JP2006217650A - アンテナ素子及びこれを用いた無線通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】Q値が低くて周波数帯域幅及び放射利得が大きく、共振周波数やVSWRのばらつきが小さく、給電系とインピーダンス整合が容易であるとともに製造工数が少ないアンテナ素子を提供する。
【解決手段】(a) 絶縁基板1と、(b) 絶縁基板1の外表面を覆う第一導体層2と、(c) 第一導体層2の上面に形成された帯状のスロット部3と、(d) スロット部3のほぼ中央部から絶縁基板1の側面に直角に延びる帯状の絶縁延長部31と、(e) 絶縁延長部31内に設けられて第一導体層2と電気的に絶縁された帯状の第二導体層4とを有し、第二導体層4は給電系と電気的に接続することを特徴とするアンテナ素子。
【選択図】 図1

Description

本発明はマイクロ波、準マイクロ波あるいはミリ波を用いる携帯無線通信等の無線システムに適するアンテナ素子に関し、特に各種の携帯電話、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)、道路交通情報通信システム(VICS=Vehicle Information &Communications System)やノンストップ自動料金収受システム(ETC=Electronic Toll Collection system)等の道路・交通・車両インテリジェント化システム(ITS=Intelligent Transport system)等のマイクロ波無線通信機に内蔵するタイプのアンテナ素子に関し、さらにそれに用いる無線通信装置に関する。
近年マイクロ波無線通信機に対する小型化及び低価格化の要求にともない、マイクロ波無線通信機に搭載されるアンテナも小型化の要請が強い。例えば携帯電話端末機で使用するアンテナとして、一般に電話機筐体に収容され引き出し可能なモノポールアンテナ等が使用されているが、携帯性を向上させる観点からアンテナの更なる小形軽量化とともに電話機筐体への内蔵化が望まれている。
従来内蔵アンテナとして、モノポールアンテナを地板と平行に折り曲げて小型・薄肉化を図った逆Fアンテナやマイクロストリップアンテナが広く用いられている。しかしながら、この種のアンテナは電話機筐体を地板として利用しているため、電話機筐体の寸法がアンテナの放射指向性に影響を与えたり、アンテナからの電磁波の放射にともない電話機筐体に誘起される電流が一部手等に流れ込む等の問題がある。また十分な帯域及び利得が得られないため、モノポールアンテナ程度に帯域及び利得を確保するためには外形寸法を大きくすることが必要であり、最近の携帯電話のような小型の端末機に内蔵させるのが困難である。
このようにポールアンテナは不便であるのみならず、デザインの自由度が制限されるという問題がある。そのため帯状導体層を扁平箱状導体と絶縁して導体箱内の内部空間に配置した構造を有し、TEM(Transverse Electromagnetic)姿態で動作する同軸共振型スロットアンテナが提案された(米国特許5,914,693号)。このスロットアンテナの構造を図50(a) 及び(b) に示す。このスロットアンテナは、導体膜502をエッチングによりパターン加工してスロット503を形成した絶縁基板501aと、導体膜をエッチングして帯状導体層504を形成した絶縁基板501bとを接着して形成している。
この同軸共振型スロットアンテナにより送信する場合、給電部から供給される高周波信号は帯状導体層504に沿って進行してスロット503の下部まで導かれ、スロット503の共振現象により空中に電波として放射される。また受信の場合、スロット503より導体箱内に入射した電磁波(受信信号)は帯状導体層504に沿って上記と逆方向に進行し、給電部により高周波信号としてピックアップされる。
しかしながら、この同軸共振型スロットアンテナは、スロット503を形成した絶縁基板501aと帯状導体層504を形成した絶縁基板501bを貼り合わせた構造であるので、貼り合わせの際に生じるスロット503と帯状導体層504との相対的な位置ずれにより、電磁気的な結合度が変化し易く、共振周波数やインピーダンス整合状態を表すVSWR(電圧定在波比)が大きくばらつくという問題がある。VSWRのばらつきを低減するためには、絶縁基板501a、501bやスロット部503、帯状導体層504を精度よく形成するとともに、絶縁基板501a、501bの貼り合わせを高精度に行わなければならず、製造工程が複雑化するという問題がある。
またスロットアンテナを実装する場合には、スロットアンテナに接する地板パターンとマイクロ波無線通信機の筐体との間に生じる浮遊容量により、アンテナの見掛けのインピーダンスが変化するため、スロットアンテナと給電系とをインピーダンス整合させる必要があるが、上記同軸共振型スロットアンテナでは帯状導体層を導体箱内に配置する構造であるため、インピーダンス調整が困難である。その上、同軸共振型スロットアンテナはマイクロ波無線通信機の基板や筐体の形状に合わせて設計する必要があるので、頻繁に仕様変更される携帯電話等では著しく製造コストが増大するという問題もある。
上記のような同軸共振型スロットアンテナの他に、図51に示す形状の方形空洞型のスロットアンテナもある(「アンテナ工学ハンドブック」,89頁参照)。この方形空洞型のスロットアンテナは、扁平状の第一導体層2の上面にスロット部3を有し、スロット部3の両端に高周波電力端子OSCが設けられ、そこから給電を行い、電波を放射するものである。
以上のような内蔵アンテナに要求されるスペックは、それを用いるシステムに依存する。例えば1.9 GHz帯の携帯電話方式(なお世界標準のCDMA方式では2GHz帯)であるUS-PCS(米国)又はKPCS(韓国)においては、下記表1のような周波数の帯域幅が必要である。
表1
周波数仕様 US-PCS(帯域幅) K-PCS(帯域幅)
送信周波数 1850〜1910 MHz(60 MHz) 1750〜1780 MHz(30 MHz)
受信周波数 1939〜1990 MHz(60 MHz) 1840〜1870 MHz(30 MHz)
ところが図51に示すような方形空洞型スロットアンテナは上記アンテナ仕様を満たせない。また携帯電話に内蔵される小型アンテナにおいては、帯域幅が広いほど使用環境の変更による性能劣化を防止する効果があるため、広帯域化が重要である。帯域幅を大きくとるための原理は以下の通りである。帯域幅をBwとすると、
Bw∝1/Q ・・・(1)
が成り立ち、Q値が小さい程、帯域幅Bwが大きくなる。
また放射効率をηとすると、
η=1/(1+Qr/Qi) ・・・(2)
(ただし、Qi=Qc+Qdであり、Qc及びQdはそれぞれ導体損及び誘電体損によるQ値であり、Qrは放射によるQ値である。)。従って、Qrが小さい場合、放射効率ηは大きい。
以上のように、帯域幅を大きくするためには素子のQ値を小さくする必要があり、また放射効率を大きくするためにはQrを小さくする必要がある。一例として、携帯電話用アンテナの場合、最低20 MHzの帯域幅が必要である。
Q∝ωC ・・・(3)
C=a・εr ・・・(4)
(ただし、ωは角振動数であり、Cは容量であり、aはアンテナ形状による定数であり、εrは比誘電率である。)
式(3) 及び(4) から下記関係が成り立つ。
Q∝ω・a・εr ・・・(5)
式(5) より、Q値を低くするには誘電率の小さな材料を用いる必要があることが分かる。
またQrとアンテナの厚さ(高さ)との間には、
Qr∝1/t ・・・(6)
(ただし、tはアンテナの厚さ(高さ)である。)の関係が成り立つので、Qrを小さくするためアンテナを厚くすることが必要である。
また図51に示す形状のスロットアンテナでは、アンテナから放射される電波の電力(以下「放射利得」という)が小さいという問題もある。そこで従来のスロットアンテナでは、Q値を下げるためにガラス充填エポキシ樹脂やテフロン(登録商標)等の比誘電率の小さな材料を使用し、帯域幅を大きくしていた。ここで、図51に示すスロット長をLとすると、下記の関係が成り立つ。
L=λ/2 ・・・(7)
λ=λ0/√ε ・・・(8)
ε=(1+εr)/2 ・・・(9)
(ただし、λ0は真空中の波長であり、λは誘電体により圧縮された波長であり、εは実効誘電率であり、εrは比誘電率である。)
すなわち、比誘電率が小さな材料では波長圧縮率が小さいため、アンテナ内で共振する信号の波長が短く、アンテナのスロット長Lを小さくできない。また比誘電率が大きな材料を使用するときは、アンテナを厚くすることによりQ値を下げて、帯域幅を大きくしなければならなかった。しかし背高のスロットアンテナを内蔵すると、携帯電話全体が大型化したり設計の自由度が小さくなる。また放射利得が小さいと電波が遠くまで届かないため、通信エラーが増加するという問題が生じる。このため放射利得の大きなアンテナも必要である。
電子情報通信学会編「アンテナ工学ハンドブック」、オーム社、89頁
従って、本発明の目的は、Q値が低くて周波数帯域幅及び放射利得が大きな小型・薄肉のアンテナ素子を提供することであり、特に共振周波数やVSWRのばらつきが小さく、給電系とインピーダンス整合が容易であるとともに製造工数が少ないアンテナ素子を提供することである。
以上に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、絶縁基板の外表面に放射導体層を形成するとともに絶縁基板の上面にスロット部を設け、ほぼ中央部から絶縁基板の側面に直角に延びる帯状の絶縁延長部内に放射導体層と電気的に絶縁された帯状の導体層を形成することにより得られるスロットアンテナ型のアンテナ素子は、共振周波数やVSWRのばらつきが小さく、小型・薄肉であるとともにQ値が低くて周波数帯域幅及び放射利得が大きいことを発見し、本発明に想到した。
すなわち、本発明のアンテナ素子は、(a) 絶縁基板と、(b) 前記絶縁基板の外表面を覆う第一導体層と、(c) 前記第一導体層の上面に形成された帯状のスロット部と、(d) 前記スロット部のほぼ中央部から絶縁基板の側面に直角に延びる帯状の絶縁延長部と、(e) 前記絶縁延長部内に設けられて前記第一導体層と電気的に絶縁された帯状の第二導体層とを有し、前記第二導体層は給電系と電気的に接続することを特徴とする。
絶縁基板の側面に非導体層部が設けられているのが好ましい。また非導体層部により、第一導体層のうち絶縁基板の側面に設けられている連結導体層が複数の導体層に分割されているのが好ましい。
第二導体層は先端に長さを調節するためのトリミング用延出部を有するのが好ましい。複数のスリット状空隙部を設けることにより、第一導体層に前記スロット部と不連続な方形状又は文字状の開口部が設けられているのが好ましい。
本発明のアンテナ素子は、絶縁基板の外表面に放射導体層を形成するとともに絶縁基板の上面にスロット部を設け、ほぼ中央部から絶縁基板の側面に直角に延びる帯状の絶縁延長部内に放射導体層と電気的に絶縁された帯状の導体層を設けているので、共振周波数やVSWRのばらつきが小さく、帯域幅が広く、放射利得が大きく、またスロットアンテナの設計自由度が高く、給電系とインピーダンス整合が容易である。
その上、誘電率の高い絶縁基板の外表面に第一導体層及び第二導体層をスクリーン印刷等の方法により形成することができるので、スロットアンテナの製造コストを著しく低減することができる。以上の構造を有する本発明のスロットアンテナは、小型・薄肉化が容易であるという利点も有する。
本発明のアンテナ素子の構成要素は、絶縁基板と、第一導体層と、第二導体層であるが、以下の実施例においてこれらの構成要素の材質は共通で良い。各構成要素の材質は以下の通りである。
スロットアンテナの特性の観点から、絶縁基板はチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミナ等の誘電体セラミックスや低損失のガラス充填エポキシ樹脂やテフロン(登録商標)等の誘電体材料が好ましい。アンテナ素子を使用する周波数が1GHzまでの周波数帯であれば、絶縁基板を比透磁率が10未満のNi-Cu-Znフェライト等の軟磁性材料で形成してもよい。
第一導体層及び第二導体層はいずれも、例えばAu,Pt,Ag,Cu,又はこれらの合金等の電気抵抗の小さな金属材料により形成するのが好ましい。こられの導体層は、絶縁基板に前記金属材料を主成分とするペーストをスクリーン印刷したり、前記金属材料を蒸着又はメッキすることにより形成することができる。
図1(a) は本発明の一実施例によるアンテナ素子であるスロットアンテナを示す斜視図であり、図1(b) は図1(a) のスロットアンテナを裏面から見た斜視図であり、図1(c) は図1(a) のA−A断面図である。このスロットアンテナは、絶縁基板1の外表面を覆う第一導体層2と、第一導体層2に形成されたスロット部3と、スロット部3のほぼ中央部から絶縁基板1の辺の方向に直角に延びる帯状の絶縁延長部31と、絶縁延長部31内に設けられて第一導体層2と電気的に絶縁された帯状の第二導体層4とを有する。
第一導体層2は、絶縁基板1の上面にある放射導体層21と、絶縁基板1の底面にある接地導体層部22と、絶縁基板1の側面にあって放射導体層21と接地導体層部22とを接続する連結導体層23とからなる。図1(b) に示す例では、絶縁延長部31は絶縁基板1の底部ではほぼ半円形であり、その中心に位置する第二導体層4が周囲の第一導体層2及び回路基板の地板と接触するのを防止している。
図2は本発明の別の実施例によるスロットアンテナを示す。このスロットアンテナは、絶縁基板1の側面にスロット部3に連続する絶縁延長部31と、複数の導体層5とを有する。なおこのスロットアンテナは、絶縁基板1の側面に設けた複数の導体層5以外、図1のスロットアンテナと実質的に同じである。
図3はスロットアンテナを複数個取りできるようにした一体的集合体30を示す斜視図である。一体的集合体30を分割することにより図2のスロットアンテナを作製することができる。一体的集合体30は、大型の絶縁基板301と、その上面に形成された導体膜32とからなり、導体膜32にはスロット部3及び絶縁延長部31に対応したパターンに空所が設けられている。また絶縁基板301には、導体層5に対応する位置に複数のスルーホール55が形成されており、その中に導体が充填されている。そのため図3に示す一体的集合体30を分割すると、切断面に複数の導体層5が現れる。
図4は本発明のさらに別の実施例によるスロットアンテナを示す斜視図である。このスロットアンテナにおいては、帯状の第二導体層4のスロット部3側の端部にトリミングすべき延出部4aが設けられている。延出部4aは第二導体層4と一体的であり、スロット部3内に突出している。延出部4aを例えばYAGレーザ、エキシマレーザ、炭酸ガスレーザ等のレーザ光あるいは機械的手段を用いて、所定量だけトリミングする。延出部4aのトリミング量は例えばレーザ光の絞り込みを適宜調節して行うことができる。また帯状の第二導体層4の材質によってレーザ光の吸収率が異なるので、レーザ光の種類は第二導体層4の材質によって適宜選択するのが好ましい。なおこのスロットアンテナは、第二導体層4の延出部4a以外図1のスロットアンテナと実質的に同じである。
図5は本発明のさらに別の実施例によるスロットアンテナを示す斜視図である。このスロットアンテナはスロット部3と不連続な方形状の開口部11を有する。図6は開口部11の形状を文字とした態様のスロットアンテナを示す斜視図である。図6に示すように、スロット部3と不連続の開口部11をスロットアンテナが特定できるような識別マークとすれば、製造工程における取り違え等の問題を解消することができる。
開口部11が矩形状の場合、その幅はスロット部3の全長の1/4以下であるのが好ましく、また開口部11の一辺の長さは電磁波の波長の1/100以下であるのが好ましい。このように構成することにより、開口部11からの電磁波の滲出を抑制することができる。なおこれらのスロットアンテナは、開口部11以外図1のスロットアンテナと実質的に同じである。
図7は参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。このスロットアンテナは、絶縁基板1の上面に放射導体層21、底面に接地導体層及び側面に連結導体層23が連続して形成された第一導体層2と、連結導体層23が形成された側面と対向する側面に形成された帯状の第二導体層4とを有する。連結導体層23が形成された側面を導体層側面と呼び、それ以外の側面部分をスロット部3と呼ぶことにする。絶縁基板1の上面の第二導体層4側の縁部には第二導体層4に対して直交する方向に帯状に延在した非導体層部1aが設けられており、放射導体層21は非導体層部1aを除き絶縁基板1の上面全体に形成されている。
導体層側面に対向する側面10a及びそれに隣接する側面には導体層が形成されておらず、スロット部3として作用する。また帯状の第二導体層4は側面10aのほぼ中央において絶縁基板1の厚さ方向に延びている。
図8は図7のスロットアンテナの等価回路を示す。放射導体層21によるアンテナ共振器は放射損失及び共振器の等価回路で表され、この等価回路は抵抗R1、容量C1及びコイルL1からなる。また第二導体層4の等価回路は、容量C2及びコイルL2からなる整合回路である。
Q値はQ∝ωR1により表されるので、R1を小さくすることにより、Qを小さくできる。図7のスロットアンテナでは側面にスロット部3を大きくとるので、図51に示す従来のスロットアンテナと比較して抵抗R1が小さくなり、アンテナの周波数帯域幅及び放射利得が大きくなる。この等価回路による周波数帯域幅の測定結果の例を図11に実線で示す。
次に図9に示すように、アンテナ共振器と整合回路の間に容量C3を直列に接続する。この等価回路を使用した周波数帯域幅の測定結果の例を図11に点線で示す。図11の実線の曲線と点線の曲線を比較すると、点線の曲線の方が周波数帯域幅が広いことが分かる。
さらに図10に示すように、容量C3にR2を並列に接続する。この等価回路を使用した周波数帯域幅の測定結果を図11に一点鎖線で示す。図11の一点鎖線の曲線が示すように、図10の等価回路とすることにより、周波数帯域幅は著しく広がる。また放射損失R2による電波の放射があるため、放射利得も増加する。
以上の結果から、第二導体層4と放射導体層21との間に容量C3や放射損失R2を直列に挿入すれば、スロットアンテナの周波数帯域幅が大きくなることが分かる。図12(a) は、かかる観点から構成された別の参考例によるスロットアンテナを示す斜視図であり、図12(b) は図12(a) のスロットアンテナの平面図であり、図12(c) は図12(b) のB−B断面図である。
この参考例によるスロットアンテナにおいては、絶縁基板1の上面の放射導体層21は、第二導体層4に対して直交する方向に延在するスリット状空隙部15により、第一放射導体層21a及び第二放射導体層21bの二つに分割されている。なおこのスロットアンテナは、絶縁基板1の上面に設けたスリット状空隙部15以外、図7のスロットアンテナと実質的に同じである。
スリット状空隙部15は、電流の流れ方向(矢印Xにより示す)に対して直交する方向に延在しており、分割された放射導体層21a及び21bの間に直列の容量が生じるとともに、そこから電波が放射されるために放射損失が生じので、スロットアンテナの放射損失を制御できる。なお図12(c) 中の矢印は電気力線を示す。以上の原理により、スロットアンテナのQ値を低下させるとともに、周波数帯域幅及び放射利得の両方を大きくできる。
図12(b) において、放射導体層21の縦方向(電流の流れ方向と平行)の長さaに対するスリット状空隙部15の幅(電流の流れ方向と平行)bの比b/aは、0.05以上であるのが好ましい。この範囲の比b/aにおいて、帯域幅が広くて放射効率が大きい小型で薄肉のアンテナ素子が得られる。より好ましい比b/aは0.1 〜0.4 である。
本参考例では、第二導体層4からスリット状空隙部15までの距離cと、第二導体層4から連結導体層23が設けられた側面までの距離aとの比c/aを0.1以上とすると、帯域幅が広く、放射効率が大きな小型で薄肉のスロットアンテナが得られる。より好ましい比c/aは0.4〜0.6である。
本参考例ではまた、帯域幅及び放射効率の観点から、スリット状空隙部15の面積Sbと、放射導体層21の面積Saとの比率Sb/Saは0.05以上であるのが好ましい。Sb/Saのより好ましい範囲は0.2〜0.6である。
スリット状空隙部15の数は1つに限定されず、図13に示すように複数のスリット状空隙部15を設けることにより、さらにQ値を下げて、周波数帯域幅及び放射利得の大きなスロットアンテナを得ることができる。
上記原理に基づきスリット状空隙部15を設けたスロットアンテナの構成例を図14〜図42に示す。
図14に示すスロットアンテナでは、放射導体層21がスリット状空隙部15により分割されて第一放射導体層21aと第二放射導体層21bとなり、導体層側面側を除いて両放射導体層21a,21bの縁部が絶縁基板1の側縁から僅かに後退している。それ以外は図12に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図15に示すスロットアンテナは、第一放射導体層21aの縁部が絶縁基板1の側縁から僅かに後退している以外、図12に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図16に示すスロットアンテナは、第二放射導体層21bの縁部が導体層側面側を除いて絶縁基板1の側縁から僅かに後退している以外、図12に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図17に示すスロットアンテナは、(1) 第一放射導体層21aのスロット部3側の縁部の後退が大きく、(2) その縁部中央に突出部25が設けられており、その突出部25と第二導体層4との間隔が狭くかつ調整可能である以外、図12に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図18に示すスロットアンテナは、(1) 第一放射導体層21aのスロット部3側の縁部が第二導体層4を有する側面10aの側縁に達しており、(2) 第一放射導体層21aのスロット部3側の縁部の中央に長方形又は半円形の切欠き部26が設けられており、その切欠き部26と第二導体層4との間にギャップがある以外、図12に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図19に示すスロットアンテナは、(1) 第一放射導体層21aのスロット部3側の縁部の後退が大きく、(2) 第二導体層4が第一放射導体層21aの方向に突出した延出部4aを有しており、第二導体層4の延出部4aと第一放射導体層21aとの間隔が狭くかつ調整可能である以外、図12に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図20に示すスロットアンテナは、第一放射導体層21a及び第二放射導体層21bの縁部が導体層側面側を除いて後退している以外、図19に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図21に示すスロットアンテナは、第一放射導体層21aの縁部が後退している以外、図19に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図22に示すスロットアンテナは、第二放射導体層21bの縁部が導体層側面側を除いて後退している以外、図19に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図23に示すスロットアンテナは、第二導体層4が第一放射導体層21aの方向に突出しており、第二導体層4の延出部4aと第一放射導体層21aの突出部25との間隔が狭くかつ調整可能である以外、図17に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図24に示すスロットアンテナは、(1) 第一放射導体層21aのスロット部3側の縁部に長方形又は半円形の切欠き部26が設けられており、(2) 第二導体層4の延出部4aが第一放射導体層21aの切欠き部26の方向に突出しており、第二導体層4の延出部4aと第一放射導体層21aの切欠き部26との間隔が狭くかつ調整可能である以外、図12に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図25に示すスロットアンテナは、第二導体層4の先端に長方形又は半円形状に拡径した延出部4aが設けられている以外、図19に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図26に示すスロットアンテナは、第二導体層4の先端に長方形又は半円形状に拡径した延出部4aが設けられている以外、図14に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図27に示すスロットアンテナは、第二導体層4の先端に長方形又は半円形状に拡径した延出部4aが設けられている以外、図15に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図28に示すスロットアンテナは、第二導体層4の先端に長方形又は半円形状に拡径した延出部4aが設けられている以外、図16に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図29に示すスロットアンテナは、(1) 第二導体層4の先端に長方形又は半円形状に拡径した延出部4aが設けられており、(2) 第一放射導体層21aの切欠き部26内に第二導体層4の延出部4aがギャップをもって進入している以外、図18に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図30に示すスロットアンテナは、(1) 第一放射導体層21aのスロット部3側縁部の中央に長方形又は半円形の切欠き部26が設けられており、(2) 第二導体層4の先端に長方形又は半円形状に拡径した延出部4aが設けられており、(3) 第一放射導体層21aの切欠き部26内に第二導体層4の延出部4aがギャップをもって進入している以外、図12に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図31に示すスロットアンテナは、(1) 第一放射導体層21aのスロット部3側の縁部が側面10aの側縁部に達しており、(2) 第二導体層4が絶縁基板1の厚さより短くなっていて、(3) 第一放射導体層21aの縁部と第二導体層4との間にギャップがある以外、図12に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図32に示すスロットアンテナは、第一放射導体層21aの縁部がスロット部3側を除いて後退している以外、図31に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図33に示すスロットアンテナは、第二導体層4が絶縁基板1の厚さより短い以外、図12に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図34に示すスロットアンテナは、第一放射導体層21aの縁部が後退している以外、図31に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図35に示すスロットアンテナは、導体層側面側を除いて第一放射導体層21a及び第二放射導体層21bの縁部が後退している以外、図31に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図36に示すスロットアンテナは、導体層側面側を除いて第一放射導体層21a及び第二放射導体層21bの縁部が後退している以外、図33に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図37に示すスロットアンテナは、導体層側面側を除いて第二放射導体層21bの縁部が後退している以外、図31に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図38に示すスロットアンテナは、導体層側面側を除いて第二放射導体層21bの縁部が後退している以外、図33に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図39に示すスロットアンテナは、第二導体層4が絶縁基板1の側面の幅より短い以外、図18に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図40に示すスロットアンテナは、第一放射導体層21aのスロット部3側の縁部の中央に長方形又は半円形の切欠き部26が設けられている以外、図33に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図41に示すスロットアンテナは、第一放射導体層21aの縁部が後退している以外、図39に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
図42に示すスロットアンテナは、第一放射導体層21aの縁部が後退している以外、図40に示すスロットアンテナと実質的に同じである。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1、比較例1
Al2O3,SiO2,PbO,CaO,Na2O及びK2Oをアルミナ系セラミックスの組成となるように秤量し、湿式ボールミルで混合した後、乾燥・解砕し、仮焼した。得られた仮焼粉にバインダーとしてポリビニルアルコール(PVA)を添加した後、圧縮成形し、次いで焼結した。得られた焼結体をダイシングマシンで切断して、長さ15 mm、幅7.5 mm、高さ3mmの誘電体基板(比誘電率εr=8,5.8 GHzにおける誘電損失tanδ=0.0006)を得た。
得られた各誘電体基板1の外表面にスクリーン印刷法によりAgを主体とする導電ペーストを塗布し、図1に示すように誘電体基板1全体を覆う第一導体層2、スロット部3及び帯状の第二導体層4を形成し、850℃で焼き付けてETC用のスロットアンテナを作製した。ここで帯状導体層4は特性インピーダンスが50Ωで整合するように形成し、帯状導体層4の端部とスロット部3(幅1mm)とのギャップを0.5 mmとした。また比較例として、図50に示す従来のスロットアンテナも同数作製した。
得られた各試料を測定評価用基板にはんだ付けして、ネットワークアナライザを用いて給電部41からの入力VSWRを評価した。図43(a) は実施例1のスロットアンテナのスミスチャートであり、図43(b) は同スロットアンテナの入力リターンロスの周波数特性である。図43から明らかなように、実施例1のスロットアンテナは、ETC車載仕様(受信周波数=5.795〜5.805 GHz、送信周波数=5.835〜5.845 GHz、リターンロス10 dBで規定される帯域幅=5.775〜5.850 GHz)を充分満たすことが分かった。また実施例1の共振周波数は5.812〜5.815 GHzで、ばらつきの幅は約3MHzと極めて小さいが、比較例1の共振周波数は5.811〜5.827 GHzで、ばらつきの幅は約16 MHzと大きく、所望の帯域幅を得られない試料もあった。またVSWRも大きくばらついた。
実施例2
Al2O3,SiO2,ZrO2,Bi2O3,HfO及びCaOをジルコン酸カルシウム系セラミックスの組成となるように秤量し、湿式ボールミルで混合した後、乾燥・解砕し、仮焼した。得られた仮焼粉にバインダーとしてPVAを添加し、圧縮成形した後、焼結した。得られた焼結体をダイシングマシンで切断して、長さ5 mm、幅7.5 mm、高さ3mmの誘電体基板(比誘電率εr=30、2.5 GHzにおける誘電損失tanδ=0.0002)を得た。
各誘電体基板1の外表面にスクリーン印刷法によりAgを主体とする導電ペーストを塗布して、図1に示すように誘電体基板1全体を覆う第一導体層2、スロット部3(幅1mm)及び帯状導体層4を形成し、導電ペーストを850℃で焼き付けてVICS用のスロットアンテナを作製した。なお帯状導体層4は特性インピーダンスが50Ωで整合するように形成し、帯状導体層4の端部とスロット部3とのギャップを0.5 mmとした。
得られた各試料を測定評価用基板にはんだ付けして、ネットワークアナライザを用いて給電部からの入力VSWRのばらつきを評価した。図44(a) は実施例2によるスロットアンテナのスミスチャートを示し、図44(b) は同スロットアンテナの入力リターンロスの周波数特性を示す。実施例2のスロットアンテナは、VICS仕様(受信周波数=2.499 GHz±1MHz、リターンロス10 dBで規定される帯域幅=2.494〜2.503 GHz)を充分満たすことが分かった。
実施例3
実施例1と同じ組成となるように原料成分を秤量し、湿式ボールミルで混合した後、乾燥・解砕し、仮焼した。得られた仮焼粉にバインダーとしてポリビニルブチラール(PVB)を、可塑剤としてブチルフタリルグリコール酸ブチル(BPBG)を添加し、エチルアルコールを溶媒として、ボールミルにより混練した。混練後脱泡と粘度調整を行い、ドクターブレード法によりグリーンシートを作製した。
グリーンシートを所定の形状に切断した後、直径が約0.5 mmと約0.8 mmの打ち抜きピンを有する金型内に配置して打ち抜き、複数のスルーホール55を形成した。図45は複数のスルーホール55を形成したグリーンシート301を示す。グリーンシート301にAgペーストをスクリーン印刷するとともに、スルーホール55内にAgペーストを吸引により充填した。Agペーストが乾燥した後、Ag導体膜が形成された複数枚のグリーンシート301を積層し、圧着した。
このようにして得られた積層体にAgペーストを印刷し、その上面に放射導体層21、スロット部3及び帯状導体層4を形成し、底面に接地導体層23を形成した。得られた一体的集合体30を所定形状に切断し、各個片をアルミナからなる焼成治具に配列し、大気中600℃で脱脂後、900℃で焼成して、図2に示す形状の5mm×7.5 mm×3mmのETC用スロットアンテナを作製した。このスロットアンテナは側面にスロット部3(幅1mm)と不連続の非導体層部12を有し、その一辺は2.7 mmであった。得られた試料について実施例1と同様の手段で給電部からの入力VSWRを評価したところ、実施例1とほぼ同等の特性が得られた。
実施例4
実施例3と同様の手順で作製した一体的集合体30の絶縁基板の外周にあたる位置にスナップライン38を形成した後、大気中600℃で脱脂し、900℃で焼成し、スナップライン38を利用して個片に分割し、15 mm×7.5 mm×3mmの側面に非導体層部12を有するETC用スロットアンテナを作製した。得られた試料について、実施例1と同じ方法で給電部からの入力VSWRを評価したところ、実施例1とほぼ同等の特性を有することが分かった。
実施例5
実施例1と同様にして、絶縁基板1上に第一導体層2、帯状導体層4、スロット部3(幅1mm)、及びスロット部3と不連続でETCのアルファベット文字(一辺3mm)からなる開口部11を有するパターンに導体膜をスクリーン法により形成し、さらに850℃で焼き付けて、図6に示す形状のETC用スロットアンテナを作製した。このスロットアンテナに対して実施例1と同様の方法で入力VSWRを評価したところ、実施例1と同等の特性を有することが分かった。
参考例1
ジルコン酸カルシウムの原料成分を配合し、湿式ボールミルにより混合した後、乾燥・解砕し、仮焼した。得られた仮焼粉にバインダーとしてPVAを添加した後、圧縮成形した。得られた成形体を焼結した後、焼結体をダイシングマシンにより切断し、ジルコン酸カルシウム系誘電体セラミックからなる絶縁基板1とした。絶縁基板1の比誘電率は30であった。
この絶縁基板1の外表面にスクリーン印刷によりAgを主体とする導電ペーストを印刷し、850℃で焼き付けて、図7に示す形状の10 mm×15 mm×4mmのスロットアンテナを作製した。帯状導体層4の幅は1mmであり、非導体層部1aの幅は0.5 mmであった。得られたスロットアンテナの周波数帯域幅を測定したところ8MHzであり、従来のスロットアンテナの6.6 MHzの帯域幅より広いことが確認できた。
参考例2
参考例1と同様にして、ジルコン酸カルシウム系誘電体セラミックからなる縦10 mm×横15 mm×高さ4mmの絶縁基板に導体層を形成し、図12(a) 〜(c) に示す形状及び下記寸法のスロットアンテナを作製した。
a=10 mm、
b=2.5 mm、
c=5mm、
d=15 mm、及び
帯状導体層4の幅=1mm。
参考例1及び参考例2のスロットアンテナのVSWR(電圧定在波比)を測定した。結果を図46に示す。図46のグラフ中、縦軸はVSWRを表し、横軸は周波数を表す。また実線は参考例1を表し、点線は参考例2を表す。図46においてVSWRが2以下である周波数範囲を帯域幅とする。参考例1のスロットアンテナの帯域幅8MHzであるのに対し、参考例2のスロットアンテナの帯域幅は12 MHzと広かった。
また参考例1及び参考例2のスロットアンテナの放射利得を測定した。結果を図47に示す。図47のグラフにおいて縦軸は放射利得を示し、横軸は放射利得を測定する角度を示す。また実線は参考例1を表し、点線は参考例2を表す。参考例1のスロットアンテナの放射利得は0.8 [dBi]であるのに対し、参考例2のスロットアンテナの放射利得は2[dBi]と高かった。
以上の実験結果から、第一導体層に電流の流れ方向に直交するスリット状空隙部を設けることにより、周波数帯域幅及び放射利得のいずれも向上することが確認できた。
参考例3
図12に示すスロットアンテナにおいて、c=a/2、及び0.1≦b/a≦0.4として、帯域幅及び放射効率を測定した。b/a=0.1の場合は比帯域が0.57%であるのに対し、b/a≧0.15とすると0.63%以上に向上し、放射効率も0.8 dB以上に向上した。またb/a>0.35において、1.9 GHzで20 MHzの帯域幅を確保するのに必要な比帯域は1%以上であった。従って、好ましいb/aの範囲は0.1〜0.4である。
参考例4
図12に示すスロットアンテナにおいて、b/a=0.25、及び0.2≦c/a≦0.8とした。c/a=0.2の場合は比帯域が0.36%であるのに対し、c/a>0.4とすると0.55%以上に向上し、放射効率も1.5 dB以上に向上した。またc/a>0.6になると比帯域及び放射効率の両方とも飽和した。
参考例5
参考例1と同じ導体、誘電体セラミック材料及び印刷方法を用いて、図13に示すように電流の流れ方向と直交する2本又は3本の平行なスリット状空隙部15を有するスロットアンテナを作製した。本参考例のスロットアンテナは縦10 mm×横15 mm×高さ4mmの大きさであり、各スリット状空隙部15は全長15 mm×幅0.5 mmであり、また帯状導体層4の幅は1mmであった。
本参考例のスロットアンテナのVSWR(電圧定在波比)及び放射利得を測定した。図48はVSWRから求まる帯域幅を示し、図49は放射利得とそれを測定する角度との関係を示す。各図において、実線はスリット状空隙部15が2本の場合を示し、点線はスリット状空隙部15が3本の場合を示す。スリット状空隙部15が2本の時は帯域幅が16 MHzで、放射利得が2.8 [dBi]であった。またスリット状空隙部が3本の時は帯域幅が22 MHzで、放射利得が3.1 [dBi]と向上した。これから、スリット状空隙部15の数が多いほどアンテナの性能が向上することが分かった。
本発明の一実施例によるスロットアンテナを示し、(a) は上方から見た斜視図であり、(b) は底面側から見た斜視図であり、(c) は図1(a) のA−A断面図である。 発明の別の実施例によるスロットアンテナを示す斜視図である。 図2のスロットアンテナを複数同時に作製するための一体的集合体を示す斜視図である。 本発明のさらに別の実施例によるスロットアンテナを示す斜視図である。 本発明のさらに別の実施例によるスロットアンテナを示す斜視図である。 本発明のさらに別の実施例によるスロットアンテナを示す斜視図である。 参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 図7に示すスロットアンテナの等価回路を示す図である。 帯域幅が広がるように容量を加えたスロットアンテナの等価回路を示す図である。 帯域幅及び放射効率が大きくなるように容量及び抵抗を加えたスロットアンテナの等価回路を示す図である。 図8〜10に示す等価回路における帯域幅の測定結果を示すグラフである。 別の参考例のスロットアンテナを示し、(a) は上方から見た斜視図であり、(b) は平面図であり、(c) は図12(b) のB−B断面図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 別の参考例のスロットアンテナを示す斜視図である。 実施例1のスロットアンテナの特性の測定結果を示すグラフであり、(a) はスミスチャートであり、(b) は入力リターンロスと周波数との関係を示す。 実施例2のスロットアンテナの特性の測定結果を示すグラフであり、(a) はスミスチャートであり、(b) は入力リターンロスと周波数との関係を示す。 実施例3において作製した一体的集合体用グリーンシートを示す斜視図である。 参考例1及び参考例2のスロットアンテナにおいてVSWRと周波数との関係を示すグラフであり、実線は参考例1を表し、点線は参考例2を表す。 参考例1及び参考例2のスロットアンテナにおいて放射利得とそれを測定する角度との関係を示すグラフであり、実線は参考例1を表し、点線は参考例2を表す。 参考例5のスロットアンテナにおいてVSWRと周波数との関係を示すグラフであり、実線はスリット状空隙部が2本の場合を示し、点線はスリット状空隙部が3本の場合を示す。 参考例5のスロットアンテナにおいて放射利得とそれを測定する角度との関係を示すグラフであり、実線はスリット状空隙部が2本の場合を示し、点線はスリット状空隙部が3本の場合を示す。 従来のスロットアンテナの一例を示し、(a) は斜視図であり、(b) は図50(a) のC−C断面図である。 従来のスロットアンテナの別の例を示す斜視図である。
符号の説明
1:絶縁基板
1a:絶縁基板の上面における第二導体層側の非導体層部
2:第一導体層
21:放射導体層
21a :第一放射導体層
21b :第二放射導体層
22:接地導体層
23:連結導体層
3:スロット部
31:絶縁延長部
4:第二導体層(帯状導体層)
4a:第二導体層の延出部
5:絶縁基板の側面に形成された導体層
55:スルーホール
11:開口部
11a :開口部
15:スリット状空隙部
25:第一放射導体層の突出部
26:第一放射導体層の切欠き部

Claims (6)

  1. (a) 絶縁基板と、(b) 前記絶縁基板の外表面を覆う第一導体層と、(c) 前記第一導体層の上面に形成された帯状のスロット部と、(d) 前記スロット部のほぼ中央部から絶縁基板の側面に直角に延びる帯状の絶縁延長部と、(e) 前記絶縁延長部内に設けられて前記第一導体層と電気的に絶縁された帯状の第二導体層とを有し、前記第二導体層は給電系と電気的に接続することを特徴とするアンテナ素子。
  2. 請求項1に記載のアンテナ素子において、前記絶縁基板の側面に非導体層部が設けられていることを特徴とするアンテナ素子。
  3. 請求項2に記載のアンテナ素子において、前記第一導体層のうち前記絶縁基板の側面に設けられている連結導体層が、前記非導体層部により複数の導体層に分割されていることを特徴とするアンテナ素子。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のアンテナ素子において、前記第二導体層は先端に長さを調節するためのトリミング用延出部を有することを特徴とするアンテナ素子。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のアンテナ素子において、前記第一導体層に前記スロット部と不連続な方形状又は文字状の開口部が設けられていることを特徴とするアンテナ素子。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のアンテナ素子を具備することを特徴とする無線通信装置。
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