の絞りを大きくすると、生産性は向上するが、解像度が低下したり、照度が上がらない問題がある。また、ポリゴン走査方式では、画面中心部と画面端部でポリゴンミラーとカラーフィルター基板までの光路長に差があり、とくに画面端部で加工精度が悪化するといった課題が生じる。
さらに、レーザー光源は波長488nmのアルゴンレーザーであり、波長が長いので、単一レーザー光を小さく絞ることが難しい課題があった。
レーザー光を光源とする露光方法では、レーザー光をデジタル・マイクロミラー・デバイス等の光変調素子で変調後に、光学系を通して結像露光する方法が考案されている(特許文献2)。この方法によれば、光学系によってレーザー光は絞られて露光されるので、解像度が向上することが可能である。
しかしながら、レーザー光を光変調素子で露光する場合は、プロキシミティ露光のように一括で大面積を露光することが難しく、露光時間が長くなるという課題が生じる。
光変調素子で露光する方法では、バインダー、重合性化合物、着色剤、及び光重合開始剤を含む感光層を不活性ガス雰囲気下で露光する方法が考案されている(特許文献3)
この方法によれば、露光雰囲気に存在する酸素によって、光重合反応を阻害されないので高精細のパターン加工が可能である。しかしながら、感光層に着色剤を含むので着色剤によって露光光が遮光されて感度が上がらないために、露光量を増やす必要があり生産性が上がらない課題があった。また、露光雰囲気から酸素を排除しなければならず、装置コストが上がる課題があった。
露光の感度を上げる方法として、着色剤として用いられる顔料の粒子径が小さいものを使う方法が提案されている。(特許文献4)、この方法によれば、顔料の数平均粒子径が大きくとも100nm以下であり、顔料の固形分中の含有量が少なくとも30質量%であることを特徴とした方法である。しかしながら、顔料の平均粒形が小さくなると、黒色感光性樹脂の単位膜厚あたりの遮光性が向上して好ましいものの、黒色感光性樹脂の遮光性が上がると、露光光が膜中まで十分到達しなくなり、十分な感度が上がらない問題があった。
特開平9−318809号公報 特開2004−1244号公報 特開2006−18242号公報 特開2007−41239号公報
直接描画法で黒色感光性樹脂を露光しようとすると、黒色着色材によって遮光されるので、露光時間が長くかかってしまうという問題があった。特にネガ型感光性樹脂では露光量が不十分であると、パターンが欠落する問題があり、露光量を増加させるとパターン加工が可能であるが、露光時間が長くなり、生産性が低下するという問題があった。そこで本発明は、低露光量でパターン加工が可能であり、生産性の向上したカラーフィルター基板の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、ブラックマトリックスの製造において、特定のチタン窒化物粒子を含む黒色感光性樹脂を380〜440nm光で露光することにより、低露光量パターン加工でき、かつ遮光性の高い液晶表示装置用カラーフィルターブラックマトリックスを製造することができることを見出した。すなわち、本発明は以下の方法によって達成される。
(1)基板に黒色感光性樹脂層を塗布・乾燥し、露光、現像、加熱硬化する工程を含む液晶表示装置用カラーフィルターのブラックマトリックスの製造において、該黒色感光性樹脂がチタン窒化物粒子を含む黒色顔料分散樹脂であり露光光源からの光が波長380nmから440nmのレーザー光であり、かつ露光光源からの光を2次元光変調デバイスで変調して露光することを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法。
(2)前記チタン窒化物が、CuKα線をX線源とした場合の前記チタン窒化物粒子の(200)面に由来するピークの回折角2θが42.5°以上43.1°以下である黒色顔料である(1)に記載の液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法。
(3)前記チタン窒化物のCuKα線をX線源とした場合の(200)面に由来するピークの半値幅より求めた結晶子サイズが16nm以上、60nm以下である(1)または(2)記載の液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法。

(4)黒色感光性樹脂がバインダーポリマー、光架橋性モノマー、光重合開始材を含むネガ型ブラックマトリックスである(1)に記載の液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法。
(5)ブラックマトリックスの光学濃度が1μmあたり4.0以上である(1)から(4)のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター基板
本発明は上述のごとく黒色感光性樹脂の顔料に特定の窒化チタン使用することで、露光波長に対する光透過率が高いので、高遮光性のブラックマトリックスでも露光感度が向上して、少ない露光量でパターン加工することが可能になるので、生産性が向上する。
また、フォトマスク作製にかかる費用と時間が短縮でき、少量多品種の液晶カラーフィルターの低コスト製造に有用である。さらに、フォトマスクを使用しないので、マスクの切り替え作業がなくなることや、フォトマスクに付着した異物が露光されて、基板上で欠点になることもなくなることも生産性向上に寄与する。
本発明の実施形態では、特定の窒化チタンを黒色顔料として使用することで、高遮光性のブラックマトリックスを少ない露光量で効率よく生産することができる。
本発明で遮光材として使用されるチタン窒化物粒子とは、主成分として窒化チタンを含み、通常、副成分として酸化チタンTiO2、TinO2n−1(1≦n≦20)で表せる低次酸化チタン及びTiNxOy(0<x<2.0,0.1<y<2.0)で表せる酸窒化チタンを含有するものである。該チタン窒化物粒子はCuKα線をX線源とした場合の(200)面に由来するピークの回折角2θが42.5°以上43.1°以下であることを特徴としており、このチタン窒化物粒子を遮光材として用いることにより、本発明の樹脂ブラックマトリックスは、黒色感光性樹脂組成中の遮光材濃度を低く保ったまま、高いOD値を達成することが可能となる。その結果、本発明の樹脂ブラックマトリックスは、高密着性を確保することができる。また、本発明の樹脂ブラックマトリックスは、膜厚当たりのOD値が高いため、実用的なOD値(4.0)で膜厚は1.0μm以下となる。その結果、樹脂ブラックマトリックスを用いた場合でも、保護膜無しで平坦性に実用上の問題のないカラーフィルターを得ることができるようになった。
チタン化合物のX線回折スペクトルはCuKα線をX線源とした場合、最も強度の強いピークとしてTiNは(200)面に由来するピークが2θ=42.5°近傍に、TiOは(200)面に由来するピークが2θ=43.4°近傍にみられる。一方、最も強度の強いピークではないがアナターゼ型TiO2は(200)面に由来するピークは2θ=48.1°近傍に、ルチル型TiO2は(200)面に由来するピークは2θ=39.2°近傍に観測される。よって、窒素原子及び酸素原子を有する結晶構造をとるチタン化合物は回折角2θが42.5°から43.4°の範囲において最も強度の強いピークがみられ、酸素原子を多く含有する結晶状態であるほどピーク位置は42.5°に対して高角度側にシフトする。
本発明の効果を発現するためには、前記チタン窒化物粒子の(200)面に由来するピークの回折角2θが42.5°以上43.1°以下であることが好ましく、更には42.5°以上42.8°未満であることが好ましい。また、副成分として酸化チタンTiO2を含有する場合、最も強度の強いピークとしてアナターゼ型TiO2(101)に由来するピークが2θ=25.3°近傍に、ルチル型TiO2(110)に由来するピークが2θ=27.4°近傍に見られる。しかし、TiO2は白色でありブラックマトリックスの遮光性を低下させる要因となるため、ピークとして観察されない程度に低減されていることが好ましい。
X線回折ピークの半値幅よりチタン窒化物粒子を構成する結晶子サイズを求めることができ、下式(1)、(2)に示すシェラーの式を用いて算出される。
Figure 2010145778
Figure 2010145778
ここで、K=0.9、λ(0.15418 nm)、βe:回折ピークの半値幅、βo:半値幅の補正値(0.12°)である。但し、β、βe及びβoはラジアンで計算される。
本発明で用いられるチタン窒化物粒子は主成分としてTiNを含み、通常、その合成時における酸素の混入や、特に粒子径が小さい場合に顕著となるが、粒子表面の酸化などにより、一部酸素原子を含有している。含有する酸素量が少ない方がより高いOD値が得られるため好ましく、とりわけ副成分としてTiO2を含有しないことが好ましい。その酸素原子の含有量としては12重量%以下であり、8重量%以下であることがより好ましい。
チタン原子の含有量はICP発光分光分析法により分析し、窒素原子の含有量は不活性ガス融解−熱伝導度法により分析し、酸素原子の含有量は不活性ガス融解−赤外線吸収法により分析することができる。
本発明の効果を顕著なものとするためには、結晶子サイズとしては16nm以上で60nm以下であることが必要である。結晶子サイズが16nm以上で60nm以下のチタン窒化物粒子を用いてブラックマトリックスを形成することにより、塗膜の透過光はそのピーク波長が380nmから440nmにあり、透過光色が青色から青紫色を呈し、高い遮光性を有するブラックマトリックスを得ることができるので好ましい。また、従来の遮光材よりも露光するレーザー波長である405nmの透過率が高くなるため、黒色感光性樹脂組成物とした際にも、光照射による膜硬化が十分進み、高ODかつ形状の良好なブラックマトリックスを形成することが可能となる。
本発明におけるチタン窒化物粒子の比表面積はBET法により求めることができ、その値としては5m/g以上100m/g以下が好ましく、更には10m/g以上60m/g以下が好ましい。また、BET法により求めた比表面積より、粒子が完全な球体であり粒子径が均一であると仮定した場合の粒子径を下式(3)により求めることができる。
平均粒径(nm) = 6/(S×d×1000) (3)
ここで、S;比表面積(m/g)、d;密度 (g/cm3)であり、窒化チタンの場合d=5.24(g/cm3)、酸窒化チタンの場合d=4.3(g/cm3)となる。
比表面積が小さい、つまり粒子径が大きい場合、粒子を微細に分散することが困難であり、保管時に粒子が沈降したり、樹脂ブラックマトリックスとした際の平坦性が低下したりガラスとの密着性が低下するといった問題が生じる。一方、比表面積が大きい、つまり粒子径が小さいと分散時に粒子が再凝集し易いため分散安定性が悪くなる傾向があったり、樹脂ブラックマトリックスとした際に遮光材としての十分な隠蔽性が得られずにOD値が低下するといった問題が生じるため好ましくない。
窒化チタンの合成には一般的に気相反応法が用いられ、電気炉法や熱プラズマ法等が挙げられるが、不純物の混入が少なく、粒子径が揃いやすく、また生産性も高い熱プラズマ法による合成が好ましい。熱プラズマを発生させる方法としては、直流アーク放電、多層アーク放電、高周波(RF)プラズマ、ハイブリッドプラズマ等が挙げられ、電極からの不純物の混入が少ない高周波プラズマがより好ましい。熱プラズマ法による窒化チタン微粒子の具体的な製造方法としては、プラズマ炎中で四塩化チタンとアンモニアガスを反応させる方法(特開平2−22110号公報)や、チタン粉末を高周波熱プラズマにより蒸発させ窒素をキャリアーガスとして導入し冷却過程にて窒化させ合成する方法(特開昭61−11140号公報)や、プラズマの周縁部にアンモニアガスを吹き込む方法(特開昭63−85007号)等が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、所望とする物性を有するチタン窒化物粒子にできれば製造方法は問わない。なお、チタン窒化物粒子は種々のものが市販されており、本発明で規定される上記回折角及び上記酸素原子量、さらには、上記した好ましい結晶子サイズ及び比表面積を満足するものも複数市販されている。本発明において、それらの市販品を好ましく用いることができる。
本発明において、黒色被膜の色度調整のために、他の顔料を20重量%以下添加することもできる。他の顔料の添加が20%を超えると波長380nmから440nmの塗膜の透過率自体が低下するために光照射による膜硬化が不十分になり、感度低下や現像後の剥がれが発生するので好ましくない。
他の顔料を一部添加してもブラックマトリックスの透過光の波長のピークが380nmから440nmの範囲であれば、光照射による膜硬化が進行して、感度向上や現像後の剥がれが発生しないので好ましい。
チタン窒化物の一部を他の顔料に変える場合にも用いるチタン窒化物以外の顔料としては、黒色有機顔料、混色有機顔料、および無機顔料等から用いることができる。黒色有機顔料としては、カーボンブラック、樹脂被覆カーボンブラック、ペリレンブラック、アニリンブラック等が、混色有機顔料としては、赤、青、緑、紫、黄色、マゼンダ、シアン等から選ばれる少なくとも2種類以上の顔料を混合して疑似黒色化されたものが、無機顔料としては、グラファイト、およびチタン、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属微粒子、金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属窒化物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。なかでも、カーボンブラックを使用すれば、黒色被膜のOD値の低下を最小限に抑えられるとともに、黒色被膜の抵抗値、色度などを調整することができる。すなわち、チタン窒化物粒子は高抵抗体であるのに対して、カーボンブラックは低抵抗であるため、両者の混合比率により黒色被膜の抵抗値をコントロールできることになる。また、カーボンブラックとして、表面処理されたものを使用すれば、さらに黒色被膜の抵抗値コントロールの幅が広がることになる。
黒色感光性樹脂としては、ネガ型感光性樹脂とポジ型感光性樹脂の両方があり、主な成分としてはバインダー樹脂、感光成分、着色顔料、溶剤からなる。本発明では、両方のタイプの感光性樹脂を使用することができる。
ここで、ネガ型感光性レジストとポジ型感光性レジストの現像特性の違いについて述べる。ネガ型感光性レジストでは、露光された領域は光架橋反応が進行し、現像液に不溶となる一方、未露光部分は、現像液に溶解するので十分な露光量を照射することでパターンを形成することが出来る。ネガ型感光性樹脂のバインダーポリマーはアクリル系ポリマーが好ましく用いられる。
一方、ポジ型感光性レジストでは露光により光照射部分は化学反応で酸が発生し、露光部分の現像液に対する溶解性が上がることでパターン形成することができる。感光性ポジレジスト材料として、アルカリ可溶性ノボラック樹脂にナフトキノンジアジド化合物を含む感光成分を含有させた構成を有するのが一般的である。
ネガ型感光性樹脂に好ましく用いられるアクリル系ポリマーとしては、カルボキシル基を有するアクリル系ポリマーが好ましく用いられる。カルボキシル基を有するアクリル系ポリマーとしては、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物の共重合体を好ましく用いることができる。不飽和カルボン酸の例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸などがあげられる。
これらは単独で用いても良いが、他の共重合可能なエチレン性不飽和化合物と組み合わせて用いても良い。共重合可能なエチレン性不飽和化合物としては、具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸イソ−ブチル、メタクリル酸イソ−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ペンチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アミノエチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、1,3−ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族共役ジエン、それぞれ末端にアクリロイル基、あるいはメタクリロイル基を有するポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレートなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。とくにメタクリル酸およびまたはアクリル酸とメタクリル酸メチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレンから選ばれた2〜4元共重合体で平均分子量Mw2千〜10万、酸価70〜150(mgKOH/g)のポリマーがアルカリ現像液に対する溶解性の観点から好ましい。この範囲をはずれると、アルカリ現像液に対する溶解速度が低下または速くなりすぎ好ましくない。
また、側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマーを用いると、露光、現像の際の感度がよくなるので好ましく用いることができる。エチレン性不飽和基としては、アクリル基、メタクリル基が好ましい。このようなアクリル系ポリマーは、カルボキシル基を有するアクリル系(共)重合体のカルボキシル基に、グリシジル基あるいは脂環式エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物を付加反応させ得ることができる。
側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマーの具体例としては、特許第3120476号公報、特開平8−262221号公報に記載されている共重合体、あるいは市販のアクリル系ポリマーである光硬化性樹脂「サイクロマー(登録商標)P」(ダイセル化学工業(株))、アルカリ可溶性カルド樹脂などが挙げられる。とくに、側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマーで平均分子量(Mw)2千〜10万(テトラヒドロフランをキャリヤーとしてゲルパーミェーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレンによる検量線を用いて換算したもの)、酸価70〜150(mgKOH/g)のポリマーが感光特性、エステル系溶媒に対する溶解性、アルカリ現像液に対する溶解性の各観点から最も好ましい。
モノマーとしては、多官能、単官能のアクリル系モノマーあるいはオリゴマーを用いることができる。多官能モノマーとしては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレートカルバメート、変性ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、アジピン酸1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリル酸エステル、無水フタル酸プロピレンオキサイド(メタ)アクリル酸エステル、トリメリット酸ジエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ロジン変性エポキシジ(メタ)アクリレート、アルキッド変性(メタ)アクリレート、特許第3621533号公報や特開平8−278630号公報に記載されているようなフルオレンジアクリレート系オリゴマー、あるいはトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]エーテル、4,4′−ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]シクロヘキサン、9,9−ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−メチル−4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−クロロ−4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジメタアクリレート、ビスクレゾールフルオレンジアクリレート、ビスクレゾールフルオレンジメタアクリレートなどがあげられる。これらは単独または混合して用いることができる。
これらの多官能モノマーやオリゴマーの選択と組み合わせにより、レジストの感度や加工性の特性をコントロールすることが可能である。とくに感度を上げるためには、官能基が3以上、より好ましくは5以上ある化合物の使用が望ましく、とくにジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。樹脂BMのように光架橋に有効な紫外線を吸収する顔料を使用する場合には、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートに加え、分子中に芳香環を多く含み撥水性が高いフルオレン環を有する(メタ)アクリレートの併用が現像時にパターンを望ましい形状にコントロールできるのでより好ましい。ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよび/またはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート10〜60重量部とフルオレン環を有する(メタ)アクリレート90〜40重量部の混合物をモノマーとして用いることが好ましい。
光重合開始剤としては、特に限定はなく、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、オキサントン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、オキシムエステル化合物、カルバゾール系化合物、トリアジン系化合物、リン系化合物あるいはチタネート等の無機系光重合開始剤など公知のものが使用できる。例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン、チバ・スペシャルティ・ケミカル(株)“イルガキュア(登録商標)”369である2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、チバ・スペシャルティ・ケミカル(株)CGI−113である2−[4−メチルベンジル]−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、チバ・スペシャルティ・ケミカル(株)“イルガキュア(登録商標)”OXE01である1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、チバ・スペシャルティ・ケミカル(株)CGI−242であるエタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、4−(p−メトキシフェニル)−2,6−ジ−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、旭電化工業(株)製のカルバゾール系化合物である“アデカ(登録商標)オプトマー”N−1818、N−1919などがあげられる。これらの光重合開始剤の中でも特に波長405nmを中心として、波長380nmから440nmの光の吸収率が高いものを使用すると露光感度が向上して、パターン形状が良好な特性を有する感光性樹脂組成物が得られるので好ましい。
ポジ型感光性樹脂に好ましくもちいられるアルカリ可溶性ノボラック樹脂としては、フェノール類とアルデヒド類を反応させて得られるノボラック樹脂があげられる。
フェノール類としては、たとえばフェノール;m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール等のクレゾール類などが好適に用いられる。
アルデヒド類としては、たとえばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、トリメチルアセトアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、などが好適に用いられる。
ナフトキノンジアジド基を含む感光成分として、たとえば2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸化合物とのエステル化物等が挙げられる。
本発明に用いるポジレジスト溶媒としては、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、メチル―3―メトキシプロピオネートなどのエステル類が好適に用いられる。
ガラス板、シリコンウエハーなどの無機系基板との接着性を向上させる目的で密着性改良剤を加えることができる。密着性改良剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤を使用することができる。密着性改良剤の添加量は、アクリル樹脂の重量を基準として0.2〜20重量%程度である。
また、本発明の黒色感光性樹脂組成物において、遮光材の分散安定性を向上させる目的で高分子分散剤を加えることができる。
本発明の黒色感光性樹脂組成物において、遮光材/樹脂成分の重量組成比は、75/25〜40/60の範囲であることが、高抵抗かつ高OD値の黒色被膜を得るために好ましい。また、遮光材/樹脂成分の重量組成比が75/25〜60/40の範囲であることが、密着性、パターン加工性およびOD値のバランスの点でより好ましい。ここで、樹脂成分とは、ポリマー、モノマーあるいはオリゴマーと高分子分散剤の合計とする。樹脂成分の量が少なすぎると、黒色被膜の基板との密着性が不良となり、逆に遮光材の量が少なすぎると厚み当たりの光学濃度(OD値/μm)が低くなり問題となる。
本発明の黒色感光性樹脂組成物に用いられる溶媒としては特に限定はなく、分散する顔料の分散安定性および添加する樹脂等の溶解性に併せて、水および有機溶剤を用いることができる。有機溶剤としては、特に限定されるものではなく、エステル類、あるいは、脂肪族アルコール類、あるいは、(ポリ)アルキレングリコールエーテル系溶剤、ケトン類、アミド系極性溶媒、ラクトン系極性溶媒等を用いることができ、これらの単独、あるいは2種類以上の混合溶媒も好ましく用いることができる。またこれら以外の溶剤との混合も好ましく用いられる。
黒色感光性樹脂組成物に好ましく使われる溶剤としてはN―メチル―2―ピロリドン(沸点202℃)、N,N―ジメチルアセトアミド(沸点165℃)、N,N―ジメチルホルムアミド(沸点153℃)などのアミド系極性溶媒、β―プロピオラクトン(沸点155℃)、γ―ブチロラクトン(沸点204℃)、γ―バレロラクトン(沸点207℃)、δ―バレロラクトン(沸点58℃)、γ―カプロラクトン(沸点100℃)、ε―カプロラクトン(沸点96℃)などのラクトン類などを好ましく使用できる。
具体的なエステル類としては、ベンジルアセテート(沸点214℃)、エチルベンゾエート(沸点213℃)、メチルベンゾエート(沸点200℃)、マロン酸ジエチル(沸点199℃)、2−エチルヘキシルアセテート(沸点199℃)、2−ブトキシエチルアセテート(沸点192℃)、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート(沸点188℃)、シュウ酸ジエチル(沸点185℃)、アセト酢酸エチル(沸点181℃)、シクロヘキシルアセテート(沸点174℃)、3−メトキシ−ブチルアセテート(沸点173℃)、アセト酢酸メチル(沸点172℃)、エチル−3−エトキシプロピオネート(沸点170℃)、2−エチルブチルアセテート(沸点162℃)、イソペンチルプロピオネート(沸点160℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート(沸点160℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点158℃)、酢酸ペンチル(沸点150℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)などが挙げられるがこれらに限定されない。
また、上記以外の溶媒として、エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点124℃)、エチレングリコールモノエチルエーテル(沸点135℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(沸点133℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点193℃)、モノエチルエーテル(沸点135℃)、メチルカルビトール(沸点194℃)、エチルカルビトール(202℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点120℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(沸点133℃)、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル(沸点153℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点188℃)などの(ポリ)アルキレングリコールエーテル系溶剤、上記以外の脂肪族エステル類、例えば、酢酸エチル(沸点77℃)、酢酸ブチル(沸点126℃)、酢酸イソペンチル(沸点142℃)、あるいは、ブタノール(沸点118℃)、3−メチル−2−ブタノール(沸点112℃)、3―メチル―3―メトキシブタノール(沸点174℃)などの脂肪族アルコール類、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、キシレン(沸点144℃)、エチルベンゼン(沸点136℃)、ソルベントナフサ(石油留分:沸点165〜178℃)などの溶媒を併用することも可能である。
さらに基板の大型化に伴いダイコーティング装置による塗布が主流になってきているので、適度の揮発性、乾燥性を実現するためにも、2成分以上の混合溶媒から構成するのが好ましい。該混合溶媒を構成する全ての溶媒の沸点が150℃以下の場合、膜厚の均一性が得られない、塗布終了部の膜厚が厚くなる、塗液をスリットから吐出する口金部に顔料の凝集物が生じ、塗膜にスジが発生するという多くの問題を生じる。一方、該混合溶媒の沸点が200℃以上の溶媒を多く含む場合、塗膜表面が粘着性となり、スティッキングを生じる。したがって沸点が150℃以上200℃の溶媒を30〜75質量%含有する混合溶媒が望ましい。
また、本発明の黒色感光性樹脂組成物には、塗布性、着色被膜の平滑性やベナードセルを防止する目的で、界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤の添加量は通常、顔料の0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%である。添加量が少なすぎると塗布性、着色被膜の平滑性やベナードセルを防止効果がなく、多すぎると逆に塗膜物性が不良となる場合がある。界面活性剤の具体例としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどの陰イオン界面活性剤、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタインなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンモノステアレートなどの非イオン界面活性剤、ポリジメチルシロキサンなどを主骨格とするシリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。本発明では、これらに限定されずに、界面活性剤を1種または2種以上用いることができる。
本発明の感光性樹脂組成物において樹脂成分(モノマーやオリゴマー、光重合開始剤等の添加剤も含む)と遮光材をあわせた固形分濃度としては、塗工性・乾燥性の観点から2%以上30%以下が好ましく、更には5%以上20%以下であることが好ましい。従って、本発明の黒色感光性組成物は、好ましくは、溶媒と、樹脂成分と遮光材とから本質的に成り、樹脂成分と遮光材との合計量が好ましくは2%以上30%以下、さらに好ましくは5%以上20%以下であり、残部が溶媒である。上記のとおり、界面活性剤をさらに上記した濃度で含有していてもよい。
本発明での黒色感光性樹脂組成物では、分散機を用いて樹脂溶液中に直接顔料を分散させる方法や、分散機を用いて水または有機溶媒中に顔料を分散して顔料分散液を作製し、その後樹脂溶液と混合する方法などにより製造される。顔料の分散方法には特に限定はなく、ボールミル、サンドグラインダー、3本ロールミル、高速度衝撃ミルなど、種々の方法をとりうるが、分散効率と微分散化からビーズミルが好ましい。ビーズミルとしては、コボールミル、バスケットミル、ピンミル、ダイノーミルなどを用いることができる。ビーズミルのビーズとしては、チタニアビーズ、ジルコニアビーズ、ジルコンビーズなどを用いるのが好ましい。分散に用いるビーズ径としては0.01mm以上5.0mm以下が好ましく、更に好ましくは0.03mm以上1.0mm以下である。顔料の一次粒子径及び一次粒子が凝集して形成された二次粒子の粒子径が小さい場合には、0.03mm以上0.10mm以下といった微小な分散ビーズを用いる事が好ましい。この場合、微小な分散ビーズと分散液とを分離することが可能な遠心分離方式によるセパレーターを有するビーズミルを用いて分散することが好ましい。一方、サブミクロン程度の粗大な粒子を含む顔料を分散させる際には、0.10mm以上の分散ビーズを用いる事により十分な粉砕力が得られ顔料を微細に分散できるため好ましい。
本発明の黒色感光性樹脂組成物から得られた樹脂ブラックマトリックスの光学濃度(optical density、OD値)としては、波長380〜700nmの可視光域において膜厚1.0μmあたり4.0以上であることが必要である。膜厚1μmあたりのODが4.0未満では、十分な遮光性を得るためには、膜厚を厚くしなければならない。樹脂ブラックマトリックスの遮光性能が上がり、単位膜厚あたりのOD値が高くなるほど、樹脂ブラックマトリックスを薄くすることができるので好ましい。
カラーフィルター基板としては、表示領域内の樹脂ブラックマトリックスはOD値は3.6以上が好ましく、さらに好ましくは4.0以上である。表示領域外の樹脂ブラックマトリックスのOD値は3.6以上が必要であり、好ましくは4.0以上であり、さらに好ましくは4.3以上である。表示領域外ではシール剤などの影響で液晶の配向が部分的に乱れていることがあり、液晶に印加する電圧で光透過率を制御することが困難であり、液晶で光を遮光できない光漏れ部分が存在する。光漏れが起こる表示領域外は樹脂ブラックで遮光するためにOD値を高くする必要がある。
OD値は顕微分光器(大塚電子製MCPD2000)を用いて測定を行い、下記の関係式(8)より求めることができる。
OD値 = log10 (I0 /I) (8)
ここで、I0;入射光強度、I;透過光強度となる。
本発明の黒色感光性樹脂組成物から得られた樹脂ブラックマトリックスの体積抵抗値ρ(Ω・cm)としては、106(Ω・cm)以上が好ましく、更には108(Ω・cm)以上であることが好ましい。体積抵抗値はガードリング付きの3端子法により測定を行い、下記の関係式(9)により求めることができる。
体積抵抗値ρ(Ω・cm) = (V/I)×(s/d) (9)
ここで、V;印可した電圧(V)、I;流れた電流(A)、s;電極面積(cm)、d;塗膜厚(μm)となる。
図1に本発明の製造方法で使用する2次元光変調デバイスの露光装置を示す。露光装置は、レーザー光源30、レンズ31、シャッター32、2次元光変調部33および集光レンズ34を含む露光ヘッド44とステージ35をx方向に駆動するモーター38、y方向に駆動するモーター39で構成される。モーターはステッピングモーターやサーボモーターを使用することができる。
光源30からのレーザー光はレンズ31を通して、2次元光変調部33で露光パターンに変調される。黒色感光性樹脂42を塗布された基板43(以後「ワーク41」という。)はステージ35に保持される。露光しない領域ではシャッター32で遮光して、レーザー光がワーク41に射出しないようにする。
図2は露光の動作について説明した図である。本発明の露光では、露光ヘッド44とステージ35を相対的に移動させてワーク41に露光パターン45を露光するが、露光ヘッドを固定して、ステージ35をガイドレール48に沿って移動するほうが高さ方向の移動のムラが少なくなり好ましい。相対的な移動がx方向36とy方向37の両方を移動するステップアンドリピート方式と、移動がx方向36またはy方向37のどちらか一方であり、連続的に露光する1次元スキャン方式があり、どちらも好ましく用いることができる。
図2はステップアンドリピート方式の構成図である。x方向36への移動はモータ38によって行い、y方向37への移動はモータ39によって行ない、露光パターン45を露光する。
ステップアンドリピート方式は、x方向36とy方向37のどちら方向にも露光することができ、複雑なパターンや曲線形状の露光も可能であるが、x方向とy方向に移動するために移動時間が長くなるので露光時間が長くなる。
1次元スキャン方式では、ワーク41をx方向36若しくはy方向37のいずれか一方の方向だけに移動させる。そのためワーク41の移動速度を速くすることができるが、移動方向と直角方向のパターンを露光するために複数の露光ヘッドを設置する必要がある。
図3には、1次元スキャン方式の場合で、複数個の露光ヘッド46を登載した場合を示す。露光ヘッドを複数搭載することで、ワーク41を幅方向全域に渡って露光パターン47を露光することができる。
露光装置は複数の露光ヘッド46、ステージ35をガイドレールに沿ってx方向に駆動モータ38で構成される。複数の露光ヘッド46にはそれぞれ2次元光変調デバイスが搭載されており、それぞれに異なった光変調が可能である。
複数の露光ヘッド46は2列に千鳥格子状に配置されている。千鳥格子状に配置することでより多くの露光ヘッドを搭載することが可能になり。ワークの移動方向と直角方向の露光精度をより細かくすることができる。
本発明に使用される光源としては、レーザー光が好ましく用いられ、波長380〜440nmの間のレーザーを使用することが好ましい。380〜440nmのレーザー光源としては、GaN系半導体レーザーが知られており好ましく用いることができる。高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LEDなどの光源を用いて、特定の波長のみを通過させるバンドパスフィルタを通過させて380〜440nmの光を取り出して露光することもできる。露光波長が380nmより短い場合は、光源から露光面の間の光学系での光の減衰が大きくなり、光源から効率よく露光面に光を到達させることができない。光学系の減衰を小さくするためには不純物の少ない光学材料を使用しなければならないので、高コストになるという問題がある。露光波長440nm以上の光では光のエネルギーが弱く、光重合開始剤が効率よく反応することができず、長時間露光する必要がある。
光源でも波長380nmより短い光を使用する場合は、高コストになる。使用光源がレーザーの場合は、露光波長が380nmよりも短い場合は高価な固体レーザーを使用する必要があり、大きなコストアップになる。375nmの半導体レーザー光源では、光源の出力が小さいため、露光時間が非常に長くなり、実用的ではない。
レーザーは複数のレーザーを光学系によって合波することも可能である。合波したレーザーは光ファイバーを使って光学系に送ることができる。複数のレーザーを用いることで、単一のレーザー出力よりも大きな出力を得ることができ、より短時間で露光することができるので好ましい。
露光量としては、感光性樹脂の感度に合わせた露光量を適宜選択する必要があるが、GaN系半導体レーザーの露光量としては、10〜500mJ/cmが好ましく用いられる。露光量がより小さくなると露光に要する時間が短くなり、生産性が向上するので好ましく、露光量は10〜200mJ/cmが好ましく、10〜100mJ/cmがさらに好ましい。
2次元光変調デバイス33に用いる2次元光変調デバイスとしてはデジタル・マイクロミラー・デバイスが好ましい。図4に2次元光変調デバイスの模式図を示す。2次元光変調デバイスは基板22上に形成されている。
図5に2次元光変調デバイスであるデジタル・マイクロミラー・デバイスのミラー部の模式図を示す。説明のため、模式的に上方向に露光する図とした。
デジタル・マイクロミラー・デバイス23は可動式の微小ミラーが支柱上にマトリックス状に配置されている。微小ミラーひとつひとつが電気制御によって傾くことが可能で、ミラーが傾くことで、光投射を制御するデバイスである。露光する部分はデジタル・マイクロミラー・デバイスの微小ミラーに電圧を印加してミラー25が約12度傾斜して、光源からの光26が微小ミラー25で反射されて、反射光27がレンズ34を介して露光するように制御する。露光しない部分では、デジタル・マイクロミラー・デバイスの微小ミラーに電圧を印加せずミラー24は傾かないので、光源からの光26が微小ミラー24で反射して、28の方向に反射するので露光されない。
デジタル・マイクロミラー・デバイスは微小ミラーが48万個以上で構成されている。
本発明では、デジタル・マイクロミラー・デバイスで光が投射された部分が露光され、光が投射されない部分は露光されない。デジタル・マイクロミラー・デバイスで変調された光は、集光レンズ等の光学系を経て感光性樹脂に露光される。1個の微小ミラーデバイスで反射した光をさらに集光することで、露光の解像度を上げることが可能であるが、集光すると、露光される面積が減少するので、露光に時間がかかることになる。このため、集光レンズ34は必要な解像度から適宜選択される。
露光ヘッドは適宜光学レンズを入れて補正することが好ましい。
本発明に用いる露光では、露光位置を合わせるために露光前に基板上に形成下パターンを読み込んで位置あわせをするアライメント動作が必要である。
アライメントは、ずれを検出してテーブル位置を微調整してもよいし、位置ずれ情報を基にデジタル・マイクロミラー・デバイスで投射する光を補正してもよい。
アライメントは露光する基板ごとに行ってもよいし、テーブルが一定量移動した後に行ってもよい。
通常のフォトリソ法によるカラーフィルター基板製造においては、ブラックマトリックス工程でフォトマスクが必要であるが、フォトマスクは紫外線透過率を上げるために母材には高価な石英が使われることが多く、フォトマスクを削減することは大きなコストダウンとなる。
画素を形成するためのレジストの塗布方法としては、ディップ法、ロールコーター法、スピナー法、ダイコーティング法、ワイヤバーコーティング法などが好適に用いられ、この後、オーブンやホットプレートを用いてセミキュアを行う。セミキュアの前に減圧下で塗布したペーストの溶剤を蒸発させる真空乾燥工程を追加してもよい。
真空乾燥工程は、乾燥する溶剤の飽和蒸気圧以下になる排気速度を持った真空ポンプを設置することが好ましい。
露光後の基板を現像するには、アルカリ現像液により現像することが好ましい。アルカリ現像液は有機アルカリ現像液と無機アルカリ現像液のどちらも用いることができる。無機アルカリ現像液では炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液などが好適に用いられる。有機アルカリ現像液ではテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、メタノールアミンなどのアミン系水溶液が好適に用いられる。現像液には現像の均一性を上げるために界面活性剤を添加することが好ましい、ポジ型フォトレジストを現像する場合のアルカリ現像液濃度は1〜5%の範囲が好ましい。現像液の温度を上げると現像速度が変化するので現像液温度は18〜40℃の範囲で適宜選択することが好ましい。
アルカリ現像はディップ現像、シャワー現像、パドル現像などの方法が可能である。現像液濃度、温度、流量、現像液シャワー噴射圧力、現像後の水洗温度、流量および水洗水シャワー噴射圧力条件を適宜選択することで、パターン加工することが可能である。基板上の樹脂層残渣を除去するには、現像液または水洗水を高圧で噴射することが好ましく、噴出圧力は0.01MPa〜20MPaが好ましい。
本発明のカラーフィルター基板は、液晶表示装置の駆動方法、表示方式にも限定されず、アクティブマトリクス方式、パッシブマトリクス方式、TNモード、VAモード、STNモード、ECBモード、OCBモードなど種々の液晶表示装置に適用される。また、液晶表示装置の構成、例えば偏光板の数、散乱体の位置等にも限定されずに使用することができる。
本発明のカラーフィルター基板作製方法の一例を述べるがこれに限定されるものではない。透明基板上に特定の窒化チタン遮光剤、アクリル樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤溶剤、界面活性剤からなるブラックマトリックス用レジストをスリットコーターやスピンコーターで塗布し、真空乾燥後に、ホットプレートや熱風オーブンなどの加熱乾燥により、黒色膜を形成する。次に、主波長405nmのGaN系半導体レーザー光を照射する露光装置を用いて所定の露光量で露光し、露光後、アルカリ現像することによりパターンを形成し、加熱処理することによって黒色膜を熱硬化する。加熱処理は通常、空気中、窒素雰囲気中、あるいは、真空中などで、150〜350℃、好ましくは180〜250℃の温度のもとで、0.2〜5時間、連続的または段階的に行われる。
次に画素用の赤色レジストを塗布した塗布膜形成して露光・現像・加熱処理を行う。以上の画素形成工程を繰り返して緑、青画を形成することで液晶表示装置用カラーフィルター基板が作製できる。
次に、このカラーフィルター基板を用いて作成した液晶表示装置の一例について述べる。上記カラーフィルター基板上に、透明保護膜を形成し、さらにその上にITO膜などの透明電極を製膜する。次に、このカラーフィルター基板と、金属蒸着膜などの反射電極が形成された反射電極基板とを、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜、およびセルギャップ保持のためのスペーサーを介して、対向させて貼りあわせる。なお、反射電極基板上には、反射電極以外に、光拡散用の突起物、薄膜トランジスタ(TFT)素子や薄膜ダイオード(TFD)素子、および走査線、信号線などを設け、TFT液晶表示装置や、TFD液晶表示装置を作成することができる。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封止する。つぎに、ICドライバー等を実装することによりモジュールが完成する。
以下、実施例および比較例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
「X線回折」
X線回折は粉末試料をアルミ製標準試料ホルダーに詰め、広角X線回折法(理学電機社製 RU−200R)により測定した。測定条件としては、X線源はCuKα線とし、出力は50kV/200mA、スリット系は1°−1°−0.15mm−0.45mm、測定ステップ(2θ)は0.02°、スキャン速度は2°/分とした。
回折角2θ=46°付近に観察される(200)面に由来するピークの回折角を測定した。更に、この(200)面に由来するピークの半値幅より、前述の式(1)、(2)のシェラーの式を用いて、粒子を構成する結晶子サイズを求めた。
「比表面積」
顔料の比表面積は、日本ベル(株)製高精度全自動ガス吸着装置(“BELSORP”36)を用い、100℃で真空脱気後、N2ガスの液体窒素温度(77K)における吸着等温線を測定し、この等温線をBET法で解析し比表面積を求めた。また、この比表面積の値より、前述の式(3)を用いて、BET換算粒子径を求めた。この際、チタン窒化物粒子については比重として窒化チタンの値d=5.24(g/cm3)を用い、酸窒化チタン試料については比重としてd=4.30(g/cm3)を用いた。
「組成分析」
チタン原子の含有量はICP発光分光分析法(セイコーインスツルメンツ社製 ICP発光分光分析装置SPS3000)により測定した。
酸素原子及び窒素原子の含有量は(堀場製作所製 酸素・窒素分析装置 EMGA−620W/C)用いて測定し、不活性ガス融解−赤外線吸収法により酸素原子を、不活性ガス融解−熱伝導度法により窒素原子を求めた。
[OD値]
無アルカリガラス上に膜厚1.0μm或いは0.8μmの樹脂ブラックマトリクスを形成させ、顕微分光器(大塚電子製MCPD2000)を用いて上述の式(8)より求めた。
[透過光のピーク波長]
無アルカリガラス上に膜厚0.6μmの樹脂ブラックマトリクスを形成させ、顕微分光器(大塚電子製MCPD2000)を用いて測定した。同時に波長ごとの透過率も測定した。
「密着性」
無アルカリガラス上に膜厚1.0μm或いは0.8μmの樹脂ブラックマトリクスを形成させ、さらにブラックマトリクス上に膜厚7μmのシール剤を形成させ、カバーガラスを上から被せ、樹脂ブラックマトリクスとシール剤、シール剤とカバーガラスを十分に密着させた後、作製したサンプルを“テンシロン”(ORIENTEC製、RTM−100)を用いて、10min/minの速さで引っ張り試験を行い、樹脂ブラックマトリクスとガラスが破断した時の破断強度と破断面積から以下の式(10)により求めたものである。なお、密着強度は破断面積が大きくなるほど小さくなる傾向があるため、本発明の密着強度は、破断面積5mm2のときの値とした。
密着強度(MPa)=破断強度(kgf)×9.8/破断面積(m) (10)。
「抵抗値」
体積抵抗値ρ(Ω・cm)は、絶縁抵抗計(ケースレーインスツルメンツ((株))製、6517A)を用いて測定した。アルミニウム基板上に形成した膜厚1.0μm或いは0.8μmの樹脂ブラックマトリクスをテストフィクスチェア(ケースレーインスツルメンツ(株)製、8090)にセットし、数V程度の交番電圧をかけて塗膜を流れるリーク電流の測定を行い、体積抵抗を求めた。
<アクリルポリマーの合成>
特許第3120476号公報の実施例1に記載の方法により、メチルメタクリレート/メタクリル酸/スチレン共重合体(重量組成比30/40/30)を合成後、グリシジルメタクリレート40重量部を付加させ、精製水で再沈、濾過、乾燥することにより、平均分子量(Mw)40,000、酸価110(mgKOH/g)の特性を有するアクリルポリマー(P−1)粉末を得た。
<密着改良剤の合成>
1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン24.8g(0.1モル)とグリシジルメタクリレート56.9g(0.4モル)と重合禁止剤ハイドロキノンモノメチルエーテル0.08gをフラスコに仕込み、撹拌しながら55℃で4時間反応させた後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート81.7gを添加、濃度50質量%に希釈し、さらに55℃で2時間反応させ、密着性改良剤の溶液(AP−1)を得た。
<露光量の決定>
黒色感光性樹脂組成物を感光させるのに必要な露光量は、露光の主波長半導体レーザーをデジタル・マイクロミラー・デバイスおよび光学系を備えたレーザーヘッドを持つ露光装置DL−1000(株式会社ナノシステムソリューションズ)で、GaNレーザーの露光量を20〜600mJ/cm(405nmの紫外線強度)10mJ/cm間隔で露光した後に23℃の0.04質量%KOH水溶液を用いて60秒間シャワー現像し、続いて純水洗浄後にパターンの欠落の有無で判断した。すなわちパターンが欠落しなかった最低露光量を必要露光量として、実施例および比較例の露光量を決定した。
実施例1
市販の窒化チタン試薬(試料1、和光純薬工業(株)製、窒化チタン50nm)の(200)面に由来するピークの回折角2θは42.57°、このピークの半値幅より求めた結晶子サイズは44.6nm、BET比表面積は12.4m/gであった。また組成分析を行ったところ、チタン含有量は74.3重量%、窒素含有量は20.3重量%、酸素含有量は2.94重量%であった。また、TiO2に起因するX線回折ピークは全く見られなかった。
このチタン窒化物粒子試料1(200g)、アクリルポリマー(P−1)の3―メチル―3―メトキシブタノール45重量%溶液(100g)、およびプロピレングリコールターシャリーブチルエーテル(700g)をタンクに仕込み、ホモミキサー(特殊機化製)で1時間撹拌し、予備分散液12を得た。その後、0.05mmφジルコニアビーズ(ニッカトー製、YTZボール)を70%充填した遠心分離セパレーターを具備したウルトラアペックスミル(寿工業製)に予備分散液13を供給し、回転速度8m/sで2時間分散を行い、固形分濃度24.5重量%、顔料/樹脂(重量比)=82/18の顔料分散液1を得た。
この顔料分散液1(525.8g)にビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレートのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50重量%溶液(11.6g)、多官能モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製DHPA)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50重量%溶液(11.6g)、光重合開始剤として“イルガキュア”369(6.3g)、旭電化工業(株)“アデカ(登録商標)オプトマー”N−1919 (1.7g)およびN,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(0.6g)、密着性改良剤としてAP−1(50重量%溶液)3.7g、シリコーン系界面活性剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10重量%溶液(3.6g)を3―メチル―3−メトキシ−ブチルアセテート(259.1g)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(14.4g)に溶解した溶液を添加し、全固形分濃度18重量%、顔料/樹脂(重量比)=70/30の黒色感光性樹脂組成物1を得た。
黒色感光性樹脂組成物1を無アルカリガラス(コーニング製“EAGLE XG”)基板上にキュア後の膜厚が1.0μmになるようにカーテンフローコーターで塗布し、80℃、100Paで1分真空乾燥した後に、オーブンで80℃で10分間プリベークした。
主波長405nmのGaN半導体レーザー(日亜化学工業株式会社製“NDAV521E1”定格光出力500mW)をデジタル・マイクロミラー・デバイスおよび光学系を備えたレーザーヘッドを持つ露光装置DL−1000(株式会社ナノシステムソリューションズ製)で、ガラス基板の所定のパターンを露光した。GaN半導体レーザーの露光量は90mJ/cm(405nmの紫外線強度)で露光した。
露光後23℃の0.04質量%KOH水溶液を用いて60秒間シャワー現像し、続いて純水洗浄することにより、パターンニング基板を得た。さらに、230℃で30分間キュアした。このようにして、厚み1.0μmのブラックマトリクス11を作成した。
この黒色膜の透過率のピーク波長が417nmであった。得られたパターンは直線性が良好で歪もなかった。
Figure 2010145778
Figure 2010145778
Figure 2010145778
実施例2
熱プラズマ法により製造したチタン窒化物粒子(試料2、日清エンジニアリング(株)製、TiN UFP Lot13406810)の(200)面に由来するピークの回折角2θは42.61°、このピークの半値幅より求めた結晶子サイズは25.6nm、BET比表面積は45.6m/gであった。また組成分析を行ったところ、チタン含有量は69.9重量%、窒素含有量は15.4重量%、酸素含有量は13.7重量%であった。また、TiO2に起因するX線回折ピークが25.23°及び27.50°に僅かに見られた。
使用する顔料として試料1の代わりに試料2を用いた以外は実施例1と同様にして、顔料分散液2および黒色感光性樹脂組成物2を得た。
黒色感光性樹脂組成物2を無アルカリガラス(コーニング製“EAGLE XG”)基板上にキュア後の膜厚が1.0μmになるようにカーテンフローコーターで塗布し、80℃、100Paで1分真空乾燥した後に、オーブンで80℃で10分間プリベークした。
主波長405nmのGaN半導体レーザーをデジタル・マイクロミラー・デバイスおよび光学系を備えたレーザーヘッドを持つ露光装置DL−1000(株式会社ナノシステムソリューションズ)で、ガラス基板の所定のパターンを露光した。GaNレーザーの露光量は60mJ/cm(405nmの紫外線強度)で露光した。
露光後23℃の0.04質量%KOH水溶液を用いて60秒間シャワー現像し、続いて純水洗浄することにより、パターンニング基板を得た。さらに、230℃で30分間キュアした。このようにして、厚み1.0μmのブラックマトリクス12を作成した。
この黒色膜の透過率のピーク波長が426nmであった。得られたパターンは直線性が良好で歪もなかった。
比較例1
市販のカーボンブラック(試料6、三菱化学(株)製、MA100、粒径24nm、BET比表面積は110m/g)を(72.8g)、アクリルポリマー(P−1)の3―メチル―3―メトキシブタノール45重量%溶液(149.3g)、およびプロピレングリコールターシャリーブチルエーテル(778g)をタンクに仕込み、ホモミキサー(特殊機化製)で1時間撹拌し、予備分散液12を得た。その後、0.05mmφジルコニアビーズ(ニッカトー製、YTZボール)を70%充填した遠心分離セパレーターを具備したウルトラアペックスミル(寿工業製)に予備分散液13を供給し、回転速度8m/sで2時間分散を行い、固形分濃度14重量%、顔料/樹脂(重量比)=52/48の顔料分散液2を得た。
この顔料分散液6(549.5g)にビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレートのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50重量%溶液(12.8g)、多官能モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製DHPA)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50重量%溶液(12.8g)、光重合開始剤として“イルガキュア”369(7.0g)、旭電化工業(株)“アデカ(登録商標)オプトマー”N−1919 (1.9g)およびN,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(0.7g)、密着性改良剤としてAP−1(50重量%溶液)1.5g、シリコーン系界面活性剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10重量%溶液(3.6g)を3―メチル―3−メトキシ−ブチルアセテート(396g)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(14.4g)に溶解した溶液を添加し、全固形分濃度10重量%、顔料/樹脂(重量比)=40/60の黒色感光性樹脂組成物6を得た。
黒色感光性樹脂組成物6を無アルカリガラス(コーニング製“EAGLE XG”)基板上にキュア後の膜厚が1.0μmになるようにカーテンフローコーターで塗布し、80℃、100Paで1分真空乾燥した後に、オーブンで80℃で10分間プリベークした。
主波長405nmのGaN半導体レーザー(日亜化学工業株式会社製“NDAV521E1”定格光出力500mW)をデジタル・マイクロミラー・デバイスおよび光学系を備えたレーザーヘッドを持つ露光装置DL−1000(株式会社ナノシステムソリューションズ製)で、ガラス基板の所定のパターンを露光した。GaN半導体レーザーの露光量は600mJ/cm(405nmの紫外線強度)で露光した。
露光後23℃の0.04質量%KOH水溶液を用いて60秒間シャワー現像し、続いて純水洗浄することにより、パターンニング基板を得た。さらに、230℃で30分間キュアした。このようにして、厚み1.0μmのブラックマトリクス16を作成した。
この黒色膜の透過率のピーク波長が700nm以上であった。得られたパターンは部分的にブラックマトリックスが欠落しており、直線パターンが蛇行していた。
実施例3
熱プラズマ法により製造したチタン化合物粒子(試料3、日清エンジニアリング(株)製、TiN UFP Lot13306B10)の(200)面に由来するピークの回折角2θは42.68°、このピークの半値幅より求めた結晶子サイズは14.3nm、BET比表面積は112.6m/gであった。また組成分析を行ったところ、チタン含有量は66.5重量%、窒素含有量は15.3重量%、酸素含有量は16.6重量%であった。また、TiOに起因するX線回折ピークが25.31°及び27.52°に僅かに見られた。
使用する顔料として試料1の代わりに試料3を用いた以外は実施例1と同様にして、顔料分散液3および黒色感光性樹脂組成物3を得た。
この黒色感光性樹脂組成物3を実施例1と同様に塗布プリベークした後に、実施例1の露光装置でGaNレーザーの露光量は180mJ/cm(405nmの紫外線強度)で露光してブラックマトリックスを得た。実施例1に比べて1.8倍の露光量が必要であり、1.8倍の露光時間を要したが、比較例1に対しては露光感度が高かった。
実施例4
市販の窒化チタン試薬(試料4、和光純薬工業(株)製、窒化チタン平均粒径1.0〜1.5μm)の(200)面に由来するピークの回折角2θは42.51°、このピークの半値幅より求めた結晶子サイズは67.7nm、BET比表面積2.0m/gであった。また組成分析を行ったところ、チタン含有量は76.2重量%、窒素含有量は20.3重量%、酸素含有量は1.43重量%であった。また、TiO2に起因するX線回折ピークは全く見られなかった。
使用する顔料として試料1の代わりに試料4を用いた以外は実施例1と同様にして、顔料分散液4および黒色感光性樹脂組成物4を得た。
この黒色感光性樹脂組成物3を実施例1と同様に塗布プリベークした後に、実施例1の露光装置でGaNレーザーの露光量は160mJ/cm(405nmの紫外線強度)で露光してブラックマトリックスを得た。実施例1に比べて1.6倍の露光量が必要であり、1.6倍の露光時間を要したが、比較例1に対しては露光感度が高かった。
実施例5
酸窒化チタン顔料(試料5)の(200)面に由来するピークの回折角2θは43.01°、このピークの半値幅より求めた結晶子サイズは28.8nm、BET比表面積は20.7m/gであった。また組成分析を行ったところ、チタン含有量は70.6重量%、窒素含有量は18.8重量%、酸素含有量は8.64重量%であった。また、TiO2に起因するX線回折ピークが25.30°及び27.42°に見られた。
使用する顔料として試料1の代わりに試料5を用いた以外は実施例1と同様にして、顔料分散液5および黒色感光性樹脂組成物5を得た。
この黒色感光性樹脂組成物5を実施例1と同様に塗布プリベークした後に、実施例1の露光装置でGaNレーザーの露光量は150mJ/cm(405nmの紫外線強度)で露光してブラックマトリックスを得た。実施例1に比べて1.5倍の露光量が必要であり、1.5倍の露光時間を要したが、比較例1に対しては露光感度が高かった。
比較例2
黒色感光性樹脂組成物1を無アルカリガラス(コーニング製“EAGLE XG”)基板上にキュア後の膜厚が1.0μmになるようにカーテンフローコーターで塗布し、80℃、100Paで1分真空乾燥した後に、オーブンで80℃で10分間プリベークした。
主波長375nmのGaN系半導体レーザー(日亜化学工業株式会社“NDU1113E”定格光出力20mW)をデジタル・マイクロミラー・デバイスおよび光学系を備えたレーザーヘッドを持つ露光装置DL−1000(株式会社ナノシステムソリューションズ)で、ガラス基板の所定のパターンを露光した。レーザーの露光量は50mJ/cm(375nmの紫外線強度)で露光した。市販されている375nmの半導体レーザーの出力が低いこと、光学系でのレーザー光の減衰があり、露光時間が実施例1の14倍かかった。
露光後23℃の0.04質量%KOH水溶液を用いて60秒間シャワー現像し、続いて純水洗浄することにより、パターンニング基板を得た。さらに、230℃で30分間キュアした。このようにして、厚み1.0μmのブラックマトリクス14を作成した。得られたブラックマトリックスを顕微鏡観察した結果、パターンエッジ部分に歪みが見られた。
比較例3
黒色感光性樹脂組成物1を無アルカリガラス(コーニング製“EAGLE XG”)基板上にキュア後の膜厚が1.0μmになるようにカーテンフローコーターで塗布し、80℃、100Paで1分真空乾燥した後に、オーブンで80℃で10分間プリベークした。
主波長445nmのGaN系半導体レーザー(日亜化学工業株式会社“NDB7112E”定格光出力500mW)をデジタル・マイクロミラー・デバイスおよび光学系を備えたレーザーヘッドを持つ露光装置DL−1000(株式会社ナノシステムソリューションズ)で、ガラス基板の所定のパターンを露光した。レーザーの露光量は600mJ/cm(445nmの紫外線強度)で露光した。露光時間が実施例1の6倍となった。
露光後23℃の0.04質量%KOH水溶液を用いて60秒間シャワー現像し、続いて純水洗浄することにより、パターンニング基板を得た。さらに、230℃で30分間キュアした。このようにして、厚み1.0μmのブラックマトリクス15を作成した。得られたブラックマトリックスパターンはパターンエッジ部分に歪みが見られ、部分的にパターン欠落が見られた。
本発明の露光機の模式図である。 本発明の露光機の模式図である。 本発明の露光機の模式図である。 本発明に用いられる2次元光変調デバイスの模式図である。 本発明に用いられるデジタル・マイクロミラー・デバイスの模式図である。
符号の説明
21:2次元光変調素子
22:2次元光変調素子が形成された基板
23:デジタル・マイクロミラー・デバイスの模式図
24:オフ状態のデジタルマイクロミラー
25:オン状態のデジタル・マイクロミラー・デバイス
26:光源からの光
27:反射光
28:反射光
30:光源
31:レンズ
32:シャッター
33:2次元光変調部
34:レンズ
35:ステージ
36:x方向の移動
37:y方向の移動
38:x方向駆動モーター
39:y方向駆動モーター
41:ワーク
42:黒色感光性樹脂
43:基板
43:基板
44:露光ヘッド
45:露光パターン
46:露光ヘッド
47:露光パターン
48:ガイドレール

Claims (5)

  1. 基板に黒色感光性樹脂組成物を塗布・乾燥し、次いで露光、現像、加熱硬化する工程を含む液晶表示装置用カラーフィルター基板の製造方法において、該黒色感光性樹脂組成物がチタン窒化物粒子を含有し、かつ露光光源からの光が波長380nmから440nmのレーザー光であって、露光光源からの光を2次元光変調デバイスで変調して露光することを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルター基板の製造方法。
  2. 前記チタン窒化物のCuKα線をX線源とした場合の前記チタン窒化物粒子の(200)面に由来するピークの回折角2θが、42.5°以上43.1°以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置用カラーフィルター基板の製造方法。
  3. 前記チタン窒化物のCuKα線をX線源とした場合の(200)面に由来するピークの半値幅より求めた結晶子サイズが、16nm以上、60nm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の液晶表示装置用カラーフィルター基板の製造方法。
  4. 黒色感光性樹脂組成物が、バインダーポリマー、光重合性モノマー、光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター基板の製造方法。
  5. 前記黒色感光性樹脂組成物を基板上に塗布・乾燥し、次いで露光、現像、加熱硬化する工程によって得られたブラックマトリックスの光学濃度が、1μmあたり4.0以上である請求項1から4のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター基板
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