JP2010140392A - Icカードの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】非接触型ICカードまたは接触・非接触両用型ICカードの製造工程のうち、熱プレスによるコアーシート用カード基材とインレットを積層し貼り合わせて一体化してコアーシートとする工程において、熱プレス完了後に、コアーシート上のプレス板や離型シートを剥離する際に発生する静電気よって、ICチップが静電破壊してしまう事故を防止する方法を提供することである。
【解決手段】インレットの表裏にコアーシート用カード基材を積層し、貼り合わせて一体化する工程が、少なくとも、インレットの表裏にコアーシート用カード基材を重ね合わせ、フッ素樹脂シートまたはフッ素樹脂含有シートよりなる離型シートを介してプレス板で挟み、加圧加熱して貼り合わせて一体化してコアーシートを形成する工程を含むことを特徴とするICカードの製造方法である。
【選択図】図2
【解決手段】インレットの表裏にコアーシート用カード基材を積層し、貼り合わせて一体化する工程が、少なくとも、インレットの表裏にコアーシート用カード基材を重ね合わせ、フッ素樹脂シートまたはフッ素樹脂含有シートよりなる離型シートを介してプレス板で挟み、加圧加熱して貼り合わせて一体化してコアーシートを形成する工程を含むことを特徴とするICカードの製造方法である。
【選択図】図2
Description
本発明は、非接触型ICカードおよび接触・非接触共用型ICカードの製造方法に関するものであり、特にラミネート工程中に発生する剥離帯電よるICチップの静電破壊の防止方法に関する。
非接触型ICカードの製造方法の一つに、ICモジュールと該ICモジュールに接続されたアンテナコイルをアンテナシート上の所定位置に固定し、そのアンテナシートの表裏両面に熱可塑性樹脂よりなる非接触型ICカード用のコアーシート用カード基材を配置して、熱プレスすることによって積層し、貼り合わせて一体化してコアーシートを製造する工程を含む製造方法がある。この工程によって、アンテナシート上のアンテナコイル部やICモジュール部が凸状に盛り上がっていても、表面が平滑なカードを得ることができる(特許文献1参照)。
なお、材料シート、材料フィルムの複数枚を所定の順に積層し、貼り合わせて一体化する工程をラミネート工程、または単にラミネートと言うことがあり、本発明でも使用する。ラミネート工程において、加圧だけでなく加熱も併用する場合を熱ラミネート工程、または単に熱ラミネートと呼ぶことがある。また、貼り合わせて一体化するために各シート、各フィルムの間に接着剤を使用する場合もあり、接着剤を使用せず、加熱して材料同士を貼り合わせる場合もあり、いずれもラミネート工程、または単にラミネートと呼ぶ。
前記の積層し、貼り合わせて一体化する工程(ラミネート工程)において、加圧・加熱するためのプレス板にカード基材が貼り付かないようにするために、離型シートをプレス板とカード基材の間に挟み込むが、熱プレス後にプレス板や離型シートを取り外す際に剥離帯電が発生し、非接触型ICカード用のICチップが静電破壊してしまうことがある。従来のラミネート工程と、この剥離帯電が発生する状況について、図1の断面説明図に基づいて、以下に説明する。
図1(a)は、アンテナコイル1と非接触型ICカード用ICモジュール2をアンテナシート基材3上に固定し、アンテナコイル1とICモジュール2を結線した状態(図示せず)を示す断面説明図である。この状態にしたものを、以下インレット4と呼ぶ。アンテナコイル1は、絶縁銅線をコイル状に巻いたもの、またはアンテナシート基材3の上に銅箔またはアルミ箔を貼り付け、エッチング法で所定のアンテナコイルパターンを形成したものである。ICモジュール2はICチップを含み、非接触型ICカード用としてアンテナシートに装着できる状態にしたものを指す。
アンテナシート基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が使用されることが多い。厚さは15〜200μmである。
図1(b)は積層する部材の積層構成を示す図である。インレット4の上下に熱可塑性樹脂よりなるコアーシート用カード基材5、5’を配置し、その外側に離型シートとしてポリプロピレンフィルムの離型シート11、11’を、さらにその外側にプレス板12、12’を配置する。この積層構成としたものを、熱プレス装置の加圧定盤20、20’の間に置き、熱プレスする。ポリプロピレンフィルムの離型シート11、11’は、熱プレス時にコアーシート用カード基材5,5’がプレス板12、12’に溶融付着することを防止するための、離型用シートである(特許文献1参照)。
前記コアーシート用カード基材5、5’にはポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレート−グリコール共重合体(PET−G)等が使用される。いずれも電気絶縁性である。厚さは50〜500μmである。
ICモジュールの厚さが厚く、熱プレスだけではコアーシートの表面を平坦にする際に長時間を要する場合には、コアーシート用のカード基材5、5’のICモジュールが埋め込まれる場所にあたる部分をくり抜いたり、ザグリ加工したりして、ラミネートする際に表面を平坦にしやすいようにする。その際は、コアーシート用カード基材5は一枚ではなく、多数層重ねてもよい。例えば、くり抜いたもの一枚とその外側にくり抜ぬいてないものを一枚重ねてもよい。
図1(c)はプレス板で加圧すると同時に加熱して、インレット4とコアーシート用カード基材5、5’を一体化しているラミネート工程を示す断面説明図である。このラミネート工程によって、図1(c)に示すようにアンテナシート基材3上のアンテナコイル1とICモジュール2はコアーシート用カード基材5の内部に埋め込まれ、また、アンテナシート基材3自体もコアーシート用カード基材5、5’と融着して一体化され、一次積層一体化(一次ラミネート工程)完了品となる。この状態のものをコアーシートと呼ぶ。コアーシートの厚さは0.5〜0.7mmである。
加熱温度は使用するコアーシート用カード基材によって異なるが、PVCの場合130〜170℃、PETの場合130〜170℃、PET−Gの場合130〜170℃である。プレス圧力は通常1.2〜1.8MPaである。さらにプレス時間は1〜60分間である。
またインレット4とコアーシート用カード基材5、5’が融着しにくい組み合わせの場合には接着剤を使用することがある。接着剤としてはホットメルト系の接着剤を使用する事が多い。例えば、エチレンビニルアルコール(EVA)、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル系の単体または混合物のホットメルト型シート状の接着剤、2液反応型のエポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、UVまたはカチオン重合型、嫌気型、湿気硬化型等の接着剤を使用することができる。その場合の加熱温度、圧力、時間は使用する接着剤の特性を加味して設定する。
図1(d)は熱プレス装置から取り出し、プレス板12をポリプロピレンフィルム11から剥離している状態を示している。この時点で、プレス板とポリプロピレンフィルムの間に剥離帯電が発生する。その電位は、発明者らの測定では、20kV以上になることがある。この静電気によって、コアーシート用カード基材に埋め込まれたICチップが静電破壊されることがある。同様に、プレス板12’をポリプロピレンフィルム11’から剥離する場合にも、剥離帯電が発生し、ICチップが静電破壊されることがある。
次ぎに、ポリプロピレンフィルム11をコアーシート用カード基材5から引き剥がす。この工程においても剥離帯電が発生する。また、プロピレンフィルム11’をコアーシート用カード基材5’から引き剥がす際にも剥離帯電が発生し、共にICチップの静電破壊の原因になることがある。
実際の非接触型ICカードでは、通常、一次ラミネートを完了し、コアーシートになったものについて、さらに同様なラミネート工程を使用して、両面に外装シートを積層し、貼り合わせて一体化(2次ラミネート)して製品にする。その際にも剥離帯電が発生し、ICチップの静電破壊が発生する。しかし、ICモジュールはコアーシートと外装シートの2層で覆われているので、剥離帯電の放電によるICチップの破壊は、1次ラミネート
工程と比較して、発生率がはるかに少ないが、発生することがある。
工程と比較して、発生率がはるかに少ないが、発生することがある。
なお、カードの厚さはJISで0.76mmと定められている。このため、コアーシート用のカード基材の厚さを増して静電破壊を防止することは、困難である。
また、上記の工程において、離型用のポリプロピレンフィルムには厚さ0.02〜0.1mmのものを使用している。融点が150〜160℃であり、加熱によって変形してしまうので、再使用は好ましくない。
上記の工程におけるICチップの静電破壊対策として、温度管理を行ったり、イオナイザーを使用したり、除電ブラシを使用したりしたが、剥離時に瞬間的に発生する静電気を完全に除去することはできず、ICチップが静電破壊する事故が生産コストに影響する程度に発生した。
なお、非接触型ICカード製造時における、剥離帯電によるICチップの静電破壊や使用中の帯電によるICチップの静電破壊を防止するために、公知の静電破壊対策を使用することができる。例えば、バリスタをICモジュール中に設置する方法(特許文献2)、コアーシートに吸湿性があり剥離帯電しにくい紙材料を使用する方法(特許文献3)、エッチング法でアンテナコイルを作成する際に、静電シールドパターンを同時に形成する方法(特許文献4)を使用することができる。しかし、バリスタを組み込む方法はコストアップとなる。またコアーシート用カード基材として紙材料を使用することは、カードの耐性を落としてしまう。さらに静電シールドする方法は、アンテナコイルに到着する電波を減少させてしまう、という問題がある。
以上は非接触型ICカードの製造工程と工程中に発生する剥離帯電について述べたが、接触・非接触両用型ICカードについても、上記した製造方法に類似した製造工程を使用することがあり、剥離帯電が発生し、ICチップが静電破壊されることがある。
公知文献を以下に示す。
特開2000−251042号公報
特開2001−160125号公報
特開2002−163621号公報
特開平11−306302号公報
非接触型ICカードまたは接触・非接触両用型ICカードの製造工程のうち、熱プレスによるコアーシート用カード基材とインレットを積層し貼り合わせて一体化してコアーシートとする工程において、熱プレス完了後に、コアーシート上のプレス板や離型シートを剥離する際に発生する静電気によって、ICチップが静電破壊してしまう事故を防止する方法を提供することである。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、請求項1に係わる発明は、アンテナコイルおよびアンテナコイルに接続されたICモジュールを具備するアンテナシートと、該アンテナシートの表裏に、コアーシート用カード基材を積層し、貼り合わせて一体化する工程を有するICカードの製造方法であって、
アンテナシートの表裏にコアーシート用カード基材を積層し、貼り合わせて一体化する工程が、少なくとも、アンテナシートの表裏にコアーシート用カード基材を重ね合わせ、フッ素樹脂シートまたはフッ素樹脂含有シートよりなる離型シートを介してプレス板で挟み、加圧加熱して貼り合わせて一体化してコアーシートを形成する工程を含むことを特徴とするICカードの製造方法である。
アンテナシートの表裏にコアーシート用カード基材を積層し、貼り合わせて一体化する工程が、少なくとも、アンテナシートの表裏にコアーシート用カード基材を重ね合わせ、フッ素樹脂シートまたはフッ素樹脂含有シートよりなる離型シートを介してプレス板で挟み、加圧加熱して貼り合わせて一体化してコアーシートを形成する工程を含むことを特徴とするICカードの製造方法である。
請求項2に係わる発明は、前記フッ素樹脂シートまたはフッ素樹脂含有シートが前記プレス板に一体的に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカードの製造方法である。
請求項3に係わる発明は、前記フッ素樹脂含有シートが、クロスシートにフッ素樹脂を含浸させたフッ素樹脂含浸クロスシートであることを特徴とする請求項1または2に記載のICカードの製造方法である。
請求項4に係わる発明は、前記フッ素樹脂シートまたはフッ素樹脂含有シートに使用されているフッ素樹脂が四フッ化エチレン樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のICカードの製造方法である。
請求項5に係わる発明は、前記コアーシートの上に外装シートを積層し、貼り合わせて一体化する工程を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のICカードの製造方法である。
請求項1に記載の発明の効果は、表面エネルギーが低いので離型シートとして優れているフッ素樹脂フィルム、フッ素樹脂含有クロスシートを使用している。このため、離型シートがカード基材やプレス板に固着することは全くない。また、表面エネルギーが低いので接している物質との相互作用が少なく、容易に剥離することができるので、剥離帯電の発生が少ない。その結果、工程中のICチップの静電破壊を大幅に低減することができる。さらに、耐熱性に優れているので、従来は離型シートとして使用していたポリプロピレンフィルムの場合には使い捨てであったが、多数回の使用に耐えることができる。
本発明の製造方法は、非接触型ICカードの製造に有用であるばかりでなく、接触・非接触両用型ICカードの製造においても、ICモジュールを装着してから熱ラミネート工程を行う製造方法の場合には有効である。
請求項2の発明の効果は、熱プレス後に、プレス板を引き剥がす際に、離型シートも同時に引き剥がされるので、従来2工程必要だった作業が1工程で済むようになった点である。一体化する方法によっては、離型シートを引き剥がす際にプレス板が同時に引き剥がされるようになる場合もある。
請求項3の発明は、フッ素樹脂含有離型シートとしてクロスシートにフッ素樹脂が含浸されたフッ素樹脂含浸クロスシートを使用するというものであるが、クロスの網目が熱プレス時のコアーシート用カード基材の流動を抑制するので、熱プレス前後の寸法変化が少なくなる点である。寸法変化が大きいと、実際にはコアーシートの製造は多面付けした大サイズの状態で行うので、印刷パターンとのずれが発生したり、また抜き型で個々のカードにする際に位置ずれが発生したりする問題が発生する。離型シートとして、フッ素樹脂含浸クロスのシートを使用することによって、寸法変化を0.5%以下にすることができるので、この問題が発生しないという大きな利点がある。
さらに、フッ素樹脂含浸クロスシートは高価であるが、フッ素樹脂シートよりもさらに多数回使用することができるので、全体としてコスト低下に有効である。
請求項4の発明では、フッ素樹脂の中でも最も硬度が高く、耐熱性に優れた四フッ化エ
チレン樹脂を使用した離型シートを使用するので、耐久性が高く、最も多数回の使用に耐えるという効果がある。
チレン樹脂を使用した離型シートを使用するので、耐久性が高く、最も多数回の使用に耐えるという効果がある。
請求項5の発明の効果は、2次ラミネート工程、すなわちコアーシートの外側に外装シートを積層し、貼り合わせて一体化する場合にも、請求項1〜4のいずれの発明も使用することができる点である。
本発明に離型シートとして使用することができるフッ素樹脂フィルムとしては、フッ素樹脂がポリテトラフルオルエチレン樹脂(PTFE)、ポリトリフルオルエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリジクロルジフルオルエチレン樹脂のいずれのフィルムであってもよい。いずれであっても、ラミネート工程の後、コアーシートの表面、または外装シートの表面から容易に剥離する。またプレス板とも容易に剥離する。
剥離帯電は物質間の相互作用が大きい場合に大きくなる。フッ素樹脂は、表面エネルギーが特に低く、他物質との相互作用が小さい。このため、剥離帯電電位がかなり低い。また、帯電防止剤が配合されているものでは、剥離帯電電位がさらに低くなる。
離型シートとして繰り返し使用するので、フッ素樹脂にも多くの種類があるが、柔らかいフッ素樹脂は粗面化した表面の凹凸や表面のうねりの凹凸の凸部が押されて平坦化されやすい。このため凹凸の耐久性を重視する場合には、PTFE、なかでも架橋性PTFEなどの硬いフッ素樹脂を用いることが好ましい。
本発明に使用することができるフッ素樹脂フィルムの市販品としては、例えば日東電工製のニトフロン No.900UL(PTFE)、ニトフロン高強度 No.920UL(PTFE)、ニチアス社製のナフロンPTFEテープ、TOMBO No.9001(PTFE)、日本バルカー工業社製のバルフロン切削テープ No.7900(PTFE)等がある。
フッ素樹脂をクロス(布)に含浸させたものを、フッ素樹脂含浸クロスと呼ぶ。クロス(布)としては、ガラス繊維を使用したガラスクロス、アラミド樹脂の繊維を使用したアラミドクロスを使用することが多く、離型シートとして本発明に使用することができる。
フッ素樹脂含浸クロスの市販品としては、例えば、ガラスクロスにフッ素樹脂を含浸させた、日東電工製のニトフロン含浸ガラスクロスNo.9700UL(PTFE)、日本バルカー工業社製のバルフロンガラスクロスNo.7920(PTFE)、中興化成工業社製のチューコーフローGタイプファブリックNo.FGC−301−6(帯電防止剤配合、PTFE)等がある。
中興化成工業社製のチューコーフローGタイプファブリックNo.FGC−301−6(膜厚110μm)は、体積抵抗:8×107Ω・cm、表面抵抗:6×109Ωである。
上記のいずれの市販品を使用しても、剥離帯電の量(電位)は0.5〜0.8kVであった。剥離帯電量(電位)は剥離速度によって大きく変化し、剥離速度が速いほど高くなる。ゆっくり剥がせば電位が低く、静電破壊防止には有効であるが、生産性が低下する。
請求項2に記載の、プレス板にフッ素樹脂シートやフッ素樹脂含有シートを固着一体化させた離型性プレス板15は、図2に示すように、通常のプレス板にフッ素樹脂シートやフッ素樹脂含有シートを接着することによって作成することができる。また、プレス板に
ガラスクロスやアラミドクロスを接着し、つぎにクロス表面からフッ素樹脂を含浸することによって作成することができる。
ガラスクロスやアラミドクロスを接着し、つぎにクロス表面からフッ素樹脂を含浸することによって作成することができる。
上記の離型性プレス板15を使用すると、積層時に離型シートをコアーシート用や外装用のカード基材に載置する工程とプレス板を載置する工程が一回の作業で終了する。また、熱プレス後にプレス板と離型シートを除去する工程も一回の作業で終了することができる。
さらに、プレス板にフッ素樹脂シートまたは、フッ素樹脂含有シートを何らかの方法で一体化することによっても、同様の効果を得ることができる。例えば、フッ素樹脂含浸クロスの袋を作成し、プレス板を袋の中に入れて一体化する方法がある。袋ごとプレスすべきカード基材の上に置いたり、取り外したりすることで、従来は2工程必要であった作業を一回で終了することができる。
さらに別の方法として、離型シートをプレス板より大きな枠に取り付け、プレス板を離型シート上に載置し、固定する方法がある。例えば、スクリーン印刷用のステンレスメッシュ、ポリアラミドメッシュ等の耐熱性のあるスクリーン印刷用のメッシュをスクリーン枠に取り付け、フッ素樹脂材料を塗布し、焼き付けることによって、フッ素樹脂含有離型シートを作成することができる。これにプレス板を載置し、固定して離型性プレス板15を形成する方法がある。離型性プレス板15を取り付けた枠を掴んで、移動することによって、従来は2工程必要であった載置作業と除去作業をいずれも一回の作業で終了することができる。
プレス板を載置し固定したものでなくて、単にスクリーン印刷用の枠等の枠にフッ素樹脂含浸クロスシートを取り付けたものでも、または上記のようにして作成した枠付きのフッ素樹脂含有離型シートであっても、枠を掴んで作業することができるので、シート、クロスシートをそのまま積層物に載せたり、取り外したりする作業に比較して、作業効率が向上する。
離型シートを人が剥がす場合には、離型シートとワークの間に滑りが発生し、そのために摩擦帯電が発生しがちである。プレス板と離型シートを一体化したもの、離型シートを枠に固定したものは、人が手で剥離するのではなく、装置に組み込んで剥離するようにすることができる。その結果、摩擦帯電の発生を防止することが可能になる。
フッ素樹脂含浸クロスはこの熱プレス工程において数百回以上の耐久性がある。一方、フッ素樹脂シートは、十回程度の耐久性である。
本発明に使用することができるコアーシート用カード基材の樹脂としては、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、PETG樹脂、ポリプロピレン樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂などを用いることができる。
本発明に使用することができるアンテナシートは、アンテナコイルとして、例えば、絶縁フィルム上に絶縁導線をコイル状に巻いたもの、または絶縁フィルムの上にアルミ箔や銅箔を設け、それをコイル状にエッチングしたものを使用することができる。さらに、ICチップは剥き出しのものをアンテナシートの所定位置に設置してもよいし、またICチップを樹脂封止したICモジュールも使用することができる。アンテナシート基材は、通常使用されるPEN、PET、PET−G、PBT等のいずれも使用することができる。
本発明の方法に使用することができる外装シートは、通常のICカードに使用されるもの、例えばポリ塩化ビニル樹脂、PET樹脂、PET−G樹脂、PETとPCのポリマーアロイ、等のフィルムを使用することができる。また、外装シートをラミネートする方法は、コアーシートを作成する場合と同じでよい。
本発明のカード製造方法において、印刷は通常のICカードを製造する場合と同じでよい。すなわち、コアーシートの基材の上や、外装シートの上に印刷する。印刷方法はスクリーン印刷、オフセット印刷を使用する。外装シートの上に印刷した場合には、特にその上に印刷パターンが傷ついたり、かすれたりしないように表面保護層を形成する。表面保護層の材料、形成方法は、従来カードの製造に使用された材料、方法を使用することができる。
請求項2に記載のプレス板にフッ素樹脂含浸シートを一体的に取り付けた離型性プレス板15を使用して、外装シートをラミネートする工程(2次ラミネート工程)を、図2に示した断面説明図に基づいて以下に説明する。
図2(a)は図1(d)の工程(1次ラミネート工程)が終了して、コアーシート用カード基材5、5’の間にインレット4が埋め込まれ貼り合わされて一体化したコアーシートが完成した状態である。
図2(b)は、コアーシートを上下から外装シート6,6’で挟み込んで、さらにそれをフッ素含浸クロスシート13とプレス板14を一体化した離型性プレス板15で挟み込んで、さらに熱プレス装置の加熱加圧定盤20,20’でプレスしている状態を示す。この熱圧プレスによって、外装シート6,6’はコアーシート用カード基材5、5’に貼り合わされ一体化する。
図2(c)は、離型性プレス板15を外装シート6から取り外している状態を示す。離型性プレス板15はフッ素含浸クロスシート13とプレス板14が一体化しているので、同時に外装シート6上から取り外すことができる。
図2(d)は、下側の離型性プレス板15も取り外して、非接触型ICカードが完成した状態を示している。
以下に、本発明の実施例を図1に基づき、より更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例>
アンテナシート基材3として、厚さ50μmのポリエチレンナフタレート(PEN)を使用し、アンテナコイル1は、アンテナシート基材上に接着された厚さ35μmの銅箔をエッチング法で作成したものを使用した。ICモジュール2をアンテナコイルの延長上に設置された端子部に異方性導電ゴムを使用してフェースダウン方式で装着して、インレット4とした。
<実施例>
アンテナシート基材3として、厚さ50μmのポリエチレンナフタレート(PEN)を使用し、アンテナコイル1は、アンテナシート基材上に接着された厚さ35μmの銅箔をエッチング法で作成したものを使用した。ICモジュール2をアンテナコイルの延長上に設置された端子部に異方性導電ゴムを使用してフェースダウン方式で装着して、インレット4とした。
コアーシート用のカード基材5,5’として、厚さ300μmの白色硬質塩化ビニル樹脂フィルムを使用した。このカード基材を上記のインレット4の上下に配置し、さらにその外側に離型シート11,11’として、帯電防止剤が配合されたフッ素樹脂をガラスクロスに含浸させた「チューコーフローGタイプファブリックNo.FGC−301−6」(中興化成工業社製、商品名。厚さ110μm、体積抵抗:8×107Ω・cm、表面抵抗:6×109Ω)を配置した。
プレス板12,12’としては、鏡面ステンレス板(SUS430)厚さ1mmを使用
した。熱プレス装置のプレス定盤20,20’の間に上記のように積層したものを10段重ねて置き、熱プレス条件を温度150℃、圧力を1.5MPa、時間を45分間として、加熱加圧して貼り合わせて一体化した。
した。熱プレス装置のプレス定盤20,20’の間に上記のように積層したものを10段重ねて置き、熱プレス条件を温度150℃、圧力を1.5MPa、時間を45分間として、加熱加圧して貼り合わせて一体化した。
プレス板12,12’を剥離する工程、および上記フッ素樹脂含浸クロス11、11’を剥離する工程は、従来方法と同じく、人の手で行った。なお熱プレス装置と作業員は、電気的に接地した。
積層後のICチップの静電破壊による不良発生率は、従来方法の場合を100とするとき、上記の実施例において3となり、大幅に減少した。
さらに、製造したコアーシートの外形寸法が、従来のポリプロピレンフィルムを使用した場合には約1%収縮したが、上記のフッ素樹脂含浸クロスを使用した場合には、収縮率が約0.5%と半減した。通常、カード類は多面付けで製造する。熱プレスや印刷をする際のサイズは、30×40cm程度である。外形寸法が変化すると、ICモジュールの位置や、印刷パターンのずれが、仕様値からはずれてしまうことがあるが、フッ素樹脂含浸クロスを使用することによって、それをかなりの程度防止することができる。
剥離用シートにフッ素樹脂含浸クロスを使用すると、なぜ外形寸法の収縮が半減するのか、その理由は判明していない。しかし、フッ素樹脂含浸クロスの表面が完全に平滑ではなく、クロスの網目がわずかに表面に現れているので、コアーシート用カード基材との間に多少なりとも引っかかりが発生し、熱プレス時のコアーシート用カード基材の収縮を防止する効果があると考えられる。
<剥離帯電量の測定>
・測定方法
使用した帯電量測定装置はシシド静電気社製の静電電位測定器DZ3である。熱ラミネート後、プレス板を剥がす際の帯電量(電位)を測定した。(サンプル数30)
・測定結果
ポリプロピレンフィルムを離型シートとした場合の帯電電位は15〜20kV以上(測定限界以上)、帯電防止性フッ素樹脂含浸フィルム「チューコーフローGタイプファブリックNo.FGC−301−6」を離型シートとした場合は、0.5〜0.8kVであった。
・測定方法
使用した帯電量測定装置はシシド静電気社製の静電電位測定器DZ3である。熱ラミネート後、プレス板を剥がす際の帯電量(電位)を測定した。(サンプル数30)
・測定結果
ポリプロピレンフィルムを離型シートとした場合の帯電電位は15〜20kV以上(測定限界以上)、帯電防止性フッ素樹脂含浸フィルム「チューコーフローGタイプファブリックNo.FGC−301−6」を離型シートとした場合は、0.5〜0.8kVであった。
チューコーフローGタイプファブリックNo.FGC−301−6には帯電防止剤が配合されていることも、剥離帯電が減少した一因であると思われるが、主因はフッ素樹脂フィルムの優れた離型性によって、剥離帯電自体の発生が減少したためである。帯電防止剤を配合した場合の効果は、発生した剥離帯電を放電させずに、瞬時に逃がすようになる点である。
1・・・・アンテナコイル
2・・・・ICモジュール
3・・・・アンテナシート基材
4・・・・インレット
5、5’・・・・コアーシート用カード基材
6、6’・・・・外装シート
11、11’・・離型シート
12,12’・・プレス板
13・・・・・フッ素樹脂含浸クロスシート
14・・・・・プレス板
15・・・・・離型性プレス板
20、20’・・・・加熱プレス装置の加熱プレス用定盤
2・・・・ICモジュール
3・・・・アンテナシート基材
4・・・・インレット
5、5’・・・・コアーシート用カード基材
6、6’・・・・外装シート
11、11’・・離型シート
12,12’・・プレス板
13・・・・・フッ素樹脂含浸クロスシート
14・・・・・プレス板
15・・・・・離型性プレス板
20、20’・・・・加熱プレス装置の加熱プレス用定盤
Claims (5)
- アンテナコイルおよびアンテナコイルに接続されたICモジュールを具備するアンテナシートと、該アンテナシートの表裏に、コアーシート用カード基材を積層し、貼り合わせて一体化する工程を有するICカードの製造方法であって、
アンテナシートの表裏にコアーシート用カード基材を積層し、貼り合わせて一体化する工程が、少なくとも、アンテナシートの表裏にコアーシート用カード基材を重ね合わせ、フッ素樹脂シートまたはフッ素樹脂含有シートよりなる離型シートを介してプレス板で挟み、加圧加熱して貼り合わせて一体化してコアーシートを形成する工程を含むことを特徴とするICカードの製造方法。 - 前記フッ素樹脂シートまたはフッ素樹脂含有シートが前記プレス板に一体的に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカードの製造方法。
- 前記フッ素樹脂含有シートが、クロスシートにフッ素樹脂を含浸させたフッ素樹脂含浸クロスシートであることを特徴とする請求項1または2に記載のICカードの製造方法。
- 前記フッ素樹脂シートまたはフッ素樹脂含有シートに使用されているフッ素樹脂が四フッ化エチレン樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のICカードの製造方法。
- 前記コアーシートの上に外装シートを積層し、貼り合わせて一体化する工程を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のICカードの製造方法。
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JP2008318020A JP2010140392A (ja) | 2008-12-15 | 2008-12-15 | Icカードの製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013140545A (ja) * | 2012-01-06 | 2013-07-18 | Ji Yuan Ou | 電子素子を内蔵したカードの製作方法 |
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