JP2010138683A - トイレシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 浄化槽又は屎尿処理装置の放流水を超節水便器の排便口上流側に流入させ閉鎖回路内で屎尿を搬送し、浄化槽または屎尿処理装置に戻し、高濃度汚水の処理、屎尿の分離によるチッソの除去、土壌利用による液肥生成等の新しい屎尿汚水の処理方法を提案する。
【選択図】図5
Description
これらの設計思想は、十分な洗浄水で便器を洗って回収し、屎尿は便槽に落とすというものである。
従来使われている陶器製の水洗便器は、便器ボウル面から通じる水路に防臭トラップを持ち、そのまま管路に接続されるために、−旦排便された屎尿は洗浄水と混合され分離することは出来なかった。
簡易水洗便器は屎尿と洗浄水を便槽に貯留するために大量の洗浄水を使えず、汚物を便槽に搬送し且つ便器ボウル面を洗浄する200〜300ccの僅かな水を使い、残水をボウル面真下の遮蔽体で貯溜し、少量の水で水封防臭する構造を持っている。
したがって、水洗便器と違い、この遮蔽体を利用すれば、屎尿と洗浄水を分離できる唯一の便器になる。
本発明者はこの問題を解決するために、屎尿は便槽に落とし、便器ボウル面を洗った洗浄水のみを分離し、水洗便器同様に多量の水でボウル面を十分に洗浄することを考えた。また、その水は屎尿水ではないので、土壌に浸透させたり滅菌して放流したりする他、簡単な濾過、滅菌の上、洗浄水として循環再利用することを考え、これを特許文献4,5で開示している。
浄化槽や下水道の普及していない地域では未だ汲み取り便槽と簡易水洗便器が使われており、簡易水洗便器の洗浄力の不足が解決されれば、その使用感は水洗便器と変わらないものとなる。
これは日本ばかりでなく、水の少ない発展途上国が、現在の水洗便器を使用して、例え1回5lでも放流すれば、処理場の施設費ばかりでなく、水資源の枯渇の心配さえ生じる。洗浄水の循環再利用をして便器を気持ちよく洗いながら、少しの土地を利用できるところでは高濃度汚水の土壌処理等を併用し、一年に一回くらいの汲み取りが可能になり、トイレに悩む発展途上国の人々に大きな貢献ができる。
また、踏み板や便座を離れると通電、洗浄する方式の場合には、男子小便の場合、用便中にスイッチを押されると小便が洗浄水に混入することが難点であった。
第2の問題は、大小便を一緒に便槽に落とす型式の便器では、便皿の上方側面に洗浄水取水口があるために、男子小便の尿が洗浄水に混じり易かった。特許文献4で、用便時には遮蔽体を回動自在にして、屎尿を便槽に送り、洗浄時のみ遮蔽体を固定し、遮蔽体の後部に水路を設けて洗浄水を取水する提案をしたが、紙が詰まり易かったり、大量の洗浄水が流れると溢水する等の問題があった。
上記公衆トイレでの節水や単独浄化槽の改善対策に、洗浄水分離便器が必須であるが他に本発明者が長い間提案し実施し続けてきた汚水の土壌処理装置、特許文献8を少水量の高濃度汚水処理方法として屎尿浄化槽と組み合わせることも有効である。
それにつけても汚物搬送能力のない洗浄水分離便器を配管勾配が小さく、配管距離の長い浄化槽に如何に適応させていくかが最大の問題である。
又前記の加圧送水手段であるポンプの作動をタイマー等で一定の時間間隔で作動させ且つその送水路を複数の便器の排便口の上流側の管路に接続して放流水を循環送水することを特徴とする。
大便を気持ちよく流すには水は多い方が良いし、水資源問題にもおおようだった時代でもあり、最近まで1回8〜10lを流すのが当然と思われ、それによって浄化槽や処理場が設計されてきた。
又浄化槽では濃い屎尿源水を稀釈することが処理の一助でもあったので先ず一人1日のDOB値13000ppmの屎尿を260ppmまで落とすのに、便器洗浄水の一人の1日の水量を50lとしこれを処理の出発点としていた。(屎尿浄化槽の構造基準・同解説−1976年版日本建築センター)
従って本来なら有機物濃度1%が最適といわれる嫌気性微生物の働く消化槽にも稀釈度の高い屎尿水が入っていた。本システムでは50倍ではなく5倍の稀釈率で消化槽に貯溜される。
しかし5人以下の浄化槽で嫌気処理部分の容積は最低1500lという基準があった。規定の一人1日50lとの洗浄水を流して5人家族でフル使用したとすると1日に250lプラス屎尿(1日1.5l)となり、5〜6日の滞留日数しかない。しかも嫌気処理には不向きな高稀釈水である。このような屎尿単独浄化槽が、現在も使われており、改良の手段が無いまま汚水を放流し続けている。
これに対し本発明者の提案する洗浄水分離便器は大量の水を流す従来の水洗便器と同じ使用感を味わいながら浄化槽に入る量は極めて少ない。浄化槽に入る汚物の量は屎尿共1回200ccに対して毎回300〜400ccの便器洗い水を浄化槽に落としたとしても(実際に男子小便の洗浄水は100cc程度なのでもっと少ない)、一人1日5l、5人家族がフルに使っても25lとなり正に水洗便器の十分の一の量となる。
従って滞留日数は50〜60日となる。
搬送水は浄化槽放流水の循環使用であるから蒸発で減少することはあれ、増量の恐れはない。浄化槽は初期水を槽に満タンにしてスタートするがBOD分の多い、大便と紙は次第に槽の下層に沈殿し、分解を続けていく。滞留日数が50〜60日なので次第に高濃度になり微生物による嫌気分解の好適有機物濃度1%程度となり分解は更に進む。嫌気分解は大きな有機物を大腸菌、プロテウス菌、脱窒菌、脂肪分解菌、繊維素分解菌等の通性嫌気菌が大きな分子構造の有機物を液化する。
有機物は分解され、酢酸、酪酸、プロピオン酸、ギ酸のような有機酸やアルコール、アルデヒドの化合物まで生成させる。
基質的に見た分解生成物は次のようである
セルローズ → 酢酸、酪酸
炭水化物 → 酢酸、酪酸、アセトン、アルコール
タンパク質 → アミノ酸、脂肪酸
脂肪 → 脂肪酸、グリセリン、アルコール
このように液化された生成物はメタン形成菌のグループが栄養源として利用し分解しメタン、炭酸ガス等の気体となる。これ等のガスは水中に溜まることなく飛散する。
嫌気性分解は汚水の有機物濃度は高い方が有利であることは前述した。希薄な汚水を分解すると、日数を要し、分解効率も悪い。
処理温度により分解菌の活動は違い、処理場などで35℃程度に加熱すると中温細菌が活動し、15〜30日で分解を完了するが家庭浄化槽の無加温で活動する低温細菌は16℃〜20℃程度で中温菌の倍はかかるが、50〜60日の滞留で可なりの分解が進む。
このような液化、気化で有機物を減らしていくので、好気分解に比べてはるかに汚泥の発生量は少ない。「屎尿処理施設の機能と管理」大野茂監修(産業用水調査会)
嫌気分解による汚泥の量は一年間一人当たり50〜60lに過ぎない。
5人家族一年間で300l位しか溜まらず汚泥の抜き取りは年1回で十分である。
本発明人は簡易水洗便器を利用して高濃度屎尿水を得てそれを土壌処理するシステムを開発している。特許文献8の前処理部分は自然のままに分解させる嫌気便槽で、ごく普通に存在する15℃〜20℃を生息適温とする低温嫌気菌を働かせている。冬の積雪の下の高山に取り付けられ何年間も汲み取りをせずに連続使用する実例も多い。冬は分解能が低下するが夏には分解能力を上げ、嫌気菌は死に絶えることなく働いて汚泥を減らしている。その中で、平地に近い自然温度条件で一年を通じて活動しているシステムがある。神奈川県の丹沢山鍋割山の土壌処理トイレシステムを環境省が山岳実証モデル実験として平成16年9月から平成17年9月までの一年間、システムの各部分の水質を採水検査した実例がある。
鍋割山は標高1500mで冬期積雪期も4ヶ月位で通年登山が行われ、特に春秋には登山者が多い山で実証モデル検査期間中に一万六千人が使用した。このトイレは山小屋にも接続しており、普通の公衆トイレに比べて大便使用人数も多く、家庭に近い使用条件で又東北地方に近い温度条件下で一年間に亘って15℃〜20℃を適温とする低温性嫌気菌がどう働いているかが良く判る。嫌気便槽部分からの流出水のBOD値を見ると以下のようであった。
トイレシステムの完成使用開始は平成15年11月、実証モデル検査は一年間使い込んだ後の平成16年9月から17年9月までであった。その数値を見ると平成16年9月27日 660ppm 10月25日 540ppm 11月30日 430ppm 12月20日 420ppm 17年1月22日 440ppm 7月11日 370ppm 9月12日 220ppmで終わっている。興味あるのは使用年月に従って便槽流出水のBOD値が下がって行くことである。便槽は2.75m3が2基で5.5m3である。
便槽流出水温度は11月30日9℃、12月20日8℃、1月22日4℃であり山頂に於ける平均気温11月7.2℃ 12月2.7℃ 1月−2.2℃ 2月−2.3℃であった。便槽中にあっては嫌気菌は変化なく働き続けていることが判る。この間汲み取りはしていない。この嫌気槽流出水を土壌処理に廻しているが、その前処理部として、安定した嫌気分解をしており、初期水で満タンになった浄化槽に屎尿と少量の水が投入されて嫌気分解部分で、分解される様相は本発明でも全く同じと思われる。
又分流された尿の方は好気的な土壌で硝酸化し、再び浄化槽に戻し槽内のBODを炭素源として脱窒することも可能であるが、少し土地があれば、小便は無菌であり施肥については制約もないので覆土して植物に供給出来る。
この種のものの改良のために土壌を利用する方法を提案した。勿論多少の土地を必要とする。しかしその面積は5人槽で0.5〜1m×5m程度ですみ、改良可能な家庭はかなりあるだろう。本発明者のすすめている方法は地下水汚染の心配される浸透式ではなく、土壌を合成樹脂膜で囲い込みその中で汚水の土壌処理を行い、槽の下部に溜まった浄化水をいろいろに利用する。これは洗浄水分離便器を使い、便器は気持ち良く洗いながら、浄化槽に入る水はフル使用で一人1日0.5l、5人家族で2.5lという今までの水洗便器使用の浄化槽では考えられない少水量だからである。一人当たりの土壌量は最低で巾50cm深さ70cm長さ80cmで十分である。(一人当たり0.3m3位)
日当たりの良い場所まで、自動ポンプで一定量を送水し、地表に畑、花壇を作るのが一番望ましい。土壌に吸着されているリン酸分も植物が利用出来る。
土壌層を通過して下部に溜まった浄水は、リン分は土壌に吸着されているので、硝酸性チッソ、亜硝酸性チッソを含有しているが、大きな肥料効果が期待されるものではない。
散水代わりの植生散布が適当であろう。又便器洗浄の補給水として利用する。
そのまま放流しても浄化槽放流水として高度の処理をしたものとほぼ同一水質を保証出来るので、大幅な改良となる。この際旧全バッキ浄化槽はバッキをやめ、嫌気便槽として利用する。
又浄化槽に流入する実質の屎尿と水の量が1/10になったので嫌気処理に適する濃度の屎尿水が浄化槽の嫌気分解部分に溜まり、十分な滞留時間がとれる。分離バッキ型や嫌気プラス好気処理のように、浄化槽の形式によっては放流水の改質が出来るものもある。
又高速道路のパーキングエリアにある料理、飲食店の雑排水と合併処理をしている場合等も改質の効果を期待し得るものである。
B 請求項2及び3によって便器の数や位置に対応した循環水の流し方が出来るようになった。
C 更に請求項4により小便を分離して浄化槽に入れないようにして放流水質の改良をなし得る。除去した小便と水は出来る限り液肥としての使用が望ましい。
D 請求項5による土壌処理との併用は処理水の利用等にいろいろ考えられるが、第一に750lの容積しか持たない全バッキ式の無放流化の手助けをする効果は大きい。
勿論2槽式分離バッキに接続しても今までより、はるかに良い放流水が得られる。
実案文献7に開示されたものがそれであるが簡単に特徴を説明する。一番の特徴はボウル面を洗浄した水を別流させる取水口を、便器便落口部の円筒周辺の外周部に狭い隙間を作り取水口とした所にある。円周は直径の約3倍なので5〜8mmの隙間で、十分な水量を吸収出来て、目に見えない場所で十分に働き、狭い隙間なので異物を吸い込まない。上の特徴に加えて、洗浄水に屎尿が混入しないように人感センサーによる全自動洗浄操作をも特徴としている。
便器ボウル面2aの下位に便落口部3aと当該便落口部3a外周に対峙状の排便管上端口部4aとの間に環状取水部5を形成しこの環状取水部5の外周にあって連通状の環状集水部6から排水管7を延設し、排便管4に於ける前記上端口部4a下側の便通り口部4d下に遮蔽体8を開閉可能に備えると共に、当該遮蔽体8を前記便通り口部4dに対して閉じ位置に停止可能なロック要素10を備えてある。筒部材4cと便落口部3aの隙間の間隔dが、取水量と取水速度を決め、排水管7の口径も決める。
この際の便器ボウル面を洗うために循環ポンプを動かしたり、吐水口電磁弁を開閉したりする機能はマイコンによっている。これが後述する浄化槽放流水による床下循環回路の循環ポンプを連動させる作動にもかかわる。
使用者が用便エリア内に入ったことを赤外線センサーが感知すると、給水装置が運転して約100cc程度の洗浄水を吐水口部11に給水してボウル面2aに流し、ボウル面2aを濡らして屎尿が付着しずらくなるように整える。
用便中の屎尿はその自重で便皿8aを開いて管路に落下する。
用便を終えた使用者が用便エリア内から離れて赤外線センサーが使用者を感知できなくなると、給水装置が運転して約200cc程度の洗浄水を吐水口部11に給水してボウル面2aに流し、ボウル面2aに残っている落とし紙等を管路に流し落とす。
然る後に、電磁石10がON状態になり、便通り口部4dが便皿8aで閉じ位置にロックされた直後に、給水装置が運転して約5l程度の洗浄水を吐水口部11に給水してボウル面2aに流す。かかる洗浄水はボウル面2a次いで誘導管3内面を流れて洗浄した後、環状取水部5から環状集水部6に流入し図2、送水管7を経て外部に流れる。こうして、洗浄水が流出した後、電磁石10への通電が切られてOFF状態になることで、遮蔽体8はロック解除されて開き可能になり、閉じ位置に開き可能に停止して便通り口部4dを水封する。
図4は従来の単独浄化槽と水洗便器の家庭の浄化槽はそのままにして、水洗便器を前述の洗浄水分離便器に替え、大便や紙の搬送を浄化槽の放流水で行うものである。使われている浄化槽は長時間ばっき方式(分離ばっき型)で一応前処理槽とばっき槽に2分割されているが沈殿分離部分とばっき部分と併せて1200lのものであった。前述のように前処理部の沈殿分離部へ高濃度汚水を搬送し、嫌気分解に適した濃度とそれに伴う滞留時間の増大で十分に改質された放流水が得られると思われたが、庭に土地が十分にあるため土壌処理施設も併設し、浄化槽は放流をしない方式とした。(法的には汲取便槽となる。)この部分については請求項5項のシステムになるので同じ図を使って後述する。
図5ではたて管の上流側に入っているが、横引部の上流側でも良い。搬送水用ポンプ23の作動は本実施例の場合は洗浄水分離便器を作動させているマイコン作動の洗浄水給水時間と同時間作動させる。搬送水用ポンプ23は便器洗浄ポンプよりも大型のものを使い、水量が多過ぎる場合には途中管路をしぼって調整する。洗浄水分離便器から管路に落下した少量の水と屎尿、紙は多量の水に押されて浄化槽まで運ばれる。当然ながらこの水は閉管路循環なので汚水であっても法的には何等問題なく、実際に浄化槽に入る増量分は水洗便器の10分の1以下になる。
尚本実施例では便器循環洗浄作動のマイコンに連動させて搬送用水ポンプを動かしているが、複数の便器の汚物を循環搬送する場合には請求項3で述べているタイマー作動が良いであろう。公衆トイレの場合等、夜間や想定される不使用時間の作動回数を調整すれば、節電も可能であろう。
男子小便器では洗浄水を小便と分離して小便器内部を循環洗浄して新しい水道水を使わない形式のものがある。循環使用により少し汚れてくると浄化槽、下水道に放流されるが、大きな節水効果を上げている。又最近は無水便器という名で、小便器ボウル面の排出口に水より小さい比重で、水に溶けない液体で水封部を作り、下からの臭気を遮断し、水を全く使わない小便器が日本でも発売されている。
大便器では北欧スエーデンを中心に大小便を分離する便器が作られ、相当に普及しているようである。
この便器は家庭用が中心であり、大便は堆肥に、小便はそのまま液肥として使われ、エコロジカルな目的で、WHOもこれを取り上げ、発展途上国に向けてすすめている。
図1〜図3に示される便器の構造及びマイコン作動機能は全く同じであるが便器ボウル面2aの中央部縦に巾5〜7mmのスリット41が、又同じくT字形に横スリット42がボウル面を貫通して設けられている。このスリットの裏側には小便集水部43が陶器に空洞部を形成したり、プラスチック成型品でボウル面裏面に水密、密着されて形成されている。この小便集水部43に接続して小便排出管44が設けられ、大便排便管4を迂回して大便器後背部を通って外部に配管される。
使用者が便器センサーの感知エリアに入るとマイコンが作動を開始することは請求項1に取り上げた便器と同じであるが、使用者が小便をした場合小便は小便スリット41、42を経てその大部分が小便集水部43に集められ、便器外に排出され、浄化槽放流水により搬送される管路には入らない。同時に大便をした場合には請求項1の作動と同じく便皿を経由して浄化槽放流水により搬送される管路に落下し、大便、紙共に搬送され、単独浄化槽21に流入する。
この尿分離型便器は大便及び女性小便を専用として、男子小便は座って使用してもらうか、別途小便器を設置することが必要である。男子立小便は、便皿を作動させ、排便管路に入り浄化槽に送られてしまう。
便器ボウル面の洗浄は、大小便とも変わりなく、500ccの洗浄水を流し大便と紙を排便管路に落としてから、使用者が、センサーの感知範囲から外れると遮蔽体が固定され循環洗浄水が流れてボウル面を洗浄する。
その際小便スリットへ循環洗浄水も少量が流入し、管路を洗いながら、外部へ排出される。
循環洗浄水は少し多目にマイコンで設定しても良い。
しかしながら、本実施例の便器では大、小便の洗浄時に共通してボウル面を洗浄する循環洗浄水が流れ、その度毎にわずかの洗浄水が、小便スリットを通じて小便排出管に流れるが、その量は毎回100〜200cc程度なのでそのまま小便と一緒に排出させる。
本方式の小便は主として液肥として土壌浸透させるため、4〜5倍程度の肥料として都合の良い稀釈率になっているので、そのまま利用する。
請求項1に対応した大便器の洗浄水分離装置と同じ形式の機構部の一部の寸法を縮めた形で、小便器の下部排出部に取り付けている。図8に従って説明する。この実施例では従来のストール型小便器を便器本体として使用し、便器の下側に循環水タンク52を設ける。タンクの深さを出来るだけ浅くするために排便管4は極力薄く作製し小便落下時に遮蔽体8の開く開弁高さhは1センチ位にする。200〜300ccの小便と100〜150ccの洗浄水は十分通過する。
本体51は既製の陶器製小便器を使用し、小便器水封部もそのまま使っている。下方に遮蔽体8がありこちらでも水封するが既製品を使用した。誘導管3も極力薄くした。循環水タンク52の後部底面に水中ポンプ53を設置して便器ボウル面上部に設けた吐出ノズル54に接続して便器一台単位の循環をさせている。多数の小便器を連接する場合には水中ポンプ53は使わず排水管7を循環水タンク後部より外部に接続し、集中濾過洗浄し、循環させることも可能である。
この洗浄水循環小便器の作動を説明すると、使用者がセンサーの感知エリア内に立ち、小便をすると遮蔽体8はフリー状態にあるので小便は浄化槽連通路に流れる。使用者が感知エリアを外れると遮蔽体はフリー状態のままで洗浄水100〜150ccが流れ浄化槽連通路に合流する。
次にマイコン作動により電磁石10に通電し遮蔽体錘部8cを固定する。直ちに洗浄水2〜3lが流れ便器ボウル面を洗ってから環状取水部、環状集水部を通って排水管7に排出される。この間の作動は請求項1仕様の大便器と同じであり一連の循環洗浄作動が終了すると直ちに遮蔽体はフリー状態となり次の使用者を待つ。洗浄水循環作動が終わらないうちに次の使用者が感知エリアに入ると、循環洗浄はストップし循環洗浄水に小便が入らないようにしている。小便は本実施例では浄化槽に入るようにしているが、小便と150ccの洗浄水は浄化槽に入れずに土壌に液肥として供給したり土壌で硝酸化してから浄化槽に戻して脱室する等の利用法があるのは前項と同じである。
図4に従って全体の配置、構造を説明する。搬送水貯溜槽22は単独浄化槽21からの放流水が溜められ、搬送水管路24を経由して大便搬送水として汚物搬送管路26に送られる。この搬送水は用便1回に10リットル程度あれば良く、槽の貯水量は30l程度で良い。便槽に流入する便器洗浄水や小便、大便の分解水分は浄化槽から流出し槽22に流入する。槽22の中にある搬送用ポンプの反対側にオーバーフロー口を設けて、オーバーフロー管路32を経て、土壌処理用水槽33に流入する。この流れは自然流下であり、管路32はわずかな勾配で槽33に余剰水を流入させる。槽33は少々深目に埋設され、約30〜40l汚水が溜まったところで、フロートスイッチによりポンプが作動し、約20l程度の汚水を一時に土壌処理槽36に送り込む。土壌処理槽は図9に示されるような構造で土中に埋設されている。土壌処理槽は2〜3mm厚の強度のある合成樹脂膜で作られ、箱状に溶着成形されており地表迄達し地中には漏水しないようになっている。巾は約1m、長さは任意であるが、本実施例では長さ10mとなっている。深さは約1mである。この土壌槽の底面には合成樹脂多孔管が2段又は3段重ねで配設されるか、直径10cm未満の丸石を深さ15cm位になるよう置き並べても良い。合成樹脂多孔管や丸石の上には細目のプラスチック網を敷き、上から土壌が落下しないようにしている。
この土壌処理槽の任意の部分に同じような、プラスチック筒を立て浄化水を集めて利用したり、雨水による増水量の調整に使用することも出来る。本実施例では土壌処理槽の浄化水取水槽40の長さ方向の対照位置に同じ浄化水取水槽37を設け雨水が所定水位を超えるとフロートスイッチにより作動し垣根の植物に散布するようにしてある。汚水浸透トレンチ35は樋状の長尺のプラスチックス成型品で、その中にプラスチック多孔管が固着されておりトレンチと多孔管の隙間や多孔管の上部には5〜10mm位の不整形の礫体が散布されている。多孔管の一端から流入する汚水を土壌槽中に均一に浸透させ、且つ多孔管周辺を好気状態に保ち、多孔管を目詰まりさせない働きをする。トレンチは出来る限り浅く設置し、礫体上部の土壌は5〜6cmで良い。
トレンチに入った汚水は、多孔管、礫層を経て浅い土壌中に浸透して行く。汚水はトレンチによって直下に重力浸透していかないようにしてあるので、礫層を経た汚水は土壌粒子の間の狭い間隙に存在する土中毛管水の領域には入り込み毛管移動をする。この領域は土壌間隙にある空気の影響を受けて、好気的状態にある。土中で毛管水領域に入った水はすぐには下方に向かわず遠くは横方向1m位まで移動しながらゆっくりと下降して行く。この間に土中微生物の作用を受けて浄化されてゆく。浄化された水の性情は尿素はアンモニア態チッソを経て硝酸態チッソに変わるので、アンモニア臭はなく、透明で便器の洗浄にも使用出来る。リンは土壌に吸着されて、外部には流出しない。土壌で浄化された水は、便器洗浄水として利用され、浄化槽に送られ、余剰水として再び、土壌処理槽に戻ってくるので硝酸性チッソの濃度は次第に高くなる。雨水で稀釈された状態で浄化水取水槽37から汲み上げて、植物の肥料として使用することが望ましい。
又、かつて単独浄化槽を設置した家庭の多くは雑排水はそのまま放流している所が大部分である。
その改善のために、土地に余裕があれば、台所排水、風呂場の洗い場排水、洗濯排水、のみを集めて土壌処理することが可能である。その際浄化水取水槽37より流出させる水を上記排水に合流させて再度土壌処理すると、台所排水に含まれるBODを利用して硝酸化したチッソを脱室することも可能である。
2 便器
2a ボウル面
2b 下端口部
3 誘導管
3a 便器口部
4 排便管
4a 上端口部
4b 係止突部
4c 筒部材
4d 便通り口部
d 通水部間隔
4e 載乗部
5 環状取水部
6 環状集水部
7 排水管
8 遮蔽体
8a 便皿
8b 支持部
8c 錘部
8d 支持部
9 支軸
10 電磁石体
11 吐水口部
21 単独浄化槽
22 搬送水貯留槽
23 搬送用ポンプ
24 搬送水管路
25 洗浄水分離便器
26 汚物搬送管路
27 便器洗浄水浄化タンク
28 洗浄水給水ポンプ
29 洗浄水循環管路
30 コントロールボックス
31 人体感知センサー
32 オーバーフロー管路
33 土壌処理用水槽
34 給水ポンプ
35 汚水浸透トレンチ
36 土壌処理槽
37 浄化水取水槽
38 多孔管
39 毛管礫
40 浄化水取水槽
41 小便縦スリット
42 小便横スリット
43 小便集水部
44 小便排出管
51 小便器本体
52 循環タンク
53 ポンプ
54 吐水ノズル
Claims (5)
- 屎尿とわずかな洗浄水を便器排便口から落とし、便器ボウル面を洗浄する水はボウル面の下面に設けた分離装置で分離して排便口には落とさず、洗浄水はボウル面のみを洗う洗浄水分離便器の排便口を屎尿浄化槽又は屎尿処理装置に連なる屎尿搬送管に接続し、上記屎尿浄化槽又は屎尿処理装置の放流水の一部を加圧送水して上記洗浄水分離便器に連なる床下搬送管の便器排便口上流側に送り、屎尿を屎尿浄化槽又は屎尿処理装置に環流させるトイレシステム。
- 前記の加圧送水手段であるポンプの作動を便器を洗浄し洗浄水を循環利用する洗浄水分離便器の便器循環洗浄のマイコン電動作動と連動させ、便器排出口を閉じ便器洗浄水を流している同じ時刻に屎尿浄化槽又は屎尿処理装置に連なる屎尿搬送管に放流水の一部を加圧送水するポンプの電流を入り切りさせる機能を持つ請求項第1項記載のトイレシステム。
- 前記の加圧送水手段であるポンプの作動を一定の時間間隔で作動させ、且つその送水路を複数の便器の排便口の上流側の管路に接続して放流水を循環送水をする請求項1記載のトイレシステム。
- 屎尿浄化槽又は屎尿処理装置の放流水を循環搬送手段とするトイレシステムに於いて男子小便器を備えるものは、男子小便及び洗浄水を上記の浄化槽放流水による循環送水回路以外に流し、和洋大便器にあっては、大便、紙及び少量の便器洗い水のみを浄化槽放流水による循環送水路に送り、小便と便器洗い水は分別する大小便分離便器を使用して、小便と便器洗い水を浄化槽放流水による循環送水路以外に流し、浄化槽放流水の加圧送水循環は大便器使用のとき大便器洗浄時間と同時に加圧送水ポンプを入り切りさせるか又は一定時間に間欠的にポンプを作動させる請求項第1項又は第2、第3項記載のトイレシステム。
- 屎尿浄化槽又は屎尿処理装置の放流水を循環搬送手段とするトイレシステムに於いて浄化槽に流入する屎尿及び便器洗浄水を土壌処理槽に誘導し、土壌処理した水の一部を便器洗浄補給水に利用し、残りを放流するか又は液肥として利用する請求項1〜3のいずれか2項記載のトイレシステム。
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