JP2010123499A - 蛍光体基板及び画像表示装置の製造方法 - Google Patents

蛍光体基板及び画像表示装置の製造方法 Download PDF

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広志 樋口
Atsushi Mitsuida
淳 三井田
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大助 笹栗
Hisashiro Saruta
尚志郎 猿田
Takeo Ono
武夫 小野
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Abstract

【課題】 蛍光体ペーストを焼成する工程において、蛍光体の輝度が劣化するのを抑制する。
【解決手段】 硫化物蛍光体とバインダー樹脂とを含む蛍光体ペーストを基板に付与する工程と、前記蛍光体ペーストをTDP−MS法で測定した場合に水の発生量が最大となる温度以下の第一の温度で一定時間焼成する第一焼成工程と、前記第一焼成工程の後に、前記蛍光体ペーストをTDP−MS法で測定した場合に二酸化炭素の発生量が極小となる温度以上の第二の温度で一定時間焼成する第二焼成工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】 図4

Description

本発明は蛍光体基板の製造方法に関する。また、蛍光体基板を有する画像表示装置の製造方法に関する。
FED(電界放出ディスプレイ)やPDP(プラズマディスプレイパネル)などのように、蛍光体の発光により画像を表示する画像表示装置が知られている。これらの画像表示装置の蛍光体基板を製造する工程においては、蛍光体粒子をバインダー樹脂と溶媒とで分散した蛍光体ペーストが用いられている。この蛍光体ペーストを用いてスクリーン印刷を行い、その後、蛍光体ペーストを焼成することにより、バインダー樹脂の有機成分を分解し、蛍光体基板が形成されている。
ここで、蛍光体ペーストの焼成が不十分であると、蛍光体基板に有機物の分解残渣が残り、発光輝度が低下する。そのため、焼成工程においては、バインダー樹脂の有機成分を完全に分解することが望まれている。
熱分解性に優れた蛍光体ペーストとして、より低温でバインダー樹脂を熱分解できる蛍光体ペーストが提案されている(特許文献1参照)。
特開2006−28334号公報
本発明は、蛍光体ペーストを焼成する工程において、蛍光体の輝度が劣化するのを抑制することを目的とする。
本発明の蛍光体基板の製造方法は、硫化物蛍光体とバインダー樹脂とを含む蛍光体ペーストを基板に付与する工程と、前記蛍光体ペーストをTDP−MS法で測定した場合に水の発生量が最大となる温度以下の第一の温度で一定時間焼成する第一焼成工程と、前記第一焼成工程の後に、前記蛍光体ペーストをTDP−MS法で測定した場合に二酸化炭素の発生量が極小となる温度以上の第二の温度で一定時間焼成する第二焼成工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、蛍光体ペーストを焼成する工程において、蛍光体の輝度が劣化するのを抑制することができる。
(実施例1)
(画像表示装置の構成)
まず、画像表示装置の構成について、図1を用いて説明する。本実施形態では、画像表示装置として電子放出素子を有する画像表示装置を例として、以下に説明する。
図1は、電子放出素子を有する画像表示装置の構造の一例を示す斜視図であり、その内部構造を示すために一部を切り欠いて示している。図中、1は基板、32は走査配線、33は変調配線、34は電子放出素子である。電子放出素子34としては、表面伝導型電子放出素子、スピント型、MIM型、カーボンナノチューブ型などの電子放出素子を用いることができる。41は基板1を固定した電子源基板、46はガラス基板43の内面に蛍光体44とアノード電極としてのメタルバック45等が形成された蛍光体基板である。42は支持枠であり、この支持枠42に電子源基板41、蛍光体基板46がフリットガラス等を介して取り付けられ、外囲器47を構成している。ここで、電子源基板41は主に基板1の強度を補強する目的で設けられるため、基板1自体で十分な強度を持つ場合には、別体の電子源基板41は不要である。また、蛍光体基板46と電子源基板41との間に、スペーサーとよばれる不図示の支持体を設置することにより、大気圧に対して十分な強度を持たせた構成とすることもできる。
m本の走査配線32は、端子Dx1,Dx2,…Dxmと接続されている。n本の変調配線33は、端子Dy1,Dy2,…Dynと接続されている(m,nは、共に正の整数)。これらm本の走査配線32とn本の変調配線33との間には、不図示の層間絶縁層が設けられており、両者を電気的に分離している。
高圧端子はメタルバック45に接続され、例えば10[kV]の直流電圧が供給される。これは電子放出素子から放出される電子に蛍光体を励起するのに十分なエネルギーを付与する為の加速電圧である。
(蛍光体基板の製造方法)
本発明の蛍光体基板の製造方法を説明するのに先立って、まず、焼成工程において蛍光体の表面に変質層が形成されるメカニズムについて説明する。
蛍光体として硫化物蛍光体を用いた場合、蛍光体ペーストを焼成する工程において、バインダー樹脂を熱分解して放出される水と硫化物蛍光体とが反応する。本発明者は、この反応により、硫化物蛍光体の表面に硫酸塩を含む変質層が形成され、かかる変質層により蛍光体の発光輝度が低下することを見出した。
硫化物蛍光体としてSrGa:Eu、バインダー樹脂としてアクリル樹脂を用いた場合を例に挙げて、より詳しく説明する。蛍光体ペーストを450℃から500℃で焼成すると、バインダー樹脂が分解されてHOやCOが発生する。このHOがSrGa:Euと反応すると、SrGa(SOのような硫酸塩が形成される。
実際に蛍光体表面に数十nmオーダーの変質層が形成されることが断面TEMで確認された。また、焼成前後の蛍光体をX線光電子分光で測定すると、焼成後の蛍光体には硫酸塩の存在を示すスペクトルが確認された。この変質層は蛍光体の発光に寄与するものではなく、電子のエネルギーを阻害するものであるため、蛍光体の発光輝度を低下させる原因になると考えられる。
このような変質層が形成される反応は、熱エネルギーによって促進されるものと考えられる。従って、熱エネルギーが小さい状況で焼成を行うことにより、蛍光体の発光輝度の低下を抑制することができると考えられる。
以下、本発明の蛍光体基板の製造方法について、具体的な実施例により説明する。
(蛍光体ペースト)
本実施例で用いた蛍光体ペーストは、硫化物蛍光体としてSrGa:Eu、および図2に示すバインダー樹脂等を有するものである。硫化物蛍光体、反応性樹脂、現像樹脂(酸価100)、光重合開始剤、および溶剤(酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、以後BCAと表記)を、表1に示す割合で撹拌混合し、蛍光体ペーストを作製した。
Figure 2010123499
(塗布、露光、現像)
この蛍光体ペーストをガラス基板上にスクリーン印刷により全面塗布した。そして、170℃の乾燥炉に7分間基板を投入し、溶剤分を乾燥させた。これにより、基板上に樹脂を含む蛍光体層を形成した。乾燥後の膜厚は12μm程度であった。この基板を、高圧水銀ランプで露光した後、0.5%NaCO水溶液を用いて35秒間現像した。最後に純水リンスを30秒間行い、基板上に樹脂が架橋した蛍光体層を形成した。
(TDP−MS測定)
その後、蛍光体層の一部を削り取った粉体をTDP−MS(Temperature Programmed Desorption Mass Spectrometry)測定用サンプルとした。
このTDP−MS測定用サンプルを坩堝に入れ、He/O=80/20の擬似大気雰囲気(流量50ml/分)中に30分以上静置した後、加熱を行い発生ガス分析を行った。加熱は室温から500℃まで4℃/分のレートで昇温させる条件で行った。
本実施例のTDP−MS測定結果を図3に示す。縦軸はガスの発生量、横軸はガスの発生温度である。アクリル樹脂の燃焼および分解は250℃から500℃の範囲で起こり、主に発生するガスは樹脂の分解物、CO、HOである。また、HOの発生と同期してSOも発生していることが確認された。このSOは、HOがSrGa:Euと反応して、SrGa(SOのような硫酸塩を形成する際に発生するものと考えられる。すなわち、SOの発生量が多いことはSrGa:Eu表面により多くの変質層が形成されることを意味する。
以上より、焼成工程における輝度の劣化を抑制するためには、HOをより低温で発生させ、SrGa:Eu表面とHOとの反応を抑制することが好ましい。このような観点に基づく本実施例の詳細な焼成方法については後述する。
ここで、COの発生について、2つのピークが存在することが確認された。一般に樹脂の燃焼では、酸素供給量と燃焼速度がつり合わず、主に二つの燃焼過程により樹脂が焼失していく。一つ目は、燃焼速度に酸素供給が追いつかず、最初の燃焼過程ではより酸素と反応しやすいCH結合の断裂に酸素がより消費される過程である。この際、COと共にHOが発生する。この過程で反応し切れなかった炭素分は、有機残渣として残る。二つ目は、その後に燃焼が進み、十分な酸素が供給されて残渣の燃焼が進んでいく過程である。この際もCOのピークとなる。有機残渣はアモルファスカーボン等の炭素リッチな残渣であり、電子線の進入阻害や蛍光体からの発光の再吸収などを引き起こし蛍光体の輝度低下の要因となり得る。そのため、輝度低下を抑制するためには、最終的には有機残渣を完全に分解する必要がある。
(焼成)
本実施例の焼成工程における温度プロファイルを図4に示す。横軸は時間、縦軸は焼成温度を示す。本実施例では焼成温度T1(「第一の温度」に相当)で時間t1だけ焼成を行う第一焼成工程と、焼成温度T2(「第二の温度」に相当)で時間t2だけ焼成を行う第二焼成工程とを有している。
ここで、T1としては、蛍光体ペーストをTDP−MS法で測定した場合に水の発生量が最大となる温度以下の温度とした。これは、T1を水の発生量が最大となる温度よりも高い温度とすると、HOとSrGa:Euとの反応が促進されるためである。また、T2としては、
蛍光体ペーストをTDP−MS法で測定した場合に二酸化炭素の発生量が極小となる温度以上の温度とした。これは、T2を二酸化炭素の発生量が極小となる温度未満の温度とすると、第一焼成工程で残った有機残渣を十分に分解することが出来ないためである。なお、T2としては、蛍光体ペーストをTDP−MS法で測定した場合に二酸化炭素の発生量が極大となる温度のうち高温側の温度以上の温度、すなわち、二酸化炭素の二つ目のピーク温度以上の温度とすることがより好ましい。T2をより高温にすることにより、有機残渣をより完全に分解することが出来るためである。
図3からも明らかなように、本実施例では、360℃付近にHOとCOのピークが存在する。また、390℃付近にCOの極小が存在する。更に、420℃付近にCOの2つ目のピークが存在する。
そこで、本実施例では、T1を350℃、t1を15時間として第一焼成工程を行い、その後、T2を500℃、t2を90分として第二焼成工程を行った。
(輝度測定)
焼成した蛍光体基板から蛍光体を削り取り、カソードルミネッセンス輝度測定を行った。輝度測定結果を表2に示した。
Figure 2010123499
焼成なし(ペースト化する前の初期粉体)の輝度を100%とすると、本実施例の輝度は86%であった。
(実施例2)
本実施例は、焼成工程における温度プロファイルが実施例1と異なり、それ以外については実施例1と同様である。
本実施例では、T1を330℃、t1を15時間として第一焼成工程を行い、その後、T2を500℃、t2を90分として第二焼成工程を行った。
焼成なし(ペースト化する前の初期粉体)の輝度を100%とすると、本実施例の輝度は88%であった。
(実施例3)
本実施例は、焼成工程における温度プロファイルが実施例1と異なり、それ以外については実施例1と同様である。
本実施例では、T1を350℃、t1を10時間として第一焼成工程を行い、その後、T2を500℃、t2を90分として第二焼成工程を行った。
焼成なし(ペースト化する前の初期粉体)の輝度を100%とすると、本実施例の輝度は89%であった。
(実施例4)
本実施例は、焼成工程における温度プロファイルが実施例1と異なり、それ以外については実施例1と同様である。
本実施例では、T1を350℃、t1を90分として第一焼成工程を行い、その後、T2を500℃、t2を90分として第二焼成工程を行った。
焼成なし(ペースト化する前の初期粉体)の輝度を100%とすると、本実施例の輝度は79%であった。
(比較例1)
本比較例は、焼成工程における温度プロファイルが実施例1と異なり、それ以外については実施例1と同様である。
本比較例の焼成工程における温度プロファイルを図5に示す。
本比較例は公知の焼成工程のように焼成温度T0まで昇温し、温度T0において時間t0だけ焼成を行うものである。本比較例では、T0を500℃、t0を90分とした。
焼成なし(ペースト化する前の初期粉体)の輝度を100%とすると、本比較例の輝度は77%であった。
実施例1から実施例4、比較例1の測定結果より、実施例のような二段階の焼成工程をおこなうことにより、蛍光体ペーストを焼成する工程において、蛍光体の輝度が劣化するのを抑制することができることが分かる。
また、実施例2のように第一の温度T1を実施例1よりも低い温度である330℃とすることにより、蛍光体の輝度の劣化を更に抑制することができることが分かる。これは、蛍光体表面における水の反応を抑制できた結果であると考えられる。
また、実施例3のようにt1を実施例1よりも短い時間である10時間とすることにより、蛍光体の輝度の劣化を更に抑制することができることが分かる。
また、実施例4のようにt1を実施例3よりも更に短い時間である90分とすると、比較例1に比べれば輝度の劣化を抑制することができるものの、実施例1から実施例3に比べると輝度が劣化することが分かる。これは、実施例4では第一焼成工程の時間t1が短すぎるため、第一焼成工程において樹脂を十分に分解できなかったためと考えられる。本発明は実施例4を除外するものではないが、より低温で短時間により多くのHOを発生させることが好ましい。
(実施例5)
本実施例は、実施例1から実施例4、比較例1とは異なる蛍光体ペーストを用いた。
(蛍光体ペースト)
本実施例で用いた蛍光体ペーストは、硫化物蛍光体としてZnS:Cu,Al(以下、本実施例においてZnSと表記する)、バインダー樹脂としてエチルセルロースを用いた。硫化物蛍光体、エチルセルロース、溶剤を、表3に示す割合で撹拌混合し、蛍光体ペーストを作製した。
エチルセルロースはその物性により様々な種類が市販されており、一般的に粘度や溶解性を調整するため複数のエチルセルロースを混合して用いる。本実施例では重合度およびエチル化度の違うN−200およびSTD−100(冨士色素社製)を用いた。
Figure 2010123499
(塗布)
この蛍光体ペーストをガラス基板上にスクリーン印刷により塗布した。なお、エチルセルロースは感光性を持たないため、露光、現像は行わない。そして、130℃の乾燥炉に7分間基板を投入し、溶剤分を乾燥させた。これにより、基板上にエチルセルロースを含む蛍光体層を形成した。乾燥後の膜厚は12μm程度であった。
(TDP−MS測定)
その後、蛍光体層の一部を削り取った粉体をTDP−MS測定用サンプルとした。
このTDP−MS測定用サンプルを坩堝に入れ、He/O=80/20の擬似大気雰囲気(流量50ml/分)中に30分以上静置した後、加熱を行い発生ガス分析を行った。加熱は室温から500℃まで4℃/分のレートで昇温させる条件で行った。
本実施例のTDP−MS測定結果を図6に示す。グラフは、CO、HO、SOのみを抽出したものである。エチルセルロースの燃焼および分解は200℃から500℃の範囲で起こり、主に発生するガスは樹脂の分解物、CO、HOである。また、HOの発生と同期してSOも発生していることが確認された。このSOは、HOがZnSと反応する際に発生するものと考えられる。すなわち、SOの発生量が多いことはZnS表面により多くの変質層が形成されることを意味する。
以上より、焼成工程における輝度の劣化を抑制するためには、上述した実施例と同様、HOをより低温で発生させ、ZnS表面とHOとの反応を抑制することが好ましい。
ここで、COの発生について、本実施例では複数のピークが確認された。最も低温側にある1つ目のピークは220℃付近に存在する。このピークはHOが最大となるピークと同期していることから、燃焼速度に酸素供給が追いつかず、最初の燃焼過程ではより酸素と反応しやすいCH結合の断裂に酸素がより消費される過程によるものである。この過程で反応し切れなかった炭素分は、有機残渣として残る。更に280℃付近にCOの2つ目のピークが、320℃付近にCOの3つ目のピークが存在する。これらのピークは、1つ目のピークの後に燃焼が進み、十分な酸素が供給されて残渣の燃焼が進んでいく過程によるものである。有機残渣はアモルファスカーボン等の炭素リッチな残渣であり、電子線の進入阻害や蛍光体からの発光の再吸収などを引き起こし蛍光体の輝度低下の要因となり得る。そのため、輝度低下を抑制するためには、最終的には有機残渣を完全に分解する必要がある。
(焼成)
本実施例の焼成工程における温度プロファイルは、実施例1から実施例4と同様、図4に示すものである。
ここで、T1としては、蛍光体ペーストをTDP−MS法で測定した場合に水の発生量が最大となる温度以下の温度とした。これは、T1を水の発生量が最大となる温度よりも高い温度とすると、HOとZnSとの反応が促進されるためである。また、T2としては、
蛍光体ペーストをTDP−MS法で測定した場合に二酸化炭素の発生量が極小となる温度以上の温度とした。これは、T2を二酸化炭素の発生量が極小となる温度未満の温度とすると、第一焼成工程で残った有機残渣を十分に分解することが出来ないためである。
なお、T2としては、蛍光体ペーストをTDP−MS法で測定した場合に二酸化炭素の発生量が極大となる温度のうち高温側の温度以上の温度、すなわち、二酸化炭素の二つ目のピーク温度以上の温度とすることがより好ましい。T2をより高温にすることにより、有機残渣をより完全に分解することが出来るためである。ここで、本実施例のようにCOのピークが3つ以上存在する場合、二酸化炭素の発生量が極大となる温度のうち高温側の温度以上の温度とは、2つ目のピークの温度以上の温度を意味する。
上述したように、本実施例では、220℃付近にHOとCOのピークが存在する。また、240℃付近にCOの極小が存在する。更に、280℃付近にCOの2つ目のピークが、320℃付近にCOの3つ目のピークが存在する。
そこで、本実施例では、T1を210℃、t1を15時間として第一焼成工程を行い、その後、T2を500℃、t2を90分として第二焼成工程を行った。
(輝度測定)
焼成した蛍光体基板から蛍光体を削り取り、カソードルミネッセンス輝度測定を行った。輝度測定結果を表4に示した。
Figure 2010123499
焼成なし(ペースト化する前の初期粉体)の輝度を100%とすると、本実施例の輝度は93%であった。
(比較例2)
本比較例は、焼成工程における温度プロファイルが実施例5と異なり、それ以外については実施例5と同様である。
本比較例の焼成工程における温度プロファイルを図5に示す。
本比較例は公知の焼成工程のように焼成温度T0まで昇温し、温度T0において時間t0だけ焼成を行うものである。本比較例では、T0を500℃、t0を90分とした。
焼成なし(ペースト化する前の初期粉体)の輝度を100%とすると、本比較例の輝度は87%であった。
実施例5、比較例1の測定結果より、本実施例のような二段階の焼成工程をおこなうことにより、蛍光体ペーストを焼成する工程において、蛍光体の輝度が劣化するのを抑制することができることが分かる。
(他の実施例)
(硫化物蛍光体)
上述した実施例においては、硫化物蛍光体としてSrGa:Eu、ZnS:Cu,Alを用いた場合を例としたが、本発明はかかる硫化物蛍光体に限定されるものではない。例えば、SrGa:Ce3+、CaGa:Ce3+、ZnS:Ag,Al、
ZnS:Cu,Al、ZnS:Ag,Cu、SrGa:Eu2+、ZnS:Au,Cu,Al、
CaS:Eu3+などの硫化物蛍光体を本発明に適用することも可能である。
(蛍光体ペースト)
上述した実施例においては、蛍光体ペーストとして表1や表3に示す組成のものとしたが、本発明はかかる蛍光体ペーストに限定されるものではない。すなわち、蛍光体基板に求められる発光特性に応じて、蛍光体ペーストの組成は適宜変更し得るものであり、どのような蛍光体ペーストであっても本発明を適用することが可能である。
(焼成)
上述した実施例においては、図4に示すような二段階での焼成を行ったが、本発明は三段階以上の焼成を除外するものではない。すなわち、少なくとも、蛍光体ペーストをTDP−MS法で測定した場合に水の発生量が最大となる温度以下の第一の温度で一定時間焼成する第一焼成工程と、第一焼成工程の後に、蛍光体ペーストをTDP−MS法で測定した場合に二酸化炭素の発生量が極小となる温度以上の第二の温度で一定時間焼成する第二焼成工程を有するものであれば、第一焼成工程と第二焼成工程との間に第一の温度、第二の温度とは異なる温度で焼成する工程が存在してもよい。また、第二焼成工程の後に、第二の温度とは異なる温度で焼成する工程が存在してもよい。
(画像表示装置)
上述した実施例においては、FED(電界放出ディスプレイ)の蛍光体基板を例としたが、本発明はかかる構成に限定されるものではない。例えば、PDP(プラズマディスプレイパネル)の蛍光体基板に対しても本発明を適用することができる。
画像表示装置の構造の一例を示す斜視図である。 バインダー樹脂の構造を示す図である。 TDP−MS測定結果を示す図である。 実施例の焼成工程における温度プロファイルを示す図である。 比較例の焼成工程における温度プロファイルを示す図である。 TDP−MS測定結果を示す図である。
符号の説明
34 電子放出素子
41 電子源基板
44 蛍光体
46 蛍光体基板

Claims (6)

  1. 硫化物蛍光体とバインダー樹脂とを含む蛍光体ペーストを基板に付与する工程と、
    前記蛍光体ペーストをTDP−MS法で測定した場合に水の発生量が最大となる温度以下の第一の温度で一定時間焼成する第一焼成工程と、
    前記第一焼成工程の後に、前記蛍光体ペーストをTDP−MS法で測定した場合に二酸化炭素の発生量が極小となる温度以上の第二の温度で一定時間焼成する第二焼成工程と、
    を有することを特徴とする蛍光体基板の製造方法。
  2. 前記バインダー樹脂は、アクリル樹脂であることを特徴とする請求項1記載の蛍光体基板の製造方法。
  3. 前記バインダー樹脂は、エチルセルロースであることを特徴とする請求項1記載の蛍光体基板の製造方法。
  4. 前記第二の温度は、前記蛍光体ペーストをTDP−MS法で測定した場合に二酸化炭素の発生量が極大となる温度のうち高温側の温度以上の温度であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の蛍光体基板の製造方法。
  5. 蛍光体基板を有する画像表示装置の製造方法であって、
    前記蛍光体基板は、請求項1乃至4のいずれかに記載の蛍光体基板の製造方法によって製造されることを特徴とする画像表示装置の製造方法。
  6. 前記画像表示装置は、電子放出素子を備える電子源基板を有する画像表示装置であることを特徴とする請求項5に記載の画像表示装置の製造方法。
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