JP2010123879A - コイル構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子回路基板に内蔵されるコイル構造体であって、低損失で小型化が可能なコイル構造体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】電子回路基板の配線層に形成されたコイル12A(12B)の中心に、配線層に垂直な方向に延在する柱状部11aに分割された磁性体コア11を配置したコイル構造体10が提供される。各柱状部11aは、配線層と平行な断面が多角形の柱状に形成されており、一定の間隔の隙間を開けて、磁性体コア11の断面(配線層と平行な断面)を埋め尽くすように配置される。磁性体コア11及びコイル12A(12B)は必要に応じて複数層積層される。この場合、積層されたコイル12A及びコイル12Bはビア13を介して電流の向きが同じとなるように接続される。
【選択図】図1

Description

本発明は、コイル構造体及びその製造方法に関し、特に電子回路基板の配線層で形成されたコイルを有するコイル構造体及びその製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化、高機能化に伴って、電子回路基板(複数の配線層及び絶縁層が交互に積層された多層配線基板を含む)に搭載される外付け電子部品の部品点数の削減が求められている。このため、電子回路基板内にインダクタンス素子やキャパシタンス素子等の電子部品を内蔵させる技術の開発が進められている。
電子回路基板内に内蔵されるインダクタンス素子(コイル構造体)としては、以下のものが知られている。
その一つとして、磁性体コアを形成せずに、渦巻状の配線パターンのみで形成するコイル素子がある。
また、電子回路基板(多層配線基板)の複数の配線層を所定の形状にパターニングするとともにビア(垂直配線)で接続して、らせん状のコイルを形成したコイル内蔵多層基板がある。このコイルの中心には磁性材料のコア(磁性体コア)が配置される(特許文献1)。
さらに、電子回路基板を貫通するスルーホールの内壁に沿って形成されたらせん状の導体の中心に、磁性体コアを嵌めこんだ構造のインダクタ構造体がある(特許文献2)。
特開2005−347286号公報 特開2006−13117号公報
近年、電子回路基板に搭載される半導体装置の端子数の増加や電子回路基板の小型化等により、電子回路基板の内部に引き回される配線の高密度化が進み、電子回路基板に内蔵されるコイル構造体についてもさらなる小型化が求められている。
しかし、磁性体コアを形成せずに、渦巻状の配線のみで形成されたコイル素子では、大きなインダクタンスが得にくく、一定のインダクタンスを得るための導体巻数を増加させる必要がある。このため、コイル素子の占有する面積(体積)が大きくなってしまう。
一方、磁性体コアをコイルの中心に配置したインダクタでは、少ない導体巻数で大きなインダクタンスが得られるものの、交流電流を印加した時に磁性体コアによる渦電流損失が大きくなるという問題がある。
本発明は上述の問題に鑑みて創作されたものであり、電子回路基板内に内蔵されるコイル構造体であって、低損失で小型化できるコイル構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一観点によれば、基材上に配線層及び絶縁層が積層されてなる電子回路基板に形成されたコイル構造体であって、前記配線層の少なくとも一層に形成された配線パターンよりなるコイルと、前記コイルの中心に配置されるとともに、前記配線層に垂直な方向に延びる複数の柱状部によって分割された磁性体コアと、を備えたコイル構造体が提供される。
また、別の一観点によれば、基材上に配線層及び絶縁層が交互に積層されてなる電子回路基板の内部に形成されるコイル構造体の製造方法であって、前記基材上方の一面にシード層を形成する工程と、前記シード層の上にコイル状の開口部を有する第1のめっきレジスト層を形成する工程と、前記第1のめっきレジスト層の開口部内に導電材料を堆積させてコイルを形成する工程と、前記第1のめっきレジスト層を除去した後、前記シード層及び前記コイルを覆うとともに、前記コイルの中心側に複数の開口部を有する第2のめっきレジスト層を形成する工程と、前記第2のめっきレジスト層の複数の開口部内に磁性材料を堆積させて、複数の柱状部によって分割された磁性体コアを形成する工程と、を有するコイル構造体の製造方法が提供される。
上記観点によれば、コイル構造体は、コイルの中心付近に磁性体コアを備えている。このため、空芯コイルよりも少ない導体巻数で、大きなインダクタンスが得られる。このため、コイル構造体を小型化できる。
さらに、磁性体コアは配線層に垂直な方向に延びる複数の柱状部によって分割されているので、磁性体コア内で配線層に平行な方向に発生する渦電流の流路が細かく分断される。これにより、磁性体コア内の渦電流の増大を抑制でき、損失の少ないコイル構造体が得られる。
また、上記観点によればビルドアップ法を用いるので、コイル構造物を精密且つ効率良く製造することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るコイル構造体10を斜視図の形態で示したものであり、図2は図1に示すコイル構造体10を、磁性体コア11とコイル12A,12Bとに分解した形態で示したものである。なお、図1及び図2の例示では、本発明に関連する部分の構成部材のみを示している。
本実施形態に係るコイル構造体10は、図1に示すように積層されたコイル12A及びコイル12Bの中心に磁性体コア11が配置された構造を有している。
磁性体コア11は、磁性体からなる複数の柱状部11aに分割されている。各柱状部11aは、基材(後述する)の上面に平行な断面が六角形状であり、基材の上面に垂直な方向(配線層を貫く方向)に一様な断面で延びて形成されている。この六角形状の柱状部11aは、相互に所定の間隔(例えば10〜500μm程度)を開けて蜂の巣状に配置されている。柱状部11aの間には絶縁層(後述する)を構成する樹脂が充填されている。このため、各柱状部11a間は電気的に絶縁されている。柱状部11aの大きさ(断面を構成する6角形の辺の長さ)は、例えば、50〜100μm程度とすることができる。
このように、柱状部11aは、断面が六角形状に形成されるとともに、蜂の巣状に配置されるので、磁性体コア11内の磁性体の体積分率を高めることができる。これにより高いインダクタンスが得られる。
柱状部11aを構成する磁性体としては、例えば、Ni又はNiを含む合金を用いることができる。その他、Mn、Fe、Co及びNiの少なくとも1種類の元素を含む磁性材料を用いてもよい。
コイル構造体10において、コイル12A及びコイル12Bは高さ方向に所定の間隔を開けて交互に複数積層されている。コイル12A及びコイル12Bは、図2に示すように、基材(後述する)の表面に平行な平面に沿って形成された渦巻状の配線パターンである。コイル12Aは右回りの渦巻(右回転により外周に向かう渦巻)に形成され、コイル12Bは左回りの渦巻(左回転により外周に向かう渦巻き)に形成されている。
コイル12A及びコイル12Bの内周側の端部には、それぞれ他の部分よりも幅広に形成されたパッド12aが設けられている。また、コイル12A及びコイル12Bの外周側の端部12bには、それぞれ他の部分よりも幅広に形成されたパッド12bが設けられている。各パッド12aは、基材表面に平行な面内方向で同一の位置に形成されている。また、各パッド12bも基材表面に平行な面内方向で同一の位置に形成されている。パッド12a、12b部分にはビア13が形成されている。高さ方向に隣接するコイル12A及びコイル12B間は、このビア13を介して接続されている。
コイル12A及び12Bの配線幅及び厚さは、コイル構造体10に必要とされる定格電流等の設計値に応じて適宜選択されるが、ここでは、一例として、幅20〜200μm程度、厚さは15μm程度とすることができる。また、図示の例ではコイル12A、12Bのターン数は3回転となっているが特にこれに限定されるものではなく、必要なインダクタンスに応じて適宜設定される。また、コイル12A及び12Bの内周側の直径は例えば500〜5000μm程度、外周側の直径は例えば1000〜10000μm程度とすることができる。
各コイル12A、コイル12Bは、各コイルを流れる電流の向きが同じとなるように、直列に接続されている。すなわち、図1及び図2に示す例では、1層目(コイル12A)のパッド12aと2層目(コイル12B)のパッド12aとがビア13を介して接続されている。また、2層目(コイル12B)のパッド12bと3層目(コイル12A)のパッド12bとがビア13を介して接続されている。さらに、3層目(コイル12A)のバッド12aと4層目(コイル12B)のパッド12aとがビア13を介して接続されている。このような接続により、各コイルが直列に接続され、例えば1層目(コイル12A)のパッド12bから4層目(コイル12B)のパッド12bに向かう向きの電流を流すと、図1の矢印A1〜A4に示すように、各コイルを流れる電流の向きが同じとなる。これにより、各コイル12A、12Bの巻数が少なくても十分に高いインダクタンスを有するコイル構造体10が得られる。
1層目のコイル12Aのパッド12b及び4層目のコイル12Bのパッド12bには、それぞれ配線14が接続される。配線14は、電子回路基板の他の部分に形成された配線から延びている。なお、図2に示す例では、1層目のパッド12bと配線14とをビア13を介して接続し、4層目のパッド12bと配線14とは直接(一体的に)接続されているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、その他適当な接続構造を選択できる。
以下、本実施形態に係るコイル構造体10の製造方法について、その製造工程を順に示す図3〜図10を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、多層配線基板において、本発明に関連するコイル構造体10及びその周辺部分の構成のみを示して説明する。
コイル構造体10の作製に先立って、図3(a)に示すように、電子回路基板(多層配線基板)のベースとなる基材9の上に配線14及び樹脂層(絶縁層)15が形成された構造体を用意する。この構造体は、基材9(例えば、ガラスエポキシ樹脂基板)の上面に銅(Cu)層(配線層)を形成し、これをパターニングして配線14とし、さらに配線14及び基材9の上に、例えばエポキシ系樹脂等からなる樹脂層(絶縁層)15を形成することで得られる。
最初の工程では(図3(a)〜(c)参照)、1層目のコイル12Aを形成する。
まず、図3(b)に示すように、配線14の上方の所定位置の絶縁層15Aに孔開け加工を行ってビアホール15aを形成する。この孔開け加工はレーザー加工装置等で行うことができる。その後、デスミア処理を行って絶縁層15の孔開け加工の際に発生したスミアを除去する。
次に、無電解めっき又はスパッタ法等により絶縁層15の上面及びビアホール15aの内壁に銅(Cu)又は銅を含む金属膜等からなる薄いシード層(給電層)16を形成する(図3(c)参照)。シード層16の厚さは、例えば0.1〜5μm程度とする。
次に、図4(a)に示すように、シード層16の上にパターニング材料を使用してめっきレジスト層17(第1のめっきレジスト層)を形成し、所要の箇所に開口部17aを形成する。このレジスト層17の開口部17aは、形成すべきコイル12Aの形状に従って右回りの渦巻状にパターニングされる。パターニング材料としては、感光性ドライフィルム又は液状のフォトレジスト(例えば、アクリル系樹脂、ノボラック系樹脂、及びエポキシ系樹脂等の液状レジスト)を用いることができる。
次に、レジスト層17の開口部17aから露出しているシード層16上に、このシード層16を給電層として使用した電解銅(Cu)めっきによりコイル12Aを形成する(図4(b)参照)。このとき、パッド12b部分のビアホール15a内に銅(Cu)が充填されてビア13が形成され、1層目のコイル12Aと配線14とが接続される。
その後、めっきレジストとして用いたレジスト層17を除去する。以上の工程により図4(c)に示す断面を有する構造体が完成する。
ここで、図5は、図4(c)に示すコイル12Aの平面構造を示すものである。なお、図4(c)に示す断面は、図5のI−I線に対応している。図5に示すように、一層目のコイル12Aは、右回りの渦巻状に形成される。
次の工程(図6(a)〜(c)参照)では、コイル12Aの中心に磁性体コアを形成する。
まず、図6(a)に示すように、コイル12A及び露出しているシード層16の上にパターニング材料を使用してめっきレジスト層18を形成し、所要の箇所に開口部18aを形成する。このレジスト層18の開口部18aは、形成すべき磁性体コア11の形状に従って、六角形の開口部が蜂の巣状に並んだ形状にパターニングされる。なお、パターニング材料は前述のレジスト層17と同様の材料を用いることができる。
次に、図6(b)に示すように、レジスト層18の開口部18aから露出しているシード層16の上に、このシード層16を給電層として使用した電解めっきにより磁性体を堆積させて、複数の柱状部11aに分割された磁性体コア11を形成する。堆積する磁性体を厚くすると、磁性体コア11の磁性体の体積分率が上がり、よりインダクタンスを高めることができるので好適である。ここでは、一例として磁性体を40μm程度堆積させるものとする。なお、堆積させる磁性体をNi又はNi合金とすると、銅(Cu)からなるシード層16と磁性体コア11との密着性が良いため好適である。
さらに、レジスト層18の開口部18aから露出している柱状部11aの上に電解めっきにより銅(Cu)層(密着層)19を形成する。この銅層19は、後述する樹脂層(絶縁層20)と柱状部11aの上面との密着性を向上させるために形成する。ここでは、銅層19を例えば厚さ3μm程度する。
その後、めっきレジストとして用いたレジスト層18を除去する。そして、露出しているシード層16をエッチングにより除去して、図4(c)に示す断面を有する構造体が完成する。
図7は、図6(c)に示す構造体の平面構造を示すものである。なお、図6(c)に示す断面は、図7のI−I線に対応している。図7に示すように、渦巻状のコイル12Aの中心付近に、六角形の柱状部11aが蜂の巣状に配置された磁性体コア11が形成される。
次に、コイル12A及び銅層19と後述する樹脂層(絶縁層20)との密着性を向上させるために、コイル12A及び銅層19の粗化処理を行なう。その後、絶縁層15、コイル12A及び磁性体コア11を覆う絶縁層20を形成する。絶縁層20は、絶縁層15の表面から45μm程度の厚さに形成される。なお、絶縁層20としては、例えばエポキシ系樹脂等を用いることができる。
以上の工程により、図8(a)に示す構造体が形成され、本実施形態に係るコイル構造体10の一層目の構造体が完成する。
その後の工程では、2層目のコイル12B及び磁性体コア11を順に形成する。
なお、2層目のコイル12Bは、1層目のコイル12Aの形成と同様の工程(図3(a)〜(c)参照)で形成される。ただし、2層目のコイル12Bの形成の際には、1層目のコイル12Aの内周側のパッド12aの上にビア13を形成する。
一方、2層目の磁性体コア11は、1層目の磁性体コア11の形成工程と同様の工程(図6(a)〜(c)参照)で、1層目と同様の平面構造のまま1層目の磁性体コア11の上に積層する。これにより、磁性体コア11(柱状部11a)は、基材9の上面に垂直な方向に延在する。
以上の工程により、図8(b)に示す2層目のコイル12B及び磁性体コア11(柱状部11a)が完成する。ここで、図9は、図8(b)の2層目のコイル12B及び磁性体コア11の平面構造を示すものである。
図9に示すように、2層目のコイル12Bは左巻きの渦巻状に形成される。2層目のコイル12Bのパッド12aは、1層目のコイル12Aのパッド12aの真上の位置に形成されており、これらのパッド間はビア13(図8(b)参照)を介して接続される。一方、磁性体コア11(柱状部11a)は、1層目の磁性体コア11の上に同じ平面構造のまま積層され、図9の紙面に垂直な方向に延びている。
その後、コイル構造体の2層目のコイル12B及び磁性体コア11を覆う絶縁層21を形成してコイル構造体10の2層目の構造体が完成する(図10参照)。
以降、同様の工程を繰り返して3層目のコイル12A及び磁性体コア11を形成し、3層目のコイル12A及び磁性体コア11を覆う絶縁層22を形成する。なお、3層目のコイル12Aは、1層目のコイル12Aと同様の右巻きの渦巻状に形成し、2層目のコイル12Bのパッド12bの上にビア13を形成して2層目のコイル12Bと接続する。また、3層目の磁性体コア11は、1層目及び2層目と同様の平面構造で2層目の磁性体コア11の上に積層する。
次に、図3及び図4で説明したのと同様の工程で、絶縁層21の上に4層目のコイル12Bを形成する。4層目のコイル12Bは2層目のコイル12Bと同様の左巻きの渦巻状のパターンであり、3層目のコイル12Aのパッド12aの上にビア13を形成して3層目のコイル12Aと接続する。なお、4層目のコイル12Bに接続される配線14は、コイル12Bの形成と同時に電解銅(Cu)めっきにより形成される。4層目のコイル12Aを形成した後、めっきレジスト層(図示せず)及び露出しているシード層16を除去する。
最後に、4層目のコイル12B及び絶縁層22の上に、例えばエポキシ系樹脂等の樹脂材料からなる保護層23を形成して本実施形態のコイル構造体10が完成する。
以上に説明したように、本実施形態のコイル構造体10は、コイルの中心付近に磁性体コア11を備えている。このため、空芯コイルよりも少ない導体巻数で、大きなインダクタンスが得られる。さらに、磁性体コア11は配線層を貫く方向に延在する複数の柱状部11aによって分割されているので、磁性体コア11内の配線層に平行な方向に発生する渦電流の流路が細かく分断される。これにより、磁性体コア11内の渦電流の増大を抑制でき、磁性体コアによる渦電流損失を抑制できる。
また、本実施形態のコイル構造体10は、ビルドアップ法を用いて形成するので、精密且つ効率よく製造することができる。
(実施形態の変形例1)
上述の実施形態で説明した製造方法では、コイル構造体10の磁性体コア11は、一定の高さ(厚さ)毎に絶縁層20、21で分断された構造に形成していたが、この形態に限定されないことはもちろんである。以下に説明する実施形態では、絶縁層20、21によって高さ(厚さ)方向に分断されない構造の磁性体コア11が得られる製造工程について説明する。
以下に、図11(a)〜(c)を参照しつつ本実施形態の変形例1に係るコイル構造体24の製造方法について説明する。
変形例1は、図3〜図8(a)を参照しつつ説明した工程と同様の工程により、1層目のコイル12A及び磁性体コア11を形成し、これらの構造体を覆うように絶縁層20を形成する。
次に、図11(a)に示すように絶縁層20を研磨して磁性体コア11を構成する柱状部11aの上面を露出させる。
その後、2層目のコイル12B及び磁性体コア11を形成する。なお、2層目のコイル12B及び磁性体コア11の形成工程は、図8(b)を参照しつつ説明したのと同様の工程で行うことができる。これにより、1層目の磁性体コア11(柱状部11a)の上に薄いシード層16のみを介して2層目の磁性体コア11(柱状部11a)が積層される。すなわち、絶縁層20を介在させずに1層目の磁性体コア11と2層目の磁性体コア11とが積層される。
次に、2層目のコイル12B及び磁性体コア11を覆う絶縁層21を形成し、この絶縁層21に対して、図11(a)で説明した工程と同様の研磨工程を施すことにより、2層目の柱状部11aの上面を露出させる。以後、図10を参照しつつ説明した工程と同様の工程により、3層目のコイル12A、磁性体コア11及びこれらを覆う絶縁層22を形成する。
その後、図10を参照しつつ説明したのと同様の工程で4層目のコイル12Bを形成し、最後に保護層23を形成することで、図11(c)に示す断面を有するコイル構造体24が完成する。
このように、変形例1の製造工程によれば、絶縁層20、21の上面を研磨して1層目及び2層目の柱状部11a(磁性体コア11)の上面を露出させるので、柱状部11aが薄い密着層16のみを介して積層された構造の磁性体コア11が得られる。これにより、磁性体コア11を構成する磁性体の体積分率を高くすることができる。すなわち、変形例1の製造方法では、研磨工程が必要となるため製造工程数が増加するものの、製造されるコイル構造体24のインダクタンスは更に高くなる。
(本実施形態の変形例2)
前述の実施形態では、磁性体コア11は断面が6角形の柱状部11aによって分割されていたが本実施形態はこれに限定されるものではない。
例えば、図12(a)に示すように、磁性体コア11を、断面が4角形(例えば、正方形)の柱状部11bによって分割された構造としてもよい。または、図12(b)に示すように、磁性体コア11を、断面が3角形(例えば、正三角形)の柱状部11cによって分割された構造としてもよい。この場合には、図示の例のように三角形又は四角形の柱状部11b、11cを、一定の間隔をあけて磁性体コア11の断面を敷き詰めるように配置すると、磁性体コア11の磁性体の体積分率が向上して好適である。
また、コイル12A,12Bの形状は略円形状の渦巻に限定されるものではなく、直線と屈曲部とにより形成される多角形状の渦巻としてもよい。例えば、図12(a)で符号12Cを付したパターンのような矩形状の渦巻や、図12(b)で符号12Dを付したパターンのような六角形状の渦巻とすることができる。さらに、コイル12A、12Bの巻数を1巻以下とする場合には、一部できり欠いた環状のパターンとしてもよい。
さらに、磁性体コア11及びコイル12A、12Bの積層数は、図1〜図10に示した例に限定されるものではなく、コイル構造体として必要なインダクタンス等の設計値に応じて適宜選択することができる。
上述の変形例2で例示したコイル構造体によっても実施形態と同様の効果が得られる。
(磁性体コアの分割による効果の検証)
本願発明者らは、コイル構造体の磁性体コアを柱状に分割した場合と、磁性体コアを分割しない場合とで、磁性体コア内に流れる渦電流についてシミュレーション計算を行った。ここに、図13及び図14は、シミュレーションに用いたモデルを模式的に示すものである。図13は、磁性体コアを柱状に分割したコイル構造体30を示し、図14は、磁性体コアを分割しないコイル構造体40を示す。
図13に示すコイル構造体30の磁性体コア31は、断面が正方形でありその一辺の長さは約0.1mm程度である。磁性体コア31は、さらに小さな正方形状の断面を有する柱状部31bによって、64(=8×8)個に分割されている。コイル32は、巻数が10回転であり、コイル32の高さ方向の長さHは約0.02mm、コイルを構成する配線の直径は約0.015mmである。
一方、図14に示すコイル構造体40の磁性体コア41は、図13に示す磁性体コア31と同じ形状及び大きさで、一体的に形成されている。なお、コイル構造体40のコイル32は、コイル構造体30のコイル32と同様である。
以上のようなモデルにおいて、コイル32に周波数1kHz、平均電流1mAの交流電流を印加した時に発生する渦電流を計算によって求めた結果を図15及び図16に示す。ここに、図15は、柱状に分割した磁性体コア内に発生する渦電流の分布を示し、図16は分割しない磁性体コア内に発生する渦電流の分布を示す。なお、図15及び図16に示す数値は、渦電流の大きさの相対値を示している。
図15に示すように、柱状に分割した磁性体コア31では、磁性体コア31の周辺側の柱状部31b内に渦電流が発生するものの、発生する渦電流の大きさは相対的に小さいことが分かる。
これに対し、図16に示すように、分割せずに一体的に形成した磁性体コア41では、磁性体コア41の全体にわたって渦電流が発生し、流れる渦電流は磁性体コア31よりもきいことが分かる。
以上より、コイル構造体の中央に配置される磁性体コアを、複数の柱状部に分割することにより渦電流の発生を抑制でき、損失の少ないコイル構造体が得られることが確認できた。
本発明の一実施形態に係るコイル構造体を示す模式的に示す斜視図である。 図1に示す実施形態のコイル構造体を磁性体コアとコイルとに分解して模式的に示す斜視図である。 図1に示す実施形態のコイル構造体の製造方法を工程順に示す断面図(その1)である。 図1に示す実施形態のコイル構造体の製造方法を工程順に示す断面図(その2)である。 図4(c)に示す断面構造に対応する構造の上面を示す図である。 図1に示す実施形態のコイル構造体の製造方法を工程順に示す断面図(その3)である。 図6(c)に示す断面構造に対応する構造の上面を示す図である。 図1に示す実施形態のコイル構造体の製造方法を工程順に示す断面図(その4)である。 図8(b)に示す断面に対応する構造の上面を示す図である。 図1に示す実施形態のコイル構造体の構成を示す断面図である。 図1に示す実施形態のコイル構造体の製造工程の変形例(変形例1)を工程順に示す断面図である。 図1に示す実施形態のコイル構造体の構造の変形例(変形例2)を示す上面図である。 柱状に分割された磁性体コアを備えたコイル構造体のシミュレーションモデルを示す斜視図である。 一体的に形成された磁性体コアを備えたコイル構造体のシミュレーションモデルを示す斜視図である。 柱状に分割された磁性体コア内における渦電流密度の計算結果を示す図である。 一体的に形成された磁性体コア内における渦電流密度の計算結果を示す図である。
符号の説明
10…コイル構造体、11…磁性体コア、11a、11b、11c…柱状部、12A、12B、12C、12D…コイル、12a…パッド(内周側)、12b…パッド(外周側)、13…ビア、14…配線、15,20、21、22…絶縁層(樹脂層)、16…シード層、17、18…レジスト層、19…銅(Cu)層、23…保護層。

Claims (8)

  1. 基材上に配線層及び絶縁層が積層されてなる電子回路基板に形成されたコイル構造体であって、
    前記配線層の少なくとも一層に形成された配線パターンよりなるコイルと、
    前記コイルの中心に配置されるとともに、前記配線層に垂直な方向に延びる複数の柱状部によって分割された磁性体コアと、
    を備えたことを特徴とするコイル構造体。
  2. 前記コイルは前記絶縁層を介して複数積層され、前記磁性体コアは前記配線層を貫く方向に伸びていることを特徴とする請求項1に記載のコイル構造体。
  3. 前記柱状部の前記配線層と平行な断面は多角形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコイル構造体。
  4. 前記磁性体コアはNi又はNiを含む合金からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のコイル構造体。
  5. 前記積層された各コイルは直列に接続されるとともに、各コイルを流れる電流の向きが同じであることを特徴とする請求項2に記載のコイル構造体。
  6. 基材上に配線層及び絶縁層が交互に積層されてなる電子回路基板の内部に形成されるコイル構造体の製造方法であって、
    前記基材上方の一面にシード層を形成する工程と、
    前記シード層の上にコイル状の開口部を有する第1のめっきレジスト層を形成する工程と、
    前記第1のめっきレジスト層の開口部内に導電材料を堆積させてコイルを形成する工程と、
    前記第1のめっきレジスト層を除去した後、前記シード層及び前記コイルを覆うとともに、前記コイルの中心側に複数の開口部を有する第2のめっきレジスト層を形成する工程と、
    前記第2のめっきレジスト層の複数の開口部内に磁性材料を堆積させて、複数の柱状部によって分割された磁性体コアを形成する工程と、
    を有することを特徴とするコイル構造体の製造方法。
  7. さらに、前記磁性体コアの上に密着層を形成することを特徴とする請求項6に記載のコイル構造体の製造方法。
  8. さらに、前記第2のめっきレジスト層を除去した後、露出した前記シード層を除去する工程と、
    前記シード層を除去した後、前記コイル及び前記磁性体コアを覆う絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜の上面を研磨して前記磁性体コアの上面を前記絶縁膜の上面に露出させる工程と、
    を有することを特徴とする請求項6に記載のコイル構造体の製造方法。
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