以下図を用いて本発明の実施の形態について説明する。
(従来の実施の形態)
EBAC解析は、ネット内配線の電流経路を観察できることから、配線に生じた断線や高抵抗不良といったオープン系不良の位置を特定すると共に、解析対象ネットにショートした相手ネットの電流経路及び前段ネット出力端のEBIC反応も観察できる。このことから、レイアウト像との照合により、ショート相手のネットも特定できる長所を持つ。
しかし、近年のプロセスの微細化などにより新たな問題も生じている。図1はEBAC解析の問題を説明するための半導体装置の断面模式図である。
従来のEBAC解析では、SEM像を観察しながらソフト解析などで指摘された解析対象ネット1000にFIB(Focused Ion Beam:集束イオンビーム)で形成した針当てパッドに第1のプローブ1を当て、この後EBAC解析のための電子ビームを解析対象ネット全体を含む領域に照射・走査する。この電子ビーム照射によって生じた前段ネット(解析対象ネットより回路の上流に位置するネット)110の出力端のEBIC反応をも含めて解析対象ネット1000全体の吸収電流画像を観察し、必要に応じて観察倍率を高めて不良位置を探す。
ここで第1のプローブ1とは、解析対象ネット1000の配線に直接、または当該配線にFIBで付加形成したパッドに接触させて電気的導通を得るためのプローブ針のことを言う。第1のプローブ1にはアンプ3が接続される。アンプ3で第1のプローブ1の入力信号を増幅し、増幅した信号を受け取った端末などが画像に変換する。
この目的のため、基板まで電子ビームが到達するレベルの加速電圧で照射すると、前段ネット出力端部のNウェルとPサブ間で空乏層1120が生じ、電子―正孔対が生成し、Nウェル内に電子が蓄積される。
一方、前述の広範囲な電子ビーム走査により、前段ネット1100の出力端部に接続された電源配線及びゲートに接続された配線にも電子ビームが照射されることから、電源配線やゲートに電子がたまる。これにより、ゲート電位がNウェルよりも下がって、チャネルが開く。その結果、前段ネット1100の出力端部に接続された電源配線側から蓄積された電子が解析対象ネット1000に流れ込むため、アンプで検出した吸収電流を電子ビームの走査に同期して画像表示すると、前段ネット1100と解析対象ネット1000があたかもショートしているように見える。
解析作業者が得られたEBAC画像を観て、前段ネット1100の反応が含まれていることを認識できればよいが、ショート不良ありと判断した場合、レイアウトデータとの照合によるネットの特定、さらには物理解析まで至り、解析時間の長大化・解析ヒット率の低下を招くこととなる。
近年の半導体装置は、パターンの微細化・薄膜化及び動作電圧の低電圧化が進んでいることから、EBAC画像中に前段ネット1100が現れやすく、ショート不良と誤認識される可能性が高くなる。
このことから、解析ヒット率を高めるためには、前段ネット1100の反応防止を図る必要がある。
(第1の実施の形態)
図2は本発明の第1の実施の形態を説明するための模式図である。
本実施の形態では、前段ネット1100に接続されている電源配線1010に第2のプローブ2を接続することを特徴とする。この第2のプローブ2とは、前段ネット1100の配線または前段ネット1100の出力端部につながる電源配線1010に直接、またはFIBで付加形成したパッドを介して電気的導通を得るためのプローブ針のことを言う。
このように、解析対象ネット1000に第1のプローブ1を当て、前段ネット1100の出力端部につながる電源配線1010に第2のプローブ2を当て接地する。これにより、基板に到達するレベルの加速電圧で電子ビームを照射しても前段ネット1100の出力端部のNウェルとPサブ間で生じた空乏層1120の電子―正孔対の電子は第2のプローブ2を介してグランド(GND)に流れ込む。この結果、前段ネットにつながったゲートのチャネルが開いても電源配線から電流が流れ込むことは無く、画像上で前段ネットが見えることはない。
この第2のプローブ2を電源配線1010に当てる代わりに前段ネット1100のゲートにつながる配線に当てても、ゲートに電子が蓄積されず、チャネルが開かないため、同様の効果が得られる。
なお、前段ネット1100の出力端部につながる電源配線1010に第2のプローブ2を当てるのは、前段ネット1100が複数存在する場合にも1箇所で第2のプローブ2を当てれば済むためである。
また、前段ネットの出力端部につながる電源配線が解析対象領域に付設されている場合、電子ビーム走査による試料表面の電荷の蓄積や反射電子及び二次電子の発生を抑えるため、吸収電流経路のみが鮮明に表示される。
なお、前段ネット1100の出力端部につながる電源配線1010に第2のプローブ2を当てるよう説明したが、試料がパッケージ品の場合にはソケットなどを用いて当該配線につながるピンを接地することでもよい。また、前段ネット1100自体を直接グランドに落としてもよい。
図3は、本発明を実施する際に好適なEBAC解析ユニットの構成を表す構成図である。
このEBAC解析ユニットは、ベースステージ50、試料ステージ51、試料ホルダ52、粗動ステージ61、微動ステージ62、プローバアーム63、プローブ針ソケット64、プローブ針65、プリアンプユニット70、リレー71、72、プリアンプ73を有する。このEBAC解析ユニットはチャンバ壁82によって囲われた真空チャンバ内に配置される。
ベースステージ50は、XY方向に任意に移動及び原点位置検出が可能であり、チャンバ内に敷設された試験器具操作の基準面を提供する。ベースステージ50上には試料ステージ51及び粗動ステージ61が配置される。
試料ステージ51はXY方向及び回転方向(θ方向)の移動及び原点位置検出が可能なように構成されている。試料ステージ51には試料ホルダ52がはまり込むように搭載されている。製品仕様によっては、試料ホルダ52の高低を調整するための機構を備えてもよい。
試料ホルダ52上にEBAC解析の対象となる半導体装置53を配置する。
半導体装置53はこのEBAC解析ユニットを用いて評価を行う対象(試料)である。なお、ここでは半導体装置として記載しているが、EBAC解析の対象となるものであれば半導体装置以外のものでもよい。なお、EBAC解析の対象ということであるため、この半導体装置53は多層で構成されていることがほとんどであろう。
粗動ステージ61はプローバアーム63等を速く・大きく動かすためのステージである。粗動ステージ61はXYZ方向に移動可能なようにモータによる駆動力で動くように構成されている。
微動ステージ62は、プローブ針65を半導体装置53の指定された配線またはパッドに正確に接触させるために用いるもので、ピエゾ素子でX、Y、Z方向に駆動される。これらの粗動ステージ61及び微動ステージ62の自由度を増やすことで、プローバアーム63等の稼動範囲を増やすことができる。
プローバアーム63は、プローブ針65をソケット64を介して保持するためのアームである。プローバアーム63と微動ステージ62は電気的に絶縁されている。
またプローバアーム63は、プローブ針ソケット64を保持する端部と異なる箇所からケーブルを出すためのコネクタを有していてもよい。このコネクタから、プリアンプユニット70にケーブルで接続することが可能である。
プローブ針65の交換は、プローブ針ソケット64を挿抜する。プローブ針65は、接触させる半導体装置53の配線パターンの形状、グランド電位への接地かチャンバ外への出力か、など目的に応じて交換できるようにしても良い。プローブ針65は、検査対象である半導体装置53の回路の所定箇所を導通するためのプローブ(探針)である。検査対象や検査方式によって、好ましいプローブは異なる。このようにプローブ針65を着脱可能にすることで、EBAC解析ユニットの活用範囲を広げることが可能になる。
上記ではプローバアーム63がプリアンプユニット70との接続用コネクタを有するとしたが、プローブ針ソケット64が接続用コネクタを有していてもよい。
なお、基本的にはプローブ針65とプローバアーム63は電気的に同電位とするのが一般的であるが、結合部に抵抗を介する、保護用の容量を入れるなどすることで意図的に異なる電位としてもよい。
プリアンプユニット70は真空チャンバ内で、前段の増幅処理を行うためのプリアンプを中心とする回路部品である。このプリアンプユニット70のプリアンプ73で前段の増幅処理を行い、測定対象に応じて真空チャンバ外で検査対象、検査方法に応じた増幅をかけることにより、EBAC解析ユニットの応用性を拡げることができる。すなわち、プリアンプ73と真空チャンバ外部の増幅器によって、図2におけるアンプ3が構成される。
このプリアンプユニット70にはリレー71、リレー72、プリアンプ73、抵抗74が含まれる。リレー71は、プローブ針65からの入力をプリアンプ73に出力するかグランドに出力するかを切り替える。一方リレー72はプローブ針65を直接接地するか、それとも抵抗74を介して接地するかを切り替えるスイッチである。
プリアンプ73にはプローブ針65からの吸収電流が流れてくる。これを増幅しコネクタ81を介して、本図では図示しない外部のメインアンプ(図5のメインアンプ110)に出力する。
抵抗74は、抵抗74を介して接地した際にもプローブ針65の電位が高く維持できるように、十分な抵抗値を有する抵抗である。この抵抗を介することでスローリーク回路としての運用が実現できる。
なお、本図におけるプリアンプユニット70は電気的構成を表している。また、粗動ステージ61、微動ステージ62、プローバアーム63、プローブ針ソケット64、プローブ針65、プリアンプユニット70を包括してプローバユニットという。
コネクタ81は、プリアンプ73の出力を真空チャンバ外部に出力するためのコネクタである。チャンバ壁82は真空チャンバの外壁である。EBAC解析ユニットに複数のプローバユニットが存在する場合、その数だけコネクタをつけるか、まとめて一つのコネクタとするかは設計事項である。
図4は本発明を実施する際に好適なプローバユニットを4セット有するEBAC解析ユニットを上方から見た図である。
本図からも明らかな通り、試料ステージ51を四方から取り囲む形でベースステージ50上にプローバユニットが4つ配されている。より、プローブ針65の自由度を増す場合には5以上プローバユニットを配してもよい。また最低2以上のプローバユニットが存在すれば本実施の形態の実現は可能である。
本実施の形態でプローバユニット毎にプリアンプ73を設けるのは以下の理由である。すなわち、プローブ針を介して得られるEBAC信号は微弱であり、プローブ針からアンプまでの距離が長いほど、ノイズの影響によってS/N比が低下するためプローバユニットにより近い位置で初期増幅をかけているのである。
上方から見たときには、試料ホルダ52にはファラデーカップ54が設けられており、試料ホルダ52を貫通した電極に接続される。また、これに対応して、試料ステージ51にはファラデーカップ54の電極に対向する位置に電極が設けられている。
ファラデーカップ54は、電子ビームの電流値を直接測定するための金属製の筒状電極のことを言う。ファラデーカップ54により必要時に照射電流をモニタすることで、EBAC解析のための電子ビームの調整が可能となる。すなわち、ファラデーカップ54でモニタした照射電流、走査速度、観察倍率から配線層間膜のダメージ量(たとえばLow−k膜のダメージ量)を演算判定し、ダメージ量が越える場合には警報を表示する手段があることが望ましい。
また、本実施の形態のEBAC解析器では、SEM(電子顕微鏡)の機能も有しているものとする。プローブ針65当てや、位置調整の利便性、及び得られるEBAC解析の結果をSEM画像と合成することでより不良解析に役立つためである。このSEMの視野中心に当たる箇所がSEM視野中心90である。
図5は本発明を実施する際に好適なEBAC解析ユニットを含む、EBAC解析器のシステム構成を表す図である。
このEBAC解析器は、チャンバ壁82及び前扉83からなる真空チャンバ、上述のEBAC解析ユニットのほか、画像表示部101、データ処理部102、EB制御部103、レイアウトデータ取得部104、EB画像取得部105、プローバ制御部106、EBAC画像取得部107、EBACアンプ制御部108、ステージ制御部109、メインアンプユニット110、排気制御部112、ガスノズル制御部113、EB光学系201、ガンバルブ202、ガスノズル203、二次電子検出器204を含んで構成される。
このEBAC解析器は真空チャンバ内に図3のEBAC解析ユニットを含む構成を取る。この真空チャンバはチャンバ壁82及び前扉83によって外部と気密される。
前扉83を引き出すことで、EBAC解析ユニットは真空チャンバから外部に引きだされる。EBAC解析ユニットが引き出された状態で、操作者は半導体装置53の設置、及びプローブ針65の交換を行うことができる。半導体装置53の設置などの後、真空チャンバ内に設けられ保持機構を用いて前扉83はスライドしてチャンバ壁82に接触し、気密される。
この真空チャンバは防振機構を備えた架台上に設置される。架台には真空チャンバ内を真空排気および大気開放するための真空ポンプ、第1バルブ、第2バルブが設けられている。架台上に設置された真空ポンプの排気により真空雰囲気が得られる。
画像表示部101は、レイアウトデータ取得部104、EB画像取得部105、EBAC画像取得部107での取得画像データがデータ処理部102で処理された後の画像データ及び各種数値データを表示する表示機能を有する。
データ処理部102は、EB制御部103からの制御データ及びEB画像取得部105、EBAC画像取得部107からの画像データによる画像処理機能、レイアウトデータ取得部104及びプローバ制御部106、ステージ制御部109からの各座標データの各座標データによる座標変換機能及び検索機能、各制御部への制御命令の送信機能を有する制御回路である。また、データ処理部102には、レイアウトデータ取得部104、EB画像取得部105、EBAC画像取得部107での取得データ等を処理・合成する機能を有する。
EB制御部103はEB光学系201に対して、半導体装置53に照射する電子ビームの加速電圧、ビーム電流、走査領域、走査速度などを制御するための制御回路である。
レイアウトデータ取得部104は半導体装置53のレイアウトデータ及び試料構造データなどを格納しているハードディスクドライブなどの記録媒体やワークステーションなどから必要なデータを取り込むデータ入力手段である。
EB(電子ビーム)画像取得部105は、二次電子検出器204の検出信号を取り込み、EB走査に同期したSEM画像データにした後、データ処理部102にSEM画像データを送信する回路である。
プローバ制御部106は、データ処理部102からの命令を受けて各プローバユニットの移動量/移動速度を制御する制御回路である。
EBAC画像取得部107は、メインアンプユニット110によって増幅された信号を受信し、電子ビームの走査に同期してEBAC像として画像データ化する回路である。EBAC画像取得部107は変換された画像データをデータ処理部102に送る。
EBACアンプ制御部108は、メインアンプユニット110に含まれるアンプの切り替えを行う制御回路である。
ステージ制御部109は、ベースステージ50及び試料ステージ51の移動制御を行うための制御回路である。
メインアンプユニット110は、真空チャンバ内のプリアンプユニット70から受けた信号を更に増幅する増幅器である。図の通り、メインアンプユニット110は真空チャンバ外に設けられる。メインアンプユニット110は一つのプローバユニットのプリアンプ73からの出力を増幅するアンプと、2つのプローバユニットのプリアンプ73からの出力を差動増幅する差動アンプと、EBACアンプ制御部108からの信号に基づく切替手段により構成される。メインアンプユニット110によって増幅された信号は、EBAC画像取得部105に送信される。
メインアンプユニット110を真空チャンバ外部に設けるのは、対象となる半導体装置53や検査方法に応じてメインアンプユニット110を交換可能なようにするためである。真空チャンバ内に空間的余裕があり、メインアンプユニットの交換を考慮する必要が無いのであれば、メインアンプユニット110を真空チャンバ内に設置することでノイズの影響をより一層小さくできる。
排気制御部112は真空チャンバを真空排気および大気開放するための制御手段であり、真空排気時は第1バルブを開き、大気開放時は第1バルブを閉じ、第2バルブを開いて空気又は不活性ガスを前扉63が開くまで導入する。
ガスノズル制御部113は、ガスノズル203の動作を制御するための制御回路である。
EB光学系201は、電子ビームを半導体装置53に照射・走査する光学機器である。EB制御部103がEB光学系201に関する加速電圧、ビーム電流、走査領域、走査速度などを制御する。
ガンバルブ202は、EB光学系201及び真空チャンバの間を仕切るバルブである。ガンバルブ202を閉じることで、真空チャンバを大気開放してもEB光学系201に大気が進入することを防ぐ。従って、ガンバルブ202の存在によって、真空チャンバを大気開放するたびにEB電源を落とす必要が無くなる。
ガスノズル203は、不良箇所へのマーキングに用いるCVD(Chemcal Vapor Deposition:化学気相成長)ガスを供給する。マーキング時には、ガスノズル制御部113により指示でガスノズル203が伸び、CVDガスが供給される。使用するガスは、照射されたEBエネルギで金属を析出する物であれば何れでも良く、Cr(CO)6やMo(CO)6、W(CO)6等の金属カルボニル化合物、ジメチル金アセチルアセトネートやジメチル金トリフルオロアセチルアセトネートやジメチル金ヘキサフルオロアセチルアセトネートと言った金(Au)のアセチルアセトネート化合物、シクロオクタジエン銅ヘキサフルオロアセチルアセトネートや銅ヘキサフルオロアセチルアセトネート・トリメチルビニルシランと言った銅(Cu)のアセチルアセトネート化合物、シクロペンタジエニル銅トリメチルフォスフィンやメチルシクロペンタジエニル・トリメチルプラチナと言ったCuやプラチナ(Pt)等のシクロペンタジエニル化合物である。
二次電子検出器204(SED:Secondary Electron Detector)は、EB照射により試料表面から放出される二次電子を検出する。二次電子検出器204の検出信号は、EB画像取得部105に取り込まれ、EB走査に同期してSEM像として画像処理部101を介して画像表示される。
これらの構成を踏まえた上で、本実施の形態にかかわるEBAC解析器の操作について説明する。
まず、検査対象である半導体装置53の設置、及びプローブ針ソケット64の交換を行う。以下は真空チャンバの前扉83を開放するための具体的な手順である。
1)ガスノズル制御部113が、EBAC解析ユニットに干渉しないようにガスノズル203を退避させる。
2)ステージ制御部109がベースステージ50を原点復帰させる。
3)プローバ制御部106が各プローバユニットを原点復帰させる。
4)ガンバルブ202を閉じる。装置がガンバルブ202を備えていない場合には、EB光学系201の電源をOFFにする。
5)排気制御部112が第1バルブを閉じる。
6)真空チャンバ内の保持機構を開放する。
7)排気制御部112が第2バルブを開けて空気又は不活性ガスを真空チャンバ内に導入する。
8)真空チャンバ内が大気圧に到達した、又は前扉83が開いたら排気制御部112が第2バルブを閉める。
9)操作者は前扉83を引き出した後に、試料ステージ51から試料ホルダ52を外して、半導体装置53を交換する。
10)操作者は適宜プローブ針65を着脱交換する。
また、半導体装置53の交換/プローブ針65の交換後は以下の手順で真空チャンバ内にEBAC解析ユニットを収納する。
1)前扉83を閉じる。
2)排気制御部112が第1バルブを開け、真空チャンバ内を排気する。
3)真空チャンバ内の保持機構がベースを保持固定する。
4)真空チャンバ内が所定の真空度に達したらガンバルブ202を開く。装置にガンバルブ202が無い場合には、ここでEB光学系201の電源をONにする。
5)EB制御部103がEB光学系201に対して電子ビーム照射可能な状態にする。
次に、半導体装置53のレイアウトデータをレイアウトデータ取得部104が取り込み、取り込んだレイアウトデータ、取得したSEM画像、ベースステージ50などのステージに関わるデータを用いて、レイアウト座標と各ステージ座標との2点または3点アライメントによる座標系をロックする。
図6はレイアウトデータ取得部104が取り込む解析対象ネット1000及び前段ネット1100のレイアウトデータの一例を表す図である。
次に、針当て動作を、具体的に図9及び図10を用いて説明する。図9は本発明における試料ステージ51のみを用いた針当て動作を説明するための動作説明図である。
図9 a)はベースステージ50、試料ステージ51、各プローバユニットが全て原点位置にある図を示す。各プローバユニットの原点位置はプローブ針65がXYZ方向に半導体装置53から最も遠ざかった位置である。EBAC解析ユニットをこの状態で真空チャンバ内から引き出すことにより、半導体装置53と各プローブユニットが相互に干渉することなく容易に半導体装置53およびプローブ針65の交換が可能となる。
半導体装置53の交換後、このEBAC解析ユニットを再度真空チャンバ内に戻すと、半導体装置53の中心位置とSEM視野中心90がほぼ一致する。この状態で、SEM視野中心90と原点位置における各プローブユニットのプローブ針65先端との距離(Lx、Ly)を把握しておく。すなわち、プローブ針ソケット64の交換後、プローブ針65の原点位置からSEM視野中心90までのプローブ針先端の移動量または移動パルス数を調べる。
図9 b)は、針当て位置をSEM視野内に合わせる工程を示す。この工程は、レイアウトデータにおける針当て位置91の座標を指定し、座標変換に基づいてステージを移動させ、針当て位置91をSEM視野の中心部に合わせる。
図9 c)は、針当て位置91へのプローバ呼び込みと針当て工程を示す。図9 b)の工程後、プローバユニットを指定してプローバ呼び込み動作を指示する。指定されたプローバユニットは、上記の距離(Lx、Ly)を移動する。この操作により、SEM視野中心部90に対応する位置にプローブ針先端が降下し針当てがなされる。プローバ呼び込みにおいて、プローバアーム63をその中心軸に沿って移動させると共に、SEM視野の全体または一部の輝度変化を監視し、所定値以上の輝度変化が生じた時点をプローバ到達としてプローバアーム63を停止させるようにしてもよい。これにより、SEM視野中心90と各プローブユニットのプローブ針65先端との距離(Lx、Ly)を事前に把握する必要が無い。プローブ針1本でのEBAC解析の場合、この後、スローリーク回路からプリアンプに接続を切り替え、SEM像からEBAC像に切り替えてEBAC解析を行う。
図9 d)は、EBAC解析におけるEB照射電流確認工程を示す。ファラデーカップ54は試料ホルダ52に設けられている。試料ステージ51及び試料ホルダ52に設けられた電極を介して、真空チャンバ外部に設けられた微小電流計に接続される。EBAC像のコントラストが低い場合には、EB照射電流を確認して調整することが可能である。その場合、上記針当てした状態でベースステージ50を移動し、ファラデーカップ54をSEM視野中心90に位置させることで、EB照射電流を確認できる。逆に、本工程でEB照射電流を確認・調整後にベースステージ50を原点位置に戻してから前記針当て動作を行ってもよい。
この針当て動作はベースステージ50の移動でのみ行ってもよい。
図10は本発明におけるベースステージ50のみでの針当て動作を説明するための動作説明図である。
図10 a)は第1の針当て位置91をSEM視野内に合わせる工程を示す。なお、この図の時点で、SEM視野中心90と原点位置における各プローブ針先端位置との距離(Lx、Ly)は測定済みであるものとする。
まず、レイアウトデータによって、第1の針当て位置91の座標をSEM視野中心90に合わせると共に、原点位置からのステージ移動量(Sx1,Sy1)を記憶する。
図10 b)は、第1の針当て位置91へのプローバ呼び込みと針当て工程を示す。まず、針当ての対象となるプローバユニットを指定する。指定されたプローバユニットのプローブ針65は上記の(Lx、Ly)とベースステージ移動量(Sx1、Sy1)から求めた移動量に従って移動する。この操作により、SEM視野中心90にプローブ針65先端が位置することとなる。この後、プローブ針65先端を針当て対象パターンの直上に来るように調整し、プローブ針65を針当て対象パターンに降下させ針当てする。
図10 c)は、第2の針当て位置92をSEM視野内に合わせる工程を示す。まず図10 a)同様に、レイアウトデータにおける第2の針当て位置92の座標を指定し、座標変換に基づいてステージを移動させる。第2の針当て位置95をSEM視野中心90に合わせると共に、原点位置からのステージ移動量(Sx2、Sy2)を記憶する。
図10 d)は、第2の針当て位置92へのプローバ読み込みと針当て工程を示す。図10 b)同様に、針当ての対象となるプローバユニットを指定し、指定されたプローバユニットの(Lx、Ly)及びベースステージ50の移動量(Sx2、Sy2)から求めた移動量に従って移動する。この操作により、SEM視野中心90に選択されたプローバユニットのプローブ針65の先端が位置することとなる。
この後、プローブ針65先端が針当て対象パターンの直上に来るように調整し、位置が合った後、プローブ針65を針当て対象パターンに降下させ針当てする。
第3、第4の針当て(前段ネット1100が複数あるような場合)を要する場合には、上記の操作を繰り返す。
以上の通り、ベースステージ50を用いた針当て操作では、2箇所以上の針当てが可能である。これに対し、図9の試料ステージのみを用いた例では針当ては一箇所となる。
しかし、最初に試料ステージ51を用いる方法で1つ目の針当てを行い、続いてベースステージを用いる方法で2つ目の針当てを行ってもよい。
図7は、上記工程により、図6で表した半導体装置53の解析対象ネット1000に第1のプローブ1、前段ネット1100に第2のプローブ2を針当てした際の概念図である。
このプローバユニットの針当てに際してはプリアンプユニット70の制御を行うことも一考である。図11は、本発明におけるプリアンプユニット70内の各リレーの制御を説明する説明図である。
第1のプローブ1を解析対象ネット1000に、第2のプローブ2を前段ネット1100の配線または前段ネット1100の出力端部につながる電源配線101に接続するのは上述の通りである。この際、図11 a)のようにプリアンプユニット70のリレー71を接地側に入れる。また、同様にリレー72を抵抗74側に入れる。このリレーの設定は第1のプローブ1、第2のプローブ2とも共通である。
このようにすることで、解析対象ネット1000及び前段ネット1100に蓄積された電荷を制御でき、プローブ針65の微細な先端部を損傷することがなくなる。
針当ての後、EBACアンプ制御部108を介して第1のプローブ1に対応するプリアンプユニット70のリレー71をプリアンプ73側に切り替える。また、第2のプローブ2に接続されたプリアンプユニット70のリレー72を抵抗74側から直接接地に切り替える。これを表すのが図11 b)である。
これにより、電子ビーム照射で解析ネット1000に生じた吸収電流がプリアンプ73及びメインアンプユニット110に流れ、EBAC画像取得部107によるEBAC解析が可能となる。併せて、前段ネット1100に蓄積された電荷がグランドに流れ、本来情報取得の意図が無い箇所に電荷が蓄積し、映像情報に表示されることを防ぐ。その結果を図8に示す。図6の前段ネットは見えておらず、解析対象ネット1000の断線不良部が認識できる。
このようにして前段ネット1100に関する情報を排除した後に、不良の有無の解析を行う。この解析結果によりオープン系の不良であることが確認されたら、特定された不良位置に対応したレイアウト座標/画像、EBAC画像、SEM画像を合成し、不良検出用の映像情報に加工することが可能になる。
なお、EBAC解析時にはLSIの構造やアンプの性能により、高加速電圧、大電流の電子ビームを照射することが多い。高加速電圧、大電流の電子ビームの照射は配線層間膜にダメージを与える危険が大きい。従って、上記解析手順においては、LSI内の配線層間膜に用いられているLow−k膜やP−TEOS膜などにダメージを与えない条件で電子ビームを照射することに留意したい。具体的にはファラデーカップ54についての説明で述べた警報報知などである。
以上のように、EBAC解析時に前段ネットを構成する配線あるいは出力端部につながる電源配線を接地することにより、EBAC解析時にショート不良と誤判断する原因となる前段ネット1100は観察されないことから、解析ヒット率が向上する。
また、電源配線を接地することでEBAC解析時の電子ビーム照射による試料表面の帯電や反射電子及び二次電子の発生抑制が可能となる。これによりEBAC像のSN比(Signal/Noise Ratio)が改善し解析対象ネット1000が鮮明に観察される。
さらに、電源配線の接地手段としてプローブ針の接続先がアンプ(第1のプローブ1)及び接地(第2のプローブ2)との切り替え機能を備えたプローバを2つ以上採用し、それらを適宜配置することにより、試料形態等により制約されること無く任意箇所で電源配線が接地可能となる。
さらに、高抵抗74を介してプローブ針65を接地した状態で針当てを行うため、電子ビーム照射で蓄積された電荷を徐々に逃がす制御が可能になる。これにより、プローブ針65の先端の損傷を防ぐ。
また、電子ビームの照射条件から配線層間膜に与えるダメージを演算判定し、その結果に応じて警報を表示する手段を設ける。これにより配線層間膜の収縮・膨張による不良状態の消滅(損壊)を防止できる。
なお、本実施の形態は実施に際し、適宜変更可能である。たとえばプリアンプユニット70について上記ではリレー71、リレー72を用いていた。しかし、別のプローブ針65の保護手段が存在するのであれば、図12のように簡略化した構成にしてもよい。この場合ではプリアンプユニット70を第1のプローブ1に接続する際にはリレー1をプリアンプ73に接続する。また、第2のプローブ2に接続する際にはリレー1を接地した状態で、電子ビームを照射する。
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。
通常のEBAC解析では不良位置の特定後、不良位置を示すEBAC像と共に、後の物理解析時に不良位置の特定が容易となるよう、SEM像も取得する。そして、EBAC像とSEM像を重ね合わせ、物理解析がより容易になるように画像合成を行う場合がある。これに対し本実施の形態では、この画像の重ね併せ処理を不要にする手段を提供する。
第1の実施の形態では、プローブ針65とプローバアーム63は電気的に同電位であると述べた。また、プローバアーム63と微動ステージ62は電気的に絶縁されているとも述べた。これらにより、半導体装置53の上層配線からの反射電子及び二次電子がプローブ針65及びプローバアーム63に入射し、解析対象ネット1000(第1の実施の形態を実行しないときには前段ネット1100のものも含まれる)の吸収電流と共にアンプ3(プリアンプ72など)で増幅され、吸収電流像に反射電子像及び二次電子像が重畳した状態で画像表示される。
図13は、本実施の形態におけるプローブ針ソケット64の構造を表す斜視図である。このように、プローブ針ソケット64を幅広にすることで、上層配線からの反射電子および二次電子の吸収量を増加させる。
図14は、本実施の形態における別のプローバアーム63の構造、及び被検査対象である半導体装置の検査時の動作を表す断面図である。この図のようにプローバアーム63の端部を、半導体装置53からの反射電子の進行方向と直交する斜面として形成する。また、この斜面から直線形状のプローブ針65を伸ばすことで、反射電子が遮蔽されることを防ぐ。結果、反射電子像及び二次電子像を明確にすることが可能となる。
図15は、本実施の形態における別のプローバアーム63の構造、及び被検査対象である半導体装置の検査時の動作を表す断面図である。この実施の形態では、3つ目のプローバアーム63に反射電子及び二次電子の検出器66を装着する。
この検出器66は、アンプ3(プリアンプ72など)にも接続される。そして、図14のプローバアーム63の端部のように反射電子の進行方向と直交するように検出器66を設ける。検出器66を受ける面を増やすことにより、反射電子及び二次電子を受ける面を広く取ることができる。
これらのように、プローブ針65とプローバアーム63を同電位とし、反射電子をより積極的に吸収することで、後での画像の加工を行うことなく、より明瞭な重畳画像を表示することが可能となる。
(第3の実施の形態)
次に本発明の第3の実施の形態について説明する。
異なる金属の接点に熱を加えると両金属間に起電力を生ずることが知られている。この現象をゼーベック効果という。
EBAC解析では、ネット内の配線の電流経路を観察することができ、配線に生じた断線や高抵抗不良と言ったオープン系不良の位置を特定できる。これに加え、EBAC解析では、解析対象ネット1000にショートした相手ネットの電流経路及び前段ネット1100出力端のEBIC反応も観察できることから、レイアウト像との照合によりショート相手のネットも特定できる。
電子ビームは溶接にも用いられるように、EBAC解析で用いられる電子ビームも配線に吸収されて電流を生じるほかに熱も生じると考えられる。異種金属を介して2つのネットがショートしている場合には、電子ビームの照射・走査により、ショート部が過熱されゼーベック効果による起電力が生じることが予想される。両ネットに針当てをして、このときの電圧・電流を検出すると共に、電子ビームの走査に同期して、画像表示をするとショート位置のみが可視化され、不良位置を特定することができる。
本実施の形態では、このゼーベック効果による起電力の発生により、ショート位置を特定する方法を説明する。
図16は本発明の第3の実施の形態でショートが確認された際の表示画像を表す図である。この図だけでは、どこからどこまでが本来接続されているべきネットであるのかが分からない。そこで、上述の通り、EBAC画像上で観察できるショート相手の配線上の適当な位置を操作者が抽出し、ネット抽出のためのサークルを描画する。データ処理部102は指定されたサークル内を通過する配線(ネット)を検索・特定する。図17は、図16の表示画像にサークルを書き込んだ図である。なお、サークルは表現であって、ショート相手ネットを指標するのであれば四角や×印、点であってもかまわない。
データ処理部102によって抽出されたネットから操作者は任意の調査を行う1のネットを特定する。ショート相手のネットを特定後、ショート位置の特定を行う場合には、真空チャンバ内から評価中の半導体装置53を取り出し、FIB加工を用いて相手ネットの露出加工あるいは針当てパッドを形成する。
その後、再び真空チャンバ内に評価中の半導体装置53を戻す。その際、第3のプローブにプローブ針65をセットする。
第1の実施の形態に記載したように針当ての準備をした後で第1のプローブ1、第2のプローブ2そして第3のプローブの針当てを行う。
第1のプローブ1は解析対象ネット1000に対しての針当てに用いる。第2のプローブ2は前段ネット1100または前段ネット1100の出力端部につながる電源配線に当てる。これらは第1の実施の形態同様である。
第3のプローブはショート相手ネットを構成する配線に当てるプローブ針である。この第3のプローブにもプリアンプユニット70が用意される。第3のプローブに対応するプリアンプユニット70のプリアンプ73から外部に第3のプローブの信号が出力される。
EBACアンプ制御部108は、第1及び第3のプローブが対応するプリアンプユニット70のプリアンプ73に接続されるよう各プリアンプユニット70のリレー71を制御する。また、第2のプローブについては接地されるようにEBACアンプ制御部108がプリアンプユニット70のリレー71及びリレー72を制御する。
なお、第2のプローブの針当てについては、以後のショートの不良解析については必須ではない。ただし第1の実施の形態でも記載したとおりで、鮮明なEBAC像取得のためには第2のプローブの針当てはあったほうがよい。
上記のプリアンプユニット70の設定後、操作者は第1のプローブ1に対応するプリアンプユニット70のプリアンプ73の出力、第3のプローブに対応するプリアンプユニット70のプリアンプ73の出力をメインアンプユニット110内の差動アンプに接続する。この状態から、ショート位置特定のためのEBAC解析を実行する。
ショート位置特定のためのEBAC解析に先立ち、EBAC解析する場所として、データ処理部102は両ネットの交差部及び同層での隣接併走区間を抽出する。図18はデータ処理部102が抽出する交差部及び同層での隣接併走区間の具体例を表す図である。
ここでEBAC解析箇所を両ネットの交差部及び同層での隣接併走区間としたのは、ショート不良はほとんどが同層での隣接併走区間で発生しており、わずかに交差部で発生していることが経験的に確認されているためである。
抽出された交差部及び隣接併走区間の座標に基づいて、EBAC観察の位置決めを行う。この際、適当な倍率でゼーベック反応の有無を確認する。
図19は図18の隣接併走区間を低倍率で拡大した図である。図19ではゼーベック反応の発生が確認された状況を表しており、ゼーベック反応発生箇所120が見える。このようにゼーベック反応と思われる現象が確認できれば、その部分を高倍率で観察・確認すると共に反応の中心箇所のレイアウト座標を算出する。図20は図18の隣接併走区間を高倍率で拡大した図である。
図20のように画像表示部101にはクロスカーソルが表示される。このクロスカーソルに合うように表示箇所を移動することで、操作者はレイアウト座標を導出することが可能となる。この際、第2の実施の形態で述べた反射電子及び二次電子像又は二次電子像とEBAC像を重畳させた画像を取得しておくと後の物理解析時に有効である。
上述の通り、ゼーベック反応は解析対象ネット1000及び前段ネット1100の隣接併走区間が異種金属である場合にショートした際に生じる現象である。ゼーベック効果によるショートと、同種金属間におけるショートの識別方法について以下に述べる。
図21は同種金属間におけるショートとして、プラチナ(Pt)による配線を交差形成し、EBAC像およびSEM像でどのように見えるかを表す写真である。一方、図22はゼーベック効果によるショートがEBAC像およびSEM像でどのように見えるかを表す写真である。Pt配線を二本併走させ、それらの上をモリブデン(Mo)配線が横切っている。図23は図21の視認を容易にすべく線描した図であり、また、図24は、図22の視認を容易にすべく線描した図である。
なお、図21ないし図24は左右同じ対象物を観察したものである。
図21及び図23で見られるように、同種金属間(図21ではプラチナ(Pt))でショートが発生しているときにはSEM像では通電しているように見える。一方で、EBAC像上では交点以外の箇所と対比して何らの特徴も見出せない。
一方、図22及び図24では、SEM像だけで見れば、同種金属間と同じようにショートしていると捉えることができる。しかし、EBAC像を見るとプラチナ配線とモリブデン配線の交差部で明暗反応が生じる。これは電子ビームの照射によって異種金属交差部が過熱され、熱起電力が生じるためである。
このように同種金属間でのショートか、異種金属間でのショートか識別することで、障害発生の原因を特定できる。この識別方法は、隣接併走区間が長距離の場合、解析作業者の負担を軽減する効果が大きい。すなわち、クロスカーソルを両ネット併走区間の配線間に位置させ(「配線間」の具体例は図20参照)、クロスカーソル上の輝度変化から不良位置を判定することが有効である。
図25は隣接併走区間が長距離の場合にどのように高倍率画像をずらしていくかを表した図である。このように隣接併走区間にそって拡大範囲をずらしていけば良いため漏れなく解析が行える。
また、このように作業内容が特定できれば、作業の自動化についても考慮する道が開ける。図26は、図25の作業を自動で行う一例を表す図である。すなわち、データ処理部102が閾値を越えるか否かを判定することが可能となる。なお、人手によらずデータ処理部102による閾値判定を行う場合、判定閾値の設定は、半導体装置53の構造や電子ビームの照射条件に左右されることになるので注意が必要である。これは、図20と図26でショート位置における明暗の規模が相違する点でも分かる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは言うまでもない。