JP2010134753A - マーケットインパクト推計システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】銘柄毎に市場データを格納しておく市場データ記憶部14と、市場データに基づき、銘柄毎に、計測期間内における超過需要の累積値を算出する処理、計測期間内における流動性指標の累積値を算出する処理、計測期間の開始時価及び終了時価を抽出する処理、複数の計測期間毎に、超過需要の累積値、流動性指標の累積値、開始時価及び終了時価を含む複数組のサンプルデータを生成する処理、これらに基づいて回帰分析を実行し、超過需要の回帰係数を銘柄毎に求める処理、これを回帰係数記憶部20に格納する処理を実行する回帰係数算出部18と、銘柄、取引数量、取引種別が入力された場合に、当該銘柄に対応した超過需要の回帰係数を取引数量に乗ずることにより、価格変動率を算出する価格変動率算出部22を備えたマーケットインパクト推計システム10。
【選択図】図1
Description
つぎに、過去の取引データに基づいて、最良売り気配価格と最良買い気配価格との距離であるスプレッド率の平均値を、銘柄毎に求める。
最後に、市場に投入しようとしている特定銘柄の株数に上記パラメータ及び平均スプレッド率を適用することにより、マーケットインパクトの推計値を導く。
また、「超過需要」は上記の通り、買い約定の出来高の合計値から売り約定の出来高の合計値を減じた差を意味するため、買い圧力と売り圧力とのせめぎ合いによって価格が決定される市場の実態を、マーケットインパクトの推計にある程度反映させることに成功している。
すなわち、実際の取引場面においては、板上の反対側(買い注文の場合には売り側/売り注文の場合には買い側)の最良気配に対する指値注文の堆積具合に応じて、自らの注文をキャンセルしたり、価格や数量を変更したりすることが行われる。また、大量の買い約定が成立しているにもかかわらず、売り側の気配に同程度の指値注文が追加されているために価格が上昇しない、といった現象も生じる。要するに、結果的に約定したか否かに関係なく、最良気配に対する指値注文数量の増減自体が買い圧力あるいは売り圧力として機能し、価格形成に大きな影響を与えることが経験則上明らかであるにも関わらず、既存のシステムにおいては回帰分析に際して最良気配に対する指値注文数量の増減情報が全く反映されていないため、予測精度の点で改善の余地が残されていた。
ここで「仲値」とは、(買い側最良気配価格+売り側最良気配価格)÷2によって算出される値を意味する。
このため、約定の有無を問わず、最良気配における指値注文数量の増減という事実によって板上の価格形成に大きな影響が及ぶ市場の取引実態を、超過需要の回帰係数に反映させることが可能となり、結果的にマーケットインパクトの推計精度を飛躍的に向上させることができる。
また、市場データ記憶部14、銘柄情報記憶部16及び回帰係数記憶部20は、同コンピュータのハードディスク内に設けられている。
銘柄情報記憶部16には、株式銘柄に関する一般的な情報、例えば銘柄コード、銘柄名、発行済株式数等が予め格納されている。
価格変動率算出部22には、インターネット等の通信ネットワーク28を介して、各ユーザが操作する複数のクライアント端末30が接続される。
ここで「板」とは、図3に模式的に示すように、各価格に堆積した「売り」と「買い」の指値注文の数量分布を意味している。
また、板の右下に配置された各ブロックが買い側の指値注文である「買い気配」に対応しており、99円の位置に配置された買いの指値注文が、現状で最も価格が高くて約定しやすいため、「買い側最良気配」となる。
まず回帰係数算出部18は、市場データ記憶部14に格納された銘柄別の過去の市場データを所定期間分、読み込む(S10)。
ここで「超過需要」とは、買い手主導の約定(買い約定)数量から売り手主導の約定(売り約定)数量を引いた値を意味する。
これに対し、同じ板の状態において積極的な売り手が現れ、99円以下の売り注文あるいは成行注文を発した場合、「売り約定」が成立して買い側の最良気配が減少する。
これとは反対に、約定価格が上記仲値よりも低い場合には、売り手が買い側に積極的に譲歩した「売り約定」と判定される。
図5は、この計測期間の一例を示すものであり、ここでは「20営業日」を一計測期間として設定している。すなわち、回帰係数算出部18は、2008年10月1日〜10月24日の20営業日における買い約定の数量を加算して累積数量を求めると共に、同期間における売り約定の数量を加算して累積数量を求める。そして、買い約定の累積数量から売り約定の累積数量を減算することにより、上記計測期間における累積超過需要を求める。
図示は省略したが、回帰係数算出部18は過去の市場データに基づいて、累積超過需要を100個の計測期間分算出し、メモリに格納する。
「流動性指標」は、最良気配に投入された指値注文の増減数量に基づいて算出される。すなわち、上記の超過需要は、あくまでも約定に至った注文の数量に立脚した概念であるが、約定の成否とは関係なく、最良気配に指値注文が投入されたという事実、あるいは一旦最良気配に投入された指値注文がキャンセルされたという事実によって、板の価格形成に変動が生じることが知られている。
このため、このシステム10においては、回帰係数算出部18によって各計測期間における流動性指標の累積値が算出される。
このため回帰係数算出部18は、一定の判定ロジック(判定ルール)に従い、上記の限られたデータに基づいて最良気配に対する指値注文の増減数量を推定する方式を採用している。
また、約定数量が「0」以外の場合であっても、その約定価格と、時間的に一つ前の市場データにおける売り側最良気配価格及び買い側最良気配価格から算出される仲値とを比較し、「売り約定(買い側で成立した売り手主導の約定)」であると認定された場合には、買い約定の値として「なし」が認定される。
まずNO.1には、「売り側最良気配価格の変化:変化あり(低下または上昇)」であり、「買い約定の有無:あり」の組合せに該当する場合には、最良気配以外の気配に係る情報を参照しない限り、約定による最良気配の数量変化と指値注文の追加またはキャンセルによる数量変化を区別することができないため、処理の複雑化を避ける目的から「最良気配指値注文増減数量=0」と認定される旨が規定されている。
そして、「現時点の売り側最良気配数量:24,000株」、「前回の売り側最良気配数量:41,000株」、「買い約定数量:27,000株」であることから、以下の通り「10,000株」の増加が導かれる。
24,000−41,000+27,000=10,000
また、約定数量が「0」以外の場合であっても、その約定価格と、時間的に一つ前の市場データにおける売り側最良気配価格及び買い側最良気配価格から算出される仲値とを比較し、「買い約定(売り側で成立した買い手主導の約定)」であると認定された場合には、売り約定の値として「なし」が認定される。
まずNO.1には、「買い側最良気配価格の変化:変化あり(上昇または低下)」で「売り約定の有無:あり」の組合せに該当する場合には、最良気配以外の気配に係る情報を参照しない限り、約定による最良気配の数量変化と指値注文の追加またはキャンセルによる数量変化を区別することができないため、処理の複雑化を避ける目的から「最良気配指値注文増減数量=0」と認定される旨が規定されている。
つぎに回帰係数算出部18は、「買い側最良気配指値注文増減数量」の累積値から「売り側最良気配指値注文増減数量」の累積値を減算することにより、計測期間毎の累積流動性指標を求める。
「開始時価」とは、各計測期間の初日の前日における終値を意味する。また、「終了時価」とは、各計測期間の最終日における終値を意味する。
回帰係数算出部18は、銘柄毎に100個分のサンプルデータが揃うまで、上記のS12〜S18までの処理を繰り返す(S20)。
そして、全てのサンプルデータが揃った時点で、各サンプルデータに対して回帰計算を実行し、当該銘柄の回帰係数を求める(S22)。
また、右辺第1項の分母「Ve」には「計測期間の最終日における発行済株式数量」が代入され、分子「Δv1」には「計測期間内の超過需要の累積値」が代入される。
さらに、右辺第2項の分母「Ve」には「計測期間の最終日における発行済株式数量」が代入され、分子「Δv2」には「計測期間内の流動性指標の累積値」が代入される。
回帰係数算出部18は、上記S10〜S24の回帰係数算出処理を、必要とされる全銘柄について実行する(S26)。
まずユーザは、クライアント端末30から価格変動率算出部22にアクセスし、マーケットインパクト推計のリクエストを送信する。
これを受けた価格変動率算出部22は(S30)、クライアント端末30にマーケットインパクト推計用入力画面(HTMLファイル)を送信する(S32)。
つぎに価格変動率算出部22は、銘柄情報記憶部16を参照し、当該銘柄の現時点における発行済株式数量を取得する(S38)。
このように、実際のマーケットインパクト推計時には数1の右辺第2項に対して0が代入されるとしても、回帰計算時に流動性指標に係る第2項を設けておくことにより、超過需要に対応した第1項の回帰係数「λ1」の値に影響が及び、流動性指標を反映させることができるため、第2項を設けておく意義は十分に存在する。
また、回帰線の切片を表す定数項「μ」も、一般に有意な値とはならないため、マーケットインパクト推計時には0が代入される。
この結果、図9の(b)に示すように、クライアント端末30のWebブラウザ上に、具体的な価格変動率である「3.25%」が記述されたマーケットインパクト推計結果画面44が表示される。
因みに、ユーザが取引種別として「売り」を選択した場合には、価格の低下を示すマイナス符号がついた価格変動率が表示されることとなる。
例えば、専用のアプリケーションプログラムをクライアント端末30にセットアップすることにより、クライアント端末30内に価格変動率算出部22を設けることもできる。この場合、回帰係数記憶部20内の回帰係数データを、通信ネットワークあるいは記憶媒体を介してクライアント端末30に読み込ませておく。
まず回帰係数算出部18は、回帰係数記憶部20に格納された回帰係数の算出結果、すなわち各銘柄の超過需要回帰係数「λ1」の値と、その信頼性(有意性)を示す値である「t値」を読み込む(S50)。
この「t値」は、回帰係数算出部18によって上記の回帰計算時に同時に算出されている。
このシステム10においては、予め各銘柄の「発行済株式数×時価」によって算出される時価総額に応じて、銘柄を複数(例えば6つ)の企業規模グループに分類しており、そのグループの識別符号が銘柄情報記憶部16に設定されている。
つぎに回帰係数算出部18は、他の複数銘柄の超過需要回帰係数の平均値を算出し(S58)、この値によって回帰係数記憶部20に登録された当該銘柄の超過需要回帰係数を上書きする(S60)。
回帰係数算出部18は、S50〜S60の処理を全銘柄について実行する(S62)。
12 市場データ加工部
14 市場データ記憶部
16 銘柄情報記憶部
18 回帰係数算出部
20 回帰係数記憶部
22 価格変動率算出部
24 通信ネットワーク
26 証券取引所のコンピュータ
28 通信ネットワーク
30 クライアント端末
40 マーケットインパクト推計用入力画面
42 実行ボタン
44 マーケットインパクト推計結果画面
Claims (4)
- 株式の銘柄毎に、少なくとも取引日時、約定価格、約定数量、売り側最良気配価格、売り側最良気配数量、買い側最良気配価格、買い側最良気配数量を含む市場データを所定期間分格納しておく市場データ記憶手段と、
上記市場データに基づき、銘柄毎に、所定の計測期間内における買い約定の累積数量と売り約定の累積数量を算出し、買い約定の累積数量から売り約定の累積数量を減算することにより、当該計測期間における超過需要の累積値を算出する超過需要累積値算出手段と、
上記市場データに基づき、銘柄毎に、上記計測期間内における買い側最良気配に係る指値注文の累積増減数量と売り側最良気配に係る指値注文の累積増減数量を算出し、買い側最良気配に係る指値注文の累積増減数量から売り側最良気配に係る指値注文の累積増減数量を減算することにより、当該計測期間における流動性指標の累積値を算出する流動性指標累積値算出手段と、
上記市場データに基づき、銘柄毎に、上記計測期間の開始時価及び終了時価を抽出する手段と、
複数の計測期間毎に、上記超過需要の累積値、流動性指標の累積値、開始時価及び終了時価を含むサンプルデータを生成する手段と、
この複数組のサンプルデータに基づいて回帰分析を実行し、少なくとも超過需要の回帰係数と流動性指標の回帰係数を銘柄毎に求める手段と、
少なくとも超過需要の回帰係数を銘柄に関連付けて格納しておく回帰係数記憶手段と、
銘柄、取引数量、取引種別が入力された場合に、当該銘柄に対応した超過需要の回帰係数を上記取引数量に乗ずることにより、価格変動率を算出する手段と、
を備えたことを特徴とするマーケットインパクト推計システム。 - 上記超過需要累積値算出手段は、上記市場データから上記計測期間における約定数量を抽出した後、
一つ前の市場データにおける売り側最良気配価格及び買い側最良気配価格に基づいて仲値を算出し、
当該市場データの約定価格が上記仲値よりも高い場合には買い約定と認定し、低い場合には売り約定と認定することを特徴とする請求項1に記載のマーケットインパクト推計システム。 - 上記流動性指標累積値算出手段は、各市場データについて、買い側最良気配価格が一つ前の市場データに比べて変化しているか否か、及び当該市場データが売り約定を含むか否か、の2つの条件の組合せにより、買い側最良気配価格に係る指値注文増減数量を認定し、
売り側最良気配価格が一つ前の市場データに比べて変化しているか否か、及び当該市場データが買い約定を含むか否か、の2つの条件の組合せにより、売り側最良気配価格に係る指値注文増減数量を認定することを特徴とする請求項1または2に記載のマーケットインパクト推計システム。 - 各銘柄を所定の観点から複数の企業グループに分類した結果を示すグループ識別符号を銘柄毎に設定しておく企業グループ記憶手段と、
上記回帰分析時に生成された超過需要の回帰係数の信頼度を示すt値の絶対値が所定数未満の場合に、上記企業グループ記憶手段を参照し、当該銘柄の属する企業グループと、同企業グループに属する他の銘柄を取得する手段と、
上記回帰係数記憶手段を参照し、他の銘柄の超過需要回帰係数を取得する手段と、
これら他の銘柄の超過需要回帰係数の平均値を算出する手段と、
この平均値によって上記回帰係数記憶手段に格納された当該銘柄の超過需要回帰係数を置換する手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のマーケットインパクト推計システム。
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