JP3838973B2 - 積層誘電体アンテナ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば携帯電話や無線LAN等の無線通信機器、その他の各種通信機器等において使用される積層誘電体アンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば携帯電話や無線LAN等の無線通信機器、その他の各種通信機器等において使用される従来の積層誘電体アンテナとしてパッチアンテナが知られている(例えば、非特許文献1、非特許文献2を参照)。その一例で小型化を目的とするものを、図5に斜視図で示す。図5において、111は誘電体層、121は誘電体層111の上面に配された放射導体、131は誘電体層111の下面に配された接地導体、132は誘電体層111の側面に接地導体131と接続されて配された垂直導体である。
【0003】
この従来の積層誘電体アンテナでは、放射導体121の外周部に垂直導体132が近接されて配され、放射導体121の端と垂直導体132との間にコンデンサが構成されることになり、放射導体121に加えてコンデンサの容量がアンテナの共振に寄与するため、垂直導体132がない場合よりも共振周波数が低くなる。したがって、同じ周波数においては垂直導体132がない場合よりも長さの短い放射導体121でアンテナを共振させることができ、アンテナを小型化することができる。
【0004】
また、別の例として円偏波の励振を目的とするものを図6に上面図で示す。図6において、121は誘電体層(図示せず)の上面に配された正方形状の放射導体、122は放射導体121の両端に接続されて配された縮退分離素子である。
【0005】
この従来の積層誘電体アンテナでは、放射導体121の両端に配された縮退分離素子122によって電界の縮退が解け、円偏波を励振することができる。また、縮退分離素子122の幅Wを調整することで2周波の共振特性あるいは広帯域な周波数特性を得ることができる。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−111329号公報
【非特許文献1】
藤本京平、他著、「図解移動体通信用アンテナシステム」、総合電子出版社、1996年発行、p.122〜127
【非特許文献2】
羽石操、他著、「小型・平面アンテナ」、電子情報通信学会、1996年発行、p.142〜164
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の積層誘電体アンテナで小型化を目的とするものにおいては、構成されるコンデンサの容量が、図5に示す放射導体121の端と垂直導体132との間隔Dによって支配されるため、より小型化の効果を得るにはその容量を増すために間隔Dを小さくするしか方法がなく、製造上は放射導体121と垂直導体132との短絡を回避するために、必要な間隔Dよりも大きな間隔を取らなければならない場合があるので、十分な小型化の効果を得ることができないという問題点があった。
【0008】
また、このような従来の積層誘電体アンテナで円偏波の励振を目的とするものにおいては、円偏波を励振させるために放射導体121の両端に縮退分離素子122を配するため、縮退分離素子122に要する面積を必要とするのでアンテナの面積が広くなるという問題点があった。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、小型の積層誘電体アンテナを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層誘電体アンテナは、第1の誘電体層と、この第1の誘電体層の上に積層された第2の誘電体層と、この第2の誘電体層の上面に配された正方形状または円形状の放射導体と、第1の誘電体層の下面に配された接地導体と、第1および第2の誘電体層の間に放射導体の外周と対向するように配された水平導体と、この水平導体と接地導体とを接続する垂直導体と、放射導体に接続された給電導体とを具備することを特徴とするものである。
【0011】
本発明の積層誘電体アンテナによれば、放射導体の外周と対向するように配された水平導体との間でコンデンサが構成されることになり、このコンデンサの容量がアンテナの共振周波数に寄与して、水平導体および垂直導体がない場合よりもアンテナの共振周波数が低くなる。したがって、従来のアンテナのように放射導体の大きさを大きくして共振周波数を下げなくてもよいのでアンテナを小型化することができる。
【0012】
また、本発明の積層誘電体アンテナによれば、放射導体の外周と対抗するように配された水平導体との間に構成されるコンデンサの容量が水平導体の面積に比例するため、より小型化の効果を得るためにその容量を増すには水平導体の面積を大きくすればよく、水平導体の面積を大きくすることによりさらに小型化することができる。
【0014】
本発明の積層誘電体アンテナによれば、放射導体が正方形状あるいは円形状であるときには、放射導体の中心から放射導体の外周の水平導体を配した方向に生じる電界モードの共振周波数が、それに直交する方向に生じる電界モードの共振周波数よりも低くなるので、円偏波励振の給電法の1点給電方式に対応した構造となり、このとき放射導体の外周と対向するように配された水平導体が縮退分離素子として働いて、この縮退分離素子によって電界の縮退が解け、円偏波を励振させることができる。また、水平導体の幅を調整することで2周波の共振特性あるいは広帯域な周波数特性を得ることができる。
【0015】
また、本発明の積層誘電体アンテナによれば、円偏波を励振させるための縮退分離素子としての水平導体を放射導体とは異なる面に配するため、縮退分離素子が必要とする面積分だけ放射導体の面積を広げなくてよいので小型の円偏波アンテナとすることができ、また2周波の共振あるいは広帯域な周波数特性を有するアンテナを構成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の積層誘電体アンテナを図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1は本発明の積層誘電体アンテナの実施の形態の一例を示す斜視図である。図1において11は第1の誘電体層、12は第1の誘電体層11の上に積層された第2の誘電体層、21は第2の誘電体層12の上面に配された放射導体、31は第1の誘電体層11の下面に配された接地導体、32は第1および第2の誘電体層11・12の間に放射導体21の外周と対向するように配された水平導体、33は水平導体32と接地導体31とを接続する垂直導体である。また、給電導体(図示せず)は接地導体31に設けた開口部(図示せず)から第1および第2の誘電体層11・12を貫通して放射導体21に接続した構造となる。
【0018】
図1のように構成された本発明の積層誘電体アンテナによれば、放射導体21のX方向(図1では紙面の左右方向)の両端の外周部分と水平導体32とが対向するように配されてコンデンサが構成されることになり、このコンデンサの容量が放射導体21の外周部と接地導体31との間に構成されるコンデンサに加わってアンテナの共振に寄与するため、水平導体32および垂直導体33がない場合よりも共振周波数が低くなる。したがって、同じ周波数においては水平導体32および垂直導体33がない場合よりも放射導体21の長さLの短い放射導体21でアンテナを共振させることができ、従来のアンテナのように放射導体21の大きさを大きくしてアンテナの共振周波数を下げなくてもよいのでアンテナを小型化することができる。
【0019】
また、図1のように構成された本発明の積層誘電体アンテナによれば、放射導体21の外周と対抗するように配された水平導体32との間に構成されるコンデンサの容量が水平導体32の面積に比例するため、より小型化の効果を得るためにその容量を増すには、例えば水平導体32の幅Wを長くして、水平導体32の面積を大きくすればよく、面積を大きくすることによりさらに小型化することができる。放射導体21と接地導体31あるいは水平導体32間に生じる電界は放射導体21の外周部が強く、外周部に水平導体32を配した方がより小さい面積で小型化の効果を得ることができる。また、水平導体32を放射導体21と接地導体31の間に配するとともに放射導体21と接地導体31との距離を取ることにより、電磁波が接地導体31に吸収されにくくなることから周波数帯域の狭帯域化を防ぐことができる。
【0020】
本発明の積層誘電体アンテナは、放射導体21が正方形状あるいは円形状であることを特徴とする。図1の放射導体21が正方形状である場合の本発明の積層誘電体アンテナを、以下、説明する。
【0021】
図1のように構成された本発明の積層誘電体アンテナの他の例によれば、放射導体21の外周と対向するように配された水平導体32が縮退分離素子として働き、この水平導体32によって電界の縮退が放射導体21の中心から放射導体21の外周の水平導体32を配した方向(X方向)に生じる電界モードと、それに直交する放射導体21の中心から放射導体21の外周の水平導体32を配さない方向(Y方向、図1では奥行き方向)に生じる電界モードに分離され、円偏波励振の給電法の1点給電方式に対応した構造となるので円偏波を励振させることができる。また、水平導体32の幅Wを調整することで分離された2周波の共振特性すなわち共振周波数の隔たりのある2つの周波数帯に対応した特性をあるいは共振周波数の隔たりを近接させて2つの周波数帯を合成させることができるので広帯域な周波数特性を得ることができる。
【0022】
また、図1のように構成された本発明の積層誘電体アンテナの他の例によれば、円偏波を励振させるための縮退分離素子としての水平導体32を放射導体21とは異なる面に配するため、同一面に縮退分離素子を配した場合に正方形状の放射導体21の両端に、縮退分離素子が必要とする面積分だけ放射導体21の面積を広げなくてよいので小型の円偏波アンテナあるいは2周波共振特性あるいは広帯域な周波数特性を有するアンテナを構成することができる。
【0023】
ここで、放射導体21は正方形状であることが重要である。放射導体21が正方形状の場合、図1のX方向およびY方向に同一共振周波数の電界モードを持つことができ、更に水平導体32が縮退分離素子として機能するために1点給電方式でも縮退が解けて円偏波を励振することができる。これに対して、水平導体32および垂直導体33がないいわゆる通常のパッチアンテナでは両方向の電界モードの対応波長は正方形状で各辺の長さが等しいため、1点給電方式では縮退が解けず、円偏波を励振することができない。
【0024】
1点給電方式で円偏波を励振するためには縮退分離素子が必要で、図6に示す従来例のように放射導体121の両端に縮退分離素子122を設けると円偏波を励振することができるが、元の正方形に比べ面積が増してしまう。この際、図6中のX方向の放射導体121と縮退分離素子122を合わせた長さがL+2Wとなり、Y方向の長さLに対し長くなるのでX方向は電界モードが長い波長、すなわち低周波側の共振モードとなり、Y方向の放射導体121の長さがLとなり、X方向の長さL+2Wに対し短くなるのでY方向は電界モードが短い波長、すなわち高周波側の共振モードとなり、X方向とY方向とで波長のわずかに異なりかつ直交するモードに対応した放射導体構造となるので1点給電方式の円偏波励振をすることができる。
【0025】
図1に示す本発明の積層誘電体アンテナの他の例では、放射導体21のX方向の外周と対向するように1対の水平導体32が配され、放射導体21の端部と水平導体32との間に容量が形成されるためX方向の電界モードは共振周波数が低くなって、X方向の電界モードの方がY方向よりも長い波長に対応し、先に示した従来例と同様にX方向の電界モードが長い波長、すなわち低周波側の共振モード、Y方向の電界モードが短い波長、すなわち高周波側の共振モードとなり波長のわずかに異なりかつ直交するモードに対応した放射導体構造となるので1点給電方式の円偏波励振をすることができる。この際、従来例と比べ、縮退分離素子を放射導体21の両端部に配していないので同じ円偏波励振構造をとりながらも小型にできるので、小型化の観点から放射導体21は正方形状であることが重要である。
【0026】
本発明の積層誘電体アンテナの他の例は、放射導体21が円形状であってもよい。図2は、本発明の積層誘電体アンテナの他の例の放射導体21が円形状である実施の形態の一例を示す斜視図であり、11は第1の誘電体層、12は第1の誘電体層11の上に積層された第2の誘電体層、21は第2の誘電体層12の上面に配された円形状の放射導体、31は第1の誘電体層11の下面に配された接地導体、32は第1および第2の誘電体層11・12の間に放射導体21の外周と対向するように配された水平導体、33は水平導体32と接地導体31とを接続する垂直導体である。また、給電導体(図示せず)は接地導体31に設けた開口部(図示せず)から第1および第2の誘電体層11・12を貫通して放射導体21に接続した構造となる。なお、分かりやすくするために、図1の構成の該当する部分と同じ符号を付している。
【0027】
図2に示すように、第1および第2の誘電体層11・12が円筒形状である場合、放射導体21が正方形状の場合よりも円形状の場合の方が円筒の端面に広く放射導体21を配することができ、放射効率を高めることができる。
【0028】
ここで、放射導体21は円形状であることが重要である。正方形状である場合と同様に1点給電方式で円偏波を励振するためには放射導体21の両端に縮退分離素子を設け、放射導体21を楕円形状にするなどの手法があるが、この際も同様に円形状の場合に比べ面積が増してしまう。本発明の積層誘電体アンテナの他の例では、図2に示すように円形状の放射導体21の外周と対向するように1対の三日月形状の水平導体32を設けると、面積を増すことなく1点給電方式で円偏波を励振することができるので小型化の観点から放射導体21は円形状であることが重要である。
【0029】
なお、本発明の実施の形態の例に限定されるものではなく、例えば図1の直方体状の誘電体11・12の上面に配された正方形状の放射導体21を円形状の放射導体21に置き換えてもよい。
【0030】
本発明の積層誘電体アンテナを形成するに当たり、第1および第2の誘電体層11・12、放射導体21、接地導体31、水平導体32、垂直導体33、給電導体には、周知の高周波用配線基板に使用される種々の材料・形態のものと同様のものを使用することができる。
【0031】
第1および第2の誘電体層11・12としては、例えばアルミナセラミックス・ムライトセラミックス等のセラミック材料やガラスセラミックス等の無機系材料、あるいは四フッ化エチレン−エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン;PTFE)・四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合樹脂;ETFE)・四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂;PFA)等のフッ素樹脂やガラスエポキシ樹脂・ポリイミド等の樹脂系材料等が用いられる。これらの材料による第1および第2の誘電体層11・12の形状や寸法(厚みや幅・長さ)は、使用される周波数や用途等に応じて設定される。
【0032】
放射導体21、接地導体31、水平導体32、垂直導体33、給電導体は、高周波信号伝送用の金属材料の導体層、例えばCu層・Mo−Mnのメタライズ層上にNiメッキ層およびAuメッキ層を被着させたもの・Wのメタライズ層上にNiメッキ層およびAuメッキ層を被着させたもの・Cr−Cu合金層・Cr−Cu合金層上にNiメッキ層およびAuメッキ層を被着させたもの・Ta2N層上にNi−Cr合金層およびAuメッキ層を被着させたもの・Ti層上にPt層およびAuメッキ層を被着させたもの、またはNi−Cr合金層上にPt層およびAuメッキ層を被着させたもの等を用いて、厚膜印刷法あるいは各種の薄膜形成方法やメッキ法等により形成される。その厚みや幅等も、伝送される高周波信号の周波数や用途等に応じて設定される。
【0033】
本発明の積層誘電体アンテナの作製方法としては、例えば第1および第2の誘電体層11・12がガラスセラミックスから成る場合であれば、まず第1および第2の誘電体11・12となるガラスセラミックスのグリーンシートを準備し、これに所定の打ち抜き加工を施して、垂直導体33および給電導体が貫通導体の場合、貫通導体が配設される貫通孔を形成した後、スクリーン印刷法によりCu等の導体ペーストを貫通孔に充填するとともに、放射導体21、接地導体31、水平導体32、給電導体となる導体層のパターンおよび必要に応じてその他の所定の伝送線路パターン、例えば垂直導体33を貫通導体で形成しない場合は垂直導体33などを印刷塗布する。次に、850〜1000℃で焼成を行ない、最後に各導体層の表面にNiメッキおよびAuメッキを施す。
【0034】
図3は図1に示す本発明の積層誘電体アンテナの実施の形態についての反射特性を示す線図である。図3において、横軸は周波数(単位:GHz)、縦軸は給電導体(図示せず)を接地導体31に設けた開口部(図示せず)より第1および第2の誘電体層11・12を貫通して放射導体21に接続し、接地導体31に設けた開口部の給電導体に電磁界を給電して計測したVSWRであり、特性曲線は反射特性、すなわちVSWRの周波数特性を示している。この線図に示す反射特性は、電磁界シミュレーションを用いて得たものである。この結果より、4.80GHzで共振していることが分かる。なお、図3に示す反射特性を得た本発明の積層誘電体アンテナにおいては、第1および第2の誘電体層11・12の厚みを0.5mm、すなわち誘電体層の総厚みが1mm、放射導体21の長さ:Lを9.25mm、放射導体21と垂直導体32とのX方向の間隔:Dを0.875mm、水平導体32を図のX方向の両側に1対配置し、その幅:Wを1mm、給電導体(図示せず)を接地導体31に設けた開口部(図示せず)から第1および第2の誘電体層11・12を貫通して放射導体21の中心よりX方向に1mmずらした位置に配した構造とした。この本発明の積層誘電体アンテナと同じ構造・材料で水平導体32および垂直導体33のないものでは共振周波数が5.25GHzであり、本発明の積層誘電体アンテナでは共振周波数が450MHz低くなっている。すなわちこれは、共振周波数を5.25GHzとして本発明の積層誘電体アンテナを構成する場合、この周波数が低くなった分だけ放射導体21の長さLを短くすることができ、アンテナを小型化することができることを示す。
【0035】
また、図5に示す従来の積層誘電体アンテナでこのような共振周波数の低周波化、すなわちアンテナの小型化を達成することは困難であった。
【0036】
図7は図5に示す従来の積層誘電体アンテナの例についての反射特性を示す線図である。図7においても、横軸は周波数(単位:GHz)、縦軸は給電導体(図示せず)を接地導体131に設けた開口部(図示せず)より誘電体層131を貫通して放射導体121に接続し、接地導体に設けた開口部の給電導体に電磁界を給電して計測したVSWRであり、特性曲線は反射特性、すなわちVSWRの周波数特性を示している。この線図に示す反射特性は、図3に示した結果を得るのに使用したものと同一の電磁界シミュレーションを用いて得たものである。この結果より、5.16GHzで共振していることが分かる。なお、図7に示す反射特性を得た従来の積層誘電体アンテナにおいては、誘電体層111の厚みを1mm、放射導体121の長さ:Lを9.25mm、放射導体121と垂直導体132とのX方向の間隔:Dを0.875mm、給電導体(図示せず)を接地導体131に設けた開口部(図示せず)から誘電体層111を貫通して放射導体121の中心よりX方向に1mmずらした位置に配した構造とし、誘電体層111の材料および放射導体121・接地導体131・垂直導体132・給電導体の材料は、上記本発明の積層誘電体アンテナと同一である。すなわち、従来の積層誘電体アンテナと本発明の積層誘電体アンテナとでは、水平導体・垂直導体の他は同一である。この従来の積層誘電体アンテナと同じ構造・材料で垂直導体132のないものは、前記のとおり共振周波数が5.25GHzであり、従来の積層誘電体アンテナでは共振周波数が90MHz低くなっているが、本発明の積層誘電体アンテナの4.80GHzよりは360MHz高い共振周波数となる。
【0037】
以上より、図3に結果を示す本発明の積層誘電体アンテナでは共振周波数が450MHz低くなるのに対して、図7の結果を得た従来の積層誘電体アンテナでは90MHzしか低くならず、本発明の積層誘電体アンテナの方がより低周波化されていることが分かる。これは、同じ周波数でアンテナを構成する場合、本発明の積層誘電体アンテナの方が長さの短い放射導体で共振させることができ、アンテナを小型化することができることを示す。
【0038】
図4は本発明の積層誘電体アンテナの他の例の実施の形態についての反射特性を示す線図である。図4においても、横軸は周波数(単位:GHz)、縦軸は給電導体(図示せず)を接地導体31に設けた開口部(図示せず)より第1および第2の誘電体層11・12を貫通して放射導体21に接続し、接地導体31に設けた開口部の給電導体に電磁界を給電して計測したVSWRであり、特性曲線は反射特性、すなわちVSWRの周波数特性を示している。この線図に示す反射特性は、図3および図7に示した結果を得るのに使用したものと同一の電磁界シミュレーションを用いて得たものである。なお、図4に示す反射特性を得た本発明の積層誘電体アンテナの他の例においては、図3に示す反射特性を得た図1に示す構造と同じで、放射導体21を1辺の長さ:Lが9.25mmの正方形、給電導体(図1に図示せず)を接地導体31に設けた開口部(図1に図示せず)から第1および第2の誘電体層11・12を貫通して放射導体21の中心よりX方向に1mm、Y方向(図1では奥行き方向)に1mmずらした位置に配した構造とした。
【0039】
この結果、放射導体21を正方形状にすることにより図4に示すような2周波が合成された広帯域特性を示す反射特性が得られていることが分かる。また、反射特性を得るのに使用したのと同様の電磁界シミュレーションを用いた結果、2つの共振周波数の中心点の5.22GHzでの円偏波利得が5.8dBi得られたことから円偏波特性も示していることが分かる。したがって、本発明の積層誘電体アンテナでは図6に示す従来の円偏波の励振を目的とした積層誘電体アンテナに比べ、放射導体121の両端に縮退分離素子122を設ける必要がないためアンテナの放射導体部分の面積が小さくて済み、アンテナを小型化することができる。
【0040】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、図1では放射導体を四角形としているが、角に丸みを持たせた形状にしたり、楕円形にしたりしてもよい。図1に示す第1および第2の誘電体層11・12は通常は直方体形状であるが、角や稜線に丸みを持たせたりしてもよい。
【0041】
【発明の効果】
本発明の積層誘電体アンテナによれば、第1の誘電体層と、この第1の誘電体層の上に積層された第2の誘電体層と、この第2の誘電体層の上面に配された放射導体と、第1の誘電体層の下面に配された接地導体と、第1および第2の誘電体層の間に放射導体の外周と対向するように配された水平導体と、この水平導体と接地導体とを接続する垂直導体と、放射導体に接続された給電導体とを具備したことから、放射導体の外周と対向するように配された水平導体との間でコンデンサが構成されることになり、このコンデンサの容量がアンテナの共振周波数に寄与して、水平導体および垂直導体がない場合よりもアンテナの共振周波数が低くなる。したがって、従来のアンテナのように放射導体の大きさを大きくして共振周波数を下げなくてもよいのでアンテナを小型化することができる。
【0042】
また、本発明の積層誘電体アンテナによれば、放射導体の外周と対抗するように配された水平導体との間に構成されるコンデンサの容量が水平導体の面積に比例するため、より小型化の効果を得るためにその容量を増すには水平導体の面積を大きくすればよく、水平導体の面積を大きくすることによりさらに小型化することができる。
【0043】
また、本発明の積層誘電体アンテナによれば、上記構成において、積層誘電体アンテナの放射導体が正方形状あるいは円形状であることから、放射導体の中心から放射導体の外周の水平導体を配した方向に生じる電界モードの共振周波数とそれに直交する方向に同一共振周波数の電界モードを持つことができ、放射導体の外周と対向するように配された水平導体が縮退分離素子として働いて、この水平導体によって電界の縮退が解け、円偏波励振を1点給電方式で実現させることができる。また、水平導体の幅を調整することで2周波の共振特性あるいは広帯域な周波数特性を得ることができる。
【0044】
また、本発明の積層誘電体アンテナによれば、円偏波を励振させるための縮退分離素子としての水平導体を放射導体とは異なる面に配するため、縮退分離素子が必要とする面積分だけ放射導体の面積を広げなくてよいので小型の円偏波アンテナとすることができ、また2周波の共振あるいは広帯域な周波数特性を有するアンテナを構成することができる。
【0045】
以上により、本発明によれば、小型の積層誘電体アンテナを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層誘電体アンテナの実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の積層誘電体アンテナの実施の形態の他の例を示す斜視図である。
【図3】本発明の積層誘電体アンテナの反射特性を示す線図である。
【図4】本発明の積層誘電体アンテナの他の例の反射特性を示す線図である。
【図5】従来の積層誘電体アンテナの例を示す斜視図である。
【図6】従来の積層誘電体アンテナの例を示す上面図である。
【図7】従来の積層誘電体アンテナの例の反射特性を示す線図である。
【符号の説明】
11・・・第1の誘電体層
12・・・第2の誘電体層
21・・・放射導体
31・・・接地導体
32・・・水平導体
33・・・垂直導体

Claims (1)

  1. 第1の誘電体層と、該第1の誘電体層の上に積層された第2の誘電体層と、該第2の誘電体層の上面に配された正方形状または円形状の放射導体と、前記第1の誘電体層の下面に配された接地導体と、前記第1および第2の誘電体層の間に前記放射導体の外周と対向するように配された水平導体と、該水平導体と前記接地導体とを接続する垂直導体と、前記放射導体に接続された給電導体とを具備することを特徴とする積層誘電体アンテナ。
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