JP2010124783A - 脱穀装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】揺動選別棚上の穀粒が脱穀装置の外部へ排出され収穫損失となる問題を解決し、脱穀作業の精度及び能率を向上させる。
【解決手段】排塵処理室18の後端左側部に設けた第1排塵口に、第1排塵口から排出される排塵物を右側後方へ流下案内して圃場面へ落下させる第1傾斜面29aを備えた第1排出案内板29を設け、排塵処理室18の後端右側部に設けた第2排塵口に、第2排塵口から排出される排塵物を右側後方へ流下案内して圃場面へ落下させる第2傾斜面24aと、第2排塵口から排出される排塵物を脱穀装置7の直後方へ流下案内して圃場面へ落下させる第3傾斜面24bとを備えた第2排出案内板24を設ける。
【選択図】図6

Description

本発明は、脱穀装置に関するものである。
従来より、走行装置を備えた車体の前側に刈取装置を設け、車体の上側に脱穀装置を設け、該脱穀装置の右側に穀粒貯留装置を設け、脱穀装置の上部に扱胴を備えた扱室を設け、該扱室の左側にフィードチェンを設け、扱室の右側には排塵処理室を設け、該排塵処理室内に脱穀装置の背面視で反時計方向に回転する排塵処理胴を設け、扱室の後端部と排塵処理室の前端部とを連通口で連通させ、扱室及び排塵処理室の下方に揺動選別棚を設け、該揺動選別棚の前部下方に唐箕を設け、該唐箕の後側に1番移送螺旋を設け、該1番移送螺旋の後側に2番移送螺旋を設け、揺動選別棚の後部上方に排塵ファンを設けたコンバインが知られている。
このようなコンバインとして、下記特許文献1には、排塵処理室の後端部の底部を下方へ向けて開口させ、排塵処理室内の排塵物の全てを脱穀装置内部の揺動選別棚上に排出する構成が開示されている。
特許第2794800号公報
上記特許文献1に開示された構成では、排塵処理室の後端部から、穀粒を含んだ細かな藁屑と共に、塊状になった大きな藁屑も一緒に揺動選別棚上に排出される。このため、揺動選別棚上の選別物量が増大し、充分な選別ができないまま、藁屑と共に穀粒が脱穀装置の外部に排出されてしまい、収穫損失を来たす問題があった。
また、この問題を解決するために、排塵処理室から排出される排塵物を直接機外へ排出する構成を採った場合には、この排塵物が隣接する未刈地側の穀稈に降りかかり、この未刈地側の穀稈列の刈取作業時に、排塵物ごと穀稈を刈り取ってしまい、脱穀負荷の増大や選別不良などの障害が発生する原因となる。
また、排塵処理室から排出されて圃場面に堆積した排塵物の層が左右方向で均一にならず、次期の耕耘作業において藁屑の鋤き込み量が均一にならず、移植された苗の生育状態が揃いにくくなる問題がある。
本発明は、上述した課題を解決するために、次の如き技術手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、走行装置(2)を備えた車体(1)の前側に刈取装置(3)を設け、車体(1)の上側に脱穀装置(4)を設け、該脱穀装置(4)の右側に穀粒貯留装置(G)を設け、前記脱穀装置(4)の上部に扱胴(7)を備えた扱室(8)を設け、該扱室(8)の左側にフィードチェン(11)を設け、扱室(8)の右側には排塵処理室(18)を設け、該排塵処理室(18)内に脱穀装置(4)の背面視で反時計方向に回転する排塵処理胴(17)を設け、前記扱室(8)の後端部と排塵処理室(18)の前端部とを連通口(R)で連通させ、前記扱室(8)及び排塵処理室(18)の下方に揺動選別棚(40)を設け、該揺動選別棚(40)の前部下方に唐箕(41)を設け、該唐箕(41)の後側に1番移送螺旋(42)を設け、該1番移送螺旋(42)の後側に2番移送螺旋(43)を設け、揺動選別棚(40)の後部上方に排塵ファン(30)を設け、前記排塵処理室(18)の後端左側部に排塵物を揺動選別棚(40)の後部上方へ排出する第1排塵口(21)を設け、該第1排塵口(21)に、第1排塵口(21)から排出される排塵物を右側後方へ流下案内して圃場面へ落下させる第1傾斜面(29a)を備えた第1排出案内板(29)を設け、前記排塵処理室(18)の後端右側部に排塵物を脱穀装置(4)の後方へ排出する第2排塵口(23)を設け、該第2排塵口(23)に、第2排塵口(23)から排出される排塵物を右側後方へ流下案内して圃場面へ落下させる第2傾斜面(24a)と、第2排塵口(23)から排出される排塵物を脱穀装置(4)の直後方へ流下案内して圃場面へ落下させる第3傾斜面(24b)とを備える第2排出案内板(24)を設けたことを特徴とするコンバインとする。
この構成により、扱室(8)内から連通口(R)を経て排塵処理室(18)内へ引き継がれ、この排塵処理室(18)内で処理された処理物のうち、藁屑等の細かい排塵物は、排塵処理胴(17)の回転によって、排塵処理室(18)の後端左側部に設けた第1排塵口(21)から揺動選別棚(40)の後部上方へ投げ出される。そして、この排塵物は、第1排出案内板(29)の第1傾斜面(29a)上を流下し、既刈地側の圃場面へ落下する。
また、塊状になった大きな藁屑等の排塵物は、排塵処理胴(17)に付き回りして、排塵処理室(18)の後端右側部に設けた第2排塵口(23)から脱穀装置(4)の後方へ排出される。そして、この排塵物は、第2排出案内板(24)の第2傾斜面(24a)上および第3傾斜面(24b)上を流下し、脱穀装置(4)の直後方および既刈地側の圃場面へ落下する。
請求項2記載の発明は、前記脱穀装置(4)の背面視において前記第1排出案内板(29)と第2排出案内板(24)との間に間隙部(K)を形成し、該間隙部(K)に、前記第1排塵口(23)から排出される排塵物を揺動選別棚(40)上へ流下する排塵物と該揺動選別棚(40)上へ流下せずに第2排出案内板(24)上へ引継がれる排塵物とに分離する複数のガイド杆(28)を配置したことを特徴とする請求項1記載のコンバインとする。
この構成により、第1排塵口(23)から排出される排塵物が複数のガイド杆(28)上で選別され、主に穀粒が揺動選別棚(40)上へ流下して回収される。また、ガイド杆(28)上から落下しない藁屑等の排塵物は、該ガイド杆(28)上から第2排出案内板(24)へ引き継がれ、該第2排出案内板(24)の第3傾斜面(24b)上または第2傾斜面(24a)上を流下し、圃場面へ落下する。
請求項1記載の発明によると、排塵処理室(18)の後端左側部に設けた第1排塵口(21)から排出される排塵物と、排塵処理室(18)の後端右側部に設けた第2排塵口(23)から排出される排塵物とを、脱穀装置(4)の直後方および既刈地側の圃場面へ落下させることができる。これによって、揺動選別棚(40)上の藁屑が減少し、該揺動選別棚(40)での揺動選別を効率よく行なえ、選別物中の穀粒が藁屑と共に機外に排出される収穫損失を低減でき、脱穀選別作業の精度と能率を向上させることができる。
また、排塵処理室(18)からの排塵物を直後方または既刈地側の圃場面へ落下させるため、未刈地側の穀稈に排塵物がかかりにくく、隣接する穀稈列の刈取作業時に、排出された藁屑の脱穀装置(4)への再供給を抑えて、脱穀負荷の増加や選別不良の発生を少なくし、コンバインによる刈取脱穀作業の能率を向上させることができる。また、排塵処理室(18)からの排塵物が直後方から既刈地側の圃場面にわたって拡散された状態で堆積するため、次期の耕耘作業において藁屑の鋤き込み量を均一化でき、移植された苗の生育状態を揃いやすくすることができる。
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、排塵処理室(18)の後端部から排出される排塵物中に混在した穀粒を揺動選別棚(40)上へ流下させて回収することができ、収穫損失を更に低減することができる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、図1、図2、図3に基づき、コンバインの機体の構成について述べる。
クロ−ラを有する走行装置2を備えた車体1の前側に、昇降可能な刈取装置3を設け、この車体1の上側に脱穀装置4を搭載し、この脱穀装置4の右側にホッパ式の穀粒貯留装置Gを設け、脱穀装置4の後側には排藁カッターCを設ける。
前記刈取装置3には、穀稈を分草する分草体3aと、分草された穀稈を引き起こす引起装置3bと、引き起こされた穀稈を掻き込む掻込装置(図示省略)と、掻き込まれた穀稈を刈り取る刈刃装置3cと、刈り取られた穀稈を後上方へ搬送する搬送装置3dを備える。これらの装置を前下がり傾斜した支持フレーム3eに一体に支持し、この支持フレーム3eの後上端部に設けた横軸を中心に、上下回動する構成とする。
また、該刈取装置3の後側には、操縦席5と主変速レバーLと副変速レバーMとスロットルレバーNと操向レバーOを備えた操縦部Pを設ける。前記操縦席5の下側には、エンジンEを搭載する。このエンジンEの燃焼用の外気は、機体上方へ突出した上流側のエアクリーナE1から下流側のエアクリーナE2を経て吸気される構成とする。
前記穀粒貯留装置Gは、3連の穀粒排出シュータG1を備えたホッパーであり、車体1上における穀粒貯留装置Gの下方には、籾袋を載せるキャリアG2を設ける。このキャリアG2の後部には燃料タンクG3を搭載し、キャリアG2の外側には、機体前後方向の軸芯を中心として開閉自在の補助キャリアG4を設ける。また、穀粒貯留装置Gを支持する支持フレームG5に、背凭れG6を上下回動自在に取り付ける。この背凭れG6は、補助キャリアG4上に搭乗した補助作業者の体を支えるためのものである。
つぎに、図4、図5に基づき、脱穀装置4の構成について説明する。
扱胴7を、脱穀装置4上部の扱室8の内部に回転自在に支持し、この扱胴7の下半周部に沿って受網9を張設する。10は扱室8の上方部を覆う扱胴カバ−であり、扱胴7の軸芯方向に平行な軸芯回りに揺動開閉可能に取り付ける。
扱室8の扱口側には穀稈を挟持搬送するフィ−ドチェン11とこの上側に対設する挟持レ−ル11aを設ける。この挟持レ−ル11aは扱胴カバ−10側に装着し、この扱胴カバ−10と共に揺動して開閉する構成とする。扱室8の終端側には多量の藁屑や未処理物を含む排塵処理物を下方に落下させる排塵落下口12を設ける。
前記フィ−ドチェン11の設置側とは反対の扱室8の一側に2番処理室15を設け、この2番処理室15内に、2番処理胴14を、背面視で反時計方向に回転自在に支持する。
また、2番処理室15の後方に排塵処理室18を設け、この排塵処理室18内に、前記2番処理胴14と同一軸芯で同方向に回転する排塵処理胴17を回転自在に支持する。この排塵処理胴17の外周には、連続した螺旋体と、この螺旋体の外周縁部に取り付けた処理歯とからなる螺旋処理歯16を取り付ける。そして、排塵処理胴17の左側半周を取り囲むように、格子状の排塵受網27を設ける。
前記排塵落下口12と前後方向で略同位置となる扱室8の後端部の横側部と、排塵処理室18の前端部の横側部とを、連通口Rで連通させる。この連通口Rには、排塵処理胴17の始端部に固着された螺旋形状の取込羽根19を臨ませ、この取込羽根19によって、扱室8側から排塵処理室18内への排塵物の取込みが円滑に行なわれる構成とする。
扱室8および排塵処理室17の下方には、揺動選別棚40を設ける。
この揺動選別棚40は、扱室8からの脱穀処理後の処理物と、排塵処理室17からの排塵処理物を受け入れて揺動移送しながら篩い選別するものであり、選別方向上手側から移送棚44、チャフシーブ45、ストローラック46の順に配置し、チャフシーブ45の下方にグレンシーブ47を設けて構成する。唐箕41及び排塵フアン30による選別風と揺動との共同作用によって、扱室8及び排塵処理室17から漏下してきた処理物を受け入れて揺動移送しながら篩い選別する構成である。
そして、揺動選別棚40の下方には、選別方向の上手側から順に、唐箕41と、1番移送螺旋42と、2番移送螺旋43を設け、揺動選別棚40の後部上方に、横断流ファン型の排塵ファン30を設ける。1番移送螺旋42で回収された穀物は1番揚穀装置42aを介して穀粒貯留装置G内に収容する。また、2番移送螺旋43で回収された2番物は、2番揚穀装置43aを介して2番処理室15の後端部へ還元する。2番処理室15内では、2番物が2番処理胴14によって処理されながら前方へ搬送され、2番処理室15の前端部に設けた落下口15aから揺動選別棚40の移送棚44上に落下して選別される。
図1〜図3に示すように、唐箕41の左右に設けた外気吸入口72の外側に、この外気吸入口72から吸い込まれる外気の量を調節する遮蔽板73を、回動軸74で脱穀装置4の機枠側に回動自在に取り付ける。この遮蔽板73が外気吸入口72に重なると、外気吸入口72から吸い込まれる外気の量が減少し、唐箕41から吹き出される選別風の風量が減少する構成とする。この遮蔽板73における回動軸74の反対側には、ワイヤー75の一端を取り付け、このワイヤー75の他端を、刈取装置3の支持フレーム3eと一体で上下回動するアーム76の端部に取り付ける。この構成により、圃場の一辺を刈り終えてコンバインを旋回させる際に、刈取装置3を上昇させると、唐箕41から吹き出す選別風の風量が低下し、揺動選別棚40上の藁屑が、穀粒と共に脱穀装置4の外部へ飛散するのを防止できる。
図4〜図7に示すように、排塵処理室17の後端左側部には、排塵処理室17の後端部まで送られてきた排塵物を、後述する揺動選別棚40の後部上方へ排出する第1排塵口21を開口させる。この第1排塵口21は、前記排塵受網27の後端の後側を開放して形成する。
また、排塵処理胴17の終端には排出羽根20を設ける。この実施例では、排出羽根20は1枚であるが、排塵処理胴17の外周上に複数枚設けてもよい。これにより、排塵処理胴17の背面視で反時計方向の回転によって、第1排塵口21まで送られてきた排塵物のうち、穀粒を含んだ藁屑等の細かい排塵物を、排出羽根20で揺動選別棚40の後端部上方へ投擲する構成とする。
また、前記第1排塵口21には、この第1排塵口21から排出される排塵物を右側後方へ流下案内して圃場面へ落下させる第1傾斜面29aを備えた第1排出案内板29を設ける。該第1排出案内板29は、揺動選別棚40の終端側上方に配置した排塵ファン30の側板31に基部を固定し、第1排塵口21側に向けて突設させて設ける。
この第1排出案内板29の第1傾斜面29aは、後下がり方向および右下がり方向に三次元的に傾斜する。これによって、第1排塵口21から排出されて排出羽根20で投擲された排塵物の大半を、揺動選別棚40上へ落下させることなく、直接機外へ排出する。
一方、排塵処理室18の後端右側の外側壁(右側板)22部には、排塵処理室18の終端まで送られてきた藁や塊状になった大きな藁屑などを脱穀装置4の後方へ排出する第2排塵口23を設ける。
この第2排塵口23には、第2排出案内板24を設ける。この第2排出案内板24には、第2傾斜面24aと第3傾斜面24bとを形成する。
図7に示すように、第2傾斜面24aは、板材を段階的に折り曲げて形成した第2排出案内板24の一部であり、この第2傾斜面24aの縦面部は、後部ほど右側に偏倚した案内面に形成する。また、第2傾斜面24aの底面部は、後述する第3傾斜面24bと連続性を持たせるために、屈折させ、段階的に傾斜姿勢を変更させる。
第3傾斜面24bは、後下がり方向にのみ傾斜し、左右方向へは傾斜させない。
これによって、排塵処理胴17の回転に付き回りして第2排塵口23から排出された排塵物の略全量を、揺動選別棚40上へ落下させることなく、直接、既刈地側の圃場面へ落下させる。即ち、排出案内板24の第2傾斜面24aによって、排塵物を右側後方へ流下案内して圃場面へ落下させる。また、排出案内板24の第3傾斜面24bによって、排塵物を排塵処理胴17の軸芯方向後方側、即ち脱穀装置4の直後方へ流下案内して圃場面へ落下させる。
また、排出案内板24の第2傾斜面24aの始端位置を、前後方向において排塵受網27の終端位置と略同じ位置に設定する。これによって、排塵処理胴17の螺旋処理歯16と排塵受網27とでこなされた後の排塵物を、排出案内板24の第2傾斜面24aによって、より右側に拡散して排出することができる。
図8に示すように、前記排塵処理室18内には、外側壁22の上部の一部を上方に向けて膨出形成し、所定量の処理物が入り込む程度の膨出空間Sを形成する。そして、この膨出空間S内に数個の切刃26を設けて藁や塊状になった藁屑などを切断して分離するように構成している。これにより、切刃26を排塵処理物に作用させ、確実に切断分離することができる。
図4〜図7に示すように、排塵受網27の後端部には、2本の丸棒状のガイド杆28を、排塵受網27の周方向に位相を変え、脱穀装置4の背面視において第1排出案内板29と第2排出案内板24との間の間隙部Kに、所定の間隔をおいて配置する。
この2本のガイド杆28は、排塵処理胴17の回転方向に向かうように排塵処理胴17の軸芯に対して斜めに配置する。即ち、この2本のガイド杆28は、後下がり傾斜すると共に、後部側ほど右側(既刈地側)に偏倚した姿勢とする。尚、前記第1排出案内板29の内側端縁は、このガイド杆28に沿うように設ける。また、この2本のガイド杆28のうち、下側に位置するガイド杆28の自由端部は、第3傾斜面24bの上方に配置する。
これにより、第1排塵口21から排出される排塵物を、この2本のガイド杆28の間の間隔部によって選別し、穀粒を含んだ細かい排塵物を揺動選別棚40のストローラック46上に漏下させ、藁屑等の大きな排塵物の漏下を規制して右側の第2排出案内板24上に引継ぎ案内して圃場面へ流下案内する。
また、図7に示すように、前記第2排塵口23側の第2排出案内板24の下端部と揺動選別棚40の側面シール32とを略同一の高さに設定する。これによって、藁屑の選別室内への浸入を防止でき、揺動選別棚40の側面と脱穀装置4の壁面との間のシール性能を維持しながら、第2排出案内板24の第3傾斜面24bを急傾斜姿勢にすることができ、排塵物の流下案内を円滑に行える
以上のように構成された刈取脱穀装置についてその作用を説明する。
まず、圃場の穀稈は、機体の前部の刈取装置3によって刈取られ、後上方に搬送されてフィ−ドチェン11に受け継がれ、脱穀装置4に供給される。この穀稈は、株元をフィ−ドチェン11に挾持されて搬送されながら、穂先部分が扱室8内に供給され、回転している扱胴7によって脱穀作用を受ける。このようにして処理された脱穀処理物は、回転している扱胴7によって持ち回りされて、更に、脱粒処理作用を受け、受網9の目合いから揺動選別棚40上に漏下し、揺動選別作用を受ける。
この際、扱室8の前端側で脱穀処理された処理物は、移送棚44上に落下して後方へ揺動移送され、チャフシ−ブ45を構成している複数枚のシ−ブ板の相互間にある選別間隔から漏下しない処理物は、チャフシ−ブ45上に達する。また、扱室8の後端部に至った排塵処理物は、排塵落下口12から下方のチャフシーブ45上に落下するものと、連通口Rを経て排塵処理室18内へ送られて排塵処理胴17により処理されるものとに分かれる。そして、チャフシーブ45上に落下した排塵処理物は、チャフシ−ブ45の選別間隔を漏下しながら風選作用を受ける。
チャフシ−ブ45から漏下するものはグレンシーブ47上に落下し、このグレンシーブ47で篩い選別されながら風選作用を受ける。このとき、唐箕41は、起風した選別風を選別室内に吹き込み、この選別風は排塵ファン30によって脱穀装置4の外部へ吸い出される。
このようにして、処理物は、揺動選別作用と選別風による風選作用との共同作用を受けながら選別されて、1番物(精粒)、2番物、排塵物とに選別分離され、1番物はグレンシ−ブ47で篩い選別された後、1番移送螺旋42の受樋内に落下して収集され、1番揚穀装置42aによって揚穀されて穀粒貯留装置G内に投入される。2番物は2番移送螺旋43から2番揚穀装置43aによって揚穀されて2番処理室15内に還元され再処理される。そして、細かい排塵物は排塵ファン30によって吸塵され、脱穀装置4の外部に排出され、ストロ−ラック46上から漏下しない大きな排塵物は、揺動選別棚40の後端部から脱穀装置4の外部へ排出される。
一方、扱室8の後端から連通口Rを経て排塵処理室18内に取り込まれた排塵処理物は、後方に移送されながら排塵処理胴17の外周の螺旋処理歯16によってこなされ、排塵受網27の濾過穴より漏下し、チャフシーブ45上に還元される。また、排塵処理室18内では、螺旋処理歯16と切刃26とによって排塵処理室18内を持ち回りされ、後方へ送られながら処理される。排塵処理室18の終端では、比較的細かい排塵物は、排塵処理胴17終端の排出羽根20によって、第1排塵口21から揺動選別棚40の後部上方へ投げ出される。そして、この排塵物は、第1排出案内板29の第1傾斜面29a上を流下し、既刈地側の圃場面へ落下する。
この際、第1排塵口23から排出される排塵物は、2本のガイド杆28上で選別され、主に穀粒が揺動選別棚40上へ漏下して回収される。また、ガイド杆28上から落下しない藁屑等の排塵物は、このガイド杆28上から第2排出案内板24へ引き継がれ、この第2排出案内板24の第3傾斜面24b上または第2傾斜面24a上を流下し、圃場面へ落下する。
また、塊状になった大きな藁屑等の排塵物は、排塵処理胴17に付き回りして、排塵処理室18の後端右側部に設けた第2排塵口23から脱穀装置4の後方へ排出される。そして、この排塵物は、第2排出案内板24の第2傾斜面24a上および第3傾斜面24b上を流下し、脱穀装置4の既刈地側および直後方の圃場面へ落下する。
これによって、揺動選別棚40上の藁屑が減少し、該揺動選別棚40での揺動選別を効率よく行なえ、選別物中の穀粒が藁屑と共に機外に排出される収穫損失を低減でき、脱穀選別作業の精度と能率を向上させることができる。
また、排塵処理室18からの排塵物を直後方または既刈地側の圃場面へ落下させるため、未刈地側の穀稈に排塵物がかかりにくく、隣接する穀稈列の刈取作業時に、排出された藁屑の脱穀装置4への再供給を抑えて、脱穀負荷の増加や選別不良の発生を少なくし、コンバインによる刈取脱穀作業の能率を向上させることができる。また、排塵処理室18からの排塵物が直後方から既刈地側の圃場面にわたって拡散された状態で堆積するため、次期の耕耘作業において藁屑の鋤き込み量を均一化でき、移植された苗の生育状態を揃いやすくすることができる。
しかも、排塵処理室18の後端部から排出される排塵物中に混在した穀粒を揺動選別棚40上へ流下させて回収することができ、収穫損失を更に低減することができる。
また、図4、図6に示すように、揺動選別棚40の後端部には、後下がり傾斜した第3排出案内板61を取り付ける。この第3排出案内板61は、揺動選別棚40の全幅と略同じ左右幅を有し、揺動選別棚40と一体で揺動して、揺動選別棚40の後端部から排出される排塵物を、圃場面へ流下案内するものである。
この第3排出案内板61の傾斜面上には、流下案内板62を起立させて取り付ける。この流下案内板62は、背面視で後部ほど右側に偏倚するように、扱胴7の軸芯方向に対して斜めに配置する。
また、図6、図7に示すように、排塵ファン30の排塵風吹き出し口の下側に、排塵風案内板63を後下がり傾斜姿勢にして設け、この排塵風案内板63の傾斜面上に、風向案内板64を、背面視で後部ほど右側に偏倚するように、排塵風の吹き出し方向に対して斜めに配置する。そして、風向案内板64の後側下方に流下案内板62を配置し、この風向案内板64の延長線上に流下案内板62が配置される構成とする。これによって、風向案内板64で案内された排塵風が流下案内板62に当たり、揺動選別棚40の後端から排出される排塵物と、第1排塵口21から第1排出案内板29の第1傾斜面29a上を経て排出される排塵物と、排塵ファン30によって吸い出された排塵物とを、第3排出案内板61上で合流させながら既刈地側の圃場面へ拡散して排出することができる。
また、前記流下案内板62は、第1排出案内板29に対して扱胴7寄りの側(背面視で左側)に配置する。これによって、第1排塵口21から第1排出案内板29の第1傾斜面29a上を経て排出される排塵物を、流下案内板62で既刈地側へ案内し、圃場面へ拡散して排出することができる。
また、揺動選別棚40のストローラック46の前端部には、唐箕41からの選別風を排塵ファン30の吸引口側へ向けて案内する風向板65を設ける。この風向板65の延長線上に、排塵ファン30の吸引口の下端が位置する構成とする。これによって、選別風の吹き上げを補助し、チャフシーブ45上での処理物の分散および漏下が促進され、穀粒が藁屑と共に排出される収穫損失を低減できる。また、この場合、1番移送螺旋42と2番移送螺旋43の間に第2唐箕66を設けると、ストローラック46の下側の選別風量を適正に維持でき、このストローラック46上での選別効率を高めることができる。
次に、第1別実施例の脱穀装置について説明する。この第1別実施例では、上述の脱穀装置の構造に対して、選別室の構造だけを変形している。
即ち、図10に示すように、移送棚44の後端部に対してチャフシーブ45の前端部を所定高さだけ低く配置して第1段差部67を形成し、移送棚44の後端部から後方へ向けて棒状の篩い線68を設ける。チャフシーブ45は、高さの異なる前半のシーブ群と後半のシーブ群とに分割し、この前半のシーブ群に対して後半のシーブ群を所定高さだけ低く配置して第2段差部69を形成する。
そして、唐箕41の選別風吹き出し口を、上段の吹出口41aと、中段の吹出口41bと、下段の吹出口41cとに3分割する。そして、上段の吹出口41aを、揺動選別棚40の第1段差部67に向かう風洞70の下端に開口した吹き込み口に向けて配置する。この風洞70は揺動選別棚40に一体に設け、下端の吹き込み口側が上端部後側に開口した吹き出し口側よりも大きな断面積を有している。揺動選別棚40が前後上下に揺動しても、上段の吹出口41aと風洞70の下端の吹き込み口とは、連通した状態を維持する。
また、中段の吹出口41bは、この中段の吹出口41bから吹き出す選別風が、第2段差部69に向かうように、後上がり傾斜姿勢に設ける。下段の吹出口41cは、この下段の吹出口41cから吹き出す選別風が、1番移送螺旋42と2番移送螺旋43との間に配置した後上がり傾斜姿勢の1番流し板71に向かうように、緩い後上がり傾斜姿勢に設ける。
この構成により、第1段差部67と第2段差部69において、処理物がこれらの段差部から落下する際に選別風が夫々作用し、藁屑の選別効率が高まる。これによって、揺動選別棚40上からの穀粒の漏下率が向上し、結果として、穀粒が藁屑と共に排出される収穫損失を低減できる。
更に、第2別実施例の脱穀装置について説明する。この第2別実施例では、上述の第1別実施例の脱穀装置の構造に対して、唐箕41の、第2唐箕66の配置と選別風路の構造だけを変形している。
即ち、図11に示すように、唐箕41の前側に第2唐箕66を配置し、この第2唐箕66のケーシング77の下部を開口させる。また、このケーシング77の上部を開口して選別風吹出口79を形成する。そして、この選別風吹出口79を、揺動選別棚40側に固定した風洞80の下端の吹き込み口81の内部に挿し込んで連通させる。この挿し込み部分をゴム板などの弾性板で覆い、選別風の漏れを防止する構成とするとよい。この風洞80は、移送棚44の下面に沿って後方へ延長し、その後端の吹き出し口82を第1段差部67に臨ませて配置する。尚、吹き出し口82は、移送棚44の後端部よりも僅かに前側に配置し、穀粒が吹き出し口82の内部へ逆流するのを防止する。
この構成によっても、第1段差部67と第2段差部69において、処理物がこれらの段差部から落下する際に選別風が作用し、藁屑の選別効率が高まる。これによって、揺動選別棚40上からの穀粒の漏下率が向上し、結果として、穀粒が藁屑と共に排出される収穫損失を低減できる。
また、唐箕41および第2唐箕66の下側に、後下がり傾斜姿勢の板体83を設ける。この板体83の後端は、唐箕41の下側ケーシング84に連続させる。唐箕41のケーシング41dの下端部と板体83の上面との間には、第1間隙部85を形成する。また、第2唐箕66下部の開口部と板体83の上面との間には、第2間隙部86を形成する。この構成により、揺動選別棚40前部の両側と脱穀装置4の側壁との間や、揺動選別棚40の前側から漏れ落ちる穀粒を、板体83の上面を滑らせ、第2間隙部86および第1間隙部85を通過させて唐箕41の下側ケーシング84へ導き、唐箕41の選別風によって後方の1番移送螺旋42まで移送して回収することができる。
コンバインの左側面図 コンバインの右側面図 コンバインの平面図 脱穀装置を破断して示す側面図 脱穀装置を破断して示す平面図 脱穀装置を破断して示すコンバインの背面図 排塵口周辺の背面図 処理胴および排塵処理室の説明用側面図 排塵処理室の説明用側面図 第1別実施例の脱穀装置の説明用側面図 第2別実施例の脱穀装置の説明用側面図
符号の説明
1 車体
2 走行装置
3 刈取装置
4 脱穀装置
7 扱胴
8 扱室
11 フィードチェン
17 排塵処理胴
18 排塵処理室
21 第1排塵口
23 第2排塵口
24 第2排出案内板
24a 第2傾斜面
24b 第3傾斜面
28 ガイド杆
29 第1排出案内板
29a 第1傾斜面
30 排塵ファン
40 揺動選別棚
41 唐箕
42 1番移送螺旋
43 2番移送螺旋
G 穀粒貯留装置
R 連通口

Claims (2)

  1. 走行装置(2)を備えた車体(1)の前側に刈取装置(3)を設け、車体(1)の上側に脱穀装置(4)を設け、該脱穀装置(4)の右側に穀粒貯留装置(G)を設け、前記脱穀装置(4)の上部に扱胴(7)を備えた扱室(8)を設け、該扱室(8)の左側にフィードチェン(11)を設け、扱室(8)の右側には排塵処理室(18)を設け、該排塵処理室(18)内に脱穀装置(4)の背面視で反時計方向に回転する排塵処理胴(17)を設け、前記扱室(8)の後端部と排塵処理室(18)の前端部とを連通口(R)で連通させ、前記扱室(8)及び排塵処理室(18)の下方に揺動選別棚(40)を設け、該揺動選別棚(40)の前部下方に唐箕(41)を設け、該唐箕(41)の後側に1番移送螺旋(42)を設け、該1番移送螺旋(42)の後側に2番移送螺旋(43)を設け、揺動選別棚(40)の後部上方に排塵ファン(30)を設け、前記排塵処理室(18)の後端左側部に排塵物を揺動選別棚(40)の後部上方へ排出する第1排塵口(21)を設け、該第1排塵口(21)に、第1排塵口(21)から排出される排塵物を右側後方へ流下案内して圃場面へ落下させる第1傾斜面(29a)を備えた第1排出案内板(29)を設け、前記排塵処理室(18)の後端右側部に排塵物を脱穀装置(4)の後方へ排出する第2排塵口(23)を設け、該第2排塵口(23)に、第2排塵口(23)から排出される排塵物を右側後方へ流下案内して圃場面へ落下させる第2傾斜面(24a)と、第2排塵口(23)から排出される排塵物を脱穀装置(4)の直後方へ流下案内して圃場面へ落下させる第3傾斜面(24b)とを備える第2排出案内板(24)を設けたことを特徴とするコンバイン。
  2. 前記脱穀装置(4)の背面視において前記第1排出案内板(29)と第2排出案内板(24)との間に間隙部(K)を形成し、該間隙部(K)に、前記第1排塵口(23)から排出される排塵物を揺動選別棚(40)上へ流下する排塵物と該揺動選別棚(40)上へ流下せずに第2排出案内板(24)上へ引継がれる排塵物とに分離する複数のガイド杆(28)を配置したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
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