JP3509751B2 - 熱可塑性複合成形材料、その製造方法及びそれを用いた成形体の製造方法 - Google Patents
熱可塑性複合成形材料、その製造方法及びそれを用いた成形体の製造方法Info
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Description
いて排出される産業廃棄物すなわちオカラを有効利用し
た熱可塑性複合成形材料、その製造方法及びその成形材
料を用いて成形体を製造する方法に関するものである。
として得られるオカラは、以前は食材として用いられて
いたが、最近、日本人の食品嗜好の変化とともに、その
需要が減少し、現在ではその一部が動物用飼料や肥料と
して利用されているだけで、大部分は未利用のまま産業
廃棄物として焼却や埋め立て処分に付されている。
環境汚染を抑制する資源循環型の社会システムや経済シ
ステムの重要性が認識されるようになり、食品関連の産
業分野においても、「食品循環資源の再利用等の促進に
関する法律」が制定され、食品製造に伴う産業廃棄物の
再利用が社会的問題として要望されている。
造の際に生じる植物質加工残さについては、それをポリ
オレフィンのような熱可塑性樹脂と組み合わせて成形材
料として利用することも試みられたが、これを単に熱可
塑性樹脂と混合して熱溶融しても複合化が困難なため、
成形材料として利用可能な組成物とするには、多量の熱
可塑性樹脂を用いなければならない上に、このようにし
て用いた熱可塑性樹脂単独の場合に比べ、物性がかなり
低下するのを免れない。しかも、これらの残さと熱可塑
性樹脂との混合物を均質な組成とするには、加熱下で比
較的長時間の混練を行わなければならないが、この間に
オカラやフスマの中に含まれているタンパク質や糖質が
分解して変質し、異臭を放ったり、物性劣化をもたらす
ため実用化には至っていない。
事情のもとで、豆乳の搾り粕であるオカラを利用し、成
形体としたときに十分使用に耐え得る物性を示す成形材
料を提供することを目的としてなされたものである。
の成分を含むオカラにポリオレフィンを混合して成形材
料を製造する場合、単にそれを熱溶融して混練するとい
う通常使用されている混合方法を用いたのでは、均一な
組成物が得られず、また混合中にオカラが分解して品質
が劣化するのを防止できないが、水分量10質量%以下
に乾燥したオカラを脱油処理したのち、ポリオレフィン
と乾燥状態の下で機械的エネルギーを印加しながら溶融
混練すれば、オカラの分解を伴わずに、両者を容易に複
合化し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を
なすに至った。
下の脱油した豆乳の搾り粕と全質量に基づき20〜80
質量%のポリオレフィンとの乾式条件下でのメカノケミ
カル処理生成物からなる熱可塑性複合成形材料、水分量
10質量%以下の豆乳の搾り粕を脱油処理したものにポ
リオレフィンを合計質量に対し20〜80質量%の割合
で加え、得られた混合物を乾式条件下、機械的エネルギ
ーを印加しながら混合物全体が潤滑性を示す状態になる
までメカノケミカル処理することを特徴とする熱可塑性
複合成形材料の製造方法、及びその成形材料をプレス成
形、押出成形又は射出成形により加熱成形することを特
徴とする成形体の製造方法を提供するものである。ここ
で、メカノケミカル処理生成物とは、原料混合物に機械
的な粉砕処理によって機械的エネルギーを印加しながら
メカノケミカル的な反応を行わせることにより得られる
生成物のことをいう。
カラであっても、これを水分量10質量%以下に乾燥
し、かつ脱油処理したのち熱可塑性を有するポリオレフ
ィンと混合し、機械的エネルギーを印加しながら反応さ
せることにより、オカラ中の高分子化合物とポリオレフ
ィンとが分子レベルでメカノケミカル的に反応して複合
化し、成分の高分子化合物とは全く異なった熱的特性を
示す複合体となり、熱可塑性を発現するのである。
成分としてポリオレフィンとオカラとを用いる。このポ
リオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリブチレン、ポリイソプレンのような単独重
合体や、エチレンとプロピレンの共重合体、エチレンと
ブチレンとの共重合体、エチレンと他の炭素数5以上の
α‐オレフィンとの共重合体のような共重合体を挙げる
ことができる。
工程中に豆乳の搾り粕として得られるものであって、粒
状、粉末状で得られるものを水分量10質量%以下に乾
燥し、かつ脱油処理して、そのまま使用することができ
るが、粒径1mm以下の粉末状又は粒状体として用いる
のが好ましい。
レフィンをオカラとポリオレフィンとの合計質量に基づ
き20〜80質量%、好ましくは40〜80質量%の割
合で含有させる。
は、ポリオレフィンとオカラのほかに、所望に応じ通常
の熱可塑性樹脂成形材料に慣用されている添加剤、例え
ば可塑剤、安定剤、補強剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、防カビ剤など
をそれぞれの有効濃度で配合することができる。
レフィンと水分量10質量%以下の脱油処理したオカラ
とを、乾式条件下、すなわち溶媒を用いずに機械的エネ
ルギーを加えながら、実質上複合化が完了するまで処理
したものである。この際の機械的エネルギーは、粉砕、
衝撃、摩擦などの機械的手段によって与えられる。ここ
で実質上複合化が完了するとは、オカラが本来の物性を
失い、全体として潤滑性を示す状態になることを意味す
る。
ることにより、ポリオレフィンとオカラとは、微粒子状
態でたがいに分散して複合体を形成し、これを加熱成形
すると、凹凸が少なく滑らかな表面をもつ成形体を得る
ことができる。そして、これらの成形体中のオカラ自体
は延伸性を有しないが、均一に分散しているため、全体
として高い延伸性を示す。
性複合成形材料の製造方法を説明する。図1は、この方
法の1例を示す工程図である。ここで、原料として用い
るオカラは、通常、加工工程から排出された直後は、比
較的多量の水分を含んでいるので、乾燥する必要があ
る。この場合、成形加工時の発泡を避けるためには、水
分量を10質量%以下までに乾燥する必要がある。この
乾燥は、熱風乾燥、真空乾燥、減圧乾燥などによって行
われる。
いる場合には、後続の複合化時間を短縮するために乾燥
した加工残さを粒径1mm、好ましくは500μm以下
に粉末化するが、この際、開放型の高速ミキサーを用い
て粉砕処理すれば、粉砕中に温度上昇するので、乾燥も
同時に行うことができる。
は除去できないため、メチルアルコールやエチルアルコ
ールのような有機溶剤を用いて抽出洗浄し、脱脂する必
要がある。
し、かつ脱油処理したオカラ粉末に対し、ポリオレフィ
ンを所定割合で配合するが、このポリオレフィンは、複
合化を効率よく短時間で行いうるように、あらかじめカ
ッティングミルなどを用いて粒径1mm以下に粉末化し
ておくのがよい。
ンとの混合物は、次に乾式条件下、すなわち溶媒の不存
在下に機械的エネルギーを加えながら複合化する。この
機械的エネルギーは、通常ボールミル、ロールミル、ジ
ェットミル、アトリションミル又は高速ミキサーを用い
る機械的な粉砕処理によって加えることができる。この
際、粉砕処理に伴って温度が150〜200℃まで上昇
する。この複合化に要する時間は、その際の温度や与え
られる機械的エネルギーの量により左右されるが、通常
は40〜100分間の範囲である。
し、押し出し成形してペレット化する。このようにペレ
ット化することにより、後続の成形工程への輸送が容易
になる。このようにして得た複合体ペレットは、一般の
プラスチック成形材料と全く同じ方法でプレス成形、押
出成形、射出成形によりシートやびんのような成形体に
成形することができる。
まま廃棄物として処分されていたオカラを、ポリオレフ
ィンと複合化し、一般の熱可塑性樹脂と同様に成形材料
として再利用しうるので、資源循環型産業の1つとして
有用な技術を提供することができる。
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。
風乾燥器を用いて、水分量が10質量%以下になるまで
乾燥した。次いで、この乾燥オカラをカッティングミル
を用いて粉砕し、粒径200μm以下の粉末とした。得
られた乾燥粉末状オカラを体積比2倍のメチルアルコー
ルに浸漬し、油分を洗浄除去して脱脂した。次に、メチ
ルアルコールを圧搾、風乾して大部分を除去したのち、
熱風乾燥器で十分に乾燥した。次に、カッティングミル
を用いて粉砕し、粒径250μm以下の粉末としたポリ
エチレンを、粉末状オカラに対し20質量%の割合で混
合したものをボールミル装置を用いて60分間粉砕し
た。このようにして得たオカラ−ポリエチレン複合体
と、この複合体に対して粉末状ポリエチレン及びポリプ
ロピレンを、最終的な各成分の比率が、オカラ20質量
%、ポリエチレン10質量%、ポリプロピレン70質量
%になるように混練機に投入し、190℃で5分間加熱
溶融混練りした。
ピレン複合体を、カッティングペレット化装置を用い
て、5mm程度のペレットに成形した。このようにして
得た複合体ペレットを、20cm四方の正方形金型に充
填し、加熱プレス成形機を用いて、180℃で2分間プ
レス成形を行い、板状体を得た。このようにして得た板
状体は、均一で滑らかであり、オカラ、ポリエチレン又
はポリプロピレンの各成分の分離や塊の形成は全く認め
られなかった。
に記載の例と同一構成比でオカラ、ポリエチレン及びポ
リプロピレンを直接に混練機に投入して板状体を製造し
た。各成分の脱脂などの前処理、混練り及び成形条件
は、実施例1の場合と同一にした。得られた板状体で
は、塊状のオカラが不均一に点在し、表面には凹凸が認
められた。実施例1及び比較例1で製造した板状体を所
定の形状に打ち抜き、引張り強度試験を行った結果を表
1に示す。ボールミル粉砕により、オカラとポリエチレ
ンを複合化した後、ポリエチレン及びポリプロピレンを
加え、混練りして製造した板状体では、強度が7%向上
し、破断点伸びは32%向上した。
し、実施例1に記載の例と同様な条件で、ボールミル粉
砕、混練り、ペレット化及び加熱圧縮成形して、オカラ
−ポリプロピレン複合化板状体を製造した。得られた板
状体は、均一でオカラの塊は認められず、表面は滑らか
であった。
に記載の例と同一構成比でオカラ及びポリプロピレンを
直接に混練機に投入して、混練り、ペレット化操作を行
った後、板状体を製造した。得られた板状体では、塊状
のオカラが不均一に点在し、表面には多くの凹凸が認め
られた。実施例2及び比較例2で製造した板状体を所定
の形状に打ち抜き、引張り強度試験を行った結果を表2
に示す。ボールミル粉砕によりオカラとポリプロピレン
を複合化した後、混練りして製造した板状体では、強度
が35%向上し、伸びが21%向上した。
Claims (7)
- 【請求項1】 水分量10質量%以下の脱油した豆乳の
搾り粕と全質量に基づき20〜80質量%のポリオレフ
ィンとの乾式条件下でのメカノケミカル処理生成物から
なる熱可塑性複合成形材料。 - 【請求項2】 ポリオレフィンがポリエチレン又はポリ
プロピレンあるいはこれらの混合物である請求項1記載
の熱可塑性複合成形材料。 - 【請求項3】 水分量10質量%以下の豆乳の搾り粕を
脱油処理したものにポリオレフィンを両者の合計質量に
対し20〜80質量%の割合で加え、得られた混合物を
乾式条件下、機械的エネルギーを印加しながら混合物全
体が潤滑性を示す状態になるまでメカノケミカル処理す
ることを特徴とする熱可塑性複合成形材料の製造方法。 - 【請求項4】 機械的粉砕により機械的エネルギーを印
加する請求項3記載の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1又は2に記載の熱可塑性複合成
形材料を、プレス成形、押出成形又は射出成形により加
熱成形することを特徴とする成形体の製造方法。 - 【請求項6】 成形体がシートである請求項5記載の成
形体の製造方法。 - 【請求項7】 成形体がびんである請求項5記載の成形
体の製造方法。
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