JP2010142200A - L−リジンの製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】L−リジンを効率よく生産することのできるエシェリヒア・コリを提供すること、及び該細菌を用いてL−リジンを効率よく生産する方法を提供すること。
【解決手段】L−リジン生産能を有し、かつ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性が増強するように改変されたエシェリヒア・コリを、培地、好ましくはグリセロールを炭素源として含む培地に培養し、培養物中にL−リジンを生産蓄積させ、該培養物からL−リジンを採取することにより、L−リジンを製造する。
【選択図】なし
【解決手段】L−リジン生産能を有し、かつ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性が増強するように改変されたエシェリヒア・コリを、培地、好ましくはグリセロールを炭素源として含む培地に培養し、培養物中にL−リジンを生産蓄積させ、該培養物からL−リジンを採取することにより、L−リジンを製造する。
【選択図】なし
Description
本発明は、細菌を用いたL−リジンの製造法に関する。L−リジンは、動物飼料用の添加物、健康食品の成分、又はアミノ酸輸液等として、産業上有用なL−アミノ酸である。
L−リジンは、L−リジン生産能を有するコリネ型細菌またはエシェリヒア属細菌等のL−リジン生産菌を用いて発酵法により工業生産されている。これらのL−リジン生産菌としては、生産性を向上させるために、自然界から分離した菌株または該菌株の人工変異株、あるいは遺伝子組換えによりL−リジン生合成酵素活性が増強された組換え体等が用いられている。L−リジンの製造法としては、例えば、特許文献1〜4に記載された方法を挙げることができる。
一般的に、微生物を用いてアミノ酸生産を行う際には、炭素源に糖質を主成分として用いているが、グリセロールも糖質と同様に炭素源として用いることが可能である(特許文献5、6)。
グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(以下、「GAPDH」とも記載する)は、解糖系の酵素であり、グリセルアルデヒド−3−リン酸から1,3−ジホスホグリセリン酸を生成する反応を可逆的に触媒する。エシェリヒア属細菌やサルモネラ属細菌等の腸内細菌では、GAPDHはgapA遺伝子によってコードされており、各々のgapA遺伝子には多形が存在するものの、それらの遺伝子の塩基配列及びコードするアミノ酸配列は、高い相同性を保っている(非特許文献1)。
gapA遺伝子の利用については、L−スレオニン生産菌において、gapA遺伝子等の解糖系酵素遺伝子の発現を強化することによりL−スレオニン生産能を向上させる技術が知られている(特許文献7)。同文献には、それらのL−スレオニン生産菌の培養に用いる炭素源として、グリセロールが例示されている。
また、GAPDHを含む種々の酵素をコードする遺伝子の発現を強化したコリネ型細菌を用いて、L−リジン等のアミノ酸を製造する方法が開示されている(特許文献8)。
しかしながら、エシェリヒア・コリのL−リジン生産菌におけるGAPDH活性の強化について、L−リジン生産性に対する効果は知られていない。
米国特許第6221636号
米国特許第6040160号
欧州特許公開第1158043号
欧州特許公開第1063288号
欧州特許公開第1715055号
欧州特許公開第1715056号
国際公開第WO05/078113号パンフレット
米国特許出願公開20020058277号
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, 6667-6671 (1991)
本発明は、グリセロールを炭素源としてL−リジンを効率よく生産することのできるエシェリヒア・コリを提供すること、及び該細菌を用いてL−リジンを効率よく生産する方
法、好ましくはグリセロールを炭素源としてL−リジンを効率よく生産する方法を提供することを課題とする。
法、好ましくはグリセロールを炭素源としてL−リジンを効率よく生産する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、GAPDH活性が増大するように細菌を改変することにより、L−リジン生産性、特にグリセロールを炭素源としたときのL−リジン生産性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)L−リジン生産能を有し、かつ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性が増強するように改変されたエシェリヒア・コリを培地で培養し、培養物中にL−リジンを生産蓄積させ、該培養物からL−リジンを採取することを特徴とする、L−リジンの製造法。
(2)前記細菌が、gapA遺伝子の発現が増大するように改変された、前記方法。
(3)前記gapA遺伝子が、下記(a)又は(b)に記載のDNAである、前記方法:
(a)配列番号1に示す塩基配列を有するDNA、
(b)配列番号1に示す塩基配列の相補配列又は同塩基配列から調製され得るプローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(4)前記グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼが、下記(A)又は(B)に記載のタンパク質である、前記方法:
(A)配列番号2に示すアミノ酸配列を有するタンパク質、
(B)配列番号2に示すアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列を有し、かつ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
(5)前記遺伝子の発現が、同遺伝子のコピー数を高めること、又は同遺伝子の発現調節配列を改変されたことによって増大された、前記方法。
(6)前記培地がグリセロールを炭素源として含む前記方法。
(1)L−リジン生産能を有し、かつ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性が増強するように改変されたエシェリヒア・コリを培地で培養し、培養物中にL−リジンを生産蓄積させ、該培養物からL−リジンを採取することを特徴とする、L−リジンの製造法。
(2)前記細菌が、gapA遺伝子の発現が増大するように改変された、前記方法。
(3)前記gapA遺伝子が、下記(a)又は(b)に記載のDNAである、前記方法:
(a)配列番号1に示す塩基配列を有するDNA、
(b)配列番号1に示す塩基配列の相補配列又は同塩基配列から調製され得るプローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(4)前記グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼが、下記(A)又は(B)に記載のタンパク質である、前記方法:
(A)配列番号2に示すアミノ酸配列を有するタンパク質、
(B)配列番号2に示すアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列を有し、かつ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
(5)前記遺伝子の発現が、同遺伝子のコピー数を高めること、又は同遺伝子の発現調節配列を改変されたことによって増大された、前記方法。
(6)前記培地がグリセロールを炭素源として含む前記方法。
本発明の方法により、効率よくL−リジンを発酵生産することが出来る。
<1>本発明の細菌
本発明の細菌は、L−リジン生産能を有し、かつ、GAPDH活性が増大するように改変されたエシェリヒア・コリである。
本発明の細菌は、L−リジン生産能を有し、かつ、GAPDH活性が増大するように改変されたエシェリヒア・コリである。
本発明において、L−リジン生産能とは、本発明の細菌を培地中で培養したときに、培地中または菌体内にL−リジンを生成し、培地中または菌体から回収できる程度に蓄積する能力をいう。L−リジンの生産能を有する細菌としては、本来的にL−リジンの生産能を有するものであってもよいが、下記のような細菌を、変異法や組換えDNA技術を利用して、L−リジンの生産能を有するように改変したものであってもよい。
また、本発明において、L−リジンとは、L−リジンフリー体のみならず、L−リジン塩酸塩、L−リジン硫酸塩、L−リジン炭酸塩等の塩も含む。
また、本発明において、L−リジンとは、L−リジンフリー体のみならず、L−リジン塩酸塩、L−リジン硫酸塩、L−リジン炭酸塩等の塩も含む。
また、本発明において「遺伝子の発現の増大」とは、遺伝子の転写及び/又は翻訳の量が増大することをいう。
<1−1>L−リジン生産能の付与
以下に、細菌にL−リジンの生産能を付与する方法及び本発明で使用することのできる
L−リジンの生産能が付与されたエシェリヒア・コリを例示する。ただし、L−リジンの生産能を有する限り、これらに制限されない。
以下に、細菌にL−リジンの生産能を付与する方法及び本発明で使用することのできる
L−リジンの生産能が付与されたエシェリヒア・コリを例示する。ただし、L−リジンの生産能を有する限り、これらに制限されない。
本発明のエシェリヒア・コリを得るために用いるエシェリヒア・コリの親株としては、特に限定されないが、具体的にはNeidhardtらの著書(Backmann, B. J. 1996. Derivations and Genotypes of some mutant derivatives of Escherichia coli K-12, p. 2460-2488. Table 1. In F. D. Neidhardt (ed.), Escherichia coli and Salmonella Cellular and Molecular Biology/Second Edition, American Society for Microbiology Press, Washington, D.C.)に挙げられるものが利用できる。具体的には、プロトタイプの野生株K12株由来のエシェリヒア・コリ W3110 (ATCC 27325)、エシェリヒア・コリ MG1655
(ATCC 47076)等が挙げられる。
(ATCC 47076)等が挙げられる。
これらを入手するには、例えばアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(住所
P.O. Box 1549, Manassas, VA 20108, United States of America)より分譲を受けることが出来る。すなわち各菌株に対応する登録番号が付与されており、この登録番号を利用して分譲を受けることが出来る(http://www.atcc.org/参照)。各菌株に対応する登録番号は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションのカタログに記載されている。
P.O. Box 1549, Manassas, VA 20108, United States of America)より分譲を受けることが出来る。すなわち各菌株に対応する登録番号が付与されており、この登録番号を利用して分譲を受けることが出来る(http://www.atcc.org/参照)。各菌株に対応する登録番号は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションのカタログに記載されている。
以下、エシェリヒア・コリにL−リジン生産能を付与する方法、又はエシェリヒア・コリにおいて前記L−リジンの生産能を増強する方法について述べる。
L−リジン生産能を付与するには、栄養要求性変異株、アナログ耐性株又は代謝制御変異株の取得や、L−リジンの生合成系酵素の発現が増強された組換え株の創製等、従来、コリネ型細菌又はエシェリヒア属細菌等の育種に採用されてきた方法を適用することができる(アミノ酸発酵、(株)学会出版センター、1986年5月30日初版発行、第77-100頁参照)。ここで、L−リジン生産菌の育種において、付与される栄養要求性、アナログ耐性、代謝制御変異等の性質は、単独でもよく、2種又は3種以上であってもよい。また、発現が増強されるL−リジン生合成系酵素も、単独であっても、2種又は3種以上であってもよい。さらに、栄養要求性、アナログ耐性、代謝制御変異等の性質の付与と、生合成系酵素の増強が組み合わされてもよい。
L−リジン生産能を有する栄養要求性変異株、L−リジンのアナログ耐性株、又は代謝制御変異株を取得するには、親株又は野生株を通常の変異処理、すなわちX線や紫外線の照射、またはN-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(NTG)もしくはエチルメタンスルフォネート(EMS)等の変異剤処理などによって処理し、得られた変異株の中から、栄養要求性、アナログ耐性、又は代謝制御変異を示し、かつL−リジン生産能を有するものを選択することによって得ることができる。
以下、L−リジン生産菌又はその構築方法を例として示す。
例えば、L−リジン生産能を有する株としては、L−リジンアナログ耐性株又は代謝制御変異株が挙げられる。L−リジンアナログの例としては、オキサリジン、リジンヒドロキサメート、S−(2−アミノエチル)−L−システイン(AEC)、γ−メチルリジン、α−クロロカプロラクタムなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらのリジンアナログに対して耐性を有する変異株は、エシェリヒア・コリを通常の人工変異処理に付すことによって得ることができる。L−リジン生産菌として具体的には、エシェリヒア・コリAJ11442株(FERM BP-1543、NRRL B-12185;特開昭56-18596号公報及び米国特許第4346170号明細書参照)、エシェリヒア・コリ VL611株(特開2000-189180号公報)等が挙げられる。また、エシェリヒア・コリのL−リジン生産菌として、WC196株(国際公開第96/17930号パンフレット参照)を用いることも出来る。WC196株は、エシェリヒア・コリK-12由来のW3110株にAEC耐性を付与することによって育種されたものである。同株は、エシェ
リヒア・コリAJ13069株と命名され、平成6年12月6日付で工業技術院生命工学工業技術研究所(現 独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に受託番号FERM P-14690として寄託され、平成7年9月29日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP-5252が付与されている。
例えば、L−リジン生産能を有する株としては、L−リジンアナログ耐性株又は代謝制御変異株が挙げられる。L−リジンアナログの例としては、オキサリジン、リジンヒドロキサメート、S−(2−アミノエチル)−L−システイン(AEC)、γ−メチルリジン、α−クロロカプロラクタムなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらのリジンアナログに対して耐性を有する変異株は、エシェリヒア・コリを通常の人工変異処理に付すことによって得ることができる。L−リジン生産菌として具体的には、エシェリヒア・コリAJ11442株(FERM BP-1543、NRRL B-12185;特開昭56-18596号公報及び米国特許第4346170号明細書参照)、エシェリヒア・コリ VL611株(特開2000-189180号公報)等が挙げられる。また、エシェリヒア・コリのL−リジン生産菌として、WC196株(国際公開第96/17930号パンフレット参照)を用いることも出来る。WC196株は、エシェリヒア・コリK-12由来のW3110株にAEC耐性を付与することによって育種されたものである。同株は、エシェ
リヒア・コリAJ13069株と命名され、平成6年12月6日付で工業技術院生命工学工業技術研究所(現 独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に受託番号FERM P-14690として寄託され、平成7年9月29日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP-5252が付与されている。
また、L−リジン生合成系の酵素活性を上昇させることによっても、L−リジン生産菌を構築することが出来る。これらの酵素活性の上昇は、酵素をコードする遺伝子のコピー数を細胞内で上昇させること、または発現調節配列を改変することによって達成できる。L−リジン生合成系の酵素をコードする遺伝子のコピー数を細胞内で上昇させること、および発現調節配列を改変することは、後述のgapA遺伝子の場合と同様の方法によって達成することができる。
L−リジン生合成系酵素をコードする遺伝子としては、ジヒドロジピコリン酸合成酵素遺伝子(dapA)、アスパルトキナーゼ遺伝子(lysC)、ジヒドロジピコリン酸レダクターゼ遺伝子(dapB)、ジアミノピメリン酸脱炭酸酵素遺伝子(lysA)、ジアミノピメリン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(ddh)(以上、国際公開第96/40934号パンフレット)、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子(ppc) (特開昭60-87788号公報)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子(aspC)(特公平6-102028号公報)、ジアミノピメリン酸エピメラーゼ遺伝子(dapF)(特開2003-135066号公報)、アスパラギン酸セミアルデヒド脱水素酵素遺伝子(asd)(国際公開第00/61723号パンフレット)等のジアミノピメリン酸経路の酵素の遺伝子、あるいはホモアコニット酸ヒドラターゼ遺伝子(特開2000-157276号公報)等のアミノアジピン酸経路の酵素等の遺伝子が挙げられる。また、親株は、エネルギー効率に関与する遺伝子(cyo) (EP 1170376 A)、ニコチンアミドヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼをコードする遺伝子(pntAB) (米国特許第5,830,716号)、L−リジン排出活性を有するタンパク質をコードするybjE遺伝子(WO2005/073390)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子(gdhA)(Gene23:199-209(1983))、または、これらの任意の組み合わせの遺伝子の発現レベルが増大していてもよい。カッコ内は、それらの遺伝子の略記号である。
エシェリヒア・コリ由来の野生型ジヒドロジピコリン酸合成酵素はL−リジンによるフィードバック阻害を受けることが知られており、エシェリヒア・コリ由来の野生型アスパルトキナーゼはL−リジンによる抑制及びフィードバック阻害を受けることが知られている。したがって、dapA遺伝子及びlysC遺伝子を用いる場合、これらの遺伝子は、L−リジンによるフィードバック阻害を受けない変異型遺伝子であることが好ましい。
L−リジンによるフィードバック阻害を受けない変異型ジヒドロジピコリン酸合成酵素をコードするDNAとしては、118位のヒスチジン残基がチロシン残基に置換された配列を有するタンパク質をコードするDNAが挙げられる。また、L−リジンによるフィードバック阻害を受けない変異型アスパルトキナーゼをコードするDNAとしては、352位のスレオニン残基がイソロイシン残基に置換、323位のグリシン残基がアスパラギン残基に置換、318位のメチオニンがイソロイシンに置換された配列を有するAKIIIをコードするDNAが挙げられる(これらの変異体については米国特許第5661012号及び第6040160号明細書参照)。変異型DNAはPCRなどによる部位特異的変異法により取得することができる。
なお、変異型ジヒドロジピコリン酸合成酵素をコードする変異型dapA及び変異型アスパルトキナーゼをコードする変異型lysCを含むプラスミドとして、広宿主域プラスミドRSFD80、pCAB1、pCABD2が知られている(米国特許第6040160号明細書)。RRSFD80で形質転換されたエシェリヒア・コリ JM109株(米国特許第6040160号明細書)は、AJ12396と命名さ
れ、同株は1993年10月28日に通産省工業技術院生命工学工業技術研究所(現 独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター)に受託番号FERM P-13936として寄託され、1994年11月1日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、FERM BP-4859の受託番号のもとで寄託されている。RSFD80は、AJ12396株から、公知の方法によって取得することができる。
れ、同株は1993年10月28日に通産省工業技術院生命工学工業技術研究所(現 独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター)に受託番号FERM P-13936として寄託され、1994年11月1日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、FERM BP-4859の受託番号のもとで寄託されている。RSFD80は、AJ12396株から、公知の方法によって取得することができる。
さらに、L−アミノ酸生産菌は、L−リジンの生合成経路から分岐して他の化合物を生成する反応を触媒する酵素の活性や、L−リジンの合成又は蓄積に負に機能する酵素活性が低下または欠損していてもよい。L−リジン生産において、このような酵素としては、ホモセリンデヒドロゲナーゼ、リジンデカルボキシラーゼ(cadA, ldcC)、マリックエンザイム等があり、該酵素の活性が低下または欠損した株は国際公開第WO95/23864号パンフレット、第WO96/17930号パンフレット、第WO2005/010175号パンフレットなどに記載されている。
リジンデカルボキシラーゼ活性を低下または欠損させるためには、リジンデカルボキシラーゼをコードするcadA遺伝子とldcC遺伝子の両方の発現を低下させることが好ましい。両遺伝子の発現低下は、例えば、後述の実施例2に記載の方法に従って行うことができる。
これらの酵素活性を低下あるいは欠損させるには、通常の変異処理法又は遺伝子組換え技術によって、ゲノム上の上記酵素の遺伝子に、細胞中の当該酵素の活性が低下または欠損するような変異を導入すればよい。このような変異の導入は、例えば、遺伝子組換えによって、ゲノム上の酵素をコードする遺伝子を欠損させたり、プロモーターやシャインダルガルノ(SD)配列等の発現調節配列を改変したりすることなどによって達成される。また、ゲノム上の酵素をコードする領域にアミノ酸置換(ミスセンス変異)を導入すること、また終始コドンを導入すること(ナンセンス変異)、一〜二塩基付加・欠失するフレームシフト変異を導入すること、遺伝子の一部分、あるいは全領域を欠失させることによっても達成出来る(J. Biol. Chem. 272:8611-8617(1997))。また、酵素遺伝子のコード領域の全体又は一部が欠失したような変異遺伝子を構築し、相同組換えなどによって、該遺伝子でゲノム上の正常遺伝子を置換すること、又はトランスポゾン、IS因子を酵素遺伝子に導入することによっても酵素活性を低下または欠損させることができる。
例えば、上記の酵素の活性を低下または欠損させるような変異を遺伝子組換えにより導入する為には、以下のような方法が用いられる。目的遺伝子の部分配列を改変し、正常に機能する酵素を産生しないようにした変異型遺伝子を作製し、該遺伝子を含むDNAでエシェリヒア・コリを形質転換し、変異型遺伝子とゲノム上の遺伝子で組換えを起こさせることにより、ゲノム上の目的遺伝子を変異型に置換することが出来る。このような相同組換えを利用した遺伝子置換は、「Redドリブンインテグレーション(Red-driven integration)」と呼ばれる方法(Datsenko, K. A, and Wanner, B. L. Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 97:6640-6645 (2000))、又は、Redドリブンインテグレーション法とλファージ由来の切り出しシステム(Cho, E. H., Gumport, R. I., Gardner, J. F. J. Bacteriol. 184: 5200-5203 (2002))とを組合わせた方法(WO2005/010175号参照)等の直鎖状DNAを用いる方法や、温度感受性複製起点を含むプラスミドを用いる方法などがある(米国特許第6303383号; 特開平05-007491号公報)。また、上述のような相同組換えを利用した遺伝子置換による部位特異的変異導入は、宿主上で複製能力を持たないプラスミドを用いても行うことが出来る。
好ましいL−リジン生産菌として、エシェリヒア・コリWC196ΔcadAΔldcC/pCABD2が挙げられる(WO2006/078039)。この菌株は、WC196株より、リジンデカルボキシラーゼをコードするcadA及びldcC遺伝子を破壊し、リジン生合成系遺伝子を含むプラスミドpCABD2(
米国特許第6,040,160号)を導入することにより構築した株である。WC196株は、E.coli K-12に由来するW3110株から取得された株で、352番目のスレオニンをイソロイシンに置換することによりL−リジンによるフィードバック阻害が解除されたアスパルトキナーゼIIIをコードする変異型lysC遺伝子(米国特許第5,661,012号)でW3110株の染色体上の野生型lysC遺伝子を置き換えた後、AEC耐性を付与することにより育種された(米国特許第5,827,698号)。WC196株は、Escherichia coli AJ13069と命名され、1994年12月6日、工業技術院生命工学工業技術研究所(現 独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に受託番号FERM P-14690として寄託され、1995年9月29日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP-5252が付与されている(米国特許第5,827,698号)。WC196ΔcadAΔldcC自体も、好ましいL−リジン生産菌である。WC196ΔcadAΔldcCは、AJ110692と命名され、2008年10月7日に工業技術院生命工学工業技術研究所(現 独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に国際寄託され、受託番号FERM BP-11027が付与されている。
米国特許第6,040,160号)を導入することにより構築した株である。WC196株は、E.coli K-12に由来するW3110株から取得された株で、352番目のスレオニンをイソロイシンに置換することによりL−リジンによるフィードバック阻害が解除されたアスパルトキナーゼIIIをコードする変異型lysC遺伝子(米国特許第5,661,012号)でW3110株の染色体上の野生型lysC遺伝子を置き換えた後、AEC耐性を付与することにより育種された(米国特許第5,827,698号)。WC196株は、Escherichia coli AJ13069と命名され、1994年12月6日、工業技術院生命工学工業技術研究所(現 独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に受託番号FERM P-14690として寄託され、1995年9月29日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP-5252が付与されている(米国特許第5,827,698号)。WC196ΔcadAΔldcC自体も、好ましいL−リジン生産菌である。WC196ΔcadAΔldcCは、AJ110692と命名され、2008年10月7日に工業技術院生命工学工業技術研究所(現 独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に国際寄託され、受託番号FERM BP-11027が付与されている。
pCABD2は、L−リジンによるフィードバック阻害が解除された変異を有するエシェリヒア・コリ由来のジヒドロジピコリン酸合成酵素(DDPS)をコードする変異型dapA遺伝子と、L−リジンによるフィードバック阻害が解除された変異を有するエシェリヒア・コリ由来のアスパルトキナーゼIIIをコードする変異型lysC遺伝子と、エシェリヒア・コリ由来のジヒドロジピコリン酸レダクターゼをコードするdapB遺伝子と、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム由来ジアミノピメリン酸デヒドロゲナーゼをコードするddh遺伝子を含んでいる。
また、本発明に用いるL−リジン生産菌は、L−リジンの生合成系酵素をコードする遺伝子以外に、グリセロール代謝に関与する遺伝子、1,3−ジホスホグリセリン酸より下流の解糖系酵素をコードする遺伝子が改変されていてもよい。
グリセロール代謝に関与する遺伝子としては、グリセロールの資化性を高めるために、glpR遺伝子(EP1715056)の発現が弱化されているか、glpA、glpB、glpC、glpD、glpE、glpF、glpG、glpK、glpQ、glpT、glpX、tpiA、gldA、dhaK、dhaL、dhaM、dhaR、fsa及びtalC遺伝子等のグリセロール代謝遺伝子(EP1715055A)の発現が強化されていてもよい。
特にグリセロール資化性を高めるために、グリセロールデヒドロゲナーゼ(gldA)、ジハイドロキシアセトンキナーゼ(dhaKLM,dak)遺伝子、フルクトースー6−リン酸アルドラーゼ(fsaB)の発現が強化されていることが好ましい(WO2008/102861)。
特にグリセロール資化性を高めるために、グリセロールデヒドロゲナーゼ(gldA)、ジハイドロキシアセトンキナーゼ(dhaKLM,dak)遺伝子、フルクトースー6−リン酸アルドラーゼ(fsaB)の発現が強化されていることが好ましい(WO2008/102861)。
また、グリセロールキナーゼ(glpK)においては、フルクトース-1,6-リン酸によるフィードバック阻害が解除された脱感作型glpK遺伝子を用いることが好ましい。(WO2008/081959,WO2008/107277)
1,3−ジホスホグリセリン酸より下流の解糖系酵素をコードする遺伝子としては、ピルビン酸キナーゼ遺伝子(pykF;国際公開03/008609号パンフレット)、トランスアルドラーゼ遺伝子(talB;国際公開03/008611号パンフレット)、フマラーゼ遺伝子(fum;国際公開01/02545号パンフレット)、ホスホエノールピルビン酸シンターゼ遺伝子(pps;欧州出願公開877090号パンフレット)が挙げられる。
本発明の細菌は、上述したようなL−リジンの生産能を有する細菌をGAPDH活性が増大するように改変することによって、取得できる。また、本発明の細菌は、GAPDH活性が増大するように改変された細菌に、L−リジン生産能を付与することによっても、取得できる。
なお、GAPDH活性の増強は、後述するように、GAPDHをコードする遺伝子の発現が増大するように改変することによって達成でき、この発現の増大はプロモーター改変を始めとする発現調節領域改変などによる内因性遺伝子の発現増強であってもよいし、遺伝子を含むプラスミドの導入などによる外因性遺伝子の発現増強であってもよい。さらに、これらを組み合わせてもよい。
ここで、GAPDH活性とは、グリセルアルデヒド−3−リン酸から1,3−ジホスホグリセリン酸を生成する反応を触媒する活性を意味し、「GAPDH活性が増強するように改変された」とは、野生株、または親株のような非改変株に対して、細胞あたりのGAPDHの分子の数が増大した場合や、GAPDHの分子当たりの活性が向上した場合が該当する。GAPDH活性は非改変株と比較して、菌体当たり150%以上、好ましくは200%以上、さらに望ましくは菌体当たり300%以上に向上するように改変されていることが好ましい。ここで、対照となる非改変株、例えば野生株のエシェリヒア・コリとしては、エシェリヒア・コリMG1655株(ATCC 47076)、及びW3110株(ATCC 27325)、パントエア・アナナティスAJ13335株(FERM
BP-6614、欧州特許出願公開0952221号明細書)などが挙げられる。GAPDH活性は、例えば、The Journal of Biological Chemistry, 239, 2140 (1963)に記載された方法や、または下記の反応式に示すようにphosphoglycerate kinase (PGK)を共役させる方法などによって測定することができる。
3-Phosphoglycerate⇔Glycerate-1,3-biphoshate⇔Glyceraldehyde-3-phosphate
BP-6614、欧州特許出願公開0952221号明細書)などが挙げられる。GAPDH活性は、例えば、The Journal of Biological Chemistry, 239, 2140 (1963)に記載された方法や、または下記の反応式に示すようにphosphoglycerate kinase (PGK)を共役させる方法などによって測定することができる。
3-Phosphoglycerate⇔Glycerate-1,3-biphoshate⇔Glyceraldehyde-3-phosphate
GAPDH活性の増強は、GAPDHをコードする遺伝子の発現を増大させるように改変することによって達成できる。エシェリヒア・コリのGAPDHをコードする遺伝子として、gapA遺伝子が知られている。同遺伝子の塩基配列及びコードされるアミノ酸配列を、各々配列番号1及び2に示す。
GAPDHをコードする遺伝子(gapA遺伝子)の発現が非改変株、例えば親株、又は野生株と比べて増強していることの確認は、同遺伝子から転写されるmRNAの量を野生型、あるいは非改変株と比較することによって確認出来る。発現の増大の確認方法としては、ノーザンハイブリダイゼーション、Reverse-Transcriptase PCR(RT-PCR)が挙げられる(Sambrook, J., and Russell, D.W. Molecular Cloning A Laboratory Manual/Third Edition.
New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001))。発現の上昇については、非改変株と比較して上昇していればよいが、例えば非改変株と比べて1.5倍以上、より好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上上昇していることが望ましい。また、発現の増大は、GAPDHのタンパク質量が非改変株と比較して上昇していることによっても確認することができ、例えば抗体を用いてウェスタンブロットによって検出することが出来る(Sambrook, J., and Russell, D.W. Molecular Cloning A Laboratory Manual/Third Edition. New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001))。
New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001))。発現の上昇については、非改変株と比較して上昇していればよいが、例えば非改変株と比べて1.5倍以上、より好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上上昇していることが望ましい。また、発現の増大は、GAPDHのタンパク質量が非改変株と比較して上昇していることによっても確認することができ、例えば抗体を用いてウェスタンブロットによって検出することが出来る(Sambrook, J., and Russell, D.W. Molecular Cloning A Laboratory Manual/Third Edition. New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001))。
本発明のgapA遺伝子とは、エシェリヒア属細菌のgapA遺伝子、及びそのホモログをいう。エシェリヒア・コリのgapA遺伝子としては、配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子(配列番号1;GenBank accession NC_000913.2, GI:49175990; 塩基番号1860795〜1861790)を例示することができる。
gapA遺伝子のホモログとは、他の微生物由来で、エシェリヒア属細菌のgapA遺伝子と高い相同性を示し、宿主に導入した際に、GAPDH活性を有する蛋白質をコードする遺伝子をいう。
例えばgapAホモログとしては、サルモネラ属等のGenbankに登録されているgapA遺伝子が挙げられる。さらに、gapA遺伝子は、上記で例示された遺伝子との相同性に基づいて、サッカロミセス属からクローニングされるものであってもよい。エシェリヒア属細菌のga
pAと相同性が高ければ、異なる遺伝子名が付与されているものでもよい。例えば、gapA遺伝子ホモログは、配列番号3と配列番号4の合成オリゴヌクレオチドを用いてクローニング出来る遺伝子も含まれる。
pAと相同性が高ければ、異なる遺伝子名が付与されているものでもよい。例えば、gapA遺伝子ホモログは、配列番号3と配列番号4の合成オリゴヌクレオチドを用いてクローニング出来る遺伝子も含まれる。
また、gapA遺伝子ホモログは、上記の配列情報に基づき、相同性が高い遺伝子を公知のデータベースから取得できる。アミノ酸配列および塩基配列の相同性は、例えばKarlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873 (1993))やFASTA(Methods Enzymol., 183, 63 (1990))を用いて決定することができる。このアルゴリズムBLASTに基づいて、BLASTNやBLASTXとよばれるプログラムが開発されている (http://www.ncbi.nlm.nih.gov参照)。尚、本明細書において、「相同性」(homology)」は、「同一性」(identity)を指すことがある。
また、本発明に用いるgapA遺伝子は、野生型遺伝子には限られず、コードされるタンパク質の機能が損なわれない限り、配列番号2のアミノ酸配列において、1若しくは複数の位置での1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は付加等を含む配列を有するタンパク質をコードする、変異体又は人為的な改変体であってもよい。
ここで、「1若しくは数個」とは、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造における位置や種類によっても異なるが、具体的には1〜20個、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個を意味する。上記の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、または付加は、GAPDH活性が維持される保存的変異である。保存的変異の代表的なものは、保存的置換である。保存的置換とは、置換部位が芳香族アミノ酸である場合には、Phe、Trp、Tyr間で、置換部位が疎水性アミノ酸である場合には、Leu、Ile、Val間で、極性アミノ酸である場合には、Gln、Asn間で、塩基性アミノ酸である場合には、Lys、Arg、His間で、酸性アミノ酸である場合には、Asp、Glu間で、ヒドロキシル基を持つアミノ酸である場合には、Ser、Thr間でお互いに置換する変異である。保存的置換としては、具体的には、AlaからSer又はThrへの置換、ArgからGln、His又はLysへの置換、AsnからGlu、Gln、Lys、His又はAspへの置換、AspからAsn、Glu又はGlnへの置換、CysからSer又はAlaへの置換、GlnからAsn、Glu、Lys、His、Asp又はArgへの置換、GluからGly、Asn、Gln、Lys又はAspへの置換、GlyからProへの置換、HisからAsn、Lys、Gln、Arg又はTyrへの置換、IleからLeu、Met、Val又はPheへの置換、LeuからIle、Met、Val又はPheへの置換、LysからAsn、Glu、Gln、His又はArgへの置換、MetからIle、Leu、Val又はPheへの置換、PheからTrp、Tyr、Met、Ile又はLeuへの置換、SerからThr又はAlaへの置換、ThrからSer又はAlaへの置換、TrpからPhe又はTyrへの置換、TyrからHis、Phe又はTrpへの置換、及び、ValからMet、Ile又はLeuへの置換が挙げられる。また、上記のようなアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、または逆位等には、gapA遺伝子を保持する微生物の個体差、種の違いに基づく場合などの天然に生じる変異(mutant又はvariant)によって生じるものも含まれる。このような遺伝子は、例えば、部位特異的変異法によって、コードされるタンパク質の特定の部位のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入または付加を含むように配列番号1に示す塩基配列を改変することによって取得することができる。
さらに、gapA遺伝子としては、配列番号2のアミノ酸配列全体に対して、90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、特に好ましくは98%、さらに好ましくは99%以上の相同性を有するアミノ酸配列をコードする遺伝子を用いることが出来る。
また、それぞれgapA遺伝子が導入される宿主で使用しやすいコドンに置換したものでもよい。同様にGAPDH活性を保持する限り、N末端側、C末端側が延長したものあるいは削られているものでもよい。例えば延長・削除する長さは、アミノ酸残基で50以下、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、特に好ましくは5以下である。より具体的には、配列番号2のアミノ酸配列のN末端側より50アミノ酸から5アミノ酸、C末端側より50アミノ
酸から5アミノ酸延長・削除したものでもよい。
また、それぞれgapA遺伝子が導入される宿主で使用しやすいコドンに置換したものでもよい。同様にGAPDH活性を保持する限り、N末端側、C末端側が延長したものあるいは削られているものでもよい。例えば延長・削除する長さは、アミノ酸残基で50以下、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、特に好ましくは5以下である。より具体的には、配列番号2のアミノ酸配列のN末端側より50アミノ酸から5アミノ酸、C末端側より50アミノ
酸から5アミノ酸延長・削除したものでもよい。
また、gapA遺伝子の改変体は、以下のような従来知られている変異処理によっても取得され得る。変異処理としてはgapA遺伝子をヒドロキシルアミン等でインビトロ処理する方法、および該遺伝子を保持する微生物、例えばエシェリヒア属細菌を、紫外線またはN-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(NTG)もしくはエチルメタンスルフォネート(EMS)等の通常変異処理に用いられている変異剤によって処理する方法が挙げられる。
また、gapA遺伝子は、それぞれ、配列番号1の塩基配列の相補配列又はこれら配列から調製され得るプローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであってもよい。
ここで、「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せば、相同性が高いDNA同士、例えば80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件、あるいは通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である60℃、1×SSC,0.1% SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1% SDS、さらに好ましくは、68℃、0.1×SSC、0.1% SDSに相当する塩濃度、温度で、1回、より好ましくは2〜3回洗浄する条件が挙げられる。
プローブとしては、配列番号1の相補配列の一部を用いることもできる。そのようなプローブは、配列番号1の相補配列に基づいて作製したオリゴヌクレオチドをプライマーとし、これらの塩基配列を含むDNA断片を鋳型とするPCRによって作製することができる。例えば、プローブとして、300 bp程度の長さのDNA断片を用いる場合には、ハイブリダイゼーションの洗いの条件は、50℃、2×SSC、0.1% SDSが挙げられる。
gapA遺伝子の発現を増強するための改変は、例えば、遺伝子組換え技術を利用して、細胞中の遺伝子のコピー数を高めることによって行うことができる。例えばgapA遺伝子を含むDNA断片を、宿主細菌で機能するベクター、好ましくはマルチコピー型のベクターと連結して組換えDNAを作製し、これを細菌に導入して形質転換すればよい。
gapA遺伝子としてエシェリヒア・コリのgapA遺伝子を用いる場合、配列番号1の塩基配列に基づいて作製したプライマー、例えば、配列番号3及び4に示すプライマーを用いて、エシェリヒア・コリのゲノムDNAを鋳型とするPCR法(PCR:polymerase chain reaction; White,T.J. et al., Trends Genet. 5, 185 (1989)参照)によって取得することができる。他の腸内細菌科に属する細菌のgapA遺伝子も、その細菌において公知のgapA遺伝子もしくは他種の細菌のgapA遺伝子の配列情報に基づいて作製したオリゴヌクレオチドをプライマーとするPCR法、又は、前記配列情報に基づいて作製したオリゴヌクレオチドをプローブとするハイブリダイゼーション法によって、微生物のゲノムDNA又はゲノムDNAライブラリーから、取得することができる。なお、ゲノムDNAは、DNA供与体である微生物から、例えば、斎藤、三浦の方法(H. Saito and K.Miura, Biochem. Biophys. Acta, 72, 619 (1963)、生物工学実験書、日本生物工学会編、97-98頁、培風館、1992年参照)等により調製することができる。
次に、PCR法により増幅されたgapA遺伝子を、宿主細菌の細胞内において機能することのできるベクターDNAに接続して組換えDNAを調製する。宿主細菌の細胞内において機能することのできるベクターとしては、宿主細菌の細胞内において自律複製可能なベクターを挙げることができる。エシェリヒア・コリ細胞内において自律複製可能なベクターとしては、pUC19、pUC18、pHSG299、pHSG399、pHSG398、pACYC184(pHSG、pACYCは宝バイオ社よ
り入手可)、RSF1010、pBR322、pMW219(pMW219はニッポンジーン社より入手可)、pSTV29(宝バイオ社より入手可)等が挙げられる。
り入手可)、RSF1010、pBR322、pMW219(pMW219はニッポンジーン社より入手可)、pSTV29(宝バイオ社より入手可)等が挙げられる。
上記のように調製した組換えDNAを細菌に導入するには、これまでに報告されている形質転換法に従って行えばよい。例えば、エシェリヒア・コリK-12について報告されているような、受容菌細胞を塩化カルシウムで処理してDNAの透過性を増す方法(Mandel,M.and Higa, A., J. Mol. Biol., 53, 159 (1970))があり、バチルス・ズブチリスについて報告されているような、増殖段階の細胞からコンピテントセルを調製してDNAを導入する方法(Duncan, C. H.,Wilson, G. A. and Young, F. E., Gene, 1, 153 (1977))がある。あるいは、バチルス・ズブチリス、放線菌類及び酵母について知られているような、DNA受容菌の細胞を、組換えDNAを容易に取り込むプロトプラストまたはスフェロプラストの状態にして組換えDNAをDNA受容菌に導入する方法(Chang, S. and Choen, S. N., Molec.
Gen. Genet., 168, 111 (1979); Bibb, M. J., Ward, J. M. and Hopwood, O. A., Nature, 274, 398 (1978); Hinnen, A., Hicks, J. B. and Fink, G. R., Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, 75, 1929 (1978))、及びエレクトロポレーション法(Canadian Journal of Microbiology, 43. 197(1997))も応用できる。
Gen. Genet., 168, 111 (1979); Bibb, M. J., Ward, J. M. and Hopwood, O. A., Nature, 274, 398 (1978); Hinnen, A., Hicks, J. B. and Fink, G. R., Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, 75, 1929 (1978))、及びエレクトロポレーション法(Canadian Journal of Microbiology, 43. 197(1997))も応用できる。
一方、gapA遺伝子のコピー数を高めることは、上述のようなgapA遺伝子を細菌のゲノムDNA上に多コピー存在させることによっても達成できる。細菌のゲノムDNA上にgapA遺伝子を多コピーで導入するには、ゲノムDNA上に多コピー存在する配列を標的に利用して相同組換えにより行う。ゲノムDNA上に多コピー存在する配列としては、レペティティブDNA、転移因子の端部に存在するインバーテッド・リピートが利用できる。また、ゲノム上に存在するgapA遺伝子の横に、それぞれの遺伝子をタンデムに連結させてもよいし、ゲノム上の不要な遺伝子上に重複して組み込んでもよい。これらの遺伝子導入は、温度感受性ベクターを用いて、あるいはintegrationベクターを用いて達成することが出来る。
あるいは、特開平2-109985号公報に開示されているように、gapA遺伝子をトランスポゾンに搭載してこれを転移させてゲノムDNA上に多コピー導入することも可能である。ゲノム上に遺伝子が転移したことの確認は、gapA遺伝子の一部をプローブとして、サザンハイブリダイゼーションを行うことによって確認出来る。
さらに、gapA遺伝子の発現の増強は、上記した遺伝子コピー数の増幅以外に、国際公開00/18935号パンフレットに記載した方法で、ゲノムDNA上またはプラスミド上のgapA遺伝子の各々のプロモーター等の発現調節配列を強力なものに置換することや、各遺伝子の−35、−10領域をコンセンサス配列に近づけること、gapA遺伝子の発現を上昇させるようなレギュレーターを増幅すること、又は、gapA遺伝子の発現を低下させるようなレギュレーターを欠失または弱化させることによっても達成される。例えば、lacプロモーター、trpプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、araBAプロモーター、ラムダファージのPRプロモーター、PLプロモーター、tetプロモーター、T7プロモーター、φ10プロモーター等が強力なプロモーターとして知られている。また、gapA遺伝子のプロモーター領域、SD領域に塩基置換等を導入し、より強力なものに改変することも可能である。プロモーターの強度の評価法および強力なプロモーターの例は、Goldsteinらの論文(Prokaryotic promoters in biotechnology. Biotechnol. Annu. Rev., 1, 105-128 (1995))等に記載されている。さらに、リボソーム結合部位(RBS)と開始コドンとの間のスペーサー、特に開始コドンのすぐ上流の配列における数個のヌクレオチドの置換がmRNAの翻訳効率に非常に影響を及ぼすことが知られており、これらを改変することも可能である。gapA遺伝子のプロモーター等の発現調節領域は、プロモーター検索ベクターやGENETYX等の遺伝子解析ソフトを用いて決定することも出来る。これらのプロモーター置換または改変によりgapA遺伝子の発現が強化される。発現調節配列の置換は、例えば温度感受性プラスミドを用いた方法や、Redドリブンインテグレーション法(WO2005/010175)を使用することが出来
る。
る。
<2>L−リジンの製造法
本発明のL−リジンの製造法は、本発明の細菌を培地に培養し、培養物中にL−リジンを生産蓄積させ、該培養物からL−リジンを採取することを特徴とする。
使用する培地は、微生物を用いたL−アミノ酸の発酵生産において従来より用いられてきた培地を用いることができる。すなわち、炭素源、窒素源、無機イオン及び必要に応じその他の有機成分を含有する通常の培地を用いることができる。ここで、炭素源としては、グルコース、スクロース、ラクトース、ガラクトース、フラクトースやでんぷんの加水分解物などの糖類、グリセロールやソルビトールなどのアルコール類、フマール酸、クエン酸、コハク酸等の有機酸類を用いることができる。なお、スクロース資化能を持たない株については、スクロース資化遺伝子を導入することにより、スクロースを炭素源として使用できるようになる(米国特許第5,175,107号)
本発明のL−リジンの製造法は、本発明の細菌を培地に培養し、培養物中にL−リジンを生産蓄積させ、該培養物からL−リジンを採取することを特徴とする。
使用する培地は、微生物を用いたL−アミノ酸の発酵生産において従来より用いられてきた培地を用いることができる。すなわち、炭素源、窒素源、無機イオン及び必要に応じその他の有機成分を含有する通常の培地を用いることができる。ここで、炭素源としては、グルコース、スクロース、ラクトース、ガラクトース、フラクトースやでんぷんの加水分解物などの糖類、グリセロールやソルビトールなどのアルコール類、フマール酸、クエン酸、コハク酸等の有機酸類を用いることができる。なお、スクロース資化能を持たない株については、スクロース資化遺伝子を導入することにより、スクロースを炭素源として使用できるようになる(米国特許第5,175,107号)
なお、本発明においては、グリセロールを炭素源として用いることが好ましい。グリセロールは、L−リジンを製造するのに適した濃度であればどのような濃度で用いてもかまわない。培地中の単独の炭素源として用いる場合、好ましくは0.1w/v%〜50w/v%程度、より好ましくは0.5w/v%〜40w/v%程度、特に好ましくは1w/v%〜30w/v%程度培地に含有させる。グリセロールは、グルコース、フラクトース、スクロース、廃糖蜜、澱粉加水分解物などの他の炭素源と組み合わせて用いることも出来る。この場合、グリセロールと他の炭素源は任意の比率で混合することが可能であるが、炭素源中のグリセロールの比率は、10重量%以上、より好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上であることが望ましい。他の炭素原として好ましいのは、グルコース、フラクトース、スクロース、ラクトース、ガラクトース、廃糖蜜、澱粉加水分解物やバイオマスの加水分解により得られた糖液などの糖類、エタノールなどのアルコール類、フマール酸、クエン酸、コハク酸等の有機酸類である。これらの中ではグルコースが好ましい。
培養開始時のグリセロールの好ましい初発濃度は上記のとおりであるが、培養中のグリセロールの消費に応じて、グリセロールを添加してもよい。
使用するグリセロールは、純粋なグリセロールであってもよいが、粗グリセロールであってもよい。粗グリセロールとは、工業的に生産される不純物を含むグリセロールをいう。粗グリセロールは、油脂を高温、高圧下で水と接触させ加水分解することによって、あるいは、バイオディーゼル燃料生産のためのエステル化反応によって、工業的に生産される。バイオディーゼル燃料とは、油脂とメタノールからエステル交換反応により生成する脂肪酸メチルエステルのことであり、この反応の副生物として粗グリセロールが生成する(Fukuda, H., Kondo, A., and Noda, H. 2001, J. Biosci. Bioeng. 92, 405-416を参照のこと)。バイオディーゼル燃料生産プロセスでは、エステル交換にはアルカリ触媒法が用いられることが多く、中和時に酸を加えるため、水と不純物を含んだ純度70〜95重量%程度の粗グリセロールが生成する。バイオディーゼル燃料生産において産生される粗グリセロールは、水に加えて、残存メタノールや触媒であるNaOH等のアルカリとその中和に用いられるK2SO4等の酸との塩を不純物として含んでいる。メーカーや製法により差はあるが、このような塩類やメタノールは数パーセントに達する。ここでナトリウム、カリウム、塩化物イオン、硫酸イオン等の、アルカリやその中和に用いられた酸に由来するイオン類は、粗グリセロールの重量に対し、2〜7%、好ましくは3〜6%、さらに好ましくは4〜5.8%含まれていることが好ましい。メタノールは、不純物として含まれていなくてもよいが、望ましくは0.01%以下含まれていることが好ましい。
使用するグリセロールは、純粋なグリセロールであってもよいが、粗グリセロールであってもよい。粗グリセロールとは、工業的に生産される不純物を含むグリセロールをいう。粗グリセロールは、油脂を高温、高圧下で水と接触させ加水分解することによって、あるいは、バイオディーゼル燃料生産のためのエステル化反応によって、工業的に生産される。バイオディーゼル燃料とは、油脂とメタノールからエステル交換反応により生成する脂肪酸メチルエステルのことであり、この反応の副生物として粗グリセロールが生成する(Fukuda, H., Kondo, A., and Noda, H. 2001, J. Biosci. Bioeng. 92, 405-416を参照のこと)。バイオディーゼル燃料生産プロセスでは、エステル交換にはアルカリ触媒法が用いられることが多く、中和時に酸を加えるため、水と不純物を含んだ純度70〜95重量%程度の粗グリセロールが生成する。バイオディーゼル燃料生産において産生される粗グリセロールは、水に加えて、残存メタノールや触媒であるNaOH等のアルカリとその中和に用いられるK2SO4等の酸との塩を不純物として含んでいる。メーカーや製法により差はあるが、このような塩類やメタノールは数パーセントに達する。ここでナトリウム、カリウム、塩化物イオン、硫酸イオン等の、アルカリやその中和に用いられた酸に由来するイオン類は、粗グリセロールの重量に対し、2〜7%、好ましくは3〜6%、さらに好ましくは4〜5.8%含まれていることが好ましい。メタノールは、不純物として含まれていなくてもよいが、望ましくは0.01%以下含まれていることが好ましい。
さらに、粗グリセロール中には、微量の金属、有機酸、リン、脂肪酸などを含むことがある。含まれる有機酸としては、蟻酸、酢酸等が挙げられ、不純物として含まれていなく
てもよいが、望ましくは0.01%以下含まれていることが好ましい。粗グリセロールに含まれる微量の金属としては、微生物の生育に必要な微量金属が好ましく、例えばマグネシウム、鉄、カルシウム、マンガン、銅、亜鉛等が挙げられる。マグネシウム、鉄、カルシウムは、粗グリセロールの重量に対し、合計で0.00001〜0.1%、好ましくは0.0005〜0.1%、より好ましくは0.004〜0.05%、さらに好ましくは0.007〜0.01%含まれていることが好ましい。マンガン、銅、亜鉛としては、合計で0.000005〜0.01%、より好ましくは0.000007〜0.005%、さらに好ましくは0.00001〜0.001%含まれていることが好ましい。
てもよいが、望ましくは0.01%以下含まれていることが好ましい。粗グリセロールに含まれる微量の金属としては、微生物の生育に必要な微量金属が好ましく、例えばマグネシウム、鉄、カルシウム、マンガン、銅、亜鉛等が挙げられる。マグネシウム、鉄、カルシウムは、粗グリセロールの重量に対し、合計で0.00001〜0.1%、好ましくは0.0005〜0.1%、より好ましくは0.004〜0.05%、さらに好ましくは0.007〜0.01%含まれていることが好ましい。マンガン、銅、亜鉛としては、合計で0.000005〜0.01%、より好ましくは0.000007〜0.005%、さらに好ましくは0.00001〜0.001%含まれていることが好ましい。
粗グリセロールのグリセロールの純度としては10%以上であればよく、好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。不純物の含有量が上記の範囲を満たす限り、グリセロールの純度は90%以上であってもよい。
粗グリセロールを用いる場合は、グリセロールの純度に応じて、グリセロールの量として上記濃度となるように粗グリセロールを培地に添加すればよい。また、グリセロール及び粗グリセロールの両方を培地に添加してもよい。
粗グリセロールを用いる場合は、グリセロールの純度に応じて、グリセロールの量として上記濃度となるように粗グリセロールを培地に添加すればよい。また、グリセロール及び粗グリセロールの両方を培地に添加してもよい。
窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩、大豆加水分解物などの有機窒素、アンモニアガス、アンモニア水等を用いることができる。有機微量栄養源としては、ビタミンB1、L−ホモセリンなどの要求物質または酵母エキス等を適量含有させることが望ましい。これらの他に、必要に応じて、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、鉄イオン、マンガンイオン等が少量添加される。なお、本発明で用いる培地は、炭素源、窒素源、無機イオン及び必要に応じてその他の有機微量成分を含む培地であれば、天然培地、合成培地のいずれでもよい。
また生育や生産性を向上させるようなL−アミノ酸を添加する場合がある。L−リジン発酵の場合、L−スレオニン、L−ホモセリン、及び/又はL−イソロイシンを添加することが好ましい。添加濃度は各々0.01-10g/L程度である。
培養は好気的条件下で1〜7日間実施するのがよく、培養温度は24℃〜37℃、培養中のpHは5〜9がよい。尚、pH調整には無機あるいは有機の酸性あるいはアルカリ性物質、更にアンモニアガス等を使用することができる。発酵液からのL−リジンの回収は通常イオン交換樹脂法、沈殿法その他の公知の方法を組み合わせることにより実施できる。なお、菌体内にL−リジンが蓄積する場合には、例えば菌体を超音波などにより破砕し、遠心分離によって菌体を除去して得られる上清からイオン交換樹脂法などによって、L−リジンを回収することができる。
また、培養中のpHが6.5〜9.0、培養終了時の培地のpHが7.2〜9.0となるように制御し、発酵中の発酵槽内圧力が正となるように制御する、あるいは又は、炭酸ガスもしくは炭酸ガスを含む混合ガスを培地に供給して、培地中の重炭酸イオン及び/または炭酸イオンが少なくとも2g/L以上存在する培養期があるようにし、前期重炭酸イオン及び/または炭酸イオンをL−リジンを主とするカチオンのカウンタイオンとする方法で発酵を行ってもよい(特開2002-065287号、国際公開WO2006/038695号パンフレット参照)。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。
〔実施例1〕GAPDH活性を増強したL−リジン生産菌の構築
<1−1>gapA遺伝子発現用プラスミドの構築
エシェリヒア・コリK-12株の染色体の全塩基配列は既に明らかにされている(Science,
277, 1453-1474 (1997))。この文献に報告されているgapA遺伝子の塩基配列に基づいて、5'側プライマーとして配列番号3の合成オリゴヌクレオチド、3'側プライマーとして配列番号4に記載の合成オリゴヌクレオチドを用いて、エシェリヒア・コリ MG1655株の染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。精製したPCR産物を、EcoRI及びSacIで消化したベクターpMW218(タカラバイオ社製)に連結して、gapA発現用プラスミドpMW-gapAを構築した。
<1−1>gapA遺伝子発現用プラスミドの構築
エシェリヒア・コリK-12株の染色体の全塩基配列は既に明らかにされている(Science,
277, 1453-1474 (1997))。この文献に報告されているgapA遺伝子の塩基配列に基づいて、5'側プライマーとして配列番号3の合成オリゴヌクレオチド、3'側プライマーとして配列番号4に記載の合成オリゴヌクレオチドを用いて、エシェリヒア・コリ MG1655株の染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。精製したPCR産物を、EcoRI及びSacIで消化したベクターpMW218(タカラバイオ社製)に連結して、gapA発現用プラスミドpMW-gapAを構築した。
<1−3> GAPDH活性を増強したL-リジン生産菌の構築
L−リジン生産菌として、エシェリヒア・コリWC196ΔcadAΔldcC/pCABD2(WO2006/078039)を用いた。本菌株は、平成20年10月7日に、独立行政法人 産業技術総合研究所
特許生物寄託センター(〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、受託番号FERM BP-11027として寄託されている。WC196ΔcadAΔldcC/pCABD2株をgapA発現用プラスミドpMW-gapAで常法に従い形質転換し、WC196ΔcadAΔldcC/pCABD2, pMW-gapA株を得た。
L−リジン生産菌として、エシェリヒア・コリWC196ΔcadAΔldcC/pCABD2(WO2006/078039)を用いた。本菌株は、平成20年10月7日に、独立行政法人 産業技術総合研究所
特許生物寄託センター(〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に、受託番号FERM BP-11027として寄託されている。WC196ΔcadAΔldcC/pCABD2株をgapA発現用プラスミドpMW-gapAで常法に従い形質転換し、WC196ΔcadAΔldcC/pCABD2, pMW-gapA株を得た。
これらの株を、20mg/Lのストレプトマイシンまたは、20mg/Lのストレプトマイシンと50mg/Lのカナマイシンを含むL培地にて、終OD600が約0.6となるように37℃にて培養した後、培養液と等量の40%グリセロール溶液を加えて攪拌した後、適当量ずつ分注し-80℃に保存した。これをグリセロールストックと呼ぶ。
〔実施例2〕GAPDH活性強化株のL−リジン生産能の評価
上記グリセロールストックを融解し、各100μLを、20mg/Lのストレプトマイシンまたは、20mg/Lのストレプトマイシンと50mg/Lのカナマイシンを含むLプレートに均一に塗布し、37℃にて24時間培養した。得られた菌体の懸濁液を101倍希釈し、希釈液のOD600の値(n)を測定し、50/nに相当する液量の菌体懸濁液を、500mL坂口フラスコ中の、20mg/Lのストレプトマイシンまたは、20mg/Lのストレプトマイシンと50mg/Lのカナマイシンを含む発酵培地の20mLに接種し、往復振とう培養装置(115rpm)で37℃において48時間培養した。培養後、培地中に蓄積したリジンの量を公知の方法(サクラ精機 バイオテックアナライザーAS210)により測定した。
上記グリセロールストックを融解し、各100μLを、20mg/Lのストレプトマイシンまたは、20mg/Lのストレプトマイシンと50mg/Lのカナマイシンを含むLプレートに均一に塗布し、37℃にて24時間培養した。得られた菌体の懸濁液を101倍希釈し、希釈液のOD600の値(n)を測定し、50/nに相当する液量の菌体懸濁液を、500mL坂口フラスコ中の、20mg/Lのストレプトマイシンまたは、20mg/Lのストレプトマイシンと50mg/Lのカナマイシンを含む発酵培地の20mLに接種し、往復振とう培養装置(115rpm)で37℃において48時間培養した。培養後、培地中に蓄積したリジンの量を公知の方法(サクラ精機 バイオテックアナライザーAS210)により測定した。
発酵培地の組成を以下に示す(単位g/L)。
グリセロールまたはグルコース 40
(NH4)2SO4 24
K2HPO4 1.0
MgSO4・7H2O 1.0
FeSO4・7H2O 0.01
MnSO4・5H2O 0.01
イーストエキストラクト 2.0
CaCO3 30
KOHでpH7.0に調整し、115℃で10分オートクレーブ(但しグリセロールまたはグルコース及びMgSO4・7H2Oは別殺菌、CaCO3は180℃で2時間乾熱滅菌。)
20mg/Lのストレプトマイシンまたは、20mg/Lのストレプトマイシンと50mg/Lのカナマイシンを添加した。
グリセロールまたはグルコース 40
(NH4)2SO4 24
K2HPO4 1.0
MgSO4・7H2O 1.0
FeSO4・7H2O 0.01
MnSO4・5H2O 0.01
イーストエキストラクト 2.0
CaCO3 30
KOHでpH7.0に調整し、115℃で10分オートクレーブ(但しグリセロールまたはグルコース及びMgSO4・7H2Oは別殺菌、CaCO3は180℃で2時間乾熱滅菌。)
20mg/Lのストレプトマイシンまたは、20mg/Lのストレプトマイシンと50mg/Lのカナマイシンを添加した。
結果を表1及び表2に示す。ODは、600nmにおける吸光度、Lys(g/L)はフラスコに蓄積したL−リジン蓄積量、yield(%)は基質からのL−リジン収率を示す。
GAPDH活性を強化したL−リジン生産菌において、グルコース、グリセロールのいずれを基質とした場合も、非強化株に比べ多量のL−リジンを蓄積した。さらに、グルコースを基質とした場合よりも、グリセロールを基質とした場合のほうがより顕著に多量のL−リジンを蓄積した。
GAPDH活性を強化したL−リジン生産菌において、グルコース、グリセロールのいずれを基質とした場合も、非強化株に比べ多量のL−リジンを蓄積した。さらに、グルコースを基質とした場合よりも、グリセロールを基質とした場合のほうがより顕著に多量のL−リジンを蓄積した。
Claims (6)
- L−リジン生産能を有し、かつ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性が増強するように改変されたエシェリヒア・コリを培地で培養し、培養物中にL−リジンを生産蓄積させ、該培養物からL−リジンを採取することを特徴とする、L−リジンの製造法。
- 前記細菌が、gapA遺伝子の発現が増大するように改変された、請求項1に記載の方法。
- 前記gapA遺伝子が、下記(a)又は(b)に記載のDNAである、請求項2に記載の方法:
(a)配列番号1に示す塩基配列を有するDNA、
(b)配列番号1に示す塩基配列の相補配列又は同塩基配列から調製され得るプローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。 - 前記グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼが、下記(A)又は(B)に記載のタンパク質である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法:
(A)配列番号2に示すアミノ酸配列を有するタンパク質、
(B)配列番号2に示すアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列を有し、かつ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。 - 前記遺伝子の発現が、同遺伝子のコピー数を高めること、又は同遺伝子の発現調節配列を改変されたことによって増大された、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記培地がグリセロールを炭素源として含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
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