しかしながら、たとえば会計事務所のような小規模の事務所内で、LANに接続するコンピュータの数が少ない利用形態(小規模なネットワーク)においては、上記のFTPサーバを利用したファイル転送技術を採用するのは効率的ではない。すなわち、事務所内に構築されたLAN内にわざわざFTPサーバを設置するのは、設置費用や装置の保守管理のための労力などを考えると効率的ではない。また、一定のレベルのセキュリティが保たれている同一LANに接続されたコンピュータ(クライアント端末装置)間でのファイル転送において外部に設置されたFTPサーバを利用するのは効率的でなく、また、セキュリティを確保するためには何らかの方策が必要となる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、同一LANに接続されたコンピュータ端末同士の間で、メールサーバやFTPサーバを利用することなくセキュアにファイル転送を行うためのファイル転送方法、ファイル転送システム、端末装置およびファイル転送プログラムを得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、同一ネットワークに接続された端末装置間でファイルを転送する場合のファイル転送方法であって、ファイルを転送する側の端末装置である送信側端末が、転送するファイルを受信可能な端末装置である受信側端末を前記ネットワーク上で検出する端末検出ステップと、前記送信側端末が、前記端末検出ステップで検出した受信側端末のリストをユーザに通知し、当該リスト内のどの受信側端末をファイルの転送先とするか、転送先の受信側端末へどのファイルを転送するか、を選択させる選択ステップと、前記送信側端末が、前記選択ステップで選択したファイル、およびその管理情報を前記転送先として選択された受信側端末である転送先受信側端末へ送信し、当該転送先受信側端末内の所定の記憶領域であって、送信側端末からの受信データを格納するための隠し共有フォルダへ格納させるファイル転送ステップと、前記転送先受信側端末が、隠し共有フォルダに格納されたファイルおよびその管理情報を取り出し、また、当該管理情報に基づいて当該ファイルを格納する本来の記憶領域を特定し、さらに、特定した記憶領域へ当該ファイルを格納するファイル格納ステップと、を含むことを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送方法において、前記端末検出ステップは、前記送信側端末が、前記受信側端末を検出するためのメッセージであって、当該メッセージを受信した場合にはその応答としてプロファイルを返送するように要求するプロファイル要求を前記ネットワーク上にブロードキャスト送信するプロファイル要求ステップと、前記送信側端末が、前記プロファイル要求に対する応答を受信し、その結果得られたプロファイルに基づいて、受信側端末のリストを生成するリスト生成ステップと、を含むことを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送方法において、前記端末検出ステップは、さらに、前記プロファイル要求を受信した端末装置のうち、その時点で前記隠し共有フォルダを有している端末装置が、前記受信側端末としてプロファイルを返送するプロファイル返送ステップ、を含み、前記リスト生成ステップでは、前記プロファイル返送ステップで送信されたプロファイルに基づいて、前記リストを生成することを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送方法において、前記端末検出ステップは、さらに、前記プロファイル要求を受信した端末装置のうち、特定の端末種別を示す情報を保持している端末装置が、前記受信側端末としてプロファイルを返送するプロファイル返送ステップ、を含み、前記リスト生成ステップでは、前記プロファイル返送ステップで送信されたプロファイルに基づいて、前記リストを生成することを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送方法において、前記端末検出ステップでは、さらに、検出した受信側端末が有する隠し共有フォルダのパス情報を取得し、前記ファイル転送ステップでは、前記取得したパス情報に従い送信処理を実行することを特徴とする。
また、つぎの発明は、同一ネットワークに接続された端末間でファイルを転送する場合のファイル転送方法であって、ファイルを転送する側の端末装置である送信側端末が、転送されたファイルを受信可能な端末装置である受信側端末を前記ネットワーク上で検出する端末検出ステップと、前記送信側端末が、前記端末検出ステップで検出した受信側端末のリストをユーザに通知し、当該リスト内のどの受信側端末をファイルの転送先とするか、転送先の受信側端末へどのファイルを転送するか、を選択させる選択ステップと、前記送信側端末が、前記選択ステップで転送先として選択された受信側端末である転送先受信側端末に対して、ファイル転送を開始する旨を通知するファイル転送開始通知ステップと、前記ファイル転送を開始する旨の通知を受けた転送先受信側端末が、前記送信側端末からの受信データを一時的に格納するための隠し共有フォルダを生成し、ファイルの受信準備が完了した旨の通知を前記送信側端末へ通知する隠し共有フォルダ生成ステップと、前記送信側端末が、前記選択ステップで選択されたファイル、およびその管理情報を前記転送先受信側端末へ送信し、前記隠し共有フォルダへ格納させるファイル転送ステップと、前記転送先受信側端末が、隠し共有フォルダに格納されたファイルおよびその管理情報を取り出し、また、当該管理情報に基づいて当該ファイルを格納する本来の記憶領域を特定し、さらに、特定した記憶領域へ当該ファイルを格納するファイル格納ステップと、前記転送先受信側端末が、前記生成した隠し共有フォルダを消去する隠し共有フォルダ消去ステップと、を含むことを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送方法において、前記端末検出ステップは、前記送信側端末が、前記受信側端末を検出するためのメッセージであって、当該メッセージを受信した場合にはその応答としてプロファイルを返送するように要求するプロファイル要求を前記ネットワーク上にブロードキャスト送信するプロファイル要求ステップと、前記送信側端末が、前記プロファイル要求に対する応答を受信し、その結果得られたプロファイルに基づいて、受信側端末のリストを生成するリスト生成ステップと、を含むことを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送方法において、前記端末検出ステップは、さらに、前記プロファイル要求を受信した端末装置のうち、特定の端末種別を示す情報を保持している端末装置が、前記受信側端末としてプロファイルを返送するプロファイル返送ステップ、を含み、前記リスト生成ステップでは、前記プロファイル返送ステップで送信されたプロファイルに基づいて、前記リストを生成することを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送方法において、前記隠し共有フォルダ生成ステップでは、ファイルの受信準備が完了した旨および生成した隠し共有フォルダのパス情報を前記送信側端末へ通知し、前記ファイル転送ステップでは、前記通知されたパス情報に従い送信処理を実行することを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送方法において、前記選択ステップでは、選択されたファイルを、その後のファイル転送ステップで送信した後に削除するかどうか、をさらに選択させ、前記ファイル転送ステップでは、前記選択ステップで「送信した後に削除する」が選択されたファイルについては、送信後に削除することを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送方法において、各受信側端末が前記ネットワーク上でグループ化されて管理されている場合、前記選択ステップでは、ファイルの転送先を選択させるにあたって、グループごとの一括選択を可能とすることを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送方法において、前記選択ステップでは、少なくとも1つのファイルの転送先と少なくとも一つの転送するファイルが選択された場合に、それらの転送開始を指示するためのアイコンを操作画面上に表示させることを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送方法において、前記ファイル格納ステップでは、前記管理情報に基づいて前記ファイルが原本かどうかを判定し、原本の場合、アプリケーションがフルアクセス可能な属性を前記ファイルへ付与し、原本ではない場合、読み取り専用の属性を付与することを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送方法において、前記ファイル格納ステップでは、前記記憶領域を特定する際、前記管理情報に基づいて前記ファイルが原本かどうかを判定し、原本の場合、アプリケーションがフルアクセス可能な第1の領域において前記記憶領域を特定し、原本ではない場合、読み取り専用の第2の領域において前記記憶領域を特定することを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送方法において、前記ファイル格納ステップでは、さらに、前記取り出したファイルおよび管理情報に基づいて、自装置が管理する全データが格納されているデータベースを更新することを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送方法において、前記ファイル格納ステップでは、前記特定した記憶領域へのファイル格納が終了後、その旨を示す表示を操作画面上に表示させることを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送方法において、前記選択ステップでは、ファイルの転送先に対するコメント入力を受け付け可能とし、前記ファイル転送ステップでは、前記コメントも併せて受信側端末へ送信し、前記ファイル格納ステップでは、前記特定した記憶領域へのファイル格納が終了後、その旨を示す表示とともに前記コメントを操作画面上に表示させることを特徴とする。
また、つぎの発明は、同一ネットワークに接続された2つ以上の端末装置を備え、1対1または1対複数の端末装置間でファイル転送を行うファイル転送システムであって、前記端末装置の中のファイルを転送する側の端末装置である送信側端末は、自身が転送したファイルを受信可能な端末装置である受信側端末を検出するためのメッセージを前記ネットワーク上に送信するオンライン監視部と、前記オンライン監視部が前記メッセージを送信することにより検出した受信側端末のリストをユーザに通知し、当該リスト内のどの受信側端末をファイルの転送先とするか、転送先とした受信側端末へどのファイルを転送するか、を選択させる転送操作受付部と、前記ユーザにより選択されたファイル、およびその管理情報を当該ユーザに転送先として選択された受信側端末へ送信するファイル操作実行部と、を備え、前記端末装置の中の前記送信側端末から転送されたファイルを受信可能な端末装置である受信側端末は、前記オンライン監視部から送信されたメッセージを受信した場合に、応答メッセージを返送するアクセス監視部と、前記ファイル操作実行部から受信したファイルおよびその管理情報を隠し共有フォルダに格納するファイル受信部と、前記隠し共有フォルダの状態を監視し、前記送信側端末から受信したファイルおよび管理情報を検出した場合、当該検出したファイルおよびその管理情報を取り出し、また、当該管理情報に基づいて当該ファイルを格納する本来の記憶領域を特定し、さらに、特定した記憶領域へ当該ファイルを格納するファイル管理部と、を備えることを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送システムにおいて、前記オンライン監視部は、プロファイルを返送するように要求するプロファイル要求を前記メッセージとして前記ネットワーク上にブロードキャストし、その応答として受信したプロファイルに基づいて、前記リストを生成し前記アクセス監視部は、前記プロファイル要求を受信した場合、プロファイルを応答メッセージとして返送することを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送システムにおいて、前記アクセス監視部は、前記プロファイル要求を受信した場合、自装置がその時点で前記隠し共有フォルダを有している場合に、プロファイルを返送することを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送システムにおいて、前記アクセス監視部は、前記プロファイル要求を受信した場合、プロファイルとともに隠し共有フォルダのパス情報を返送し、前記ファイル操作実行部は、前記返送されたパス情報に従い送信処理を実行することを特徴とする。
また、つぎの発明は、同一ネットワークに接続された2つ以上の端末装置を備え、1対1または1対複数の端末装置間でファイル転送を行うファイル転送システムであって、前記端末装置の中のファイルを転送する側の端末装置である送信側端末は、自身が転送したファイルを受信可能な端末装置である受信側端末を検出するためのメッセージを前記ネットワーク上に送信するオンライン監視部と、前記オンライン監視部が前記メッセージを送信することにより検出した受信側端末のリストをユーザに通知し、当該リスト内のどの受信側端末をファイルの転送先とするか、転送先とした受信側端末へどのファイルを転送するか、を選択させる転送操作受付部と、前記ユーザに転送先として選択された受信側端末に対し、ファイル転送を開始する旨を通知することにより転送ファイルを一時的に格納するための隠し共有フォルダを生成するよう指示し、さらに、隠し共有フォルダが生成されたことを確認後、前記ユーザにより選択されたファイル、およびその管理情報を当該受信側端末へ送信するファイル操作実行部と、を備え、前記端末装置の中の前記送信側端末から転送されたファイルを受信可能な端末装置である受信側端末は、前記オンライン監視部から送信されたメッセージを受信した場合に、応答メッセージを返送するアクセス監視部と、前記ファイル操作実行部から隠し共有フォルダの生成指示を受けた場合に、隠し共有フォルダを記憶部内に生成し、また生成終了後にはその旨を前記アクセス監視部経由で前記ファイル操作実行部へ通知する受信ファイル格納領域管理部と、前記ファイル操作実行部から送信されたファイルおよびその管理情報を受信して前記隠し共有フォルダに格納するファイル受信部と、前記隠し共有フォルダの状態を監視し、前記送信側端末から受信したファイルおよびその管理情報を検出した場合、当該検出したファイルおよびその管理情報を取り出し、また、当該管理情報に基づいて当該ファイルを格納する本来の記憶領域を特定し、さらに、特定した記憶領域へ当該ファイルを格納するとともに、前記受信ファイル格納領域管理部に対して前記隠し共有フォルダを消去するように指示するファイル管理部と、を備え、受信ファイル格納領域管理部は、前記ファイル管理部から隠し共有フォルダを消去するように指示された場合、前記生成した隠し共有フォルダを消去することを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送システムにおいて、前記オンライン監視部は、プロファイルを返送するように要求するプロファイル要求を前記メッセージとして前記ネットワーク上にブロードキャストし、その応答として受信したプロファイルに基づいて、前記リストを生成し前記アクセス監視部は、前記プロファイル要求を受信した場合、プロファイルを応答メッセージとして返送することを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送システムにおいて、前記受信ファイル格納領域管理部は、隠し共有フォルダを生成後、その旨および生成した隠し共有フォルダのパス情報を前記ファイル操作実行部へ通知し、前記ファイル操作実行部は、前記通知されたパス情報に従い送信処理を実行することを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送システムにおいて、前記転送操作受付部は、選択されたファイルを、前記ファイル操作実行部が送信した後に削除するかどうか、をさらに選択させ、前記ファイル操作実行部は、「送信した後に削除する」がユーザにより選択されたファイルについては、送信後に削除することを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送システムにおいて、各受信側端末が前記ネットワーク上でグループ化されて管理されている場合、前記転送操作受付部は、ファイルの転送先を選択させるにあたって、グループごとの一括選択を可能とすることを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送システムにおいて、前記転送操作受付部は、少なくとも1つのファイルの転送先と少なくとも一つの転送するファイルが選択された場合に、それらの転送開始を指示するためのアイコンを操作画面上に表示させることを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送システムにおいて、前記ファイル管理部は、前記管理情報に基づいて前記ファイルが原本かどうかを判定し、原本の場合、アプリケーションがフルアクセス可能な属性を前記ファイルへ付与し、原本ではない場合、読み取り専用の属性を付与することを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送システムにおいて、前記ファイル管理部は、前記記憶領域を特定する際、前記管理情報に基づいて前記ファイルが原本かどうかを判定し、原本の場合、アプリケーションがフルアクセス可能な第1の領域において前記記憶領域を特定し、原本ではない場合、読み取り専用の第2の領域において前記記憶領域を特定することを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送システムにおいて、前記ファイル管理部は、さらに、前記取り出したファイルおよび管理情報に基づいて、自装置が管理する全データが格納されているデータベースを更新することを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送システムにおいて、前記ファイル管理部は、前記特定した記憶領域へのファイル格納が終了後、その旨を示す表示を操作画面上に表示させることを特徴とする。
また、つぎの発明にかかるファイル転送システムにおいて、前記転送操作受付部は、ファイルの転送先に対するコメント入力を受け付け可能とし、前記ファイル操作実行部は、前記コメントも併せて受信側端末へ送信し、前記ファイル管理部は、前記特定した記憶領域へのファイル格納が終了後、その旨を示す表示とともに前記コメントを操作画面上に表示させることを特徴とする。
また、つぎの発明にかかる端末装置は、請求項1〜17のいずれか一つに記載のファイル転送方法を実現するための送信側端末として動作することを特徴とする。
また、つぎの発明にかかる端末装置は、請求項1〜17のいずれか一つに記載のファイル転送方法を実現するための受信側端末として動作することを特徴とする。
また、つぎの発明のかかるファイル転送プログラムは、請求項1〜17のいずれか一つに記載のファイル転送方法の送信側端末の処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
また、つぎの発明のかかるファイル転送プログラムは、請求項1〜17のいずれか一つに記載のファイル転送方法の受信側端末の処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明にかかるファイル転送方法は、ファイルの転送先(受信側端末)内部の隠し共有フォルダ(ファイルの送信側端末からの受信データを格納するための記憶領域)を利用し、ファイルの転送元(送信側端末)は、受信側端末の隠し共有フォルダに向けて転送ファイルを送信し、受信側端末は、隠し共有フォルダに格納されたファイルを当該ファイルの本来の格納領域へ格納し直す(移動する)こととしたので、送信側端末から受信側端末へ直接かつセキュアにファイル転送を行うことができ、かつ、受信側端末のユーザにとっては、受け取ったファイルを本来の格納領域へ移動させるというような煩わしい操作が不要となる、という効果を奏する。
また、受信側端末で受け取ったファイルを本来格納すべき領域以外の領域へ誤って格納してしまうのを防止できる。
図1は、本発明にかかるファイル転送方法を実行するクライアント端末装置として動作可能な計算機システムの構成例を示す図である。この計算機システムは、制御部1と記憶部2と表示部3と入力部4と出力部5と通信部6とを備える。
図1において、制御部1は、本発明にかかるファイル転送プログラムを実行する。記憶部2は、RAM,ROMなどの各種メモリを含み、上記制御部1が実行すべきプログラム,処理の過程で得られた必要なデータ,などを記憶する。表示部3は、CRT,LCD(液晶表示パネル)などで構成され、計算機システムのユーザに対して各種画面を表示する。入力部4は、たとえばキーボード41やマウス42などで構成され、計算機システムのユーザが、各種情報の入力を行うために使用する。出力部5は、プリンタなどの印刷装置により構成され、制御部1から出力される各種データに基づいた印刷処理などを行う。また、この計算機システムは、通信部6を介して、通信ネットワークとの接続が可能である。
なお、この計算機システムは、ファイル転送プログラムを実行することにより、本発明にかかるファイル転送方法を実行する送信側のクライアント端末装置(以下、送信側端末と呼ぶ)および受信側のクライアント端末装置(以下、受信側端末と呼ぶ)の双方の機能を実現する。すなわち、クライアント端末装置は、自身が保持しているファイルを他のクライアント端末装置(複数の場合もある)へ送信する場合、送信側端末として動作し、一方、他のクライアント端末装置が自身宛にファイルを送信する場合には、受信側端末として動作する。
また、以下の説明においては、便宜上、本発明にかかるファイル転送方法を実行可能なクライアント端末装置のうち、ファイル送信を行おうとしている端末(送信側端末)以外のすべてのクライアント端末装置を「受信側端末」と記載する。すなわち、送信側端末からファイルを受信しない受信側端末も存在する(送信側端末は、受信側端末の中から転送先として選択したものに対して、ファイルを送信する)。
ここで、本発明にかかるファイル転送プログラムが実行可能な状態になるまでの計算機システムの動作例について説明する。上述した構成をとる計算機システムには、たとえば、CD−ROMドライブユニット(図示せず)にセットされたCD−ROMから、ファイル転送プログラムがディスクユニット(図示せず)にインストールされる。そして、ファイル転送プログラムの実行時に、ディスクユニットから読み出されたファイル転送プログラムが記憶部2の所定の場所に格納される。この状態で、制御部1は、記憶部2に格納されたプログラムに従って、ファイル転送処理を実行する。
なお、本発明においては、CD−ROMを記録媒体として、上記ファイル転送処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、計算機システムの構成、提供するプログラムの容量などに応じて、たとえば、フロッピー(登録商標)ディスクなどの磁気ディスク,光磁気ディスク,磁気テープなどの記録媒体を用いることも可能である。また、電子メール,インターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
図2は、実施例1の送信側端末の構成例を示す図である。この送信側端末は、図1に示した計算機システムがファイル転送プログラムを実行することにより実現される。図2では、図1の計算機システムと同じ構成要素に同一の符号を付している。図示したように、送信側端末は、制御部1内にオンライン監視部11、転送操作受付部12およびファイル操作実行部13を備え、また、記憶部2内に転送先リスト格納部21、ファイル格納部22、管理情報格納部23、データベース(DB)24、転送履歴格納部25およびプロファイル格納部26を備えている。
送信側端末の各構成要素について簡単に説明する。制御部1において、オンライン監視部11は、所定のタイミング(一定周期ごとでもよいし、不定期でもよい、また、所定の操作が実行されたことを検出したタイミングでもよい)に、自身と同じネットワークに接続しかつ本実施例のファイル転送方法を実行可能な他の端末(転送されたファイルを受信可能なクライアント端末装置すなわち受信側端末)が存在するかどうかを確認するための情報を通信部6経由で送信する。転送操作受付部12は、必要に応じて表示部3への画面表示内容を切り替えながら、ユーザが入力部4を利用して行ったファイル転送操作を検出する。また、ファイル転送操作を検出した場合、検出結果をファイル操作実行部13に通知する。ファイル操作実行部13は、転送操作受付部12からの通知内容に従い、転送するファイルの記憶部2からの読み出しおよび読み出したファイルの転送を行う。
また、送信側端末の記憶部2において、転送先リスト格納部21は、オンライン監視部11が監視動作を行い生成した、転送先となりうる(転送されたファイルを受信可能な)他の端末(受信側端末)のリストを格納する領域である。ファイル格納部22は、本実施例のファイル転送方法を使用して転送することが許容されたファイルを格納する領域である。管理情報格納部23は、ファイル格納部22またはDB24に格納されたファイル及びデータの管理情報(図3参照)を格納する領域である。ここで、図3は管理情報の構成例を示す図であり、管理情報は、少なくとも管理コード、登録会社コード、データ名、ファイル名、型式(FILEかDBかを示す情報)および属性(原本か複写かを示す情報)を情報要素として含むものとする。また、各管理情報は、ファイル操作実行部13により生成され、ファイル格納部22に格納されたファイルまたはDB24のデータのうちのいずれか一つと対応付けられている。DB24には、ファイル格納部22に格納されているファイルで使用されるデータやその他の関連情報が格納されている。転送履歴格納部25は、過去に実行したファイル送信処理の情報である転送履歴を格納する領域である。プロファイル格納部26には、自装置のプロファイル(詳細については後述する)が格納される。
ここで、ファイル格納部22に格納されているファイルとDB24に格納されているデータの関係について説明する。たとえば、送信側端末が会計事務所での業務に利用される端末の場合、DB24には、会計業務用の特殊なアプリケーション(以下、特定アプリケーションと呼ぶ)により生成されたデータや、特定アプリケーションにより利用される情報(会計事務所の顧客の情報(図4に例示した登録会社管理情報に相当)など)、その他の会計業務で利用される情報、など種々の情報が格納されている。一方、ファイル格納部22には、特定アプリケーションにより生成されたファイル(以下、説明の便宜上「メインファイル」と記載する)のほか、PDFファイルや、Windows(登録商標)システム等の各種ファイルが格納されている。メインファイルで使用しているデータは直接DB24のデータを参照してもよいし、必要なデータを抽出して生成されたファイル(以下、説明の便宜上「中間ファイル」と記載する)のデータを参照してもよい。また中間ファイルを生成した場合は中間ファイルを特定アプリケーション終了時に削除してもよいし、メインファイルと一緒に不可視の状態でファイル格納部22に格納してもよい。
このような管理を行うため、送信側端末では、ファイル操作実行部13がファイル格納部22及びDB24の状態を監視し、特定アプリケーションによりメインファイルが作成されることで、データがDB24に追加登録されたことを検出した場合、追加登録されたデータ(メインファイル)をファイル格納部22へ追加登録する。また、DB24に格納されているデータが更新されたことを検出した場合には、更新されたデータに対応するファイル格納部22内のメインファイルを更新する。またファイル操作実行部13は、ファイル格納部22またはDB24の更新を行った場合、管理情報格納部23内の管理情報も併せて更新する。また中間ファイルを生成する場合には送信側端末のファイル操作実行部13がファイル格納部22及びDB24の状態を監視し、特定アプリケーションによりメインファイルと共に中間ファイルが作成されることで、データがDB24に追加登録されたことを検出した場合、追加登録されたメインファイルと中間ファイル(不可視の状態)をファイル格納部22へ追加登録する。また、DB24に格納されているデータが更新されたことを検出した場合には、更新されたデータに対応するファイル格納部22内の中間ファイルを更新する。中間ファイルを更新することで中間ファイルのデータを参照しているファイル格納部22内のメインファイルも更新する。またファイル操作実行部13は、ファイル格納部22またはDB24の更新を行った場合、管理情報格納部23内の管理情報も併せて更新する。なお、メインファイルの追加登録や更新を行う特定アプリケーションがDB24、ファイル格納部22および管理情報格納部23を認識している場合には、DB24、ファイル格納部22および管理情報格納部23にそれぞれ格納されている情報を特定アプリケーション自身が直接更新するようにしてもよい。
なお、以上の説明では、特定アプリケーションが、一度メインファイルを生成した後、メインファイルをファイル格納部に格納すると共に、DB24にも、データをDB形式で格納されるように記載したが、これに限られるものではなく、データをDB24には格納せず、ファイル格納部に格納するだけで、ファイルとして管理するようにしてもよいし、あるいは、特定アプリケーションが、メインファイルを一旦生成せずに、生成したデータをダイレクトにDBに格納するようにしてもよい(DBだけを利用する管理)。あるいはDBからデータを抽出して中間ファイルを生成し、メインファイルと共にファイル格納部に格納するようにしてもよい。また、管理情報についても、同様に、メインファイル生成の際に、併せて、生成されるようにしてもよいし、メインファイルを生成せずダイレクトに生成したデータをDB24に格納する際に、併せて管理情報を生成するようにしてもよいし、中間ファイルを生成する場合であれば、中間ファイルの生成の際に併せて、生成されるようにしてもよい。
図5は、実施例1の受信側端末の構成例を示す図である。この受信側端末は、上述した送信側端末と同様に、図1に示した計算機システムがファイル転送プログラムを実行することにより実現される。図5では、図1の計算機システムと同じ構成要素に同一の符号を付している。図示したように、受信側端末は、制御部1内にアクセス監視部14、ファイル受信部15およびファイル管理部16を備え、また、記憶部2内にファイル格納部22、管理情報格納部23、DB24、プロファイル格納部26、受信履歴格納部27および隠し共有フォルダである受信ファイル格納部28を備えている。隠し共有フォルダとは、実施例1のファイル転送方法を実現可能な他の端末(送信側端末となりうる他の端末)に対してのみその存在を知らせる(認識させる)記憶領域である。また、ファイル格納部22、管理情報格納部23、DB24およびプロファイル格納部26は、送信側端末の記憶部2内に存在しているものと同じである。
受信側端末の各構成要素について簡単に説明する。ただし、送信側端末が備えているものと同じ構成要素(同一の符号が付された構成要素)については説明を省略する。
受信側端末の制御部1において、アクセス監視部14は、他の端末からのアクセスを監視する。ファイル受信部15は、他の端末から自装置宛に送信されたファイル(メインファイルおよびその他の付加情報からなるファイル、詳細については後述する)を受信し、それを受信ファイル格納部28へ格納する。ファイル管理部16は、受信ファイル格納部28の監視を行い、他の端末から受信したファイルが格納されている場合、それを取得してファイル格納部22へ格納する(受信ファイルを移動する)とともに、管理情報格納部23内の管理情報、DB24および受信履歴格納部27内の受信履歴情報を更新する。なお、メインファイル以外の、PDFファイルや、Windows(登録商標)システム等の各種ファイルについても、本システムを用いて、転送することができるが、この場合には、DB24の更新が行われないものの、それ以外の更新処理は同様であるため、以下記載は省略し、メインファイルについてのみ説明を行う。
また、受信側端末の記憶部2において、受信履歴格納部27は、過去に実行したファイル受信処理の情報である受信履歴情報を格納する領域である。受信ファイル格納部28は、他の端末(送信側端末)から受信したファイルを一時的に格納するための領域である。なお、これらのファイル格納部22、管理情報格納部23およびDB24に格納されている各情報は、図1に示した計算機システム(クライアント端末装置)が送信側端末として動作する場合には、ファイル操作実行部13により管理され(情報の書き換え等が行われ)、また、受信側端末として動作する場合には、ファイル管理部16により管理される。
つづいて、送信側端末から受信側端末へファイルを転送する場合の動作について説明する。ここでは、まず、ファイル転送動作の概要について図6を参照しながら説明し、その後、送信側端末の詳細動作、受信側端末の詳細動作、の順番で説明を行う。なお、図6は、実施例1のファイル転送動作の概要を示したフローチャートである。
本実施例におけるファイル転送では、まず、送信側端末および受信側端末の双方において、ファイル転送を実際に行うための前提処理(設定)を行う。具体的には、受信側端末が、ファイル転送時に使用する隠し共有フォルダ(上述した受信ファイル格納部28に相当、フルアクセスとする)を生成する処理(ステップS1)と、送信側端末が、他の端末(受信側端末となりうる端末)の情報(プロファイル)を取得する処理(ステップS2)とを実行する。なお、ステップS2では、同一ネットワークに接続された他の端末(受信側端末)が複数存在する場合、すべての端末からプロファイルを取得する。また、ステップS1とS2の順番は入れ替わってもよい。すなわち、受信側端末は、送信側端末から実際にファイルが送信(転送)されてくるまでの間にステップS1を実行して隠し共有フォルダを生成すればよい。
前提処理が終了すると、次に、送信側端末が、ファイルの転送先、転送するファイル(メインファイル)および実行する処理、の選択操作がユーザにより行われるのを待ち(ステップS3)、選択操作が終了すると、選択結果に従ったファイル転送処理を実行する(ステップS4)。このファイル転送処理は、利用者による転送先の受信側端末の選択指示に基づき、転送先の受信側端末の情報を取得し、当該受信側端末の隠し共有フォルダに向けてファイルを転送する処理を意味する。
一方、受信側端末は、送信側端末からファイル(メインファイルおよびその他の付加情報を含んだファイル)を受信するとそれを隠し共有フォルダに一旦格納し、その後、隠し共有フォルダに格納された受信ファイルからメインファイルを抽出し、それをファイル格納部22(受信したメインファイルの本来の格納領域)へ格納(移動)する(ステップS5)。なお、受信側端末は、メインファイルのファイル格納部22への格納が終了した場合(受信処理が完了した場合)、その旨を示す表示を行うようにしてもよい。また、ファイル受信処理を実行中に、その旨を示す表示を行うようにしてもよい。表示を行う場合、たとえば、受信したメインファイルの名称や種別、ファイルサイズや送信元の端末の情報、格納先などを表示する。
なお、本実施例のシステムでは、転送されるメインファイルが原本ファイルか複写ファイルかを区別して管理することとし、また、送信側端末および受信側端末においても、ファイル格納部22に格納されたメインファイルが原本ファイルか複写ファイルかを区別して管理し、複写ファイルについては編集を許可しないこととする。
原本か複写かの属性情報を、ファイルに付与する(ファイルの一部に組み込む、あるいはファイル(DB管理の場合にはデータ)に対して関連づける)方法としては、アプリケーションで、最初にファイル(DB管理の場合にはデータ)を生成した場合に原本情報を付与し、原本扱いのファイルから複製ファイル(DB管理の場合には複製データ)を生成したときに複写情報を付与するという方法があるが、これに限られるものではなく、たとえば、アプリケーションで、最初にファイル(DB管理の場合にはデータ)を生成した場合には、属性情報を付与せず、管理者が当該ファイルを監査したときに、当該ファイル(DB管理の場合にはデータ)に対し、属性情報として原本情報を付与するようにしてもよい。ファイルに一旦付与された属性情報は、ファイル転送の際に、ファイルと共に、転送先に、管理情報の一部として転送されることになる。
具体的な管理方法については後述するが、このような管理を行うことにより、同じメインファイルが複数の端末で並行して編集されてしまうのを防止する。各端末においては、原本ファイルを格納する領域(原本格納領域とする)と複写ファイルを格納する領域(複写格納領域とする)とをファイル格納部内に設けておき、各端末にて実行される特定のアプリケーション(メインファイルを扱うアプリケーション)は、メインファイルがどちらの領域に格納されているかによって、そのファイルが編集可能なファイルか編集不可能なファイル(読み取り専用ファイル)かを区別する。すなわち、原本格納領域を特定アプリケーションがフルアクセス可能な領域、複写格納部を読み取り専用の領域として定義しておき、特定アプリケーションは、原本格納領域からメインファイルを読み出した場合、その編集をユーザに対して許可し、一方、複写格納部から読み出した場合には、その編集をユーザに対して許可しない。また、特定アプリケーションにより上記メインファイルが生成/更新された場合、この生成/更新されたメインファイルの取扱いについては、DB24にメインファイルを構成するデータが格納されるとともに、またメインファイルに関する中間ファイルがある場合はメインファイルと中間ファイル(不可視の状態)がファイル格納部22内の原本格納領域へも格納(上書き)される。
原本かどうかを管理する他の方法としては、たとえば、特定のアプリケーション(メインファイルを扱うアプリケーション)に、原本格納領域か複写格納部のいずれに格納されているかを認識させずに、別途、システム側にインターフェース(関数)を用意して、当該インターフェース(関数)が、特定のアプリケーションからのアクセス要求を制御し、あるメインファイルが原本格納領域に格納されている場合には、フルアクセスを許可し、複写格納部に格納されているときは、読み取りのみを許可する、というようにしてもよい。
また、メインファイルに付与された属性情報の取扱いについては、アプリケーションが、この属性コードを判別することで、メインファイルが原本ファイルか複写ファイルかを区別することとし、原本ファイルについてはフルアクセスとし、複写ファイルについては編集を行なわないように(つまり読み取りのみを許可するように)制御しても良い。DB管理の場合には、DB24に含まれる属性情報を利用して同様の制御を行なうようにしても良い。あるいは、システム側にファイルアクセスのインターフェースを用意して、当該インターフェースが、特定のアプリケーションからのアクセス要求を制御し、あるメインファイルに属性情報として原本情報が付与されている場合には、フルアクセスを許可し、属性情報として複写情報が付与されているときは、読み取りのみを許可する、というようにしてもよい。
また本実施例のシステムは転送されるファイルについてメインファイルをファイル格納部22に格納するか、中間ファイルを生成する場合は中間ファイルの形で転送実行後にデータをDB24に格納するかを設定して管理することにし、また、送信側端末および受信側端末においても、同様に設定して管理することにし、ファイルとデータを同列の情報として扱うということとしてもよい。
図7−1は、ファイル格納部22のフォルダ構造の一例を示す図である。ファイル格納部22では、会社毎に、年度やメインファイルの種別(図示した給与一覧表、決算報告書など)で各メインファイルを分類して管理できるようなフォルダ構成を採用している。受信側端末は、受信したメインファイルをファイル格納部22へ格納する場合、一緒に送られてきた付加情報に基づいて、メインファイルの格納先フォルダを決定し、決定したフォルダへメインファイルを格納する。また中間ファイルがある場合はメインファイルと一緒にファイル格納部へ中間ファイルを格納(不可視の状態)してもよいし、削除してもよい。なお、図7−1は、ファイルを格納するフォルダの構成を示すものであるから、フォルダ様式(上側の図)で示すのが実体に則しているが、DBの構成を示す図7−2との対応関係を理解し易くするために、図7−1の下の図として、あえてテーブル形式の図を記載したものである。
なお、図7−2の上の図はDB24のデータ構造について、本来テーブル形式で図7−2の下の図のように格納されているものを、図7−1との関係を理解し易くするために、あえてフォルダ様式で階層的に示した一例を示す図である。DB24では会社毎に、年度や種別(図示した給与、法人税など)で各データを分類して管理できるようなテーブル構成を採用している。
図8は、ファイル転送を行う送信側端末の処理手順の一例を示したフローチャートである。この図8に基づいて送信側端末の詳細動作を説明する。
送信側端末は、たとえば、ユーザによりファイル転送のための所定の初期操作(ファイル転送機能の使用開始を指示する操作など)が行われたことを検出した場合、および/または、一定周期ごとに、オンライン監視部11が、自装置が接続中のLAN内にプロファイル要求をブロードキャストする(ステップS21)。このプロファイル要求とは、受信側端末を検出するためのメッセージであり、具体的には、受信側端末に対して、プロファイルを送信するように要求するメッセージである。本実施例のファイル転送方法を実行可能なクライアント端末装置(すなわち、送信側および受信側端末として動作可能な端末)は、他の端末からプロファイル要求を受信した場合、その送信元の端末(送信側端末)に対し、自端末のプロファイルを返送する。返送動作の詳細については、受信側端末の動作説明において行う。ここで、プロファイルの例を図9−1および図9−2に示す。プロファイルとは、各クライアント端末装置の識別情報であり、最も単純な構成の場合、図9−1に示したように、装置名のみで構成される。また、図9−2に示したように、各クライアント端末がグループ化されていたり、端末の利用者(担当者)が決められていたりする場合には、装置名に加えてグループ名や担当者(担当者名)を追加した構成としてもよい。
プロファイル要求の送信を行うと、オンライン監視部11は、プロファイル要求に対する応答が送信されてくるのを所定期間待ち続け(ステップS22)、所定期間内に応答(プロファイル)を受信しなかった場合(ステップS22,No)、ステップS21に遷移してプロファイル要求を再度送信(ブロードキャスト)する。なお、受信側端末として動作可能な端末が全く存在していないことも考えられるので、再送を行わずに動作を終了させてもよい。また、所定回数プロファイル要求を再送し、それにもかかわらずプロファイルが返送されてこなかった場合に処理を終了するようにしてもよい。一方、所定期間内に少なくとも1件の応答(プロファイル)を受信した場合(ステップS22,Yes)、所定期間内に受信した各プロファイルに基づいて、転送先リストを作成し、作成した転送先リストを転送先リスト格納部21へ格納する(ステップS23)。転送先リストの構成については特に規定しないが、少なくとも装置名の情報は含むものとする。また、プロファイルに装置名以外の情報が含まれている場合、それらの情報(グループ名,担当者名,など)の一部またはすべてを含んだ構成としてもよい。
また、転送操作受付部12は、ユーザにより所定の操作が行われたことを検出した場合、転送先リスト格納部21から転送先リストを読み出し、それを表示部3へ表示する(図10参照)。そして、メインファイルの転送先、転送するメインファイルおよび実行する処理(転送後にメインファイルを削除するかどうか、すなわちメインファイルの移動を行うのか複製を行うのか)をユーザに選択させるための動作を実行し(ステップS24)、これらの選択操作が終了すると、選択結果をファイル操作実行部13へ通知する。なお、ステップS24における各選択項目(転送先,メインファイル,処理)の選択順序はいかなる順序であってもよい。また、転送するメインファイルとして選択可能なメインファイルは、ファイル格納部22に格納されたすべてのメインファイルとするが、選択したファイルが原本の場合、上記実行する処理として「ファイル(原本)を移動する(転送処理#1)」,「ファイル(原本)を移動しかつそのコピーを読み取り専用ファイル(複写ファイル)として保持する(転送処理#2)」,「ファイル(原本)を残し、そのコピーを読み取り専用ファイル(複写ファイル)として転送する(転送処理#3)」の中から選択可能とする。一方、選択したファイルが複写の場合、上記実行する処理として「ファイル(複写)を移動する(転送処理#4)」「ファイル(複写)を残し、そのコピーを読み取り専用ファイルとして転送する(転送処理#5)」のいずれかを選択可能とする。また、図10の表示例からもわかるように転送先をグループで指定すること(同一グループに属する全端末の一括指定)も可能である。
またファイル操作実行部13は、上記選択結果が示すメインファイルとメインファイルがDB24から参照するデータがある場合は、関連付けられている管理情報を基にDB24から当該データを抽出し中間ファイルを生成し、中間ファイルを生成した場合は管理情報を更新する。
上記選択結果の通知を受けたファイル操作実行部13は、まず、転送情報を作成する(ステップS25)。なお、図11は、転送情報の一例を示す図であり、転送情報は、メインファイルのファイル名,サイズ,種類,転送元(送信側端末の情報),転送先,属性(原本か複写かを示す情報)、型式(FILEかDBかを示す情報)などの情報からなる。ファイル操作実行部13は、ステップS24で選択された転送先の情報(転送先リスト内の対応する情報)を転送操作受付部12から取得し、また、プロファイルをプロファイル格納部26から読み出し、これらの転送先の情報およびプロファイルから必要な情報を抽出して転送情報を作成する。
ファイル操作実行部13は、転送情報を作成すると、次に、転送処理を実行する(ステップS26)。具体的には、上記選択結果が示すメインファイルをファイル格納部22から読み出す処理(複数のメインファイルを読み出す場合もある)、上記選択結果が示すメインファイルと関連付けられている管理情報を管理情報格納部23から読み出す処理、を行い、読み出したメインファイル、管理情報および上記生成した転送情報を一まとめにし、1つの転送ファイルとして、上記選択結果が示す転送先へ送信する。
また中間ファイルを作成した場合は中間ファイルを上記転送ファイルに含めて、上記選択結果が示す転送先へ送信する。
また中間ファイルを作成した場合、ファイル格納部から読みだしたメインファイルを転送しない場合中間ファイルをメインファイルとして上記転送ファイルに含めて、上記選択結果が示す転送先へ送信してもよい。つまりファイル格納部のファイルのみの場合、ファイル格納部のファイルとDBのデータが一緒の場合、DBのデータのみの場合の3通りの転送ができる。
なお、上記選択結果が示す転送先が複数の場合(上記ステップS24で複数の転送先が選択された場合)、ステップS25では、転送先毎に転送情報を作成する。すなわち、転送先1箇所につき1つの転送ファイルを作成する。また、複数のメインファイルを選択した場合、転送先はファイル毎に個別に選択可能である。この場合、メインファイル毎かつ転送先毎に転送情報を作成する。すなわち、メインファイルごとの転送先の合計数と同数の転送情報を作成する。また、ステップS26では、ステップS25で作成した転送情報と同数の転送ファイルを生成する。したがって、1つの転送ファイルには、メインファイル、管理情報および転送情報がそれぞれ1つずつ含まれることとなる。なお、複数のメインファイルを選択した場合、複数のメインファイルが同じ転送先であれば複数のメインファイルを1つにまとめた上で、転送先毎に転送情報を作成してもよい。この場合、1つの転送ファイルには、複数のメインファイルと管理情報および転送情報がそれぞれ1つずつ含まれることとなり、中間ファイルを作成した場合は複数の中間ファイルが含まれることになる。またファイル格納部から読みだしたメインファイルを転送しない場合は複数の中間ファイルのみをメインファイルとして1つにまとめた上で、転送先毎に転送情報を作成した転送ファイルでもよい。
ファイル操作実行部13は、転送ファイルの作成および送信を行うと、次に、転送履歴を作成する(ステップS27)。なお、既に作成した転送履歴が存在する場合には、それを更新する。このステップS27の動作を具体的に示すと、まず、上記生成した転送情報(図11参照)を利用し、それに含まれている転送元情報を削除するとともに送信日時情報を追加して図12に例示したような送信情報を生成する。そして、転送履歴が存在している場合、生成した送信情報を既存の転送履歴(転送履歴格納部25に格納されている転送履歴)に対して追加するとともに上記通知された選択結果が示す処理(移動処理か複製処理かの選択結果)の情報を追加して図13に例示したような転送履歴を作成(更新)する。一方、転送履歴が存在していない場合、生成した送信情報に上記通知された選択結果が示す処理の情報を追加し、それを転送履歴として転送履歴格納部25に格納する。
そして、上記通知された選択結果が示す処理がメインファイルの移動処理(メインファイルを転送後に削除する指示)ではない場合(ステップS28,No)、さらに、転送ファイルに含まれるメインファイルが原本かどうかを確認し(ステップS31)、原本ではない場合(ステップS31,No)、すなわち、上記転送処理#3、#4または#5が選択された場合、ファイル転送動作を終了する。一方、原本の場合(ステップS31,Yes)、すなわち、上記転送処理#2が選択された場合、メインファイルの格納領域を原本格納領域から複写格納領域に変更し(ステップS32)、属性の変更に伴い、管理情報格納部23の管理情報とDB24の更新を実行し(ステップS30)、ファイル転送動作を終了する。また、ステップS28において、選択結果が示す処理が移動処理であると判断した場合には(ステップS28,Yes)、上記ステップS26にて送信したメインファイルをファイル格納部22(より詳細には原本格納領域)から削除し(ステップS29)、さらに、削除したメインファイルと関連付けられている管理情報を管理情報格納部23から削除する処理、および対応するデータをDB24から削除する処理を実行し(ステップS30)、ファイル転送動作を終了する。
なお、以上の説明では、選択結果が示す処理が移動処理である場合において、送信側端末のメインファイルおよび当該メインファイルに対応づけられている管理情報を、それぞれの格納場所から削除する処理を行なうように記載したが、これらを削除せずに、メインファイルに対応づけられた属性情報を原本から複写に変更して、システムにおいて、リードオンリーの取扱いをするようにしてもよい(原本格納領域から複写格納領域への移動)。
図14−1および図14−2は、ファイル転送を行う受信側端末の処理手順の一例を示したフローチャートである。これらに基づいて受信側端末の詳細動作を説明する。
受信側端末は、図14−1に示した手順で常にアクセス監視を行っている。この動作はアクセス監視部14が行う動作であり、具体的には、他の端末からのアクセスがあったかどうか、より詳細にはプロファイル要求があったかどうか(上述した送信側端末からプロファイル要求を受信したかどうか)を監視し(ステップS41)、プロファイル要求があった場合(ステップS41,Yes)、プロファイル格納部26からプロファイルを読み出し、要求元の端末(送信側端末)へ送信する(ステップS42)。プロファイルを送信した後は、ステップS41に遷移してアクセス監視を継続する。一方、プロファイル要求が無い場合(ステップS41,No)、プロファイルを送信せずにステップS41に遷移してアクセス監視を継続する。
なお、上記ステップS42では、必要に応じて隠し共有フォルダ(受信ファイル格納部28)のパスの情報も併せて送信する。たとえば、受信側端末が、セキュリティ強化のためなどの理由により隠し共有フォルダのパスを定期的または不定期に変更するような動作を行う場合には、プロファイルと一緒に(またはプロファイルに含めて)パスの情報を送信する。ステップS42で共有フォルダのパスの情報を送信しない場合、各受信側端末では、「装置名+共通文字列」という構成の固定のパスを使用することとして、「装置名」以外の部分を共通化する。ここで、「装置名」は受信側端末の識別情報であり、図8を用いて既に説明したように、送信側端末は受信側端末からプロファイルを受信することによりこの情報(装置名)を取得可能である(図9−1,図9−2参照)。
また、受信側端末は、図14−1で示したアクセス監視動作と並行して、図14−2に示したファイル受信動作、より詳細には、送信側端末から転送ファイル(上述した、メインファイル、管理情報および転送情報を一まとめにして生成されたファイル)が送信されてきたかどうかを監視し、送信されてきた場合には、送信されてきた転送ファイル内のメインファイルをファイル格納部22へ格納する処理およびそれに関連する処理を実行する。
具体的には、ファイル管理部16が、隠し共有フォルダ(受信ファイル格納部28)に送信側端末から受信した転送ファイルが格納されていないかどうかを定期的に確認することにより、転送ファイルを受信したかどうかを監視する。受信ファイル格納部28に転送ファイルが格納されていなければ(ステップS51,No)、監視を継続する。なお、送信側端末から転送ファイルを受信し、それを受信ファイル格納部28へ格納する処理はファイル受信部15が行う。一方、転送ファイルが格納されている場合には(ステップS51,Yes)、受信ファイル格納部28から転送ファイルを1つ取り出し、取り出した転送ファイルを解析して受信履歴を作成する(ステップS52、S53)。なお、既に作成した受信履歴が存在する場合には、それを更新する。受信履歴の作成動作をより詳細に示すと、まず、転送ファイルに含まれている転送情報(図11参照)を利用し、この転送情報から転送先情報を削除するとともに受信日時(転送ファイルが受信ファイル格納部28に格納されていることを検出した日時の情報)を追加して図15に例示したような受信情報を生成する。そして、受信履歴が存在している場合、生成した受信情報を既存の受信履歴(受信履歴格納部27に格納されている受信履歴)に対して追加して図16に例示したような受信履歴を作成(更新)する。一方、受信履歴が存在していない場合、生成した受信情報を受信履歴として受信履歴格納部27に格納する。
ファイル管理部16は、次に、上記取り出した転送ファイルに含まれる情報に基づいて、ファイル格納部22、管理情報格納部23およびDB24を更新する(ステップS54)。図17は、ステップS54で実行する処理(管理情報格納部23およびDB24の更新処理)の一例を示したフローチャートである。図17に例示した手順でステップS54における更新処理を行う場合、ファイル管理部16は、まず、更新する内容が管理情報内の型式から「FILE」(ファイル格納部22)の更新なのか「DB」(DB24)の更新なのかの判断を行い、管理情報の型式がDBであれば、つまり中間ファイルを作成した場合は転送ファイルに含まれる中間ファイルから管理情報を基にデータを抽出することによりDB24を更新し(ステップS61)、次に、管理情報を管理情報格納部23へ格納することにより管理情報格納部23を更新する(ステップS62)。さらに、必要に応じて(管理情報内の型式がFILEつまりファイル格納部22の更新の場合)、メインファイルをファイル格納部22へ格納することによりファイル格納部22を更新する(ステップS63)。またメインファイルに関する中間ファイルが存在する場合は、メインファイルと一緒にファイル格納部へ中間ファイルを格納(不可視の状態)してもよいし、削除してもよい。このステップS63の処理をより詳細に説明すると、ファイル管理部16は、管理情報に基づいてメインファイルが原本かどうかを特定し、すなわち、管理情報内の属性が「原本」かどうかを確認し、原本であれば原本格納領域(特定アプリケーションに対してフルアクセスが許可されている領域)にこのメインファイルを格納し、複写であれば複写格納領域(特定アプリケーションに対して読み取り専用アクセスが許可されている領域)に格納する。ただし、ファイル格納部22内(原本格納領域または複写格納領域)に既に同じメインファイル(原本ファイルまたは複写ファイル)が存在する場合、ファイル格納部22がメインファイルの属性を判断して処理を実行する。つまり、転送ファイルに含まれていたメインファイルが複写ファイルでありかつその原本ファイルがファイル格納部22(原本格納領域)に格納されている場合、新たに取得した複写ファイルを破棄する。また、メインファイルが複写ファイルでありかつ同じ複写ファイルがファイル格納部22(複写格納領域)に格納されている場合には、元々格納されていた複写ファイルを消去し、新たに取得した複写ファイルを格納してもよいし、元々格納されていた複写ファイルを保持し続けることとし、新たに取得した複写ファイルを破棄してもよい。また、この場合、元々格納されていた複写ファイルを保持し続けることとした上で、新たに取得した複写ファイルも格納し、これらの複写ファイルを作成した年月日および時間で、新旧の状態が判別できるように、管理しても良い。また、原本ファイルを原本格納領域に格納した場合には、このファイルの複写ファイルが複写格納領域にそれまで格納されていたかどうかを確認し、格納されていた場合、その複写ファイルを消去する。
上記ステップS61におけるDB24の更新動作について、図18−1,図18−2,図18−3,図18−4を用いてさらに詳しく説明する。図18−1,図18−2,図18−3,図18−4は、送信側端末および受信側端末が扱う各種情報の関係を示した図であり、図18−1は、転送処理実行前の<送信側管理情報格納部>,<送信側ファイル格納部>,<送信側DB>が送信側端末で管理されている情報、図18−2は、<管理情報>,<メインファイル>,<中間ファイル>が転送ファイルの構成、図18−3は、転送処理実行前の<受信側管理情報格納部>,<受信側ファイル格納部>,<受信側DB>が受信側端末で管理されている情報、図18−4は、転送処理実行後の<受信側管理情報格納部>,<受信側ファイル格納部>,<受信側DB>が受信側端末で管理され、上記ステップS61で更新される情報である。
なお、図18−1に示した管理情報格納部の管理情報は、図2の管理情報格納部23に格納された管理情報に対応するものであって、図3に示した登録ファイル管理情報や、図4に示した登録会社管理情報を、併せて示すように見せているが、これに限られるものではなく、一部が省略されていてもよいし、新たな情報が付加されていても構わない(図18−3の管理情報格納部についても、図5との関係において同様)。
図示したように、送信側端末では「管理コード」、「登録会社コード」を用いて、送信側DB(送信側端末のDB24)内の情報テーブル、管理情報格納部の情報、ファイル格納部の情報を関連づけて管理している(図18−1)。
ここで、転送ファイルを生成する際には、図18−1に示した構成を利用して、DBからデータを抽出して、抽出データ(中間ファイル)を生成したうえで、メインファイルを(ファイル格納部から抽出して)生成すると共に、管理情報を生成する(図18−2)。ここで管理情報を生成するにあたっては、18−1の送信側管理情報格納部から必要な情報(管理情報の各構成要素に対応する情報)を抽出してもよいし、「管理コード」や「登録会社コード」をキーとして送信側ファイル格納部からファイルの情報および必要に応じて送信側DBからデータを抽出するようにしてもよい。
このように、「管理コード」、「登録会社コード」を用いて、抽出データ(中間ファイル)とファイル(メインファイル)および管理情報、とを関連付けて管理しているので、受信側端末に対して、ファイル(データ)の格納に必要な情報を提供することができる。
なお、ファイル(あるいはDB内のデータ)を、「管理コード」、「登録会社コード」で関連付けるようにして、1つのテーブル(管理情報)で管理することで、特定アプリケーションで生成した、ファイル格納部22に格納されているファイルまたはDB24に格納されているデータと、PDFファイルや、Windows(登録商標)システム等の各種ファイルとを、同列の情報として扱うことができるという効果も備えている。
ここで、送信側端末および受信側端末は、説明をわかり易くするための呼称であり、実際には同じ構成(送信側端末は受信側端末としても動作する。逆も同じ)であるから、受信側端末おける各種情報の管理方法も、送信側端末と同じである。したがって、受信側端末は、ファイル管理部が管理情報を基に更新対象(ファイル格納部22またはDB24)を判断し、受信側DB(受信側端末のDB24)を更新する場合、まず、受信した転送ファイル(図18−2)から中間ファイルが存在する場合は中間ファイル、メインファイルと管理情報を抽出し、管理情報の「登録会社コード」をキーとしてDB24の更新箇所を特定する。次に、メインファイルまたは中間ファイルが存在する場合は中間ファイルに含まれる各種データ(図18−1,図18−2,図18−3,図18−4の例では、種類,決算年月日,年度,…)を抽出し、抽出したデータを前記特定した更新箇所へ登録することにより、DB24を更新する。なお、受信側端末は、受信した転送ファイル内の管理情報に含まれている登録会社コードと同じ値の登録会社コードがDB24に未登録である場合、受信した登録会社コードをDB24に登録し、さらに、メインファイルまたは中間ファイルが存在する場合は中間ファイルから抽出したデータを登録する(図18−4)。
このような一連の処理の結果、転送前には、図18−3に示した受信側端末の管理情報格納部およびDBおよびファイル格納部の構成であったものが、図18−4のように変化していることがわかる。
また、ファイル管理部16は、上記ステップS51で転送ファイルを複数検出した場合には、検出したすべての転送ファイルを対象として、上述したステップS52〜S54の処理を繰り返し実行する。検出したすべての転送ファイルについての処理が終了すると、ステップS51に遷移して監視動作を継続する。また、フローチャートには示していないが、受信履歴の作成(または更新)が完了した後の所定のタイミングにおいて、図19に例示した各情報(ファイル名、受信日時などの情報)を所定の画面表示フォーマットにて表示部3へ表示させ、転送ファイルを受信した旨をユーザに通知するようにしてもよい。受信ファイル格納部28に複数の転送ファイルが格納されている場合(上記ステップS51で転送ファイルを複数検出する場合)もあるため、ユーザへの通知は、受信ファイル格納部28に格納されているすべての転送ファイルに対して上記のステップS52〜S54の処理を実行した後に行うのが望ましい。
このように、本実施例では、ファイル転送を行う送信側端末は、転送先(受信側端末)として選択可能な他の端末の監視を継続的に行って転送先として選択可能な端末のリスト(転送先リスト)の作成および更新を行い、ユーザによりファイル転送の指示(操作)が行われ、転送するファイルおよび転送先が選択された場合には、選択結果が示すファイルを、その付加情報とともに、選択された転送先へ送信し、一方、転送先として選択された端末(受信側端末)は、送信側端末からファイルおよび付加情報を受信した場合、それらに基づいて、自端末内のデータベースを更新することとした。また、ファイルの受け渡しは、隠し共有フォルダを介して行うこととした。これにより、FTPサーバを利用することなく、クライアント端末同士が直接ファイルを送受信できる。また、ファイル転送を安全に行うことができる。
さらに、受信側端末は、受信したメインファイルをファイル格納部22へ格納する場合、メインファイルの種別に応じた格納先(フォルダ)へ格納するので、受信したメインファイルの種別等をユーザが確認し、正しい格納先へ格納する、などの操作が不要となり、ファイル管理の際の煩わしさを低減できる。また、本来格納すべき格納先と異なる格納先へ格納してしまうなどの人為的なミスを防止できる。
なお、本実施例では、ファイル管理部16が受信ファイル格納部28を定期的に確認することにより、転送ファイルを受信したかどうかを監視する構成について説明したが、ファイル管理部16は、ファイル受信部15を確認することにより転送ファイルの受信の有無を監視する構成としてもよい。また、ファイル受信部15が、転送ファイルを受信したことをファイル管理部16へ通知し、ファイル管理部16は、ファイル受信部15から通知を受けた場合に受信ファイル格納部28にアクセスする構成としてもよい。
つづいて、実施例2について説明する。実施例1では、ファイル転送で利用する隠し共有フォルダ(受信ファイル格納部28)を受信側端末が予め作成しておくものとして説明を行ったが、本実施例では、必要に応じて隠し共有フォルダを作成する、すなわち、受信側端末が、ファイル転送が実行される直前に(送信側端末からファイル転送の要求を受けた場合に)隠し共有フォルダを作成するファイル転送方法について説明する。
図20は、実施例2の受信側端末の構成例を示す図である。本実施例の受信側端末は、実施例1の受信側端末(図5参照)に対して受信ファイル格納領域管理部17が追加された構成をとる。なお、その他の構成要素については実施例1の受信側端末と同じであるため、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施例の受信側端末が備える受信ファイル格納領域管理部17は、アクセス監視部14経由で、送信側端末からファイル転送を開始する旨の通知を受けると、記憶部2内に受信ファイル格納部28(隠し共有フォルダ)を生成する。また、ファイル転送が終了すると受信ファイル格納部28を消去する。受信ファイル格納部28は、予め確保しておいた領域に生成するようにしてもよいし、通知を受けた時点での未使用領域を利用して生成するようにしてもよい。
図21は、実施例2のファイル転送動作の概要を示すフローチャートである。なお、実施例1のファイル転送動作と重複する部分が存在する(同じ処理が含まれる)ため、実施例1のファイル転送動作の概要を示したフローチャート(図6)に含まれている処理と同じ処理には同じステップ番号を付して説明を省略する。すなわち、本実施例のファイル転送では、上述したステップS1およびS2に相当する処理は実行せずに、代わりにステップS6、S7およびS8を実行する。ステップS6では、ファイルの転送元(送信側端末)が、転送先(受信側端末)に対して、ファイル転送の開始を通知する。なお、転送先が複数の場合、すべての転送先に対して通知を行う。ステップS7では、ファイル転送の開始通知を受けた転送先が、隠し共有フォルダを作成する。また、作成終了後、受信の準備が整った旨を転送元に対して通知する。受信の準備が整った旨の通知を受けた転送元は、実施例1で既に説明した処理を実行してファイルを送信する。なお、転送先が複数の場合、すべての転送先から受信の準備が整った旨の通知を受けた後にファイルを送信してもよいし、すべての転送先からの応答を待つことなく、受信の準備が整った旨の通知をしてきた転送先から順番にファイルを送信してもよい。転送先では、転送されてきたファイルの受信処理が終了すると、ステップS8として、上記ステップS7で生成した隠し共有フォルダを消去する処理を実行する。
図22は、実施例2のファイル転送を行う送信側端末の処理手順の一例を示したフローチャートであり、実施例1で説明した図8のフローチャートに対してステップS33およびS34が追加されたものである。ここでは、実施例1のフローチャートには含まれていないステップS33およびS34について説明する。
ステップS33では、その前に実行されるステップS24にて選択された転送先(受信側端末)に対して、ファイル操作実行部13が、ファイル転送を開始する旨を通知して隠し共有フォルダを生成させるための転送実行要求を送信する。また、ステップS34では、ステップS33で送信した転送実行要求に対する応答(受信側端末での隠し共有フォルダの生成が終了し、転送ファイルを受信する準備が整った旨を示す準備完了通知)を受信する。
図23は、実施例2のファイル転送を行う受信側端末の処理手順の一例を示したフローチャートであり、実施例1で説明した図14−2の各処理(ステップS51〜S54)の前にステップS56〜S58が追加され、また、ステップS54の後にステップS59が追加されたものである。ここでは、実施例1のフローチャートには含まれていないステップS56〜S59について説明する。なお、図示は省略したが、本実施例の受信側端末は、実施例の1受信側端末と同様に、図14−1に示した手順を実行して常にアクセス監視を行っているものとする。
図23に示したように、本実施例の受信側端末では、転送側端末から転送実行要求が送信されてきたかどうかを監視する(ステップS56)。なお、この監視動作はアクセス監視部14が行う。転送実行要求が送信されてこなければ監視を継続する(ステップS56,No)。一方、転送実行要求が送信されてきた場合には(ステップS56,Yes)、その旨が受信ファイル格納領域管理部17に通知され、通知を受けた受信ファイル格納領域管理部17は、記憶部2内に隠し共有フォルダ(受信ファイル格納部28)を生成する(ステップS57)。そして、隠し共有フォルダの生成が完了すると、その旨が受信ファイル格納領域管理部17からアクセス監視部14に通知され、アクセス監視部14は、受信準備が完了した旨を、上記転送実行要求の送信元に対して返送する。その後、実施例1で説明したファイル受信動作が実行され、ステップS54の処理が終了すると、その旨がファイル管理部16から受信ファイル格納領域管理部17に通知される。そして、通知を受けた受信ファイル格納領域管理部17は、上記ステップS57で作成した隠し共有フォルダ(受信ファイル格納部28)を消去する(ステップS59)。
なお、図20では、受信ファイル格納領域管理部17とアクセス監視部14が独立した構成例について示したが、受信ファイル格納領域管理部17の機能をアクセス監視部14が有する構成(アクセス監視部14が隠し共有フォルダの管理も行う構成)としてもよい。
また、上記ステップS57で隠し共有フォルダを作成するにあたり、そのパス設定が毎回異なるように制御を行い、ステップS58では、生成した隠し共有フォルダのパスの情報とともに(またはパスの情報を含ませた)準備完了通知を送信するようにしてもよい。このようにすることにより、セキュリティを向上させることができる。あるいは、受信側端末でも、プロファイルを取得する処理を行い、転送先となりうる端末を認識して転送先リストを生成し、転送先リストに存在する端末に対してだけ、隠し共有フォルダのパスの情報を通知するようにすれば、さらにセキュリティを向上させることが可能となる。
なお、これまでは、ファイルの転送先の端末(受信側端末)が隠し共有ファイルを生成し、それを利用してファイル転送を行う場合の例について説明したが、これとは逆に、ファイル転送元の端末が隠し共有フォルダを生成してそこに転送ファイルを格納しておき、この隠し共有フォルダの情報を各転送先の端末に対して通知し、転送先の端末が、通知された隠し共有フォルダにアクセスして転送ファイルを取得するような手法を用いた場合にも端末同士で転送ファイルの受け渡しができる。
また、送信側端末では、図24に示したような動作を行うことにより、ユーザの利便性および動作状況や操作状況の視認性を向上させることができる。図24は、転送するファイルの選択画面の一例を示しており、ファイル選択以外の選択操作(転送先の選択および処理の選択)が終了しておりかつファイルが1件も選択されていない場合には「ファイル転送(受信)」アイコンを表示させて、他の端末から転送ファイルが送られてくるのを待っている状態であることを通知する(表示状態1)。その後、1つ目のファイルが選択されると、ファイル転送を行うために必要な情報がすべて揃ったと判断して、「ファイル転送(受信)」アイコンを「ファイル転送(送信)」アイコンに切り換える(表示状態2)。また、図25に示したように、「ファイル転送(受信)」および「ファイル転送(送信)」の双方のアイコンを表示させる領域を確保しておき、通常は、両アイコンとも、ディスエーブル(非表示)状態とし、隠し共有フォルダに転送ファイルが格納されていることを検出した時点で「ファイル転送(受信)」アイコンをイネーブルとし、また、転送先および処理の選択が終了している状態でさらに1つ目のファイルが選択されたタイミング(上記の表示状態1が表示状態2に変化するタイミング)で「ファイル転送(送信)」アイコンをイネーブルとするようにしてもよい。
なお、これまでの説明では、隠し共有フォルダのアクセス権限管理方法については示さなかった(制限を設けずにフルアクセスとして説明を行った)が、一部の端末のみにアクセスを許可するようにしてもよい。たとえば、ファイル転送機能を有している他の端末についてのみ隠し共有フォルダへのアクセスを許可する。このような管理は、たとえば、受信側端末でも、プロファイルを取得する処理を行い、転送先となりうる端末を認識して転送先リストを生成し、転送先リストを利用し、転送先リストに登録されている端末からのアクセスのみを許可することにより実現できる。これにより、さらにセキュリティを向上させることが可能となる。
また、受信ファイル格納部28の領域の情報は、端末間において、予め、共通のアルゴリズムによって知ることができるようにしてもよいし、受信側端末から送信側端末に通知することとしてもよいし、あるいは、自端末へのファイル送信を許可する端末に対してのみ通知されるようにしてもよい。
また、送信側端末により生成されて受信側端末へ送信される転送情報に送信側端末のユーザが受信側端末のユーザに向けたメッセージやメモなどを含められるように構成してもよい。すなわち、送信側端末では、上述したステップS24でこれらのメッセージやメモの入力を受け付け、それらを含んだ転送情報をステップS25で作成する。この場合、受信側端末では、図19で例示したユーザへの通知画面を用いて、送信側端末から受信したメッセージやメモを通知する。
このように、本実施例のファイル転送では、受信側端末(ファイルの転送先の端末)は、送信側端末(ファイルの送信元の端末)からファイルの転送要求を受けた場合に隠し共有フォルダを作成し、ファイルの受信処理が終了すると、隠し共有フォルダを消去することとした。これにより、実施例1と同様の効果が得られるとともに実施例1と比較してセキュアなシステムを実現できる。