JP2010136186A - 平面アンテナ - Google Patents
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Abstract
【課題】 回路基板への表面実装が可能であり、インピーダンスの調整が容易で、放射特性、利得に優れ、かつ小型の平面アンテナを提供する。
【解決手段】 上下面と上下面間を繋ぐ側面を備えた矩形の基板と、基板の一方の上面に形成した矩形の放射電極と、基板の下面に形成した第1接地電極と、基板の側面に形成し下面側から上面側へ延びる帯状の給電電極と、給電電極と同じ側面に形成し、給電電極を挟んで対向し第1接地電極から延び、その端部と放射電極との間隔が等しい一対の第2接地電極を備え、放射電極は、その一辺から側面にまで延長する帯状の延長部を有し、その端部を給電電極の端部と対向させて容量結合により給電した。
【選択図】 図1
【解決手段】 上下面と上下面間を繋ぐ側面を備えた矩形の基板と、基板の一方の上面に形成した矩形の放射電極と、基板の下面に形成した第1接地電極と、基板の側面に形成し下面側から上面側へ延びる帯状の給電電極と、給電電極と同じ側面に形成し、給電電極を挟んで対向し第1接地電極から延び、その端部と放射電極との間隔が等しい一対の第2接地電極を備え、放射電極は、その一辺から側面にまで延長する帯状の延長部を有し、その端部を給電電極の端部と対向させて容量結合により給電した。
【選択図】 図1
Description
本発明はWLAN(Wireless Local Area Network)などの直線偏波の電波を利用した通信システムや、GPS(Global Positioning System)などの円偏波の電波を利用した通信システムに用いられる平面アンテナに関するものである。
電子機器の小型化、薄型化、軽量化などの動向を反映して平面アンテナに間する研究が盛んに行われている。平面アンテナの一種であるマイクロストリップアンテナ(MSA)は、帯域が狭く、指向性が大きいという特性を持つ。マイクロストリップパッチアンテナ、パッチアンテナとも呼ばれ、アンテナの放射電極は、絶縁物の基板上に貼り付けた金属にエッチングしたり、セラミック基板上にAgやCuなどの導体ペーストを印刷して焼き付けたりして形成される。平面アンテナの放射電極の形状は、矩形や円形など単純であって、共振周波数における波長によって大きさが決まるため、UHF帯以上の周波数で用いられることが多い。
図8に従来の平面アンテナの例を斜視図として示す。平面アンテナ10は平板状の基板70の一方主面に矩形の放射電極50を備え、他方の主面のほぼ全面に接地電極100が形成され、他方主面側から基板70を貫通して放射電極50と接続する給電線路60が形成されて構成されている。放射電極50の各辺は給電周波数における実効波長(基板を構成する材料による波長短縮効果を含む)のほぼ1/2になるように形成されている。給電線路60と放射電極50との接続点の位置によって電圧と電流とが異なる為、給電点Fを放射電極50の中心部からはずれた位置にとることで、入力インピーダンスを50Ωで整合を取ることが出来る。また図中、給電点Fの位置を放射電極50の対角線上としているが、例えば中心線上など他の位置に設けても良い。
放射電極50の各辺の長さを同じとした場合に、給電点Fの位置を放射電極50の対角線上として、二つの対角線と45度の角度をなす位置の給電点Fから給電すると直線偏波が励振される。放射電極50の各辺の長さを異ならせ、長辺を実効波長の1/2よりも少し長くし、短辺を短くすると、放射電極50に互いに90度の位相差を持ち、振幅が等しい二つの共振モードの電流(矢印)が発生して、円偏波の電磁波を励振することが出来る。
給電点Fの位置を放射電極50の中心線上とした場合、放射電極50の対角線の長さが同じであれば、直線偏波が励振される。対角線の一方の長さを他方の対角線の長さを異ならせると、放射電極50に互いに90度の位相差を持ち、振幅が等しい二つの共振モードの電流が発生して、円偏波の電磁波を励振することが出来る。放射電極50の対角線の長さを異ならせる方法としては、放射電極50の対向する2箇所の隅部にカットを設けたり、放射電極50を菱形としたり、放射電極50の内部に、長方形や楕円形、あるいは十字形状のスリットを設けるなどの縮退分離手段によって電流経路の長短を調整する。
このアンテナの利点は、さまざまな偏波に対応できる点であるものの、放射電極50への給電は、その面内に給電点Fを設ける構造のため、ピン給電方式としたり、あるいは放射電極50を支持する基板に貫通穴を形成し、そこに給電線路を設けたりする等の構造を取らざるを得ず、表面実装が困難であるとの問題がある。またインピーダンス調整のため、給電点の位置が制限される問題があった。
この様な問題に対して特許文献1には、表面実装性やインピーダンス整合と容易とする平面アンテナが開示されている。図9はその斜視図である。この平面アンテナ10は、誘電体よりなる平板状の基板70の上面に放射電極50が形成され、前記基板70の側面から上面にかけて、一端側が開放となるマイクロストリップ状の給電電極(給電線路)60を備え、底面に接地電極100が形成されており、給電電極の開放端と放射電極の縁端部である1つの辺とを、ギャップを介して近接して配置するものである。
この平面アンテナは基板の側面を利用して給電することが出来るため、貫通する給電線路や給電ピンを用いなくても良く、回路基板への表面実装が容易となる。また給電電極と放射電極とが容量結合する構成であるため、インピーダンスの調整が比較的容易となる利点もある。
この平面アンテナは基板の側面を利用して給電することが出来るため、貫通する給電線路や給電ピンを用いなくても良く、回路基板への表面実装が容易となる。また給電電極と放射電極とが容量結合する構成であるため、インピーダンスの調整が比較的容易となる利点もある。
また特許文献2には、底面側の接地電極100と連続し、側面に形成された給電電極60の両側に位置するように他の接地電極100a、100bを形成した平面アンテナが記載されている(図10)。接地電極100a、100bと放射電極50との間隔を異ならせることで、放射電極50の各辺の長さを同じとした場合でも共振電流のバランスを崩して縮退を分離して、円偏波のアンテナとすることが出来ると記載されている。
特開平11−074721号公報
特開2000−183637号公報
引用文献1や引用文献2のアンテナでは、放射電極50が形成された主面に給電電極60が形成されるため、その分、平面アンテナの上面面積を大きくせざるを得ない。その結果、アンテナの外形寸法が大きくなってしまう。また給電電極60が長く形成される為、給電電極60から実装される回路基板の接地電極へ向かう電界が大きくなり易く、アンテナ効率が低下するといった問題がある。
また特許文献2のアンテナでは、その基板の給電電極60を形成した一側面のほぼ全面に接地電極110a,110bが形成されている。このように放射電極50との間の容量を増やすことで、放射電極50を小型として平面アンテナを小型化することが可能となるが、これに伴って帯域幅が減少し利得も低下するため、その小型化には限界があった。
そこで本発明では、回路基板への表面実装が可能であり、インピーダンスの調整が容易で、放射特性、利得に優れ、かつ小型の平面アンテナを提供することを目的とする。
また特許文献2のアンテナでは、その基板の給電電極60を形成した一側面のほぼ全面に接地電極110a,110bが形成されている。このように放射電極50との間の容量を増やすことで、放射電極50を小型として平面アンテナを小型化することが可能となるが、これに伴って帯域幅が減少し利得も低下するため、その小型化には限界があった。
そこで本発明では、回路基板への表面実装が可能であり、インピーダンスの調整が容易で、放射特性、利得に優れ、かつ小型の平面アンテナを提供することを目的とする。
本発明は、上下面と前記上下面間を繋ぐ側面を備えた矩形の基板と、前記基板の一方の上面に形成された矩形の放射電極と、基板の下面に形成された第1接地電極と、基板の側面に形成され下面側から上面側へ延びる帯状の給電電極と、給電電極と同じ側面に形成され、前記給電電極を挟んで対向し前記第1接地電極から延び、その端部と前記放射電極との間隔が等しい一対の第2接地電極を備え、前記放射電極は、その一辺から前記側面にまで延長する帯状の延長部を有し、その端部を前記給電電極の端部と対向させて容量結合により給電することを特徴とする平面アンテナである。
更に本発明においては、放射電極の一辺から側面にまで延長する帯状の延長部を複数とし、延長部の一つの端部を給電電極の端部と対向させて容量結合により給電し、他の延長部の端部を第2接地電極と対向させてもよい。
更に本発明においては、放射電極の一辺から側面にまで延長する帯状の延長部を複数とし、延長部の一つの端部を給電電極の端部と対向させて容量結合により給電し、他の延長部の端部を第2接地電極と対向させてもよい。
前記延長部が形成される放射電極は、一辺の中点を含む部位から延長されるのが好ましい。ここで中点とは、一つの線分長Lを二等分する点に対して20%程度までのずれを許容し得るものである。平面アンテナが実際使用される場面では、その近傍に他の回路部品や筐体などの金属部品は配置されることがある。また、アンテナ実装位置も接地面を持つ基板中心部からずれて実装される事もある。このような場合に生じる電磁気的な影響を低減するように、延長部を中点よりもずらすこともある。
基板はプリント基板やセラミック基板が用いられ、基板を構成する誘電性材料は、絶縁体であり、電界強度や、基板内部を進行する電磁波の速度に効果的に影響を及ぼすことができる材料から選択される。
平面アンテナの性能は誘電性材料だけではなく基板のサイズおよび形状によっても左右される。良く知られているように、所定の共振周波数f(給電周波数)で動作するために必要な放射電極の一辺の長さLは、基板の誘電性材料εrの関数で次式にて表される。
平面アンテナの性能は誘電性材料だけではなく基板のサイズおよび形状によっても左右される。良く知られているように、所定の共振周波数f(給電周波数)で動作するために必要な放射電極の一辺の長さLは、基板の誘電性材料εrの関数で次式にて表される。
プリント基板としてはテフロン(登録商標)グラスファイバ基板(PTFE基板)やポリフェニレンエーテル基板(PPE基板)などが一般的に用いられる。これらの基板は低誘電率(εr=1.1〜5.0)であり、小型化には不向きであるものの、誘電体損失tanδが10−3〜10−4と小さく、利得に優れたアンテナとなる。
プリント基板の平面アンテナは、車載用途など比較的形状限定が少ない場合には好適であるが、携帯電話等の通信機器や小型のGPS端末などへの搭載は困難である場合がある。このような場合にはεrが200以下の高誘電率を有する誘電体セラミックスを用いたセラミック基板とするのが好ましい。比誘電率が高ければ、放射電極の一辺の長さLを短くなり、もって平面アンテナを小型化することが出来る。比誘電率の選択は平面アンテナが要求される外形寸法や特性によるが、εrが200を超える場合には、帯域幅の減少と利得の低下が大きくなる。
前記したように共振周波数は放射電極の一辺の長さで規定されるが、給電電極と対向する延長部が形成された側の辺の辺長bに対する、前記辺と直交する辺の辺長aの比(b/a)は、0.8〜1.0であるのが好ましい。放射電極は正方形(a=b)に形成するのがより好ましい。前記辺長aは数式1で得られた寸法Lに対して±10%程度で形成されるが、好ましくはL以上とする。
本発明においては、一対の第2接地電極を、給電電極に沿ってその先端部に至るまで等間隔に配置するのが好ましい。前記第2接地電極は基板底面から基板厚みの半分以上で放射電極からの延長部まで至らない長さで形成される。この様に給電電極をコプレーナ構造にて構成することで給電電極での損失が少なくなり、アンテナ特性が向上する。また放射電極に他の延長部を設けるなどして、第2接地電極との容量結合を強めることで放射電極への電力供給量を大きくすることが出来る。
本発明においては、給電電極の端部と放射電極の延長部とを対向させ、ギャップを持たせて容量結合により給電する。また容量結合部におけるギャップ長は第2接地電極と給電電極との間の幅よりも十分に狭く構成する。このような構成によればギャップ長の調整によって、容易にインピーダンスの調整が行え、かつ比帯域幅の減少を防ぐことが出来る。特に基板を構成する誘電体が高比誘電率である場合に、顕著に効果を発揮する。
本発明においては、給電電極の端部と放射電極の延長部とを対向させ、ギャップを持たせて容量結合により給電する。また容量結合部におけるギャップ長は第2接地電極と給電電極との間の幅よりも十分に狭く構成する。このような構成によればギャップ長の調整によって、容易にインピーダンスの調整が行え、かつ比帯域幅の減少を防ぐことが出来る。特に基板を構成する誘電体が高比誘電率である場合に、顕著に効果を発揮する。
放射電極の給電電極と対向する辺と直交する辺にスリットを設けても良い。本願発明の平面アンテナでは、給電点を放射電極の中心線上においている。このような構成の場合には、電流はその中心線と平行な放射電極のエッジに強く流れる。スリットによって電流経路が長くなり共振周波数が低下するため、平面アンテナを小型化することが出来る。スリットは一辺に複数設けて櫛歯状としても良いし、対向する2辺にそれぞれ設けても良い。
本発明によれば、回路基板への表面実装が可能であり、インピーダンスの調整が容易で、放射特性、利得に優れ、かつ小型の平面アンテナを提供することが出来る。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する平面アンテナにおいて用いた材料や作製法は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができる。
図1は本願発明の一実施例に係る平面アンテナの斜視図であって、図1(a)は放射電極が形成された上面側から見た斜視図であり、同(b)は接地電極が形成され実装面となる下面側から見た斜視図である。
図1は本願発明の一実施例に係る平面アンテナの斜視図であって、図1(a)は放射電極が形成された上面側から見た斜視図であり、同(b)は接地電極が形成され実装面となる下面側から見た斜視図である。
平面アンテナ10は、直方体状の誘電体からなる基板70と、基板70の下面に形成された第1接地電極100と、上面に形成された一辺の長さがλ/2近似の放射電極50と、側面に形成された給電電極60で構成されている。このうち第1接地電極は基板70の側面にまで延長に形成されて、給電電極60を挟んで対抗する第2接地電極110a、110bを構成している。また、放射電極50の一部が帯状となり、側面に回り込んで開放端を形成する延長部55となる。給電電極60は、一端が基板70の側面上に形成された放射電極50の延長部55の開放端に近接して、ギャップ120を介して形成され、他端は基板70の下面に回り込んで、第1接地電極とギャップを介して形成されている。給電電極60と第1接地電極100、第2接地電極110a、110bとのギャップは、給電電極60と給電電極50との間のギャップ120に比べて大きく設定されている。
基板を構成する誘電体材料は、目的とする周波数に応じて適宜選択され得るものであるが、小型でありながら、アンテナ特性として十分な利得が得られるようにするには、比誘電率εrが5〜200程度の誘電体材料を用いる。セラミックス材料としてεrが10程度であればアルミナ系セラミックス、40以下であればチタン酸カルシウム系セラミックス、チタン酸マグネシウム系セラミックが、200以下であればチタン酸バリウム系セラミックスが挙げられる。他に温度特性や損失を考慮しながら選択される。
放射電極50及びその延長部55、第1、第2接地電極100、110a、110b、給電電極60は銀ペーストなどの良伝導体を基板に印刷して焼き付けることで、厚みが数μm〜20μmの導体膜として形成される。伝導体としては銀のほかに、金、銅、パラジウム、白金や銀パラジウム合金、銀白金合金を含むペーストが用いられる。その形成はスクリーン印刷法など公知の製造方法を採用でき、他の方法としてはメッキやエッチングが挙げられる。
図1においては、放射電極50や第1接地電極100を、基板の側面から内側に間隔を持って形成している。これは外力による電極の剥離を防ぐなどの目的によるものだが、それぞれ基板と同じ大きさに形成しても良く、その場合には更に平面アンテナを小型に出来る。
図1においては、放射電極50や第1接地電極100を、基板の側面から内側に間隔を持って形成している。これは外力による電極の剥離を防ぐなどの目的によるものだが、それぞれ基板と同じ大きさに形成しても良く、その場合には更に平面アンテナを小型に出来る。
基板70の側面に形成された第2接地電極110a、110bによって、放射電極50と接地電極との間に形成される容量が増加し共振周波数が低下するため、平面アンテナを小型化することが出来る。一方で放射電極50と第2接地電極110a、110bとを近接させ過ぎると、放射電極50からの帰還電流が第2接地電極110a、110bに集中するため、他のアンテナ特性に影響を及ぼす。基板70を構成する誘電体の比誘電率を考慮しながら長さを設定するが、給電電極の開放端を越えて長く形成することは無い。図1において第2接地電極110a、110bの形状をI字状としているが、T字やL字の帯状電極など、他の形状としてもかまわない。ただし放射電極50との間で形成される容量が大きくなりすぎないように、第2接地電極110a、110bの幅を対向する放射電極50の一辺の長さに対して1/4以下とするのが好ましい。
また、基板70の側面(第2接地電極110a、110bが形成された側面を含む)において、回路基板への実装性や固着強度を向上するように、第1接地電極100と連続する端子電極を形成しても良い。この場合の端子電極はアンテナ特性に影響を与えない程度の大きさ、位置にて形成される。
また、基板70の側面(第2接地電極110a、110bが形成された側面を含む)において、回路基板への実装性や固着強度を向上するように、第1接地電極100と連続する端子電極を形成しても良い。この場合の端子電極はアンテナ特性に影響を与えない程度の大きさ、位置にて形成される。
本実施形態による平面アンテナ10は、基板70の上面には放射電極50のみが形成される構成である。従って、給電電極を上面にまで形成する従来の平面アンテナに比べて基板70を小さくすることができるため、平面アンテナ10そのものも小型化することが出来る。
本実施例の平面アンテナの基本構造は図1と同一なのでその説明を省略する。この平面アンテナは周波数帯域が1575.42±1.023MHzのGPS用アンテナである。本実施例では基板の誘電体材料としてTi−Ba−Sm系セラミックス材料を用いた。このセラミックス材料の比誘電率εrは79であり、tanδ(at 4.8GHz)が4×10−4である。
所定の組成で原料となるTiO2,BaCO3,Sm2O3などの酸化物を秤量して、ボールミルで湿式にて均一となるように混合する。その後、仮焼、粉砕を経て得られた造粒粉を加圧成形にて板状に形成し、1350℃で焼成し、得られた板状体をダイサー(切断機)によって所定の形状(12.0mm×12.0mm×3.0mm)に切り出して平面アンテナに用いる基板70を作製した。
所定の組成で原料となるTiO2,BaCO3,Sm2O3などの酸化物を秤量して、ボールミルで湿式にて均一となるように混合する。その後、仮焼、粉砕を経て得られた造粒粉を加圧成形にて板状に形成し、1350℃で焼成し、得られた板状体をダイサー(切断機)によって所定の形状(12.0mm×12.0mm×3.0mm)に切り出して平面アンテナに用いる基板70を作製した。
得られた基板70に、銀ペーストを用いて放射電極50、第1接地電極100、第2接地電極110a、110b、給電電極60をスクリーン印刷にて印刷形成して焼き付けて平面アンテナを作製した。
放射電極50は正方形(延長部除く)に形成され、一辺の長さを11mmとしている。この長さは、給電周波数1575.42MHzにおける実効波長の略1/2の寸法としている。延長部の幅は0.65mm、上面から端部までの長さを0.5mmとしている。給電電極60は幅を前記延長部と同じとし、対向する幅を0.65mm、底面からの長さを2.0mmとし、ギャップGを0.5mmとしている。給電電極60の両側には1.525mmの間隔Wをもって第2接地電極110a、110bを形成した。第2接地電極110a、110bの底面からの長さHは共に2.0mmである。第1接地電極100も正方形に形成され、一辺の長さを11mmとしている。
放射電極50は正方形(延長部除く)に形成され、一辺の長さを11mmとしている。この長さは、給電周波数1575.42MHzにおける実効波長の略1/2の寸法としている。延長部の幅は0.65mm、上面から端部までの長さを0.5mmとしている。給電電極60は幅を前記延長部と同じとし、対向する幅を0.65mm、底面からの長さを2.0mmとし、ギャップGを0.5mmとしている。給電電極60の両側には1.525mmの間隔Wをもって第2接地電極110a、110bを形成した。第2接地電極110a、110bの底面からの長さHは共に2.0mmである。第1接地電極100も正方形に形成され、一辺の長さを11mmとしている。
得られた平面アンテナ10を試料とし、縦横それぞれ35mmで厚みが0.6mmのプリント基板200に半田付けして実装し、電波暗室(電波無響室)内にてアンテナ特性を評価した。図3に平面アンテナを実装した評価ボードの斜視図を示す。基板70の給電電極60と接続される線路パターン以外の領域は、全て接地導体パターンGNDが形成されている。前記線路パターンには整合回路を構成するリアクタンス素子(チップ部品)250が実装され、その端部は同軸線路300が接続されるように、同軸コネクタ(図示せず)が形成されている。
図4はアンテナ特性の評価方法を説明する為の図である。内壁に電波吸収体が隙間なく敷設された暗室500に、測定用アンテナ(右旋回円偏波型ログ・スパイラル・アンテナ)300を配置し、3m離れて配置されたターンテーブル上で回転するアンテナ試料200へ電波を送信し、平面アンテナ10で受信する構成であり、得られた受信電力をもとに利得および放射指向性、VSWRを求めた。測定用アンテナ300とアンテナ試料200は、それぞれ室外に配置されたネットワークアナライザのポートに同軸ケーブルで接続されている。測定用アンテナ300への給電はネットワークアナライザにて行った。
図5に平面アンテナのVSWR特性を示す。1574.40〜1576.44MHzの周波数帯域において、1.57以下のVSWRを得た。図6は利得及び指向特性図である。この指向特性図はY−Z面、即ち評価ボードの接地導体パターンGNDに垂直な面内における利得を示す。1575.42MHzにおけるY−Z面における平均利得は−3.34dBicであり、X−Y面、Z−X面を含めた全平均利得は−5.40dBicであった。
次に給電電極60と第2接地電極110a、110bとの間隔Wを0.5mm〜2.675mmとして変更し、他の寸法形状は前記平面アンテナと同じとした試料を同様の手順で作製し、測定評価した。間隔Wが1.525mmを超えると、VSWRと特性に顕著な差は見られないが、利得が緩やかに低下した。また間隔Wが狭まると利得が著しく低下し、Wが0.5mmであると実用に供し得ない程度に利得が低下した。
次に給電電極60と放射電極50の延長部55とのギャップGを0.1〜0.5mmとして変更し、他の寸法形状は前記平面アンテナと同じとした試料を同様の手順で作製し、測定評価した。ギャップGを狭めていくと、VSWRと特性に顕著な差は見られないが、利得が緩やかに向上した。
次に第2放射電極100a、110bの長さHを0.5〜2.5mmとして変更し、他の寸法形状は前記平面アンテナと同じとした試料を同様の手順で作製し、測定評価した。長さHが短いほどVSWRは広帯域化するものの利得が低下し、長さHが1.5mm未満では実用に供し得ない程度に利得が低下した。長さHが2.5mmの場合には、近接した2周波数での共振が生じた。これに伴いVSWRは長さHが2.0mmの場合と比較し、僅かに帯域が広がったが、利得は減少した。
次に放射電極に3つの延長部55、56a、56bを形成し、内2つの延長部56a、56bを0.5mmのギャップを介して第2接地電極110a、110bと対向させ、他の寸法形状は前記平面アンテナと同じとした試料を同様の手順で作製し、測定評価した。その結果利得が向上した。
本発明によれば、回路基板への表面実装が可能であり、インピーダンスの調整が容易で、放射特性、利得に優れ、かつ小型の平面アンテナを提供することが出来る。
10 平面アンテナ
50 放射電極
55、56a、56b 放射電極の延長部
60 給電電極
70 基板
100 第1接地電極
110a、110b 第2接地電極
200 プリント基板(評価ボード)
50 放射電極
55、56a、56b 放射電極の延長部
60 給電電極
70 基板
100 第1接地電極
110a、110b 第2接地電極
200 プリント基板(評価ボード)
Claims (5)
- 上下面と前記上下面間を繋ぐ側面を備えた矩形の基板と、前記基板の一方の上面に形成された矩形の放射電極と、基板の下面に形成された第1接地電極と、基板の側面に形成され下面側から上面側へ延びる帯状の給電電極と、給電電極と同じ側面に形成され、前記給電電極を挟んで対向し前記第1接地電極から延び、その端部と前記放射電極との間隔が等しい一対の第2接地電極を備え、
前記放射電極は、その一辺から前記側面にまで延長する帯状の延長部を有し、その端部を前記給電電極の端部と対向させて容量結合により給電することを特徴とする平面アンテナ。 - 前記放射電極は、その一辺から前記側面にまで延長する帯状の延長部を複数有し、延長部の一つの端部を前記給電電極の端部と対向させ、他の延長部の端部を前記第2接地電極と対向させたことを特徴とする請求項1に記載の平面アンテナ。
- 一対の第2接地電極は給電電極に沿って先端部に至るまで等間隔に配置されたことを特徴とする請求項1又2に記載の平面アンテナ。
- 前記第2接地電極は基板厚みの半分以上の長さで形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の平面アンテナ。
- 前記放射電極の給電電極と対向する辺と直交する辺にスリットを設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の平面アンテナ。
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