JP2010132890A - 接着シート及びこれを用いた半導体装置の製造方法 - Google Patents

接着シート及びこれを用いた半導体装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 半導体チップの積層化に伴って生じる熱履歴による熱劣化が抑制され、接続信頼性を確保するための粘着性を有するとともに、基板又は半導体チップの凹凸を完全に埋め込むために低粘度で、かつ室温ではべたつかず作業性に優れる接着シート、及びこれを用いた半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】 (A)高分子量成分、(B)熱硬化性成分、(C)フィラー及び(D)酸化防止剤を含有する接着剤組成物をシート状に成形した接着層を備える接着シートを作製し、この接着シートを使用して半導体パッケージを構成し、空気中で硬化させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、接着シート及びこれを用いた半導体装置の製造方法に関する。
近年、携帯電話や携帯オーディオ機器に適用されるメモリパッケージチップを複数積層したスタックドMCP(Multi Chip Package)が普及している(例えば、特許文献1〜5参照)。そして、画像処理技術及び携帯電話等の多機能化に伴って、スタックドMCPの高集積化及び高密度化が進められ、半導体チップの積層段数は年々増加している。
スタックドMCPは、代表的に、接着(粘着)シートを介在させて複数の半導体チップを積層することによって製造され、接着シートは半導体チップの積層工程の度に繰り返し熱履歴を受けることになる。そのため、接着シートは、積層工程時に熱劣化を受け難いことが重要となる。また、接着シートは、接続信頼性を確保するのに十分な粘着性を示す必要がある。さらに、積層工程時に低温及び低荷重で基板又は半導体チップの凹凸を完全に埋め込むことができるように、接着シートは低粘度であり、かつ室温ではべとつかずに作業性に優れていることが好ましい。このような観点から、スタックドMCPの製造に良好に適用できる接着シートの開発が望まれている。
特開2001−279197号公報 特開2002−222913号公報 特開2002−359346号公報 特開2001−308262号公報 特開2004−072009号公報
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、半導体チップの積層工程で生じる熱履歴による熱劣化が少なく、また接続信頼性を確保するのに十分な粘着性を有するとともに、低粘度であり、かつ室温でべとつかずに作業性に優れる接着シートを提供することを目的とする。また、そのような樹脂シートを使用するスタックドMCP等の半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の事項に関する。
(1)(A)重量平均分子量が5〜120万であり、及びTgが−50〜50℃である高分子量成分、(B)熱硬化性成分、(C)フィラー、及び(D)酸化防止剤を含む接着剤組成物をシート状に成形した接着層を備える接着シート。
(2)上記(A)高分子量成分が、エポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体である上記(1)に記載の接着シート。
(3)上記(B)熱硬化性成分が、(b1)Tgが50℃以下のエポキシ樹脂と、(b2)Tgが50℃以上であり、100℃以下のエポキシ樹脂とを含有するものである上記(1)又は(2)に記載の接着シート。
(4)上記(B)熱硬化性成分が、(b3)下記一般式(1)で表される構造単位を有するフェノール樹脂、又は(b4)下記一般式(2)で表される構造単位を有するフェノール樹脂を含むものである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の接着シート。
Figure 2010132890
(一般式(1)中、Rはアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、水酸基又はハロゲン原子を示し、mは0〜3の整数を示す。)
Figure 2010132890
(一般式(2)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基を示し、Rはアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、水酸基又はハロゲン原子を示し、nは0〜4の整数を示す。)
(5)(D)酸化防止剤が、ヒンダードフェノール類である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の接着シート。
(6)上記接着剤組成物に、さらに(E)硬化促進剤を含有してなる上記(1)〜(5)のいずれかに記載の接着シート。
(7)上記接着剤組成物の硬化前の80℃における溶融粘度が300Pa・s以上、5000Pa・s以下であり、上記接着層の有機基板への接着力が2MPa以上であり、上記接着層の厚さが5〜250μmである上記(1)〜(6)のいずれかに記載の接着シート。
(8)上記接着剤組成物における上記成分(A)〜(D)の総質量を100質量%として、(A)高分子量成分が10〜30質量%、(B)硬化剤が40〜60質量%、(C)フィラーが20〜40質量%及び(D)酸化防止剤が1〜10質量%の配合量である、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の接着シート。
(9)半導体パッケージを有する半導体装置の製造方法であって、配線基板上に上記(1)〜(8)のいずれかに記載の接着シートを設ける工程と、上記接着シートをBステージ化した後に半導体チップを圧着実装する工程と、引き続き、上記接着シートを空気中で硬化させる工程とを繰り返し実施することによって半導体パッケージを形成することを特徴とする製造方法。
(10)上記圧着実装工程が、80℃の温度条件下で実施される、上記(9)に記載の製造方法。
本発明によれば、半導体チップの積層工程で生じる熱履歴による熱劣化が少なく、優れた粘着性を示すとともに、低粘度であり、かつ室温ではべとつかずに作業性に優れる接着シートを提供することができる。半導体チップの積層工程は、一般的に概ね170℃の高温下で実施される。しかし、本発明の接着シートによれば、半導体チップの圧着実装をそのような高温下で実施する必要がなく、概ね120℃の低温下であっても基板又は半導体チップの凹凸を完全に埋め込むことができる。そのため、本発明の接着シートはMCP等の各種半導体装置の製造に好適に使用でき、信頼性の高い半導体装置を容易に提供することを可能にする。
本発明の第1の特徴は、(A)高分子量成分、(B)硬化剤、(C)フィラー及び(D)酸化防止剤を含む接着剤組成物をシート状に成形した接着層を備える接着シートに関する。以下、本発明の接着シートを構成する各成分について説明する。
(A)高分子量成分
本発明における(A)高分子量成分は、エポキシ基、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基等の架橋性官能基を有する重合体を意図している。より具体的には、上述の架橋性官能基を有するポリイミド樹脂、(メタ)アクリル共重合体、ウレタン樹脂ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
先に例示した中でも、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル共重合体が好ましく、エポキシ基を架橋性官能基として含有するエポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体がより好ましい。このようなエポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等の官能性モノマと、(メタ)アクリル酸誘導体モノマとを含有する2種以上のモノマを共重合させることによって得られる。(メタ)アクリル酸誘導体の具体例として、(メタ)アクリレート、および(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
上述のエポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体の具体例として、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体、及びエポキシ基含有アクリルゴム等が挙げられる。エポキシ基含有アクリルゴムは、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等の官能性モノマと、(メタ)アクリレートと、アクリロニトリルとを共重合させることによって得られる。なお、上述のアクリルゴムは、アルキルアクリレートを主成分とするものであり、代表的には、エチルアクリレートとアクリロニトリルとの共重合体、又はブチルアクリレートとアクリロニトリルとの共重合体等からなるゴムを意図している。本発明の一実施形態では、成分(A)としてエポキシ基含有アクリルゴムを好適に使用することができる。このようなアクリルゴムは、例えば、ナガセケムテックス(株)製、商品名「HTR−860P−3」として入手することができる。
本発明において成分(A)として使用する高分子量成分の重量平均分子量は、特に制限はないが、5〜120万が好ましく、10〜120万がより好ましい。高分子量成分の重量平均分子量が5万未満であると成膜性が悪くなる傾向があり、一方、120万を超えると流動性が低下する傾向がある。なお、本明細書で使用する用語「重量平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値を意図している。
(A)高分子量成分のTgは、−50〜50℃が好ましく、−30〜20℃がより好ましい。高分子量成分のTgが−50℃未満では、フィルム成形を行った後のタック力が上昇し、作業性が悪くなる傾向があり、一方、50℃を超えると流動性を損なう傾向がある。
(B)熱硬化性成分
本発明における(B)熱硬化性成分は、半導体素子を実装する場合に要求される耐熱性及び耐湿性を有し、かつ150℃以上にて硬化反応が進行し、高分子量化する熱硬化性樹脂とその硬化剤を主成分とする。熱硬化性成分は、Bステージ化の温度よりも高い温度で硬化し始めなければならない。仮に、熱硬化性成分がBステージ化の温度で硬化し始めると、フィルムとしての特性が損なわれてしまうことになる。通常、Bステージ化のための硬化は、概ね140℃の温度条件で実施されるため、上述のような熱硬化性成分を主成分とすることが好ましい。本発明では、(B)熱硬化性成分として、エポキシ樹脂及びその硬化剤を主成分として使用することが好ましい。
本発明において使用可能なエポキシ樹脂は、硬化後に接着作用を発現するものであればよく、特に制限はない。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等の二官能エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;多官能エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂等、一般に知られているエポキシ樹脂を適用することができる。高接着性、低粘度化および作業性の観点から、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好適である。
本発明の好ましい一実施形態では、異なるTgを有するエポキシ樹脂を組み合わせて用いることが好ましい。接着シートの流動性と作業性とを両立させる観点から、(b1)Tgが50℃以下のエポキシ樹脂と、(b2)Tgが50℃以上、100℃以下のエポキシ樹脂を組み合わせて用いることが特に好ましい。このような(b1)及び(b2)の各種エポキシ樹脂の組み合わせでは、(b1)の配合量が増加するのに伴って、接着剤組成物の接着性は低下し、べとつき易く作業性が低下する傾向がある。一方、(b2)の配合量は作業性に影響する。(b2)の配合量が適切であれば良好な作業性を維持できるが、配合量が過剰になると接着剤組成物は脆くなり、作業性が低下する傾向がある。
本発明による接着シートの作業性を考慮すると、接着層のタック強度は、10〜500が好ましく、100〜300がより好ましい。このような観点から、(b1)/(b2)の質量配合比は、特に限定されるものではないが、2〜7が好ましく、1.5〜4の範囲がより好ましい。また、使用するエポキシ樹脂1分子あたりのエポキシ基の数、すなわちエポキシ当量数は、10〜300、より好ましくは150〜250であることが望ましい。エポキシ当量数が100よりも小さくなると、接着シートの接着力が低下する傾向がある。一方、エポキシ当量数が300よりも大きくなると、接着シートの靭性が低下し、成膜性が悪くなる傾向がある。
本発明で好適に使用可能なTgが50℃以下のエポキシ樹脂(b1)として、例えば、東都化成(株)製の商品名「YDF−8170C」(Tg:44℃、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量159)が挙げられる。また、Tgが50℃以上、100℃以下のエポキシ樹脂(b2)として、例えば、東都化成(株)製の商品名「YDCN−700−10」(Tg:75℃、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量210)が挙げられる。
本発明では、(B)熱硬化性成分として、上述のエポキシ樹脂とともに硬化剤を使用する。硬化剤は、通常、エポキシ樹脂硬化剤として用いられる公知の硬化剤であってよい。例えば、アミン類、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール類、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の一実施形態では、エポキシ樹脂硬化剤(b3)として、下記一般式(1)で表される構造単位を有するフェノール樹脂を使用することが好ましい。
Figure 2010132890
一般式(1)において、Rはアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、水酸基又はハロゲン原子を示し、mは0〜3の整数を示す。より具体的には、一般式(1)において、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデジル基等の鎖状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルキル基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、デセニル基等のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基;水酸基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等であってよい。mは0〜3の整数を示し、好ましくは0である。一般式(1)で表される構造単位の繰り返し数は、1分子当たり1〜50であることが好ましい。
本発明の別の実施形態では、エポキシ樹脂硬化剤(b4)として、下記一般式(2)で表される構造単位を有するフェノール樹脂を使用することが好ましい。
Figure 2010132890
一般式(2)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基を示し、Rはアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、水酸基又はハロゲン原子を示し、nは0〜4の整数を示す。より具体的には、一般式(2)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデジル基等の鎖状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルキル基を示し、これらの中でも、R及びRは、メチル基が好ましい。また、Rは、先に一般式(1)のRとして例示した同様のアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、アリール基又はハロゲン原子であってよい。nは0〜4の整数を示し、好ましくは0である。一般式(2)で表される構造単位の繰り返し数は、1分子当たり1〜50であることが好ましい。
一般式(1)で表される構造単位を有するフェノール樹脂、及び一般式(2)で表される構造単位を有するフェノール樹脂のいずれも、硬化剤としての機能を考慮すると、吸湿性が低いことが好ましい。例えば、85℃、85%のRHの恒温恒湿槽に48時間投入した後の上記フェノール樹脂の吸水率が、それぞれ2質量%以下であることが好ましい。さらに、上記フェノール樹脂を熱重量分析計(TGA)で測定した際の350℃における加熱質量減少率(昇温速度:5℃/分、窒素雰囲気下)が5質量%未満であることがより好ましい。
また、接着剤組成物の溶融粘度を低下させる観点から、本発明では、Tgの低いフェノール樹脂を硬化剤として使用することが好ましい。具体的には、Tgが50〜150℃、より好ましくは70〜100℃であるフェノール樹脂が好ましい。使用するフェノール樹脂のTgが50℃よりも低くなると、室温における作業性が低下する傾向がある。一方、Tgが150℃よりも高いフェノール樹脂を使用した場合、凹凸への埋込み性が悪くなる傾向がある。
本発明において硬化剤として好適に使用できるフェノール樹脂は、市販品として入手することもできる。例えば、三井化学(株)製の商品名「ミレックスXLC−シリーズ」及び「ミレックスXL−シリーズ」、大日本インキ化学工業(株)製の商品名「フェノライトLF−4871」が挙げられる。中でも、硬化時の架橋密度をより低く制御できることから、より低いTgを有する「ミレックスXLC−LL」(Tg75℃)が好適である。
(C)フィラー
本発明において用いられる(C)フィラーとしては特に制限はないが、無機フィラーが好ましい。例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミウィスカ、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、アンチモン酸化物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。
熱伝導性向上のためには、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。溶融粘度の調整やチクソトロピック性の付与の目的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。
本発明で使用するフィラーの平均粒径は、0.005〜2.0μmであることが好ましい。平均粒径が0.005μm未満である場合、流動性が低下する傾向があり、2.0μmを超えると接着性が低下する傾向がある。接着シートの良好な成膜性と高い接着力を得るためには、平均粒径は0.005〜1.5μmであることがより好ましく、0.005〜1.0μmであることがさらに好ましい。
(D)酸化防止剤
本発明において用いられる(D)酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤が好ましく、中でもヒンダードフェノール系酸化防止剤がより好ましい。本発明では、酸化防止剤の使用によって、接着シートにおける接着層の熱分解を効果的に抑制することが可能である。本発明において好適に使用できるフェノール系酸化防止剤は市販品として入手することができる。例えば、(株)ADEKA製の商品名「AO−20」、「AO−30」、「AO−40」、「AO−50」、「AO−50F」、「AO−60」、「AO−70」、「AO−80」、及び「AO−330」、(株)エービーアイコーポレーション製の商品名「ヨシノックスBB」等が挙げられる。例示した中でも、より酸化防止能が高い「AO−60」が特に好ましい。
(E)硬化促進剤
本発明による接着シートは、上述の成分(A)〜(D)の他に、さらに必要に応じて(E)硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤としては、特に制限されないが、イミダゾール類が好ましい。例えば、1,8−ジアザシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のシクロアミジン化合物及びこれらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類及びこれらの誘導体、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール類及びこれらの誘導体、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルジフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類及びこれらのホスフィン類に無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムエチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムテトラブチルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩及びこれらの誘導体等が挙げられる。これら化合物の1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(F)カップリング剤
本発明による接着剤シートは、異種材料間の界面結合を向上させるために、カップリング剤を配合することもできる。カップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられ、それらの中でもシラン系カップリング剤が好ましい。
シラン系カップリング剤としては、特に制限はない。例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピル−トリメトキシシラン、メチルトリ(メタクリロイルオキエトキシ)シラン等のメタクリロイルシラン類;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルトリ(グリシジルオキシ)シラン等のエポキシ基含有シラン類;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノプロピル−トリメトキシシラン、3−4,5−ジヒドロイミダゾール−1−イル−プロピルトリメトキシシラン、アミルトリクロロシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル−メチルジメトキシシラン等のメルカプトシラン類;3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン等の尿素結合含有シラン類;トリメチルシリルイソシアネート、ジメチルシリルイソシアネート、メチルシリルトリイソシアネート、ビニルシリルトリイソシアネート、フェニルシリルトリイソシアネート、テトライソシアネートシラン、エトキシシランイソシアネート等のイソシアネート基含有シラン類;3−クロロプロピル−メチルジメトキシシラン、3−クロロプロピル−ジメトキシシラン、3−シアノプロピル−トリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
本発明による接着シートの接着層を構成する接着剤組成物は、上述の(A)高分子量成分、(B)硬化剤、(C)フィラー及び(D)酸化防止剤を必須成分とする。これらの成分(A)〜(D)の総質量を100質量%としたとき、(A)高分子量成分の配合量は10〜30質量%の範囲が好ましく、10〜15質量%の範囲がより好ましい。(B)硬化剤の配合量は40〜60質量%の範囲が好ましく、45〜55質量%の範囲がより好ましい。(C)フィラーの配合量は20〜40質量%の範囲が好ましく、25〜35質量%の範囲がより好ましい。(D)酸化防止剤の配合量は1〜10質量%の範囲が好ましく、3〜5質量%の範囲がより好ましい。
(A)高分子量成分が10質量%未満の場合は、成膜性が悪くなる傾向があり、30質量%を超えると流動性が低下する傾向がある。また、(B)硬化剤が40質量%未満の場合は、接着力が低下する傾向があり、60質量%を超えると低分子量成分が増えるため成膜性が悪くなる傾向がある。また、(C)フィラーが20質量%未満の場合は、接着シートの接着力が低下する傾向があり、40質量%を超えると流動性が低下する傾向がある。さらに、(D)酸化防止剤が1質量%未満の場合は、熱劣化が速い傾向があり、10質量%を超えると低分子量成分が増えるため成膜性が悪くなる傾向がある。
接着シートを構成する組成物に、(E)硬化促進剤及び(F)カップリング剤を配合する場合、成分(A)〜(D)の全質量を基準として、各々の配合量は0.05〜1.0質量%の範囲が好ましく、0.1〜0.5質量%の範囲がより好ましい。(E)硬化促進剤の配合量が0.05未満の場合は、接着力強度が低下する傾向があり、1.0質量%を超えるとフィルムの硬化が進行し、埋込み性、流動性を損なう傾向がある。また、(F)カップリング剤の配合量が0.05未満の場合は、接着力強度が低下する傾向があり、1.0質量%を超えると流動性を損なう傾向がある。
半導体装置の製造工程において、概ね120℃の温度条件下で半導体チップの圧着実装を実施した場合、熱伝導によって接着シートは概ね80℃の温度を示す。したがって、接着シートにおける接着層、すなわち接着層を構成する接着剤組成物は、80℃において適切な粘度を示すことが好ましい。このような観点から、上述の接着剤組成物をシート状に成形した接着層は、硬化前の80℃における溶融粘度が300Pa・s以上、5000Pa・s以下であることが好ましい。接着層の80℃における溶融粘度は、300Pa・s以上、4000Pa・s以下であることがより好ましく、300Pa・s以上、2500Pa・s以下であることがさらに好ましい。溶融粘度が300Pa・s未満の場合は、接着層のはみ出し等が生じる恐れがある。一方、溶融粘度が5000Pa・sを超えると、粘度が高くなり過ぎ、基板又は半導体チップの凹凸への埋め込みが不十分となる傾向がある。
また、接着層は、有機基板に対して2MPa以上の接着力を示すことが好ましい。接着力が2MPa未満では、半導体パッケージの信頼性が不十分になる傾向がある。また、接着層の厚さは、5〜250μmであることが好ましい。厚さが5μm未満であると応力緩和効果が乏しくなる傾向があり、250μmを超えると経済的でなくなる上に、半導体装置の薄型化の要求に応えられない可能性がある。接着性が高く、また半導体装置の薄型化が可能である点で、接着層の厚さは、10〜100μmであることがより好ましく、20〜60μmであることがさらに好ましい。
本発明による接着シートは、上述の接着剤組成物をシート状に成形した接着層を備えるものであり、その作製には周知の方法を適用することができる。例えば、接着剤組成物を有機溶媒中で混合及び混練してワニスを調製し、次いでワニスを基材フィルムの表面上に塗布し、加熱させ塗布層を乾燥させる方法が挙げられる。このようにして、基材フィルムと、その少なくとも一方の面に形成された接着層とを備える接着シートが得られる。
例示した方法において、混合及び混練は、樹脂組成物の調製に通常使用される撹拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を適宜、組み合わせて行うことができる。また、加熱乾燥の条件は、使用した有機溶媒が充分に拡散する条件であれば特に制限はないが、通常、60〜150℃の温度で、0.1〜90分間にわたって加熱することによって実施される。
ワニスの調製に用いる有機溶媒は、接着シートを形成するための接着剤組成物における上述の各種成分を均一に溶解及び混練又は分散できるものであればよく、特に制限なく、公知の有機溶媒を使用することができる。このような溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等のケトン系溶媒、トルエン、キシレン等が挙げられる。乾燥速度が速く、価格が安い点で、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等を使用することが好ましい。
有機溶媒の使用量は、接着シート作製後の残存揮発成分が全質量基準で0〜1.0質量%となる範囲であれば特に制限はない。しかし、残存揮発成分は、シート表面に発泡等の不具合が生じ、半導体装置の信頼性の低下を招くことが懸念される。そのため、有機溶媒の使用量は、接着シート作製後の残存揮発成分が全質量基準で0〜0.5質量%となるように調整されることが好ましい。
本発明による接着シートを構成する基材フィルムは、特に制限されない。例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルナフタレートフィルム、4−メチルペンテンフィルム等が用いられる。これらのフィルムに対して、必要に応じてプライマー塗布、UV処理、コロナ放電処理、研磨処理、エッチング処理等の表面処理を行ってもよい。
基材フィルムの膜厚は、特に制限はなく、接着層の膜厚や接着シートの用途によって適宜選択することができる。破れ等の耐久性や質量の観点からは、基材フィルムの膜厚は、10〜100μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。
本発明による第2の特徴は、上述の接着シートを用いる半導体装置の製造方法に関する。本発明による接着シートは、室温下でべとつかず、取扱性及び作業性に優れており、複数の半導体チップを多段に積載させた半導体パッケージを有する半導体装置の製造において、半導体チップと基材との間、又は半導体チップ同士の間を接着するために好適に使用することができる。
本発明による半導体装置の製造方法は、より一般的には、ウェハに本発明による接着シートをラミネートする第1工程と、接着シート付きウェハをダイシングし、個片化する第2工程と、基板もしくはチップ上に圧着する第3工程と、引き続き、ワイヤボンドする第4工程を行い、最後に封止材にて封止する第5工程とからなる。本発明による接着シートは80℃において適切な溶融粘度を有するため、半導体チップの圧着実装を概ね120℃の低温下で実施した場合であっても、基板又は半導体チップの凹凸を隙間なく良好に充填することができる。
半導体装置の製造において、半導体チップを搭載した後の硬化工程は、通常、空気中等の酸素条件下で実施される。しかしながら、接着シートの酸化分解によって、接着層の粘着性が低下する傾向がある。これに対し、本発明による接着シートを使用する製造方法では、接着シートに酸化防止剤が添加されているため、上述の第3、4工程を繰り返し行い、積層化を進めたことにより、接着層の硬化を空気中で進めた場合であっても、接着シートの酸化分解が抑制され、接着層の粘着性の低下が起こり難い。また、半導体装置の製造において本発明の接着シートを適用することによって、接着層は長時間にわたって良好な粘着性を維持することができ、さらに半導体チップ搭載後の接着信頼性を高めることもできる。
上述の第3、4工程を繰り返すことによって、接着シートを介して半導体チップが多層化された半導体パッケージを構成し、この半導体パッケージを封止材にて封止することによって半導体装置が得られる。上述の各工程は、半導体装置における周知の技術を適用することによって実施することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明これらに制限するものではない。
[接着シートの作製]
(実施例1〜3、比較例1〜3)
(A)高分子量成分、(B)熱硬化性成分、(C)フィラー及び(D)酸化防止剤を表1に示す質量部で配合した後に、シクロヘキサノンを加えて撹拌し、続いて(E)硬化促進剤及び(F)カップリング剤を加えて各成分が均一になるまで撹拌することによって、接着剤組成物のワニスを得た。
次いで、上述のようにして得たワニスを、100メッシュのフィルターでろ過し、さらに真空脱泡した。真空脱泡したワニス(不揮発成分40質量%)を、離型処理した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)上に塗布し、140℃で5分間加熱処理した。このようにして、基材フィルム上に、膜厚が40μmのBステージ状態の接着層を備えた接着シートを作製した。
Figure 2010132890
表1において、各種成分の配合比はそれぞれ質量部を示しており、成分(E)および(F)の配合比は成分(A)〜(D)の全質量を基準とした値である。各種成分の詳細は以下のとおりである。
(A)高分子量成分
HTR−860P−3(Tg:−13℃):ナガセケムテックス(株)製商品名、アクリルゴム、重量平均分子量80万
(B)硬化剤
YDF−8170C(Tg:44℃):東都化成(株)製商品名、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量159
YDCN−700−10(Tg:75℃):東都化成(株)製商品名、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量210
フェノライトLF−4871(Tg:130℃):大日本インキ化学工業(株)製商品名、フェノール樹脂、水酸基当量118
ミレックスXLC−LL(Tg:75℃):三井化学(株)製商品名、フェノール樹脂、水酸基当量175
(C)フィラー
SC2050−HLG:(株)アドマテックス製商品名、シリカフィラー分散液、平均粒径0.5μm
(D)酸化防止剤
AO−60:(株)ADEKA製商品名、ヒンダードフェノール類
(E)硬化促進剤
キュアゾール2PZ−CN:四国化成(株)製商品名、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール
(F)カップリング剤
NUC A−1160:日本ユニカー(株)製商品名、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン
NUC A−189:日本ユニカー(株)製商品名、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
[接着シートの評価]
実施例1〜3、比較例1〜3で作製した各接着シートの特性について、以下に示す各項目によって評価した。評価結果を表2に示す
(1)80℃溶融粘度の測定
接着シートの接着層の溶融粘度は、回転式粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製、ARES−RDA)を用いて測定した。
具体的な手順を以下に示す。
まず、接着シートから基材フィルムを剥離した後、接着層を60℃で3枚貼り合わせて膜厚を120μmとし、直径8mmの円形に打ち抜いた。打ち抜いた円形のフィルム(接着層)を同じく8mmの治具2枚ではさみ、サンプルを作製し、周波数:1Hz、測定開始温度:35℃、測定終了温度:150℃、昇温速度5℃/分の測定条件で測定を行い、80℃の値を読み取った。
(2)埋込み性(ワイヤ充てん性)評価
先に作製した各接着シートを半導体ウェハ(厚さ80μm)上にそれぞれ60℃でラミネートし、端部を切断した。ダイシングテープ(古河電工株式会社製、商品名「UC3004M−80」、膜厚100μm)を接着シート側に積層し、ホットロールラミネータ(Du Pont製、登録商標「Riston」)を用いて25℃でラミネートした。次いで、ダイシングカッターを用いてダイシングを実施し、さらに洗浄および乾燥を行った。引き続き、ピックアップによってダイシングテープを剥離することによって、接着シート付き半導体チップを得た。
次に、先に作製した接着シート付き半導体チップと、配線基板とを、0.05MPa、1秒、120℃の条件下で貼り合せることによって、半導体パッケージを構成するエレメントのサンプルを作製した。使用した配線基板は、厚み25μmのポリイミドフィルムを基材とし、その表面に高さ10μmの凹凸を有する配線を有し、その裏面に外部接続端子としてはんだボールが形成されているものであった。
上述のように作製したサンプルと、表面に金ワイヤ(直径25μm)を高さ50μmになるように布線した半導体チップとを貼り合わせることによって、接着シートを介して2つの半導体チップが積層された構成を有する半導体パッケージのサンプルを得た。なお、上記貼り合わせ時のワイヤ埋め込み条件は、0.4MPaあるいは0.08MPaの圧力で1秒、130℃とした。このようにして得た半導体パッケージの各サンプルをそれぞれ中央部で切断し、その断面を研磨した。研磨後の各断面を、光学顕微鏡を用いて観察し、ボイドの有無について検討することによって、接着シートの充てん性を評価した。
評価基準は以下のとおりである。
A:ボイドが確認できない。
B:直径100μm以上のボイドが確認できない。
C:明らかなボイドが見られる。
(3)タック強度の測定
接着層のタック強度は、プローブ法により測定した。具体的には、まず、接着シートの接着層を平行なガラス板に両面テープで貼り付けた。次いで、基材フィルムを接着シートから剥離して30℃の熱板上に置き、さらに接着層の表面にプローブを各々の硬化ステージで押しつけた後に、接着層から引き離す際の強度を測定して、その値をタック強度とした。
各硬化ステージ及び測定条件の詳細は以下のとおりである。
Bステージ(空気中):140℃で5分間加熱乾燥後の接着層
Cステージ(空気下):空気下で170℃、5時間硬化させた後の接着層
Cステージ(窒素下):窒素雰囲気下で170℃、5時間硬化させた後の接着層
テストスピード:5mm/分
プレスタイム:1.0s
プレロード:200gf
(4)イオン性不純物濃度の測定
接着シートから基材フィルムを剥離し、接着層(膜厚:40μm)をクリーンオーブン(エスペック(株)製)で、170℃で5時間硬化させ硬化物を得た。その硬化物を10mm×10mmの大きさで1kg切り出し、ポリフッ化エチレン系繊維製のルツボに入れ、超純水で10倍に希釈した。
その後、小型恒温試験器(楠本化成(株)製)に入れ、イオン抽出(121℃/24時間/2atm)を行った。抽出後、ろ過し、陰イオンをDIONEX(株)製のイオンクロマトグラフ(IC20)を用いてイオン性不純物の濃度を測定した。
Figure 2010132890
表2から明らかなように、本発明による樹脂シート(実施例1〜3)は、酸化防止剤を含まない比較例1〜3の樹脂シートよりも、イオン性不純物濃度の値、すなわち、酸化分解後の生成物である有機酸イオン(ギ酸イオン、酢酸イオン)量が少ない。このことから、本発明による樹脂シートでは、酸化防止剤によって接着層の熱分解が効果的に抑制されていることが分かる。
また、本発明による樹脂シートの中でも、(B)熱硬化性成分における硬化剤として、実施例1に対してより低い架橋密度が得られるフェノール樹脂を用いた実施例2及び3では、実施例1と比較して80℃における溶融粘度が大幅に低減している。同様の傾向は、比較例1と比較例2及び3との比較からも確認できる。このことから、硬化剤として、Tgの低いフェノール樹脂を使用することによって、接着シートの低粘度化を実現できることが分かる。
また、比較例3と実施例1〜3との比較から、(B)熱硬化性成分として使用するエポキシ樹脂は、Tgが50℃以下のエポキシ樹脂と、Tgが50℃以上であり、100℃以下の他のエポキシ樹脂との2種の混合とすることが好ましいことが分かる。さらに、実施例1及び2に対して実施例3の室温(25℃)でのBステージのタック強度が大幅に低下していることから、上記2種のエポキシ樹脂の混合割合を適切に調整することによって、タック強度を低下させ、より作業性に優れた接着シートを実現できることが示唆される。
さらに、タック強度の結果に関し、窒素下で硬化させたCステージの結果は、実施例1〜3及び比較例1〜3の樹脂シートのいずれもタック強度が低い傾向が見られる。しかし、空気中で硬化させたCステージの結果を比較すると、本発明による樹脂シート(実施例1〜3)のタック強度は、比較例1〜3の樹脂シートよりも高い値となっている。すなわち、比較例1〜3の樹脂シートは、空気中の酸素によってシート表面が酸化され粘着性が低下している一方で、酸化防止剤を含有する本発明による樹脂シート(実施例1〜3)は、完全硬化後のCステージの状態においても、樹脂シートの表面が粘着力を維持していることが分かる。このような結果は、窒素雰囲気下での硬化プロセスでは見られない現象であったことから、酸化防止剤と空気中の酸素との間の反応によって、接着シート表面の硬化メカニズムが変化したためと考えられる。

Claims (10)

  1. (A)重量平均分子量が5〜120万であり、及びTgが−50〜50℃である高分子量成分
    (B)熱硬化性成分、
    (C)フィラー、及び
    (D)酸化防止剤
    を含む接着剤組成物をシート状に成形した接着層を備える接着シート。
  2. 前記(A)高分子量成分が、エポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体である請求項1に記載の接着シート。
  3. 前記(B)熱硬化性成分が、(b1)Tgが50℃以下のエポキシ樹脂と、(b2)Tgが50℃以上であり、100℃以下のエポキシ樹脂とを含有するものである請求項1又は2に記載の接着シート。
  4. 前記(B)熱硬化性成分が、(b3)下記一般式(1)で表される構造単位を有するフェノール樹脂、又は(b4)下記一般式(2)で表される構造単位を有するフェノール樹脂を含むものである請求項1〜3のいずれかに記載の接着シート。
    Figure 2010132890
    (一般式(1)中、Rはアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、水酸基又はハロゲン原子を示し、mは0〜3の整数を示す。)
    Figure 2010132890
    (一般式(2)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基を示し、Rはアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、水酸基又はハロゲン原子を示し、nは0〜4の整数を示す。)
  5. 前記(D)酸化防止剤が、ヒンダードフェノール類である請求項1〜4のいずれかに記載の接着シート。
  6. 前記接着剤組成物に、さらに(E)硬化促進剤を含有してなる請求項1〜5のいずれかに記載の接着シート。
  7. 前記接着剤組成物の硬化前の80℃における溶融粘度が300Pa・s以上、5000Pa・s以下であり、前記接着層の有機基板への接着力が2MPa以上であり、前記接着層の厚さが5〜250μmである請求項1〜6のいずれかに記載の接着シート。
  8. 前記接着剤組成物における前記成分(A)〜(D)の総質量を100質量%として、(A)高分子量成分が10〜30質量%、(B)硬化剤が40〜60質量%、(C)フィラーが20〜40質量%及び(D)酸化防止剤が1〜10質量%の配合量である請求項1〜7のいずれかに記載の接着シート。
  9. 半導体パッケージを有する半導体装置の製造方法であって、
    配線基板上に請求項1〜8のいずれかに記載の接着シートを設ける工程と、
    前記接着シートをBステージ化した後に半導体チップを圧着実装する工程と、引き続き、
    前記接着シートを空気中で硬化させる工程と
    を繰り返し実施することによって半導体パッケージを形成することを特徴とする製造方法。
  10. 前記圧着実装工程が、80℃の温度条件下で実施される請求項9に記載の製造方法。
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