JP2010129896A - 抵抗体ペースト、抵抗体膜及び抵抗器 - Google Patents

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【課題】銅−ニッケル系の低抵抗率、低TCRを維持しながら、高い密着性を得ることができる抵抗体ペーストを提供する。
【解決手段】銅粉体とニッケル粉体とからなる導電性金属粉体と、ガラス粉体と、樹脂及び溶剤を含むビヒクルとを少なくとも含有するペーストに関する。ガラス粉体は、ビスマスを酸化物換算で70質量%以上含有する第1のガラス粉体と、ビスマス、鉛、及びカドミウムを実質的に含まない第2のガラス粉体とからなる。これにより、銅−ニッケル系の低抵抗率、低TCRを維持しながら、高い密着力の抵抗体膜を得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、抵抗体ペースト、この抵抗体ペーストを用いて形成した抵抗体膜、及びこの抵抗体膜を設けて形成した抵抗器に関するものである。
各種電子機器の電子回路や電源回路において、電流検出用の抵抗器が用いられている。そして電気・電子機器の小型化、高機能化に伴なって、抵抗体ペーストをセラミックなどの耐熱絶縁性基板の上に印刷し、これを焼成して形成される厚膜型チップ抵抗器のニーズが高まっている。このような電流検出用の抵抗器に求められる特性は、抵抗値が低いことと、TCR(Temperature Coefficient of Resistance:抵抗値温度係数)が低いことである。
このような低抵抗値、低TCRを満足する材料として、銅−ニッケル合金が知られている。そして特許文献1では、銅及びニッケルからなる導電性金属粉体と、400〜500℃の低軟化点のガラス粉体と、酸化バナジウム等の金属酸化物を含む抵抗体ペーストが提案されており、50mΩ/□以下の低い抵抗値を実現できることが報告されている。
しかし特許文献1の抵抗体ペーストは、低軟化点のガラス粉体として環境規制対象である酸化鉛系のガラス粉体を使用したり、高価なバナジウム化合物を使用したりする必要があるという問題があり、また密着性にも問題を有するものであった。
特開平11−233302号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、銅−ニッケル系の低抵抗率、低TCRを維持しながら、高い密着力を得ることができる抵抗体ペーストを提供することを目的とするものであり、またこの抵抗体ペーストで作製した抵抗体膜及び抵抗器を提供することを目的とするものである。
本発明に係る抵抗体ペーストは、銅粉体とニッケル粉体とからなる導電性金属粉体と、ガラス粉体と、樹脂及び溶剤を含むビヒクルとを少なくとも含有するペーストであって、ガラス粉体は、ビスマスを酸化物換算で70質量%以上含有する第1のガラス粉体と、ビスマス、鉛、及びカドミウムを実質的に含まない第2のガラス粉体とからなることを特徴とするものである。
第1のガラス粉体は、低軟化温度、金属粉に対する良好な濡れ性、窒素雰囲気下で焼成する際部分的に還元され、合金化に参与するといった性質があり、抵抗ペーストの焼結性の向上、均一な銅−ニッケル合金の形成、抵抗体膜−基板間の密着性向上に寄与する。第2のガラス粉体は、主に抵抗体膜と基板間の密着力発現に寄与するものであるが、第1のガラス粉の低軟化点及び金属粉に対する高い濡れ性により、第2のガラス粉体は焼成過程において金属粉間にスムーズに溶融流動し、抵抗体膜−基板界面に移動し、抵抗体膜と基板を強固に接合するものである。本発明においては、このように第1のガラスと第2のガラスの異なる機能と、この2種類のガラスの相乗効果により、良好な密着力、低い抵抗値、低いTCRを有する抵抗体膜を得ることができる。また本発明に使用するガラス粉体には環境規制対象の鉛、及びカドミウムを含まないので、環境問題が発生することを未然に防ぐことができるものである。
また本発明において、前記第1のガラス粉体のビスマスの含有量は、酸化物換算で80質量%以上であることを特徴とするものである。
このようにビスマスの含有量が80質量%以上であることによって、焼結及び合金化促進効果は格段に高くなり、抵抗率、TCRをより低下しつつ密着性を一層向上することができるものである。
また本発明において、前記第2のガラス粉体は、その焼結体を10質量%濃度の硫酸水溶液、又は4質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に、50℃下2時間浸漬した場合の重量減少率がいずれも1%未満であることを特徴とするものである。
前記第2のガラス粉体の耐酸性及び耐アルカリ性をこのように設定することによって、抵抗体膜が各種の化学物質にさらされた場合であっても、抵抗体膜の密着力を維持することができる。
また本発明において、前記導電性金属粉体の銅粉体とニッケル粉体の質量比率は、90:10〜40:60の範囲であることを特徴とするものである。
銅粉体とニッケル粉体の質量比率をこの範囲に設定することによって、TCRを低く維持しながら、抵抗率を広い範囲で調整することができるものである。
また本発明は、塗布して焼成した後の抵抗体膜の体積抵抗率が、20〜200μΩ・cmであることを特徴とするものである。
抵抗率がこの範囲であることによって、50mΩ以下、さらには10mΩ以下の低抵抗の抵抗器を容易に得ることができるものである。
また本発明に係る抵抗体膜は、上記の抵抗体ペーストを成膜すると共に窒素雰囲気下700〜1000℃の温度で焼成して得られたことを特徴とするものである。
このように窒素雰囲気下700〜1000℃の温度で焼成することによって、抵抗体膜の密着性をより高めることができるものである。
また本発明に係る抵抗器は、絶縁性基板の表面に上記の抵抗体膜を設けて形成されたものであり、低抵抗率、低TCRを有し、また高い密着性を有する抵抗体膜を備えた抵抗器を得ることができるものである。
本発明によれば、ガラス粉体として、ビスマスを酸化物換算で70質量%以上含有して軟化点の低い第1のガラス粉体と第2のガラス粉体を用いることによって、密着性を高めることができ、また第2のガラス粉体には環境規制対象の鉛、及びカドミウムを含まないので、環境問題が発生することを未然に防ぐことができるものであり、銅−ニッケル系合金の低抵抗率、低TCRを維持しながら、高い密着性を有する抵抗体膜を形成することができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明は、導電性金属粉体として銅粉体とニッケル粉体とからなるものを用いるものである。銅−ニッケル系合金は低抵抗率、低TCRを有するものであり、本発明の抵抗体ペーストにおいてこのように導電性金属粉体として銅粉体とニッケル粉体を含有することによって、低抵抗率、低TCRを有する抵抗体膜を作製することができるものである。導電性金属粉体の粒径は特に限定されるものではないが、中心粒径として0.1〜20μmの範囲が好ましい。
導電性金属粉体の銅粉体とニッケル粉体の質量比率は、銅粉体/ニッケル粉体=90/10〜40/60(合計100)の範囲であることが好ましく、銅粉体とニッケル粉体の質量比率がこの範囲であることによって、低TCRを有効に維持しながら抵抗率を自由に調整することができるものである。TCRをさらに低下させるために、銅粉体/ニッケル粉体=70/30〜50/50の範囲であることがより好ましい。
また本発明においてガラス粉体としては、第1のガラス粉体と第2のガラス粉体を用いるものである。
第1のガラス粉体は、ビスマスを酸化物換算で70質量%以上含有するものである。例えば酸化ビスマス、酸化亜鉛、二酸化ケイ素を主成分とするガラスを用いることができ、この場合には酸化ビスマスを70質量%以上含有するものである。ビスマスの含有量が増大すると軟化点が低下する傾向にあり、ビスマスの含有量は酸化物換算で80質量%以上であることがより好ましい。ビスマスの含有量が過剰であると軟化点が低くなりすぎるとと共に、第2のガラス粉体との相溶性が低下するおそれがあるので、酸化物換算で95質量%程度以下が好ましい。
第1ガラス粉体の軟化点は、抵抗体膜を作製する際の焼成温度が通常900℃であることを考慮すると、650℃以下であることが好ましい。軟化点の下限は特に設定されないが、400℃以上であることが好ましい。また第1ガラス粉体の粒径は特に限定されるものではないが、抵抗体ペーストをスクリーン印刷で塗布する場合には、0.1〜20μmの範囲が好ましい。この第1ガラス粉体の配合量は、導電性金属粉体100質量部に対して0.5〜10質量部の範囲が好ましい。
第2のガラス粉体は、鉛、及びカドミウムを実質的に含まないものが用いられるものであり、ホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸亜鉛系ガラス、ホウケイ酸カルシウム系ガラス、ホウケイ酸バリウムカルシウム系ガラス、ホウケイ酸マグネシウム系ガラス等が好ましい。尚、本発明において「鉛、及びカドミウムを実質的に含まない」とは、鉛、及びカドミウムを全く含まない場合は勿論、環境に影響を及ぼさない程度に微量に含有することは許容されるということを意味するものである。第2のガラス粉体は、焼成抵抗体膜−基板間の密着力を発現する重要な物質である。第1のガラス粉体も密着力の向上に寄与するが、酸化ビスマスは焼成中に部分的に還元されるので、単独使用では密着力向上は不十分である。第1のガラス粉体は自身が密着力に直接に寄与することに加えて、金属粉の焼結性を向上するとともに第2のガラス粉体の濡れ性を向上し、それにより第2のガラス粉体は抵抗体膜の焼結の際にスムーズに抵抗体膜−基板界面へ移動し、均一、緻密な接合層を形成して密着力を発現するものである。また、第2のガラス粉体は抵抗体膜−基板間の接合物質となるので、第2のガラス粉体の熱膨張係数は基板の熱膨張係数に近いことが好ましい。第2のガラスの熱膨張係数と基板のそれとの乖離の上下限は特に限定するものではないが、基板の熱膨張係数を15%上回らず、かつ30%下回らない範囲にあることが好ましい。第2のガラス粉体の熱膨張係数はこの範囲以外であると、熱応力により接合層ガラスにクラックが生じ、密着力が低下する恐れがある。また、焼成抵抗体膜は化学メッキによる端子電極形成などの目的で各種の化学物質にさらされることがあるので、抵抗体膜の密着力を維持するために、第2のガラス粉体は耐水性、耐酸性、耐アルカリ性などの耐薬品性を有するものを使用することは好ましい。必要な耐薬品性は製造工程及び使用環境により特に限定するものではないが、各種の化学処理に問題なく対応するためには、その焼結体を10質量%濃度の硫酸水溶液と、4質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液にそれぞれ、50℃下で2時間浸漬した場合の重量減少率がいずれも1%未満のものであることが好ましい。
第2のガラス粉体の軟化点は、抵抗体膜を作製する際の焼成温度が通常900℃であることを考慮すると、750℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは650℃以下である。軟化点の下限は特に設定されないが、400℃以上であることが好ましい。また第2ガラス粉体の粒径は特に限定されるものではないが、抵抗体ペーストをスクリーン印刷で塗布する場合には、0.1〜20μmの範囲が好ましい。この第2ガラス粉体の配合量は、導電性金属粉体100質量部に対して2〜10質量部の範囲が好ましい。
抵抗体ペーストは、上記の導電性金属粉体と、ガラス粉体と、有機ビヒクルとを主成分として形成されるものである。有機ビヒクルとしては、有機バインダーを有機溶剤に溶解したものを用いることができる。有機バインダーとしては特に限定されるものではないが、焼成過程で容易に焼失させられ且つ灰分の少ない有機化合物、例えば、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル類、ニトロセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、ブチルセルロース等のセルロース類、ポリオキシメチレン等のポリエーテル類、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のポリビニル類などを使用することができるものであり、これらは1種を単独で用いる他、2種類以上を混合して用いることもできる。
有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、抵抗体ペーストに適度な粘性を与え且つ抵抗体ペーストを基板に塗布した後に乾燥処理によって容易に揮発させられる有機化合物、例えばカルビトール、カルビトールアセテート、テレピネオール、メタクレゾール、ジメチルイミダゾール、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルホルムアミド、ジアセトンアルコール、トリエチレングリコール、パラキシレン、乳酸エチル、イソホロン等の高沸点の有機溶剤を使用することができるものであり、これらは1種を単独で用いる他、2種類以上を混合して用いることもできる。
上記の導電性金属粉体、ガラス粉体、有機ビヒクル、さらに必要に応じて、表面活性剤、酸化防止剤などを配合し、これらを混合することによって、抵抗体ペーストを調製することができるものである。各材料の配合割合は特に制限されるものではないが、導電性金属粉体100質量部に対して、有機バインダー1〜20質量部、有機溶剤5〜20質量部の範囲に設定するのが好ましい。絶縁性基板の表面に塗布し、これを焼成して抵抗体膜を形成することによって、電流検出用抵抗器などの抵抗器を作製することができるものである。絶縁性基板としては、電気絶縁性を有し、抵抗体ペーストを塗布した後に焼成する高温に耐えるものであれば特に限定されない。例えば、セラミックス基板、ガラス基板、シリコーン基板などの耐熱性基板が挙げられる。セラミックスとしては、アルミナ、ジルコニア、ベリリア、ムライト、ホルステライト、コーディライト、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛等の酸化物系セラミックス、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素等の非酸化物系セラミックス等を挙げることができるが、これらの中でも、アルミナは機械的特性、電気特性、コストなどに優れているので、特に好ましい。
本発明の抵抗体ペーストを用いて抵抗器を製造する際の抵抗体ペーストの塗布方法及び製造される抵抗器の構成、形状、サイズは特に限定するものではなく、従来公知な技術、方法(例えば特開平10−199705号公報に記載の方法)を使用すればよい。抵抗体ペーストをセラミックス基板などの絶縁性基板に印刷した後、それを100℃で溶媒を乾燥した後、窒素などの非活性雰囲気下で焼成することによって、抵抗体膜を形成することができる。抵抗体膜の焼成条件は特に限定されるものではないが、ピーク温度を700〜1000℃、より好ましくは800〜950℃、ピーク温度保持時間を10〜30分間に設定するのが好ましい。ピーク温度が700℃より低いと焼結が不十分であったり、抵抗体膜と絶縁性基板間の密着力が低下したりする恐れがある。一方、1000℃以上になると過焼結になり、一部の金属が溶融し、不均一な抵抗体膜になる恐れがある。
低抵抗抵抗器の製造に適する抵抗体膜としては、体積抵抗率が20〜200μΩ・cmの範囲であることが好ましい。抵抗体膜の体積抵抗率がこの範囲にあると、抵抗値が50mΩ以下、特に10mΩ以下の低抵抗チップ抵抗器を容易に製造することができるものであり、本発明の抵抗体ペーストを用いることによって、このような低抵抗率を容易に得ることができるものである。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
導電性金属粉体として、中心粒径が3μmの銅粉体(三井金属鉱業(株)製)と中心粒径が0.3μmのニッケル粉体(住友金属鉱山(株)製)を用いた。ここで、中心粒径はレーザー回折散乱粒度分布計を用いて測定した値である。
またガラス粉体は、第1のガラス粉体として、表1に示すビスマス系ガラス1、ビスマス系ガラス2、ビスマス系ガラス3と、第2のガラス粉体として、表1に示すホウケイ酸亜鉛ガラス、ホウケイ酸ガラスを用いた。各ガラスのガラス組成と、酸化ビスマス含有量と、軟化点、熱膨張係数、耐酸性、耐アルカリ性を表1に示す。耐酸性は、10質量%濃度の硫酸水溶液に50℃下で2時間浸漬した場合の重量減少率で、耐アルカリ性は、4質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に50℃下で2時間浸漬した場合の重量減少率で示す。
Figure 2010129896
ビヒクルとしては、ターピオネールとブチルカルビトールの質量比1:1の混合溶媒にアクリル樹脂を30質量%濃度に溶解して調製したものを用いた。
そして表2の配合に従って、銅粉体とニッケル粉体を混合して導電性金属粉体として用い、これに第1のガラス粉体と第2のガラス粉体、有機ビヒクルを添加した。そしてこれを自動乳鉢で混合した後、3本ロールで均一に混練することによって、実施例1〜15及び比較例1〜4の抵抗体ペーストを調製した。
そして予め厚膜銅電極を形成した96%アルミナ基板(熱膨張係数:7.2ppm)の上に、上記のように調製した抵抗体ペーストを5×5mmの正方形パターンにスクリーン印刷した。次に、この印刷基板を100℃の送風乾燥機で20分間乾燥して溶媒を除去した後、ベルト炉に投入し、窒素雰囲気中でピーク温度900℃にて10分間保持する条件で焼成することによって、実施例1〜15及び比較例1〜4の抵抗体膜を作製した。
このようにして得られた抵抗体膜について、体積抵抗率、TCR、密着力を次の方法で評価した。結果を表2に示す。尚、全実施例において、基板上に均一な焼成抵抗体膜が形成されており、またSEMで確認したところ良好に合金化していることが確認された。
(体積抵抗率)
基板上に形成された5mm角の抵抗体膜を温度25±3℃、湿度65±10%RHの雰囲気に30分以上静置した後、4端子抵抗率計を用いて4端子法で抵抗体膜の抵抗値を測定し、さらに抵抗体膜の厚さを触針式膜厚計で測定し、抵抗体膜の体積抵抗率を求めた。
(TCR)
基板上に形成された5mm角の抵抗体膜を125℃の恒温槽に入れ、30分間静置した後、4端子法で抵抗体膜の抵抗値を測定した。そして上記のように25℃で測定した抵抗値に対する変化率として、TCRを求めた。
(密着力)
基板上に形成された2mm角の抵抗体膜を、ステンレスのピンセットで突き剥がす操作を行ない、力を入れても剥がせないものを「○」、力を入れれば剥がせるものを「△」、あまり力を入れなくても剥がせるものを「×」と評価した。
Figure 2010129896
表2にみられるように、実施例1〜6は酸化ビスマス90質量%の第1のガラス粉体と第2のガラス粉体の配合比率を固定し、導電性金属粉体の銅/ニッケルの質量比率を変化させたものである。銅−ニッケル純合金と同様、体積抵抗率とTCRは銅−ニッケル比率により変化するが、いずれも純合金に近似する低いTCR、体積抵抗率を有し、密着力も良好であった。
実施例7,8は導電性金属粉体の銅/ニッケルの質量比率を70/30に固定し、第1のガラス粉と第2のガラス粉の組み合わせを変えたものであるが、体積抵抗率、TCR、密着力のいずれも、良好な結果であった。
実施例9〜12はガラス粉体のうち第1のガラス粉体の配合量を変化させたものであり、いずれもTCRや密着力は良好な範囲内であるが、実施例12は第1のガラス粉体の配合量が少ないので、TCRが高めになると共に密着力が低下している。このように、第1のガラス粉体は密着力に寄与していることが確認される。
実施例13〜15は、第2のガラス粉体の配合量を変化させたものであり、第2のガラス粉体は密着力の向上に寄与しているが、量が多くなると体積抵抗率やTCRが上昇する傾向が見られるものであった。
一方、比較例1は、第1のガラス粉体として酸化ビスマス含有率が45質量%のものを用いる他は、実施例2と同じ配合であるが、体積抵抗率やTCRが大きく上昇し、密着力は低下するものであった。
比較例2,3は第1のガラス粉体を使用しないものであり、比較例1と同様な結果であった。
比較例4はガラス粉体として第1のガラス粉体のみを使用したものであり、体積低効率やTCRは良好であるものの、密着力が低いものであった。

Claims (7)

  1. 銅粉体とニッケル粉体とからなる導電性金属粉体と、ガラス粉体と、樹脂及び溶剤を含むビヒクルとを少なくとも含有するペーストであって、ガラス粉体は、ビスマスを酸化物換算で70質量%以上含有する第1のガラス粉体と、鉛、及びカドミウムを実質的に含まない第2のガラス粉体とからなることを特徴とする抵抗体ペースト。
  2. 前記第1のガラス粉体のビスマスの含有量は、酸化物換算で80質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の抵抗体ペースト。
  3. 前記第2のガラス粉体は、その焼結体を10質量%濃度の硫酸水溶液、又は4質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に、50℃下2時間浸漬した場合の重量減少率がいずれも1%未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の抵抗体ペースト。
  4. 前記導電性金属粉体の銅粉体とニッケル粉体の質量比率は、90:10〜40:60の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の抵抗体ペースト。
  5. 塗布して焼成した後の抵抗体膜の体積抵抗率が、20〜200μΩ・cmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の抵抗体ペースト。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の抵抗体ペーストを成膜すると共に窒素雰囲気下700〜1000℃の温度で焼成して得られたことを特徴とする抵抗体膜。
  7. 絶縁性基板の表面に請求項6に記載の抵抗体膜を設けて形成されたことを特徴とする抵抗器。
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