JP2010140055A - 光導波路構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気回路と光回路のそれぞれにおいてパターン形状の設計の自由度が広く、寸法
精度の高い光路を簡単な方法で形成することができ、また、耐久性に優れる光導波路を備
えた光導波路構造体を提供すること。
【解決手段】光導波路構造体1は、基板2と、コア層93の両面にクラッド層91、92
を積層してなる光導波路9と、その両面にそれぞれ接合された導体層51、52と、光導
波路9の光路をほぼ直角に屈曲させる光路変換部96と、発光素子10と、電気素子12
とを備えている。基板2に形成された貫通孔22の内周面には、導体部3が形成され、そ
の内側には、コア部24とクラッド部25とからなる垂直光導波路23が形成されている
。コア層93は、コア部94とクラッド部95とを有し、コア部94は、活性放射線の照
射と加熱とにより屈折率が変化する材料で構成されたコア層93に対し活性放射線を選択
的に照射して所望形状に形成したものである。
【選択図】図3

Description

本発明は、光導波路構造体に関するものである。
近年、光通信の分野における光部品として、光分岐結合器(光カプラ)、光合分波器等
が開発されており、これらに用いる光導波路型素子が有望視されている。この光導波路型
素子(以下単に「光導波路」とも言う)としては、従来の石英系光導波路の他、製造(パ
ターニング)が容易で汎用性に富むポリマー系光導波路があり、最近では後者の開発が盛
んに行われている。
このような光導波路は、通常、基板上に所定の配置(パターン)で形成され、光導波路
構造体として取り扱われる。この光導波路構造体としては、基板上に所定の電気配線回路
と、コア部およびクラッド部で構成される光導波路とを形成し、さらにこの光導波路に発
光素子および受光素子を取り付けたもの(電気/光混成基板)が開示されている(例えば
、特許文献1参照)。
しかしながら、上記特許文献1に記載の光導波路構造体では、次のような問題点がある

1.光導波路の形成工程が複雑であり、伝送光の光路を構成するコア部のパターン形状の
設計、選択の自由度が狭い。
2.コア部のパターン形状の精度や寸法精度が悪い。
3.電気配線パターンと組み合わせた場合に、該配線パターンの設計における自由度が狭
い。また、電気配線パターンの設計を優先すると、光導波路の光路設計の自由度が狭くな
る。
4.集積化、小型化に不利である。
特開2004−146602号公報
本発明の目的は、電気回路と光回路のそれぞれにおいてパターン形状の設計の自由度が
広く、寸法精度の高いコア部(光路)を簡単な方法で形成することができ、また、耐久性
に優れる光導波路を備えた光導波路構造体を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(75)の本発明により達成される。
(1) 互いに屈折率が異なるコア部とクラッド部とを有する光導波路と、導体層とを
有する積層構造体で構成され、
厚さ方向に延在し、前記コア部に光学的に接続される導光路と、
厚さ方向に延在し、前記導体層に電気的に接続される導体部とを有し、
前記コア部は、活性放射線の照射により、またはさらに加熱することにより屈折率が変
化する材料で構成されたコア層に対し前記活性放射線を選択的に照射することにより所望
の形状に形成されたものであることを特徴とする光導波路構造体。
(2) 前記導光路と前記導体部とが接触または接近している上記(1)に記載の光導
波路構造体。
(3) 貫通孔を有し、前記導光路と前記導体部とが前記貫通孔内に形成されている上
記(1)または(2)に記載の光導波路構造体。
(4) 前記貫通孔内において、前記導体部は前記導光路の周囲に配置されている上記
(3)に記載の光導波路構造体。
(5) 前記導光路は、前記光導波路のコア部と同様のコア部で構成されている上記(
1)ないし(4)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(6) 前記導光路は、互いに屈折率が異なるコア部とクラッド部とを有する垂直光導
波路で構成されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(7) 前記導光路のコア部は、前記光導波路のコア部またはクラッド部と同様の材料
で構成されている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(8) 前記導光路のコア部は、前記光導波路のコア部と同様の方法で形成されたもの
である上記(7)に記載の光導波路構造体。
(9) 前記導光路の横断面形状は、円形をなしている上記(1)ないし(8)のいず
れかに記載の光導波路構造体。
(10) 前記光導波路の光路を屈曲させる光路変換部を有する上記(1)ないし(9
)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(11) 前記光路変換部は、前記光導波路のコア部と前記導光路との接続部に設けら
れている上記(10)に記載の光導波路構造体。
(12) 前記光路変換部は、前記コア部を伝送される伝送光の少なくとも一部を反射
する反射面を有するものである上記(10)または(11)に記載の光導波路構造体。
(13) 前記コア層の両面に前記クラッド部を構成するクラッド層がそれぞれ接合さ
れ、両クラッド層とこれらの間に介挿されたコア層の積層体により前記光導波路が構成さ
れる上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(14) 前記導体層は、前記光導波路の少なくとも一方の面に接合されている上記(
1)ないし(13)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(15) 発光部または受光部と、端子とを有する素子を有する上記(1)ないし(1
4)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(16) 前記素子の端子が前記導体層と電気的に接続されている上記(15)に記載
の光導波路構造体。
(17) 前記素子は、その外表面が封止材により封止されている上記(15)または
(16)に記載の光導波路構造体。
(18) 硬質なまたは可撓性を有する基板を有する上記(1)ないし(17)のいず
れかに記載の光導波路構造体。
(19) 前記光導波路は、前記基板に隣接して設けられている上記(18)に記載の
光導波路構造体。
(20) 前記導光路と前記導体部の少なくとも一方は、前記基板を貫通するように形
成されている上記(18)または(19)に記載の光導波路構造体。
(21) 前記導光路と前記導体部の少なくとも一方は、前記基板に対しほぼ垂直に形
成されている上記(18)ないし(20)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(22) 厚さ方向の異なる位置に形成された複数の導体層を有し、これらの導体層同
士が前記導体部を介して電気的に接続されている上記(1)ないし(21)のいずれかに
記載の光導波路構造体。
(23) 前記導光路と前記コア部とは、それらの形成工程の少なくとも一部を同時に
行って得られたものである上記(1)ないし(22)のいずれかに記載の光導波路構造体
(24) 伝送光を集光または拡散し得るレンズ部を有する上記(1)ないし(23)
のいずれかに記載の光導波路構造体。
(25) 前記レンズ部は、前記導光路の端部または内部に設けられている上記(24
)に記載の光導波路構造体。
(26) 前記コア層は、ポリマーと、該ポリマーと相溶し、かつ、該ポリマーと異な
る屈折率を有するモノマーと、活性放射線の照射により活性化する第1の物質と、前記モ
ノマーの反応を開始させ得る第2の物質であって、活性化した前記第1の物質の作用によ
り、活性化温度が変化する第2の物質とを含む層を形成し、
その後、前記層に対して前記活性放射線を選択的に照射することにより、前記活性放射
線が照射された照射領域において、前記第1の物質を活性化させるとともに、前記第2の
物質の活性化温度を変化させ、
次いで、前記層に対して加熱処理を施すことにより、前記第2の物質または活性化温度
が変化した前記第2の物質のいずれか活性化温度の低い方を活性化させ、前記照射領域ま
たは前記活性放射線の未照射領域のいずれかにおいて前記モノマーを反応させて、前記照
射領域と前記未照射領域との間に屈折率差を生じさせることにより、前記照射領域および
前記未照射領域のいずれか一方を前記コア部とし、他方を前記クラッド部として得られた
ものである上記(1)ないし(25)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(27) 前記コア層は、前記層の前記照射領域または前記未照射領域のいずれか一方
の領域において前記モノマーの反応が進むにつれて、他方の領域から未反応の前記モノマ
ーが集まることにより得られたものである上記(26)に記載の光導波路構造体。
(28) 前記第1の物質は、前記活性放射線の照射に伴って、カチオンと弱配位アニ
オンとを生じる化合物を含むものであり、前記第2の物質は、前記弱配位アニオンの作用
により活性化温度が変化するものである上記(26)または(27)に記載の光導波路構
造体。
(29) 前記第2の物質は、活性化した前記第1の物質の作用により活性化温度が低
下し、前記加熱処理の温度よりも高い温度での加熱により、前記活性放射線の照射を伴う
ことなく活性化するものである上記(26)ないし(28)のいずれかに記載の光導波路
構造体。
(30) 前記第2の物質は、下記式Iaで表される化合物を含む上記(29)に記載
の光導波路構造体。
(E(R)Pd(Q) ・・・ (Ia)
[式中、E(R)は、第15族の中性電子ドナー配位子を表し、Eは、周期律表の第
15族から選択される元素を表し、Rは、水素原子(またはその同位体の1つ)または炭
化水素基を含む部位を表し、Qは、カルボキシレート、チオカルボキシレートおよびジチ
オカルボキシレートから選択されるアニオン配位子を表す。]
(31) 前記第2の物質は、下記式Ibで表される化合物を含む上記(29)または
(30)に記載の光導波路構造体。
[(E(R)Pd(Q)(LB)[WCA] ・・・ (Ib)
[式中、E(R)は、第15族の中性電子ドナー配位子を表し、Eは、周期律表の第
15族から選択される元素を表し、Rは、水素原子(またはその同位体の1つ)または炭
化水素基を含む部位を表し、Qは、カルボキシレート、チオカルボキシレートおよびジチ
オカルボキシレートから選択されるアニオン配位子を表し、LBは、ルイス塩基を表し、
WCAは、弱配位アニオンを表し、aは、1〜3の整数を表し、bは、0〜2の整数を表
し、aとbとの合計は、1〜3であり、pおよびrは、パラジウムカチオンと弱配位アニ
オンとの電荷のバランスをとる数を表す。]
(32) pおよびrは、それぞれ、1または2の整数から選択される上記(31)に
記載の光導波路構造体。
(33) 前記コア層は、前記加熱処理の後、前記層を前記加熱処理の温度よりも高い
第2の温度で加熱処理することにより得られたものである上記(26)ないし(32)の
いずれかに記載の光導波路構造体。
(34) 前記コア層は、前記第2の温度での加熱処理の後、前記層を前記第2の温度
よりも高い第3の温度で加熱処理することにより得られたものである上記(33)に記載
の光導波路構造体。
(35) 前記第3の温度は、前記第2の温度より20℃以上高い上記(34)に記載
の光導波路構造体。
(36) 前記モノマーは、架橋性モノマーを含む上記(26)ないし(35)のいず
れかに記載の光導波路構造体。
(37) 前記モノマーは、ノルボルネン系モノマーを主とするものである上記(26
)ないし(36)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(38) 前記モノマーは、ノルボルネン系モノマーを主とするものであり、前記架橋
性モノマーとして、ジメチルビス(ノルボルネンメトキシ)シランを含むものである上記
(36)に記載の光導波路構造体。
(39) 前記ポリマーは、活性化した前記第1の物質の作用により、分子構造の少な
くとも一部が主鎖から離脱し得る離脱性基を有し、前記層に対して前記活性放射線を選択
的に照射した際に、前記照射領域において、前記ポリマーの前記離脱性基が離脱する上記
(26)ないし(38)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(40) 前記第1の物質は、前記活性放射線の照射に伴って、カチオンと弱配位アニ
オンとを生じる化合物を含むものであり、前記離脱性基は、前記カチオンの作用により離
脱する酸離脱性基である上記(39)に記載の光導波路構造体。
(41) 前記コア層は、活性放射線の照射により活性化する物質と、主鎖と該主鎖か
ら分岐し、活性化した前記物質の作用により、分子構造の少なくとも一部が前記主鎖から
離脱し得る離脱性基とを有するポリマーとを含む層を形成し、
その後、前記層に対して前記活性放射線を選択的に照射することにより、前記活性放射
線が照射された照射領域において、前記物質を活性化させ、前記ポリマーの前記離脱性基
を離脱させて、当該照射領域と前記活性放射線の非照射領域との間に屈折率差を生じさせ
ることにより、前記照射領域および前記非照射領域のいずれか一方を前記コア部とし、他
方を前記クラッド部として得られたものである上記(1)ないし(25)のいずれかに記
載の光導波路構造体。
(42) 前記コア層は、前記活性放射線の照射の後、前記層に対して加熱処理を施す
ことにより得られたものである上記(41)に記載の光導波路構造体。
(43) 前記物質は、前記活性放射線の照射に伴って、カチオンと弱配位アニオンと
を生じる化合物を含むものであり、前記離脱性基は、前記カチオンの作用により離脱する
酸離脱性基である上記(41)または(42)に記載の光導波路構造体。
(44) 前記酸離脱性基は、−O−構造、−Si−アリール構造および−O−Si−
構造のうちの少なくとも1つを有するものである上記(40)または(43)に記載の光
導波路構造体。
(45) 前記離脱性基は、その離脱により前記ポリマーの屈折率に低下を生じさせる
ものである上記(40)ないし(44)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(46) 前記離脱性基は、−Si−ジフェニル構造および−O−Si−ジフェニル構
造の少なくとも一方である上記(45)に記載の光導波路構造体。
(47) 前記活性放射線は、200〜450nmの範囲にピーク波長を有するもので
ある上記(26)ないし(46)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(48) 前記活性放射線の照射量は、0.1〜9J/cmである上記(26)ない
し(47)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(49) 前記活性放射線は、マスクを介して前記層に照射される上記(26)ないし
(48)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(50) 前記層は、さらに、酸化防止剤を含む上記(26)ないし(49)のいずれ
かに記載の光導波路構造体。
(51) 前記層は、さらに、増感剤を含む上記(26)ないし(50)のいずれかに
記載の光導波路構造体。
(52) 前記ポリマーは、ノルボルネン系ポリマーを主とするものである上記(26
)ないし(51)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(53) 前記ノルボルネン系ポリマーは、付加重合体である上記(52)に記載の光
導波路構造体。
(54) 前記コア部は、第1のノルボルネン系材料を主材料として構成され、前記ク
ラッド部は、前記第1のノルボルネン系材料より低い屈折率を有する第2のノルボルネン
系材料を主材料として構成されている上記(1)ないし(25)のいずれかに記載の光導
波路構造体。
(55) 前記第1のノルボルネン系材料と前記第2のノルボルネン系材料とは、いず
れも、同一のノルボルネン系ポリマーを含有し、かつ、前記ノルボルネン系ポリマーと異
なる屈折率を有するノルボルネン系モノマーの反応物の含有量が異なることにより、それ
らの屈折率が異なっている上記(54)に記載の光導波路構造体。
(56) 前記反応物は、前記ノルボルネン系モノマーの重合体、前記ノルボルネン系
ポリマー同士を架橋する架橋構造、および、前記ノルボルネン系ポリマーから分岐する分
岐構造のうちの少なくとも1つである上記(55)に記載の光導波路構造体。
(57) 前記ノルボルネン系ポリマーは、アラルキルノルボルネンの繰り返し単位を
含むものである上記(55)または(56)に記載の光導波路構造体。
(58) 前記ノルボルネン系ポリマーは、ベンジルノルボルネンの繰り返し単位を含
むものである上記(55)または(56)に記載の光導波路構造体。
(59) 前記ノルボルネン系ポリマーは、フェニルエチルノルボルネンの繰り返し単
位を含むものである上記(55)または(56)に記載の光導波路構造体。
(60) 前記ノルボルネン系ポリマーは、主鎖と該主鎖から分岐し、分子構造の少な
くとも一部が前記主鎖から離脱し得る離脱性基を有し、
前記コア部と前記クラッド部とは、前記主鎖に結合した状態の前記離脱性基の数が異な
ること、および、前記ノルボルネン系ポリマーと異なる屈折率を有するノルボルネン系モ
ノマーの反応物の含有量が異なることにより、それらの屈折率が異なっている上記(55
)ないし(59)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(61) 前記コア層は、主鎖と該主鎖から分岐し、分子構造の少なくとも一部が前記
主鎖から離脱し得る離脱性基とを有するノルボルネン系ポリマーを主材料として構成され、
前記第1のノルボルネン系材料と第2のノルボルネン系材料とは、前記主鎖に結合した
状態の前記離脱性基の数が異なることにより、それらの屈折率が異なっている上記(54
)に記載の光導波路構造体。
(62) 前記ノルボルネン系ポリマーは、ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシ
ランの繰り返し単位を含むものである上記(60)または(61)に記載の光導波路構造
体。
(63) 前記ノルボルネン系ポリマーは、アルキルノルボルネンの繰り返し単位を含
むものである上記(55)ないし(62)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(64) 前記ノルボルネン系ポリマーは、ヘキシルノルボルネンの繰り返し単位を含
むものである上記(55)ないし(62)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(65) 前記ノルボルネン系ポリマーは、付加重合体である上記(55)ないし(6
4)のいずれかに記載の光導波路構造体。
(66) 前記コア層の少なくとも一方の面に接触して設けられ、前記コア部より屈折
率の低いクラッド層を有する上記(26)ないし(65)のいずれかに記載の光導波路構
造体。
(67) 前記クラッド層は、ノルボルネン系ポリマーを主材料として構成されている
上記(66)に記載の光導波路構造体。
(68) 前記ノルボルネン系ポリマーは、付加重合体である上記(67)に記載の光
導波路構造体。
(69) 前記ノルボルネン系ポリマーは、アルキルノルボルネンの繰り返し単位を含
むものである上記(67)または(68)に記載の光導波路構造体。
(70) 前記ノルボルネン系ポリマーは、重合性基を含む置換基を有するノルボルネ
ンの繰り返し単位を含むものである上記(67)ないし(69)のいずれかに記載の光導
波路構造体。
(71) 前記重合性基を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返し単位は、エポキ
シ基を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返し単位、(メタ)アクリル基を含む置換
基を有するノルボルネンの繰り返し単位、および、アルコキシシリル基を含む置換基を有
するノルボルネンの繰り返し単位のうちの少なくとも1種である上記(70)に記載の光
導波路構造体。
(72) 前記ノルボルネン系ポリマーは、その少なくとも一部のものが重合性基にお
いて架橋している上記(70)または(71)に記載の光導波路構造体。
(73) 前記ノルボルネン系ポリマーは、アリール基を含む置換基を有するノルボル
ネンの繰り返し単位を含む上記(67)ないし(69)のいずれかに記載の光導波路構造
体。
(74) 前記ノルボルネン系ポリマーは、その少なくとも一部のものが架橋剤を介し
て架橋している上記(73)に記載の光導波路構造体。
(75) 前記クラッド層の平均は、前記コア層の平均厚さの0.1〜1.5倍である
上記(67)ないし(74)のいずれかに記載の光導波路構造体。
本発明によれば、活性放射線(活性エネルギー光線、電子線、X線等)の照射という簡
単な方法でコア部のパターニングをすることができ、光回路の光路を構成するコア部のパ
ターン形状の設計の自由度が広く、しかも寸法精度の高いコア部が得られる。
また、コア層を所望の材料で構成した場合には、光導波路に応力が作用したり変形が生
じたりした場合、特に、繰り返し湾曲変形した場合でも、コア部とクラッド部との層間剥
離や、コア部内にマイクロクラックが発生すること等の欠陥が生じ難く、その結果、光導
波路の光伝送性能が維持され、耐久性に優れる。
さらに、コア部をノルボルネン系樹脂(環状オレフィン系樹脂)を主とする樹脂組成物
で構成した場合には、前記変形に対し特に強く欠陥が生じ難いという効果が高い他、コア
部とクラッド部との屈折率の差をより大きくすることができ、しかも、耐熱性に優れ、そ
の結果、より高性能で耐久性に優れる光導波路が得られる。
また、積層構造体の厚さ方向に延在する導光路と導体部とを有するため、電気回路、光
回路ともに3次元的な回路設計が可能となり、それぞれの回路設計において設計の自由度
が広がる。特に、導光路と導体部とをまとめて配置すること、特に貫通孔内に両者を形成
することにより、光導波路構造体の集積化、小型化に寄与する。
また、光路変換部を有する場合には、伝送光の光路を所望の方向へ屈曲させることがで
き、そのため、光路の設計の自由度が広がり、光回路の集積化にも寄与する。
レンズ部を有する場合には、光路において必要に応じ伝送光の集光、拡散が可能となり
、光路の屈曲等と相まって、光回路の設計の自由度がさらに広がる。
また、光導波路構造体が素子(発光素子または受光素子)を有する場合には、光導波路
と光学的に接続することにより、素子の発光部から発せられた光を光導波路により他所へ
導くことあるいは他所からの光を光導波路により素子の受光部へ導くことができ、小型で
集積された光回路を形成することができ、また当該光回路の作動の信頼性も高い。
また、導体層とこれに導通する導体部とを有することにより、例えば前記素子への配線
を容易に行うことができ、素子の種類(端子の設置箇所)等に係わらずそれに適した配線
が可能となり、汎用性に富む。しかも、このような配線回路のパターンは、設計の自由度
(例えば、端子の設置箇所の選択の自由度)が広い。
このような本発明の光導波路構造体は、光回路(光導波路および導光部のパターン)や
電気回路(導体層および導体部のパターン)の設計の幅が広く、歩留まりが良く、光伝送
性能を高く維持し、信頼性、耐久性に優れ、汎用性に富む。そのため、本発明の光導波路
構造体は、種々の電子部品、電子機器等に対し用いることができる。
本発明の光導波路構造体を用いることにより、電気回路が形成された少なくとも1層の
導体層と、光路が面方向に1または2次元的に配置された少なくとも1層の光導波路とを
積層してなる多層光・電混成(融合)配線基板を製造することができ、層間の(層の厚さ
方向の)接続を、導光路と導体部を共に有する貫通孔にて行うことにより、電気配線でも
光回路でも接続(信号の授受)が可能になり、その結果、回路設計の自由度が広い3次元
の光・電混成基板を提供することができる。
また、電気回路、光回路共に、形成が容易で、種々の形状のものを寸法精度良く形成す
ることができる。特に、光回路については、露光パターンの選択により、どのような形状
や配置の光路(コア部)でも形成することができ、また、細い光路でもシャープに形成す
ることができるので、回路の集積化に寄与し、デバイスの小型化が図れる。
本発明の光導波路構造体の第1実施形態を示す断面図である。 本発明の光導波路構造体の第2実施形態を示す断面図である。 本発明の光導波路構造体の第3実施形態を示す断面図である。 本発明の光導波路構造体の第4実施形態を示す断面図である。 本発明の光導波路構造体の第5実施形態を示す断面図である。 図1中のA−A線断面図である。 図3中のB−B線断面図である。 図5中のC−C線断面図である。 本発明における光導波路の第1の製造方法の工程例を模式的に示す断面図である。 本発明における光導波路の第1の製造方法の工程例を模式的に示す断面図である。 本発明における光導波路の第1の製造方法の工程例を模式的に示す断面図である。 本発明における光導波路の第1の製造方法の工程例を模式的に示す断面図である。 本発明における光導波路の第1の製造方法の工程例を模式的に示す断面図である。 本発明における光導波路の第4の製造方法の工程例を模式的に示す断面図である。 本発明における光導波路の第4の製造方法の工程例を模式的に示す断面図である。 本発明における光導波路の第4の製造方法の工程例を模式的に示す断面図である。 本発明における光導波路の第4の製造方法の工程例を模式的に示す断面図である。 本発明における光導波路の第4の製造方法の工程例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の光導波路構造体について添付図面に示す好適実施形態に基づき詳細に説
明する。
図1〜図5は、それぞれ、本発明の光導波路構造体の実施形態を示す断面図であり、図
6、図7および図8は、それぞれ、図1中のA−A線断面図、図3中のB−B線断面図お
よび図5中のC−C線断面図である。以下これらの図を参照しつつ、光導波路構造体の構
成例について説明する。なお、以下の説明では、図1〜図5中の上側を「上」または「上
方」とし、下側を「下」または「下方」とする。また、図1〜図5は、層の厚さ方向(各
図の上下方向)が誇張して描かれている。
<第1実施形態:図1>
図1に示すように、本発明の光導波路構造体1は、基板2と、基板2に隣接して設けら
れた光導波路9と、光導波路9の両面にそれぞれ接合された導体層51、52と、光導波
路9の光路を屈曲させる光路変換部96と、基板2の上面に接合された導体層53と、発
光素子10と、電気素子12とを備えている。
基板2の構成材料としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド
樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、トリアゾール樹脂、ポリシアヌレート樹脂、ポ
リイソシアヌレート樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリイミド、ポリベンザオキサゾー
ル樹脂、ノルボルネン樹脂等の樹脂材料や、シリコン、ガリウム・ヒ素、インジウム・リ
ン、ゲルマニウム、シリコンカーバイド、シリコンゲルマニウム等の半導体材料が挙げら
れる。また、これらの材料は、単独で使用してもよく、複数を混合して使用してもよい。
また、基板2は、例えばガラス繊維、樹脂繊維等の繊維基材(織布、不織布、織物、編
物等)に前述したような樹脂材料を含浸させたもの(プリプレグ等)であってもよい。例
えば、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させたものをガラスエポキシ基板と言うが、こ
のようなものを基板2として用いることができる。このような繊維基材を含む基板2は、
比較的薄くても高強度で、また、熱膨張率も低いため、基板2に光導波路9や導体層(金
属層)を接合した場合に特に有利である。
また、基板2は、複数の層の積層体であってもよい。例えば、それぞれ組成(種類)が
異なる樹脂材料からなる第1の層と第2の層とを積層したもの、前記繊維基材に樹脂材料
を含浸させた層(シート材)と、樹脂材料からなる層とを積層したものが挙げられる。な
お、積層体における層構成は、これに限定されないことは言うまでもない。
基板2の厚さは、特に限定されないが、通常、10μm〜1.2mm程度が好ましく、
50〜600μm程度がより好ましい。
基板2は、硬質(リジッド)のものでも、可撓性(フレキシブル)を有するものでもよ
い。また、硬質の基板と可撓性を有する基板の双方を有していてもよい。この場合、光導
波路9は、硬質の基板と可撓性を有する基板の少なくとも一方に形成されていればよく、
双方にまたがって形成されていてもよい。
基板2の下面には、光導波路9が接合されている。光導波路9は、図1中下側からクラ
ッド層91、コア層93およびクラッド層92をこの順に積層してなるものであり、コア
層93には、所定パターンのコア部94とクラッド部95とが形成されている。
コア部94は、クラッド部95に比べて屈折率が高く、また、クラッド層91、92に
対しても屈折率が高い。クラッド層91および92は、それぞれ、コア部94の下部およ
び上部に位置するクラッド部を構成するものである。このような構成により、コア部94
は、その外周の全周をクラッド部に囲まれた伝送光18の光路として機能する。
図1に示す構成では、コア層93の後述する反射面961より図1中左側の部位は、コ
ア部94が形成され、コア層93のそれ以外の部分は、クラッド部95が形成されている
コア層93の構成材料としては、活性放射線(活性エネルギー光線、電子線またはX線
等)の照射により、あるいはさらに加熱することにより屈折率が変化する材料とされる。
このような材料の好ましい例としては、ベンゾシクロブテン系樹ポリマー、ノルボルネン
系ポリマー(樹脂)等の環状オレフィン系樹脂を含む樹脂組成物を主材料とするものが挙
げられ、ノルボルネン系ポリマーを含む(主材料とする)ものが特に好ましい。
このような材料で構成されたコア層93は、曲げ等の変形に対する耐性に優れ、特に繰
り返し湾曲変形した場合でも、コア部94とクラッド部95との剥離や、コア層93と隣
接する層(クラッド層91、92)との層間剥離が生じ難く、コア部94内やクラッド部
95内にマイクロクラックが発生することも防止される。その結果、光導波路9の光伝送
性能が維持され、耐久性に優れた光導波路9が得られる。
また、コア層93の構成材料には、例えば、酸化防止剤、屈折率調整剤、可塑剤、増粘
剤、補強剤、増感剤、レベリング剤、消泡剤、密着助剤および難燃剤等の添加剤が含まれ
ていてもよい。酸化防止剤の添加は、高温安定性の向上、耐候性の向上、光劣化の抑制と
いう効果がある。このような酸化防止剤としては、例えば、モノフェノール系、ビスフェ
ノール系、トリフェノール系等のフェノール系や、芳香族アミン系のものが挙げられる。
また、可塑剤、増粘剤、補強剤の添加により、曲げに対する耐性をさらに増大させること
もできる。
前記酸化防止剤に代表される添加剤の含有率(2種以上の場合は合計)は、コア層93
の構成材料全体に対し、0.5〜40重量%程度が好ましく、3〜30重量%程度がより
好ましい。この量が少なすぎると、添加剤の機能を十分に発揮することができず、量が多
すぎると、添加剤の種類や特性によっては、コア部94を伝送する光(伝送光18)の透
過率の低下、パターニング不良、屈折率不安定等を生じるおそれがある。
コア層93の形成方法としては、塗布法が挙げられる。塗布法としては、コア層形成用
組成物(ワニス等)を塗布し硬化(固化)させる方法、硬化性を有するモノマー組成物を
塗布し硬化(固化)させる方法が挙げられる。また、塗布法以外の方法、例えば、別途製
造されたシート材を接合する方法を採用することもできる。
以上のようにして得られたコア層93に対し、マスクを用いて活性放射線を選択的に照
射し、所望の形状のコア部94をパターニングする。
露光に用いる活性放射線としては、可視光、紫外光、赤外光、レーザ光等の活性エネル
ギー光線や電子線、X線等が挙げられる。電子線は、例えば50〜2000KGy程度の
照射量で照射することができる。
コア層93において、活性放射線が照射された部位は、その屈折率が変化し(コア層9
3の材料により、屈折率が増大する場合と減少する場合とがある)、活性放射線が照射さ
れなかった部位との間で屈折率の差が生じる。例えば、コア層93の活性放射線が照射さ
れた部位がクラッド部954となり、照射されなかった部位がコア部94となる。また、
この逆の場合もある。クラッド部95の屈折率は、クラッド層91、92の屈折率とほぼ
等しい。
また、コア層93に対し活性放射線を所定のパターンで照射した後、加熱することによ
り、コア部94を形成する場合もある。この加熱工程を付加することにより、コア部94
とクラッド部95との屈折率の差がより大きくなるので好ましい。なお、この原理等につ
いては、後に詳述する。
形成されるコア部94のパターン形状としては、特に限定されず、直線状、湾曲部を有
する形状、異形、光路の分岐部、合流部または交差部を有する形状、集光部(幅等が減少
している部分)または光拡散部(幅等が増大している部分)、あるいはこれらのうちの2
以上を組み合わせた形状等、いかなるものでもよい。活性放射線の照射パターンの設定に
より、いかなる形状のコア部94をも容易に形成することができる点が、本発明の特徴で
ある。
光導波路9の各部の構成材料およびコア部94の形成方法等については、後に詳述する
光導波路9の下面に接合された導体層51および上面に接合された導体層52、ならび
に基板2の上面に接合された導体層53は、それぞれ、所定の形状にパターンニングされ
て、所望の配線または回路を構成している。導体層51〜53の構成材料としては、それ
ぞれ、例えば、銅、銅系合金、アルミニウム、アルミニウム系合金等の各種金属材料が挙
げられる。導体層51〜53の厚さは、特に限定されないが、それぞれ、通常、3〜12
0μm程度が好ましく、5〜70μm程度がより好ましい。
導体層51〜53は、例えば、金属箔の接合(接着)、金属メッキ、蒸着、スパッタリ
ング等の方法により形成されたものである。導体層51〜53へのパターニングは、例え
ばエッチング、印刷、マスキング等の方法を用いることができる。
発光素子10は、その下面側に、発光部101と、一対の端子103、105とを有し
ている。発光部101は、端子103と端子105の間に位置している。端子103、1
05間に通電がなされると、発光部101が発光する。
なお、発光素子10における発光部は、1つの発光点で構成されているものの他、発光
点が複数個集合したものでもよい。発光点が複数個集合したものとしては、例えば、発光
点が列状(例えば発光点が1×4個、1×12個)または行列状(例えば発光点がn×m
個:n、mは2以上の整数)に配置されたものや、複数の発光点がランダム(不規則)に
配置されたもの等が挙げられる。後述する受光素子における受光部についても同様である。
発光素子10は、それらの端子103、105がそれぞれ導体層53の部位531、5
32に接合(電気的に接続)されるようにして基板2上に搭載されている。
電気素子(電子回路素子)12は、例えば半導体素子(半導体チップ)で構成されてい
る。電気素子12の機能は特に限定されないが、一例として、発光素子10を駆動するた
めの回路を構成するものが挙げられる。この電気素子12は、その下面側に、2つの端子
123、125を有している。
電気素子12は、それらの端子123、125がそれぞれ導体層53の部位532、5
33に接合(電気的に接続)されるようにして光導波路9上に搭載されている。
発光素子10および電気素子12は、それらの端子103、105、123、125を
含む下部がアンダーフィル材4により封止されている。これにより、発光素子10および
電気素子12と、光導波路9との間には、空隙部が形成されることなくアンダーフィル材
4により封止されることとなる。さらに、発光素子10および電気素子12は、その全体
(外表面)が封止材6により覆われ、封止されている。このように、発光素子10および
電気素子12は、その全体が封止され、特に発光部101が外部に露出することなく封止
された構造であるため、汚れ、損傷、酸化劣化等から保護され、電子部品の信頼性向上に
寄与する。
アンダーフィル材4は、発光部101から発せられる光(伝送光18)を実質的に透過
する材料で構成されており、好ましくは、透明な材料で構成されている。
アンダーフィル材4の構成材料としては、絶縁性を有する樹脂材料が好ましく、例えば
、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
また、封止材6の構成材料としては、絶縁性を有する樹脂材料が好ましく、例えば、エ
ポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノルボルネン樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
図1に示すように、光導波路9には、その厚さ方向に貫通する貫通孔(スルーホールま
たはビアホール)8が形成されている。この貫通孔8には、導電材料(例えば、銅、銅系
合金、アルミニウム、アルミニウム系合金等の各種金属材料)が充填され、導体ポスト(
導体部)81を形成している。この導体ポスト81を介して、導体層51と導体層52の
所定部位同士が電気的に接続されている。すなわち、発光素子10および電気素子12の
各端子への通電は、光導波路9の下面側の導体層51と基板2の上面側の導体層53(部
位531、533)とで行うことができるようになっている。なお、端子105と端子1
23とは導通し、これらはグランド側に接続されている。
光導波路9は、コア部94の光路を屈曲させる光路変換部96を有している。この光路
変換部96は、コア部94と後述する導光路24の接続部、すなわち、コア部94の図1
中右端部でかつ導光路24の下端部の箇所に設けられている。これにより、光路を効率良
く確実に屈曲させることができる。
この光路変換部96は、伝送光18の少なくとも一部を反射する反射面(ミラー)96
1で構成されている。この反射面961は、発光部101の真下の位置に設けられている
反射面961は、光導波路9の光路、すなわちコア部94の長手方向に対しほぼ45°
傾斜しており、伝送光18の大半(例えば90%以上)を反射する機能を有している。
このような光路変換部96は、光導波路9の一部を除去(欠損)することにより例えば
断面が三角形の凹部を形成し、その1つの傾斜面を反射面961として用いるものである
。反射面961は、例えば多層光学薄膜や金属薄膜(例えばアルミ蒸着膜)のような反射
膜あるいは反射増加膜を有していてもよい。また、図示しないが、光路変換部96の凹部
には、伝送光18に対する透光性を有する充填材が充填されていてもよい。
図示の構成では、反射面961(光路変換部96)は、クラッド層91、コア層93お
よびクラッド層92にまたがって形成されているが、コア層93内のみに形成されていて
もよい。また、ミラー部品、例えば、プリズム、鏡面ミラー、シリコンミラー等を用いて
もよい。
基板2における発光部101の真下の位置には、基板2を貫通する貫通孔22が形成さ
れている。貫通孔22の断面形状は、特に限定されないが、本実施形態では、円形とされ
ている(6図参照)。その他の形状としては、例えば、楕円形、長円形、矩形(四角形)
、六角形、異形等が挙げられる。
貫通孔22の内周面には、前記導体層51と同様の導電材料(金属材料)による層(導
体部3)が形成されている。この導体部3により、基板2の厚さ方向(以下単に「厚さ方
向」とも言う)に電気信号等を送ることが可能となる。なお、図6では、導体部3は、貫
通孔22の内周面の全周にわたって(リング状に)形成されているが、周方向に部分的に
形成されていてもよい。
また、導体部3は、基板2に対しほぼ垂直に形成されている。ただし、これに限らず、
導体部3は、基板2に対し所定角度傾斜して形成されていてもよく、あるいは、導体部3
の一部が変形(屈曲、湾曲、分岐等)していてもよい。
導体部3の形成方法としては、例えば、貫通孔22の内面に金属箔を接合(接着)する
方法、貫通孔22の内面に金属メッキ、蒸着、スパッタリング等の方法により金属層を形
成する方法、金属フィラーを含有する金属ペーストを塗布し、加熱(焼成、硬化等)して
金属層を形成する方法などが挙げられる。
導体部3の上端部は、導体層53の部位532に電気的に接続され、導体部3の下端部
は、導体層52の所定部位に電気的に接続されている。これにより、導体部3を介して、
厚さ方向の異なる位置に形成された導体層52、53間で電気信号の授受を行うことがで
きる。
また、貫通孔22内の前記導体部3より内側の部分は、伝送光18を透光する透光部を
構成する。すなわち、この部分は、伝送光18を基板2の厚さ方向に導光(伝送)する導
光路24となる。換言すれば、導体部3は、導光路24の周囲を囲むように形成されてい
る。これにより、限られた大きさ(内径)の貫通孔22内において、導光路24と導体部
3とを効率良く配置することができる。
また、導光路24は、基板2に対しほぼ垂直に形成されている。ただし、これに限らず
、導光路24は、基板2に対し所定角度傾斜して形成されていてもよく、あるいは、導光
路24の一部が変形(湾曲、分岐等)していてもよい。
貫通孔22内の前記導体部3より内側の部分は、空洞でもよいが、この部分には、透光
性を有する充填材、すなわち伝送光18の透過率が80%以上、好ましくは90%以上、
より好ましくは95%以上の材料による充填材が充填されているのが好ましい。この充填
材は、コア層93のコア部94と同様の材料とすることができる。これにより、導光路(
コア部)24の形成が容易であるとともに、後述するコア部94と同様の利点を得ること
ができる。また、この充填材は、コア層93のクラッド部95と同様の材料、あるいはク
ラッド層91または92と同様の材料とすることもできる。
貫通孔22内において、導体部3と導光路24とは接触しているが、これに限らず、例
えば、導体部3と導光路24とが図示しない中間層(接着層、絶縁層等)を介して接近し
ているような構成であってもよい。
貫通孔22の内径は、特に限定されないが、通常、0.05〜2mm程度が好ましく、
0.1〜0.5mm程度がより好ましい。
また、導光路(コア部)24の外径は、特に限定されないが、通常、0.005〜0.
3mm程度が好ましく0.02〜0.15mm程度がより好ましい。
以上のように、厚さ方向に延在する導体部3と導光路24とが隣接して形成されている
ことにより、1つの貫通孔22で電気信号と光信号とを厚さ方向に伝送することができる。
本実施形態の光導波路構造体1では、導体層51と導体層53の部位531との間に通
電がなされると、導体層51と端子105とは導体部3および部位532を介して導通し
ていることから、発光素子10の端子103、105間へ通電がなされることとなり、発
光部101が点灯する。発光部101の点灯により図1中下方へ向かって発せられた伝送
光18は、アンダーフィル材4を透過し、貫通孔22内の導光路24(コア部24)を通
り、反射面961で反射されて90°屈曲し、光導波路9のコア部94に入り、クラッド
部(クラッド層91、92および側方(図1中前後)のクラッド部95)との界面で反射
を繰り返しながら、コア部94内をその長手方向(図1中左方向)に沿って進む。
<第2実施形態:図2>
図2には、本発明の光導波路構造体1の第2実施形態が示されている。以下、この光導
波路構造体1について説明するが、前記第1実施形態と同様の事項(構成、作動等)につ
いてはその説明を省略し、相違点を中心に説明する。
本実施形態の光導波路構造体1は、基板2の透光部(貫通孔22付近)の構成が前記第
1実施形態と異なり、その他は第1実施形態と同様である。すなわち、基板2の貫通孔2
2内には、前記と同様の導体部3と導光路24とが形成されているが、貫通孔22の下部
には、伝送光18を集光または拡散し得るレンズ部26が設けられている。
すなわち、導光路24の下端(伝送光18の出射側)に凸レンズ(正確には、平凸レン
ズ)で構成されるレンズ部26が設けられている。
これにより、発光部101から図2中下方へ向かって発せられた伝送光18は、アンダ
ーフィル材4を透過した後、導光路24を通り、レンズ部26で集光されてその光束(ビ
ーム)が絞られ、この光束が反射面961で反射されて90°屈曲し、光導波路9のコア
部94に入り、コア部94内をその長手方向(図2中左方向)に沿って進む。
このようなレンズ部26を設けることにより、より明確な(シャープな)伝送光を得る
ことができ、より優れた光伝送特性を得ることができる。
なお、レンズ部26は、伝送光18を拡散し得るものでもよい。この場合には、凹レン
ズを用いればよい。
レンズ部26を構成するレンズの材料は、導光路24の屈折率と異なる材料を用いれば
よい。レンズ材料の屈折率を導光路24の屈折率より高くするか低くするかにより、レン
ズ部26の機能を集光レンズまたは拡散レンズのいずれかに設定することができる。
また、レンズ部26の設置位置は、図2に示す位置に限らず、例えば導光路24(貫通
孔22)の途中や上端であってもよく、あるいは、その他の箇所、例えばコア部94の入
射側端部や出射側端部であってもよい。
<第3実施形態:図3>
図3には、本発明の光導波路構造体1の第3実施形態が示されている。以下、この光導
波路構造体1について説明するが、前記第1実施形態と同様の事項(構成、作動等)につ
いてはその説明を省略し、相違点を中心に説明する。
本実施形態の光導波路構造体1は、基板2の透光部(貫通孔22付近)の構成が前記第
1実施形態と異なり、その他は第1実施形態と同様である。すなわち、基板2の貫通孔2
2内には、前記と同様の導体部3が形成され、その内側に垂直光導波路23が形成されて
いる。
垂直光導波路23は、コア部24と、該コア部24の外周を囲むクラッド部25とで構
成されている。コア部24は、クラッド部25に比べて屈折率が高い。貫通孔22内にこ
のような垂直光導波路23を形成したことにより、前記第1実施形態における導体部24
に比べ、光の漏れ等による光量のロスがより低減され、伝送光18の伝送特性がより向上
する。
コア部24の構成材料や形成方法は、コア部94と同様とすることができる。あるいは
、コア部24は、前記1実施形態において述べた透光性を有する充填材と同様のものを用
いてもよい。クラッド部25の構成材料は、クラッド部95またはクラッド層91、92
と同様とすることができる。
<第4実施形態:図4>
図4には、本発明の光導波路構造体1の第4実施形態が示されている。以下、この光導
波路構造体1について説明するが、前記第1〜第3実施形態と同様の事項(構成、作動等
)についてはその説明を省略し、相違点を中心に説明する。
本実施形態の光導波路構造体1は、レンズ部26を設けた以外は前記第3実施形態と同
様である。すなわち、基板2の貫通孔22内には、前記と同様の導体部3と垂直光導波路
23とが形成されているが、貫通孔22の下部には、伝送光18を集光または拡散し得る
前記と同様のレンズ部26が設けられている。
レンズ部26を設けることの効果、レンズ部26を構成するレンズ材料、レンズ部26
の設置位置等については、前記第3実施形態で述べたのと同様である。
<第5実施形態:図5>
図5には、本発明の光導波路構造体1の第5実施形態が示されている。以下、この光導
波路構造体1について説明するが、前記第1〜第4実施形態と同様の事項(構成、作動等
)についてはその説明を省略し、相違点を中心に説明する。
本実施形態の光導波路構造体1は、基板2の透光部(貫通孔22付近)の構成が前記第
4実施形態と異なり、その他は第4実施形態と同様である。すなわち、図8に示すように
、基板2の貫通孔22の横断面形状は、円形部222と矩形部224とを結合した形状(
異形)であり、円形部222内に垂直光導波路23(または導光路24でもよい)が挿入
され、矩形部224内に導体部3が挿入されている。導体部3の上端部および下端部は、
それぞれ、導体層53の部位532および導体層52に電気的に接続されている。
このような構成では、円形部222と矩形部224のそれぞれに横断面積を予め設定す
ることにより、垂直光導波路23と導体部3の体積(体積比)をより正確に規定すること
ができるという利点がある。また、導体部3を円形部222の周方向の必要な方向にのみ
形成することができるという利点もある。
以上、第1〜第5実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものでは
なく、発明の要旨を変更しない限り、他の構成のものでもよい。また、本発明は、第1〜
第5実施形態のうちの任意の2以上の実施形態が備える構成を組み合わせたものでもよい
次に、前記各実施形態における、光導波路9の製造方法および各部の構成材料等につい
て説明するが、特にコア部94の形成方法について詳細に説明する。
<第1の製造方法>
まず、光導波路9の第1の製造方法について説明する。
図9−A〜図9−Eは、それぞれ、光導波路の第1の製造方法の工程例を模式的に示す
断面図である。
[1A] まず、支持基板951上に、層910を形成する(図9−A参照)。
層910は、コア層形成用材料(ワニス)900を塗布し硬化(固化)させる方法によ
り形成される。
具体的には、層910は、支持基板951上にコア層形成用材料900を塗布して液状
被膜を形成した後、この支持基板951を換気されたレベルテーブルに置いて、液状被膜
表面の不均一な部分を水平化するとともに、溶媒を蒸発(脱溶媒)することにより形成す
る。
層910を塗布法で形成する場合、例えば、ドクターブレード法、スピンコート法、デ
ィッピング法、テーブルコート法、スプレー法、アプリケーター法、カーテンコート法、
ダイコート法等の方法が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
支持基板951には、例えば、シリコン基板、二酸化ケイ素基板、ガラス基板、石英基
板、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等が用いられる。
コア層形成用材料900は、ポリマー915と、添加剤920(本実施形態では、少な
くともモノマー、助触媒および触媒前駆体を含む)とで構成される光誘発熱現像性材料(
PITDM)を含有し、活性放射線の照射および加熱により、ポリマー915中において
、モノマーの反応が生じる材料である。
そして、得られた層910中では、ポリマー(マトリックス)915は、いずれも、実
質的に一様かつランダムに分配され、添加剤920は、ポリマー915内に実質的に一様
かつランダムに分散されている。これにより、層910中には、添加剤920が実質的に
一様かつ任意に分散されている。
このような層910の平均厚さは、形成すべきコア層93の厚さに応じて適宜設定され
、特に限定されないが、5〜200μm程度であるのが好ましく、10〜100μm程度
であるのがより好ましく、15〜65μm程度であるのがさらに好ましい。
ポリマー915には、透明性が十分に高く(無色透明であり)、かつ、後述するモノマ
ーと相溶性を有するもの、さらに、その中で後述するようにモノマーが反応(重合反応や
架橋反応)可能であり、モノマーが重合した後においても、十分な透明性を有するものが
好適に用いられる。
ここで、「相溶性を有する」とは、モノマーが少なくとも混和して、コア層形成用材料
900中や層910中においてポリマー915と相分離を起こさないことを言う。
このようなポリマー915としては、例えば、ノルボルネン系樹脂やベンゾシクロブテ
ン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネ
ート、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール
等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(ポリマーアロイ、ポ
リマーブレンド(混合物)、共重合体など)用いることができる。
これらの中でも、特に、ノルボルネン系樹脂(ノルボルネン系ポリマー)を主とするも
のが好ましい。ポリマー915としてノルボルネン系ポリマーを用いることにより、優れ
た光伝送性能や耐熱性を有するコア層93を得ることができる。
また、ノルボルネン系ポリマーは、高い疎水性を有するため、吸水による寸法変化等を
生じ難いコア層93を得ることができる。
ノルボルネン系ポリマーとしては、単独の繰り返し単位を有するもの(ホモポリマー)
、2つ以上のノルボルネン系繰り返し単位を有するもの(コポリマー)のいずれであって
もよい。
このようなノルボルネン系ポリマーとしては、例えば、(1)ノルボルネン型モノマー
を付加(共)重合して得られるノルボルネン型モノマーの付加(共)重合体、(2)ノル
ボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との付加共重合体、(3)ノルボルネ
ン型モノマーと非共役ジエン、および必要に応じて他のモノマーとの付加共重合体のよう
な付加重合体、(4)ノルボルネン型モノマーの開環(共)重合体、および必要に応じて
該(共)重合体を水素添加した樹脂、(5)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オ
レフィン類との開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、
(6)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、または他のモノマーとの開環共重合体、
および必要に応じて該(共)重合体を水素添加したポリマーのような開環重合体が挙げら
れる。これらの重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体等
が挙げられる。
これらのノルボルネン系ポリマーは、例えば、開環メタセシス重合(ROMP)、RO
MPと水素化反応との組み合わせ、ラジカルまたはカチオンによる重合、カチオン性パラ
ジウム重合開始剤を用いた重合、これ以外の重合開始剤(例えば、ニッケルや他の遷移金
属の重合開始剤)を用いた重合等、公知のすべての重合方法で得ることができる。
これらの中でも、ノルボルネン系ポリマーとしては、下記化1(構造式B)で表される
少なくとも1個の繰り返し単位を有するもの、すなわち、付加(共)重合体が好ましい。
このものは、透明性、耐熱性および可撓性に富むことからも好ましい。
Figure 2010140055
かかるノルボルネン系ポリマーは、例えば、後述するノルボルネン系モノマー(後述す
る化3で表されるノルボルネン系モノマーや、架橋性ノルボルネン系モノマー)を用いる
ことにより好適に合成される。
なお、比較的高い屈折率を有するポリマー915を得るためには、分子構造中に、芳香
族環(芳香族基)、窒素原子、臭素原子や塩素原子を有するモノマーを一般的に選択して
、ポリマー915が合成(重合)される。一方、比較的低い屈折率を有するポリマー91
5を得るためには、分子構造中に、アルキル基、フッ素原子やエーテル構造(エーテル基
)を有するモノマーを一般的に選択して、ポリマー915が合成(重合)される。
比較的高い屈折率を有するノルボルネン系ポリマーとしては、アラルキルノルボルネン
の繰り返し単位を含むものが好ましい。かかるノルボルネン系ポリマーは、特に高い屈折
率を有する。
アラルキルノルボルネンの繰り返し単位が有するアラルキル基(アリールアルキル基)
としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチ
ル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基、フルオレニルエチル基、フルオレニルプ
ロピル基等が挙げられるが、ベンジル基やフェニルエチル基が特に好ましい。
かかる繰り返し単位を有するノルボルネン系ポリマーは、極めて高い屈折率を有するも
のであることから好ましい。
また、ノルボルネン系ポリマーは、アルキルノルボルネンの繰り返し単位を含むものが
好ましい。アルキルノルボルネンの繰り返し単位を含むノルボルネン系ポリマーは、柔軟
性が高いため、かかるノルボルネン系ポリマーを用いることにより、光導波路9に高いフ
レキシビリティ(可撓性)を付与することができる。
アルキルノルボルネンの繰り返し単位が有するアルキル基としては、例えば、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基
等が挙げられるが、ヘキシル基が特に好ましい。なお、これらのアルキル基は、直鎖状ま
たは分岐状のいずれであってもよい。
ヘキシルノルボルネンの繰り返し単位を含むことにより、ノルボルネン系ポリマー全体
の屈折率が低下するのを防止し、かつ、高い柔軟性を保持することができる。
ここで、光導波路9は、例えば、600〜1550nm程度の波長領域の光を使用した
データ通信において好適に使用されるが、ヘキシル(アルキル)ノルボルネンの繰り返し
単位を含むノルボルネン系ポリマーは、前述したような波長領域(特に、850nm付近
の波長領域)の光に対する透過率が優れることから好ましい。
このようなノルボルネン系ポリマーの好ましい具体例としては、ヘキシルノルボルネン
のホモポリマー、フェニルエチルノルボルネンのホモポリマー、ベンジルノルボルネンの
ホモポリマー、ヘキシルノルボルネンとフェニルエチルノルボルネンとのコポリマー、ヘ
キシルノルボルネンとベンジルノルボルネンとのコポリマー等が挙げられるが、これらに
限定されるものではない。
本実施形態のコア層形成用材料900は、添加剤920として、モノマー、助触媒(第
1の物質)および触媒前駆体(第2の物質)を含んでいる。
モノマーは、後述する活性放射線に照射により、活性放射線の照射領域において反応し
て反応物を形成し、この反応物の存在により、層910において照射領域と、活性放射線
の未照射領域とにおいて、屈折率差を生じさせ得るような化合物である。
ここで、この反応物としては、モノマーがポリマー(マトリックス)915中で重合し
て形成されたポリマー(重合体)、ポリマー915同士を架橋する架橋構造、および、ポ
リマー915に重合してポリマー915から分岐した分岐構造(ブランチポリマーや側鎖
(ペンダントグループ))のうちの少なくとも1つが挙げられる。
ここで、層910において、照射領域の屈折率が高くなることが望まれる場合には、比
較的低い屈折率を有するポリマー915と、このポリマー915に対して高い屈折率を有
するモノマーとが組み合わせて使用され、照射領域の屈折率が低くなることが望まれる場
合には、比較的高い屈折率を有するポリマー915と、このポリマー915に対して低い
屈折率を有するモノマーとが組み合わせて使用される。
なお、屈折率が「高い」または「低い」とは、屈折率の絶対値を意味するものではなく
、ある材料同士の相対的な関係を意味する。
そして、モノマーの反応(反応物の生成)により、層910において照射領域の屈折率
が低下する場合、当該部分がクラッド部95となり、照射領域の屈折率が上昇する場合、
当該部分がコア部94となる。
このようなモノマーとしては、重合可能な部位を有する化合物であればよく、特に限定
されないが、例えば、ノルボルネン系モノマー、アクリル酸(メタクリル酸)系モノマー
、エポキシ系モノマー、スチレン系モノマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2
種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、モノマーとしては、ノルボルネン系モノマーを用いるのが好ましい。
ノルボルネン系モノマーを用いることにより、光伝送性能に優れ、かつ、耐熱性および柔
軟性に優れるコア層93(光導波路9)が得られる。
ここで、ノルボルネン系モノマーとは、下記化2(構造式A)で示されるノルボルネン
骨格を少なくとも1つ含むモノマーを総称し、例えば、下記化3(構造式C)で表される
化合物が挙げられる。
Figure 2010140055
Figure 2010140055
無置換の炭化水素基(ハイドロカルビル基)としては、例えば、直鎖状または分岐状の
炭素数1〜10(C〜C10)のアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜10(
〜C10のアルケニル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜10(C〜C10)の
アルキニル基、炭素数4〜12(C〜C12)のシクロアルキル基、炭素数4〜12(
〜C12)のシクロアルケニル基、炭素数6〜12(C〜C12)のアリール基、
炭素数7〜24(C〜C24)のアラルキル基(アリールアルキル基)等が挙げられ、
その他、RおよびR、RおよびRが、それぞれ炭素数1〜10(C〜C10
のアルキリデニル基であってもよい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブ
チル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペン
チル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基およびデシル基が挙げられるが
、これらに限定されるわけではない。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基およびシクロヘキセ
ニル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、
1−ブチニル基および2−ブチニル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない
シクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシク
ロオクチル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基およびアントラセニル(ant
hracenyl)基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
アラルキル(aralkyl)基の具体例としては、ベンジル基およびフェニルエチル
(フェネチル:phenethyl)基が挙げられるが、これらに限定されるわけではな
い。
また、アルキリデニル(alkylidenyl)基の具体例としては、メチリデニル
(methylidenyl)基およびエチリデニル(ethylidenyl)基が挙
げられるが、これらに限定されるわけではない。
置換された炭化水素基としては、前記の炭化水素基が有する水素原子の一部または全部
がハロゲン原子で置換されたもの、すなわち、ハロハイドロカルビル(halohydr
ocarbyl)基、パーハロハイドロカルビル(perhalohydrocarby
l)基であるか、パーハロカルビル(perhalocarbyl)基のようなハロゲン
化炭化水素基が挙げられる。
これらのハロゲン化炭化水素基において、水素原子に置換するハロゲン原子としては、
塩素原子、フッ素および臭素から選択される少なくとも1種が好ましく、フッ素原子がよ
り好ましい。
このうち、パーハロゲン化された炭化水素基(パーハロハイドロカルビル基、パーハロ
カルビル基)の具体例としては、例えば、パーフルオロフェニル基、パーフルオロメチル
基(トリフルオロメチル基)、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフ
ルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。
なお、ハロゲン化アルキル基には、炭素数1〜10のもの以外に、炭素数11〜20の
ものも好適に用いることができる。すなわち、ハロゲン化アルキル基には、部分的または
完全にハロゲン化され、直鎖状または分岐状をなし、一般式:−CX''2Z+1で表さ
れる基を選択することができる。ここで、X''は、それぞれ独立して、ハロゲン原子また
は水素原子を表し、Zは、1〜20の整数を表す。
また、置換された炭化水素基としては、ハロゲン原子の他、直鎖状または分岐状の炭素
数1〜5(C〜C)のアルキル基またはハロアルキル基、アリール基およびシクロア
ルキル基で更に置換された、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基(アラア
ルキル基)等が挙げられる。
また、官能置換基としては、例えば、−(CH−CH(CF−O−Si(
Me)、−(CH−CH(CF−O−CH−O−CH、−(CH
−CH(CF−O−C(O)−O−C(CH、−(CH−C(CF
−OH、−(CH−C(O)−NH、−(CH−C(O)−Cl、
−(CH−C(O)−O−R、−(CH)n−O−R、−(CH−O
−C(O)−R、−(CH−C(O)−R、−(CH−O−C(O)−
OR、−(CH−Si(R、−(CH−Si(OR、−(C
−O−Si(Rおよび−(CH−C(O)−OR等が挙げられる
ここで、前記各式において、それぞれ、nは、0〜10の整数を示し、Rは、それぞ
れ独立して、水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数1〜20(C〜C20)アルキル
基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜20(C〜C20)のハロゲン化もしくはパーハ
ロゲン化アルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜10(C〜C10)のアルケニ
ル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜10(C〜C10)のアルキニル基、炭素数5
〜12(C〜C12)のシクロアルキル基、炭素数6〜14(C〜C14)のアリー
ル基、炭素数6〜14(C〜C14)のハロゲン化もしくはパーハロゲン化アリール基
または炭素数7〜24(C〜C24)のアラルキル基を表す。
なお、Rで示される炭化水素基は、R〜Rで示されるものと同一の炭化水素基を
示す。R〜Rで示すように、Rで示される炭化水素基は、ハロゲン化またはパーハ
ロゲン化されていてもよい。
例えば、Rが炭素数1〜20(C〜C20)のハロゲン化またはパーハロゲン化ア
ルキル基である場合、Rは、一般式:−CX''2Z+1で表される。ここで、zおよ
びX''は、それぞれ、上記の定義と同じであり、X''の少なくとも1つは、ハロゲン原子
(例えば、臭素原子、塩素原子またはフッ素原子)である。
ここで、パーハロゲン化アルキル基とは、前記一般式において、すべてのX''がハロゲ
ン原子である基であり、その具体例としては、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル
基、−C15、−C1123が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
パーハロゲン化アリール基の具体例としては、ペンタクロロフェニル基、ペンタフルオ
ロフェニル基が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
また、Rとしては、例えば、−C(CH、−Si(CH、−CH(R
)−O−CHCH、−CH(R)OC(CHおよび下記化4の環状基等が挙
げられる。
Figure 2010140055
ここで、Rは、水素原子、あるいは直鎖状または分岐状の炭素数1〜5(C〜C
)のアルキル基を表す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、
i−ブチル基、t−ブチル、ペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基が挙げられる
なお、上記化4で表される環状基では、環構造から延びる単結合と酸置換基との間でエ
ステル結合が形成される。
の具体例としては、例えば、1−メチル−1−シクロヘキシル基、イソボルニル(
isobornyl)基、2−メチル−2−イソボルニル基、2−メチル−2−アダマン
チル基、テトラヒドロフラニル(tetrahydrofuranyl)基、テトラヒド
ロピラノイル(tetrahydropyranoyl)基、3−オクソシクロヘキサノ
イル(3−oxocyclohexanonyl)基、メバロンラクトニル(meval
onic lactonyl)基、1−エトキシエチル基、1−t−ブトキシエチル基等
が挙げられる。
また、他のRとしては、例えば、下記化5で表されるジシクロプロピルメチル基(D
cpm)、ジメチルシクロプロピルメチル基(Dmcp)等が挙げられる。
Figure 2010140055
また、モノマーには、上記のモノマーに代えて、または、上記のモノマーとともに架橋
性モノマー(架橋剤)を用いることもできる。この架橋性モノマーは、後述する触媒前駆
体の存在下で、架橋反応を生じ得る化合物である。
架橋性モノマーを用いることにより、次のような利点がある。すなわち、架橋性モノマ
ーは、より速く重合するので、コア層93(光導波路9)の形成(プロセス)に要する時
間を短縮することができる。また、架橋性モノマーは、加熱しても蒸発し難くいので、蒸
気圧の上昇を抑えることができる。さらに、架橋性モノマーは、耐熱性に優れるため、コ
ア層93の耐熱性を向上させることができる。
このうち、架橋性ノルボルネン系モノマーは、前記化2(構造式A)で表されるノルボ
ルネン系部位(ノルボルネン系二重結合)を含む化合物である。
架橋性ノルボルネン系モノマーとしては、連続多環環系(fused multicy
clic ring systems)の化合物と、連結多環環系(linked mu
lticyclic ring systems)の化合物とがある。
連続多環環系の化合物(連続多環環系の架橋性ノルボルネン系モノマー)としては、下
記化6で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010140055
なお、簡略化のため、ノルボルナジエン(norbornadiene)は、連続多環
環系に含まれ、重合性ノルボルネン系二重結合を含むものと考えることとする。
この連続多環環系の化合物の具体例としては、下記化7で表される化合物が挙げられる
が、これらに限定されるわけではない。
Figure 2010140055
一方、連結多環環系の化合物(連結多環環系の架橋性ノルボルネン系モノマー)として
は、下記化8で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010140055
ここで、二価の置換基とは、端部にノルボルネン構造に結合し得る結合手を2つ有する
基のことを言う。
二価の炭化水素基(ハイドロカルビル基)の具体例としては、一般式:−(C2d
)−で表されるアルキレン基(dは、好ましくは1〜10の整数を表す。)と、二価の芳
香族基(アリール基)とが挙げられる。
二価のアルキレン基としては、直鎖状または分岐状の炭素数1〜10(C〜C10
のアルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン
基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン
基が挙げられる。
なお、分岐アルキレン基は、主鎖の水素原子が、直鎖状または分岐状のアルキル基で置
換されたものである。
一方、二価の芳香族基としては、二価のフェニル基、二価のナフチル基が好ましい。
また、二価のエーテル基は、−R10−O−R10−で表される基である。
ここで、R10は、それぞれ独立して、Rと同じものを表す。
この連結多環環系の化合物の具体例としては、下記化9、化10、化11、化12、化
13で表される化合物の他、化14、化15で表されるフッ素含有化合物(フッ素含有架
橋性ノルボルネン系モノマー)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
Figure 2010140055
Figure 2010140055
この化10で表される化合物は、ジメチルビス[ビシクロ[2.2.1]へプト−2−
エン−5−メトキシ]シランであり、またの命名では、ジメチルビス(ノルボルネンメト
キシ)シラン(「SiX」と略される。)と呼ばれる。
Figure 2010140055
Figure 2010140055
Figure 2010140055
Figure 2010140055
Figure 2010140055
各種の架橋性ノルボルネン系モノマーの中でも、特に、ジメチルビス(ノルボルネンメ
トキシ)シラン(SiX)が好ましい。SiXは、アルキルノルボルネンの繰り返し単位
および/またはアラルキルノルボルネンの繰り返し単位を含むノルボルネン系ポリマーに
対して十分に低い屈折率を有する。このため、後述する活性放射線を照射する照射領域の
屈折率を確実に低くして、クラッド部95とすることができる。また、コア部94とクラ
ッド部95との間における屈折率差を大きくすることができ、コア層93(光導波路9)
の特性(光伝送性能)の向上を図ることができる。
なお、以上のようなモノマーは、単独または任意に組み合わせて用いるようにしてもよ
い。
触媒前駆体(第2の物質)は、前記のモノマーの反応(重合反応、架橋反応等)を開始
させ得る物質であり、後述する活性放射線の照射により活性化した助触媒(第1の物質)
の作用により、活性化温度が変化する物質である。
この触媒前駆体(プロカタリスト:procatalyst)としては、活性放射線の
照射に伴って活性化温度が変化(上昇または低下)するものであれば、いかなる化合物を
用いてもよいが、特に、活性放射線の照射に伴って活性化温度が低下するものが好ましい
。これにより、比較的低温による加熱処理でコア層93(光導波路9)を形成することが
でき、他の層に不要な熱が加わって、光導波路9の特性(光伝送性能)が低下するのを防
止することができる。
このような触媒前駆体としては、下記式(Ia)および(Ib)で表わされる化合物の
少なくとも一方を含む(主とする)ものが好適に用いられる。
Figure 2010140055
式Iaに従う典型的な触媒前駆体としては、Pd(OAc)(P(i−Pr)
、Pd(OAc)(P(Cy)、Pd(OCCMe(P(Cy)
、Pd(OAc)(P(Cp)、Pd(OCCF(P(Cy)
Pd(OCC(P(Cy)が挙げられるが、これらに限定されるわけ
ではない。ここで、Cpは、シクロペンチル(cyclopentyl)基を表し、Cy
は、シクロヘキシル基を表す。
また、式Ibで表される触媒前駆体としては、pおよびrが、それぞれ1および2の整
数から選択される化合物が好ましい。
このような式Ibに従う典型的な触媒前駆体としては、Pd(OAc)(P(Cy)
が挙げられる。ここで、Cyは、シクロヘキシル基を表し、Acは、アセチル基を
表す。
これらの触媒前駆体は、モノマーを効率よく反応(ノルボルネン系モノマーの場合、付
加重合反応によって効率よく重合反応や架橋反応等)することができる。
また、活性化温度が低下した状態(活性潜在状態)において、触媒前駆体としては、そ
の活性化温度が本来の活性化温度よりも10〜80℃程度(好ましくは、10〜50℃程
度)低くなるものが好ましい。これにより、コア部94とクラッド部95との間の屈折率
差を確実に生じさせることができる。
かかる触媒前駆体としては、Pd(OAc)(P(i−Pr)およびPd(O
Ac)(P(Cy)のうちの少なくとも一方を含む(主とする)ものが好適であ
る。
なお、以下では、Pd(OAc)(P(i−Pr)を「Pd545」と、また
、Pd(OAc)(P(Cy)を「Pd785」と略すことがある。
助触媒(第1の物質)は、活性放射線の照射によって活性化して、前記の触媒前駆体(
プロカタリスト)の活性化温度(モノマーに反応を生じさせる温度)を変化させ得る物質
である。
この助触媒(コカタリスト:cocatalyst)としては、活性放射線の照射によ
り、その分子構造が変化(反応または分解)して活性化する化合物であれば、いかなるも
のでも用いることができるが、特定波長の活性放射線の照射によって分解し、プロトンや
他の陽イオン等のカチオンと、触媒前駆体の脱離基に置換し得る弱配位アニオン(WCA
)とを発生する化合物(光開始剤)を含む(主とする)ものが好適に用いられる。
弱配位アニオンとしては、例えば、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオ
ン(FABA)、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン(SbF )等が挙げられる。
この助触媒(光酸発生剤または光塩基発生剤)としては、例えば、下記化17で表され
るテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩やヘキサフルオロアンチモン酸塩の他
、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウム酸塩、アルミン酸塩類、アンチモン酸
塩類、他のホウ酸塩類、ガリウム酸塩類、カルボラン類、ハロカルボラン類等が挙げられ
る。
Figure 2010140055
このような助触媒の市販品としては、例えば、ニュージャージ州クランベリーのRho
dia USA社から入手可能な「RHODORSIL(登録商標、以下同様である。)
PHOTOINITIATOR 2074(CAS番号第178233−72−2番)
」、日本国東京の東洋インキ製造株式会社から入手可能な「TAG−372R((ジメチ
ル(2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル)スルフォニウムテトラキス(ペンタフル
オロフェニル)ボレート:CAS番号第193957−54−9番))、日本国東京のみ
どり化学株式会社から入手可能な「MPI−103(CAS番号第87709−41−9
番)」、日本国東京の東洋インキ製造株式会社から入手可能な「TAG−371(CAS
番号第193957−53−8番)」、日本国東京の東洋合成工業株式会社から入手可能
な「TTBPS−TPFPB(トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルフォニウム
テトラキス(ペンタペンタフルオロフェニル)ボレート)」、日本国東京のみどり化学工
業株式会社より入手可能な「NAI−105(CAS番号第85342−62−7番)」
等が挙げられる。
なお、助触媒(第1の物質)として、RHODORSIL PHOTOINITIAT
OR 2074を用いる場合、後述する活性放射線(化学線)としては、紫外線(UV光
)が好適に用いられ、紫外線の照射手段としては、水銀灯(高圧水銀ランプ)が好適に用
いられる。これにより、層910に対して、300nm未満の十分なエネルギーの紫外線
(活性放射線)を供給することができ、RHODORSIL PHOTOINITIAT
OR 2074を効率よく分解して、上記のカチオンおよびWCAを発生させることがで
きる。
また、コア層形成用材料(ワニス)900中には、必要に応じて、増感剤を添加するよ
うにしてもよい。
増感剤は、活性放射線に対する助触媒の感度を増大して、助触媒の活性化(反応または
分解)に要する時間やエネルギーを減少させる機能や、助触媒の活性化に適する波長に活
性放射線の波長を変化させる機能を有するものである。
このような増感剤としては、助触媒の感度や増感剤の吸収のピーク波長等に応じて適宜
選択され、特に限定されないが、例えば、9,10−ジブトキシアントラセン(CAS番
号第76275−14−4番)のようなアントラセン類、キサントン類、アントラキノン
類、フェナントレン類、クリセン類、ベンツピレン類、フルオラセン類(fluoran
thenes)、ルブレン類、ピレン類、インダンスリーン類、チオキサンテン−9−オ
ン類(thioxanthen−9−ones)等が挙げられ、これらを単独または混合
物として用いられる。
増感剤の具体例としては、2−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、4−
イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサ
ントン、フェノチアジン(phenothiazine)またはこれらの混合物が挙げら
れる。
なお、9,10−ジブトキシアントラセン(DBA)は、日本国神奈川県の川崎化成工
業株式会社から入手が可能である。
コア層形成用材料900中の増感剤の含有量は、特に限定されないが、0.01重量%
以上であるのが好ましく、0.5重量%以上であるのがより好ましく、1重量%以上であ
るのがさらに好ましい。なお、上限値は、5重量%以下であるのが好ましい。
さらに、コア層形成用材料900中には、酸化防止剤を添加することができる。これに
より、望ましくないフリーラジカルの発生や、ポリマー915の自然酸化を防止すること
ができる。その結果、得られたコア層93(光導波路9)の特性の向上を図ることができ
る。
この酸化防止剤としては、ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialt
y Chemicals社から入手可能なCiba(登録商標、以下同様である。) I
RGANOX(登録商標、以下同様である。) 1076およびCiba IRGAFO
S(登録商標、以下同様である。) 168が好適に用いられる。
また、他の酸化防止剤としては、例えば、Ciba Irganox(登録商標、以下
同様である。) 129、Ciba Irganox 1330、Ciba Irgan
ox 1010、Ciba Cyanox(登録商標、以下同様である。) 1790、
Ciba Irganox(登録商標) 3114、Ciba Irganox 312
5等を用いることもできる。
なお、このような酸化防止剤は、例えば、層910が酸化条件に曝されない場合や、曝
される期間が極めて短い場合等には、省略することもできる。
コア層形成用材料(ワニス)900の調製に用いる溶媒としては、例えば、ジエチルエ
ーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオ
キサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、
ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエー
テル(カルビトール)等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェ
ニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン
等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化
水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等
の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメ
チルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2
−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等の
エステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒
等の各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
さて、支持基板951上に形成された液状被膜中から溶媒を除去(脱溶媒)する方法と
しては、例えば、自然乾燥、加熱、減圧下での放置、不活性ガスの吹付け(ブロー)など
による強制乾燥等の方法が挙げられる。
以上のようにして、支持基板951上には、コア層形成用材料900のフィルム状の固
化物(または硬化物)である層910が形成される。
このとき、層(PITDMの乾燥フィルム)910は、第1の屈折率(RI)を有して
いる。この第1の屈折率は、層910中に一様に分散(分布)するポリマー915および
モノマーの作用による。
[2A] 次に、開口(窓)9351が形成されたマスク(マスキング)935を用意
し、このマスク935を介して、層910に対して活性放射線930を照射する(図9−
B参照)。
以下では、モノマーとして、ポリマー915より低い屈折率を有するものを用い、また
、触媒前駆体として、活性放射線930の照射に伴って活性化温度が低下するものを用い
る場合を一例に説明する。
すなわち、ここで示す例では、活性放射線930の照射領域925がクラッド部95と
なる。
したがって、ここで示す例では、マスク935には、形成すべきクラッド部95のパタ
ーンと等価な開口(窓)9351が形成される。この開口9351は、照射する活性放射
線930が透過する透過部を形成するものである。
マスク935は、予め形成(別途形成)されたもの(例えばプレート状のもの)でも、
層910上に例えば気相成膜法や塗布法により形成されたものでもよい。
マスク935として好ましいものの例としては、石英ガラスやPET基材等で作製され
たフォトマスク、ステンシルマスク、気相成膜法(蒸着、スパッタリング等)により形成
された金属薄膜等が挙げられるが、これらの中でもフォトマスクやステンシルマスクを用
いるのが特に好ましい。微細なパターンを精度良く形成することができるとともに、ハン
ドリングがし易く、生産性の向上に有利であるからである。
また、図9−Bにおいては、形成すべきクラッド部95のパターンと等価な開口(窓)
9351は、活性放射線930の未照射領域940のパターンに沿ってマスクを部分的に
除去したものを示したが、前記石英ガラスやPET基材等で作製されたフォトマスクを用
いる場合、該フォトマスク上に例えばクロム等の金属による遮蔽材で構成された活性放射
線930の遮蔽部を設けたものを用いることもできる。このマスクでは、遮蔽部以外の部
分が前記窓(透過部)となる。
用いる活性放射線930は、助触媒に対して、光化学的な反応(変化)を生じさせ得る
ものであればよく、例えば、可視光、紫外光、赤外光、レーザ光の他、電子線やX線等を
用いることもできる。
これらの中でも、活性放射線930は、助触媒の種類、増感剤を含有する場合には、増
感剤の種類等によって適宜選択され、特に限定されないが、波長200〜450nmの範
囲にピーク波長を有するものであるのが好ましい。これにより、助触媒を比較的容易に活
性化させることができる。
また、活性放射線930の照射量は、0.1〜9J/cm程度であるのが好ましく、
0.2〜6J/cm程度であるのがより好ましく、0.2〜3J/cm程度であるの
がさらに好ましい。これにより、助触媒を確実に活性化させることができる。
前記マスク935の構成材料としては、照射する活性放射線930により適宜選定され
る。具体的には、マスク935の構成材料としては、活性放射線930を遮光し得る材料
とされる。このような特性を有するものであれば、マスク935の材料自体は、公知のい
ずれのものも使用することができる。
マスク935を介して、活性放射線930を層910に照射すると、活性放射線930
が照射された照射領域925内に存在する助触媒(第1の物質:コカタリスト)は、活性
放射線930の作用により反応(結合)または分解して、カチオン(プロトンまたは他の
陽イオン)と、弱配位アニオン(WCA)とを遊離(発生)する。
そして、これらのカチオンや弱配位アニオンは、照射領域925内に存在する触媒前駆
体(第2の物質:プロカタリスト)の分子構造に変化(分解)を生じさせ、これを活性潜
在状態(潜在的活性状態)に変化させる。
ここで、活性潜在状態(または潜在的活性状態)の触媒前駆体とは、本来の活性化温度
より活性化温度が低下しているが、温度上昇がないと、すなわち、室温程度では、照射領
域925内においてモノマーの反応を生じさせることができない状態にある触媒前駆体の
ことを言う。
したがって、活性放射線930照射後においても、例えば−40℃程度で、層910を
保管すれば、モノマーの反応を生じさせることなく、その状態を維持することができる。
このため、活性放射線930照射後の層910を複数用意しておき、これらに一括して加
熱処理を施すことにより、コア層93を得ることができ、利便性が高い。
なお、活性放射線930として、レーザ光のように指向性の高い光を用いる場合には、
マスク935の使用を省略してもよい。
[3A] 次に、層910に対して加熱処理(第1の加熱処理)を施す。
これにより、照射領域925内では、活性潜在状態の触媒前駆体が活性化して(活性状
態となって)、モノマーの反応(重合反応や架橋反応)が生じる。
そして、モノマーの反応が進行すると、照射領域925内におけるモノマー濃度が徐々
に低下する。これにより、照射領域925と未照射領域940との間には、モノマー濃度
に差が生じ、これを解消すべく、未照射領域940からモノマーが拡散(モノマーディフ
ュージョン)して照射領域925に集まってくる。
その結果、照射領域925では、モノマーやその反応物(重合体、架橋構造や分岐構造
)が増加し、当該領域の屈折率にモノマー由来の構造が大きく影響を及ぼすようになり、
第1の屈折率より低い第2の屈折率へと低下する。なお、モノマーの重合体としては、主
に付加(共)重合体が生成する。
一方、未照射領域940では、当該領域から照射領域925にモノマーが拡散すること
により、モノマー量が減少するため、当該領域の屈折率にポリマー915の影響が大きく
現れるようになり、第1の屈折率より高い第3の屈折率へと上昇する。
このようにして、照射領域925と未照射領域940との間に屈折率差(第2の屈折率
<第3の屈折率)が生じて、コア部94(未照射領域940)とクラッド部95(照射領
域925)とが形成される(図9−C参照)。
この加熱処理における加熱温度は、特に限定されないが、30〜80℃程度であるのが
好ましく、40〜60℃程度であるのがより好ましい。
また、加熱時間は、照射領域925内におけるモノマーの反応がほぼ完了するように設
定するのが好ましく、具体的には、0.1〜2時間程度であるのが好ましく、0.1〜1
時間程度であるのがより好ましい。
ここで、コア部94は、その横断面形状が、図示のように、正方形または矩形(長方形
)のような四角形に形成されるが、その幅および高さは、それぞれ、好ましくは1〜20
0μm程度、より好ましくは5〜100μm程度、さらに好ましくは10〜60μm程度
とされる。
[4A] 次に、層910に対して第2の加熱処理を施す。
これにより、未照射領域940および/または照射領域925に残存する触媒前駆体を
、直接または助触媒の活性化を伴って、活性化させる(活性状態とする)ことにより、各
領域925、940に残存するモノマーを反応させる。
このように、各領域925、940に残存するモノマーを反応させることにより、得ら
れるコア部94およびクラッド部95の安定化を図ることができる。
この第2の加熱処理における加熱温度は、触媒前駆体または助触媒を活性化し得る温度
であればよく、特に限定されないが、70〜100℃程度であるのが好ましく、80〜9
0℃程度であるのがより好ましい。
また、加熱時間は、0.5〜2時間程度であるのが好ましく、0.5〜1時間程度であ
るのがより好ましい。
[5A] 次に、層910に対して第3の加熱処理を施す。
これにより、得られるコア層93に生じる内部応力の低減や、コア部94およびクラッ
ド部95の更なる安定化を図ることができる。
この第3の加熱処理における加熱温度は、第2の加熱処理における加熱温度より20℃
以上高く設定するのが好ましく、具体的には、90〜180℃程度であるのが好ましく、
120〜160℃程度であるのがより好ましい。
また、加熱時間は、0.5〜2時間程度であるのが好ましく、0.5〜1時間程度であ
るのがより好ましい。
以上の工程を経て、コア層93が得られる。
なお、例えば、第2の加熱処理や第3の加熱処理を施す前の状態で、コア部94とクラ
ッド部95との間に十分な屈折率差が得られている場合等には、本工程[5A]や前記工
程[4A]を省略してもよい。
[6A] 次に、支持基板952上に、クラッド層91(92)を形成する(図9−D
参照)。
クラッド層91(92)の形成方法としては、クラッド材を含むワニス(クラッド層形
成用材料)を塗布し硬化(固化)させる方法、硬化性を有するモノマー組成物を塗布し硬
化(固化)させる方法等、いかなる方法でもよい。
クラッド層91(92)を塗布法で形成する場合、例えば、スピンコート法、ディッピ
ング法、テーブルコート法、スプレー法、アプリケーター法、カーテンコート法、ダイコ
ート法等の方法が挙げられる。
支持基板952には、支持基板951と同様のものを用いることができる。
クラッド層91(92)の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系
樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリ
ベンゾオキサゾール、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィ
ン系樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(ポリマーア
ロイ、ポリマーブレンド(混合物)、共重合体、複合体(積層体)など)用いることがで
きる。
これらのうち、特に耐熱性に優れるという点で、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリベン
ゾオキサゾール、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系
樹脂、またはそれらを含むもの(主とするもの)を用いるのが好ましく、特に、ノルボル
ネン系樹脂(ノルボルネン系ポリマー)を主とするものが好ましい。
ノルボルネン系ポリマーは、耐熱性に優れるため、これをクラッド層91(92)の構
成材料として使用する光導波路9では、光導波路9に導体層を形成する際、導体層を加工
して配線を形成する際、光学素子を実装する等に加熱されたとしても、クラッド層91(
92)が軟化して、変形するのを防止することができる。
また、高い疎水性を有するため、吸水による寸法変化等を生じ難いクラッド層91(9
2)を得ることができる。
また、ノルボルネン系ポリマーまたはその原料であるノルボルネン系モノマーは、比較
的安価であり、入手が容易であることからも好ましい。
さらに、クラッド層91(92)の材料として、ノルボルネン系ポリマーを主とするも
のを用いると、曲げ等の変形に対する耐性に優れ、繰り返し湾曲変形した場合でも、クラ
ッド層91、92とコア層93との層間剥離が生じ難く、クラッド層91、93の内部に
マイクロクラックが発生することも防止される。しかも、コア層93の構成材料として好
適に用いられる材料と同種となるため、コア層93との密着性がさらに高いものとなり、
クラッド層91(92)とコア層93との間での層間剥離を防止することができる。この
ようなことから、光導波路9の光伝送性能が維持され、耐久性に優れた光導波路9が得ら
れる。
このようなノルボルネン系ポリマーとしては、例えば、(1)ノルボルネン型モノマー
を付加(共)重合して得られるノルボルネン型モノマーの付加(共)重合体、(2)ノル
ボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との付加共重合体、(3)ノルボルネ
ン型モノマーと非共役ジエン、および必要に応じて他のモノマーとの付加共重合体のよう
な付加重合体、(4)ノルボルネン型モノマーの開環(共)重合体、および必要に応じて
該(共)重合体を水素添加した樹脂、(5)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オ
レフィン類との開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、
(6)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、または他のモノマーとの開環共重合体、
および必要に応じて該(共)重合体を水素添加したポリマーのような開環重合体が挙げら
れる。これらの重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体等
が挙げられる。
これらのノルボルネン系ポリマーは、例えば、開環メタセシス重合(ROMP)、RO
MPと水素化反応との組み合わせ、ラジカルまたはカチオンによる重合、カチオン性パラ
ジウム重合開始剤を用いた重合、これ以外の重合開始剤(例えば、ニッケルや他の遷移金
属の重合開始剤)を用いた重合等、公知のすべての重合方法で得ることができる。
これらの中でも、ノルボルネン系ポリマーとしては、付加(共)重合体が好ましい。こ
のものは、透明性、耐熱性および可撓性に富むことからも好ましい。
特に、ノルボルネン系ポリマーは、重合性基を含む置換基を有するノルボルネンの繰り
返し単位や、アリール基を含む置換基を有するノルボンネンの繰り返し単位を含むものが
好ましい。
重合性基を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返し単位を含むことにより、クラッ
ド層91(92)において、ノルボルネン系ポリマーの少なくとも一部のものの重合性基
同士を、直接または架橋剤を介して架橋させることができる。また、重合性基の種類、架
橋剤の種類、コア層93に用いるポリマーの種類等によっては、このノルボルネン系ポリ
マーとコア層93に用いるポリマーとを架橋させることもできる。換言すれば、かかるノ
ルボルネン系ポリマーは、その少なくとも一部のものが重合性基において架橋しているの
が好ましい。
その結果、クラッド層91(92)自体の強度や、クラッド層91(92)とコア層9
3との密着性の更なる向上を図ることができる。
このような重合性基を含むノルボルネンの繰り返し単位としては、エポキシ基を含む置
換基を有するノルボルネンの繰り返し単位、(メタ)アクリル基を含む置換基を有するノ
ルボルネンの繰り返し単位、および、アルコキシシリル基を含む置換基を有するノルボル
ネンの繰り返し単位がのうちの少なくとも1種が好適である。これらの重合性基は、各種
重合性基の中でも、反応性が高いことから好ましい。
また、このような重合性基を含むノルボルネンの繰り返し単位を、2種以上含むものを
用いれば、架橋密度をさらに向上させることができ、前記効果がより顕著となる。
一方、アリール基を含む置換基を有するノルボンネンの繰り返し単位を含むことにより
、アリール基は、疎水性が極めて高いため、クラッド層91(92)の吸水による寸法変
化等をより確実に防止することができる。また、アリール基は、脂溶性(親油性)に優れ
、前述したようなコア層93に用いられるポリマーとの親和性が高いため、クラッド層9
1(92)とコア層93との間での層間剥離をより確実に防止することができ、より耐久
性に優れた光導波路9が得られる。
さらに、ノルボルネン系ポリマーは、アルキルノルボルネンの繰り返し単位を含むもの
が好ましい。なお、アルキル基は、直鎖状または分岐状のいずれであってもよい。
アルキルノルボルネンの繰り返し単位を含むことにより、ノルボルネン系ポリマーは、
柔軟性が高くなるため、クラッド層91、92(光導波路9)に高いフレキシビリティ(
可撓性)を付与することができる。
また、アルキルノルボルネンの繰り返し単位を含むノルボルネン系ポリマーは、前述し
たような波長領域(特に、850nm付近の波長領域)の光に対する透過率が優れること
からも好ましい。
なお、クラッド層91(92)に用いるノルボルネン系ポリマーは、比較的屈折率の低
いものが好適であるのに対して、アリール基を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返
し単位を含むと、一般に屈折率が高くなる傾向を示すが、アルキルノルボルネンの繰り返
し単位を含むことにより、屈折率の上昇を防止することもできる。
このようなことから、クラッド層91(92)に用いるノルボルネン系ポリマーとして
は、下記化18〜21や、化25で表されるものが好適である。
Figure 2010140055
なお、化18で表されるノルボルネン系ポリマーの中でも、特に、Rが炭素数4〜10
のアルキル基であり、aおよびbがそれぞれ1である化合物、例えば、ブチルボルネンと
メチルグリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとメチル
グリシジルエーテルノルボルネンとのコポリマー、デシルノルボルネンとメチルグリシジ
ルエーテルノルボルネンとのコポリマー等が好ましい。
Figure 2010140055
なお、化19で表されるノルボルネン系ポリマーの中でも、特に、Rが炭素数4〜10
のアルキル基であり、aが1である化合物、例えば、ブチルボルネンとアクリル酸2−(
5−ノルボルネニル)メチルとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとアクリル酸2−(
5−ノルボルネニル)メチルとのコポリマー、デシルノルボルネンとアクリル酸2−(5
−ノルボルネニル)メチルとのコポリマー等が好ましい。
Figure 2010140055
なお、化20で表されるノルボルネン系ポリマーの中でも、特に、Rが炭素数4〜10
のアルキル基であり、aが1または2、Xがメチル基またはエチル基である化合物、例え
ば、ブチルボルネンとノルボルネニルエチルトリメトキシシランとのコポリマー、ヘキシ
ルノルボルネンとノルボルネニルエチルトリメトキシシランとのコポリマー、デシルノル
ボルネンとノルボルネニルエチルトリメトキシシランとのコポリマー、ブチルボルネンと
トリエトキシシリルノルボルネンとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとトリエトキシ
シリルノルボルネンとのコポリマー、デシルノルボルネンとトリエトキシシリルノルボル
ネンとのコポリマー、ブチルボルネンとトリメトキシシリルノルボルネンとのコポリマー
、ヘキシルノルボルネンとトリメトキシシリルノルボルネンとのコポリマー、デシルノル
ボルネンとトリメトキシシリルノルボルネンとのコポリマー等が好ましい。
Figure 2010140055
Figure 2010140055
Figure 2010140055
Figure 2010140055
なお、化21で表されるノルボルネン系ポリマーとしては、例えば、ブチルボルネン、
ヘキシルノルボルネンまたはデシルノルボルネンのいずれかと、アクリル酸2−(5−ノ
ルボルネニル)メチルと、ノルボルネニルエチルトリメトキシシラン、トリエトキシシリ
ルノルボルネンまたはトリメトキシシリルノルボルネンのいずれかとのターポリマー、ブ
チルボルネン、ヘキシルノルボルネンまたはデシルノルボルネンのいずれかと、アクリル
酸2−(5−ノルボルネニル)メチルと、メチルグリシジルエーテルノルボルネンとのタ
ーポリマー、ブチルボルネン、ヘキシルノルボルネンまたはデシルノルボルネンのいずれ
かと、メチルグリシジルエーテルノルボルネン、ノルボルネニルエチルトリメトキシシラ
ン、トリエトキシシリルノルボルネンまたはトリメトキシシリルノルボルネンのいずれか
とのターポリマー等が挙げられる。
Figure 2010140055
なお、化25で表されるノルボルネン系ポリマーの中でも、特に、Rが炭素数4〜10
のアルキル基であり、Xが酸素原子、Xがシリコン原子、Arがフェニル基、R
メチル基、aが1、cが2である化合物、例えば、ブチルボルネンとジフェニルメチルノ
ルボルネンメトキシシランとのコポリマー、ヘキシルノルボルネンとジフェニルメチルノ
ルボルネンメトキシシランとのコポリマー、デシルノルボルネンとジフェニルメチルノル
ボルネンメトキシシランとのコポリマー等や、Rが炭素数4〜10のアルキル基であり、
がメチレン基、Xが炭素原子、Arがフェニル基、Rが水素原子、aが0、cが
1である化合物、例えば、ブチルボルネンとフェニルエチルノルボルネンとのコポリマー
、ヘキシルノルボルネンとフェニルエチルノルボルネンとのコポリマー、デシルノルボル
ネンとフェニルエチルノルボルネンとのコポリマー等が好ましい。
また、p/qまたはp/q+rは、20以下であればよいが、15以下であるのが好ま
しく、0.1〜10程度がより好ましい。これにより、複数種のノルボルネンの繰り返し
単位を含む効果が如何なく発揮される。
以上のようなノルボルネン系ポリマーは、前述した特性に加えて、比較的低い屈折率の
ものであり、かかるノルボルネン系ポリマーを主材料としてクラッド層91(92)を構
成することにより、光導波路9の光伝送性能をより向上させることができる。
なお、ノルボルネン系ポリマーが、(メタ)アクリル基を含む置換基を有するノルボル
ネンの繰り返し単位を含む場合、(メタ)アクリル基同士は、加熱により比較的容易に架
橋(重合)させることができるが、クラッド層形成用材料中に、ラジカル発生剤を混合す
ることにより、(メタ)アクリル基同士の架橋反応を促進することができる。
ラジカル発生剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−
1−オン、1,1−ビス(t−ブチルペロキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン等が好適に用いられる。
また、ノルボルネン系ポリマーが、エポキシ基を含む置換基を有するノルボルネンの繰
り返し単位や、アルコキシシリル基を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返し単位を
含む場合、これらの重合性基同士を直接架橋させるためには、クラッド層形成用材料中に
、前述した助触媒と同種の物質(光酸発生剤または光塩基発生剤)を混合しておき、この
物質の作用により、エポキシ基やアルコキシシリル基を架橋させればよい。
一方、エポキシ基同士、(メタ)アクリル基同士やアルコキシシリル基同士を架橋剤を
介して架橋させるためには、さらに、クラッド層形成用材料中に、架橋剤として、各重合
性基に対応する重合性基を少なくとも1つを有する化合物を混合するようにすればよい。
エポキシ基を有する架橋剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン(γ−GPS)、シリコーンエポキシ樹脂等が好適に用いられる。
(メタ)アクリル基を有する架橋剤としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルト
リメトキシシラントリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレー
ト、トリプロピレングリコールジアクリレート等が好適に用いられる。
アルコキシシリル基を有する架橋剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランのようなシランカップリング剤
等が好適に用いられる。
これらの重合性基同士の架橋反応は、本工程[6A]の最終段階で行うようにしてもよ
いし、次工程[7A]において光導波路9を得た後に行うようにしてもよい。
また、クラッド層形成用材料中には、各種の添加剤を添加(混合)するようにしてもよ
い。
例えば、クラッド層形成用材料中には、前記コア層形成用材料で挙げたモノマー、触媒
前駆体および助触媒を混合してもよい。これにより、クラッド層91(92)中において
、前述したのと同様にして、モノマーを反応させて、クラッド層91(92)の屈折率を
変化させることができる。
特に、モノマーとしては、架橋性モノマーを含むものを用いると、クラッド層91(9
2)において、ノルボルネン系ポリマーの少なくとも一部のもののを、架橋性モノマーを
介して架橋させることができる。また、架橋剤の種類、コア層93に用いるポリマーの種
類等によっては、このノルボルネン系ポリマーとコア層93に用いるポリマーとを架橋さ
せることもできる。
また、この場合、クラッド層91(92)中において、屈折率の差を設けることが要求
されないので、助触媒を省略して、加熱により容易に活性化する触媒前駆体を用いること
もできる。
かかる触媒前駆体としては、例えば、[Pd(PCy(OCCH)(NCC
)]テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[2−methallyl
Pd(PCy3)2]テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[Pd(PCy
3)2H(NCCH3)]テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[Pd(P
(iPr)3)2(OCOCH3)(NCCH3)]テトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)ボレート等が挙げられる。
その他の添加剤としては、前述したような酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤を混合
することにより、クラッド材(ノルボルネン系ポリマー)の酸化による劣化を防止するこ
とができる。
以上のようにして、支持基板952上に、クラッド層91(92)が形成される。
クラッド層91、92の平均厚さは、コア層93の平均厚さの0.1〜1.5倍程度で
あるのが好ましく、0.3〜1.25倍程度であるのがより好ましく、具体的には、クラ
ッド層91、92の平均厚さは、特に限定されないが、それぞれ、通常、1〜200μm
程度であるのが好ましく、5〜100μm程度であるのがより好ましく、10〜60μm
程度であるのがさらに好ましい。これにより、光導波路9が不要に大型化(圧膜化)する
のを防止しつつ、クラッド層としての機能が好適に発揮される。
[7A] 次に、支持基板951からコア層93を剥離し、このコア層93を、クラッ
ド層91が形成された支持基板952と、クラッド層92が形成された支持基板952と
で挟持する(図9−E参照)。
そして、図9−E中の矢印で示すように、クラッド層92が形成された支持基板952
の上面側から加圧し、クラッド層91、92とコア層93とを圧着する。
これにより、クラッド層91、92とコア層93とが接合、一体化される。
また、この圧着作業は、加熱下で行われるのが好ましい。加熱温度は、クラッド層91
、92やコア層93の構成材料等により適宜決定されるが、通常は、80〜200℃程度
が好ましく、120〜180℃程度がより好ましい。
次いで、クラッド層91、92から、それぞれ、支持基板952を剥離、除去する。こ
れにより、光導波路9が得られる。
このような光導波路9の好ましい例では、コア層93において、コア部94が第1のノ
ルボルネン系材料を主材料として構成され、クラッド部95が第1のノルボルネン系材料
より低い屈折率を有する第2のノルボルネン系材料を主材料として構成され、クラッド層
91、92が、それぞれ、第1のノルボルネン系材料(コア層93のコア部94)より屈
折率が低いノルボルネン系ポリマーを主材料として構成される。
そして、第1のノルボルネン系材料と前記第2のノルボルネン系材料とは、いずれも、
同一のノルボルネン系ポリマーを含有するが、このノルボルネン系ポリマーと異なる屈折
率を有するノルボルネン系モノマーの反応物の含有量が異なることにより、互いに屈折率
が異なっている。
ノルボルネン系ポリマーは、透明性が高いため、かかる構成の光導波路9では、高い光
伝送性能が得られる。
また、このような構成により、コア部94とクラッド部95との間の高い密着性のみな
らず、コア層93とクラッド層91およびクラッド層92との間の高い密着性が得られ、
光導波路9に曲げ等の変形が生じた場合でも、コア部94とクラッド部95との剥離や、
コア層93とクラッド層91、92との層間剥離が生じ難く、コア部94内やクラッド部
95内にマイクロクラックが発生することも防止される。その結果、光導波路9の光伝送
性能が維持される。
さらに、ノルボルネン系ポリマーは、高い耐熱性、高い疎水性を有するため、かかる構
成の光導波路9では、耐久性に優れたものとなる。
また、光導波路9に高い耐熱性や高い疎水性を付与することができるため、その特性の
低下(劣化)を防止しつつ、前述したような各種の方法を採用して導体層を確実に形成す
ることができる。特に、光の伝送に重要なコア部94と重なるように、導体層を形成した
場合でも、コア部94の変質・劣化を防止することができる。
また、以上のような製造方法によれば、簡単な処理で、しかも短時間に、所望の形状を
有し、かつ、寸法精度の高いコア部94を有する光導波路9を得ることができる。
<第2の製造方法>
次に、光導波路9の第2の製造方法について説明する。
以下、第2の製造方法について説明するが、前記第1の製造方法との相違点を中心に説
明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2の製造方法では、コア層形成用材料900の組成が異なり、それ以外は、前記第1
の製造方法と同様である。
すなわち、第2の製造方法で用いられるコア層形成用材料900は、活性放射線の照射
により活性化する離脱剤(物質)と、主鎖と該主鎖から分岐し、活性化した離脱剤の作用
により、分子構造の少なくとも一部が主鎖から離脱し得る離脱性基(離脱性ぺンダントグ
ループ)とを有するポリマー915とを含有している。
離脱剤には、前記第1の製造方法で挙げた助触媒と同様のものを用いることができる。
第2の製造方法において用いられるポリマー915としては、前記第1の製造方法で挙
げたポリマー915が有する置換基を離脱性基で置換したものや、前記第1の製造方法で
挙げたポリマー915に離脱性基を導入したもの等が挙げられる。
かかるポリマー915は、離脱性基の離脱(切断)により、その屈折率が変化(上昇ま
たは低下)する。
離脱性基は、カチオン、アニオンまたはフリーラジカルの作用により離脱するもの、す
なわち、酸(カチオン)脱離性基、塩基(アニオン)脱離性基、フリーラジカル脱離性基
のいずれであってもよいが、好ましくはカチオン(プロトン)の作用により離脱するもの
(酸基離脱性基)である。
酸離脱性基としては、その分子構造中に、−O−構造、−Si−アリール構造および−
O−Si−構造のうちの少なくとも1つを有するものが好ましい。かかる酸離脱性基は、
カチオンの作用により比較的容易に離脱する。
このうち、離脱によりポリマー915の屈折率に低下を生じさせる酸離脱性基としては
、−Si−ジフェニル構造および−O−Si−ジフェニル構造の少なくとも一方が好まし
い。
なお、フリーラジカルの作用により離脱するフリーラジカル脱離性基としては、例えば
、末端にアセトフェノン構造を有する置換基等が挙げられる。
また、ポリマー915は、前記第1の製造方法で説明したのと同様の理由から、ノルボ
ルネン系ポリマーを用いるのが好ましく、アルキル(特にヘキシル)ノルボルネンの繰り
返し単位を含むノルボルネン系ポリマーを用いるのがより好ましい。
以上のことを考慮した場合、離脱性基の離脱により屈折率が低下するポリマー915と
しては、ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランのホモポリマーや、ヘキシルノル
ボルネンとジフェニルメチルノルボルネンメトキシシランとのコポリマーが好適に用いら
れる。
以下では、ポリマー915として、離脱性基(特に酸離脱性基)の離脱により屈折率が
低下するものを用いる場合を一例に説明する。
すなわち、ここで示す例では、活性放射線930の照射領域925がクラッド部95と
なる。
[1B] 前記工程[1A]と同様の工程を行う。
このとき、層(PITDMの乾燥フィルム)910は、第1の屈折率(RI)を有して
いる。この第1の屈折率は、層910中に一様に分散(分布)するポリマー915の作用
による。
[2B] 前記工程[2A]と同様の工程を行う。
マスク935を介して、活性放射線930を層910に照射すると、活性放射線930
が照射された照射領域925内に存在する離脱剤は、活性放射線930の作用により反応
(結合)または分解して、カチオン(プロトンまたは他の陽イオン)と、弱配位アニオン
(WCA)とを遊離(発生)する。
そして、カチオンは、離脱性基そのものを主鎖から離脱させるか、または、離脱性基の
分子構造の途中から切断する(フォトブリーチ)。
これにより、照射領域925では、未照射領域940よりも完全な状態の離脱性基の数
が減少し、第1の屈折率より低い第2の屈折率へと低下する。なお、このとき、未照射領
域940の屈折率は、第1の屈折率が維持される。
このようにして、照射領域925と未照射領域940との間に屈折率差(第2の屈折率
<第1の屈折率)が生じて、コア部94(未照射領域940)とクラッド部95(照射領
域925)とが形成される。
なお、この場合、活性放射線930の照射量は、0.1〜9J/cm程度であるのが
好ましく、0.3〜6J/cm程度であるのがより好ましく、0.6〜6J/cm
度であるのがさらに好ましい。これにより、離脱剤を確実に活性化させることができる。
[3B] 次に、層910に対して加熱処理を施す。
これにより、ポリマー915から離脱(切断)された離脱性基が、例えば、照射領域9
25から除去されたり、ポリマー915内において再配列または架橋する。
さらに、このとき、クラッド部95(照射領域925)に残存する離脱性基の一部がさ
らに離脱(切断)すると考えられる。
したがって、このような加熱処理を施すことにより、コア部94とクラッド部95との
間の屈折率差をより大きくすることができる。
この加熱処理における加熱温度は、特に限定されないが、70〜195℃程度であるの
が好ましく、85〜150℃程度であるのがより好ましい。
また、加熱時間は、照射領域925から離脱(切断)された離脱性基を十分に除去し得
るに設定され、特に限定されないが、0.5〜3時間程度であるのが好ましく、0.5〜
2時間程度であるのがより好ましい。
なお、例えば、加熱処理を施す前の状態で、コア部94とクラッド部95との間に十分
な屈折率差が得られている場合等には、本工程[3B]を省略してもよい。
また、必要に応じて、1回または複数回の加熱処理(例えば、150〜200℃×1〜
8時間程度)の工程を追加することもできる。
以上の工程を経て、コア層93が得られる。
[4B] 前記工程[6A]と同様の工程を行う。
[5B] 前記工程[7A]と同様の工程を行う。
以上のようにして、光導波路9が完成する。
このような光導波路9の好ましい例では、コア層93がノルボルネン系材料を主材料と
して構成され、クラッド層91、92が、それぞれ、コア層93のコア部94より屈折率
が低いノルボルネン系ポリマーを主材料として構成される。
そして、コア部94とクラッド部95とは、主鎖と主鎖から分岐し、分子構造の少なく
とも一部が主鎖から離脱し得る離脱性基とを有するノルボルネン系ポリマーを主材料とし
て構成され、コア部94とクラッド部95とは、主鎖に結合した状態の離脱性基の数が異
なることにより、それらの屈折率が異なっている。
ノルボルネン系ポリマーは、透明性が高いため、かかる構成の光導波路9では、高い光
伝送性能が得られる。
また、このような構成により、コア部94とクラッド部95との間の高い密着性のみな
らず、コア層93とクラッド層91およびクラッド層92との間の高い密着性が得られ、
光導波路9に曲げ等の変形が生じた場合でも、コア部94とクラッド部95との剥離や、
コア層93とクラッド層91、92との層間剥離が生じ難く、コア部94内やクラッド部
95内にマイクロクラックが発生することも防止される。その結果、光導波路9の光伝送
性能が維持される。
さらに、ノルボルネン系ポリマーは、高い耐熱性、高い疎水性を有するため、かかる構
成の光導波路9では、耐久性に優れたものとなる。
また、光導波路9に高い耐熱性や高い疎水性を付与することができるため、その特性の
低下(劣化)を防止しつつ、前述したような各種の方法を採用して導体層を確実に形成す
ることができる。特に、光の伝送に重要なコア部94と重なるように、導体層を形成した
場合でも、コア部94の変質・劣化を防止することができる。
また、以上のような製造方法によれば、簡単な処理で、しかも短時間に、所望の形状を
有し、かつ、寸法精度の高いコア部94を有する光導波路9を得ることができる。
特に、第2の製造方法によれば、少なくとも活性放射線をすればよく、極めて簡単な処
理で、コア層93を形成することができる。
<第3の製造方法>
次に、光導波路9の第3の製造方法について説明する。
以下、第3の製造方法について説明するが、前記第1および第2の製造方法との相違点
を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第3の製造方法では、コア層形成用材料900として、第1および第2の製造方法で用
いたコア層形成用材料を組み合わせたものを用い、それ以外は、前記第1または第2の製
造方法と同様である。
すなわち、第3の製造方法で用いられるコア層形成用材料900は、前述したような離
脱性基を有するポリマー915と、モノマーと、助触媒(第1の物質)と、触媒前駆体(
第2の物質)とを含有している。また、助触媒は、前記第2の製造方法における離脱剤と
同じものであり、離脱剤を離脱させる機能も有する。
このようなコア層形成用材料900では、選択する離脱性基と、選択するモノマーとの
組み合わせにより、得られるコア層93において、コア部94とクラッド部95との間の
屈折率差をより多段階に調整することが可能となる。
なお、前述したように、モノマーとして、ポリマー915より低い屈折率を有するもの
を用い、また、触媒前駆体として、活性放射線930の照射に伴って活性化温度が低下す
るものを用い、ポリマー915として、離脱性基の離脱により屈折率が低下するものを用
いると、照射領域925をクラッド部95とし、コア部94との屈折率差が極めて大きい
コア層93を得ることができる。
以下では、このような組み合わせのポリマー915、モノマーおよび触媒前駆体を用い
る場合を一例に説明する。
すなわち、ここで示す例では、活性放射線930の照射領域925がクラッド部95と
なる。
[1C] 前記工程[1A]と同様の工程を行う。
このとき、層(PITDMの乾燥フィルム)910は、第1の屈折率(RI)を有して
いる。この第1の屈折率は、層910中に一様に分散(分布)するポリマー915および
モノマーの作用による。
[2C] 前記工程[2A]と同様の工程を行う。
マスク935を介して、活性放射線930を層910に照射すると、活性放射線930
が照射された照射領域925内に存在する助触媒(第1の物質:コカタリスト)は、活性
放射線930の作用により反応または分解して、カチオン(プロトンまたは他の陽イオン
)と、弱配位アニオン(WCA)とを遊離(発生)する。
そして、これらのカチオンや弱配位アニオンは、照射領域925内に存在する触媒前駆
体(第2の物質:プロカタリスト)の分子構造に変化(分解)を生じさせ、これを活性潜
在状態(潜在的活性状態)に変化させる。
また、カチオンは、離脱性基そのものを主鎖から離脱させるか、または、離脱性基の分
子構造の途中から切断する。
これにより、照射領域925では、未照射領域940よりも完全な状態の離脱性基の数
が減少し、屈折率が低下して第1の屈折率より低くなる。なお、このとき、未照射領域9
40の屈折率は、第1の屈折率が維持される。
なお、この場合、活性放射線930の照射量は、0.1〜9J/cm程度であるのが
好ましく、0.2〜5J/cm程度であるのがより好ましく、0.2〜4J/cm
度であるのがさらに好ましい。これにより、助触媒を確実に活性化させることができる。
[3C] 前記工程[3A]と同様の工程を行う。
これにより、照射領域925内では、活性潜在状態の触媒前駆体が活性化して(活性状
態となって)、モノマーの反応(重合反応や架橋反応)が生じる。
そして、モノマーの反応が進行すると、照射領域925内におけるモノマー濃度が徐々
に低下する。これにより、照射領域925と未照射領域940との間には、モノマー濃度
に差が生じ、これを解消すべく、未照射領域940からモノマーが拡散して照射領域92
5に集まってくる。
また、この加熱処理により、ポリマー915から離脱(切断)された離脱性基が、例え
ば、照射領域925から除去されたり、ポリマー915内において再配列または架橋する
その結果、照射領域925では、モノマーやその反応物(重合体、架橋構造や分岐構造
)が増加し、当該領域の屈折率にモノマー由来の構造が大きく影響を及ぼすようになるこ
と、ポリマー915から離脱(切断)された離脱性基が減少すること等により、さらに屈
折率が低下して第2の屈折率となる。
一方、未照射領域940では、当該領域から照射領域925にモノマーが拡散すること
により、モノマー量が減少するため、当該領域の屈折率にポリマー915の影響が大きく
現れるようになり、第1の屈折率より高い第3の屈折率へと上昇する。
このようにして、照射領域925と未照射領域940との間に屈折率差(第2の屈折率
<第3の屈折率)が生じて、コア部94(未照射領域940)とクラッド部95(照射領
域925)とが形成される。
[4C] 前記工程[4A]と同様の工程を行う。
[5C] 前記工程[5A]と同様の工程を行う。
[6C] 前記工程[6A]と同様の工程を行う。
[7C] 前記工程[7A]と同様の工程を行う。
以上のようにして、光導波路9が完成する。
このような光導波路9の好ましい例では、コア層93は、主鎖とこの主鎖から分岐し、
分子構造の少なくとも一部が主鎖から離脱し得る離脱性基とを有するノルボルネン系ポリ
マーを含有しており、コア部94とクラッド部95とは、主鎖に結合した状態の離脱性基
の数が異なること、および、ノルボルネン系ポリマーと異なる屈折率を有するノルボルネ
ン系モノマーの反応物の含有量が異なることにより、それらの屈折率が異なっており、ま
た、クラッド層91、92が、それぞれ、コア層93のコア部94より屈折率が低いノル
ボルネン系ポリマーを主材料として構成される。
ノルボルネン系ポリマーは、透明性が高いため、かかる構成の光導波路9では、高い光
伝送性能が得られる。
また、このような構成により、コア部94とクラッド部95との間の高い密着性のみな
らず、コア層93とクラッド層91およびクラッド層92との間の高い密着性が得られ、
光導波路9に曲げ等の変形が生じた場合でも、コア部94とクラッド部95との剥離や、
コア層93とクラッド層91、92との層間剥離が生じ難く、コア部94内やクラッド部
95内にマイクロクラックが発生することも防止される。その結果、光導波路9の光伝送
性能が維持される。
さらに、ノルボルネン系ポリマーは、高い耐熱性、高い疎水性を有するため、かかる構
成の光導波路9では、耐久性に優れたものとなる。
また、光導波路9に高い耐熱性や高い疎水性を付与することができるため、その特性の
低下(劣化)を防止しつつ、前述したような各種の方法を採用して導体層を確実に形成す
ることができる。特に、光の伝送に重要なコア部94と重なるように、導体層を形成した
場合でも、コア部94の変質・劣化を防止することができる。
また、以上のような製造方法によれば、簡単な処理で、しかも短時間に、所望の形状を
有し、かつ、寸法精度の高いコア部94を有する光導波路9を得ることができる。
特に、第3の製造方法によれば、コア部94とクラッド部95との間の屈折率差を多段
階に設定することが可能となる。
<第4の製造方法>
次に、光導波路9の第4の製造方法について説明する。
図10−A〜図10−Eは、それぞれ、光導波路の第4の製造方法の工程例を模式的に
示す断面図である。
以下、第4の製造方法について説明するが、前記第1〜第3の製造方法との相違点を中
心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第4の製造方法では、コア層形成用材料900やクラッド層形成用材料には、前記第1
〜第3の製造方法で説明したのと同様のものを用いることができる。
なお、以下では、コア層形成用材料として、前記第1の製造方法で挙げたものを用いる
場合を代表に説明する。
[1D] まず、支持基板1000上に、クラッド層形成用材料(第1のワニス)を前
述したのと同様の方法を用いて塗布して、第1の層1110を形成する(図10−A参照
)。
支持基板1000には、支持基板951と同様のものを用いることができる。
第1の層1110の平均厚さは、特に限定されないが、5〜200μm程度であるのが
好ましく、10〜100μm程度であるのがより好ましく、15〜65μm程度であるの
がさらに好ましい。
[2D] 次に、第1の層1110上に、コア層形成用材料(第2のワニス)を前述し
たのと同様の方法を用いて塗布して、第2の層1120を形成する(図10−B参照)。
コア層形成用材料は、第1の層1110をほぼ完全に乾燥させた後に塗布するようにし
てもよいし、第1の層1110が乾燥する前に塗布するようにしてもよい。
後者の場合、第1の層1110と第2の層1120とは、それらの界面において相互に
混ざり合った状態となる。この場合、得られた光導波路9において、クラッド層91とコ
ア層93との密着性の向上を図ることができる。
また、この場合、第1のワニスおよび第2のワニスは、それぞれ、粘度(常温)が好ま
しくは100〜10000cP程度、より好ましくは150〜5000cP程度、さらに
好ましくは200〜3500cP程度に調製される。これにより、第1の層1110と第
2の層1120とが、それらの界面において必要以上に混ざり合うのを防止することがで
きるとともに、第1の層1110および第2の層1120の厚さが不均一となるのを防止
することができる。
なお、第2のワニスの粘度は、第1のワニスの粘度より高くするのが好ましい。これに
より、第1の層1110と第2の層1120とが、それらの界面において必要以上に混ざ
り合うのを確実に防止することができる。
第2の層1120の平均厚さは、特に限定されないが、5〜200μm程度であるのが
好ましく、15〜125μm程度であるのがより好ましく、25〜100μm程度である
のがさらに好ましい。
[3D] 次に、第2の層1120上に、クラッド層形成用材料(第3のワニス)を前
述したのと同様の方法を用いて塗布して、第3の層1130を形成する(図10−C参照
)。
第3の層1130は、前記第2の層1120と同様にして形成することができる。
第3の層1130の平均厚さは、特に限定されないが、5〜200μm程度であるのが
好ましく、10〜100μm程度であるのがより好ましく、15〜65μm程度であるの
がさらに好ましい。
これにより、積層体2000が得られる。
[4D] 次に、積層体2000中の溶媒を除去(脱溶媒)する。
脱溶媒の方法としては、例えば、加熱、大気圧または減圧下での放置、不活性ガス等の
噴き付け(ブロー)等の方法が挙げられるが、加熱による方法が好ましい。これにより、
比較的容易かつ短時間での脱溶媒が可能である。
この加熱の温度は、25〜60℃程度であるのが好ましく、30〜45℃程度であるの
がより好ましい。
また、加熱の時間は、15〜60分程度であるのが好ましく、15〜30分程度である
のがより好ましい。
[5D] 次に、開口(窓)9351が形成されたマスク(マスキング)935を用意
し、このマスク935を介して、積層体2000に対して活性放射線930を照射する(
図10−D参照)。
マスク935を介して、活性放射線930を積層体2000に照射すると、第2の層1
120の活性放射線930が照射された照射領域925内に存在する助触媒(第1の物質
:コカタリスト)は、活性放射線930の作用により反応または分解して、カチオン(プ
ロトンまたは他の陽イオン)と、弱配位アニオン(WCA)とを遊離(発生)する。
そして、これらのカチオンや弱配位アニオンは、照射領域925内に存在する触媒前駆
体(第2の物質:プロカタリスト)の分子構造に変化(分解)を生じさせ、これを活性潜
在状態(潜在的活性状態)に変化させる。
[6D] 次に、積層体2000に対して加熱処理(第1の加熱処理)を施す。
これにより、照射領域925内では、活性潜在状態の触媒前駆体が活性化して(活性状
態となって)、モノマーの反応(重合反応や架橋反応)が生じる。
そして、モノマーの反応が進行すると、照射領域925内におけるモノマー濃度が徐々
に低下する。これにより、照射領域925と未照射領域940との間には、モノマー濃度
に差が生じ、これを解消すべく、未照射領域940からモノマーが拡散して照射領域92
5に集まってくる。
その結果、照射領域925では、モノマーやその反応物(重合体、架橋構造や分岐構造
)が増加し、当該領域の屈折率にモノマー由来の構造が大きく影響を及ぼすようになり、
第1の屈折率より低い第2の屈折率へと低下する。
一方、未照射領域940では、当該領域から照射領域925にモノマーが拡散すること
により、モノマー量が減少するため、当該領域の屈折率にポリマー915の影響が大きく
現れるようになり、第1の屈折率より高い第3の屈折率へと上昇する。
このようにして、照射領域925と未照射領域940との間に屈折率差(第2の屈折率
<第3の屈折率)が生じて、コア部94(未照射領域940)とクラッド部95(照射領
域925)とが形成される(図10−E参照)。
[7D] 次に、積層体2000に対して第2の加熱処理を施す。
これにより、未照射領域940および/または照射領域925に残存する触媒前駆体を
、直接または助触媒の活性化を伴って、活性化させる(活性状態とする)ことにより、各
領域925、940に残存するモノマーを反応させる。
このように、各領域925、940に残存するモノマーを反応させることにより、得ら
れるコア部94およびクラッド部95の安定化を図ることができる。
[8D] 次に、積層体2000に対して第3の加熱処理を施す。
これにより、得られるコア層93に生じる内部応力の低減や、コア部94およびクラッ
ド部95の更なる安定化を図ることができる。
以上の工程を経て、光導波路9が得られる。
かかる方法では、第1の加熱処理の後、積層体2000内にコア部94が目視で確認す
ることができるようになる。
また、第1のワニスおよび第3のワニスとして、第2のワニスと同様の組成、すなわち
、ポリマー915、モノマー、助触媒および触媒前駆体を含有するものを用いるようにし
てもよい。これにより、モノマーの反応が、第1の層1110および第3の層1130と
、第2の層1120の界面、および/または、かかる界面を越えて第1の層1110およ
び第3の層1130内で生じて、クラッド層91、92とコア層93との剥離をより確実
に防止することができる。
また、この場合、例えば、I:第1の層1110および第3の層1130のポリマー9
15として、第2の層1120のポリマー915の屈折率より相対的に低い屈折率(RI
)のものを選択したり、II:第1の層1110および第3の層1130のモノマーとして
、第2の層1120のモノマーと同じものを用いるが、第1の層1110および第3の層
1130における触媒前駆体およびモノマーの比率を、第2の層1120のそれより低く
なるように調節するようにしたりすればよい。
これにより、活性放射線930を照射しても、クラッド層91、92内に、コア層93
のコア部94より高い屈折率を有する領域が形成されるのを防止することができる。
なお、コア層形成用材料(第2のワニス)として、離脱性基を有するポリマー915を
含有するものを用いる場合、クラッド層形成用材料(第1のワニス、第3のワニス)とし
ては、脱離性基を有しないポリマー915を用いて調製したものを用いるか、離脱性基を
有するポリマー915を用いるが、離脱剤を含有しないものを用いるようにすればよい。
これにより、第1の層1110および第3の層1130において、ポリマー915から
離脱性基が離脱(分解)することを防止することができる。
また、この場合、助触媒には、コア層93を形成する際には、活性化しないものを選択
するようにしてもよい。例えば、第2のワニスが含有する助触媒の活性化に適した活性放
射線を吸収しないか、または、活性放射線に代わって熱の作用により活性化される助触媒
を選択するようにすればよい。
このような助触媒としては、例えば、非吸収性光塩基発生剤(PBG)や熱塩基発生剤
(TBG)等が挙げられる。
前記第1および第2実施形態のように、貫通孔22内に単一の導体部24を形成する場
合には、まず貫通孔22の内周面に前述した方法により導体部3を形成し、次いで、その
内側に前述したコア層形成用材料900を充填し、必要に応じて(コア層形成用材料90
0の組成や特性に応じて)、活性放射線の照射および加熱を行い、コア層形成用材料90
0を硬化させることにより導光路24を形成する。
この場合、光導波路9のコア層93の形成と導光路24の形成とは、それぞれ別個に行
ってもよいが、光導波路9のコア層93の形成工程と導光路24の形成工程の全部または
一部を同時に行うこともできる。例えば、加熱工程の全部または一部を同時に行うことが
できる。これにより、製造の工程数を減らし、より容易かつ短時間で製造することができ
る。
前記第3、第4および第5実施形態のように、貫通孔22内に垂直光導波路23を形成
する場合には、まず貫通孔22の内面の全周または一部(矩形部224)に前述した方法
により導体部3を形成し、次いで、その内側(または円形部222)に前述したコア層形
成用材料900を充填する。次に、前述した方法により、充填されたコア層形成用材料9
00のうち例えばクラッド部25となるべき部位にのみ活性放射線を選択的に照射し、必
要に応じて(コア層形成用材料900の組成や特性に応じて)、少なくとも1回加熱を行
い、コア部24とクラッド部25とを形成する。活性放射線の照射方法や条件、加熱方法
や条件、その他の事項については、前記と同様とすることができる。
この場合、光導波路9のコア層93の形成と垂直光導波路23の形成とは、それぞれ別
個に行ってもよいが、光導波路9のコア層93の形成工程と垂直光導波路23の形成工程
の全部または一部を同時に行うこともできる。例えば、コア層形成用材料900の供給(
塗布、充填)工程、活性放射線の照射工程、加熱工程等のうちの全部または一部を同時に
行うことができる。これにより、製造の工程数を減らし、より容易かつ短時間で製造する
ことができる。
なお、本発明において、光導波路構造体の基本構造、層構成、各部の形状、数、配置等
は、図示のものに限定されないことは言うまでもない。
また、前記各実施形態において、素子としては、発光素子10を代表例として説明した
が、発光素子10に代え、受光部を有する受光素子を搭載した構成であってもよい。この
場合には、例えば、光導波路9、光路変換部96および導光路(コア部)24により、伝
送光18を受光素子の受光部へ導く構成とすることができる。もちろん、発光素子と受光
素子の双方を少なくとも1組搭載するものでもよい。
以上、本発明を図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定される
ものではなく、各部の構成は、同様の機能を発揮し得る任意の構成と置換することができ
、また、任意の構成が付加されていてもよい。
1 光導波路構造体
2 基板
22 貫通孔(スルーホール)
222 円形部
224 矩形部
23 垂直光導波路
24 導光路(コア部)
25 クラッド部
26 レンズ部
3 導体部
4 アンダーフィル材
51、52、53 導体層
531、532 部位
6 封止材
8 貫通孔(スルーホール)
81 導体ポスト(導体部)
9 光導波路
91 クラッド層
92 クラッド層
93 コア層
94 コア部
95 クラッド部
96 光路変換部
961 反射面
10 発光素子
101 発光部
103 端子
105 端子
12 電気素子(半導体素子)
123 端子
125 端子
18 伝送光
900 コア層形成用材料
910 層
915 ポリマー
920 添加剤
925 照射領域
930 活性放射線
935 マスク
9351 開口
940 未照射領域
951、952 支持基板
1000 支持基板
1110 第1の層
1120 第2の層
1130 第3の層
2000 積層体

Claims (1)

  1. 互いに屈折率が異なるコア部とクラッド部とを有する光導波路と、導体層とを有する積
    層構造体で構成され、
    厚さ方向に延在し、前記コア部に光学的に接続される導光路と、
    厚さ方向に延在し、前記導体層に電気的に接続される導体部とを有し、
    前記コア部は、活性放射線の照射により、またはさらに加熱することにより屈折率が変
    化する材料で構成されたコア層に対し前記活性放射線を選択的に照射することにより所望
    の形状に形成されたものであることを特徴とする光導波路構造体。
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