JP4474839B2 - 接着シート及び半導体装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着シート、それを使用した半導体装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材の接合には銀ペーストが主に使用されていた。しかし、近年の半導体素子の小型化・高性能化に伴い、使用される支持部材にも小型化・細密化が要求されるようになってきている。こうした要求に対して、銀ペーストでは、はみ出しや半導体素子の傾きに起因するワイヤボンディング時における不具合の発生、接着剤層の膜厚の制御困難性、及び接着剤層のボイド発生などにより前記要求に対処しきれなくなってきている。
そのため、前記要求に対処するべく、近年、フィルム状の接着剤が使用されるようになってきた。
【0003】
このフィルム状接着剤は、個片貼付け方式あるいはウェハ裏面貼付け方式において使用されている。前者の個片貼付け方式のフィルム状接着剤を用いて半導体装置を製造する場合、リール状の接着フィルムをカッティングあるいはパンチングによって個片に切り出した後その個片を支持部材に接着し;前記フィルム状接着剤付き支持部材にダイシング工程によって個片化された半導体素子を接合して半導体素子付き支持部材を作製し;その後必要に応じてワイヤボンド工程、封止工程などを経ることによって半導体装置が得られることとなる。しかし、前記個片貼付け方式のフィルム状接着剤を用いるためには、接着フィルムを切り出して支持部材に接着する専用の組立装置が必要であることから、銀ペーストを使用する方法に比べて製造コストが高くなるという問題があった。
【0004】
一方、後者のウェハ裏面貼付け方式のフィルム状接着剤を用いて半導体装置を製造する場合、まず半導体ウェハの裏面にフィルム状接着剤を貼付けさらにフィルム状接着剤の他面にダイシングテープを貼り合わせ;その後前記ウェハからダイシングによって半導体素子を個片化し;個片化したフィルム状接着剤付き半導体素子をピックアップしそれを支持部材に接合し;その後の加熱、硬化、ワイヤボンドなどの工程を経ることにより半導体装置が得られることとなる。このウェハ裏面貼付け方式のフィルム状接着剤は、フィルム状接着剤付き半導体素子を支持部材に接合するためフィルム状接着剤を個片化する装置を必要とせず、従来の銀ペースト用の組立装置をそのままあるいは熱盤を付加するなどの装置の一部を改良することにより使用できる。そのため、フィルム状接着剤を用いた組立方法の中で製造コストが比較的安く抑えられる方法として注目されている。
このウェハ裏面貼付け方式のフィルム状接着剤と共に用いられるダイシングテープは、感圧型とUV型ダイシングテープに大別される。
【0005】
前者の感圧型ダイシングテープは、通常、ポリ塩化ビニル系やポリオレフィン系のベースフィルムに粘着剤を塗布したものである。このダイシングテープは、ダイシング工程における切断時にはダイシングソウによる回転で各素子が飛散しないような十分な粘着力が求められ、ピックアップ時には各素子に接着剤が付着することなくまた素子を傷つけないようにするためにピックアップできる程度の低い粘着力が求められる。ところが、前記のような相反する2つの性能を充分併せ持つ感圧型ダイシングテープがなかったことより、半導体素子のサイズや加工条件毎にダイシングテープを切替える作業が行われていた。また素子のサイズや加工条件にあった各種の粘着力を有する多種多様のダイシングテープが必要になることからダイシングテープの在庫管理が複雑化していた。さらに、近年、特にCPUやメモリの大容量化が進んだ結果半導体素子が大型化する傾向にあり、またICカードあるいはメモリーカードなどの製品にあっては使用されるメモリの薄型化が進んでいる。これらの半導体素子の大型化や薄型化に伴い、前記感圧型ダイシングテープでは、ピックアップ時の接着強度が高いため、ピックアップ時に素子が割れてしまう等の問題が生じ、ダイシング時の固定力(高粘着力)とピックアップ時の剥離力(低粘着力)という相反する要求を満足できなくなりつつある。
【0006】
一方、後者のUV型ダイシングテープはダイシング時には高粘着力を有するものの、ピックアップする前に紫外線(UV)を照射することにより低粘着力になる。そのため、前記感圧型テープが有する課題が改善されることより、ダイシングテープとして広く採用されるに至っている。
【0007】
このUV型ダイシングテープを用いることにより前記感圧型ダイシングテープの課題はある程度改善されるものの充分ではなく、さらにウェハ裏面貼付け方式のフィルム状接着剤にはさらに改善すべき課題が残されていた。即ち、ウェハ裏面貼付け方式のフィルム状接着剤を用いる方法にあっては、前記ダイシング工程までに、フィルム状接着剤とダイシングテープを貼付するといった2つの貼付工程が必要であった。またフィルム状接着剤へダイシングテープの粘着剤が転写し、接着性が低下する等の問題があった。そのため、フィルム状接着剤とダイシングテープの機能を併せ持つ接着シートが開発されている(例えば、特許文献1、2、3、4、5(リンテック(株))、特許文献6、7,8(日立化成工業(株))等参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開平2−32181号
【特許文献2】
特開平8−53655号
【特許文献3】
特開平8−239636号
【特許文献4】
特開平9−100450号
【特許文献5】
特開平10−8001号
【特許文献6】
特願2001−7854号
【特許文献7】
特願2001−28316号
【特許文献8】
特願2001−28317号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、更なる半導体素子の大型化や薄型化に伴い、ダイシング時には半導体素子が飛散しないよう更に大きい粘着力を、ピックアップ時には各素子を傷つけることがないよう更に低い粘着力を有し、半導体素子と支持部材との接合工程では接続信頼性に優れるという相反する要求を満足する接着シートが望まれている。
【0010】
本発明は、上記した従来技術の問題に鑑み、ダイシング工程ではダイシングテープとして作用し、半導体素子と支持部材との接合工程では接続信頼性に優れ、また、半導体素子搭載用支持部材に熱膨張係数の差が大きい半導体素子を実装する場合に要求される耐熱性及び耐湿性を有し、かつ作業性に優れる接着シートの製造方法を提供することを目的とする。本発明は、さらに、半導体装置の製造工程を簡略化できる製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次のものに関する。
1.粘接着剤層及び基材フィルムを少なくとも備えた放射線重合性及び熱重合性接着シートであって、
上記粘接着剤層は、(A)熱重合性成分(B)熱可塑性樹脂及び(C)放射線重合性化合物を含有してなり、
上記粘接着剤層の総膜厚のうち、上記基材フィルムと接する面の表面から膜厚で10%以内の層中の(C)放射線重合性化合物の単位体積あたりの重量をXとし、上記基材フィルムと接する面の表面から膜厚で10%以外の層中の(C)放射線重合性化合物の単位体積あたりの重量をYとしたとき、Y/X≦0.5の関係式を満たしてなる接着シート。
【0012】
2.上記粘接着剤層の総膜厚のうち基材フィルムと接する面の表面から膜厚で10%以内の層は、(A)熱重合性成分(B)熱可塑性樹脂及び(C)放射線重合性化合物を含有し、
上記粘接着剤層の総膜厚のうち基材フィルムと接する面の表面から膜厚で10%以外の層は、(A)熱重合性成分及び(B)熱可塑性樹脂を含有するものである前記1記載の接着シート。
【0013】
3.前記(B)熱可塑性樹脂は、官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分である前記1又は2記載の接着シート。
【0014】
4.前記官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分は、エポキシ基含有反復単位を0.5〜6重量%含有するエポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体である前記3記載の接着シート。
【0015】
5.前記(C)放射線重合性化合物は、(a)ジオール類及び(b)一般式(I)
【化6】
(式中、nは0〜1の整数であり、R1は炭素原子数が1〜30の2価あるいは3価の有機性基である)
で表されるイソシアネート化合物及び
(c)一般式(II)
【化7】
(式中、R2は水素又はメチル基であり、R3はエチレン基あるいはプロピレン基である)
で表される化合物からなるものである請求項1〜4のいずれか1項記載の接着シート。
【0016】
6.前記(C)放射線重合性化合物は、(d)一般式(IV)
【化8】
(式中、R1は炭素原子数が2〜30の2価の有機基を示す)
で表されるジアミン及び
(b)一般式(I)
【化9】
(式中、nは0〜1の整数であり、R2は炭素原子数が1〜30の2価あるいは3価の有機性基である)
で表されるイソシアネート化合物及び
(e)一般式(V)
【化10】
(式中、nは0〜1の整数である)
で表される化合物からなるものである前記1〜4のいずれか1つに記載の接着シート。
【0017】
7.前記(C)放射線重合性化合物は、側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体である前記1〜4のいずれか1つに記載の接着シート。
【0018】
8.前記粘接着層は、25℃で10〜2000MPa、及び260℃で3〜50MPaの加熱硬化後の貯蔵弾性率を有する、前記1〜7のいずれか1つに記載の接着シート。
【0019】
9.放射線の照射により、前記粘接着剤層と基材フィルムとの間の接着力を制御する前記1〜8のいずれか1つに記載の接着シート。
【0020】
10.前記1〜9のいずれか1つに記載の接着シートを用いて、半導体素子と半導体搭載用支持部材とを接着した半導体装置。
【0021】
11.前記1〜9のいずれか1つに記載の粘接着剤層と基材フィルムとを備える接着シートを前記粘接着剤層を挟んで半導体ウェハに貼り付ける工程と;
前記半導体ウェハをダイシングして接着シート付き半導体素子を得る工程と;
得られた接着シート付き半導体素子の接着シートに放射線を照射して前記粘接着剤層を硬化し、基材フィルムを剥離して粘接着剤層付き半導体素子を得る工程と;
得られた粘接着剤層付き半導体素子と半導体素子搭載用の支持部材とを前記粘接着剤層を介して接着する工程と;を含む半導体装置の製造方法。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明は、粘接着剤層(1)及び基材フィルム(2)を少なくとも備えた放射線重合性及び熱重合性接着シートであって、前記粘接着剤層(1)の総膜厚のうち基材フィルム(2)と接する面の表面から膜厚で10%以内の層中の(C)放射線重合性化合物量と基材フィルム(2)と接する面の表面から膜厚で10%以外の層中の(C)放射線重合性化合物量の重量比が、(基材フィルムと接する面の表面から膜厚で10%以外の層中の(C)放射線重合性化合物量/基材フィルムと接する面の表面から膜厚で10%以内の層中の(C)放射線重合性化合物量≧0.5)である接着シートに関する。
【0023】
本発明の接着シートは、粘接着剤層(1)中の放射線硬化型化合物量が基材フィルム(2)との界面近くでは多く、界面から遠い範囲では少ない。そのため、ダイシング時には半導体素子が飛散しない十分な粘着力を有し、その後放射線を照射して前記粘接着剤層と基材フィルムとの間の接着力を制御することにより、ピックアップ時には各素子を傷つけることがないような低い粘着力を有するという相反する要求を満足するものである。すなわち、本発明の接着シートによればダイシング及びダイボンドの各工程を一枚のフィルムで完了することができる。また本発明の接着シートを用いて得られる半導体装置は信頼性が優れるという作用効果を有する。
【0024】
さらに本発明は、粘接着剤層(1)及び基材フィルム(2)を少なくとも備えた放射線重合性及び熱重合性接着シートであって、
上記粘接着剤層(1)は、(A)熱重合性成分(B)熱可塑性樹脂及び(C)放射線重合性化合物を含み、上記粘接着剤層(1)の総膜厚のうち基材フィルム(2)と接する面の表面から膜厚で10%以内の層では、(A)熱重合性成分を100重量部、前記(B)熱可塑性樹脂を10〜400重量部、及び(C)放射線重合性化合物5〜400重量部であり、
上記粘接着剤層(1)の総膜厚のうち基材フィルム(2)と接する面の表面から膜厚で10%以外の層では、(A)熱重合性成分を100重量部、前記(B)熱可塑性樹脂を10〜400重量部、及び(C)放射線重合性化合物0〜50重量部である放射線重合性及び熱重合性接着シートに関する。
【0025】
本発明に使用する(A)熱重合性成分としては、熱により重合するものであれば特に制限は無く、例えば、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、イソシアヌレート基、アミノ基、アミド基等の官能基を持つ化合物が挙げられ、これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせても、使用することができるが、接着シートとしての耐熱性を考慮すると、熱によって硬化し接着作用を及ぼす熱硬化性樹脂を使用することが好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられ、特に、耐熱性、作業性、信頼性に優れる接着シートが得られる点でエポキシ樹脂を使用することが最も好ましい。熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂硬化剤を合わせて使用することが好ましい。
【0026】
エポキシ樹脂としては硬化して接着作用を有するものであれば特に限定されない。ビスフェノールA型エポキシなどの二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂などを使用することができる。また、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂又は脂環式エポキシ樹脂など、一般に知られているものを適用することができる。
【0027】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製エピコートシリーズ(エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009)、ダウケミカル社製、DER−330、DER−301、DER−361、及び東都化成(株)製、YD8125、YDF8170等が挙げられる。フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート152、エピコート154、日本化薬(株)製のEPPN−201、ダウケミカル社製のDEN−438等が、またo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、日本化薬(株)製のEOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1012、EOCN−1025、EOCN−1027や、東都化成(株)製、YDCN701、YDCN702、YDCN703、YDCN704等が挙げられる。多官能エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のEpon 1031S、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイト0163、ナガセケムテックス(株)製のデナコールEX−611、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−421、EX−411、EX−321等が挙げられる。アミン型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート604、東都化成(株)製のYH−434、三菱ガス化学(株)製のTETRAD−X及びTETRAD−C、住友化学(株)製のELM−120等が挙げられる。複素環含有エポキシ樹脂としては、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイトPT810、UCC社製のERL4234、ERL4299、ERL4221、ERL4206等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種類以上を組み合わせても、使用することができる。
【0028】
エポキシ樹脂硬化剤としては、通常用いられている公知の硬化剤を使用することができ、例えば、アミン類、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、ジシアンジアミド、ビスフェノールA、ビスフェノールF,ビスフェノールSのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール類、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂などが挙げられる。特に吸湿時の耐電食性に優れる点で、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂などのフェノール樹脂が好ましい。
【0029】
前記フェノール樹脂硬化剤の中で好ましいものとしては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製、商品名:フェノライトLF2882、フェノライトLF2822、フェノライトTD−2090、フェノライトTD−2149、フェノライトVH−4150、フェノライトVH4170、明和化成(株)製、商品名:H−1、ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:エピキュアMP402FPY、エピキュアYL6065、エピキュアYLH129B65及び三井化学(株)製、商品名:ミレックスXL、ミレックスXLC、ミレックスRN、ミレックスRS、ミレックスVR等が挙げられる。
【0030】
本発明に使用する(B)前記熱可塑性樹脂としては、熱可塑性を有する樹脂、又は少なくとも未硬化状態において熱可塑性を有し加熱後に架橋構造を形成する樹脂、であれば特に制限はないが、Tg(ガラス転移温度)が−50〜10℃で重量平均分子量が100000〜1000000であるもの、又は、Tgが10〜100℃でかつ重量平均分子量が5000〜200000であることが好ましい。
【0031】
前者の熱可塑性樹脂としては、官能性モノマーを含む重合体を使用することが好ましく、後者の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等が挙げられ、中でもポリイミド樹脂が好ましい。
【0032】
上記官能性モノマーを含む重合体における官能基としては、例えば、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、イソシアヌレート基、アミノ基、アミド基等が挙げられ、中でもグリジシル基が好ましい。より具体的には、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートなどの官能性モノマーを含有するグリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体などが好ましく、さらにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と非相溶であることが好ましい。
【0033】
官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分としては、特に制限が無いが、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等の官能基モノマーを含有し、かつ重量平均分子量が10万以上であるエポキシ基含有アクリル共重合体等がより好ましく、さらにエポキシ樹脂と非相溶であることが好ましい。
【0034】
グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等の官能基モノマーを含有し、かつ重量平均分子量が10万以上であるエポキシ基含有アクリル共重合体としては、例えば、帝国化学産業(株)製 HTR―860P−3等が挙げられる。官能基モノマーが、カルボン酸タイプのアクリル酸や、水酸基タイプのヒドロキシメチル(メタ)アクリレートを用いると、架橋反応が進行しやすく、ワニス状態でのゲル化、Bステージ状態での硬化度の上昇による接着力の低下等の問題があるため好ましくない。
【0035】
グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等の官能基モノマーの含有量は、0.5〜6.0質量%が好ましく、0.5〜5.0質量%がより好ましく、0.8〜5.0質量%が特に好ましい。0.5質量%以下であると接着力が低下する傾向があり、6.0質量%以上であるとゲル化する傾向がある。
【0036】
グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート以外の官能基モノマーとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、本発明において、例えば、エチル(メタ)アクリレートとはエチルアクリレートとエチルメタクリレートの両方を示す。混合比率は、共重合体のガラス転移温度(以下Tgと表す)を考慮して決定し、Tgは−10℃以上であることが好ましい。Tgが−10℃未満であるとBステージ状態での接着剤層のタック性が大きくなり取り扱い性が悪化する傾向がある。
【0037】
上記モノマーを重合させて重量平均分子量が10万以上である高分子量成分を製造する場合、その重合方法としては特に制限はなく、例えば、パール重合、溶液重合等の方法を使用することができる。
【0038】
本発明において高分子量成分の重量平均分子量は10万以上であるが、30万〜300万であることが好ましく、50万〜200万であることがより好ましい。重量平均分子量が10万未満であると、シート状、フィルム状としたときの強度低下、可とう性低下、タック性増大等の問題が起こり、300万を超えると、フロー性が小さくなり配線の回路充填性が低下する傾向がある。なお、本発明において、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を示す。
【0039】
また、(B)熱可塑性樹脂の使用量は、(A)熱重合性成分100重量部に対して、10〜400重量部であるが、中でも15〜350重量部が好ましく、20〜300重量部がより好ましい。使用量が10重量部未満であると、弾性率の低減及び成形時のフロー性抑制効果が得られず、400重量部を超えると、高温での取り扱い性が低下する。
【0040】
本発明に使用する(C)放射線重合性化合物としては、特に制限は無く、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、ペンテニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、4−ビニルトルエン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、1,2−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、下記一般式(VI)
【化11】
(式中、Rは水素又はメチル基を示し、q及びrは1以上の整数である)
で表される化合物、(a)ジオール類及び(b)一般式(I)
【化12】
(式中、nは0〜1の整数であり、R1は炭素原子数が1〜30の2価あるいは3価の有機性基である)
で表されるイソシアネート化合物及び(c)一般式(II)
【化13】
(式中、R2は水素又はメチル基であり、R3はエチレン基あるいはプロピレン基である)
で表される化合物からなるウレタン(メタ)アクリレート化合物、(d)一般式(IV)
【化14】
(式中、R1は炭素原子数が2〜30の2価の有機基を示す)
で表されるジアミン及び(b)一般式(I)で表されるイソシアネート化合物及び
(e)一般式(V)
【化15】
(式中、nは0〜1の整数である)
で表される化合物からなる尿素メタクリレート化合物及び側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体が挙げられる。これらの放射線重合性化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせても、使用することができる。
【0041】
上記(C−1)ウレタン(メタ)アクリレート化合物の合成は、有機溶媒の存在下で行うことができる。
【0042】
溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ブチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、トルエン、キシレン、p−シメン等の芳香族炭化水素系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド等を使用することができる。
【0043】
反応温度は、0〜150℃とすることが好ましく、20〜130℃とすることがより好ましく、30〜120℃とすることが特に好ましい。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件等により適宜選択できる。
【0044】
また、(C−1)ウレタン(メタ)アクリレート化合物を構成する(a)ジオール類としては、特に制限がなく、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテタラメチレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール・ブロックコポリマー、エチレングリコール−テトラメチレングリコール・ブロックコポリマー、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ポリ1,2−ブチレングリコール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチルヘキサンジオール、2−エチルー1,3−ヘキサンジオール、3−メチルー1,3−ペンタンジオール等のアルキレンジオールやポリオキシアルキレンジオール類、シクロペンタンジオール、シクロペンタンジメタノール、シクロペンタンジエタノール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、ノルボルナンジオール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、水素化ビスフェノールA等の脂環式ジオール類、下記一般式(VII)で表される、例えば、ダイセル化学(株)製 PLACCEL CD−205、210、220等のカーボネートジオール類、
【化16】
(式中、R4及びR5は各々独立に、炭素数1〜12のアルキレン基を示し、mは1〜20の整数である)
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、2,3−ジヒドロキシ−2−メエチルプロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)ブタン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ブタン酸、2,3−ジヒドロキシブタン酸、2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルブタン酸、2,3−ジヒドロキシヘキサデカン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、酒石酸等のカルボキシル基含有ジオール類、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸等の多塩基酸と、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリオールとのエステル化反応により得られる化合物等を使用することができ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0045】
また、(b)イソシアネート化合物としては、特に制限がなく、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−〔2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン〕ジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。また、これらのジイソシアネートの二量体、三量体を用いても良く、経日変化を避けるために適当なブロック剤で安定化したものを使用しても良い。
【0046】
また、(c)化合物としては、特に制限がなく、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレ等を使用でき、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0047】
また、上記尿素メタクリレート化合物の合成は、有機溶媒の存在下で行うことができる。
【0048】
溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ブチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、トルエン、キシレン、p−シメン等の芳香族炭化水素系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド等を使用することができる。
【0049】
反応温度は、0〜150℃とすることが好ましく、20〜130℃とすることがより好ましく、30〜120℃とすることが特に好ましい。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件等により適宜選択できる。
【0050】
また、上記尿素メタクリレート化合物を構成する一般式(IV)で表される(d)ジアミン類としては、特に制限がなく、例えば、4,4’−(又は3,4’−、3,3’−、2,4’−、2,2’−)ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(又は3,4’−、3,3’−、2,4’−、2,2’−)ジアミノジフェニルメタン、4,4’−(又は3,4’−、3,3’−、2,4’−、2,2’−)ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−(又は3,4’−、3,3’−、2,4’−、2,2’−)ジアミノジフェニルスルフィド、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、o−トリジン、o−トリジンスルホン、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジエチレアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、2,4−ジアミノメシチレン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ベンゾフェノンジアミン、ビス〔4−(4’−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス〔4−(4’−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジfニルメタン、ビス〔4−(3’−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、3,5−ジアミノ安息香酸等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、下記一般式(IIX)
【化17】
(式中、R3及びR4は炭素原子数1〜30の二価の炭化水素基を示し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R5及びR6は一価の炭化水素基を示し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、mは1以上の整数である)
で表されるジアミノポリシロキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、サン テクノケミカル(株)製 ジェファーミン D−230,D−400,D−2000,D−4000,ED−600,ED−900,ED−2001,EDR−148等のポリオキシアルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0051】
また、(C)放射線重合性化合物を構成する一般式(V)で表される(e)化合物としては、特に制限がなく、例えば、イソシアネートエチルメタクリレート、メタクリロイルイソシアネート等を使用でき、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0052】
また、(C)側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体は、例えば、(C−1)官能基を含むビニル共重合体に、(C−2)少なくとも1個のエチレン性不飽和基と、オキシラン環、イソシアネート基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、酸無水物等から選ばれる官能基を有する化合物、を付加反応させて得ることができる。
【0053】
上記の(C−1)官能基を含むビニル重合体における官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、オキシラン環、酸無水物等が挙げられる。上記ビニル共重合体の製造に用いられるビニル単量体としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、オキシラン環、酸無水物等の官能基を有する化合物が挙げられ、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、レイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、イソシアン酸エチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、無水マビニル単量体等が挙げられる。これらの単量体は単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0054】
また、上記ビニル共重合体の製造には、必要に応じ、その他のビニル単量体を共重合させることができる。このような単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−iso−プロピル、メタクリル酸−iso−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−iso−ブチル、メタクリル酸−iso−ブチル、アクリル酸−sec−ブチル、メタクリル酸−sec−ブチル、アクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、メタクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸エイコシル、メタクリル酸エイコシル、アクリル酸ドコシル、メタクリル酸ドコシル、アクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシジエチレングリコール、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール、アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、メタクリル酸メトキシジプロピレングリコール、アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、メタクリル酸メトキシトリエチレングリコール、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸2−フルオロエチル、メタクリル酸−
2−フルオロエチル、アクリル酸−2−シアノエチル、メタクリル酸−2−シアノエチル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0055】
上記の、(C−2)少なくとも1個のエチレン性不飽和基と、オキシラン環、イソシアネート基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、酸無水物等の1個の官能基を有する化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、α−エチルアクリルグリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジル、イソクロトン酸グリシジル、イソシアン酸エチルメタクリレート、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ケイ皮酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用される。
【0056】
また、その使用量としては、エチレン性不飽和基濃度が3.0×10−4〜6.0×10−3モル/gとなるように設定することが好ましく、6.0×10−4〜5.5×10−3モル/gとすることがより好ましく、9×10−4〜5.0×10−3モル/gとすることが特に好ましい。エチレン性不飽和基濃度が3.0×10−4モル/g未満では、粘着層の保存安定性が低下する傾向があり、6.0×10−3モル/gを超えると側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体を製造する際にゲル化を起こす傾向がある。ここでエチレン性不飽和基濃度とは、(C−3)側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体1gの中に含有されるエチレン性不飽和基のモル数を示し、以下の式で求められる値である。
【0057】
【数1】
また(C−3)側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体の重量平均分子量は、1000〜50万が好ましく、5000〜30万がより好ましい。重量平均分子量が1000未満でも50万を超えても作業性が低下する傾向がある。
【0058】
また(C−3)側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体の合成は、有機溶媒の存在下で行うことができる。
【0059】
溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ブチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、トルエン、キシレン、p−シメン等の芳香族炭化水素系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド等を使用することができる。
【0060】
反応温度は、0〜150℃とすることが好ましく、20〜130℃とすることがより好ましく、30〜120℃とすることが特に好ましい。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件等により適宜選択できる。
【0061】
本発明の接着シートを形成する粘接着剤層(1)の総膜厚のうち基材フィルム(2)と接する面の表面から膜厚で10%以内の層では、(A)熱重合性成分の100重量部に対して(C)放射線重合性化合物5〜400重量部であり、好ましくは5〜300重量部であり、より好ましくは5〜200重量部であり、さらに好ましくは7〜150重量部である。
【0062】
(C)放射線重合性化合物の使用量が5重量部未満の場合、チップのピックアップ性が低下する傾向があり、400重量部を超えると、得られる半導体装置の信頼性が低下する傾向がある。
【0063】
(C)放射線重合性化合物の使用量が50重量部を超えると、得られる半導体装置の信頼性が低下する傾向がある。
【0064】
また、本発明の接着シートを形成する粘接着剤層1の総膜厚のうち基材フィルム2と接する面の表面から膜厚で10%以内の層中の(C)放射線重合性化合物の単位体積あたりの重量をXとし、基材フィルム2と接する面の表面から膜厚で10%以外の層中の(C)放射線重合性化合物量の単位体積あたりの重量をYとしたとき、Y/X≦0.5の関係式を満たし、好ましくはY/X≦0.4、より好ましくはY/X≦0.3、さらに好ましくはY/X≦0.2、特に好ましくはY/X≦0.1の関係式を満たす。
この値が0.5を超えると、チップピックアップ性と得られる半導体装置の信頼性を両立できない可能性がある。
尚、上記関係式が満たされれば特に下限は制限されるものではないが、通常上記関係式は0≦Y/X、0<Y/Xのいずれかの条件を満たすものである。
【0065】
本発明の接着シートを形成する粘接着剤層は、加熱硬化した段階で、貯蔵弾性率が25℃で10〜2000MPaであり、260℃で3〜50MPaであることが好ましい。25℃での弾性率は、20〜1900MPaがより好ましく、50〜1800MPaが特に好ましい。また、260℃での弾性率は、5〜50MPaがより好ましく、7〜50MPaが特に好ましい。貯蔵弾性率がこの範囲にあると、半導体素子と支持部材との熱膨張係数の差によって発生する熱応力を緩和させる効果が保たれ、剥離やクラックの発生を抑制できるとともに、リフロークラックの発生を抑制できる。
【0066】
この貯蔵弾性率は、たとえば、動的粘弾性測定装置(レオロジ社製、DVE−V4)を使用し、接着剤硬化物に引張荷重をかけて、周波数10Hz、昇温速度5〜10℃/minの条件で−50℃から300℃まで測定する、温度依存性測定モードによって行うことができる。
【0067】
また、本発明の接着シートを形成する粘接着剤層には、硬化促進剤を添加することもできる。硬化促進剤には、特に制限が無く、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7−テトラフェニルボレート等を用いることができる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0068】
硬化促進剤の添加量は、(A)熱重合性成分100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、0.2〜3重量部がより好ましい。添加量がこの範囲にあると、硬化性と保存安定性を両立することができる。
【0069】
本発明の接着シートを形成する粘接着剤層の熱重合性成分としてエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を使用する場合には、可とう性や耐リフロークラック性を向上させる目的で、エポキシ樹脂と相溶性がある高分子量樹脂を添加することができる。このような高分子量樹脂としては、特に限定されず、たとえばフェノキシ樹脂、高分子量エポキシ樹脂、超高分子量エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
【0070】
エポキシ樹脂と相溶性がある高分子量樹脂の使用量は、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤100重量部に対して、40重量部以下とすることが好ましい。この範囲であると、エポキシ樹脂層のTgを確保できる。
【0071】
また、本発明の接着シートを形成する粘接着剤層には、その取り扱い性向上、熱伝導性向上、溶融粘度の調整及びチキソトロピック性付与などを目的として、無機フィラーを添加することもできる。無機フィラーとしては、特に制限はなく、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が挙げられ、フィラーの形状は特に制限されるものではない。これらのフィラーは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0072】
中でも、熱伝導性向上のためには、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。また、溶融粘度の調整やチキソトロピック性の付与の目的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカなどが好ましい。
【0073】
無機フィラーの使用量は、粘接着層あるいは接着層100重量部に対して1〜20重量部が好ましい。1重量部未満だと添加効果が得られない傾向があり、20重量部を超えると、粘接着層あるいは接着層の貯蔵弾性率の上昇、粘接着性の低下、ボイド残存による電気特性の低下等の問題を起こす傾向がある。
【0074】
また、本発明の接着シートを形成する粘接着剤層には、異種材料間の界面結合を良くするために、各種カップリング剤を添加することもできる。カップリング剤としては、例えば、シラン系、チタン系、アルミニウム系等が挙げられ、中でも効果が高い点でシラン系カップリング剤が好ましい。
【0075】
上記シラン系カップリング剤としては、特に制限はなく、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノプロピルトリメトキシシラン、3−4,5−ジヒドロイミダゾール−1−イル−プロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルジメトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、アミルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリ(メタクリロイルオキエトキシ)シラン、メチルトリ(グリシジルオキシ)シラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピ
ルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、トリメチルシリルイソシアネート、ジメチルシリルイソシアネート、メチルシリルトリイソシアネート、ビニルシリルトリイソシアネート、フェニルシリルトリイソシアネート、テトライソシアネートシラン、エトキシシランイソシアネートなどを使用することができ、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0076】
また、チタン系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリス(n−アミノエチル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアエチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタンチリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、テトラメチルオルソチタネート、テトラエチルオルソチタネート、テタラプロピルオルソチタネート、テトライソブチルオルソチタネート、ステアリルチタネート、クレシルチタネートモノマー、クレシルチタネートポリマー、ジイソプロポキシ−ビス(2,4−ペンタジオネート)チタニウム(IV)、ジイソプロピル−ビス−トリエタノールアミノチタネート、オクチレングリコールチタネート、テトラ−n−ブトキシチタンポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートなどを使用することができ、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0077】
アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトイス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウム=モノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−n−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−iso−プロポキシド−モノエチルアセトアセテート等のアルミニウムキレート化合物、アルミニウムイソプロピレート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウム−sec−ブチレート、アルミニウムエチレート等のアルミニウムアルコレートなどを使用することができ、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0078】
上記カップリング剤の使用量は、その効果や耐熱性及びコストの面から、(A)熱重合性成分100重量部に対して、0.01〜10重量部とするのが好ましい。
【0079】
本発明の接着シートを形成する粘接着剤層には、イオン性不純物を吸着して、吸湿時の絶縁信頼性をよくするために、さらにイオン捕捉剤を添加することもできる。このようなイオン捕捉剤としては、特に制限はなく、例えば、トリアジンチオール化合物、ビスフェノール系還元剤等の、銅がイオン化して溶け出すのを防止するため銅害防止剤として知られる化合物、ジルコニウム系、アンチモンビスマス系マグネシウムアルミニウム化合物等の無機イオン吸着剤などが挙げられる。
【0080】
上記イオン捕捉剤の使用量は、添加による効果や耐熱性、コスト等の点から、(A)熱重合性成分100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましい。
【0081】
本発明接着シートは、接着シートを形成する組成物を溶剤に溶解あるいは分散してワニスとし、基材フィルム上に塗布、加熱し溶剤を除去することによって得ることができる。
【0082】
本発明の接着シートに用いる基材フィルムとしては、特に制限は無く、例えば、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポイエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリイミドフィルムなどのプラスチックフィルム等が挙げられる。
【0083】
本発明の接着シートは、ダイシング工程終了後、放射線を接着シートに照射し、放射線重合性を有する接着シートを重合硬化せしめ、接着シートと基材フィルム界面の接着力を低下させて半導体素子のピックアップを可能にするものである。
【0084】
本発明接着シートは、接着シートを形成する組成物を溶剤に溶解あるいは分散してワニスとし、基材フィルム上に塗布、加熱し溶剤を除去することによって得ることができる。
【0085】
また、上記のワニス化するための溶剤としては、特に限定されないが、フィルム作製時の揮発性などを考慮すると、たとえば、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンなどの比較的低沸点の溶媒を使用するのが好ましい。また、塗膜性を向上させるなどの目的で、たとえば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノンなどの比較的高沸点の溶媒を使用することもできる。これらの溶媒は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0086】
無機フィラーを添加した際のワニスの製造には、無機フィラーの分散性を考慮して、らいかい機、3本ロール、ボールミル及びビーズミルなどを使用するのが好ましく、また、これらを組み合わせて使用することもできる。また、無機フィラーと低分子量の原料をあらかじめ混合した後、高分子量の原料を配合することによって、混合する時間を短縮することもできる。また、ワニスとした後、真空脱気等によってワニス中の気泡を除去することもできる。
【0087】
続いて、本発明に係る接着シートの製造方法について説明する。
本発明の接着シートの製造法としては特に制限はなく種々の方法を用いることができるが、製造方法として例えば以下のような態様が挙げられる。以下、図1〜3を参照しながら説明する。
【0088】
第1の態様として、図1、2に示されるように基材フィルム1、4上にそれぞれ粘接着剤2、3を塗布して粘接着剤層(1−1)、(1−2)を作製し、得られた粘接着剤層(1−1)、(1−2)を図3に示されるように基材フィルム1と4の間に挟むように積層して接着シートを得る方法が挙げられる。なお、基材フィルム4は適宜取り除かれることはいうまでもない。
【0089】
また、第2の態様として、基材フィルム1上に設けられた粘接着層(1−1)上に粘接着剤層(1−2)のワニスを塗布する方法が挙げられる。さらに第3の態様として基材フィルム4上に設けられた粘接着剤層(1−2)上に粘接着剤層(1−1)のワニスを塗布し、得られた粘接着剤層(1−1)を基材フィルム1に貼り合わせ、そして基材フィルム4をはく離して接着シートを得る方法が挙げられる。
【0090】
さらに、前記第1から第3の態様のそれぞれの変法として、前記粘接着剤層(1−1)として(A)熱重合性成分を100重量部、前記(B)熱可塑性樹脂を10〜400重量部、及び(C)放射線重合性化合物5〜400重量部含む粘接着剤層を用い、前記粘接着剤層(1−2)として、(A)熱重合性成分を100重量部、及び前記(B)熱可塑性樹脂を10〜400重量部含む粘接着剤層を用いる方法が挙げられる。
【0091】
基材フィルムへのワニスの塗布方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
【0092】
接着シートの厚みは、特に制限はないが、粘接着剤層、基材フィルム層ともに5〜250μmが好ましい。5μmより薄いと応力緩和効果が乏しくなる傾向があり、250μmより厚いと経済的でなくなる上に、半導体装置の小型化の要求に応えられない。
【0093】
また、本発明の接着シートは、所望のシート厚を得るために、粘接着剤層(1−1)と粘接着剤層(1−2)との間に従来公知の方法によって調製された接着層を挟むように設けてもよい。従来公知の方法によって調製された接着層としては、商業的に入手可能な接着シート、例えば、ポリイミド系、シリコンオリゴマー系、ゴム−エポキシ系、エポキシ系接着剤を用いることができる。但し、粘接着剤層同士の剥離が発生しないような貼り合わせ条件を従来公知の技術に基づいて考慮する必要がある。
【0094】
以上説明したような構成の接着シートに放射線照射すると、放射線照射後には基材と接着シート界面の粘着力は大きく低下し、容易に半導体素子に粘接着剤層を保持したまま該接着シートの基材フィルムからピックアップすることができる。
【0095】
本発明の接着シートの粘接着剤層は、放射線照射のみで基材の接着力を低下させる方法以外に放射線照射と同時あるいは放射線照射後に硬化反応を促進する目的で加熱を併用しても良い。加熱を併用することにより、より低温短時間での接着力低下が可能となる。加熱温度は、粘接着剤層の分解点以下であれば特に制限は受けないが、50〜170℃の温度が好ましい。
【0096】
次に、本発明に係る接着シートの使用方法について説明する。
本発明に係る接着シートの使用方法の1態様を図を用いて説明する。
【0097】
図1、図2に示される上記基材フィルムを備えた粘接着剤層(1−1)及び基材フィルムを備えた粘接着剤層(1−2)を作製した後、上記粘接着剤層(1−1)(1−2)層を積層して図3に示される接着シートを得る方法を選択した場合、その後半導体ウェハを貼着する工程において基材フィルム4を剥離する。この剥離を容易にするためには、基材フィルム1/粘接着剤層(1−1)界面、粘接着剤層(1−1)/粘接着剤層(1−2)界面に比べ、基材フィルム4/粘接着剤層界面(1−2)の粘着性が最も小さくなるように基材フィルムを選択しておくことが重要である。
【0098】
図4に示すようにして、この粘接着層の上面にダイシング加工すべき半導体ウェハAを貼着した後、この貼着状態で半導体ウェハAに図5のようにダイシング、洗浄、乾燥の工程が加えられる。この際、粘接着剤層3により半導体ウェハAは接着シートに充分に粘着保持されているので、上記各工程の間に半導体ウェハAが脱落することはない。
【0099】
次に、図6に示すように、放射線Bを接着シートに照射し、放射線重合性を有する接着シートの一部又は大部分を重合硬化せしめる。この際、放射線照射と同時あるいは放射線照射後に硬化反応を促進する目的で加熱を併用しても良い。加熱を併用することにより、より低温短時間での接着力低下が可能となる。加熱温度は、粘接着剤層の熱分解温度以下であれば特に制限は受けないが、50〜170℃の温度が好ましい。
【0100】
接着シートへの放射線照射は、図6の矢印Bで示されるように基材フィルム1の粘接着剤層2が設けられていない面から行う。したがって前述のように、放射線としてUVを用いる場合には基材フィルム1は光透過性であることが必要であるが、放射線としてEBを用いる場合には基材フィルム2は必ずしも光透過性である必要はない。
【0101】
放射線照射後、ピックアップすべき半導体素子A1、A2、A3を例えば吸引コレット4によりピックアップする。この際、ピックアップすべき半導体素子A1、A2、A3を基材フィルム1の下面から、例えば針扞8等により突き上げることもできる。半導体素子A1と粘接着剤層3との間の粘着力は、粘接着剤層2と基材フィルム1との間の粘着力よりも大きいため、半導体素子A1のピックアップを行うと、粘接着剤層2及び粘接着剤層3は半導体素子A1の下面に付着した状態で剥離する(図8参照)。
【0102】
次いで、半導体素子を粘接着剤層2及び粘接着剤層3を介して半導体素子搭載用支持部材5に載置し加熱する。加熱により粘接着剤層2及び粘接着剤層3は接着力が発現し、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材との接着が完了する(図9参照)。
【0103】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に報告する。本発明はこれらに限定されるものではない。
【0104】
(合成例1)
攪拌機、温度計、乾燥空気導入管、滴下ロート及び冷却管を備えたフラスコに、VESTANAT IPDI(ダイセル・ヒュルス(株)製商品名、イソフォロンジイソシアネート)888重量部及び酢酸エチル 789重量部を仕込み70℃に昇温後、70〜75℃に保温し、2−ヒドロキシエチルアクリレート 232重量部、PTG650SN(保土ヶ谷化学(株)製商品名、ポリオキシテトラメチレングリコール、数平均分子量約650)1950重量部、ヒドロキノンモノメチルエーテル 1.53重量部、L101(東京ファインケミカル(株)製商品名、ジブチル錫ラウレート)1.53重量部及び酢酸エチル 526重量部の混合液体を3時間で均一滴下し反応を行った。滴下完了後約5時間反応させ、IR測定によってイソシアネート基が消失したことを確認し反応を終了し、放射線重合性組成物(p−1)を得た。
【0105】
(合成例2)
攪拌機、温度計、乾燥空気導入管、滴下ロート及び冷却管を備えた1lフラスコに、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン 197.06g(0.48モル)及びγ−ブチロラクトン 318.14gを仕込んだ後、30℃に昇温し、30〜40℃に保ちながら、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート 50.4g(0.24モル)を少量ずつ滴下した。滴下後、30℃で1時間反応を続けた後、カレンズMOI(昭和電工(株)製商品名、イソシアネートエチルメタクリレート)70.68g(0.456モル)及びヒドロキノンモノメチルエーテル 0.318gを、30℃に保ちながら、少量ずつ滴下した。滴下後、30℃以下で2時間反応を続け、放射線重合性化合物(p−2)を得た。
【0106】
(合成例3)
攪拌機、冷却管及び窒素導入管を備えた四ツ口フラスコに、表1に示す(1)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃に昇温し、反応温度を80℃±2℃に保ちながら、表1に示す(2)を4時間かけて均一に滴下した。(2)の滴下後、80℃±2℃で6時間攪拌を続けた後、表1に示す(3)を添加した。(3)を添加後、反応系を100℃に昇温し、0.5時間かけて表1に示す(4)を滴下した。(4)の滴下後、100℃で20時間攪拌を続けた後、室温に冷却して、重量平均分子量が25,000、ガラス転移温度が約10℃の側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体(p−3)を得た。
【0107】
(合成例4)
合成例3において、表1に示すように各種配合を変化させた以外は合成例3と全く同様の反応を行い、重量平均分子量が28,000、ガラス転移温度が約5℃の側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体(p−4)を得た。
【0108】
【表1】
(製造例1)
YD8125(東都化成(株)製商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量175)15重量部、YDCN703(東都化成(株)商品名、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量210)45重量部、フェノライトLF2882(大日本インキ化学工業(株)製商品名、ビスフェノールAノボラック樹脂)40重量部、フェノトートYP−50(東都化成(株)商品名、フェノキシ樹脂、分子量5万)15重量部、HTR−860P−3(帝国化学産業(株)商品名、エポキシ基含有アクリルゴム、分子量100万、Tg−7℃)150重量部、キュアゾール2PZ−CN(四国化成工業(株)製商品名、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール)0.5重量部、NUC A−187(日本ユニカー(株)製商品名、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.7重量部からなる組成物に、メチルエチルケトンを加えて攪拌混合し、真空脱気した。この粘接着剤ワニスを、厚さ75μmの離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジンピューレックス:S31)上に塗布し、140℃で5分間加熱乾燥して、基材フィルムを備えた膜厚が45μmのBステージ状態のフィルム状粘接着層(F−1)を得た。
【0109】
(実施例1)
YDCN−703(東都化成(株)製商品名、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量210)42.3重量部、フェノライトLF2882(大日本インキ化学工業(株)製商品名、ビスフェノールAノボラック樹脂)23.9重量部、HTR−860P−3(ナガセケムテックス(株)製商品名、エポキシ基含有アクリルゴム、分子量100万、Tg−7℃)44.1重量部、キュアゾール2PZ−CN(四国化成工業(株)製商品名、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール)0.4重量部、NUC A−187(日本ユニカー(株)製商品名、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.7重量部、合成例1で得られた放射線重合性化合物(P−1)22.05重量部及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 0.5重量部からなる組成物に、メチルエチルケトンを加えて攪拌混合し、真空脱気した。この粘接着剤ワニスを、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジンテトロンフィルム:G2−50、表面張力50dyne/cm)上に塗布し、140℃で5分間加熱乾燥した後、製造例1で作製した膜厚が45μmのBステージ状態のフィルム状粘接着層(F−1)を粘接着剤層同士で貼り合せ、基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を備えた膜厚が50μmの接着シート(基材を除いた接着シートの厚みが50μm)(接着シート1)を作製した。
【0110】
この接着シート1を170℃1時間硬化させた場合の貯蔵弾性率を動的粘弾性測定装置(レオロジ社製、DVE−V4)を用いて測定(サンプルサイズ:長さ20mm、幅4mm、膜厚80μm、昇温速度5℃/min、引張りモード、10Hz、自動静荷重)した結果、25℃で350MPa、260℃で20MPaであった。
【0111】
得られた接着シート1を用いて、半導体チップと厚み25μmのポリイミドフィルムを基材に用いた配線基板を接着シートで貼り合せた半導体装置サンプル(片面にはんだボールを形成)を作製し、耐熱性及び耐湿性を調べた。耐熱性の評価方法には、耐リフロークラック性と温度サイクル試験を適用した。耐リフロークラック性の評価は、サンプル表面の最高温度が240℃でこの温度を20秒間保持するように温度設定したIRリフロー炉にサンプルを通し、室温で放置することにより冷却する処理を2回繰り返したサンプル中のクラックを目視と超音波顕微鏡で視察した。クラックの発生していない確率(%/100チップ)で示した。耐温度サイクル性は、サンプルを−55℃雰囲気に30分間放置し、その後125℃の雰囲気に30分間放置する工程を1サイクルとして、1000サイクル後において超音波顕微鏡を用いて剥離やクラック等の破壊が発生していない確率(%/100チップ)で示した。また、耐湿性評価は、温度121℃、湿度100%、2.03×105Paの雰囲気(プレッシャークッカ−テスト:PCT処理)で72時間処理後に剥離を観察した。剥離の発生していない確率(%/100チップ)で示した。尚、良好なものには「○」、そうでないものには「×」を付記した。
【0112】
一方、接着シート1を厚さ150μmのシリコンウェハ上に貼付け、接着シート付きシリコンウェハをダイシング装置上に載置した。次いで、半導体ウェハをダイシング装置上に固定して、100mm/secの速度で5mm×5mmにダイシングした後、(株)オーク製作所製UV−330 HQP−2型露光機を使用して、500mJ/cm2の露光量で接着シートの支持体フィルム側から露光し、ピックアップ装置にてダイシングしたチップをピックアップし、ダイシング時のチップ飛び及びピックアップ性を評価した。ダイシング時にチップが飛んだ確率(%/100チップ)でダイシング時のチップ飛びを、ピックアップダイボンダ−により、ダイシング後のチップをピックアップしたときのピックアップできた確率(%/100チップ)でピックアップ性を示した。
【0113】
さらに、上記接着シート付きシリコンウェハに500mJ/cm2の露光量で接着シートの支持体フィルム側から露光し、露光前後の接着シート/基材界面の接着強度を、90°ピール強度で測定した(引張り速度:50mm/min)。これらの評価結果をまとめて表2に示す。
【0114】
(実施例2)
実施例1において、合成例1で得られた放射線重合性化合物(P−1)を合成例2で得られた放射線重合性化合物(P−2)にした以外は実施例1と全く同様の操作を行い、基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を備えた膜厚が50μmの接着シート(基材を除いた接着シートの厚みが50μm)(接着シート2)を作製した。
この接着シート2を170℃1時間硬化させた場合の貯蔵弾性率を動的粘弾性測定装置(レオロジ社製、DVE−V4)を用いて測定(サンプルサイズ:長さ20mm、幅4mm、膜厚80μm、昇温速度5℃/min、引張りモード、10Hz、自動静荷重)した結果、25℃で370MPa、260℃で30MPaであった。
得られた接着シート2を実施例1と同様の条件で評価した結果を表2に示す。
【0115】
(実施例3)
実施例1において、合成例1で得られた放射線重合性化合物(P−1)を合成例3で得られた側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性化合物(P−3)にした以外は実施例1と全く同様の操作を行い、基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を備えた膜厚が50μmの接着シート(基材を除いた接着シートの厚みが50μm)(接着シート3)を作製した。
この接着シート3を170℃1時間硬化させた場合の貯蔵弾性率を動的粘弾性測定装置(レオロジ社製、DVE−V4)を用いて測定(サンプルサイズ:長さ20mm、幅4mm、膜厚80μm、昇温速度5℃/min、引張りモード、10Hz、自動静荷重)した結果、25℃で330MPa、260℃で15MPaであった。
得られた接着シート3を実施例1と同様の条件で評価した結果を表2に示す。
【0116】
(実施例4)
実施例1において、合成例1で得られた放射線重合性化合物(P−1)をNK-ESTER BPE-200(新中村化学工業(株)製商品名、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパンにした以外は実施例1と全く同様の操作を行い、基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を備えた膜厚が50μmの接着シート(基材を除いた接着シートの厚みが50μm)(接着シート4)を作製した。
この接着シート4を170℃1時間硬化させた場合の貯蔵弾性率を動的粘弾性測定装置(レオロジ社製、DVE−V4)を用いて測定(サンプルサイズ:長さ20mm、幅4mm、膜厚80μm、昇温速度5℃/min、引張りモード、10Hz、自動静荷重)した結果、25℃で380MPa、260℃で40MPaであった。
得られた接着シート4を実施例1と同様の条件で評価した結果を表2に示す。
【0117】
(比較例1)
YDCN−703(東都化成(株)製商品名、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量210)42.3重量部、フェノライトLF2882(大日本インキ化学工業(株)製商品名、ビスフェノールAノボラック樹脂)23.9重量部、HTR−860P−3(ナガセケムテックス(株)製商品名、エポキシ基含有アクリルゴム、分子量100万、Tg−7℃)44.1重量部、NUC A−187(日本ユニカー(株)製商品名、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.7重量部からなる組成物に、メチルエチルケトンを加えて攪拌混合し、真空脱気した。このワニスを、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジンテトロンフィルム:G2−50、表面張力50dyne/cm)上に塗布し、140℃で5分間加熱乾燥し、基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を備えた膜厚が50μmの接着シート(基材を除いた接着シートの厚みが50μm)(接着シート5)を作製した。得られた接着シート5を実施例1と同様の条件で評価した結果を表2に示す。
【0118】
(比較例2)
YDCN−703(東都化成(株)製商品名、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量210)42.3重量部、フェノライトLF2882(大日本インキ化学工業(株)製商品名、ビスフェノールAノボラック樹脂)23.9重量部、HTR−860P−3(ナガセケムテックス(株)製商品名、エポキシ基含有アクリルゴム、分子量100万、Tg−7℃)44.1重量部、NUC A−187(日本ユニカー(株)製商品名、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.7重量部、NK-ESTER BPE-200(新中村化学工業(株)製商品名、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン22.05重量部及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 0.5重量部からなる組成物に、メチルエチルケトンを加えて攪拌混合し、真空脱気した。このワニスを、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジンテトロンフィルム:G2−50、表面張力50dyne/cm)上に塗布し、140℃で5分間加熱乾燥し、基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を備えた膜厚が50μmの接着シート(基材を除いた接着シートの厚みが50μm)(接着シート6)を作製した。
得られた接着シート6を実施例1と同様の条件で評価した結果を表2に示す。
【0119】
表2から、本発明から成る接着シートは耐熱性及び耐湿性に優れ、ダイシング時のチップ飛びも無く、ピックアップ性も良好であることが分かった。さらに、露光前後の接着強度差が大きいため、作業条件裕度が大きく、作業性に優れるものであることが分かった。さらに、半導体素子と支持部材の接合工程では接続信頼性に優れる接着剤として使用することができることが分かった。
【0120】
【表2】
【発明の効果】
本発明から成る接着シートは、ダイシング工程ではダイシングテープとして、半導体素子と支持部材の接合工程では接続信頼性に優れる接着剤として使用することができる。また、半導体搭載用支持部材に熱膨張係数の差が大きい半導体素子を実装する場合に必要な耐熱性、耐湿性を有し、かつ作業性に優れるものである。
【0121】
本発明から成る接着シートを使用した半導体装置の製造方法は、製造工程を簡略化でき、しかも製造した半導体装置は、半導体搭載用支持部材に熱膨張係数の差が大きい半導体素子を実装する場合に必要な耐熱性、耐湿性及び作業性を兼ね備えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る接着シートの基材フィルムを備えた粘接着剤層の一例の断面図である。
【図2】本発明に係る接着シートの基材フィルムを備えた粘接着剤層の一例の断面図である。
【図3】本発明の接着シートの一例の断面図である。
【図4】本発明に係る接着シートに半導体ウェハを貼着した状態を示す図である。
【図5】本発明に係る接着シートを半導体ウェハのダイシング工程に用いた場合の図である。
【図6】図5に示す工程の後、接着シートに、裏面から放射線を照射した状態を示す図である。
【図7】図6に示す工程の後、半導体素子をピックアップする工程を示す図である。
【図8】ピックアップされた半導体素子と粘接着層を示す図である。
【図9】半導体素子を半導体素子搭載用支持部材に熱圧着した状態を示す図である。
【符号の説明】
1…粘接着剤層
1−1…粘接着剤層
1−2…粘接着剤層
2…基材フィルム
3…基材フィルム
5…半導体素子搭載用支持部材
6…ダイシングカッター
7…吸引コレット
A…半導体ウェハ
A1、A2、A3…半導体素子
B…放射線
Claims (11)
- 粘接着剤層及び基材フィルムを少なくとも備えた放射線重合性及び熱重合性接着シートであって、
上記粘接着剤層は、(A)熱重合性成分(B)熱可塑性樹脂及び(C)放射線重合性化合物を含有してなり、
上記粘接着剤層の総膜厚のうち、上記基材フィルムと接する面の表面から膜厚で10%以内の層中の(C)放射線重合性化合物の単位体積あたりの重量をXとし、上記基材フィルムと接する面の表面から膜厚で10%以外の層中の(C)放射線重合性化合物の単位体積あたりの重量をYとしたとき、0≦Y/X≦0.5の関係式を満たしてなる接着シート。 - 上記粘接着剤層の総膜厚のうち基材フィルムと接する面の表面から膜厚で10%以内の層は、(A)熱重合性成分(B)熱可塑性樹脂及び(C)放射線重合性化合物を含有し、
上記粘接着剤層の総膜厚のうち基材フィルムと接する面の表面から膜厚で10%以外の層は、(A)熱重合性成分及び(B)熱可塑性樹脂を含有するものである請求項1記載の接着シート。 - 前記(B)熱可塑性樹脂は、官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分である請求項1又は2記載の接着シート。
- 前記官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分は、エポキシ基含有反復単位を0.5〜6重量%含有するエポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体である請求項3記載の接着シート。
- 前記(C)放射線重合性化合物は、側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体である請求項1〜4のいずれか1項記載の接着シート。
- 前記粘接着層は、25℃で10〜2000MPa、及び260℃で3〜50MPaの加熱硬化後の貯蔵弾性率を有する、請求項1〜7のいずれか1項記載の接着シート。
- 放射線の照射により、前記粘接着剤層と基材フィルムとの間の接着力を制御する請求項1〜8のいずれか1項記載の接着シート。
- 請求項1〜9のいずれか1項記載の接着シートを用いて、半導体素子と半導体搭載用支持部材とを接着した半導体装置。
- 請求項1〜9のいずれか1項記載の粘接着剤層と基材フィルムとを備える接着シートを前記粘接着剤層を挟んで半導体ウェハに貼り付ける工程と;
前記半導体ウェハをダイシングして接着シート付き半導体素子を得る工程と;
得られた接着シート付き半導体素子の接着シートに放射線を照射して前記粘接着剤層を硬化し、基材フィルムを剥離して粘接着剤層付き半導体素子を得る工程と;
得られた粘接着剤層付き半導体素子と半導体素子搭載用の支持部材とを前記粘接着剤層を介して接着する工程と;を含む半導体装置の製造方法。
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