JP2010140540A - スタンパ - Google Patents

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Abstract

【課題】RROの良好な磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】ダミー領域の凹凸パターンは、そのリピータブルランアウトが回転周波数を基準の1次とした場合に15次から40次の間で1nm以下であるスタンパ。
【選択図】 図1

Description

本発明は、パターンを転写するためのスタンパに関し、特にスタンパの凹凸パターンを記録媒体に転写する際に用いるスタンパに関する。
近年、情報記録媒体の記録密度の向上に伴い、媒体に記録されるマークがより微細化している。微細な記録マークの形成を容易にするために、記録媒体上に約100nm以下の凹凸パターンを形成する微細加工技術が求められている。こうした微細加工技術として、電子線(EB:electron beam)リソグラフィや集束イオンビーム(FIB:focused ion beam)リソグラフィなどのリソグラフィによる微細パターンの形成と、ナノインプリントリソグラフィ(NIL:nano imprint lithography)による微細パターンの媒体基板への転写とを組み合わせる方法が検討されている。
一方、高記録密度を目指す媒体技術として、たとえばデータ領域およびサーボ領域を有するディスクリートトラック型(DTR:discrete track recording)媒体を用いた磁気記録システムが知られている。このDTR媒体の記録層上の凹凸のトラックパターンはエッチングにより形成される。エッチングマスクとして使用されるレジスト層にパターン転写を行うため、トラック形状に応じた凹凸パターンを有するスタンパが圧接される(例えば、特許文献1参照)。
また、CD(compact disc)やDVD(digital versatile disc)などに代表される光ディスクに関しても大容量化が要求され、多層構造の光ディスクの開発が進んでいる。多層構造の光ディスクを製造するには、たとえばNiスタンパから射出成形により作製した樹脂製の透明基板と、同じく射出成形で作製した樹脂製の透明スタンパを、2P樹脂を介して貼り合わせ、紫外線(UV)を照射して2P樹脂を硬化させた後に、透明スタンパを剥離してパターンを転写させ、転写されたパターン上に数十μmの厚さを有する多層構造の媒体膜を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
情報記録媒体の高記録密度化とともに、ハードディスクドライブ(HDD)においては更に高精度なアクセス性能が求められる。このため、記録媒体のトラックパターンの繰り返し回転誤差いわゆるRRO(Repeatable Run Out)を低くすることがますます重要になってきている。このようなリピータブルランアウトは、例えばヘッドが記録媒体のトラックを追従する際にサンプリングされた位置エラー信号を用いて算出するなど、記録媒体を完成させた後にHDDで評価を行なっていた。(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、DTR媒体のRROは、DTR媒体のプロセスで使用されるスタンパの特性によるところが大きいことから、スタンパのRROを低くすることが求められてきた。
特開2004−110896号公報 特開2003−281791号公報 特開2007−12258号公報
本発明の目的は、記録媒体の記録層のディスクリートトラックのパターンを転写するためのスタンパの凹凸パターンにおけるRROが十分に低い記録媒体を提供することにある。
本発明のスタンパは、記録媒体の記録層表面にトラックパターンを形成するための、同心円状またはらせん状の凹凸パターンを持つスタンパであって、
該凹凸パターンは、データ記録部及びアドレス部を含むデータ領域に対応する主要な領域と、該主要な領域以外のダミー領域とを有し、前記ダミー領域の凹凸パターンは、そのリピータブルランアウトが回転周波数を基準の1次とした場合に15次から40次の間で1nm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、スタンパのRROを低減することができる。
本発明のスタンパは、一方の主面に、記録媒体の記録層表面にトラックパターンを形成するための同心円状またはらせん状の凹凸パターンを持つ。この凹凸パターンはデータ記録部及びアドレス部を含むデータ領域に対応する主要な領域と、該主要な領域以外のダミー領域とを有する。本発明のスタンパでは、このダミー領域における凹凸パターンのリピータブルランアウトが、回転周波数を基準の1次とした場合に、15次から40次である。
本発明のスタンパを用いると、記録媒体のRROを低減させることが可能となり、高信頼性を有する記録媒体が得られる
図1に、本発明に係るDTR媒体の製造方法の一例を概略的に説明する。
まず、図1(a)に示すように、基板11上に磁性層12を成膜し、その上にレジスト21を塗布する。続いて、図1(b)に示すように、凹凸パターンを有するスタンパ31を用意し、スタンパ31のパターン面をレジスト21に対向させ、インプリント法によりスタンパ31のパターンをレジスト21に転写する。その後、図1(c)に示すように、酸素ガスを用いた反応性イオンエッチングにより、レジスト21の凹部に残存しているレジスト残渣を除去する。さらに、図1(d)に示すように、パターン化されたレジスト21をマスクとして、イオンミリングにより磁性層12をエッチングして加工する。図1(e)に示すように、酸素アッシングにより残存しているレジスト21を剥離する。必要に応じて、凹部に図示しない非磁性体を充填し、図1(f)に示すように、全面に保護膜13を形成してDTR媒体を製造する。
ここで、インプリント法は次の3種に大別される。
1)熱インプリント法
このインプリント法は、モールドにNiスタンパを使用することができるため量産性に優れている。しかし、被インプリント基板とモールドの両方を加熱し、冷却することでインプリントを行うため、温度の昇降に時間がかかり、スループットが稼げず量産向きでないと考えられていた。これは、モールドおよびモールドの支持体は熱容量が大きく、加熱、冷却に時間がかかるためである。そこで、モールドの支持体を強制冷却する機構を装置に設けたりすることが考えられるが、大掛かりな機構になる。また、大面積にナノメートルサイズのパターンを良好に転写するためには、全面を均一にインプリントできるように設計された金型が必要だが、このような専用に設計された金型に強制冷却機構を組み込むのは困難である。
2)高圧インプリント法
このインプリント法も、モールドにNiスタンパを使用することができるため量産性に優れている。また、装置に特殊な機構を組み込む必要がないので、大面積にナノメートルサイズのパターンを良好に転写できる専用金型(モールド支持体)を用いることができる。しかし、良好にパターン転写するためには高い圧力が必要であり、Niスタンパ自身が変形するおそれがある。また、レジストは弾性変形するため、インプリントにより完全に変形するまで1分程度の時間が必要になる。
3)光インプリント法
このインプリント法は、光を透過するモールド(石英、ダイヤモンドなど)を用いて光硬化性樹脂にインプリントする方法であり、形状転写性およびスループットに優れている。しかし、光を透過するモールドを作製することが困難である。
NILは上記の3つの方法を基本として、これらを組み合わせるなど、様々な方法が検討されている。しかし、特に1)熱インプリント法と、2)高圧インプリント法はスループットが悪いという問題があった。
次に、スタンパのRRO評価方法について説明する。
ここでは、0.6mm厚に成形した1.8インチ磁気記録媒体用の樹脂スタンパを例とする。
この樹脂スタンパはr=15.0−23.0mmの範囲にデータ領域が存在し、r=25.0−26.0mmの範囲にダミー溝が存在する。ダミー溝は同心円状で、トラックピッチ0.4μm(L/G=200nm/200nm)、深さ50nmとした。
なお、上記例ではダミー領域は磁気記録媒体上に存在しないこととなるが、内周またはデータ領域に挟まれたところに存在させて、磁気記録媒体上に形成させてもよい。この場合、磁気記録媒体のダミー領域から、そのRROを直接調べることができる。
以下、スタンパのRROを調べる装置について説明する。
図2は、スタンパのダミー溝を再生してRROを調べるためのRRO評価装置の概略構成を示すブロック図を示す。
図に示すように、スタンパは例えば樹脂で形成されたスタンパである。光源には半導体レーザ光源120が用いられる。その出射光の波長は、例えば400nm〜410nmの範囲の紫色波長帯のものである。半導体レーザ光源120からの出射光110は、コリメートレンズ121により平行光となり偏光ビームスプリッタ122、λ/4板123を透過して、対物レンズ124に入射される。その後、スタンパSの基板を透過し、基板上の溝が形成されている面に集光される。このとき、レーザの開口数(以下NAという)は対象となる媒体によって異なる。例えば樹脂スタンパの場合には0.6mm厚の樹脂スタンパ内部を透過するような評価方法とした場合、NAは約0.5〜0.7となる。一方、Niスタンパなどの光を透過しない材料を用いたスタンパの場合、あるいは樹脂スタンパの表面を再生する場合には、NAを0.85以上に調整するか、あるいは樹脂材料の0.6mm厚相当となるような収差補正板をレーザとスタンパの間に挿入することができる。スタンパの情報記録層による反射光111は、再びスタンパDの基板を透過し、対物レンズ124、λ/4板123を透過し、偏光ビームスプリッタ122で反射された後、集光レンズ125を透過して光検出器126に入射される。
光検出器127の受光部は、通常複数に分割されており、それぞれの受光部から光強度に応じた電流を出力する。出力された電流は、図示しないI/Vアンプ(電流電圧変換)により電圧に変換された後、演算回路140に入力される。入力された電圧信号は、演算回路140により、チルト誤差信号、HF信号、フォーカス誤差信号、及びトラック誤差信号などに演算処理される。チルト誤差信号はチルト制御を行うためのものであり、HF信号は光ディスクDに記録された情報を再生するためのものであり、フォーカス誤差信号はフォーカス制御を行うためのものであり、またトラック誤差信号はトラッキング制御を行うためのものである。
対物レンズ124はアクチュエータ128にて上下方向、ディスクラジアル方向、およびチルト方向(ラジアル方向または/およびタンジェンシャル方向)に駆動可能であり、サーボドライバ150によってスタンパD上の情報トラックに追従するように制御される。
なお、本評価装置では、半導体レーザの波長の例として400−410nmの範囲としているが、これに限ることはなく、さらに短波長でもよい。また、この評価装置の場合、スタンパのダミー溝のトラックピッチは例えば0.4μmより狭くすることが可能となる。また、半導体レーザを長波長とした場合、スタンパのダミー溝のトラックピッチは0.4μmよりも広くすることが必要となる。トラックピッチは、レーザースポット径によって決めることが出来る。スタンパのダミー溝のトラックピッチは評価装置のプッシュプル法を用いたトラッキングを行う場合、レーザースポット径の0.5〜1.2倍にすることができる。レーザースポット径はλ/NAで表すことができる。例えば、レーザー波長が405nm、NA0.65の場合、ダミー溝トラックピッチは0.31μm〜0.75μmにすることができる。また、例えば固定レーザーとして波長355nm,NA0.85のものを用いた場合、レーザースポット径は0.42μmとなり、最小トラックピッチは0.2μmとすることができる。トラックピッチは、広すぎるとダミー領域が広くなり、評価装置のレーザースポット径も大きくなる傾向があり、データ領域に対して粗い評価になりやすいため、できるだけ狭いほうがよい。一方、レーザーの波長は355nmより狭いものは取扱が困難で現実的でない。これよりダミー溝のトラックピッチの下限を0.2μmとすることが可能である。
このようなRRO評価装置を用いて、本発明のスタンパを再生することができる。本実施例においては、パルステック社製DDU−1000を用いた。このときのレーザ波長は405nm、NAは0.65であった。
次に、スタンパのRRO評価方法について説明する。
上記評価装置にスタンパをセットし、1.2m/秒の線速度でスタンパを回転させる。なお線速度は、装置のトラッキング特性があるところから周波数が高くなるにつれて低下する傾向にある(サーボゲイン特性)。このため、スピンドルモータの最低回転数以上でできるだけ遅いほうが、RROの高次成分を、その次数における変位量を増幅させて、より正確に調べることができる。この評価装置では、ディスクの一回転分を周波数に変換し、これを回転周波数とし、偏芯次数をこの回転周波数で表している。
レーザを照射し、チルトやオフセットを、差信号(プッシュプル信号)最大となるところに調整し、トラッキングを行う。トラッキング後のプッシュプル信号の周波数解析を、FFTアナライザ(小野測器社製CF−5210使用)を用いて行った。
次に、トラッキングをOFFにして、フォーカスのみ調整した状態で、同じプッシュプル信号のpeak−to peak値を調べた。このpeak−to peak電圧値は1/2トラックピッチ変位量に相当する。FFTアナライザにて測定した各周波数での電圧値を、peak−to peak電圧値で割ることにより変位量を計算した。なお、FFTアナライザの測定条件は1つのトラックを100回測定し、平均化したデータを1回測定とし、かつダミー領域内でトラックを変えて5回測定した結果の最大値を変位量としている。この計算結果を本発明中でのスタンパのRROとした。この中で、特にスタンパの回転周波数を基準の1次として15次から40次の変位量に注目した。15次未満の場合、スタンパを載置する位置による誤差が生じやすく、また、40次を超えるところまで測定しなくても、ある程度安定した変位量が得られる。
ここで、上記例ではダミー溝はランドとグルーブの比が1:1となるようにしたスタンパを使用しているが、これに限定されるものではない。RRO特性を調べる装置の特性上、プッシュプル信号PPの振幅(p−p)を和信号SUMの電圧値(p−G)で規格化した値 PP/SUMが、少なくともPP/SUM<0.1となればトラッキングを行うことが不可能となるため、このようにならないようトラッキングを行えるようなランドとグルーブの比を選定することができる。
以下に、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
以下の例においては、いくつかの樹脂スタンパを用い、媒体基板に塗布した紫外線硬化樹脂層に凹凸パターンを転写し、DTR型磁気記録媒体を製造する場合について説明する。
DTR型磁気記録媒体は、複数のサーボ領域と、これらのサーボ領域によって分けられた複数のデータ領域を有し、各サーボ領域にはプリアンブル部、アドレス部およびバースト部が形成され、各データ領域にはディスクリートトラックが形成される。なお、各図は発明の説明とその理解を促すための模式図であり、形状、寸法、比率などは実際と異なるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜設計変更することができる。
まず、各実施例及び比較例に共通の記録媒体の製造方法について述べる。
透明スタンパは、以下のような方法により作製したものである。
まず、原盤にレジストを塗布し、電子線リソグラフィによりサーボ領域とデータ領域を描画してレジスト原盤を作製した。レジストとしてはポジ型のものを使用し、レジストの厚さを50nmとした。データ領域におけるディスクリートトラックに対応する凹凸パターンは、トラックピッチ(TP)が100nm(L/G=70nm/30nm)、深さが50nmであった。また、データ部より5mm外側に、同心円状の溝も形成した。この溝のトラックピッチは400nm(L/G=200nm/200nm)、深さが50nmであった。
このレジスト原盤に対して電鋳を行い、射出成形用のNiスタンパを作製した。なお、Niスタンパとしては、原盤から最初に作製されたいわゆるファザースタンパ;ファザースタンパから電鋳法により複製されたマザースタンパ;マザースタンパから更に電鋳法により複製されたサンスタンパのいずれを用いてもよい。
Niスタンパを用い、射出成形によりシクロオレフィンポリマー(COP)を用いて透明スタンパAないしDを作製した。
透明スタンパの材料としてはポリカーボネート(PC)を使用してもよいが、2P樹脂との離型性を考慮すると、COP、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などを使用することが好ましい。また、各材料においては、離型剤としてフッ素置換基やシリコンを有するような有機化合物を混合してもよい。
図3(a)に示すように、媒体基板であるドーナツ型ガラス基板51の両面に磁性層52を成膜した。
磁性層としては、軟磁性(裏打ち)層上に垂直磁気記録層を有するいわゆる垂直二層媒体が構成することができる。
軟磁性(裏打ち)層には、Fe、Ni、Coを含む材料を用いることができる。このような材料として、FeCo系合金例えばFeCo、FeCoVなど、FeNi系合金例えばFeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど、FeAl系合金、FeSi系合金例えばFeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど、FeTa系合金例えばFeTa、FeTaC、FeTaNなど、FeZr系合金例えばFeZrNなどを挙げることができる。
垂直磁気記録層は、Coを主成分とするとともに、Ptを含むことができる。さらに酸化物を含んだ材料を使用することもできる。この酸化物としては、例えば酸化シリコン,酸化チタン等を使用することが出来る。
垂直磁気記録層は、層中に磁性粒子(磁性を有した結晶粒子)が分散され得る。この磁性粒子は、垂直磁気記録層を上下に貫いた柱状構造であり得る。このような構造を形成することにより、垂直磁気記録層の磁性粒子の配向および結晶性を良好なものとし、結果として高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得ることが可能となる。このような構造を得るためには、含有させる酸化物の量が重要となる。酸化物の含有量は、Co、Cr、Ptの総量に対して、3mol%以上12mol%以下にすることができる。さらに、5mol%以上10mol%以下にすることが可能である。垂直磁気記録層中の酸化物の含有量として上記範囲を用いると、層を形成した際、磁性粒子の周りに酸化物が析出し、磁性粒子の孤立化、微細化をすることが可能となる。
垂直磁気記録層の厚さは、5ないし60nmにすることができる。さらには、垂直磁気記録層の厚さは、10ないし40nmにすることができる。垂直磁気記録層の厚さが5ないし60nmの範囲であると、より高記録密度に適した磁気記録再生装置として動作し得る。垂直磁気記録層の厚さが5nm未満であると、再生出力が低過ぎてノイズ成分の方が高くなる傾向があり、垂直磁気記録層の厚さが60nmを超えると、再生出力が高過ぎて波形を歪ませる傾向がある。
このガラス基板51の片面の磁性層52上に、粘度が5cpsの紫外線硬化樹脂(以下、2P樹脂という)を、中心孔にかからないようにスピン塗布し、10000回転で30秒間振り切ることにより、厚さT1が60nmの2P樹脂層61を形成した。
図3(b)に示すように、凹凸パターンが形成された樹脂製の第1の透明スタンパ71を用意した。
真空チャンバー81内において、10Pa以下の真空雰囲気下でガラス基板51の片面と第1の透明スタンパ71のパターン面とを2P樹脂層61を介して貼り合わせた。
図3(c)に示すように、真空を開放し、大気圧下で第1の透明スタンパ71を通してUVを照射して2P樹脂層61を硬化させた。硬化に必要な時間は、使用した2P樹脂に含まれる重合開始剤の硬化特性およびUV光源の能力によるが、通常、数十秒で硬化可能である。
図3(d)に示すように、ガラス基板51から第1の透明スタンパ71を剥離し、凹凸パターンが転写された2P樹脂層61を形成した。凹部に残る2P樹脂層61の厚さT2は30nmであった。
次に、図4(a)に示すように、ガラス基板51の他の面に予め成膜した磁性層52上に、粘度が5cpsの2P樹脂を、中心孔にかからないようにスピン塗布し、10000回転で30秒間振り切ることにより、厚さT1が60nmの2P樹脂層62を形成した。
図4(b)に示すように、凹凸パターンが形成された樹脂製の第2の透明スタンパ72を用意し、真空チャンバー81内において、10Pa以下の真空雰囲気下でガラス基板51の他の面と第2の透明スタンパ72のパターン面とを2P樹脂層62を介して貼り合わせた。
図4(c)に示すように、真空を開放し、大気圧下で第2の透明スタンパ72を通してUVを照射して2P樹脂層62を硬化させた。
図4(d)に示すように、ガラス基板51から第2の透明スタンパ72を剥離し、凹凸パターンが転写された2P樹脂層62を形成した。凹部に残る2P樹脂層62の厚さT2は30nmであった。
なお、上記図ではガラス基板に2P樹脂を塗布したが、透明スタンパのパターン面に2P樹脂を塗布してもよいし、ガラス基板と透明スタンパの両方に2P樹脂を塗布してもよい。
次に、酸素ガスRIE(反応性イオンエッチング)で2P樹脂の残差除去を行った。続いて、インプリント工程で生じた残渣を除去したエッチングマスクを用いて、Arイオンビームを用いたエッチング(Arイオンミリング)にて磁性体加工を行った。さらにミリング後、2P樹脂の剥離を行い、非磁性体で凹凸の埋め込みを行った。磁性膜上にあるカーボン保護膜が露出するまでエッチバックを行う。エッチバック後、C保護膜の形成を行い、磁気記録媒体を作成した。
図5に、磁気記録媒体のRRO評価及び記録再生を行う磁気記録再生装置を表す図を示す。
この磁気記録装置は、筐体61の内部に、磁気記録媒体62と、磁気記録媒体62を回転させるスピンドルモータ63と、記録再生ヘッドを含むヘッドスライダー64と、ヘッドスライダー64を支持するヘッドサスペンションアッセンブリ(サスペンション65とアクチュエータアーム66)と、ボイスコイルモータ67と、回路基板とを備える。
磁気記録媒体62はスピンドルモータ63に取り付けられて回転され、垂直磁気記録方式により各種のデジタルデータが記録される。ヘッドスライダー64に組み込まれている磁気ヘッドはいわゆる複合型ヘッドであり、単磁極構造のライトヘッドと、GMR膜やTMR膜などを用いたリードヘッドとを含む。アクチュエータアーム66の一端にサスペンション65が保持され、サスペンション65によってヘッドスライダー64を磁気記録媒体62の記録面に対向するように支持する。アクチュエータアーム66はピボット68 に取り付けられる。アクチュエータアーム64の他端にはアクチュエータとしてボイスコイルモータ67が設けられている。ボイスコイルモータ67によってヘッドサスペンションアッセンブリを駆動して、磁気ヘッドを磁気記録媒体61任意の半径位置に位置決めする。回路基板はヘッドICを備え、ボイスコイルモータの駆動信号、および磁気ヘッドによる読み書きを制御するための制御信号などを生成する。この磁気ディスク装置を用い、位置誤差トラックサーボ信号の変位量を調べることにより、加工した磁気記録媒体のRROを測定した。また、同様にこの磁気ディスク装置を用い、加工した磁気記録媒体に記録を行い、再生信号のビットエラーレートを測定した。
(実施例1)
射出成形によって作成された透明スタンパAのダミー溝のRROを評価した。
その結果を図6に示す。
図6は、偏芯次数と変位量との関係を表すグラフを示す。
図示するように、15〜40次の間で最大変位量は0.65であった。
次に、以下のようにして垂直磁気記録層を形成した。
ガラス基板(MYG社製アモルファス基板MEL3、直径2.5インチ)を、DCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3010)の成膜チャンバ内に収容して、到達真空度1×10−5Paとなるまで成膜チャンバ内を排気した。
この基板上に、軟磁性層としてCo90at%−Zr5at%−Nb5at%を100nm、Ru膜を20nm製膜して軟磁性裏打ち層を形成した。
次いで、下地層として(Co86at%−Ir14at%)−8mol%SiOを5nm、垂直磁気記録層として、Co28at%−Cr6at%Pt16at%−8mol%SiOを 15 nm形成した。
さらに、垂直磁気記録層に上述のように2P樹脂を塗布し、この透明スタンパAを用いて、上記のとおりパターンを転写して磁気記録媒体を作成し、ハードディスクドライブにてRRO評価を行った。その結果を図7に示す。
図7は、偏芯次数とドライブ変動量との関係を表すグラフを示す。
図示するように、結果は良好であった。
また、ハードディスクドライブ(HDD)にて記録特性評価を行ったところ、ビットエラーレート(bER)が5e−7と良好な結果が得られた。なお、本実施例中におけるビットエラーレートは、トラック中心を測定したときに1×10−6以下となると良好と定義する。
(実施例2)
実施例1と同様に射出成形によって作成された透明スタンパBのダミー溝のRROを評価したところ、15〜40次の間で最大変位量は0.54であった。結果を図8に示す。同様に透明スタンパBを用いて磁気記録媒体を作成し、ハードディスクドライブにてRRO評価を行ったところ実施例1より良好であった。結果を図9に示す。
また、記録特性評価においても、ビットエラーレートが2.0×10−7と良好であった。
(実施例3)
実施例1と同様に射出成形によって作成された透明スタンパCのダミー溝のRROを評価したところ、15〜40次の間で最大変位量は0.30と非常に良好であった。結果を図10に示す。同様に透明スタンパCを用いて磁気記録媒体を作成し、ハードディスクドライブにてRRO評価を行ったところ実施例1よりさらに良好であった。結果を図11に示す。また、記録特性評価においても、ビットエラーレートが8.5×10−8と良好であった。
(比較例)
実施例1と同様に射出成形によって作成された透明スタンパDのダミー溝のRROを評価したところ、15〜40次の間で最大変位量は1.5と非常に悪かった。結果を図12に示す。同様に透明スタンパDを用いて磁気記録媒体を作成し、ハードディスクドライブにてRRO評価を行ったところ図13に示すとおり非常に悪かった。
記録特性評価においても、ビットエラーレートが5.5×10−5と悪く、記録再生信号の信頼性に欠ける結果であった。
以上の実験結果を下記表1にまとめる。
15次から40次までのスタンパのRROが0.5から1.0までのスタンパを用いた磁気記録媒体を用いた場合、ドライブ評価では良好なRRO特性を得ることができた。
また、スタンパのRROが0.5より低いと、ドライブでの評価結果は更に良好になる傾向がある。一方、スタンパのRROが1.0よりも大きい場合、ドライブでの評価結果は悪かった。
Figure 2010140540
以上の実験結果より、スタンパの15次から40次までのRRO評価結果と磁気記録媒体にしたときのドライブ評価結果には相関があり、磁気記録媒体を完成させなくてもスタンパのRROを評価することにより、より迅速な検査が可能となる。特に、樹脂スタンパの場合、射出成形条件によってスタンパRROの値が大きく変化するため、本RRO値が良好となるような射出成形条件を選択することによって良好な磁気記録媒体を作成することが可能となる。
以上においては、本発明を用いてデータ領域およびサーボ領域を含むディスクリートトラック型磁気記録媒体を製造する方法について説明したが、これに限らず、本発明の方法はCDやDVDなどに代表される光ディスクなどの製造にも適用することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載の発明の要旨の範囲において様々に変更可能である。
また、本発明は、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、上記実施形態に開示した複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を構成できる。
DTR媒体の製造方法の一例を示す断面図 スタンパを再生するためのスタンパ評価装置の概略構成を示すブロック図 パターン転写方法の一例を示す断面図 パターン転写方法の他の一例を示す断面図 磁気記録媒体を記録再生する磁気記録再生装置を示す図 実施例1によるダミー溝の偏芯次数と変位量を示す図 実施例1によるドライブの偏芯次数と変位量を示す図 実施例2によるダミー溝の偏芯次数と変位量を示す図 実施例2によるドライブの偏芯次数と変位量を示す図 実施例3によるダミー溝の偏芯次数と変位量を示す図 実施例3によるドライブの偏芯次数と変位量を示す図 比較例によるダミー溝の偏芯次数と変位量を示す図 比較例によるドライブの偏芯次数と変位量を示す図
符号の説明
11…基板、12…磁性層、13…保護膜、21…レジスト、31…スタンパ、51…ガラス基板、52…磁性層、61、62…2P樹脂層、71、72…第1および第2の透明スタンパ

Claims (5)

  1. 記録媒体の記録層表面にトラックパターンを形成するための、同心円状またはらせん状の凹凸パターンを持つスタンパであって、
    該凹凸パターンは、該記録媒体のデータ記録部及びアドレス部を含むデータ領域に対応する主要な領域と、該主要な領域以外のダミー領域とを有し、前記ダミー領域の凹凸パターンは、そのリピータブルランアウトが回転周波数を基準の1次とした場合に15次から40次の間で1nm以下であることを特徴とするスタンパ。
  2. 前記スタンパは、その材料がニッケル、樹脂、及びガラスからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のスタンパ。
  3. 前記ダミー領域の凹凸パターンは、0.2μm以上0.75μm以下のトラックピッチを有することを特徴とする請求項1に記載のスタンパ。
  4. 前記リピータブルランアウトが15次から40次の間で0.5nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のスタンパ。
  5. 前記スタンパは、レジスト層表面にインプリント法により転写パターンを転写することを特徴とする請求項1ないし4に記載のスタンパ。
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