JP2010137464A - ポリアミド系積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】低湿度下でも高い帯電防止性を有し、しかも工業的に安価に製造することができるポリアミド系積層フィルムを提供する。
【解決手段】ポリアミドフィルム(A)、耐水性を有しかつ酸素透過係数が1000ml・μm/m・day・MPa以下である樹脂層(B)、および帯電防止層(C)をこの順に積層してなるポリアミド系積層フィルム。前記帯電防止層(C)の23℃×50%RHにおける表面固有抵抗値が、1010Ω/□以下であるポリアミド系積層フィルムであることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド系積層フィルムに関するものであり、詳しくは電子部材などの包装に用いられる帯電防止性能の改善されたポリアミド系積層フィルムに関するものである。
ポリアミドの二軸延伸フィルムは機械的特性、光学的特性、熱的特性、バリア性はもちろんの事、特に耐摩擦性、耐衝撃性及びたいピンホール性に優れることから工業分野においても特定の用途で用いられている。
しかしながら、ポリアミドフィルムはポリアミド樹脂自体が高度な電気絶縁性を有していることから極めて帯電しやすく、静電気の発生、蓄積により様々な問題を引き起こしている。加えて、半導体や電子・電気部材の製造工程においては水分による部材の変質が品質上の大きな問題となることから、雰囲気湿度は低い状態に保たれており、プラスチックフィルムはより帯電しやすくなる。
そのため、低湿度においても安定した帯電防止性能を達成するポリアミドフィルムが求められている。
現在、帯電防止性能を付与する方法として、帯電防止剤をフィルム用樹脂に練り込む方法(特許文献1)や、フィルム表面に帯電防止塗膜を形成する方法などが提案され、実用化されている。しかし、練り込み型の帯電防止剤の場合、一般的には界面活性剤を練り込むため多量の帯電防止剤を使用する必要があり経済的でなく、さらにフィルムの物性を損ねる可能性もあり改善の余地がある。
さらに、表面塗布によって塗膜を形成する場合には、低湿度で良好な帯電防止性能を与える素材として、ポリピロールやポリチオフェンなどを代表とする導電性高分子が知られている(特許文献2、3)。特許文献2、3ではポリエチレンテレフタレート樹脂支持体、もしくは親水性コロイド層の接着を改良するため下塗り層で下塗りした支持体などの記載がある。しかし、導電性高分子には帯電防止性能を向上させるためにドーパントとしてプロトン供与体が配合されていることから、同様の処理をポリアミドフィルムに適用した場合には、フィルムとの親和性が高いため、結果的に所望の帯電防止性能を得ることが困難であった。
特公平6−45706号公報 特許第3243316号公報 特許第3710832号公報
本発明は上記問題点に鑑みて、低湿度でも安定した帯電防止性能を有するポリアミド系積層フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意研究の結果、ポリアミドフィルムの上に特定の樹脂層を設けることにより、この樹脂層の上に帯電防止剤を含有する樹脂層を形成したとき、表面の帯電防止性能が格段に向上することを見出し、本発明に到達した。
本発明の要旨は次の通りである。
(1)ポリアミドフィルム(A)、耐水性を有しかつ酸素透過係数が1000ml・μm/m・day・MPa以下である樹脂層(B)、および帯電防止層(C)をこの順に積層してなるポリアミド系積層フィルム。
(2)帯電防止層(C)の23℃×50%RHにおける表面固有抵抗値が、1010Ω/□以下である(1)に記載のポリアミド系積層フィルム。
(3)(1)のポリアミド系積層フィルムにおける帯電防止層(C)の23℃×50%RHにおける表面固有抵抗値が、ポリアミドフィルム(A)上に直接帯電防止剤を含む帯電防止層(C)を形成した積層フィルムにおける帯電防止層(C)の同条件の表面固有抵抗値と比して、100分の1以下である(1)記載のポリアミド系積層フィルム。
(4)帯電防止層(C)に含まれる帯電防止剤が導電性高分子である(1)〜(3)いずれかに記載のポリアミド系積層フィルム。
(5)帯電防止層(C)が、水溶液又は水分散体を塗布することによって形成されたものである(1)〜(4)いずれかに記載のポリアミド系積層フィルム。
本発明によれば、相対湿度50%程度の低湿度においても優れた帯電防止性能を有するポリアミド系積層フィルムが提供される。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明においてポリアミドフィルム(A)を構成するポリアミドとは、その分子内にアミド結合−CONH−を有する線状高分子化合物であり、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリアミノウンデカン酸(ナイロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、メタキシレンジパンアミド(MXD6)及びそれらの共重合物などが含まれる。特に本発明に好適なポリアミドとしては、ナイロン6及びナイロン66を挙げることができる。
ポリアミドフィルムにはその目的、性能を損なわない範囲で酸化防止剤、ゲル化防止剤、ブロッキング防止剤などの添加剤を添加することができる。
ポリアミドフィルムは未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよく、その製法は限定されない。
ポリアミドフィルムの厚さは特に限定されるものではないが、通常5〜200μmのものが用いられる。
本発明において、樹脂層(B)は、耐水性を有しかつ酸素透過係数が1000ml・μm/m・day・MPa以下である必要がある。
本発明において、「耐水性を有する」とは、塗膜に対してJIS K5600−5−11に準ずる耐湿潤摩耗性試験を実施したとき、(実施後の塗膜の厚み)/(実施前の塗膜の厚み)×100(%)で表される耐湿潤摩耗度が60%以上であることを言う。樹脂層(B)に関して耐湿潤摩耗度が60%未満の場合には耐水性を有しているとは言えず、樹脂層(B)の上に帯電防止層(C)を形成しても、十分な帯電防止性が得られない。
樹脂層(B)は、ガスバリア性の指標となる酸素透過係数が1000ml・μm/m・day・MPa以下である必要がある。酸素透過係数が1000ml・μm/m・day・MPaを超えると、イオン伝導性の界面活性剤や導電性高分子のドーパントとして添加するプロトン、重合度の低い導電性高分子成分などが塗工の際の樹脂層の膨潤や乾燥の熱により拡散・浸透し、帯電防止層(C)における帯電防止性能を著しく阻害する。酸素透過係数の測定方法は後述する。
本発明において、前記した耐水性と酸素透過係数を満足し得る樹脂の例としては、ポリビニルアルコール(PVA)を適当な架橋剤を用いて架橋したものや、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)共重合体、アクリル酸系共重合体などが挙げられる。なお、未架橋のPVAは、単独で良好なガスバリア性を得る素材として知られているが、耐水性に劣るため、樹脂層(B)としては適さない。本発明の効果を損なわない限りにおいては、その他の樹脂を混合して用いてもよい。
PVAの架橋剤としては、エチレン−マレイン酸共重合体(EMA)、ポリアクリル酸(PAA)、多価カルボン酸化合物、多価金属錯体、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物などが例示できる。架橋剤の添加比率は特に限定されないが、樹脂100質量部中に対して0.1〜90質量部が耐水性とガスバリア性を両立する点で好ましく、より好ましくは1〜80質量部であり、特に好ましくは、30〜70質量部である。
ポリ塩化ビニリデン共重合体としては、塩化ビニリデンとそれと共重合可能な単量体との重合体が挙げられる。共重合可能な単量体としては、例えば、塩化ビニル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、2−エチルへキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジルなどのメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸;などが挙げられる。これらの単量体は、1種または2種以上を選択して用いることができる。
一般的にはポリ塩化ビニリデン系共重合体中の塩化ビニリデン比率が高いほど、耐水性とガスバリア性の点では有利であるが、あまり高すぎるとフィルム製造時の皮膜形成性に劣るため、塩化ビニリデン/他の単量体が50〜95質量%/50〜5質量%とすることが好ましい。共重合可能な他の単量体の割合が5質量%未満であると樹脂内部の可塑化が不十分となり皮膜の造膜性が低下し、また単量体の割合が50質量%を超えるとガスバリア性が低下する傾向がある。
ポリ塩化ビニリデン系共重合体としては、例えば旭化成ケミカルズ社製のサランラテクッスL529B、L536B、L551Aなどが市販されている。
ポリ塩化ビニリデン系共重合体は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
樹脂層(B)の形成は、例えば、この樹脂を含むコート液をポリアミドフィルム(A)に塗布し乾燥することで得られる。近年の環境負荷低減要求から、コート液の溶媒には、できるだけ有機溶剤を使用しないことが求められている。このため、コート液は、水溶液もしくは水分散液の形態が好ましい。PVAに架橋剤としてEMAやPAAを添加したもの、PVDC共重合体などは、水系のコート液とすることができるため、好ましい。
樹脂層(B)には、その目的、性能を損なわない範囲で酸化防止剤、ゲル化防止剤、ブロッキング防止剤などの添加剤を添加することができる。ただし、帯電防止層に使用する帯電防止剤にイオン伝導性の帯電防止剤や導電性高分子などを用いる場合、帯電防止層の目的、性能を損なわないよう、添加剤に含まれるイオン性物質やその添加量には特に注意が必要である。イオン性物質はできる限り添加しないことが好ましい。
樹脂層(B)の厚みは耐水性とガスバリア性を両立する範囲であれば特に限定されないが、0.01〜3μmの範囲が好ましい。また、ポリアミドフィルム(A)との厚み比率は、ポリアミドフィルム(A)/樹脂層(B)=100/0.05〜20の範囲が適当である。
樹脂層(B)をポリアミドフィルム(A)に塗布する方法は特に限定されないが、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、エアーナイフコーティング、ダイコーティング、カーテンダイコーティング等の通常の方法を用いることができる。
樹脂層(B)を塗布した後は、直ちに加熱処理を行って樹脂層(B)の乾燥皮膜の形成と加熱処理を同時に行ってもよいし、または塗布後ドライヤー等による熱風の吹き付けや赤外線照射等により水分等を蒸発させて乾燥皮膜を形成させた後に、加熱処理を行ってもよい。樹脂層(B)の状態やガスバリア性等の性能に特に障害が生じない限り、工程の短縮化等を考慮すると、塗布後直ちに加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理方法としては特に限定されず、オーブン等の乾燥雰囲気下で加熱処理を行うことが一般的に考えられるが、例えば熱ロールと接触させて加熱処理を行ってもよい。ポリアミドフィルム(A)が延伸フィルムである場合、延伸されたポリアミドフィルムに樹脂層(B)を塗工してもよいし、延伸前のポリアミドフィルムに樹脂層(B)を塗工した後、フィルムの延伸を行ってもよい。 樹脂層(B)をポリアミドフィルム(A)に塗布した後、100℃以上の加熱雰囲気中で0.1秒〜5分程度の範囲の熱処理を施すことによって、最終的に耐水性とガスバリア性を両立する樹脂層(B)が形成される。
熱処理工程にかける温度や時間などは、ポリアミドフィルム(A)や樹脂層(B)の厚み、樹脂層(B)組成、コート液とした際の溶媒組成比や比熱などによって影響されるため一概には言えないが、温度は100〜300℃、好ましくは100〜250℃が、時間は0.1〜300秒、好ましくは1〜240秒が、耐水性とガスバリア性を両立されるために適用される。
帯電防止層(C)は、帯電防止剤を含有する層である。用いることのできる帯電防止剤は特に限定はされず、界面活性剤、イオン伝導性の低分子型、高分子型帯電防止剤、酸化金属微粒子、導電性高分子などを例示することができる。低湿度環境での使用を考慮すると、イオン伝導型の帯電防止剤や、導電性高分子を用いることが望ましい。導電性高分子としては、具体的には、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリアニリンスルホン酸、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリピロール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリイソチアナフテン、およびこれらの変性物が挙げられる。
帯電防止層(C)の23℃×50%RHにおける表面固有抵抗値は1010Ω/□以下である必要がある。1010Ω/□を超えると実用的な帯電防止性能とは言えない。
帯電防止層(C)の形成は、帯電防止剤と必要に応じて後述のバインダーを含むコート液を塗布し、乾燥することにより行うことができる。樹脂層(B)と同様、コート液には、できるだけ有機溶剤を使用しないことが望ましく、水溶液もしくは水分散液の形態が好ましい。そのため、導電性高分子としては、水分散が可能であるポリエチレンジオキシチオフェンや水溶性のポリアニリンスルホン酸等がより好ましい。
本発明のポリアミド系積層フィルムは、樹脂層(B)がガスバリア性を有するため、帯電防止層(C)として、イオン伝導型帯電防止剤におけるイオン性物質や導電性高分子のドーパントを用いた場合でも、これらの物質の拡散を防ぐことができるため、少ない帯電防止剤使用量においても高い帯電防止性能を得ることができ、帯電防止の効率が高い。
本発明のポリアミド系積層フィルムにおける帯電防止性能の発現の程度は、ポリアミド系積層フィルムにおいて帯電防止層(C)の23℃×50%RHにおける表面固有抵抗値が、ポリアミドフィルム(A)上に直接帯電防止層(C)を形成した積層フィルムにおける帯電防止層(C)の同条件の表面固有抵抗値と比して、100分の1(10−2)以下となるような数値である。
帯電防止層(C)としての強度を確保するために、この層にバインダーを配合してもよい。バインダーとしてはポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリル、アクリル−スチレンなどが挙げられる。また、帯電防止層(C)には、架橋剤、酸化防止剤、ゲル化防止剤、ブロッキング防止剤などを配合してもよい。これらについては耐水ガスバリア層と同様、帯電防止剤の性質を著しく阻害するものを除き、所望の容量を添加することが可能である。
帯電防止層(C)の塗布量は帯電防止性能が得られる範囲であれば特に限定されないが、固形分換算で0.001〜1g/m、より好ましくは0.002〜0.3g/mの範囲が適当である。また、ポリアミドフィルム(A)との質量比率は、ポリアミドフィルム(A)/帯電防止層(C)=100/0.0004〜20の範囲が適当である。
帯電防止層(C)を樹脂層(B)上に塗布する方法は特に限定されないが、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、エアーナイフコーティング、ダイコーティング、カーテンダイコーティング等の通常の方法を用いることができる。
帯電防止層(C)を塗布した後は、直ちに加熱処理を行って帯電防止層(C)の乾燥皮膜の形成と加熱処理を同時に行ってもよいし、または塗布後ドライヤー等による熱風の吹き付けや赤外線照射等により水分等を蒸発させて乾燥皮膜を形成させた後に、加熱処理を行ってもよい。帯電防止層(C)の状態やガスバリア性等の性能に特に障害が生じない限り、工程の短縮化等を考慮すると、塗布後直ちに加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理方法としては特に限定されず、オーブン等の乾燥雰囲気下で加熱処理を行うことが一般的に考えられるが、例えば熱ロールと接触させて加熱処理を行ってもよい。樹脂層(B)が形成されたポリアミドフィルム(A)が延伸フィルムである場合、樹脂層(B)上に帯電防止層(C)を形成してもよいし、延伸前のポリアミドフィルムに樹脂層(B)を塗工し加熱処理したのち、樹脂層(B)上に帯電防止層(C)を形成してから、フィルムの延伸を行ってもよい。樹脂層(B)の耐水性とガスバリア性の点を考慮すると、前者の方法が好ましく用いられる。 樹脂層(C)を樹脂層(B)に塗布した後、100℃以上の加熱雰囲気中で0.1秒〜5分程度の範囲の熱処理を施すことによって、ポリアミド系積層フィルムが形成される。
熱処理工程にかける温度や時間などは、ポリアミドフィルム(A)や樹脂層(B)や帯電防止層(C)の厚み、帯電防止層(C)組成、コート液とした際の溶媒組成比や比熱などによって影響されるため一概には言えないが、温度は100〜300℃、好ましくは100〜250℃が、時間は0.1〜300秒、好ましくは1〜240秒が適用される。
本発明のポリアミド系積層フィルムは低湿度下での帯電防止性能に優れており、ICチップ、コンデンサー、半導体、基盤等のような電子部材の包装に特に好適である。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
<評価方法>
(1)耐水性
塗膜に関して、塗膜に対してJIS K5600−5−11に準ずる耐湿潤摩耗性試験を実施して、実施前後の塗膜厚みを測定した。ただし、当該JISで規定されている試験板であるPVCフィルムに代えて、各実施例に示されている基材(ナイロン6、PET)を用い、洗浄液として20℃のイオン交換水を用いていた。また、塗膜の形成には、フィルムアプリケーターの代わりに各実施例に示す方法で塗工を行った。
塗膜厚みの測定は、積層フィルムの断面の透過型電子顕微鏡写真撮影を行って、写真から見積もった。
そして、(実施後の塗膜の厚み)/(実施前の塗膜の厚み)×100(%)で表される耐湿潤摩耗度を算出した、この値が60%以上のものを「○」、60%未満のものを「×」とした。
(2)酸素透過係数
樹脂層(B)の酸素透過係数は、モコン社製酸素バリア測定器を用いて、23℃×85%RHの雰囲気で、ポリアミドフィルム(A)の酸素透過度と、ポリアミドフィルム(A)上に樹脂層(B)を設けた積層フィルム(AB)の酸素透過度を測定して、得られた測定値から、下記式に基づき算出される。
(数1)
1/Q=1/Q+L/P
ここで、
:積層フィルム(AB)の酸素透過度(ml/m・day・MPa)
:ポリアミドフィルム(A)の酸素透過度(ml/m・day・MPa)
:樹脂層(B)の酸素透過係数(ml・μm/m・day・MPa)
L:樹脂層(B)の厚み(μm)
基材として用いたナイロン6フィルムとPETフィルムについての酸素透過性は次の通りである。
(a)厚み12μmのPETフィルム:
・酸素透過度:900ml/m・day・MPa
・酸素透過係数:10800ml・μm/m・day・MPa
(b)厚み15μmのナイロン6フィルム:
酸素透過度:400ml/m・day・MPa、
酸素透過係数:6000ml・μm/m・day・MPa
(3)表面固有抵抗値
(株)ダイアインスツルメンツ製高抵抗計ハイレスタIP、MCP−HT260を用い、23℃×50%RHにてJIS K−6911に準じ測定、評価した。
(帯電防止塗剤の製造例1)
ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸0.175質量%水分散体(日本アグファ・ゲバルト社製、帯電防止コート剤S−1500)をイオン交換水にてS−1500/水=1/1(質量比)となるよう希釈し、マグネチックスターラーで5分間攪拌を行った。得られた塗剤は凝集や沈殿も無く、良好な状態であった。これを帯電防止塗剤1とする。
(帯電防止塗剤の製造例2)
N−アルキロイルアミドプロピル−N,N−ジメチル−N−エチルアンモニウムエチル硫酸塩30wt%水溶液(日本純薬製、SAT−6C)をイオン交換水にてSAT−6C/水=1/9となるよう希釈し、マグネチックスターラーで5分間攪拌を行った。得られた塗剤は凝集や沈殿も無く、良好な状態であった。これを帯電防止塗剤2とする。
実施例1
PVA(ユニチカケミカル社製UF040G、ケン化度99%、平均重合度400)を純水に溶解し、10重量%の水溶液を得た。エチレン−マレイン酸交互共重合体(ALDRICH社製、重量平均分子量100,000〜500,000)をマレイン酸のカルボキシル基に対して5モル%の水酸化ナトリウムを含む水に溶解し、10重量%の水溶液とした。PVAとEMAとの質量比が30/70となるように水溶液を混合し、攪拌してコート液を得た。このコート液を2軸延伸ナイロン6フィルム(ユニチカ社製エンブレムON15、厚み15μm、以下ナイロン6フィルムは同じものを用いた。)上に、乾燥後の塗膜厚みが0.2μmとなるようにメイヤーバーで塗布し、100℃で2分間乾燥した後、200℃で15秒間熱処理した。得られたコートフィルムのコート面上に、メイヤーバーを用いて帯電防止塗剤1を10g/m(wet)の塗布量でコートし、140℃で30秒間の乾燥および熱処理を行って帯電防止層を形成した。得られたコートフィルムの外観は顕著な着色もなく良好であった。
実施例2
実施例1と同様にして2軸延伸ナイロン6フィルム上にPVA/EMA=30/70(質量比)で厚み0.2μmの塗膜を設けた。得られたコートフィルムのコート面上に、メイヤーバーを用いて帯電防止塗剤2を6g/m(wet)の塗布量でコートし、140℃で30秒間の乾燥および熱処理を行った。得られた積層フィルムの外観は顕著な着色もなく良好であった。
実施例3
PVAとEMAとの質量比を50/50に変更した以外は、実施例2と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの外観は顕著な着色もなく良好であった。
実施例4
PVAとEMAとの質量比を70/30に変更した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの外観は顕著な着色もなく良好であった。
実施例5
帯電防止塗剤2を6g/m(wet)の塗布量でコートした以外は、実施例4と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの外観は顕著な着色もなく良好であった。
実施例6
PVA(ユニチカケミカル社製、UF040G、ケン化度99%、平均重合度400)を純水に溶解し、10重量%の水溶液を得た。PAA(和光純薬工業社製のポリアクリル酸25%溶液、数平均分子量150000)を用い、カルボキシル基に対し5モル%の水酸化ナトリウムを含む水に溶解し、10重量%の水溶液とした。PVAとPAAの重量比が30/70となるように、水溶液を混合し、攪拌してコート液を得た。このコート液を2軸延伸ナイロン6フィルム上に乾燥後の塗膜厚みが0.2μmになるようにメイヤーバーでコートし、100℃で2分間乾燥した後、200℃で2分間、熱処理した。得られたコートフィルムのコート面上に、メイヤーバーを用いて帯電防止塗剤1を10g/m(wet)の塗布量でコートし、140℃で30秒間の乾燥および熱処理を行った。得られた積層フィルムの外観は顕著な着色もなく良好であった。
実施例7
帯電防止塗剤2を6g/m(wet)の塗布量でコートした以外は、実施例6と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの外観は顕著な着色もなく良好であった。
実施例8
PVAとPAAとの質量比を50/50に変更した以外は、実施例6と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの外観は顕著な着色もなく良好であった。
実施例9
PVAとPAAとの質量比を70/30に変更した以外は、実施例6と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの外観は顕著な着色もなく良好であった。
実施例10
2軸延伸ナイロン6フィルム上にポリ塩化ビニリデン系共重合体ラテックス(旭化成ケミカルズ社製、サランラテックスL529B、固形分濃度49質量%)を乾燥後の塗膜厚みが1.2μmになるようにメイヤーバーでコートし、100℃で2分間乾燥した後、200℃で15秒間、熱処理した。得られたコートフィルムのコート面上に、メイヤーバーを用いて帯電防止塗剤1を10g/m(wet)の塗布量でコートし、140℃で30秒間の乾燥および熱処理を行った。得られた積層フィルムの外観は顕著な着色もなく良好であった。
実施例11
帯電防止塗剤2を6g/m(wet)の塗布量でコートした以外は、実施例10と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの外観は顕著な着色もなく良好であった。
比較例1
2軸延伸ナイロン6フィルム上にメイヤーバーを用いて帯電防止塗剤1を10g/m(wet)の塗布量でコートし、140℃で30秒間乾燥および熱処理を行って帯電防止層を形成した。得られた積層フィルムの外観は顕著な着色もなく良好であった。
比較例2
PVAを純水に溶解して10重量%の水溶液とした。このPVA水溶液を2軸延伸ナイロン6フィルム上に乾燥後の塗膜厚みが0.2μmになるようにメイヤーバーでコートし、120℃で2分間乾燥した。得られたフィルムのPVAコート面上に比較例1と同様の操作で帯電防止塗剤1をコートした。得られた積層フィルムの外観は顕著な着色もなく良好であった。
比較例3
水性ポリウレタン溶液(三井化学ポリウレタン社製 タケラックWS−5100 30質量%水溶液)を純水で希釈して5質量%の水溶液とした。この水性ポリウレタン溶液をナイロン6フィルム上に乾燥後の塗膜厚みが0.1μmになるようにメイヤーバーでコートし、100℃で2分間乾燥した後、200℃で15秒間熱処理した。得られたウレタンコート2軸延伸ナイロン6フィルムのウレタン面上に比較例1と同様の操作で帯電防止剤1をコートした。得られた積層フィルムの外観は顕著な着色もなく良好であった。
比較例4
帯電防止塗剤2を2軸延伸ナイロン6フィルム上にメイヤーバーを用いて塗布量が6g/m(wet)となるようにコートして、140℃で30秒間乾燥・熱処理を行って積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの外観は顕著な着色もなく良好であった。
比較例5
比較例2と同様の操作でPVAを積層したナイロン6フィルムを得て、そのPVA層上に比較例4と同様の操作で帯電防止塗剤2をコートした。得られた積層フィルムの外観は顕著な着色もなく良好であった。
参考例1
比較例1と同様の操作で帯電防止塗剤1を2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ユニチカ社製エンブレットPET12、厚み12μm)上にコートして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの外観は顕著な着色もなく良好であった。
参考例2
比較例5と同様の操作で、帯電防止塗剤2を2軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製エンブレットPET12,厚み12μm)上にコートして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの外観は顕著な着色もなく良好であった。
実施例1〜11、比較例1〜5、参考例1〜2の結果を表1と表2に示した。
表1に示すように、実施例1〜11はいずれも、1000ml・μm/m2・day・MPa以下の酸素透過係数を有しかつ耐水性を有する樹脂層(B)の上に帯電防止層の塗工を行ったので、少ない帯電防止剤使用量においても1010Ω/□以下の良好な帯電防止性能を得た。さらに、樹脂層(B)を設けずに同種の帯電防止層を設けた積層フィルムと比較して、表面固有抵抗値は100分の1以下に低下していた。
比較例1、4は、ナイロンフィルムに直接帯電防止層を設けた積層フィルムであるが、帯電防止剤を含む層を形成したにもかかわらず、帯電防止性能の発現が不十分であった。このことから、ナイロンフィルムにおいては、帯電防止層の形成においては、樹脂層(B)が必要であることがわかる。参考例1、2としてPETを基材として直接帯電防止層を設けた場合を挙げたが、ナイロンフィルムの場合のように樹脂層(B)を設けなくても、実施例レベルの帯電防止性能が発現している。このことから、基材としてナイロンフィルムを用いる場合には、樹脂層(B)の形成が重要であることがわかる。
比較例2、5では、用いた樹脂層がPVAであって、酸素透過係数が1000ml・μm/m・day・MPaを超えており、また、耐水性を有していなかったために、この樹脂層の上に帯電防止層を形成しても帯電防止性能が十分に発揮されなかった。比較例3で用いたウレタン樹脂層は、耐水性は有していたが、酸素透過係数が1000ml・μm/m・day・MPaを超えていたため、帯電防止層がその特性を十分に発揮していなかった。この結果から、帯電防止層の下に特定の酸素透過係数値と耐水性を有する樹脂層を必要とすることが明らかである。

Claims (5)

  1. ポリアミドフィルム(A)、耐水性を有しかつ酸素透過係数が1000ml・μm/m・day・MPa以下である樹脂層(B)、および帯電防止層(C)をこの順に積層してなるポリアミド系積層フィルム。
  2. 帯電防止層(C)の23℃×50%RHにおける表面固有抵抗値が、1010Ω/□以下である請求項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
  3. 請求項1記載のポリアミド系積層フィルムにおいて帯電防止層(C)の23℃×50%RHにおける表面固有抵抗値が、ポリアミドフィルム(A)上に直接帯電防止層(C)を形成した積層フィルムにおける帯電防止層(C)の同条件の表面固有抵抗値と比して、100分の1(10−2)以下であるポリアミド系積層フィルム。
  4. 帯電防止層に含まれる帯電防止剤が導電性高分子である請求項1〜3いずれかに記載のポリアミド系積層フィルム。
  5. 帯電防止層(C)が、水溶液又は水分散体を塗布することによって形成されたものである請求項1〜4いずれかに記載のポリアミド系積層フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016194687A (ja) * 2015-03-31 2016-11-17 株式会社巴川製紙所 異方性光学フィルムの製造方法

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