JP2010142204A - イソチオシアン酸エステル乳化組成物 - Google Patents

イソチオシアン酸エステル乳化組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】
イソチオシアン酸エステルの乳化物において、乳化物の乳化安定性が良好で、イソチオシアン酸エステルの分解が起こりにくく、かつ、水に均一に分散しやすい乳化組成物を提供すること。
【解決手段】
(A)イソチオシアン酸エステル、(B)キラヤサポニン、(C)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよび(D)水および/または多価アルコールから選ばれる1種以上、を含有することを特徴とするO/W型乳化組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ワサビ精油、カラシ精油またはイソチオシアン酸アリルなどのイソチオシアン酸エステルの乳化組成物に関する。さらに詳しくは、乳化物の乳化安定性が良好で、イソチオシアン酸エステルの分解が起こりにくく、かつ、水に均一に分散しやすいイソチオシアン酸エステルの乳化組成物に関する。
ワサビやカラシはそのシャープな辛みを利用して、刺身、蕎麦、おでん、トンカツ、ビーフステーキなどの風味付用スパイスとして古くから馴染みの深いものである。ワサビやカラシの辛み成分は揮発性の高いイソチオシアン酸アリルを主成分とするイソチオシアン酸エステル類であるが、練りカラシ、練りワサビ、あらびきマスタード、ワサビドレッシング、ワサビマヨネーズ、ワサビ醤油、ワサビふりかけ、ワサビやカラシ風味のスナックなどの外側に付着させる調味料、各種刺激性飲料などのさまざまな飲食品に使用されている。また、その抗菌性と揮発性を利用した揮発性抗菌剤、生鮮品の鮮度保持剤などとしても従来から幅広く利用されている。イソチオシアン酸エステル類は別名カラシ油とも呼ばれ、天然には沢わさび、ホースラディッシュ、マスタードシードなどに配糖体の形で存在し、これらの組織を水の存在下ですりつぶすことによりβ−グルコシダーゼの一種であるミロシナーゼが配糖体に作用し、加水分解して生成する。また、イソチオシアン酸アリルはこれらの天然由来のものの他、合成品としても入手でき、食品添加物としても指定されている。
一方、イソチオシアン酸エステルは油溶性であるため、飲料やノンオイルドレッシングなどの水を多く含む飲食品に使用する場合は、乳化して水に可溶化または分散するように製剤化しなければ使用しにくいという欠点がある。
イソチオシアン酸エステルの安定なO/W乳化物を得るために、従来よりさまざまな乳化剤や乳化方法が試みられており、例えば、イソチオシアネート類を油に溶解したもの5%〜80%と、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよびレシチンなどを適宜組み合わせた食用乳化剤を0.2%〜5.0%、粘質物質などの乳化安定剤を0%〜5.0%、および、水とよりなる水中油型乳化物(特許文献1)、イソチオシアン酸アリルを80(W/W)%以上含有する油脂と水をリン脂質を含む乳化剤で乳化して成る水中油型乳剤(特許文献2)、イソチオシアン酸アリル0.001重量%〜80重量%と、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアルカノールアミド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの乳化剤と、乳化助剤との混合物からなり、水中と均一に混合可能な状態に調整されていることを特徴とするイソチオシアン酸アリル製剤(特許文献3)、イソチオシアン酸エステルを、穀物蛋白質の特定の分解物により乳化したイソチオシアン酸エステルの安定な乳化組成物(特許文献4)、イソチオシアン酸化合物及び脂肪族カルボン酸を配合し、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタンモノ、ジ又はトリ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレニルグリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステルなどの乳化剤で乳化したゲル状組成物(特許文献5)などが開示されている。
特公昭58−2669号公報 特開平6−47272号公報 特開平6−303952号公報 特開平9−308454号公報 特開平10−276746号公報
しかしながら乳化物の状態の安定性、イソチオシアン酸エステルの分解安定性、水への分散の容易さにおいて十分満足のいくイソチオシアン酸エステルの乳化組成物はいまだ開発されているとはいいがたい。
本発明が解決しようとする課題は、イソチオシアン酸エステルの乳化物において、乳化物の乳化安定性が良好で、イソチオシアン酸エステルの分解が起こりにくく、かつ、水に均一に分散しやすい乳化組成物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために、特に乳化剤の選定と、その組み合わせについて鋭意研究を行った。例えば、一般的に乳化力に優れるポリグリセリン脂肪酸エステルを用いてイソチオシアン酸エステルを乳化してみたが、ポリグリセリン脂肪酸エステルはややアルカリ性を示す傾向があり、アルカリ性にて不安定なイソチオシアン酸エステルが分解しやすく、乳化には不向きであることが判明した。また、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルはイソチオシアン酸エステルの乳化に向いている乳化剤として前記特許文献3、5などにも記載されているが、溶解に多量のアルコールまたは水が必要であるという欠点を有することが判明した。さらにまた、キラヤサポニンは前記特許文献の比較例2にも記載されている通り、乳化直後は状態は良好であるが、経時的に乳化粒子が大きくなりやがて分離してしまうことが確認された。
ところが、驚くべきことに乳化剤としてポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとキラヤサポニンの両方を併用してイソチオシアン酸エステルの乳化を試みたところ、乳化物の乳化安定性が良好で、また、経時的に乳化粒子が大きく成らず、さらに、イソチオシアン酸エステルの分解が起こりにくく、さらにまた、水への分散性が非常に良好な乳化組成物を得ることができた。
かくして本発明は、(A)イソチオシアン酸エステル、(B)キラヤサポニン、(C)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル並びに(D)水および/または多価アルコールを含有することを特徴とするO/W型乳化組成物を提供するものである。
また、本発明は、(A)イソチオシアン酸エステルを0.1質量%〜40質量%、(B)キラヤサポニンを0.05質量%〜20質量%、(C)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを0.005質量%〜2質量%並びに(D)水および/または多価アルコールを10質量%〜90質量%含有することを特徴とする前記のO/W型乳化組成物を提供するものである。
本発明のイソチオシアン酸エステルのO/W型乳化組成物は、乳化物の乳化安定性が良好で、経時的に乳化粒子が大きくなったり、分離を起こしたりしない。また、イソチオシアン酸エステルの分解が起こりにいため、風味的に安定である。さらにまた、水に均一に分散しやすいため、飲料やノンオイルドレッシングに使用し易く、添加後の経時安定性も良好である。
本発明で使用するイソチオシアン酸エステルは、天然物でも合成品でもよく、例えば、天然物としては、沢山葵、ホースラディッシュ(西洋ワサビ)、マスタードシード(アブラナ科)などの植物を水の存在下に粉砕または摺り下ろしてスラリー状とし、30℃〜40℃にて1時間〜4時間程度配糖体を加水分解した後、水蒸気蒸留し、留出液から精油を分離することにより得られたもの、また、水蒸気蒸留せずに加水分解物を圧搾によりオイルを分離したものを使用することができる。これらの精油やオイルは、揮発性成分としてはイソチオシアン酸アリルが約90%程度を占めるが、イソチオシアン酸ベンジル、イソチオシアン酸n−ブチル、イソチオシアン酸3−ブテニル、イソチオシアン酸4−ペンテニル、イソチオシアン酸5−ヘキセニル、イソチオシアン酸6−メチルスルフィニルヘキセニル、イソチオシアン酸6−メチルチオヘキシル、イソチオシアン酸2−フェニルエチルなどのイソチオシアン酸エステル等を数%含有する。また、パルミチン酸、リノレイン酸、オレイン酸などの脂肪酸を含むこともある。好ましいイソチオシアン酸エステルとしては、イソチオシアン酸アリル及びイソチオシアン酸ベンジルが強い香気と辛味を有し、かつ天然に多量に存在する点で好ましい。
また合成反応により製造された前記のイソチオシアン酸エステル類も使用することができる。合成反応により製造されたイソチオシアン酸アリルは入手しやすいため、本発明に使用するイソチオシアン酸エステルとして好適である。
本発明で使用するイソチオシアン酸エステルの配合量は、乳化組成物中に0.1質量%〜40質量%、好ましくは0.5質量%〜30質量%、より好ましくは1.0質量%〜20質量%を例示することができる。イソチオシアン酸エステルの配合量は、乳化製剤の輸送にかかるコストや保管場所などの事情を考慮するとなるべく多い方が好ましいが、乳化組成物中のイソチオシアン酸アリルの配合量が40質量%より多い場合、乳化混合の均一性が不十分となりやすいため好ましくない。また、乳化組成物中のイソチオシアン酸アリルの配合割合が0.1質量%未満では、最終製品に必要とされる量のイソチオシアン酸エステルを配合するための乳化組成物の添加量が多くなってしまい不経済である。
本発明で使用する乳化剤としてはキラヤサポニンおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの両方を使用する点に特徴がある。この両者を併用して使用することで乳化物の乳化安定性が良好で、経時的に乳化粒子が大きくなったり、分離を起こしたりせず、また、イソチオシアン酸エステルの分解が起こりにくく、さらに、水に均一に分散しやすい乳化物を得ることができる。
キラヤサポニンは、キラヤ抽出物、キラヤニンとも呼ばれ、第7版食品添加物公定書に「キラヤ抽出物」として収載されている。キラヤサポニンはバラ科植物キラヤ(Quilaia saponalia Molina)の樹皮に含まれている配糖体成分であって、キラヤ酸をアグリコンとするトリテルペン系サポニンからなる数種のサポニンを主成分とする天然の界面活性物質である。キラヤは南米のチリ、ボリビア、ペルー等に自生するほか栽培もされている。キラヤサポニンは乳化力があるだけではなく起泡力も強く、現地ではキラヤはシャボンの木とも呼ばれており、その樹液はシャンプーとして使用されている。キラヤサポニンは親水性が高く、表面張力低下力が強く、また、水に透明に溶解しやすいため、高いHLBを有する界面活性剤であるといえる。また、乳化力が強いため油溶性物質の透明乳化(微細に乳化を行うと肉眼では透明に見える)に用いることもできる。
キラヤサポニンはキラヤ樹皮から、水、低級アルコール、またはこれらの混合物を用いて抽出することができるが、市販のキラヤサポニンを使用することもできる。市販のキラヤサポニンとしてはキラヤニンS−100、キラヤニンC−100、キラヤニンP−20(以上、丸善製薬社製)などを例示することができる。
本発明で使用するキラヤサポニンの配合量は、乳化組成物中に0.05質量%〜20質量%、好ましくは0.2質量%〜10質量%、より好ましくは1質量%〜5質量%を例示することができる。キラヤサポニンの量が0.05質量%より少ない場合、良好な乳化物が得られない可能性があり、また20質量%より多く使用してもそれほど乳化効果は高まらない。
キラヤサポニンは、先にも記載したとおり、乳化力が強く、油溶性物質の透明乳化に用いることもできるが、単独の乳化剤としては、イソチオシアン酸エステルの乳化には向かない。キラヤサポニンを乳化剤として単独で用いてイソチオシアン酸エステルを乳化すると、経時的に乳化物の粒径が大きくなり、やがて分離してしまう傾向が見られる。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ポリソルベートとも呼ばれ、ソルビタン脂肪酸エステルにポリオキシエチレンを付加したもので、ポリオキシエチレンの付加モル数、ソルビタン脂肪酸エステルの構成脂肪酸種及びエステル化度の組み合わせにより各種存在する。古くから化粧品、洗剤等の乳化剤として、また、海外では食品用乳化剤として使用されてきたが、我が国では平成20年4月に食品添加物として一部のポリソルベート類が認可され、食品に使用できることとなった。
本発明に使用することのできるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、付加モル数、脂肪酸種、エステル化度になんら制限されるものではないが、エチレン単位の付加数(重合度)としては、ソルビタン脂肪酸エステルの有する複数のヒドロキシル基に付加しているオキシエチレン単位の合計数として、1〜100、より好ましくは5〜30、さらに好ましくは15〜25であることが良い。また、エステルを構成する脂肪酸種は炭素数は好ましくは8〜22、より好ましくは12〜18の飽和もしくは不飽和の脂肪酸、さらに好ましくはステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸である。エステル化度は特に制限されるものではなく、モノエステル、ジエステル、トリエステル等の各種エステル体等のいずれであってもよいが、乳化安定性、環境への安全性等の面から、モノエステルが特に好ましい。好ましい具体例としてはモノエステルタイプは、ポリソルベート80(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、20EO)、ポリソルベート60(モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、20EO)、ポリソルベート40(モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、20EO)、ポリソルベート20(モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、20EO)、トリエステルタイプは、ポリソルベート65(トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、20EO)などである。
本発明で使用するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの配合量は、乳化組成物中に、好ましくは0.005質量%〜2質量%、好ましくは0.04質量%〜1質量%、より好ましくは0.1質量%〜0.5質量%を例示することができる。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの量が0.005質量%より少ない場合、良好な乳化物が得られない可能性があり、また5質量%より多く使用してもそれほど乳化効果は高まらない。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは乳化力が強いが、単独の乳化剤としては、イソチオシアン酸エステルの乳化には向かない。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを乳化剤として単独で用いてイソチオシアン酸エステルを乳化する場合には、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを溶解するために多量の水またはアルコールが必要となるため、イソチオシアン酸エステルの濃度を高く設定できず、また、得られた乳化物も、乳化直後は乳化状態が比較的良いが、経時的に乳化物の粒径が大きくなり、やがて分離してしまう傾向が見られる。
本発明ではこれらの、単独ではいずれもイソチオシアン酸エステルの乳化に必ずしも適当とはいえないキラヤサポニンとポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの両方を併用する点に特徴がある。本発明では、この両者を併用することにより初めて乳化物の乳化安定性が良好で、経時的に乳化粒子が大きくなったり、分離を起こしたりせず、また、イソチオシアン酸エステルの分解が起こりにくく、さらに、水に均一に分散しやすい乳化物を得ることができた。キラヤサポニンとポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの使用割合は、質量換算で例えば50:1〜1:5、好ましくは20:1〜1:2、より好ましくは5:1〜1:1の範囲内を例示することができる。
本発明では、乳化組成物中に水および/または多価アルコールから選ばれる1種以上を使用する。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルはHLBが高く、イソチオシアン酸エステルと任意の割合で混合するが、キラヤサポニンは先に記載したとおり、親水性が高く、高いHLBを有する界面活性剤であるため、イソチオシアン酸エステルと混和しにくく、溶解するためには水溶性の媒体が必要となる。しかしながら、エタノールなどの一価アルコール類は、イソチオシアン酸エステルと反応し、不溶性のアリルチオウレタンを生成しやすいため、二価以上のアルコールが好ましい。本発明で使用することのできる多価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、水あめ、還元水あめ、グルコース、フラクトース、ショ糖、マルトース、液糖などの糖類及びこれらの二種以上の混合物を例示することができる。本発明で使用する水および/または多価アルコールから選ばれる1種以上の配合量は乳化組成物中に10質量%〜90質量%、好ましくは20質量%〜80質量%、より好ましくは30質量%〜70質量%を例示することができる。
本発明では、乳化を妨げない範囲で、その他の油溶性または水溶性原料を配合することもできる。その他の成分としては例えば、動植物油脂、香料、色素、機能性物質、酸化防止剤、前記以外の乳化剤、増粘剤、安定剤などを例示することができる。
本発明品のO/W型乳化組成物の調整方法を例示すれば、例えば、糖液などの水相部にキラヤサポニンを混合溶解し、これとは別に、イソチオシアン酸エステルにポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを溶解し、両者を混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)などの乳化機を用いて、約5000rpm〜約10000rpmの回転数で、約5分〜約20分間乳化処理する。また、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)に代えて、これと同等もしくはそれ以上の乳化能力を有するものであれば、従来公知の高圧ホモジナイザー或いはコロイドミルなどの乳化機を用いて乳化処理してもよい。なお、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは水相部に混合溶解しても良い。
かくして得られたイソチオシアン酸エステルのO/W型乳化組成物は乳化物の乳化安定性が良好で、経時的に乳化粒子が大きくなったり、分離を起こしたりしない。また、イソチオシアン酸エステルの分解が起こりにいため、風味的に安定である。さらにまた、水に均一に分散しやすいため、飲料やノンオイルドレッシングに使用し易く、添加後の経時安定性も良好である。
本発明によれば、上記の如くして得られるO/W型乳化組成物を例えば、練りカラシ、練りワサビ、あらびきマスタード、ドレッシング、マヨネーズ、醤油、刺し身用タレ、ふりかけ、わさび漬け、せんべい類、スナック類、アイスクリーム、各種刺激性飲料などに、例えば約0.02質量%〜約2質量%配合することによって、イソチオシアン酸エステル特有の辛味を有する飲食品が得られる。また、本発明のOW型乳化組成物を生鮮食品や加工食品にスプレーしたり、包装容器内に含ませることにより、微生物生育抑制剤、鮮度保持剤として用いることもできる。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。
実施例1(乳化剤としてキラヤサポニンとポリソルベートを使用したもの)
異性化液糖(Bx75°)845gにキラヤニンC−100(丸善製薬社製:キラヤ抽出物25%含有)50gを混合溶解し水相部とする。これとは別に、イソチオシアン酸アリル100gにエマゾールL−120V(ポリソルベート20、花王社製)5gを混合溶解し、油相部とする。水相部と、油相部を混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、イソチオシアン酸アリルの乳化組成物1000gを得た(本発明品1:イソチオシアン酸アリル10.0%含有)。
実施例2
実施例1において、エマゾールL−120V(ポリソルベート20、花王社製)5gに替えてエマゾールS−120V(ポリソルベート60、花王社製)5gを使用する以外は、実施例1と同様の操作を行い、イソチオシアン酸アリルの乳化組成物1000gを得た(本発明品2:イソチオシアン酸アリル10.0%含有)。
実施例3
実施例1において、エマゾールL−120V(ポリソルベート20、花王社製)5gに替えてエマゾールO−120V(ポリソルベート80、花王社製)5gを使用する以外は、実施例1と同様の操作を行い、イソチオシアン酸アリルの乳化組成物1000gを得た(本発明品3:イソチオシアン酸アリル10.0%含有)。
比較例1(乳化剤としてキラヤサポニンを使用したもの)
異性化液糖(Bx75°)850gにキラヤニンC−100(丸善製薬社製:キラヤ抽出物25%含有)50gを混合溶解し水相部とする。これに、イソチオシアン酸アリル100gを混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、イソチオシアン酸アリルの乳化組成物1000gを得た(比較品1:イソチオシアン酸アリル10.0%含有)。
比較例2(乳化剤としてポリソルベートを使用したもの)
イソチオシアン酸アリル100gにエマゾールO−120V(ポリソルベート80、花王社製)20gを混合溶解し、油相部とする。これに異性化液糖(Bx75°)880gを混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、イソチオシアン酸アリルの乳化組成物1000gを得た(比較品2:イソチオシアン酸アリル10.0%含有)。
比較例3(乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用したもの)
異性化液糖(Bx75°)850gにデカグリセリンモノオレエート(商品名:Decaglyn1-OLV、日光ケミカルズ社製)50gを混合溶解し水相部とする。これに、イソチオシアン酸アリル100gを混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、イソチオシアン酸アリルの乳化組成物1000gを得た(比較品3:イソチオシアン酸アリル10.0%含有、製剤のpH8.5)。
比較例4(乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用し、pH調整を行ったもの)
比較例3では、製剤のpHが8.5とアルカリ側になってしまったため、酸を加え、pHを下げたものを調整した。
異性化液糖(Bx75°)815gに2%クエン酸水溶液35gおよびデカグリセリンモノオレエート(商品名:Decaglyn1-OLV、日光ケミカルズ社製)50gを混合溶解し水相部とする。これに、イソチオシアン酸アリル100gを混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、イソチオシアン酸アリルの乳化組成物1000gを得た(比較品4:イソチオシアン酸アリル10.0%含有、製剤のpH5.5)。
比較例5(乳化剤としてショ糖脂肪酸エステルを使用したもの)
異性化液糖(Bx75°)880gにショ糖ステアリン酸エステル(商品名:シュガーエステルDK−SS、第一工業製薬社製)20gを加えて溶解し水相部とする。これに、イソチオシアン酸アリル100gを混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、イソチオシアン酸アリルの乳化組成物1000gを得た(比較品5:イソチオシアン酸アリル10.0%含有、製剤のpH7.0)。
比較例6(乳化剤としてアラビアガムを使用したもの)
アラビアガム水溶液(濃度30%)500gを85℃〜95℃で15分間殺菌後、40℃以下に冷却し、グリセリン400gを加えて溶解し水相部とする。これに、イソチオシアン酸アリル100gを混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、イソチオシアン酸アリルの乳化組成物1000gを得た(比較品6:イソチオシアン酸アリル10.0%含有、製剤のpH4.5)。
比較例7(乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルおよびポリソルベートを使用したもの)
異性化液糖(Bx75°)845gにデカグリセリンモノオレエート(商品名:Decaglyn1-OLV、日光ケミカルズ社製)50gを混合溶解し水相部とする。これとは別に、イソチオシアン酸アリル100gにエマゾールO−120V(ポリソルベート80、花王社製)5gを混合溶解し、油相部とする。水相部と、油相部を混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、イソチオシアン酸アリルの乳化組成物1000gを得た(比較品7:イソチオシアン酸アリル10.0%含有)。
比較例8(乳化剤としてアラビアガムおよびポリソルベートを使用したもの)
アラビアガム水溶液(濃度30%)495gを85℃〜95℃で15分間殺菌後、40℃以下に冷却し、グリセリン400gを加えて溶解し水相部とする。これとは別に、イソチオシアン酸アリル100gにエマゾールO−120V(ポリソルベート80、花王社製)5gを混合溶解し、油相部とする。水相部と、油相部を混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、イソチオシアン酸アリルの乳化組成物1000gを得た(比較品8:イソチオシアン酸アリル10.0%含有)。
比較例9(乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルおよびキラヤサポニンを使用したもの)
異性化液糖(Bx75°)800gにデカグリセリンモノオレエート(商品名:Decaglyn1-OLV、日光ケミカルズ社製)50gおよびキラヤニンC−100(丸善製薬社製:キラヤ抽出物25%含有)50gを混合溶解し水相部とする。これに、イソチオシアン酸アリル100gを混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、イソチオシアン酸アリルの乳化組成物1000gを得た(比較品9:イソチオシアン酸アリル10.0%含有)。
実施例4
本発明品1〜3および比較品1〜9を30mlサンプル瓶に30gずつ小分けし、5℃、20℃および50℃にて1週間保存テストを行い、褐変および乳化の状態を肉眼で観察した。また、乳化状態をさらに電子顕微鏡で観察し、乳化の状態を判定した。結果を表1に示す。
Figure 2010142204
表1に示したとおり、乳化剤としてキラヤサポニンとポリソルベートを併用した本発明品1〜3は乳化直後において安定な乳化物が得られ、50℃、1週間保存した後も褐変もなく乳化状態も安定であった。
一方、本発明品に使用した2種類の乳化剤の一方である、キラヤサポニンを単独で使用した比較品1は乳化直後において、肉眼的には良好な乳化状態に見えたが、光学顕微鏡で観察したところ凝集物が見られた。また、1週間の保存により5℃でも粒子が増大し、20℃および50℃ではオイルの分離が見られ、乳化が壊れているのが観察された。
また、本発明品に使用した2種類の乳化剤のもう一方の乳化剤であるポリソルベートを使用した比較品2は乳化直後は乳化状態は良好であったが、1週間の保存により5℃および20℃では粒子が増大し、50℃ではオイルの分離が見られ、乳化が壊れているのが観察された。
比較品3は、乳化力が優れているため汎用される乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルを使用したものであるが、乳化直後においてもごく僅かであるが褐変しており、また、保存後の褐変が他の乳化剤に比べて大きかった。また、1週間の保存により5℃でも粒子が増大し、20℃および50℃ではオイルの分離が見られ、乳化が壊れているのが観察された。
イソチオシアン酸アリルはアルカリ性側では特に分解しやすい性質を持っているが、褐変についてはポリグリセリン脂肪酸エステルがアルカリ性に傾いていることが原因である可能性が考えられた。そこで、クエン酸を用いて、乳化製剤を弱酸性とした比較品4を調整した。しかしながら、比較品4は褐変については比較品3よりは少ないが、乳化の安定性については比較品4と同程度であった。
シュガーエステルやアラビアガムもポリグリセリン脂肪酸エステルと同様に汎用される乳化剤であり、また、溶解時の液性も中性〜弱酸性であるが、比較品5および比較品6の安定性試験結果は表1に示したとおり、本発明品1と比べて劣っていた。
また、本発明品での組み合わせに係る一方である、ポリソルベートと他の乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルを組み合わせた比較品7、アラビアガムを組み合わせた比較品8、本発明品での組み合わせに係る別の一方であるキラヤサポニンとポリグリセリン脂肪酸エステルを組み合わせた比較品9の安定性は試験結果は表1に示したとおり、本発明品1と比べて劣っていた。
実施例5
実施例4で乳化状態の良好であった、本発明品1〜3について、さらに保存期間を延長し、50℃で1ヶ月(乳化直後から起算)保存を行った。その結果、やや褐変が進み、香気的には劣化が見られたが、乳化状態は良好であり、光学顕微鏡による観察でも粒子の凝縮や増大が見られず、極めて安定な乳化状態を維持していた。
参考例1
脱脂したイエローマスタード粉砕物150Kgに40℃温水900Kgを加え、良く混合し、40℃にて3時間時々攪拌しながら(30分に約1分)静置した。その後、減圧下(40℃、0.04Mpa)にて水蒸気蒸留を行い、留出液300Kgを得た。留出液に塩化ナトリウム30kgを混合溶解して塩析し、1時間静置後、上層に浮かんだ精油をデカンテーションにて分離し、無水硫酸ナトリウムにて脱水濾過し、芥子精油1.15Kg(参考品1)を得た。
参考品1のイソチオシアン酸エステル類組成
(ガスクロマトグラフィー法、ピーク面積比による%)
成分 含有量
イソチオシアン酸アリル 71.5%
イソチオシアン酸n−ブチル 12.8%
イソチオシアン酸3−ブテニル 6.5%
イソチオシアン酸4−ペンテニル 2.2%
イソチオシアン酸2−フェニルエチル 1.1%
その他の香気成分 5.9%
実施例6(乳化剤としてキラヤサポニンとポリソルベートを使用したもの)
異性化液糖(Bx75°)845gにキラヤニンC−100(丸善製薬社製:キラヤ抽出物25%含有)50gを混合溶解し水相部とする。これとは別に、参考品1(芥子精油)100gにエマゾールL−120V(ポリソルベート20、花王社製)5gを混合溶解し、油相部とする。水相部と、油相部を混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、芥子精油の乳化組成物1000gを得た(本発明品4:芥子精油10.0%含有)。
実施例7
実施例6において、エマゾールL−120V(ポリソルベート20、花王社製)5gに替えてエマゾールS−120V(ポリソルベート60、花王社製)5gを使用する以外は、実施例6と同様の操作を行い、芥子精油の乳化組成物1000gを得た(本発明品5:芥子精油10.0%含有)。
実施例8
実施例6において、エマゾールL−120V(ポリソルベート20、花王社製)5gに替えてエマゾールO−120V(ポリソルベート80、花王社製)5gを使用する以外は、実施例6と同様の操作を行い、芥子精油の乳化組成物1000gを得た(本発明品6:芥子精油10.0%含有)。
比較例10(乳化剤としてキラヤサポニンを使用したもの)
異性化液糖(Bx75°)850gにキラヤニンC−100(丸善製薬社製:キラヤ抽出物25%含有)50gを混合溶解し水相部とする。これに、参考品1(芥子精油)100gを混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、芥子精油の乳化組成物1000gを得た(比較品10:芥子精油10.0%含有)。
比較例11(乳化剤としてポリソルベートを使用したもの)
参考品1(芥子精油)100gにエマゾールO−120V(ポリソルベート80、花王社製)20gを混合溶解し、油相部とする。これに異性化液糖(Bx75°)880gを混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、芥子精油の乳化組成物1000gを得た(比較品11:芥子精油10.0%含有)。
比較例12(乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用したもの)
異性化液糖(Bx75°)850gにデカグリセリンモノオレエート(商品名:Decaglyn1-OLV、日光ケミカルズ社製)50gを混合溶解し水相部とする。これに、参考品1(芥子精油)100gを混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、芥子精油の乳化組成物1000gを得た(比較品12:芥子精油10.0%含有)。
比較例13(乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用し、pH調整を行ったもの)
比較例12では、製剤のpHが8.5とアルカリ側になってしまったため、酸を加え、pHを下げたものを調整した。
異性化液糖(Bx75°)815gに2%クエン酸水溶液35gおよびデカグリセリンモノオレエート(商品名:Decaglyn1-OLV、日光ケミカルズ社製)50gを(乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用したもの)を混合溶解し水相部とする。これに、参考品1(芥子精油)100gを混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、芥子精油の乳化組成物1000gを得た(比較品13:芥子精油10.0%含有)。
比較例14(乳化剤としてショ糖脂肪酸エステルを使用したもの)
異性化液糖(Bx75°)880gにショ糖ステアリン酸エステル(商品名:シュガーエステルDK−SS、第一工業製薬社製)20gを加えて溶解し水相部とする。これに、参考品1(芥子精油)100gを混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、芥子精油の乳化組成物1000gを得た(比較品14:芥子精油10.0%含有)。
比較例15(乳化剤としてアラビアガムを使用したもの)
アラビアガム水溶液(濃度30%)500gを85℃〜95℃で15分間殺菌後、40℃以下に冷却し、グリセリン400gを加えて溶解し水相部とする。これに、参考品1(芥子精油)100gを混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、芥子精油の乳化組成物1000gを得た(比較品15:芥子精油10.0%含有)。
比較例16(乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルおよびポリソルベートを使用したもの)
異性化液糖(Bx75°)845gにデカグリセリンモノオレエート(商品名:Decaglyn1-OLV、日光ケミカルズ社製)50gを混合溶解し水相部とする。これとは別に、参考品1(芥子精油)100gにエマゾールO−120V(ポリソルベート80、花王社製)5gを混合溶解し、油相部とする。水相部と、油相部を混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、芥子精油の乳化組成物1000gを得た(比較品16:芥子精油10.0%含有)。
比較例17(乳化剤としてアラビアガムおよびポリソルベートを使用したもの)
アラビアガム水溶液(濃度30%)495gを85℃〜95℃で15分間殺菌後、40℃以下に冷却し、グリセリン400gを加えて溶解し水相部とする。これとは別に、参考品1(芥子精油)100gにエマゾールO−120V(ポリソルベート80、花王社製)5gを混合溶解し、油相部とする。水相部と、油相部を混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、イソチオシアン酸アリルの乳化組成物1000gを得た(比較品17:芥子精油10.0%含有)。
比較例18(乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルおよびキラヤサポニンを使用したもの)
異性化液糖(Bx75°)800gにデカグリセリンモノオレエート(商品名:Decaglyn1-OLV、日光ケミカルズ社製)50gおよびキラヤニンC−100(丸善製薬社製:キラヤ抽出物25%含有)50gを混合溶解し水相部とする。これに、参考品1(芥子精油)100gを混合し、TK−ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、イソチオシアン酸アリルの乳化組成物1000gを得た(比較品18:芥子精油10.0%含有)。
実施例9
本発明品4〜6および比較品10〜18を30mlサンプル瓶に30gずつ小分けし、5℃、20℃および50℃にて1週間保存テストを行い、褐変および乳化の状態を肉眼で観察した。また、乳化状態をさらに電子顕微鏡で観察し、乳化の状態を判定した。結果を表2に示す。
Figure 2010142204
表2に示したとおり、イソチオシアン酸リルに変えて芥子精油を使用した場合も表1に示したのと同様の結果であった。すなわち、キラヤサポニンとポリソルベートを併用した本発明品4〜6は乳化直後において安定な乳化物が得られ、50℃、1週間保存した後も褐変もなく乳化状態も安定であった。一方、その他の乳化剤、またはそれらを組み合わせて使用した比較例10〜18では安定性が良好な乳化物は得られなかった。
実施例10
実施例9で乳化状態の良好であった、本発明品4〜6について、さらに保存期間を延長し、50℃で1ヶ月(乳化直後から起算)保存を行った。その結果、やや褐変が進み、香気的には劣化が見られたが、乳化状態は良好であり、光学顕微鏡による観察でも粒子の凝縮や増大が見られず、極めて安定な乳化状態を維持していた。

Claims (2)

  1. (A)イソチオシアン酸エステル、(B)キラヤサポニン、(C)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル並びに(D)水および/または多価アルコールを含有することを特徴とするO/W型乳化組成物。
  2. (A)イソチオシアン酸エステルを0.1質量%〜40質量%、(B)キラヤサポニンを0.05質量%〜20質量%、(C)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを0.005質量%〜2質量%並びに(D)水および/または多価アルコールを10質量%〜90質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のO/W型乳化組成物。
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