JP2010144556A - 給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法と該方法により位相ズレを調整したカム軸ユニット - Google Patents

給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法と該方法により位相ズレを調整したカム軸ユニット Download PDF

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Abstract

【課題】大型エンジンの給排気バルブ開閉用カムの開閉タイミングの位相ズレを容易に、かつ、短時間に調整できるようにした調整方法と、該方法により位相ズレを調整したカム軸ユニットを提供することが課題である。
【解決手段】カム軸に直交する方向に往復動可能に設けられ、カム軸方向に付勢されて給排気バルブ開閉用カムに当接したローラの移動量をリフト量として測定するリフト量測定装置と、カム軸に設けたエンコーダと、を有した給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整装置に、カム軸を回転させるカムギアと複数の給排気バルブ開閉用カムとがカム軸に設けられたカム軸ユニットを、エンジンに取り付ける前にセッティングし、リフト量測定装置が測定したリフト量とエンコーダが測定したカム軸回転角度とから、給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ量を算出し、給排気バルブ開閉用カムのカム軸に対する取り付け角度を調整するようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、大型エンジンにおける給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法と該方法により位相ズレを調整したカム軸ユニットに係り、特に、カム軸径が大きいためにカム軸に焼きばめにより固定したカムによる給排気バルブ開閉タイミングの調整を、エンジンに取り付ける前に、カムギアと給排気バルブ開閉用カムとをカム軸に取り付けたカム軸ユニットに対して行うようにした、給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法と該方法により位相ズレを調整したカム軸ユニットに関するものである。
エンジン製造時には、給排気バルブの開閉タイミング調整のため、給排気バルブ開閉用カムによる開閉タイミング調整が必要である。こういった技術については例えば特許文献1に、給排気バルブのカムシャフトの回転角度と給排気バルブの変位量とを検出し、カムシャフトの回転角度とバルブストロークとの関係から、給排気バルブの開位置、閉位置、および変曲点の位置を得て、バルブ開閉のタイミングを起こしたときのバルブストローク零ラインからの距離を実測できるようにした、エンジンの弁機構の計測方法およびその装置が示されている。
小型のエンジンにおいては給排気バルブ開閉用カムによる開閉タイミングの調整を、機械加工で精度良く加工することで実現できる。しかし、大型エンジンにおいては給排気バルブ開閉用カムによるリフト量が数10mmもあるものがあって、カムを精度良く機械加工するのは非常にコストがかかるため、カム軸に給排気バルブ開閉用カムを焼きばめすることがおこなわれている。しかしながらこの際、給排気バルブ開閉用カムの固定位置を罫書き線により示して焼きばめをするが、罫書き線自体に誤差かあったりクランク軸からギアを介して回転させるカム軸のギアの遊び、などの誤差が蓄積されて給排気バルブ開閉タイミングに位相ズレが生じる場合があるため、エンジンのシリンダ部分の調整が必要となる。
この調整は、例えば特許文献2に示されているように、エンコーダなどのクランク角度測定センサと、レーザ干渉計等の光学式、磁気式のリニア測長ゲージなどのバルブリフト量測定センサとをエンジンに設け、測定されたクランク角度に対する給排気バルブの目標リフト量と、バルブリフト量測定センサにより計測されたバルブリフト量との差を求めると共に、この差が許容範囲内にあるか否かを評価して給排気バルブのカム調整の有無を判定し、その結果、調整が必要な場合はカム軸に焼きばめされたカムを油圧で動かし、調整することで行われている。
特開平9−88528号公報 特開2004−293346号公報
しかしながら、特許文献1に示されたエンジンの弁機構の計測方法およびその装置は小型のエンジンに関するもので、大型エンジンに関するものではなく、また、特許文献2に示されたエンジンバルブタイミング計測装置およびエンジンバルブタイミング計測方法は、複数気筒を有するエンジンにおいても同時計測が可能であるが、一度カムをエンジンに組み込んでしまうとエンジンが大きいため、回転させるのにも時間がかかって計測、調整に非常に時間がかかる。
またこの調整は、計測装置で計測したリフト量のずれ量のデータを基に、作業者がカム角度をこの程度動かせばいい、という感覚でカムを移動させていたため、調整が終わった後で再度クランク軸を回してリフト量を測定したとき、タイミングが合わずに再度の調整が必要となる場合が多く、従来はこの調整に莫大な時間がかかっていた。
そのため本発明においては、大型エンジンの給排気バルブ開閉用カムの開閉タイミングの位相ズレを容易に、かつ、短時間に調整できるようにした調整方法と、該方法により位相ズレを調整し、シリンダに組み込んだ場合の調整を無くすか少なくできるようにした、カム軸ユニットを提供することが課題である。
上記課題を解決するため本発明になる給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法は、
エンジンにおけるピストンの往復動により回転するクランク軸の回転が伝えられてカム軸を回転させるカムギアと、複数の給排気バルブ開閉用カムと、がカム軸に設けられたカム軸ユニットにおける、前記給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法であって、
前記カム軸に直交する方向に往復動可能に設けられて前記カム軸方向に付勢されたローラが配され、該ローラの移動量をリフト量として測定するリフト量測定装置における前記ローラを前記給排気バルブ開閉用カムに当接させ、該給排気バルブ開閉用カムの回転により往復動する前記リフト量測定装置におけるローラの移動量をリフト量として測定すると共に、前記カム軸に設けたエンコーダにより前記カム軸回転角度を測定し、前記リフト量の測定結果とカム軸回転角度の測定結果に基づき、前記給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ量を算出し、該算出結果に基づき、前記給排気バルブ開閉用カムの前記カム軸に対する取り付け角度を調整して給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレを調整することを特徴とする。
そして該方法により位相ズレを調整したカム軸ユニットは、
エンジンにおけるピストンの往復動により回転するクランク軸の回転が伝えられてカム軸を回転させるカムギアと、複数の給排気バルブ開閉用カムとがカム軸に設けられたカム軸ユニットにおける、前記給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレを調整したカム軸ユニットであって、
前記カム軸方向に付勢されて当接し、前記カム軸に直交する方向に往復動可能としたローラの移動量をリフト量として測定するリフト量測定装置と、前記カム軸に取り付けたエンコーダと、該エンコーダからのカム軸回転角度と前記リフト量測定装置からの前記給排気バルブ開閉用カムによる前記ローラのリフト量測定結果とにより、前記給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ量を算出して表示装置に表示させる制御装置と、を備えた給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整装置に前記カム軸ユニットを回転可能にセットし、前記表示装置に表示された位相ズレ量に基づき、前記給排気バルブ開閉用カムの前記カム軸に対する取り付け角度を調整したことを特徴とする。
このようにカムギアと、複数の給排気バルブ開閉用カムとを取り付けたカム軸ユニットに対し、エンコーダを取り付けると共に給排気バルブ開閉用カムによるリフト量の測定装置によりリフト量を測定し、リフト量とカム軸回転角度とから、エンジンに組み込む前に給排気バルブ開閉用カムのカム軸に対する取り付け角度を調整することで、給排気バルブ開閉用カムによる開閉タイミングの位相ズレを容易に、かつ、短時間に調整でき、それによって、調整済みのカム軸ユニットをエンジンのシリンダに組み込んだ後の調整を、全く不要、若しくは少なくできるようにした、カム軸ユニットを提供することができる。
そして、前記給排気バルブ開閉用カムの前記カム軸に対する取り付け角度の調整は、該調整に伴う前記リフト量測定装置におけるローラの移動量の測定結果を表示装置に表示しながら、前記給排気バルブ開閉用カムに油圧をかけておこなうことで、カム軸に取り付けた給排気バルブ開閉用カム角度調整も容易に、正確に行うことができる。
さらに、前記エンコーダの0点位置の設定を行う0点設定ギアを有すると共に前記カムギアは0点位置決めマークを有し、前記カムギアの0点位置決めマークと前記0点設定ギアにおける特定ギアとが一致するよう前記0点設定ギアと前記カムギアとを噛み合わせ、前記エンコーダの0点位置の設定を行ってカム軸角度を測定し、そのため、前記カム軸ユニットにおけるカムギアは0点設定用の0点位置決めマークが設けられ、前記給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整装置は前記エンコーダの0点位置の設定状態で前記カムギアと噛み合わせる0点設定ギアを有し、前記0点設定ギアにおける特定ギアと前記カムギアの0点位置決めマーク位置とが一致するよう前記0点設定ギアと前記カムギアとを噛み合わせ、前記エンコーダの0点位置を設定した後前記0点設定ギアの噛み合わせを解除し、前記位相ズレ量算出のカム軸回転角度測定を行わせて、前記給排気バルブ開閉用カムの前記カム軸に対する取り付け角度を調整することで、エンコーダの0点位置の設定を容易に、正確に行うことができると共に、カム軸回転角度とリフト量測定装置の測定したリフト量とを、正確に対応づけることができる。
また、前記リフト量測定装置におけるローラ移動量の測定装置を、リニアセンサとすることでリフト量を正確に、容易に測定することができ、さらに、前記給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整装置は前記カム軸を回転させるモータを有し、該モータの回転を前記カムギアに伝えるギアはバックラッシュレスギアを用いることで、モータを正回転させた場合も、逆回転させた場合も誤差を生じることなく、正確にカム軸回転角度とリフト量とを測定することができる。
以上記載のごとく、本発明になる給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法と該方法により位相ズレを調整したカム軸ユニットは、大型エンジンの給排気バルブ開閉用カムの開閉タイミングの位相ズレを容易に、かつ、短時間に調整でき、合わせて、エンジンのシリンダに組み込んだ場合の調整を不要に、若しくは非常に少なくできるから、従来は非常に時間のかかった位相ズレ調整作業を短時間で行え、作業効率の向上に大きく寄与できる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りはこの発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明になる、給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法により位相ズレを調整するカム軸ユニットと、位相ズレ調整装置の構成を示した平面図、図2は本発明になる、給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法のフロー図、図3は本発明になる、給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法に用いる、給排気バルブのリフト量を測定するためのリフト量測定装置の構成を示した側面図(A)と正面図(B)、図4は本発明になる、給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法において、エンコーダの0点を設定する装置の構成を説明するための図、図5は本発明になる、給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法により調整したカム軸ユニットの、エンジンに取り付けて計測したリフト量のバラツキ量を示したグラフ、図6は図7におけるA部に設けられたシリンダ、ピストン、カム軸を中心に回転する給排気バルブ駆動用カム、プッシュロッド、ローラ、給気バルブまたは排気バルブ、ロッカーアームなどを模式的に示した図、図7は本発明になる、給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法により位相ズレを調整したカム軸ユニットを組み込む、ディーゼルエンジンの一例を示した図である。
図1に示した給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレを調整する装置とカム軸ユニットは、まずカム軸ユニットが、後記図7で説明するエンジンにおける、給気バルブ開閉用カム10、10、……10、排気バルブ開閉用カム12、12、……12、カム軸14を回転させるときに長いカム軸14が撓むのを防ぐ保持部材18、18、……18、カムギア16とで構成される。そして、このカム軸ユニットの位相ズレを調整するための位相ズレ調整装置は、カム軸ユニットの軸を回転可能に保持するカム軸の軸受け17、19、保持部材18、18、……18を回転可能に保持するアイドラーローラ21、21、……21、カム軸ユニットにおけるカムギア16と噛み合うバックラッシュレスギア26を介し、カム軸14を回転させるモータ24、後記図3で詳細に説明するように、カム軸14方向に付勢されてカム軸14に直交する方向に往復動可能とし、給排気バルブ開閉用カム10、12に当接したローラの移動量をリフト量として測定するローラ移動量測定装置を備えたリフト量測定装置20とからなり、これら構成要素は、この図1には図示していない定盤上に設けられている。
またカム軸14には、カム軸14の回転角度を測定するためのエンコーダ22が取り付けられ、そのエンコーダ22から得られるカム軸14の回転角度と、リフト量測定装置20からの給排気バルブ開閉用カム10、12によるローラのリフト量測定結果を、デジタル信号として制御装置32に送るカム軸角度、リフト量測定装置30、送られてきた測定結果から、給排気バルブ開閉用カム10、12による給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ量を算出し、表示装置34に表示させる制御装置32、モータ駆動装置28などが設けられている。
この位相ズレ調整装置について説明する前に、まず、図7を用いて本発明のカム軸ユニットを組み込むエンジンの一例としてのディーゼルエンジンの構成について説明する。図7は、本発明になる大型エンジンの給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法により、位相ズレを調整したカム軸ユニットを組み込むディーゼルエンジン70の一例を示した図である。このディーゼルエンジン70は、左右にそれぞれ複数設けたシリンダ72内で往復運動するピストン74の動きを、ピストンピン76で連結されているコネクティングロッド78を介してクランク軸80の回転運動に変換し、その回転運動が、図示していないクランクギア、中間ギア、カムギアを介してクランク軸80と略平行となるように配置されているカム軸14に伝えられる。
カム軸14には給気バルブ駆動用カム10、および、排気バルブ駆動用カム12が設けられ、これらのカム10、12にはそれぞれプッシュロッド82の下方に設けられたローラ84が当接している。そのためカム軸14が回転すると、給気バルブ駆動用カム10、排気バルブ駆動用カム12がプッシュロッド82の端部に設けられたローラ84を上下させ、それによってロッカーアーム86を介し、給気バルブ88、排気バルブ90がそれぞれ上下にリフトされる。なお、カム軸14はクランク軸80の2回転で1回転するよう、図示していないクランクギア、中間ギア、カムギア16のギア比が設定されている。
次に図6は、この図7におけるA部に設けられたシリンダ72、ピストン74、カム軸14を中心に回転する給気バルブ駆動用カム10、または排気バルブ駆動用カム12、プッシュロッド82、ローラ84、給気バルブ88または排気バルブ90、ロッカーアーム86などを模式的に示した図である。
前記したように、シリンダ72内で往復運動するピストン74の動きがクランク軸80の回転運動に変換され、その回転運動がカム軸14に伝えられて給気バルブ駆動用カム10、排気バルブ駆動用カム12が回転し、それによってプッシュロッド82の先端に設けられたローラ84が上下して、給気バルブ88、排気バルブ90が上下にリフトされる。
このカム軸14への給気バルブ駆動用カム10、排気バルブ駆動用カム12の固定と調整は、前記したように、大型エンジンにおいてはカムによるリフト量が数10mmにもなるため、精度良く機械加工する方法は非常にコストがかかるから、カム軸14にこの給排気バルブ開閉用カム10、12を焼きばめした後、エンジンに取り付けた後でおこなわれていた。しかしながらこの際、給排気バルブ開閉用カム10、12の固定位置を罫書き線により示してはいるが、罫書き線自体に誤差かあったり、クランク軸80からギアを介して回転させるカム軸14のギアの遊びなどの誤差が蓄積され、位相ズレが生じる。
そのため従来では、前記した特許文献2に示されていたように、プッシュロッド82のリフト量とクランク軸80の回転角度を測定し、給排気バルブ開閉用カム10、12による給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレを検出した場合に、作業者がこの程度動かせばいい、という感覚でカムに油圧をかけて移動させていたため、調整が終わった後で再度クランク軸を回してリフト量を測定したとき、タイミングが合わない場合が多く、再度調整が必要となる。また、一度カムをエンジンに組み込んでしまうとエンジンが大きいため、回転させるのにも時間がかかって計測、調整に非常に時間がかかっていた。
そのため本発明においては、複数の給排気バルブ開閉用カム10、12と、クランク軸の回転が伝えられてカム軸を回転させるカムギア16とが設けられたカム軸ユニットを、エンジンに組み込む前に給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレを調整し、その後、このカム軸ユニットをエンジンに組み込んで前記特許文献2に示した方法で確認作業を行い、この確認作業で給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレがまだ残っていた場合だけ、前記したような方法で調整作業を実施するようにしたものである。
図3は、このような考え方に従い、給排気バルブ開閉用カム10、12による給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整するため、給排気バルブ開閉用カムによるプッシュロッド82のリフト量を測定する、図1に20で示したリフト量測定装置の構成概略を示した側面図(A)と正面図(B)である。
この図3に於いて、40はローラ保持部材42で回転可能に保持されて、給排気バルブ開閉用カム10、12に当接して上下するローラ、42はこのローラ40を保持し、スプリング48によってローラ40を給排気バルブ開閉用カム10、12方向に圧接させるためのローラ保持部材、44はセンシングロッド46がローラ保持部材42側に取り付けられて、ローラ40の移動量をリフト量として測定するローラ移動量測定装置たるリニアセンサ、50、52は測定部支持部材、54は中央にスライド用軸55が挿通される例えば方形の穴を有し、ローラ保持部材42を支持部材56で保持してスライド可能に保持するスライド部材、57、58はスライド用軸55と測定部支持部材50とをそれぞれ台座59に固定する支持部材である。
このリフト量測定装置20は、測定部支持部材50、52が支持部材58でリフト量測定装置20の台座59に固定され、ローラ保持部材42は支持部材56によりスライド部材54で保持されて、台座59に支持部材57で取り付けられたスライド用軸55をスライド可能に取り付けられている。そして、台座59上を給排気バルブ開閉用カム10、12方向、すなわちカム軸14に直交する方向にスライド可能に、スプリング48によってローラ40が給排気バルブ開閉用カム10、12に圧接されるようになっている。
そのためカム軸40の回転に伴い、給排気バルブ開閉用カム10、12が回転することでローラ40が図上、上下に往復動すると、それがリフト量としてリニアセンサ44で測定され、その結果が図1に示したカム軸角度、リフト量測定装置30に送られる。
図4は、給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ量を測定する際、カム軸14に取り付けた、図1に22で示したエンコーダの0点を設定する装置の構成を説明するための図である。すなわちエンコーダ22は、単にカム軸14に取り付けられるだけであるから、このエンコーダ22から得られたカム軸14の角度と、リフト量測定装置20から得られたリフト量とを関係づけるためには、カム軸14の角度がどのようなときにどれだけのリフト量が必要か、を関係づける必要がある。
そのため図4に拡大して示したカムギア16には、0点設定用の0点位置決めマーク60が付けられている。また、図1に示した位相ズレ調整装置には、図示していない定盤64(図4参照)のカムギア16の図上、背後に、図4において破線62で示した位置まで上下動可能な0点設定用ギア62が設けられていて、この0点設定用ギア62における特定ギア62aが、カムギア16の0点位置決めマーク60の位置となるようカムギア16と0点設定用ギア62とを噛み合わせ、その状態でエンコーダ22の0点を設定するようにしてある。従ってこの機構により、給排気バルブ開閉用カム10、12が取り付けられたカム軸14の回転角度と、給排気バルブ開閉用カム10、12によるリフト量とは正確に関係づけることができる。
以上が図1に示した位相ズレ調整装置の各構成要素であるが、次に図2の給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法のフロー図を用い、本発明の方法について図1を参照しながら説明する。
ステップS10でスタートすると、まずステップS12でカム軸14に給排気バルブ開閉用カム10、10、……10、12、12、……12と、保持部材18、18、……18、カムギア16が焼きばめで取り付けられ、カム軸ユニットが生成される。
そしてこのカム軸ユニットのカム軸14が、給排気バルブ開閉タイミング位相ズレ調整装置におけるカム軸の軸受け17、19に、各カム軸保持部材18が各アイドリングローラ21に載せられてセッティングされ、ステップS16でさらにカム軸14にエンコーダ22が取り付けられる。そして前記図4で説明したカムギア16に設けた0点位置決めマーク60が、0点設定用ギア62における特定ギア62aの位置となるようカムギア16が回転され、その状態でカムギア16と0点設定用ギア62とが噛み合わされる。そのため図1の制御装置32は、カム軸角度、リフト量測定装置30にこの位置をエンコーダ22の0点位置とするよう指示する。そしてエンコーダ22の0点が設定されると0点設定用ギア62が、図1におけるカムギア16の背後に移動して噛み合わせが解除される。
そして次のステップS18で、前記図3に示した給排気バルブ開閉用カム10、12のリフト量測定装置20におけるローラ40が給排気バルブ開閉用カム10、12に当接するようセッティングされると、次のステップS20で、図1の制御装置32はモータ駆動装置28に指示し、モータ24を駆動してその回転がバックラッシュレスギア26を介してカムギア16からカム軸14に伝えられ、給排気バルブ開閉用カム10、12が回転する。
そのため、この給排気バルブ開閉用カム10、12に押されてリフト量測定装置20におけるローラ40が往復動し、それに伴ってステップS24で、図3のリニアセンサ44からローラ40の移動量がリフト量としてカム軸角度、リフト量測定装置30に送られる。また、カム軸14の回転角度は、エンコーダ22から同じくカム軸角度、リフト量測定装置30に送られるから、カム軸角度、リフト量測定装置30はこれらの測定結果をデジタル量に変換し、制御装置32に送る。
そのため制御装置32は、ステップS26でこの測定結果から給排気バルブ開閉用カム10、12による給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレが有る場合はその位相ズレ量を算出し、それを図1の表示装置34に表示する。それと共にステップS28で制御装置32は、位相ズレがあるか否かを判断し、ない場合はステップS32に進んで終了し、ある場合は表示装置34に表示して調整を促す。
そのためステップS30で、カム軸14を回転させてエンコーダ22が示すカム軸14の回転角度が、例えば設計値における給排気バルブ開閉用カム10、12による規定したリフト量となる角度としてカムギア16を固定し、位相ズレのある給排気バルブ開閉用カム10、12に油圧をかけ、カム軸14に対する角度を調整する。このときカム軸14に対する給排気バルブ開閉用カム10、12の移動量(調整量)を、リフト量測定装置20により測定してリフト量の変化として表示装置34にリアルタイムで表示する。従って作業員は、この表示装置34に表示されたリフト量の変化により給排気バルブ開閉用カム10、12の移動量(調整量)を調整することができ、正確な位相ズレの調整を行うことができる。そして調整がすんだらステップS24に戻り、位相ズレがなくなるまで以上説明したことを繰り返す。
このようにして10、12で示した1組の給排気バルブ開閉用カムの調整がすんだら、図1に10、12で示した給排気バルブ開閉用カムの調整を同様にして実施し、さらに、順次10、12、で示した給排気バルブ開閉用カムの調整を実施していく。なお、図1にはリフト量測定装置20を1つだけ示し、各1組の給排気バルブ開閉用カムを順次調整する場合を示したが、リフト量測定装置20を複数設け、同時に複数組の給排気バルブ開閉用カムの調整を行うようにしても良いことは勿論である。
図5は、このようにして給排気バルブ開閉用カム10、12の給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレを調整した後、カム軸ユニットをエンジンに取り付けた場合にリフト量がどの程度ばらついたか、を計測、調査したグラフである。この図5のグラフにおいて、横軸は弁タイミング計測時リフト量(給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ量)、縦軸はその割合であり、4.13mmとして示した位置の縦線は最も最適なリフト量位置で、上に「公差」として記したのは、給排気バルブ開閉タイミングに許容される位相ズレ量の公差である。
このグラフから分かるとおり、以上説明してきた調整方法で調整したカム軸ユニットは、その多くが4.13mmとして示した最も最適なリフト量位置付近に集まり、かつ、全てのカム軸ユニットの位相ズレ量が公差内に納まって、このカム軸ユニットをエンジンに取り付けた後は特別な調整を必要としなかった。すなわち本発明による、給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法で調整したカム軸ユニットは、従来、非常に時間のかかっていたカム軸タイミングの調整を、短時間で、容易に行えることを示しており、作業効率の向上に大きく寄与するわけである。
本発明によれば、従来、非常に時間のかかっていた給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの調整を、短時間で、容易に行え、作業効率の向上に大きく寄与する。
本発明になる、給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法により位相ズレを調整するカム軸ユニットと、位相ズレ調整装置の構成を示した平面図である。 本発明になる、給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法のフロー図である。 本発明になる、給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法に用いる、給排気バルブのリフト量を測定するためのリフト量測定装置の構成を示した側面図(A)と正面図(B)である。 本発明になる、給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法において、エンコーダの0点を設定する装置の構成を説明するための図である。 本発明になる、給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法により調整したカム軸ユニットの、エンジンに取り付けて計測したリフト量のバラツキ量を示したグラフである。 図7におけるA部に設けられたシリンダ、ピストン、カム軸を中心に回転する給排気バルブ駆動用カム、プッシュロッド、ローラ、給気バルブまたは排気バルブ、ロッカーアームなどを模式的に示した図である。 本発明になる、給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法により位相ズレを調整した、カム軸ユニットを組み込むディーゼルエンジンの一例を示した図である。
符号の説明
10 給気バルブ開閉用カム
12 排気バルブ開閉用カム
14 カム軸
16 カムギア
17、19 カム軸の軸受け
18 カム軸保持部材
20 リフト量測定装置
21 アイドリングローラ
22 エンコーダ
24 モータ
26 バックラッシュレスギア
28 モータ駆動装置
30 カム軸角度、リフト量測定装置
32 制御装置
34 表示装置

Claims (7)

  1. エンジンにおけるピストンの往復動により回転するクランク軸の回転が伝えられてカム軸を回転させるカムギアと、複数の給排気バルブ開閉用カムと、がカム軸に設けられたカム軸ユニットにおける、前記給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法であって、
    前記カム軸に直交する方向に往復動可能に設けられて前記カム軸方向に付勢されたローラが配され、該ローラの移動量をリフト量として測定するリフト量測定装置における前記ローラを前記給排気バルブ開閉用カムに当接させ、該給排気バルブ開閉用カムの回転により往復動する前記リフト量測定装置におけるローラの移動量をリフト量として測定すると共に、前記カム軸に設けたエンコーダにより前記カム軸回転角度を測定し、前記リフト量の測定結果とカム軸回転角度の測定結果に基づき、前記給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ量を算出し、該算出結果に基づき、前記給排気バルブ開閉用カムの前記カム軸に対する取り付け角度を調整して給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレを調整することを特徴とする、給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法。
  2. 前記給排気バルブ開閉用カムの前記カム軸に対する取り付け角度の調整は、該調整に伴う前記リフト量測定装置におけるローラの移動量の測定結果を表示装置に表示しながら、前記給排気バルブ開閉用カムに油圧をかけておこなうことを特徴とする請求項1に記載した給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法。
  3. 前記エンコーダの0点位置の設定を行う0点設定ギアを有すると共に前記カムギアは0点位置決めマークを有し、前記カムギアの0点位置決めマークと前記0点設定ギアにおける特定ギアとが一致するよう前記0点設定ギアと前記カムギアとを噛み合わせ、前記エンコーダの0点位置の設定を行ってカム軸角度を測定することを特徴とする請求項2に記載した給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法。
  4. エンジンにおけるピストンの往復動により回転するクランク軸の回転が伝えられてカム軸を回転させるカムギアと、複数の給排気バルブ開閉用カムとがカム軸に設けられたカム軸ユニットにおける、前記給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレを調整したカム軸ユニットであって、
    前記カム軸方向に付勢されて当接し、前記カム軸に直交する方向に往復動可能としたローラの移動量をリフト量として測定するリフト量測定装置と、前記カム軸に取り付けたエンコーダと、該エンコーダからのカム軸回転角度と前記リフト量測定装置からの前記給排気バルブ開閉用カムによる前記ローラのリフト量測定結果とにより、前記給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ量を算出して表示装置に表示させる制御装置と、を備えた給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整装置に前記カム軸ユニットを回転可能にセットし、前記表示装置に表示された位相ズレ量に基づき、前記給排気バルブ開閉用カムの前記カム軸に対する取り付け角度を調整したことを特徴とする、給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレを調整したカム軸ユニット。
  5. 前記カム軸ユニットにおけるカムギアは0点設定用の0点位置決めマークが設けられ、前記給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整装置は前記エンコーダの0点位置の設定状態で前記カムギアと噛み合わせる0点設定ギアを有し、前記0点設定ギアにおける特定ギアと前記カムギアの0点位置決めマーク位置とが一致するよう前記0点設定ギアと前記カムギアとを噛み合わせ、前記エンコーダの0点位置を設定した後前記0点設定ギアの噛み合わせを解除し、前記位相ズレ量算出のカム軸回転角度測定を行わせて、前記給排気バルブ開閉用カムの前記カム軸に対する取り付け角度を調整したことを特徴とする、請求項4に記載した給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレを調整したカム軸ユニット。
  6. 前記リフト量測定装置におけるローラ移動量の測定装置を、リニアセンサとしたことを特徴とする請求項5に記載した給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレを調整したカム軸ユニット。
  7. 前記給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整装置は前記カム軸を回転させるモータを有し、該モータの回転を前記カムギアに伝えるギアはバックラッシュレスギアであることを特徴とする請求項6に記載した給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレを調整したカム軸ユニット。
JP2008320658A 2008-12-17 2008-12-17 給排気バルブ開閉用カムによる給排気バルブ開閉タイミングの位相ズレ調整方法と該方法により位相ズレを調整したカム軸ユニット Withdrawn JP2010144556A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012020350A (ja) * 2010-07-12 2012-02-02 Howa Mach Ltd 自動工具交換装置を備えた工作機械におけるタイミング調整方法
CN109339892A (zh) * 2018-11-28 2019-02-15 无锡凯奥动力机械有限公司 单缸风冷柴油机凸轮轴

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