JP2010138238A - 熱可塑性樹脂組成物及びその成形品の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 コーヒー粕残渣を含有しながらもブリードアウトが発生しない熱可塑性樹脂組成物及びその成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】 コーヒー粕残渣を充填材とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、熱可塑性樹脂と、脂質含量が2重量%以下のコーヒー粕残渣とを乾燥重量において95:5〜50:50の混合比で混合する混合工程を含む。コーヒー粕残渣はメタン発酵処理がなされた発酵コーヒー粕残渣を主原料とし、熱可塑性樹脂は主として再生ポリプロピレンである。又、発酵コーヒー粕残渣は30重量%以上の水分を含有し、混合工程における加熱温度は40℃〜280℃の加熱工程を含むものである。これによって、得られる成形品はブリードアウトが防止され、靱性が向上する。又、これまで産業廃棄物として廃棄されてきたコーヒー粕残渣に新たな用途を提供し、リサイクル及び環境負荷低減に資する。
【選択図】 なし

Description

この発明は熱可塑性樹脂組成物及びその成形品の製造方法に関し、特に、脂質含量の低いコーヒー粕残渣を含む熱可塑性樹脂組成物及びその成形品の製造方法に関するものである。
食品や飲料の製造過程で発生するコーヒー粕、麦芽粕、おから、醤油粕等の食物残渣は、資源の有効利用が望まれているにもかかわらず、その多くが産業廃棄物として焼却又は埋設処分されているのが現状である。その中でも、コーヒー飲料等の製造過程で発生するコーヒー粕残渣の年間発生量は数十万トンに及び、再利用の要請が特に強い。
一方、有機物の産業廃棄物のリサイクル方法としては、特許文献1に木粉を充填材として熱可塑性樹脂に配合する方法が提案されている。
特開2008−19355号公報
上記のような従来の方法は、コーヒー粕残渣にそのまま適用することができない。通常、コーヒー粕残渣は22重量%程度の脂質を含むため、コーヒー粕残渣を熱可塑性樹脂に混合して得られた成形品は、脂質成分が凝集固化する、いわゆるブリードアウト現象が生じてしまう。ブリードアウトが成形品の表面に生じた場合、見映えが悪化するだけでなく、使い勝手が良くない。又、ブリードアウト発生の程度が大きい場合には成形品の各部に割れが生じるため、商品として使い物にならない。一方、有機充填材を添加した樹脂組成物は経済性に優れるものの、成形性や強度に劣るものであった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、コーヒー粕残渣を含有しながらもブリードアウトが発生しない熱可塑性樹脂組成物及びその成形品の製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、コーヒー粕残渣を充填材とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、熱可塑性樹脂と、脂質含量が2重量%以下のコーヒー粕残渣とを乾燥重量において95:5〜50:50の混合比で混合し、熱可塑性樹脂が可塑化可能な温度で加熱する混合工程を含むものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、コーヒー粕残渣がメタン発酵処理がなされた発酵コーヒー粕残渣からなるものである。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、コーヒー粕残渣が30重量%以上の水分を含有し、混合工程における加熱温度は40℃〜280℃であるものである。
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂及び生分解性樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種を主原料とする再生熱可塑性樹脂からなるものである。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成において、再生熱可塑性樹脂が再生ポリプロピレンを主原料とするものである。
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の方法によって得られた熱可塑性樹脂組成物を含む樹脂組成物を成形する工程と、成形された樹脂組成物を用いて成形品を製造する工程とからなるものである。
以上説明したように、請求項1記載の発明は、製造される熱可塑性樹脂組成物の脂質含量が低いため、これによって得られる成形品のブリードアウトが防止される。又、これまで産業廃棄物として廃棄されてきたコーヒー粕残渣に新たな用途を提供し、リサイクル及び環境負荷低減に資する。更に、コーヒー粕残渣は安価な材料なので経済性に優れる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、メタン発酵処理により発酵コーヒー粕残渣の粒子の表面が多孔質となるため、樹脂と発酵コーヒー粕残渣との濡れ性が向上する。又、コーヒー粕残渣中の繊維質は微生物に分解されにくいため、発酵後のコーヒー粕残渣中の繊維質の相対含量が高くなる。その結果、これによって得られる熱可塑性樹脂組成物の靱性が向上する。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、水分含量の高いコーヒー粕残渣が加熱によって脱水されるため、脱水のための別途の工程を必要としない。
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、再生熱可塑性樹脂を用いることでより高いリサイクル効果が得られる。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の効果に加えて、使用量が多く、安価な再生ポリプロピレンを用いることで、この方法によって得られる熱可塑性樹脂組成物は経済性及び安定供給性に優れる。
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、得られた成形品は靱性が高く、安価である。
この発明に用いられる熱可塑性樹脂は、特に制限されないがポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、生分解性樹脂、及びこれらを主成分とする再生熱可塑性樹脂等を例示することができる。これらは単独又は併用して用いることができる。なかでも、ポリオレフィン樹脂の再生ポリプロピレンは安価かつ安定供給が可能なため特に好ましい。尚、再生熱可塑性樹脂とは、容器リサイクル法等の法律によりリサイクルが義務付けられている樹脂から再生した熱可塑性樹脂のことである。又、生分解性樹脂としては、特に制限されないがポリ乳酸樹脂及びサクシネート樹脂等を例示することができる。これらの生分解性樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物は、後述するコーヒー粕残渣と混合されることにより、高い生分解性を有する。
この発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法においては、コーヒー粕残渣が熱可塑性樹脂組成物の充填材として用いられる。コーヒー粕残渣は、コーヒー飲料の製造工程で発生する副産物であり、コーヒー豆を焙煎し、粉砕した後、湯等により成分を抽出した後に残る残渣のことをいう。コーヒー粕残渣に用いられるコーヒー豆の種類は特に限定されない。又、この発明におけるコーヒー粕残渣は、集積及び処理工程等において他の食品残渣が一定量混入し、又は混合される可能性があるため、コーヒー粕残渣を主原料とするものを含む。
コーヒー粕残渣は、得られる熱可塑性樹脂組成物に強度を付与するセルロース及びヘミセルロース等の植物繊維質を多く含有し、その抗酸化作用によって防腐効果が向上させるクロロゲン酸、タンニンを多く含有する。又、コーヒー粕残渣は予め粉砕したものを用いることが好ましく、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形性及び強度を考慮して平均粒径が1〜1000μmのものが好ましく、5〜20μmのものがより好ましい。
この発明に用いられるコーヒー粕残渣は、得られる熱可塑性樹脂組成物のブリードアウトの発生を防止するため、2重量%以下の脂質を含有するものを用いる。しかし、コーヒー粕残渣は一般に22重量%程度の脂質を含むため、低脂質化処理を施し、その脂質含量をブリードアウトが生じない2重量%以下まで下げる必要がある。
低脂質化処理方法は特に限定されないが、経済性に優れるという理由から微生物によって脂質を分解する発酵処理が好ましく、なかでも、エネルギー源となるバイオガスを生成するメタン発酵処理が特に好ましい。ここで、メタン発酵処理とは、発酵槽内で有機汚泥を嫌気性バクテリアによって分解し、メタンを生成する発酵処理を意味し、バクテリアには必須にメタンバクテリアが含まれる。このようなメタン発酵の目的は、主として産業廃棄物の減容化、バイオガスの発生及びその有効利用にある。この発明におけるメタン発酵処理とは上記に該当するすべてのメタン発酵処理を含み、装置、方法及び規模等によって特に限定されるものではない。メタン発酵処理を採用することにより、コーヒー粕残渣は低脂質化を主目的とした特別の設備等を必要とすることなく、バイオガス生成に付随してその脂質含量を2重量%以下にすることができる。
コーヒー粕残渣は微生物による発酵処理がなされることにより脂質のほとんどが分解される。例えば、メタン発酵処理ではコーヒー粕残渣中の脂質の約98重量%が分解される。その結果、発酵されたコーヒー粕残渣中の脂質含量は2重量%以下となり、これを混合した熱可塑性樹脂組成物のブリードアウトの発生が防止される。以降、微生物による発酵処理がなされたコーヒー粕残渣のことを発酵コーヒー粕残渣という。一方、発酵処理ではコーヒー粕残渣中のセルロースやヘミセルロース等の植物繊維質の分解率はタンパク質及び脂質のそれと比較して相対的に低いため、これによって得られる発酵コーヒー粕残渣中の植物繊維質の相対含量は高くなる。この植物繊維質は熱可塑性樹脂組成物の靱性向上に貢献すると考えられる。
又、図1はメタン発酵処理の前と後におけるコーヒー粕残渣の走査型電子顕微鏡(以下、SEMという。)写真である。発酵処理前のコーヒー粕残渣は、図1の(1)に示されるように粒子の表面は平面的に形成されている。これに対して、発酵コーヒー粕残渣は微生物による分解作用により、図1の(2)に示されるように粒子の表面が多孔質に形成される。この表面構造の変化が熱可塑性樹脂との濡れ性を向上させ、得られる熱可塑性樹脂組成物の靱性が向上すると考えられる。尚、微生物による発酵処理はコーヒー粕残渣を懸濁液状態にして行うため、得られる発酵コーヒー粕残渣は70重量%以上の水分を含み、これを乾燥してもなお50重量%程度の水分を含む。
この発明の熱可塑性樹脂組成物には、その他必要に応じて、コーヒー粕残渣以外の充填材、可塑剤、着色剤、香料、防腐剤、滑剤、剥離剤、紫外線吸収剤、熱安定化剤、難燃剤、殺虫剤、抗菌剤、相溶化剤等を適宜添加することができる。
次に、この発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法について説明する。
この発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、コーヒー粕残渣を充填材として熱可塑性樹脂に混合する混合工程を含む。リサイクル効果を高め、かつ熱可塑性樹脂組成物の成形性及び物性を劣化させないという理由から、熱可塑性樹脂とコーヒー粕残渣との混合比は、乾燥重量において95:5〜50:50が好ましく、85:15〜60:40がより好ましく、75:25〜65:35が最も好ましい。尚、水分含量の高いコーヒー粕残渣を充填材として用いる場合には、事前に乾燥し、水分含量をある程度低くしておくことが好ましい。
熱可塑性樹脂とコーヒー粕残渣との混合方法及び用いる装置は特に限定されないが、ミキサー及び押出機内で混合することが好ましい。混合時の温度は、用いる熱可塑性樹脂の可塑化温度により変化するため特に限定されないが、樹脂の可塑化温度に応じて40℃〜280℃の範囲内が好ましい。可塑化温度より高すぎると、樹脂が液状化して十分混合されないからである。一方、30重量%以上の水分を含むコーヒー粕残渣を充填材として用いる場合、コーヒー粕残渣に含まれる水分を除去するため温度は高い方が良い。したがって、混合温度は100℃〜270℃がより好ましく、150℃〜260℃が最も好ましい。混合時間は特に限定されず、適宜変更される。
このようにして混合され、水分のほとんどが除去された熱可塑性樹脂組成物は冷却された後、粉砕される。冷却方法及び粉砕方法は特に限定されないが、自然冷却が好ましく、粉砕方法は市販の粉砕機により粉砕することが好ましい。
次に、粉砕された熱可塑性樹脂組成物は、押出工程において押出機により押し出され、ペレット状となる。使用する押出機及び押出条件等は特に限定されない。
得られた熱可塑性樹脂組成物からなるペレットは成形工程において成形機に投入され、成形される。この成形工程では、熱可塑性樹脂組成物を単体で成形しても良く、又、熱可塑性樹脂組成物を異なる熱可塑性樹脂とミキサー等により混合して成形しても良い。このようにして成形された樹脂組成物は、その後の製造工程において成形品として加工され、各種樹脂製品として幅広く使用することができる。成形品の成形方法及び製造方法は特に限定されず、又、成形に用いる成形機も特に限定されないが、市販されている押出成形機、射出成形機等が例示される。
このようにして得られた成形品は、ブリードアウトが防止され、靱性が高く、しかも安価である。又、これまで産業廃棄物として廃棄されてきたコーヒー粕残渣に熱可塑性樹脂組成物の充填材という新たな用途を提供し、リサイクル及び環境負荷低減に資する。
以下、この発明を実施例と比較例とを挙げて説明するが、この発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例1
発酵コーヒー粕残渣は、コーヒー飲料製造後に発生したコーヒー粕残渣をメタン発酵処理システムプラント(コカコーラセントラルジャパングループ社所有、株式会社荏原製作所設計・施工)により発酵処理したものを用いた。発酵コーヒー粕残渣の一般組成は、乾燥重量において概ね、脂質2重量%、ホロセルロース49重量%、リグニン49重量%であり、水分含量は約50重量%である。発酵コーヒー粕残渣は、水分含量を低減するため事前にミキサー((株)カワタ製、SMV−750)により105℃に加熱した条件下で15分間攪拌及び乾燥を行った後、自然冷却した。
この発酵コーヒー粕残渣30重量部(乾燥重量)とポリプロピレン(SAMSUNG社製、BJ750)70重量部とを押出機(ナカタニ機械(株)製、VSK−40)に投入し、160〜200℃に加熱した条件下で15分間混練した後、吐出量3kg/時で押し出し、ペレットを得た。このペレットを押出成形機((株)池貝製、FS−65)に投入し、180〜200℃に加熱した条件下で混練しながら、吐出量460mm/分で押出成形し、試験片として用いる成形品を得た。得られた成形品を中央部で切断した後、その切断面をSEM((株)日立製作所製、S−4300)により倍率1000倍及び5000倍で撮影した。撮影写真を図2及び図3に示す。又、得られた熱可塑性樹脂組成物及び成形品について以下の評価を行った。その結果を表1に示す。
[ブリードアウト評価]
得られた試験片の表面を目視観察し、以下のように評価した。
○:表面にブリードアウト及び割れは認められなかった。
×:表面にブリードアウト又は割れが認められた。
[粘度(メルトフローレート)]
測定はJIS−K7210に準拠して行った。
[アイゾッド衝撃強度]
測定はJIS−K7110(ノッチ付)に準拠して行った。
[曲げ強度及び曲げ弾性率]
測定はJIS−K7171に準拠して行った。
[引張強度及び引張伸度]
測定はJIS−K7161及びJIS−K7162に準拠して行った。
[比重]
比重計((株)島津製作所、SGM−300P)により測定した。
実施例2
実施例1で用いた発酵コーヒー粕残渣30重量部(乾燥重量)と再生ポリプロピレン((株)タイボー、タイプロン)70重量部とをミキサー((株)カワタ製、SMV−750)により160℃に加熱した条件下で14分間混合した。得られた熱可塑性樹脂組成物を自然冷却した後、平均粒径が1mm程度になるまで粉砕した。次いで、この粉砕物を押出機(ナカタニ機械(株)製、NVC−100)に投入し、200〜250℃に加熱した条件下で15分間混練しながら、吐出量50kg/時で押し出し、ペレットを得た。得られたペレットを押出成形機((株)池貝製、FS−65)に投入し、180〜200℃に加熱した条件下で混練しながら、吐出量460mm/分で押出成形し、実施例1と同形状の成形品を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物及び成形品について実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例3
実施例2においてミキサーに投入した発酵コーヒー粕残渣及び再生ポリプロピレンの投入量を、発酵コーヒー粕残渣55重量部(乾燥重量)及び再生ポリプロピレン45重量部に変更した以外は、実施例2と同様の方法により熱可塑性樹脂組成物及び成形品を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物及び成形品について実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
比較例1〜3
比較例1、2及び3は、それぞれ実施例1、2及び3で用いた発酵コーヒー粕残渣に代えて、コーヒー飲料製造後に発生したコーヒー粕残渣であってメタン発酵処理をしていないものを使用して行った。すなわち、比較例1ではコーヒー粕残渣30重量部(乾燥重量)とポリプロピレン70重量部とを混合し、比較例2ではコーヒー粕残渣30重量部(乾燥重量)と再生ポリプロピレン70重量部とを混合し、比較例3ではコーヒー粕残渣55重量部(乾燥重量)と再生ポリプロピレン45重量部とを混合した。それ以外は、実施例1、2及び3と同様の方法により、それぞれ熱可塑性樹脂組成物及び成形品の製造を試みた。尚、これらの比較例で使用したコーヒー粕残渣の一般組成は乾燥重量において、脂質22.6重量%、ホロセルロース53.4重量%、リグニン26.4重量%であり、水分含量は約70重量%である。これらの比較例では、押出機によりペレットを得ることはできたが、ペレットから成形品を得ることはできなかった。それはコーヒー粕残渣の脂質含量が高いことが原因であると考えられる。仮に成形品が得られたとしても、高脂質故、その成形品はブリードアウトが発生すると考えられる。
比較例4
実施例1で用いたポリプロピレン100重量部を押出機に投入し、160〜200℃に加熱した条件下で15分間混練した後、吐出量3kg/時で押し出し、ペレットを得た。得られたペレットを押出成形機に投入し、180〜200℃に加熱した条件下で混練しながら、吐出量460mm/分で押出成形し、実施例1と同形状の成形品を得た。使用した押出機及び押出成形機は実施例1で用いたものと同じものである。得られた熱可塑性樹脂組成物及び成形品について実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
比較例5
比較例4で用いたポリプロピレンに代えて実施例2で用いた再生ポリプロピレンを使用した以外は、比較例4と同様の方法により熱可塑性樹脂組成物及び成形品を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物及び成形品について実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
尚、測定は各々3回づつ繰り返して行い、その平均値を記載したものである。
表1に示されるように、発酵コーヒー粕残渣を混合した成形品(実施例1〜3)はいずれもブリードアウトが発生しなかったことがわかる。又、発酵コーヒー粕残渣を30重量%混合した成形品(実施例1及び2)は良好な成形性及び物性が得られた。特に、ポリプロピレン70重量部と発酵コーヒー粕残渣30重量部とを混合した成形品(実施例1)は、ポリプロピレン単独の成形品(比較例4)と比較して曲げ弾性率が大きく向上したことがわかる。又、再生ポリプロピレン70重量部と発酵コーヒー粕残渣30重量部とを混合した成形品(実施例2)は、再生ポリプロピレン単独の成形品(比較例5)より曲げ強度が改善し、曲げ弾性率が大きく向上したことがわかる。以上より、発酵コーヒー粕残渣を所定量混合することによって、得られた熱可塑性樹脂組成物の靱性が向上したことがわかる。尚、発酵コーヒー粕残渣を55重量%混合した熱可塑性樹脂組成物は成形性が低下したため、曲げ強度等の測定を行うことができなかった。
図2は実施例1により得られた成形品の倍率1000倍のSEM写真であり、図3はその倍率5000倍のSEM写真である。これらの図を参照して、符号12a〜12gは発酵コーヒー粕残渣の粒子を示す。このように、メタン発酵処理により得られた発酵コーヒー粕残渣を用いた熱可塑性樹脂組成物の成形品は、樹脂と発酵残渣との濡れ性が良く、分散状態が良好で、かつ平均粒子径が小さく、アスペクト比も小さいことがわかる。これにより、熱可塑性樹脂組成物の靱性が向上し、成形品の成形性及び物性が向上すると考えられる。
メタン発酵処理の前と後におけるコーヒー粕残渣の倍率5000倍のSEM写真である。 実施例1により得られた成形品の倍率1000倍のSEM写真である。 図2の成形品の倍率5000倍のSEM写真である。
符号の説明
12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g…発酵コーヒー粕残渣
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (6)

  1. コーヒー粕残渣を充填材とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、
    熱可塑性樹脂と、脂質含量が2重量%以下の前記コーヒー粕残渣とを乾燥重量において95:5〜50:50の混合比で混合し、前記熱可塑性樹脂が可塑化可能な温度で加熱する混合工程を含む、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記コーヒー粕残渣がメタン発酵処理がなされた発酵コーヒー粕残渣からなる、請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記コーヒー粕残渣が30重量%以上の水分を含有し、
    前記混合工程における加熱温度は40℃〜280℃である、請求項1又は請求項2記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂及び生分解性樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種を主原料とする再生熱可塑性樹脂からなる、請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記再生熱可塑性樹脂が再生ポリプロピレンを主原料とするものである、請求項4記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の方法によって得られた熱可塑性樹脂組成物を含む樹脂組成物を成形する工程と、
    前記成形された樹脂組成物を用いて成形品を製造する工程とからなる、成形品の製造方法。
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