JP2010133013A - ZnO蒸着材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ZnO原料粉末に添加される、希土類元素を1種含む希土類元素酸化物粉末の偏析を抑制し、組成均一性に優れたZnO蒸着材を製造するとともに、膜組成が均一なZnO膜が得られるZnO蒸着材を製造する。
【解決手段】ZnO原料粉末12と希土類元素を1種含む希土類元素酸化物粉末13との原料混合粉末14を用い、ドクターブレード法により得られたグリーンシートから、グリーン単層体19或いはグリーン積層体20又は29を作製し、これを焼成後に粉砕して混成粉末25又は31を作製する。この混成粉末を用いて造粒粉末を作製し、成形、焼結を経て、希土類元素を含むZnO焼結体からなるZnO蒸着材34を作製する。
【選択図】図4

Description

本発明は、例えば太陽電池などに用いられる透明導電膜や、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、タッチパネル装置の透明圧電センサーの透明電極、また表示装置を構成するアクティブマトリックス駆動装置、帯電防止導電膜コーティング、ガスセンサー、電磁遮蔽パネル、圧電デバイス、光電変換装置、発光装置、薄膜型二次電池などに用いられる導電膜を成膜するために用いられるZnO蒸着材の製造方法に関するものである。
近年、太陽電池などの光電変換装置などを製造する場合には、透明導電膜が不可欠である。従来の透明導電膜としては、ITO膜(錫をドープしたインジウム酸化物膜)が知られている。ITO膜は、透明性に優れ、低抵抗であるという利点を有する。
一方、太陽電池や液晶表示装置等にあっては、その低コスト化が求められている。しかし、インジウムが高価なことから、ITO膜を透明導電膜として用いると、その太陽電池も必然的に高価なものになってしまう難点があった。また、太陽電池などを製造する場合などには、透明導電膜上にアモルファスシリコンをプラズマCVD法により成膜することになるが、その際に、透明導電膜がITO膜であると、プラズマCVD時の水素プラズマにより、ITO膜が劣化するという問題点もあった。
これらの点を解消するために、一層安価に作製することのできるAl、B、Si、Ge、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Smなどの導電活性元素をドープした酸化亜鉛系膜を太陽電池等の透明導電膜として使用することが提案され、この酸化亜鉛系膜を蒸着により形成するための酸化亜鉛系蒸着材が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−088544号公報(請求項1、明細書[0005]〜[0008])
上記特許文献1に示されたZnO蒸着材は、図6に示すようにZnO粉末1と導電性を向上するための添加物粉末2とを混合して原料混合粉末3とし、この粉末から成形体5を得た後、ZnO蒸着材となる焼結体6を作製している。ZnO粉末1と導電性を向上するための添加物粉末2との混合が不十分であると、添加物2が偏析することがあり、添加物粉末の凝集体4が僅かな比率で存在する。このような添加物粉末の分布が不均一な原料混合粉末3を用いて成形体5を作製し、この成形体5により作製した焼結体6では、その焼結組織中には添加物が偏析することになる。組成分布が不均一な焼結体6を電子ビーム蒸着やプラズマ蒸着などの蒸着材に用いて成膜を行うと、膜組成が一定にならず、膜の組成制御が困難になる。また、膜中の添加元素濃度が低くなる問題も発生する。更に、添加物が偏析すると蒸発が不安定となってスプラッシュが発生する。スプラッシュが発生した場合の膜組織は不均一となり、それに伴い膜の比抵抗も上昇することになる。
本発明の目的は、ZnO原料粉末に添加される、希土類元素を1種含む希土類元素酸化物粉末の偏析を抑制し、組成均一性に優れたZnO蒸着材の製造方法を提供することにある。本発明の別の目的は、膜組成が均一なZnO膜が得られるZnO蒸着材の製造方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、純度が98%以上のZnO粉末と純度が98%以上の希土類元素酸化物粉末とから造粒粉末を作製し、上記造粒粉末をペレット状、タブレット状又は板状に成形した後、この成形体を焼結して、上記希土類元素を2〜20質量%含むZnO蒸着材を製造する方法の改良である。その特徴ある構成は、図1及び図3に示すように、上記希土類元素酸化物粉末が希土類元素群から選ばれた1種の元素を含み、上記ZnO粉末12と、上記希土類元素酸化物粉末13と、分散媒15と、バインダ16とを混合して濃度が20〜90質量%の第1スラリー11を調製する工程と、この第1スラリー11を用いてドクタブレード法により厚さ5〜500μmの第1グリーンシート18を形成する工程と、この第1グリーンシート18を切断して作製する第1グリーン単層体19、又はグリーン単層体を複数積層して第1グリーン積層体20を作製する工程と、この第1グリーン単層体19又は第1グリーン積層体20を焼成して第1混成焼成体21を作製する工程と、この第1混成焼成体21を粉砕して平均粒径が0.1〜100μmの第1混成粉末25を作製する工程と、この第1混成粉末25により造粒粉末32を作製する工程とを含むことにある。
本発明の第2の観点は、純度が98%以上のZnO粉末と純度が98%以上の希土類元素酸化物粉末とから造粒粉末を作製し、上記造粒粉末をペレット状、タブレット状又は板状に成形した後、この成形体を焼結して、上記希土類元素を2〜20質量%含むZnO蒸着材を製造する方法の改良である。その特徴ある構成は、図2及び図3に示すように、上記希土類元素酸化物粉末が希土類元素群から選ばれた1種の元素を含み、上記ZnO粉末12と、上記希土類元素酸化物粉末13と、分散媒15と、バインダ16とを混合して濃度が20〜90質量%の第1スラリー11aを調製する工程と、この第1スラリー11aを用いてドクタブレード法により厚さ5〜500μmの第1グリーンシート18aを形成する工程と、上記ZnO粉末12と、分散媒15と、バインダ16とを混合して濃度が20〜90質量%の第2スラリー11bを調製する工程と、上記第2スラリー11bを用いてドクターブレード法により厚さ5〜500μmの第2グリーンシート18bを形成する工程と、この第1グリーンシート18aを切断して作製する第1グリーン単層体19aと、第2グリーンシート18bを切断して作製する第2グリーン単層体19bとを積層して第2グリーン積層体29を作製する工程と、この第2グリーン積層体29を焼成して第2混成焼成体30を作製する工程と、この第2混成焼成体30を粉砕して平均粒径が0.1〜100μmの第2混成粉末31を作製する工程と、この第2混成粉末31により造粒粉末32を作製する工程とを含むことにある。
本発明の第3の観点は、第2の観点に基づく発明であって、更に第1グリーンシート18aの厚さと第2グリーンシート18bの厚さが同一又は異なるZnO蒸着材34の製造方法である。
本発明の第4の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、更に希土類元素群から選ばれた1種の元素がSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm又はSmであるZnO蒸着材34の製造方法である。
本発明の第5の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に第1グリーン積層体20の積層数が2〜100層であり、第1グリーン積層体20の厚さが10〜1000μmであるZnO蒸着材34の製造方法である。
本発明の第6の観点は、第2の観点に基づく発明であって、更に第2グリーン積層体29の積層数が2〜100層であり、第2グリーン積層体29の厚さが10〜1000μmであるZnO蒸着材34の製造方法である。
本発明の第7の観点は、第1ないし第6の観点の方法で製造されたZnO蒸着材34をターゲット材として真空成膜法により形成されたZnO膜である。
本発明の第1の観点の製造方法によれば、希土類元素酸化物の分散性が向上し、その偏析が抑制され組成均一性に優れたZnO焼結体であるZnO蒸着材が得られる。更に、本発明の第2の観点の製造方法によれば、希土類元素の濃度が極めて低いZnO焼結体を作製する場合において、効果的に希土類元素を分散させることができる。また、本発明の第3の観点の製造方法によれば、原料混合粉末中の希土類元素酸化物の凝集体を扁平形状にして焼成、粉砕することにより微粒化し、焼結体における希土類元素酸化物の偏析を抑制する効果がある。また、本発明の第4の観点の製造方法によれば、成膜されるZnO膜が広い温度範囲にわたって良好な導電性を有するといった効果がある。とりわけCeは、高い導電率が得られる。本発明の第1ないし第6の観点の蒸着材を用いると、安定した蒸着が可能となり、膜組成が均一で、成膜時の膜組成変化も少なく、所望の導電性及び可視光透過性を有するZnO膜が得られる。この素材は、透明導電膜の形成用に限らず、ガスセンサー、電磁遮蔽パネル、圧電デバイスなどの導電膜の形成用としても用いることが可能である。
本発明実施形態1の製造方法の中で、第1混成焼成体の粉砕工程までを示す図である。 本発明実施形態2の製造方法の中で、第2混成焼成体の粉砕工程までを示す図である。 本発明実施形態1又は2の製造方法の中で、第1又は第2混成粉末の造粒工程から焼結工程までを示す図である。 本発明実施形態1の、原料混合粉末から焼結体までの微視的な構造を示す模式図である。 本発明実施形態2の、原料混合粉末から焼結体までの微視的な構造を示す模式図である。 従来の焼結方法における、原料混合粉末から焼結体までの微視的な構造を示す模式図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
A.第1の実施形態
<第1スラリーの調製工程>
図1に示すように、まず初めに第1グリーンシート形成用の第1スラリー11を調製する。純度98%以上のZnO粉末12と、純度98%以上の希土類元素酸化物粉末13との原料混合粉末14を分散媒15中に分散させ、これにバインダ16を添加し混合して第1スラリー11を作製する。好ましくは、純度99.9%のZnO粉末と純度99.9%の希土類元素酸化物粉末を用いる。ZnO粉末12と希土類元素酸化物粉末13との配合比率は、ZnO蒸着材におけるZnOと希土類元素酸化物との合計質量を100質量%として、希土類元素を2〜20質量%含む比率である。好ましい希土類元素の比率は3〜6質量%である。希土類元素が上記下限値未満であると膜の導電性向上のために必要な希土類元素の濃度が確保できなくなり、上記上限値を越えるとZnO導電膜として基本的な性能が得られなくなるためである。
ZnO粉末12の平均粒径は、0.1〜5μmであることが好ましい。0.1μm未満であると粉末の凝集が著しくなり、5μmを越えると希土類元素酸化物との擬似固溶体を形成する効果が十分に得られないからである。また、希土類元素酸化物粉末13の平均粒径は、0.1〜3μmであることが好ましい。0.1μm未満であると粉末の凝集が著しくなり、3μmを越えるとZnOとの擬似固溶体を形成する効果が十分に得られないからである。これらの粉末の平均粒径は、レーザー回折・散乱法(マイクロトラック法)に従い、日機装社製(FRA型)を用い、分散媒としてヘキサメタりん酸Naを使用し、1回の測定時間を30秒として3回測定した値を平均化した。
分散媒15としては、水又は有機溶媒が挙げられる。この中で、水は作業性及び環境負荷という点で好ましい。添加するバインダ16としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースアンモニウム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられる。この中で、セルロース系のバインダは水溶性であり、作業性及び環境負荷という点で好ましい。バインダ16の添加量は、第1スラリー11を100質量%とするとき、1〜20質量%であることが好ましい。調製する第1スラリー11の濃度(全質量に対する粉末の質量)は20〜90質量%が好ましい。20質量%未満であると成形性が低下し、90質量%を越えると成形が困難になる。これは、成形に適する粘性が必要であるからである。また、第1スラリー11に分散剤や可塑剤を添加しても良い。分散装置としては、インペラ式攪拌混合機が主に用いられるが、ボールミルなどの回転式混合機等を用いても良い。
<第1グリーンシートの形成工程>
図1に示すように、上記の方法で調製した第1スラリー11をドクターブレード装置に装填し、キャリアフィルム上に所定の厚さの第1グリーンシート18を形成する。図4は、原料混合粉末14、第1グリーン積層体20、第1混成焼成体21、第1混成粉末25、成形体33及びZnO焼結体34の微視的な構造を模式的に示した図である。図1に戻って、第1グリーンシート18の厚さは、5〜500μmであることが好ましい。5μm未満であるとシートの作製が困難になり、また500μmを越えると希土類元素酸化物粉末の凝集体を押しつぶす効果が期待できず、擬似固溶体23(図4)を形成する割合も低くなり、分散性を向上させる効果が薄れるためである。好ましくは、10〜50μmである。
この実施形態における第1グリーンシート18の厚さは、分散性の観点から小さいほど好ましい。これは、希土類元素酸化物粉末が含まれる層を積層してプレス等を行うことにより、ZnO粒子12と希土類元素酸化物粒子13との接触が良好になり、この状態で熱処理を行うことで接触界面において擬似固溶体23が形成され易くなる効果があるからである。また、原料混合粉末14中の希土類元素酸化物の凝集体17を扁平形状にして焼成、粉砕することにより微粒化できる。これにより、第1混成粉末25中の希土類元素酸化物の分散性が向上し、これを用いて作製するZnO焼結体34の組成均一性を向上する効果が得られる。
<第1グリーン単層体又は積層体の作製工程>
図1に示すように、キャリアフィルム上に形成された第1グリーンシート18は、所定の形状に切断後、第1グリーン単層体19にするか、又はグリーン単層体を積層させることにより第1グリーン積層体20にする。この積層数は、2〜100層であることが好ましい。100層を越えると、積層化が困難になるという問題がある。好ましくは、5〜30層である。第1グリーン積層体20の厚さは10〜7000μmの範囲であり、好ましくは10〜1000μmの範囲である。これは、10μm未満であると成形及び焼成時のシート形状の維持が困難になるという問題があり、7000μmを越えると、粉砕工程において、板状の混成焼成体平面に垂直方向にクラックを発生させて微粉砕する効果が十分に得られないからである。50〜500μmの厚さが更に好ましい。第1グリーン積層体20に一軸プレス或いは圧延をかけても良い。プレスは、層間の接触を良好にし厚さを小さくする効果がある。
<第1グリーン単層体又は積層体の焼成工程>
図1に示すように、上記第1グリーン単層体19又は第1グリーン積層体20の焼成は、大気、不活性ガス、真空又は還元ガス雰囲気中である。好ましい雰囲気は、大気である。その焼成温度は1000℃以上、好ましくは1200〜1400℃の温度である。保持時間は、1〜10時間、好ましくは2〜5時間である。焼結の進行に伴い、シートの厚さは減少し、シートが変形しても、後述する第1混成粉末25を得る上での影響はほとんどない。このようにして第1混成焼成体21が作製される。
図4に示すように、原料混合粉末14から得られた第1グリーン積層体20を焼成してなる第1混成焼成体21を微視的に観察すると、ZnOマトリックス22中にSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm及びSmからなる群より選ばれた1種の希土類元素酸化物粒子が分散し、ZnOと希土類元素酸化物との擬似固溶体23となっている。通常、希土類元素酸化物の凝集体17が原料混合粉末14中に存在する比率は小さく、存在する場合、その凝集体焼結粒子24として第1混成焼成体21中に存在する。この希土類元素酸化物の凝集体17がシート表面に露出した部分は、上層又は下層のZnO粒子と接するため、グリーン単層体の場合よりもより多くの擬似固溶体が形成される。
<第1混成焼成体の粉砕工程>
図1に示すように、上記焼成により得られた第1混成焼成体21を機械的に粉砕し、第1混成粉末25を作製する。粉砕装置には、ジョークラッシャ、ロールクラッシャ、ハンマークラッシャ、ディスククラッシャ、スタンプミル、ボールミル、ビーズミル、振動ミル、ジェットミル等を用いる。平均粒径が0.1〜50μmの範囲に入るまで粉砕する。この範囲に平均粒径を制御したのは、機械的粉砕法により0.1μm未満に粉砕することは困難であり、50μmを越えると次の造粒工程、成形工程後の焼結工程で焼結が十分に進まず、所望の焼結密度が得られないからである。好ましい平均粒径は0.3〜5μmである。
図4に示すように、この第1混成粉末25中には、希土類元素酸化物がZnO粒子中に取り込まれた複合粒子26が主に存在し、その他に、希土類元素酸化物の凝集体焼結粒子24が粉砕されてできた希土類元素酸化物粒子27、又はZnOマトリックス22が粉砕されてできたZnO粒子28が存在する。熱処理工程を経て作製した上記複合粒子26は、ZnO粒子と希土類元素酸化物との界面で、ZnOと希土類元素酸化物の擬似固溶体23が形成されているものと考えられる。この場合、単なる原料混合粉末14を用いて成形し焼結体を作製するのと比べ、ZnOマトリックスに対する希土類元素の分散性が向上している。
また、グリーンシート形成時に希土類元素酸化物の比較的大きな凝集体17は扁平形状になる。原料混合粉末14中の希土類元素酸化物粉末の凝集体17の直径がドクターブレード形成厚みよりも大きい場合は、グリーンシート形成時に凝集体が押しつぶされる。このような扁平形状の凝集体焼結粒子24は粉砕工程において面の垂直方向にクラックを生じ易く、比較的容易に小径に粉砕される。従って、第1混成粉末25中に巨大な凝集体が残らない。その結果、第1混成粉末25中の希土類元素酸化物の分散性は向上し、これを用いて作製するZnO焼結体34中の希土類元素酸化物の分散性も向上する。一方、原料混合粉末14を単に仮焼する場合は、図6に示すように希土類元素酸化物の凝集体の球状焼結粒子ができる。これを微細に粉砕することは、この実施形態における方法と比べると困難である。
<第1混成粉末の造粒工程>
図3に示すように、上記第1混成粉末25と、有機溶媒と、バインダとを混合して、濃度が30〜75質量%のスラリーを調製する。好ましい濃度は40〜65質量%である。スラリーの濃度を30〜75質量%に限定したのは、75質量%を越えると上記スラリーが非水系であるため、安定した混合造粒が難しい問題点があり、30質量%未満では均一な組織を有する緻密なZnO焼結体が得られないからである。第1混成粉末25の平均粒径は0.3〜5μmの範囲内にあることが好ましい。混成粉末の平均粒径を上記範囲内に規定したのは、下限値未満であると粉末が細かすぎて凝集するため、粉末のハンドリングが悪くなり、高濃度スラリーを調製することが困難となる問題点があり、上限値を越えると、微細構造の制御が難しく、緻密なペレットが得られない問題点があるからである。
有機溶媒としてはエタノールやプロパノール等を用いることが好まく、バインダとしてはポリエチレングリコールやポリビニールブチラール等が好ましい。バインダの添加量は0.2〜5.0質量%であることが好ましい。また、混成粉末25とバインダと有機溶媒との湿式混合は、湿式ボールミル又は撹拌ミルにより行われる。湿式ボールミルでは、ZrO2製ボールを用いる場合には、直径5〜10mmの多数のZrO2製ボールを用いて8〜24時間、好ましくは20〜24時間湿式混合される。撹拌ミルでは、直径1〜3mmのZrO2製ボールを用いて0.5〜1時間湿式混合される。次に上記スラリーを噴霧乾燥して平均粒径が50〜250μm、好ましくは50〜200μmの造粒粉末32を得る。上記噴霧乾燥はスプレードライヤを用いて行われることが好ましい。
<成形工程>
図3に示すように、この造粒粉末32を所定の型に入れて所定の圧力で成形し、成形体33を作製する。所定の型は一軸プレス装置又は冷間静水圧成形装置(CIP(Cold Isostatic Press)成形装置)が用いられる。また、タブレットマシンやブリケットマシン等を用いてもよい。一軸プレス装置では、造粒粉末32を750〜2000kg/cm2(73.5〜196.1MPa)、好ましくは1000〜1500kg/cm2(98.1〜147.1MPa)の圧力で一軸加圧成形し、CIP成形装置では、造粒粉末32を1000〜3000kg/cm2(98.0〜294.2MPa)、好ましくは1500〜2000kg/cm2(147.1〜196.1MPa)の圧力でCIP成形する。圧力を上記範囲に限定したのは、成形体33の密度を高めるとともに焼結後の変形を防止し、後加工を不要にするためである。
<焼結工程>
図3に示すように、上記成形体33を所定の温度で焼結し、ZnO焼結体(ZnO蒸着材)34を作製する。焼結は大気、不活性ガス、真空又は還元ガス雰囲気中で1000℃以上、好ましくは1200〜1400℃の温度で1〜10時間、好ましくは2〜5時間行う。これにより相対密度が90%以上のペレットが得られる。上記焼結は大気圧下で行うが、ホットプレス(HP)焼結や熱間静水圧プレス(HIP、Hot Isostatic Press)焼結のように加圧焼結を行う場合には、不活性ガス、真空又は還元ガス雰囲気中で1000℃以上の温度で1〜5時間行うことが好ましい。また、一軸プレスにより板状の焼結体としても良い。このようにして、図4に示すように、ZnOマトリックス中の希土類元素の偏析が抑制され、組成均一性に優れたZnO焼結体(ZnO蒸着材)34を得ることができる。
<成膜工程>
このようにして得られたZnO焼結体(ZnO蒸着材)34を蒸着源として、真空成膜法により基板表面にZnO膜を形成する。上記ZnO膜を形成するための真空成膜法としては、電子ビーム蒸着法、反応性プラズマ蒸着法、イオンプレーティング法又はスパッタリング法などが挙げられる。
希土類添加元素が3価又は4価であって、これがZnO膜中に添加された場合、2価であるZnに対して過剰のキャリア電子を発生させるため、広い温度範囲にわたってZnO膜の導電率を向上させることができる。
B.第2の実施形態
<第2スラリーの調製工程>
図2に示すように、第1グリーンシート形成用の第1スラリー11aの調製条件は、基本的に実施形態1の第1スラリー11の調製条件に準ずる。第2グリーンシート形成用の第2スラリー11bの調製条件は、希土類元素酸化物粉末を混入させない以外、基本的に実施形態1の第1スラリー11の調製条件に準ずる。即ち、純度98%以上のZnO粉末12を分散媒15中に分散させ、これにバインダ16を添加し混合して第2スラリー11bを調製する。第1スラリー11a及び第2スラリー11bにおける分散媒15、バインダ16の種類と量は、実施形態1の第1スラリー11と同じにする。
<第2グリーンシートの形成工程>
図2及び図5に示すように、第1グリーンシートの形成と同様に、第2スラリー11bを用いて、第2グリーンシート18bを形成する。図5は、原料混合粉末14、第2グリーン積層体29、第2混成焼成体30、第2混成粉末31、成形体33及びZnO焼結体34の微視的な構造を模式的に示した図である。第2グリーンシート18bの厚さは、好ましくは5〜500μmである。5μm未満であるとシートの作製が困難になり、また500μmを越えると微粉砕する効果が十分に得られないからである。更に、好ましくは、10〜50μmである。
<第2グリーン積層体の作製工程>
図2に示すように、キャリアフィルム上に形成された第2グリーンシート18bを所定の形状に切断して第2グリーン単層体19bを作製し、これに第1グリーン単層体19aを積層させて第2グリーン積層体29を作製する。第2グリーン単層体19aと第1グリーン単層体19bとを交互に積層することが望ましい。積層数は、2〜100層とする。100層を越えると、積層化が困難になるという問題がある。好ましくは、5〜30層である。第2グリーン積層体29の厚さは10〜7000μmの範囲であり、好ましくは10〜1000μmの範囲である。これは、10μm未満であるとシートの作製が困難になる問題があり、7000μmを越えると、粉砕工程において、板状の混成焼成体平面に垂直方向にクラックを発生させて微粉砕する効果が十分に得られないからである。50〜500μmが更に好ましい。更に第2グリーン積層体29に一軸プレス或いは圧延をかけても良い。プレスは、層間の接触を良好にし厚さを小さくする効果がある。
<第2グリーン積層体の焼成工程>
図2及び図5に示すように、第2グリーン積層体29の焼成により、第2混成焼成体30を作製する。その焼成条件は、第1の実施形態に準ずる。
<第2混成焼成体の粉砕工程>
図2及び図5に示すように、第2混成焼成体30の粉砕により、第2混成粉末31を作製する。その粉砕条件は、平均粒径が0.1〜100μmの範囲に入るまで粉砕する以外は、基本的に第1の実施形態に準ずる。
<第2混成粉末の造粒工程>
図3に示すように、第2混成粉末31より、造粒粉末32を作製する。その造粒条件は、第1の実施形態に準ずる。
<成形工程>
図3及び図5に示すように、第2混成粉末31の造粒粉末32を成形し、成形体33を作製する。その成形条件は、第1の実施形態に準ずる。
<焼結工程>
図3及び図5に示すように、第2混成粉末31の成形体33を焼結し、ZnO焼結体34を作製する。その焼結条件は、第1の実施形態に準ずる。第2の実地形態は、実施形態1の場合と同様に、希土類元素酸化物の分散性を向上する効果が得られる。とりわけ、希土類元素の濃度が極めて低いZnO焼結体ペレットを作製する場合において、効果的に希土類元素を分散させる手段として有効である。
<成膜工程>
第2の実地形態により作製したZnO焼結体(ZnO蒸着材)34を蒸着源とするZnO膜の作製は、第1の実施形態に準ずる。
<実施例1>
先ず、第1グリーンシート形成用の第1スラリーを調製した。具体的には、インペラ式攪拌混合機を用いて、純度が99%、平均粒径が2μmのZnO粉末と、希土類元素酸化物粉末として純度が99%、平均粒径が2.5μmのCeO2粉末を、分散媒である有機溶媒中に分散させ、これにバインダとしてポリビニルアルコールを添加し混合して、濃度が30質量%の第1スラリーを作製した。バインダの添加量は、作製後の第1スラリーを100質量%としたとき、10質量%となるように調整した。また、ZnO粉末と希土類元素酸化物粉末であるCeO2粉末との配合比率は、最終的に得られるZnO蒸着材におけるZnOと希土類元素酸化物との合計質量を100質量%としたとき、希土類元素であるCe元素が5質量%含まれるように調整した。
次に、上記作製した第1スラリーをドクターブレード装置に装填し、キャリアフィルム上に厚さ50μmの第1グリーンシートを形成した。続いて、この第1グリーンシートを所定の形状に切断して得られた第1グリーン単層体を積層し、更に一軸プレスによってプレスすることにより、計20層からなる厚さ700μmの第1グリーン積層体を形成した。
次に、この第1グリーン積層体を大気雰囲気中、焼成温度1200℃の温度で3時間保持して焼成することにより、第1混成焼成体を作製した。
次に、焼成により得られた第1混成焼成体を、気流式ジェットミルを用いて粉砕し、平均粒径0.1μmの第1混成粉末を得た。
次に、上記得られた第1混成粉末と、有機溶媒と、バインダとを混合して、濃度が30質量%のスラリーを調製した。有機溶媒としてはエタノールを用い、バインダとしてはポリビニルアルコールを用いた。また、バインダの添加量は5質量%とした。また、第1混成粉末とバインダと有機溶媒との湿式混合は、湿式ボールミルにより行なった。具体的には、直径5mmの多数のZrO2製ボールを用いて12時間湿式混合を行った。次いでスプレードライヤを用いて上記スラリーを噴霧乾燥して平均粒径が250μmの造粒粉末を得た。
次に、この造粒粉末を一軸プレス装置(理研精機社製 型式名:CD型)を用いて、圧力1000kg/cm2(98MPa)にて一軸加圧成形することにより成形体を作製した。
最後に、大気焼成炉により、上記成形体を大気雰囲気中、1200℃の温度で5時間焼結することにより、ZnO焼結体(ZnO蒸着材)を得た。
<実施例2>
次の表1に示すように、平均粒径0.7μmの第1混成粉末を得たこと以外は、実施例1と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<実施例3>
次の表1に示すように、平均粒径3μmの第1混成粉末を得たこと以外は、実施例1と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<実施例4>
次の表1に示すように、平均粒径50μmの第1混成粉末を得たこと以外は、実施例1と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<実施例5>
次の表1に示すように、第1グリーンシートの厚さを5μmとしたこと、及び第1グリーン積層体の厚さを70μmとしたこと以外は、実施例3と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<実施例6>
次の表1に示すように、第1グリーンシートの厚さを200μmとしたこと、及び第1グリーン積層体の厚さを2800μm以外は、実施例3と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<実施例7>
次の表1に示すように、第1グリーンシートの厚さを500μmとしたこと、及び第1グリーン積層体の厚さを7000μmとしたこと以外は、実施例3と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<実施例8>
次の表1に示すように、第1グリーン単層体を積層して計2層からなり、厚さが70μmの第1グリーン積層体を形成したこと以外は、実施例3と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<実施例9>
次の表1に示すように、第1グリーン単層体を積層して計100層からなり、厚さが3500μmの第1グリーン積層体を形成したこと以外は、実施例3と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<実施例10>
次の表1に示すように、CeO2粉末の代わりに希土類元素酸化物粉末としてSc23粉末を使用したこと以外は、実施例3と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<実施例11>
次の表1に示すように、CeO2粉末の代わりに希土類元素酸化物粉末としてY23粉末を使用したこと以外は、実施例3と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<実施例12>
次の表1に示すように、CeO2粉末の代わりに希土類元素酸化物粉末としてLa23粉末を使用したこと以外は、実施例3と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<実施例13>
次の表1に示すように、CeO2粉末の代わりに希土類元素酸化物粉末としてPr611粉末を使用したこと以外は、実施例3と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<実施例14>
次の表1に示すように、CeO2粉末の代わりに希土類元素酸化物粉末としてNd23粉末を使用したこと以外は、実施例3と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<実施例15>
次の表1に示すように、CeO2粉末の代わりに希土類元素酸化物粉末としてPm23粉末を使用したこと以外は、実施例3と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<実施例16>
次の表1に示すように、CeO2粉末の代わりに希土類元素酸化物粉末としてSm23粉末を使用したこと以外は、実施例3と同様に、ZnO蒸着材を得た。
Figure 2010133013
<比較例1>
次の表2に示すように、平均粒径60μmの第1混成粉末を得たこと以外は、実施例1と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<比較例2>
次の表2に示すように、平均粒径100μmの第1混成粉末を得たこと、及び平均粒径が5mmの造粒粉末を得たこと以外は、実施例1と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<比較例3>
次の表2に示すように、第1グリーンシートの厚さを600μmとしたこと、及び第1グリーン積層体の厚さを8400μmとしたこと以外は、実施例3と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<比較例4>
次の表2に示すように、第1グリーンシートの厚さを1000μmとしたこと、及び第1グリーン積層体の厚さを14000μmとしたこと以外は、実施例3と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<比較例5>
次の表2に示すように、第1グリーンシートの厚さを3000μmとしたこと、及び第1グリーン積層体の厚さを42000μmとしたこと以外は、実施例3と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<比較例6>
次の表2に示すように、第1グリーン単層体を積層して計200層からなり、厚さが7000μmの第1グリーン積層体を形成したこと以外は、実施例3と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<比較例7>
次の表2に示すように、第1グリーン単層体を積層して計1000層からなり、厚さが35000μmの第1グリーン積層体を形成したこと以外は、実施例3と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<比較例8>
先ず、純度が99%、平均粒径が2μmのZnO粉末と、希土類元素酸化物粉末として純度が99%、平均粒径が2.5μmのCeO2粉末と、有機溶媒と、バインダとを実施例1で用いた湿式ボールミルを用いて混合し、濃度が30質量%のスラリーを調製した。有機溶媒としてはエタノールを用い、バインダとしてはポリビニルアルコールを用いた。また、バインダの添加量は10質量%とした。
次に、スプレードライヤを用いて上記スラリーを噴霧乾燥して平均粒径が250μmの造粒粉末を得た。次いで、この造粒粉末を、実施例1と同じ装置を用いて、成形体を作製し、最後にこの成形体を実施例1と同一条件で焼結することにより、ZnO焼結体(ZnO蒸着材)を得た。
<比較例9>
次の表2に示すように、CeO2粉末の代わりに希土類元素酸化物粉末としてSc23粉末を使用したこと以外は、比較例8と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<比較例10>
次の表2に示すように、CeO2粉末の代わりに希土類元素酸化物粉末としてY23粉末を使用したこと以外は、比較例8と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<比較例11>
次の表2に示すように、CeO2粉末の代わりに希土類元素酸化物粉末としてLa23粉末を使用したこと以外は、比較例8と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<比較例12>
次の表2に示すように、CeO2粉末の代わりに希土類元素酸化物粉末としてPr611粉末を使用したこと以外は、比較例8と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<比較例13>
次の表2に示すように、CeO2粉末の代わりに希土類元素酸化物粉末としてNd23粉末を使用したこと以外は、比較例8と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<比較例14>
次の表2に示すように、CeO2粉末の代わりに希土類元素酸化物粉末としてPm23粉末を使用したこと以外は、比較例8と同様に、ZnO蒸着材を得た。
<比較例15>
次の表2に示すように、CeO2粉末の代わりに希土類元素酸化物粉末としてSm23粉末を使用したこと以外は、比較例8と同様に、ZnO蒸着材を得た。
Figure 2010133013
<比較試験及び評価>
実施例1〜16及び比較例1〜15で得られたZnO蒸着材を用いて、ガラス基板の上に、電子ビーム蒸着法により、所定の膜厚のZnO膜を形成した。成膜条件は、到達真空度が1.0×10-4Paであり、酸素ガス分圧が1.0×10-2Paであり、基板温度が200℃であり、成膜速度が0.5nm/秒であった。形成されたZnO膜について、それぞれ膜厚、透過率及び比抵抗を評価した。これらの結果を次の表3及び表4に示す。
膜厚は、ULVAC社製のDektak6M型接触式膜厚計で測定した。透過率は、測定器として株式会社日立製作所社製の分光光度計U−4000を用い、380〜780nmの可視光波長域について、成膜後の基板を測定光に対して垂直に設置して測定した。また、比抵抗は、三菱化学社製のロレスタ(HP型、MCP−T410、プローブは直列1.5mmピッチ)を用い、雰囲気が25℃の所謂常温において定電流印加による4端子4探針法により測定した。体積抵抗の測定可能範囲は1.0×10-6〜1.0×108Ω・cmである。
Figure 2010133013
Figure 2010133013
表1〜表4から明らかなように、実施例1〜9と比較例8とを比較すると、同じ種類の希土類酸化物粉末を添加してZnO蒸着材を作製したにも拘わらず、実施例1〜9のZnO蒸着材を用いて成膜された蒸着膜の比抵抗は、比較例8に比べていずれも低く、良好な導電性が得られることが確認された。
また、実施例1〜9と比較例1,2を比較すると、第1混成粉末の平均粒径が50μmを超える比較例1,2では、焼結が十分に進まず所望の焼結密度が十分に得られなかったことから、成膜された蒸着膜の比抵抗が実施例1〜9に比べて高くなり、良好な導電性が得られなかった。
また、実施例1〜9と、比較例3〜5を比較すると、第1グリーンシートの厚さが500μmを超える比較例3〜5では、希土類元素酸化物粉末の凝集体が押しつぶされることによる分散性の向上効果が薄れ、ZnO蒸着材における組成均一性が十分に得られなかった。このため、均一な組成であり、かつ緻密な膜が得られず、成膜された蒸着膜の比抵抗が実施例1〜9に比べて高くなり、良好な導電性が得られなかった。
また、実施例1〜9と、比較例6,7を比較すると、グリーンシート積層数が100層を超える比較例6,7では、積層数が大きくなるとかえって粉砕による均一混合の効果が薄れ、蒸着の際に均一な組成であり、かつ緻密な膜が得られ難かったため、成膜された蒸着膜の比抵抗が実施例1〜9に比べて高くなり、良好な導電性が得られなかった。
更に、実施例10〜16と、同じ種類の希土類酸化物粉末を添加してZnO蒸着材を作製した比較例9〜15とをそれぞれ比較すると、同じ種類の希土類酸化物粉末を使用したにも拘わらず、実施例10〜16のZnO蒸着材を用いて成膜された蒸着膜の比抵抗は、比較例9〜15のそれぞれに比べていずれも低く、良好な導電性が得られることが確認された。このことから、CeO2粉末以外の他の希土類酸化物粉末を添加して作製されるZnO蒸着材についても、本発明が効果的であることが確認された。
11 実施形態1の第1スラリー
11a 実施形態2の第1スラリー
11b 実施形態2の第2スラリー
12 ZnO粉末
13 希土類元素群から選ばれた1種の元素を含む希土類元素酸化物粉末
14 ZnO粉末と希土類元素酸化物粉末との原料混合粉末
15 分散媒
16 バインダ
17 希土類元素を1種含む希土類元素酸化物粉末の凝集体
18 実施形態1の第1グリーンシート
18a 実施形態2の第1グリーンシート
18b 実施形態2の第2グリーンシート
19 実施形態1の第1グーリン単層体
19a 実施形態2の第1グーリン単層体
19b 実施形態2の第2グーリン単層体
20 第1グーリン積層体
21 第1混成焼成体
22 ZnOマトリックス
23 ZnOと希土類元素酸化物との擬似固溶体
24 希土類元素を1種含む希土類元素酸化物の凝集体焼結粒子
25 第1混成粉末
26 希土類元素酸化物がZnO粒子中に取り込まれた複合粒子
27 希土類元素酸化物の凝集体焼結粒子が粉砕されてできた希土類元素酸化物粒子
28 ZnOマトリックスが粉砕されてできたZnO粒子
29 第2グリーン積層体
30 第2混成焼成体
31 第2混成粉末
32 造粒粉末
33 成形体
34 ZnO焼結体(ZnO蒸着材)

Claims (7)

  1. 純度が98%以上のZnO粉末と純度が98%以上の希土類元素酸化物粉末とから造粒粉末を作製し、前記造粒粉末をペレット状、タブレット状又は板状に成形した後、この成形体を焼結して、前記希土類元素を2〜20質量%含むZnO蒸着材を製造する方法において、
    前記希土類元素酸化物粉末が希土類元素群から選ばれた1種の元素を含み、
    前記ZnO粉末と前記希土類元素酸化物粉末を分散媒とバインダと混合して濃度が20〜90質量%の第1スラリーを調製する工程と、
    前記第1スラリーを用いてドクタブレード法により厚さ5〜500μmの第1グリーンシートを形成する工程と、
    前記第1グリーンシートの単層体又は前記第1グリーンシートを複数積層した第1グリーン積層体を焼成して第1混成焼成体を作製する工程と、
    前記第1混成焼成体を粉砕して平均粒径が0.1〜50μmの第1混成粉末を作製する工程と、
    前記第1混成粉末により前記造粒粉末を作製する工程と
    を含むことを特徴とするZnO蒸着材の製造方法。
  2. 純度が98%以上のZnO粉末と純度が98%以上の希土類元素酸化物粉末とから造粒粉末を作製し、前記造粒粉末をペレット状、タブレット状又は板状に成形した後、この成形体を焼結して、前記希土類元素を2〜20質量%含むZnO蒸着材を製造する方法において、
    前記希土類元素酸化物粉末が希土類元素群から選ばれた1種の元素を含み、
    記ZnO粉末と前記希土類元素酸化物粉末を分散媒とバインダと混合して濃度が20〜90質量%の第1スラリーを調製する工程と、
    前記第1スラリーを用いてドクタブレード法により厚さ5〜500μmの第1グリーンシートを形成する工程と、
    前記ZnO粉末と分散媒とバインダとを混合して濃度が20〜90質量%の第2スラリーを調製する工程と、
    前記第2スラリーを用いてドクターブレード法により厚さ5〜500μmの第2グリーンシートを形成する工程と、
    前記第1グリーンシートの単層体と前記第2グリーンシートの単層体とを積層した第2グリーン積層体を焼成して第2混成焼成体を作製する工程と、
    前記第2混成焼成体を粉砕して平均粒径が0.1〜100μmの第2混成粉末を作製する工程と、
    前記第2混成粉末により前記造粒粉末を作製する工程と
    を含むことを特徴とするZnO蒸着材の製造方法。
  3. 前記第1グリーンシートの厚さと前記第2グリーンシートの厚さが同一又は異なる請求項2記載のZnO蒸着材の製造方法。
  4. 前記希土類元素群から選ばれた1種の元素がSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm又はSmである請求項1又は2記載のZnO蒸着材の製造方法。
  5. 前記第1グリーン積層体の積層数が2〜100層であり、前記第1グリーン積層体の厚さが10〜1000μmである請求項1記載のZnO蒸着材の製造方法。
  6. 前記第2グリーン積層体の積層数が2〜100層であり、前記第2グリーン積層体の厚さが10〜1000μmである請求項2記載のZnO蒸着材の製造方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法で製造されたZnO蒸着材をターゲット材として真空成膜法により形成されたZnO膜。
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