JP2010121286A - 鉄骨構造物の建方工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 安全に効率よくスライド移動が可能な鉄骨構造物の建方工法を提供すること。
【解決手段】 既存施設1a上空に掛け渡される上空ブロック1bを所定階以上に有する鉄骨構造物1を構築する建方工法において、(1)独立柱設置工程、(2)発進構台構築工程、(3)架構体組立工程、(4)架構体移動工程、(5)架構体増設工程、(6)増設・移動工程、(7)柱接合工程、(8)梁盛替工程、の各工程を順次行って、鉄骨構造物1の一部のブロックを発進構台3として先行構築し、この発進構台3の所定階の床22上の移動方向前端付近にスライド移動手段6を設置し、その上に移動架構体4を架構し、このスライド移動手段6で移動架構体4の下方を把持して移動させることにより鉄骨構造物1を構築する。
【選択図】 図11

Description

この発明は、鉄骨構造物の建方工法に関するものであり、既設のプラットホーム等の既存施設上空に駅ビルのプロムナード等の鉄骨構造物の人工地盤を架設する場合などに好適に適用される。
列車や車が運行している駅のプラットホームや高速道路などの稼動中の既存施設上空に鉄骨構造物を掛け渡すような場合、中でも、列車が運行しているプラットホームや線路上空に鉄骨構造物を構築する場合には、列車の運行を優先させて危険を伴う工事などを列車の運行時間外にしなければならないなど様々な制約を受ける。特に、都市近郊の駅周辺では、搬入路に制限があり三方塞がりや四方塞がりの場所や狭隘空間での作業が珍しくなく、その上、列車の運行時間外となる時間が短いなど鉄骨構造物の建方において揚重装置の設置、鋼材の搬入・揚重などに様々な制約が伴うという問題がある。また、変電所からの饋電線への通電を一度停止してしまうと、立ち上げるのに30分程度の時間を要し、その立ち上げ時間を含めて列車の運行時間外に作業を終了しなければならない。このため、この饋電線への通電を停止できる饋電停止可能時間は、都市近郊においては90分程度しかなく、この短い作業可能時間内に、電線等を盛り替え・養生したり、クレーンなどの揚重装置を搬入・設置したりした後、建方工事を遂行し、最後に盛り替えた電線等を復旧させなければならないという問題もある。
従来、このような既存施設上空に構築する鉄骨構造物の建方などには、揚重装置としてタワークレーンや自走式の油圧クレーン等が用いられている。しかし、タワークレーンを設置するには、設置箇所の周辺において、タワークレーンの組立部材等の搬出入の経路、及び組払しのためのスペース(組払しヤード)が必要となる。近年、都市近郊の駅周辺においては、タワークレーンの設置に必要なこの組払しヤードやクレーンの組立部材の搬出入の経路を確保することが非常に困難であり、大型のタワークレーンをそもそも設置することができないという問題がある。そのため、鉄骨構造物の建設箇所全域をカバーするタワークレーンが設置できず、鉄骨構造物の建方工事自体が困難となっている。また、タワークレーンを使用する場合には、先ず土台となる基礎等を設計し、その申請及び許可の手続を経て基礎等を施工し、その上にタワークレーンを組み立てなければならないため、計画から使用開始まで時間がかかってしまうという問題もある。
また、自走式の油圧クレーンでも、クローラクレーンなどの組立式のクレーンでは、前記タワークレーンと同様に、組払しヤードやクレーン部材の搬入路などを確保する必要があるし、軌陸両用のクレーンでは、駅構外の比較的スペースのある場所から線路上にクレーンを進入させ、鉄骨構造物を架構する場所の近くまでクレーンを移動して、線路構内の軌道間にクレーンを設置することはできるものの、その場合でも鋼材を吊り下げて建方を行う関係上、ブームの旋回範囲内のトロリー線などの架線を移設又は盛り替えする工事を行わなければならないという問題がある。そして、架線を盛り替える場合には、そのために夜間などの列車運行時間外に行う建方工事毎に電気工事の担当者や見張り員を更に動員しなければならない。その上、クレーン設置場所には、アウトリガーをクレーン本体外側に張り出して設置地盤の反力を得る関係上、広範囲に亘って線路の覆工及びその撤去工事を行わなければならず、ただでさえ短い作業可能時間内に建方工事以外の工事に時間と手間を費やさなければならないという問題がある。また、タワークレーンや自走式クレーンにしろ、いずれも既存施設が使われていない夜間に重量物である鉄骨部材を揚重・旋回して組み立てるなどの建方作業を行うことは、高所作業ともなり非常に危険であり、安全上極力避けたいという要請もある。
このような問題を解決するべく、本願出願人らは、線路上空構造物の構築方法及びその装置として、鉄骨構造物の本節の1節柱を全て立設し、その一端側に構築した本設の端部架構の上で、上部構造部の適宜長さのブロックを組立てる工程と、組立てられたブロックを他端側へスライドさせる工程と、スライドしたブロックに次のブロックを組み立てて接続する工程を順次繰り返し、端部架構から他端側へ迫り出した上部構造を他端側の1節柱で支承しつつスライドさせ、上部構造が所定の据え付け位置に達すると、上部構造をリフトダウンさせて上部構造の2節柱を1節柱に接合し、1節床版を正規の取付位置までリフトダウンさせて1節柱に接合する鉄骨構造物の建方工法及びその装置を提案した(特許文献1の図3参照)。
しかし、特許文献1に記載の鉄骨構造物の建方工法及びその装置では、移動させるブロックの後端部にスライド装置取り付け用の梁を設け、その梁の下にスライド装置を設置して移動させているので、ブロックを増設する度に、取り付け用の梁を盛り替えたり、スライド装置をセットし直したりしなければならす、連続して移動させることができず作業効率が悪いという問題があった。そのため、1饋電停止時間内にこれらを行いながら上部構造をスライド移動できる最大スパン長は、20m程度が限界となっていた。また、スライド装置もリンクチェーンやPCケーブル、ワイヤロープなどの牽引索体で引っ張るものであったため、装置の故障や地震の発生などの突発事故でスライド移動を停止する際に直ぐには止めることができず、危険であるという問題もあった。
特開2005−036485号公報
そこでこの発明は、前記従来の技術の問題を解決し、大型の揚重装置の設置が困難である狭隘な建設現場においても駅のプラットホームなどの既存施設上空に鉄骨構造物を構築することができ、且つ、安全に効率よくスライド移動が可能な鉄骨構造物の建方工法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、既存施設上空に掛け渡される上空ブロックを所定階以上に有する鉄骨構造物を構築する鉄骨構造物の建方工法であって、前記上空ブロックの下方となる前記既存施設内の所定エリアにおいて、前記鉄骨構造物の1節目から前記所定階の床高を頂部が越える節までの柱を複数本、間隔をおいて独立柱として立設する独立柱設置工程と、前記所定エリア外において、前記鉄骨構造物の一部及び/又は仮設の鉄骨構造物を前記所定階直下の梁まで架構し、前記所定階の床のコンクリートを打設して発進構台を構築する発進構台構築工程と、該発進構台の前記所定階の床上の移動方向前端付近にスライド移動手段を設置すると共に、このスライド移動手段の上方、且つ、前記発進構台上において、前記所定エリア上空に設置する前記上空ブロックの一部を前記発進構台より遠い方から所定スパン分だけ移動架構体として組み立て、組み立てた移動架構体の下方に位置する前記所定階直下の複数の梁を当該移動架構体の最下層の複数の柱下部間に取り付ける架構体組立工程と、前記移動架構体の下方に設置した前記スライド移動手段により前記移動架構体を前記発進構台から前記既存施設上空に略水平に迫り出して所定スパンだけ所定の方向にスライド移動させる架構体移動工程と、前記発進構台上において、前記架構体移動工程により移動させた前記移動架構体の移動方向後端側に前記上空ブロックの一部を次の架構体移動工程の移動スパン分だけ増設すると共に、この増設スパン下方に位置する前記所定階直下の複数の梁を当該増設スパンの最下層の複数の柱下部間に取り付ける架構体増設工程と、前記架構体増設工程と前記架構体移動工程とを必要に応じて繰り返し、前記移動架構体を増設しながら最終取付位置まで移動させて前記上空ブロックを架構する増設・移動工程と、該増設・移動工程において架構した前記上空ブロックの最下層の複数の柱を前記複数の独立柱の上部と接合する柱接合工程と、前記移動架構体の最下層の複数の柱下部間に取り付けた前記所定階直下の複数の梁を最終取付高さに盛り替える梁盛替工程と、を有することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、スライド移動手段は、水平ジャッキと、該水平ジャッキ先端に取り付けられた形鋼クランプとを有することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2において、水平ジャッキは、発進構台の所定階の床上に設置された反力架台に連結され、形鋼クランプは、移動架構体の最下層に取り付けられた形鋼を把持するようにセットされていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3において、架構体移動工程において、スライド移動手段は、形鋼クランプを作動させて移動架構体の最下層に取り付けられた形鋼を把持している最中に水平ジャッキを引っ張り動作させ、この水平ジャッキで引っ張ることにより移動架構体をスライド移動させることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかにおいて、スライド移動手段を移動方向に沿って少なくとも2台以上直列に設置し、架構体移動工程において、これら直列に設置した複数のスライド移動手段の動作を所定時間だけずらして作動させ、移動架構体を連続移動させることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5において、架構体移動工程において、移動架構体の移動開始時には、直列に設置した複数の移動手段を同時に作動させ、移動架構体が動き始めたら直列に配置した複数の移動手段の動作を所定時間だけずらして作動させることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかにおいて、架構体移動工程において、移動架構体を所定スパンだけスライド移動させた後、次の架構体移動工程まで仮止め冶具により独立柱の柱に移動架構体を仮固定することを特徴とすることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7において、仮止め冶具は、棒材と、該棒材の両端に自在継手を介して取り付けられた油圧クランプと、からなることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8において、独立柱設置工程において、独立柱の梁接合ブラケットに仮止め冶具の一端を取り付けてから独立柱の建方を行うことを特徴とする。
この発明は、前記のようであって、請求項1に記載の発明によれば、発進構台の所定階の床上の移動方向前端付近にスライド移動手段を設置するので、移動架構体を増設する度に、スライド移動手段取り付け用の梁を盛り替えたり、スライド移動手段をセットし直したりする必要がなく、作業手間を省いて安全に効率よくスライド移動させることができる。そのため、1饋電停止時間内に移動架構体を移動させることのできる距離が伸び、大幅に工期を短縮して、建設費のコストダウンを達成することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1において、スライド移動手段は、水平ジャッキと、該水平ジャッキ先端に取り付けられた形鋼クランプとを有するので、前記効果に加え、形鋼クランプで移動架構体を確実に把持しながら水平ジャッキで移動架構体をスライド移動させることができ、移動させている際には必ず形鋼クランプで移動架構体を掴んでいるので移動架構体の逸走防止を図ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2において、水平ジャッキは、発進構台の所定階の床上に設置された反力架台に連結され、形鋼クランプは、移動架構体の最下層に取り付けられた形鋼を把持するようにセットされているので、前記効果に加え、移動架構体の下方にスライド移動手段をセットして、上方の移動架構体をスライド移動させることが容易にでき、限られた発進構台のスペースを有効利用することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3において、架構体移動工程において、スライド移動手段は、形鋼クランプを作動させて移動架構体の最下層に取り付けられた形鋼を把持している最中に水平ジャッキを引っ張り動作させ、この水平ジャッキで引っ張ることにより移動架構体をスライド移動させるので、即ち、一般的に水平ジャッキの押し動作より能力が大きい引っ張り動作において移動架構体をスライド移動させので、前記効果に加え、水平ジャッキの能力を最大限に発揮してスライド移動させることができる。そのため、移動させる移動架構体の重量あたりのスライド移動手段の能力、大きさ、数等を抑えて、スライド移動手段のコストパフォーマンスを最大限にすることができ、建設コストを削減することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかにおいて、スライド移動手段を移動方向に沿って少なくとも2台以上直列に設置し、架構体移動工程において、これら直列に設置した複数のスライド移動手段の動作を所定時間だけずらして作動させ、移動架構体を連続移動させるので、つまり、必ず、いずれかのスライド移動手段で移動架構体をスライド移動させていることになるので、前記効果に加え、移動架構体を連続移動させることが可能となり、1饋電停止時間内に移動架構体を移動させることのできる距離が飛躍的に伸び、更に大幅に工期を短縮して、建設費のコストダウンを達成することができる。また、いずれかのスライド移動手段で移動架構体を把持していることになるので、停電や地震などの突発的な事故が起きたような場合であっても直ぐに移動架構体を停止させることができ、移動架構体の逸走を未然に防ぐことができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項5において、架構体移動工程において、移動架構体の移動開始時には、直列に設置した複数の移動手段を同時に作動させ、移動架構体が動き始めたら直列に配置した複数の移動手段の動作を所定時間だけずらして作動させるので、即ち、物体を移動させる場合に一番力が必要となる移動開始時に全ての移動手段を作動させ、慣性力が付いたら時間差の相互運転とするので、前記効果に加え、移動架構体の連続移動を実現しつつ、スライド移動手段のコストパフォーマンスを更に向上させることができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項1ないし6のいずれかにおいて、架構体移動工程において、移動架構体を所定スパンだけスライド移動させた後、次の架構体移動工程まで仮止め冶具により独立柱の柱に移動架構体を仮固定するので、前記効果に加え、建方工事期間中に突風が吹いたり大地震が発生したりするような極稀な場合であっても、建方途中の鉄骨構造物の移動架構体が逸走したり逸脱したりして所定の位置からズレないようにすることができ、安全性を向上させることができる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項7において、仮止め冶具は、棒材と、該棒材の両端に自在継手を介して取り付けられた油圧クランプと、からなるので、前記効果に加え、移動架構体の移動途中の任意の位置で仮止め固定が可能となり、大地震の際だけでなく、移動手段が故障したり、作業現場が停電したりするような突発的な事故が発生した場合であっても、安全にその移動途中の任意の位置で仮止め固定することができ、更に、安全性が向上する。また、油圧クランプで留め付けるという簡単な作業だけなので、作業効率の向上、作業時間の短縮を図ることができる。
請求項9に記載の発明によれば、請求項7又は8において、独立柱設置工程において、独立柱の梁接合ブラケットに仮止め冶具の一端を取り付けてから独立柱の建方を行うので、前記効果に加え、架構体移動工程終了後などに行うホイスト等の別途の揚重装置のセット作業や仮止め冶具の揚重作業を省略して、独立柱の建方時に一度に行うことができる。このため、作業工数を削減して作業効率を向上させることができる。
この発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
[鉄骨構造物]
先ず、本発明の実施の形態に係る鉄骨構造物の建方工法が適用される鉄骨構造物について図1及び図2を用いて説明する。
図1は、既存施設上空に掛け渡される上空ブロックを所定階以上に有する鉄骨構造物の一例として挙げる鉄骨構造物の概略構成を示す立面図、図2は、図1の鉄骨構造物の概略構成を示す平面図である。鉄骨構造物1は、既存の駅のホーム上に構築するS造のラーメン構造からなる駅ビル間に掛け渡されるプロムナードであり、図1、2で示すように、桁行き方向(長手方向)が1〜8通りの7スパン、梁間方向(短手方向)がA〜C通りの2スパンからなる平面形状が略円弧状の多角形(A〜C通りは円弧状であるが梁は円弧状ではなく直線状)となった3階建ての建物である。つまり、1〜8通りは放射線状に広がり、A〜C通りは円弧状となっている(図2参照)。この鉄骨構造物1は、1階部分が既存施設の一例として示す駅のプラットホーム1aとなっており、その上空の2階以上に駅ビルのプロムナードとなる上空ブロック1bが掛け渡された構造物である。なお、この既存施設は、当然1階建てとは限らず、プロムナードとなる上空ブロック1bの階数も掛け渡される既存の駅ビル等の階数により左右されるものである。
[建方工法]
次に、この鉄骨構造物1を構築する場合を例に挙げて、本発明の一実施の形態に係る鉄骨構造物の建方工法を説明する。本実施の形態に係る鉄骨構造物の建方工法の概略は、建方工事の事前準備を整えた後、(1)独立柱設置工程、(2)発進構台構築工程、(3)架構体組立工程、(4)架構体移動工程、(5)架構体増設工程、(6)増設・移動工程、(7)柱接合工程、(8)梁盛替工程、の各工程を順次行って、鉄骨構造物1の一部のブロックを先行して構築し、そのブロックを発進構台として利用し、発進構台上で組み立てた鉄骨の架構体を独立柱に支持させながらスライド移動させて鉄骨構造物の建方を行う工法である。以下に、これらの各工程を詳細に説明する。図3〜図25は、鉄骨構造物1を構築する場合において、これら各工程を概略立面図及び平面図で示した説明図である。
(事前準備)
先ず、建方工事の事前準備について主に図3及び図4を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る鉄骨構造物の建方工法の事前準備を概略立面図で表す説明図、図4は、同工程を概略平面図で表す説明図である。
初めに、ホームの使用頻度や周辺のスペース等を考慮して、鉄骨構造物1の建設範囲の内、即ち、上空ブロック1bの下方となるエリアの内、後述の発進構台3を設置すべきエリア(以下、発進構台設置エリアという。)を選定し、揚重装置として、この発進構台設置エリア全域を作業半径内とするタワークレーンTCを設置する。また、鉄骨構造物1の建設範囲内であって発進構台設置エリア以外の所定のエリアを後述の独立柱2を設置すべきエリア(以下、独立柱設置エリアという。)として選定する。よって、必然的に、独立柱設置エリアは、殆どタワークレーンTCの作業半径の外となってしまう。本実施の形態では、1〜4通りの3スパンを発進構台設置エリア、5〜8通りの3スパンを独立柱設置エリアとして選定した。
タワークレーンTCの設置作業と並行して、各通りの交点箇所などの設計に応じた所定の箇所において、即ち、本実施の形態の鉄骨構造物1では、図4に示す1〜8通り、A〜C通りの各交点において、掘削、配筋、打設等を行って破線で示す基礎杭1cを構築する。当然、構造設計により構築する基礎杭は決まっており、PC杭など現場打ち杭以外の杭の場合もあり得る。その場合は、杭の種類に応じた施工方法により基礎杭1cを構築する。このとき、基礎杭1cの設置箇所にプラットホーム1aがある場合は、プラットホーム1aの当該箇所の周辺を施工に支障のない範囲まで解体・撤去しておくとよい。なお、図中の符号1dは、プラットホームの上家であり、基礎杭の施工に支障がある場合には、これらのプラットホーム上家1dも部分的に撤去しておく方が好ましい。
(1)独立柱設置工程
次に、独立柱設置工程について主に図5及び図6を用いて説明する。図5は、同工法の独立柱設置工程を概略立面図で表す説明図、図6は、同工程を概略平面図で表す説明図である。
この独立柱設置工程は、前述のように選定した独立柱設置エリアおいて、各基礎杭1c上に1節目の柱を独立柱2として立設し、この独立柱2と基礎杭1cとを接合させる工程である。なお、独立柱とは、未だ柱と柱とを繋ぐ梁が架構されていない柱のことを指している。
この独立柱2の揚重及び建方は、前述のように、独立柱設置エリアが、列車の運行を止めて作業を行うことが難しいエリアであり、常設固定式の揚重装置であるタワークレーンTCの殆ど作業半径外となっており、且つ、落下事故の危険を伴う危険作業であるので、列車運行時間外において自走式の油圧クレーン等を搬入・設置して行わなければならない。よって、本独立柱設置工程では、列車運行時間外である夜間に饋電線の通電を停止して、線路上空の架線等を盛り替え・養生した後、軌陸両用クレーンなどの揚重装置を搬入・設置し、軌陸台車等で搬入した独立柱2を軌陸両用クレーンで1本づつ吊り上げて立て付け、一般的な鉄骨構造物の建方工法と同様にアンカーボルトを締め付けることにより基礎杭1cと接合し、最後に盛り替えた架線等を復旧させる方法で実施する。しかし、本願出願人が特開2007−321399号公報に開示したように、ハンドリングマシーン及び軌陸台車を用いて独立柱2の建方工事を行えば、トロリー線をはじめ饋電線等の架線の移設・盛替え工事を行わなくとも施工可能であり、そのため作業時間及び作業手間を削減することができるので好ましい。
なお、鉄骨構造物1は、プロムナードとなる上空ブロック1bが既存階の2階以上に架構された建物なので、本実施の形態に係る建方工法の独立柱設置工程では、1節目の柱を基礎杭1c上に立設して接合すれば本工程は終了する。しかし、上空ブロックが、例えば3階以上に架構される場合(即ち、プロムナードが既存の駅ビルの3階から上に掛け渡されるような場合)には、1節目から上空ブロックが架構される所定階の床高を柱の頂部が越える節まで独立柱として柱のみを上下に順次繰り返して接合していく。また、1節目も鋼材搬入経路の車両規制や柱の重量などの状況に応じて分節(例えば、0節と1節など)しても構わない。これら柱同士の上下の接合は、一旦、エレクションピースなどを介してハイテンションボルト等で締め付け固定した後、四周を溶接して接合する。不要となったエレクションピースなどは、溶接完了後にガス切断器又は切断砥石などで切断して除去する。
[独立柱]
次に、この独立柱2の構成について図26を用いて説明する。
図26は、独立柱の天端付近を表す斜視図である。独立柱2は、天端付近を除き一般的な鉄骨の柱と略同様の梁接合のための梁接合ブラケットが設けられたBOX柱であり、図26に示すように、柱本体20と、この柱本体20上部の4側面にそれぞれ設けられた4つの梁接合ブラケット21と、柱本体20の天端に設けられた滑り材22と、柱本体20の天端付近の2側面に設けられた2つのガイド取付ブラケット23などから構成されている。
なお、梁接合ブラケットは、当該柱が隅角部や端部に位置する場合には、当然設計上、外部側に面する側面には設けられていない場合もあり得る。
(滑り材)
この滑り材22は、タワークレーンTC(発進構台3)側に傾斜面22aを有した鉛直断面が略台形形状の部材であり、後述の移動架構体のガイド梁をこの傾斜面22aに沿って斜め上方に案内する機能を有している。また、滑り材22の材質は、重量物が摺動する関係上、耐摩耗性、機械的強度等に優れ、且つ、鋼材との滑性が良好なものが好ましく、例えば、一般構造用圧延鋼材(SS材)、溶接用圧延鋼材(SM材)、建築構造用圧延鋼材(SN材)などの一般鋼材やステンレス、表面にフッ素樹脂をコーティングして滑性を向上させた樹脂など、所定の耐摩耗性、機械的強度を備えたものであれば適用することができる。本実施の形態に係る滑り材22の材質には、モノマーキャストナイロン(MCナイロン(登録商標 日本ポリペンコ株式会社))が採用されている。このモノマーキャストナイロンとは、主原料のナイロン(ポリアミド樹脂)のモノマーを大気圧下で重合・成形することでナイロンの特性(機械的強度・耐熱性・耐摩耗性・耐薬品性・機械加工性)を向上させた樹脂であり、モノマーキャストナイロンを滑り材として採用することにより、前記特性及び鋼材との滑性が優れているという特徴がある。その上、鋼材との接触・衝突により滑り材22の表面が削れてしまったような場合でも、鋼材との滑性がほとんど悪化しないという利点があり、且つ、安価で安定供給が可能な点で好ましい。
(水平ガイド)
ガイド取付ブラケット23は、柱本体20のタワークレーンTC側(発進構台3側;1通り側)の側面と、その反対側(8通り側)の側面に、フランジ面が上下配置となるよう取り付けられたフランジ幅の広いH鋼からなるブラケットであり、その天端(上面)には、L型アングルからなる水平ガイド24が、後述のインナーガイドを案内するガイド面が鉛直面となるようフランジの縁沿いに立設されている。この水平ガイド24は、後述の移動架構体のガイド梁、インナーガイド等のガイド面に対する垂直方向の水平移動を拘束して所定の移動方向に案内する機能を有している。
なお、柱本体20と、梁接合ブラケット21は、一般的な鉄骨柱材と同様であるため説明を省略する。
(2)発進構台構築工程
次に、発進構台構築工程について図7及び図8を用いて説明する。図7は、同工法の発進構台構築工程を概略立面図で表す説明図、図8は、同工程を概略平面図で表す説明図である。
この発進構台構築工程は、タワークレーンTCを用いた従来の一般的な鉄骨構造物の建方工法により、鉄骨構造物1の本設の構造物の内、選定した発進構台構築エリア内の1節目の柱30及び1節目の梁31を架構し、この梁31の上に図示しないデッキプレート又は合成床板等を設置して、所定の配筋やインサート類などのセットを行った後、2階の床スラブ32を打設して発進構台3を構築する工程である。このとき、プラットホーム上家1dが発進構台3に接触する場合、即ち、鉄骨構造物1の1節目の柱30や梁31に接触する場合や、プラットホーム上家1dを設計上新しいものに取り替える場合など、プラットホーム上家1dを撤去する必要がある場合には、この発進構台構築工程前に撤去しておく。
また、鉄骨構造物1の建設範囲の隣接地に空きスペース等があるなど状況に応じて、鉄骨構造物1の本設の一部を発進構台3(図1の点描部も参照)とするのではなく、仮設の鉄骨構造物を架構して発進構台としてもよい。勿論、仮設の鉄骨構造物と鉄骨構造物1の本設の一部を合わせて発進構台とすることもできる。なお、上空ブロックが、3階以上の所定階に架構される場合には、所定階直下の梁まで架構し、所定階の床スラブを打設して発進構台とする。
この発進構台構築工程での鋼材等(1節目の柱30及び1節目の梁31、デッキプレートなど)の揚重及び建方は、原則、タワークレーンTCで行う。しかし、1節目の柱30や1節目の梁31などは前述のハンドリングマシーンで行ってもよく、また、これらタワークレーンTCと前記ハンドリングマシーンを併用しても構わない。なお、柱30と梁31との接合は、一般的な鉄骨構造物の建方工法と同様にハイテンションボルトで締め付けて摩擦接合し、柱30と基礎杭1cとの接合は、独立柱設置工程と同様にアンカーボルトにより接合する。このように構築する発進構台3は、鉄骨構造物1の本設の一部を先行的に構築することにより、後述の移動架構体の組立てステージとしての機能と、移動架構体を移動させる移動手段の設置架台としての機能と、組立時の落下物養生施設としての機能などを果している。
また、発進構台3の各柱30の天端には、独立柱2と同様の滑り材30aが設けられており、移動架構体の移動方向最後端側となる1通り以外、即ち、2〜4通りの柱には、独立柱2と同様のガイド取付ブラケット30b及び図示しない水平ガイド(図26に示す水平ガイド24を参照のこと)が更に取り付けられている。なお、発進構台3の柱30の天端に設けられる滑り材30aは、後述のガイド梁を案内するわけではないので傾斜面を設けなくても構わないが、部品統一のために傾斜面を設けても差し支えない。
以上に説明した(1)独立柱設置工程と(2)発進構台構築工程は、この順番で実施しなければならないわけではなく、揚重装置及び施工エリアが基本的に相違するので、これら2つの工程を並行して同時に行うことも可能である。同時に行えば工期を短縮することができるためより好ましい。勿論、プラットホーム上家1dの解体時期の制限、独立柱設置エリアの列車運行状況等の事情に応じて発進構台構築工程を先に行ってから独立柱設置工程を行っても構わない。
(3)架構体組立工程
次に、架構体組立工程について図9及び図10を用いて説明する。図9は、同工法の架構体組立工程を概略立面図で表す説明図、図10は、同工程を概略平面図で表す説明図である。
この架構体組立工程は、発進構台構築工程で構築した発進構台3を組立てステージとして、鉄骨構造物1の上空ブロック1bの内、独立柱設置エリアの上空となる5〜8通りの3スパン分の2節目〜3節目の柱・梁及び1節目の梁を移動架構体4として発進構台3の柱30上で架構して組み立てる工程である。5〜8通りの3スパン分を架構するのは、本実施の形態に係る発進構台3が3スパン分なのでその上で構築できるのは3スパン分が最大であること、及び、詳細は後述するがスライド移動させていく都合上、発進構台3から最も遠い部分から構築していかなければいけないことによる。このとき、5通りの柱は、発進構台3の1通りの柱上で、8通りの柱は、発進構台3の4通りの柱上で架構する。
この架構体組立工程での鋼材等の揚重及び建方も、原則、タワークレーンTCを用いて従来の鉄骨構造物の建方工法により行うが、この移動架構体4の最下層の柱である2節目の柱40には、一般的な鉄骨の柱と同様の梁接合用の第1ブラケット40aが上部に設けられている以外に、柱の下部にも前述の梁接合ブラケット21等と同様の第2ブラケット40bが工場出荷時点で取り付けられており、この柱40の第2ブラケット40b同士の間にそれぞれ対応する1節目の梁41を取り付ける点で相違する。また、後述のように移動架構体4を組み立てた後、スライド移動させる都合上、2節目の柱40と発進構台3の柱30とは仮止めのみで溶接などの接合は行わない。
先ず、タワークレーンTCを用いて鉛直・水平を確認しつつ2節目の柱40を建て込み、1節目の梁41及び2節目の梁42をそれぞれ第1ブラケット40a及び第2ブラケット40b間に仮締めして架構し、その後ハイテンションボルトで本締めまで行い梁41を柱40に接合する。3節目の柱43、3節目の梁44も同様に架構し、3節目の柱43と2節目の柱40とはエレクションピースで留め付けた後、四周を溶接して接合する。つまり、移動架構体4の組み立ては、移動架構体4の最下層の柱である2節目の柱40と組立てステージとして利用する発進構台3の柱30とを接合しない点以外、建入れ直しも含めて建方完了まで従来の鉄骨構造物の建方工法により通常通り行うと共に、移動架構体4の最下層の柱である2節目の柱40間に当該スパン直下の梁である1節目の梁41を更に接合することにより行う。
このように、1節目の梁41を移動架構体4に接合するのは、移動架構体4の剛性を高めて、後述のように、発進構台3から移動架構体4を水平に迫り出す際に一時的に片持ち支持となって移動架構体4が下方に撓むのを抑えると共に、タワークレーンTCの作業半径外となる独立柱設置エリアに設置する1節目の梁41を最終取付位置の直上に容易に運搬するためである。なお、図9に示すように、更に剛性を上げるため、必要に応じてブレス45を設けてもよい。
また、2節目の梁42及び3節目の梁44の上には、タワークレーンTCを利用してデッキプレート又は合成床板(図示せず)を設置しておくことが好ましい。タワークレーンTCのような常設の揚重装置がなく、夜間作業の度に揚重装置を搬入して使用するような揚重装置の稼動時間に制限のある独立柱設置エリアで、これらの部材を揚重する必要がなくなり、夜間作業等が短縮でき全体としても工期の短縮、コスト削減が図れるからである。
そして、本実施の形態に係る架構体組立工程では、所定のカーブ状(図2で示した鉄骨構造物1の平面形状に沿った円弧状)の移動方向に移動架構体4をガイドするガイド部材5を前述の1節目の梁41及び柱40の下、即ち、移動架構体4の最下層に取り付ける。
[ガイド部材]
次に、このガイド部材について図27〜図29を主に用いて説明する。図27は、移動架構体下部の発進構台前端付近を示す部分拡大立面図、図28は、インナーガイドの平面形状を示す見上げ図、図29は、ガイドレール及び下方変位防止材を主に示す斜視図である。
ガイド部材5は、図9に示したように、移動方向前端側の第2ブラケット40bのフランジ下面に取り付けられたガイド梁5aと、このガイド梁5aの後端から移動架構体4の最下層の梁41に沿って連続して設けられる平面形状が円弧状のインナーガイド5bと、このインナーガイド5bと平面形状が略同形の円弧状に形成され、インナーガイド5bの真下となる発進構台3の床スラブ32上に敷設されたガイドレール5cと、このガイドレール5cに下端部が嵌まり込み、インナーガイド5bの後端付近の底面から下方に向けて突設された棒状の下方変位防止材5dと、から構成されている。
(ガイド梁)
このガイド梁5aは、底面に所定の傾斜面を有する鋼材であればよいが、本実施の形態では、図27に示すように、H鋼を母材として上側フランジが第2ブラケット40bのフランジ下面に当接するよう取り付けられ、他方の下側フランジが前端(8通り)側に向けて斜め上方に傾斜する傾斜面50となるように加工されており、後述のように、この傾斜面50が滑り材22の傾斜面22aと摺接することで移動架構体4の前端を斜め上方に案内する機能を有している(図39参照)。そして、この傾斜面50の勾配は、移動架構体4を迫り出す1スパンの長さや移動架構体4の剛性(構成部材の断面性能)等で当然変化するが、移動架構体4の前端付近が独立柱2へ当接する時のガイド梁5aの角度を考慮すると1/50以上1/10以下が好ましく、試験などから一般的な鉄骨構造物の範囲であれば1/30(水平面と成す角度θ=1.9°)付近が最適である。傾斜面50をこのような範囲の勾配とすることで、移動架構体4の前端部の撓みを修正・案内する際に、滑り材22との摩擦抵抗を低減してよりスムーズにスライド移動させることができるからである。
(インナーガイド)
また、インナーガイド5bは、移動架構体4を所定の移動方向にガイドすることができるものであればよいが、本実施の形態では、幅300mm、高さ300mm程度の大きさのH鋼からなり、図28に示すように、取り付けられる各通り(A〜C通り)の平面形状に応じた緩やかな円弧状(通りによって違うが概ね曲率半径R=500m程度)に加工され、建設する鉄骨構造物1の各通り(A〜C通り)に沿ったカーブ状の移動方向に移動架構体4をガイドする機能を有している。このインナーガイド5bの移動架構体4への取り付けは、インナーガイド5bの上側フランジと、移動架構体の梁41の下側フランジ(部分的に柱40の下端)とをH鋼クランプジャッキで挟み留めるなど、後で仮設であるガイド部材5が本設となる移動架構体4から撤去できるように所定間隔毎に固着する。なお、前述のガイド梁5aの第2ブラケット40bへの取り付けも同様とする。
(ガイドレール)
ガイドレール5cは、本実施の形態では、図29に示すように、各インナーガイド5bと平面形状が略同形に加工された溝型鋼からなり、発進構台3の床スラブ32上の各インナーガイド5bと対応する位置に敷設され、インナーガイド5bに取り付けられた後述の下方変位防止材5dをガイドすることで移動架構体4の後端をガイドレール5cの平面形状に沿って案内し、移動架構体4の後端部分が押される方向と進む方向とがズレてしまうのを防止する機能を有している。なお、ガイドレール5cを敷設するスパンは、後述のように、移動架構体4を一度(1作業日)に移動させるスパンが2スパンのときは、1通り〜3通り間であり、移動させるスパンが1スパンのときは、1通り〜2通り間だけでも構わない。なお、このガイドレール5cは、後述のスライド移動手段と同様、移動架構体4を組み立てる前に発進構台3の床スラブ32上に敷設しておくとよい。移動架構体4の梁41の真下に敷設しなければならないので、後からでは、移動架構体4が邪魔になってタワークレーンTCなどの揚重装置での搬入・設置が困難になるからである。
(下方変位防止材)
下方変位防止材5dは、本実施の形態では、図29に示すように、一辺150mm程度の正方形の角形鋼管からなり、インナーガイド5bの後端付近の底面フランジから下方に向けて突設され、ガイドレール5c内にその下端部が嵌まり込む状態で設置されており、前述のように、ガイドレール5cにガイドされることで、移動架構体4の後端部分がズレるのを防止する機能を有する。
このように、ガイドレール5c及び下方変位防止材5dを設けることにより、次工程の架構体移動工程において、下方変位防止材5dをガイドレール5cでガイドして、移動架構体4の後端の下方変位を防止しつつ、移動架構体4を所定方向にスライド移動させることができるようになる。なお、移動架構体4を一度に2スパン以上移動させるときには、発進構台3の柱30を超える際に、後述のように、下方変位防止材5dを一旦取り外してまた同じ場所に取り付け直す必要がある。
なお、以上説明したガイド部材5は、構築する鉄骨構造物1が図2で示したような平面形状が円弧状のものではなく、矩形状のものであれば、即ち、移動架構体を移動させる方向が直線状であれば、移動架構体4の最下層に取り付ける本設の梁41をインナーガイドとして利用し、移動方向前端側の第2ブラケット40bを前述のような傾斜面50を有する形状としても構わない。そうすることで、ガイド部材5を取り付ける必要がなくなり、コストダウンを図ることができるからである。
架構体組立工程では、以上のように、移動架構体4及びガイド部材5等を組み立てるのであるが、移動架構体4を組み立てる前、即ち、架構体組立工程前、又は架構体組立工程の初期において、次工程である架構体移動工程で使用するスライド移動手段6を発進構台3の床スラブ32上にセットしておくとよい(図10参照)。このスライド移動手段6は、後述のように移動架構体4の最下層の梁41の真下にセットされるので、後からでは、移動架構体4が邪魔になってタワークレーンTCなどの揚重装置での搬入・設置が困難になるからである。
[スライド移動手段]
次に、本実施の形態に係るスライド移動手段の構成について、図30〜図36を用いて説明する。
図30は、本実施の形態に係るスライド移動手段を表す全体側面図、図31は、本実施の形態に係る水平ジャッキを表す側面図、図32は、同水平ジャッキの平面図、図33は、市販のH鋼クランプジャッキの通常使用状態を示す正面図、図34は、本実施の形態に係る形鋼クランプジャッキを表す側面図、図35は、同形鋼クランプジャッキを表す底面図、図36は、同形鋼クランプジャッキを表す正面図である。図35及び図36の(a)は、クランプ時(把持状態)、(b)は、アンクランプ時(開放状態)をそれぞれ表している。
このスライド移動手段6は、図30に示すように、発進構台3の床スラブ32に固着されて反力を得るための反力架台60と、両端がいわゆるクレビスとなっており、一端が反力架台60にピン接合されている水平ジャッキ61と、この水平ジャッキ61の他端のクレビスに連結され、形鋼(梁41又はインナーガイド5b)のフランジを把持する形鋼クランプジャッキ62と、から主に構成されている(後述のポンプユニット63、コントロールボックス64、集中制御盤65もスライド移動手段に含まれる)。
(反力架台)
この反力架台60は、床スラブ32と強固に固着されており、水平ジャッキ61のクレビスと連結可能であれば特に形状等は限定されないが、床スラブ32と強固に固着するため、前述の(2)発進構台構築工程において、床スラブ32のコンクリート打設前にL型プレートなどの図示しない取付金物をセットしておくと、反力架台60の発進構台3への固着が、この取付金物へ反力架台60を螺着又は溶着するだけで容易にすることができるため好ましい(図10参照)。
(水平ジャッキ)
水平ジャッキ61は、図30に示すように、一端が形鋼クランプジャッキ62に連結可能で、他端が反力架台60などの不動物体に連結可能となっており、所定のスライド移動能力を有する市販の水平ジャッキで構わないが、本実施の形態に係る水平ジャッキ61としては、図31及び図32に示すように、ボトム側(本体側)が2山、トップ側(ストローク側)が1山のクレビスとなっており、引張力が1000kN、押圧力が400kNの能力、1ストロークが1mである水平ストロークが可能な引・押複動型油圧ジャッキ(オックスジャッキ株式会社製:JTP-100100)が採用されている。この水平ジャッキ61は、ジャッキ本体61aからピストンロッド61bが油圧により突出又は後退して往復動することで、トップ側又はボトム側のいずれか一端のクレビスに連結されたものを他端に連結した反力架台60から反力を得て水平移動させる構成となっている。
(形鋼クランプ)
形鋼クランプジャッキ62は、図30に示すように、水平ジャッキ61のいずれか一端に連結され、H鋼を初めとしてI型鋼(レール材を含む)などの形鋼(溝型鋼及び山形鋼などからなる組立鋼材や、ラチス梁、格子梁、帯板梁、ハニカムビームなどのウェブが開口されている非充腹形の梁等を含む)からなる鉄骨鋼材のフランジ部分を所定の水平反力を有して把持可能ないわゆる形鋼クランプジャッキであればよいが、本実施の形態に係る形鋼クランプジャッキ62としては、1台当たり把持力150kN、ストローク25mmのクランプ用のジャッキを8台内蔵しており、水平反力が800kNである1系統油圧式のH鋼クランプジャッキ(オックスジャッキ株式会社製:HC-80)が採用されている。しかし、この市販のH鋼クランプジャッキ62’は、図33に示すように、本来は、把持するH鋼の天端フランジに載置して使用するものであるため、図30に示したように、本来とは天地が逆向きとなるH鋼の下端フランジを掴むようにセットした場合、アンクランプ時(開放状態)にH鋼クランプジャッキ62’がH鋼から外れてしまうという問題がある。そのため、本実施の形態に係る形鋼クランプジャッキ62は、図34〜図36に示すような構成に改良してある。なお、図中H鋼クランプジャッキ62’と本実施の形態に係る形鋼クランプジャッキ62の同一構成には同一符号を付し、相違する構成には「’」を付している。
この形鋼クランプジャッキ62は、図34〜図36に示すように、平面形状が略コの字状でその凹部が外側に向いた平板からなる左右(把持するH鋼の軸線に垂直、且つ水平方向)一対の基盤プレート63a,63bと、この2枚の基盤プレート63a,63bに跨って取り付けられる前後(把持するH鋼の軸方向)2枚の平板からなる支持プレート64a,64bと、基盤プレート63a,63bの平面状の凹部にそれぞれ嵌まり込む断面コの字状の左右一対のクランプアーム65a,65bと、2枚の支持プレート64a,64b間、且つ、基盤プレート63a,63bに沿って水平に取り付けられ、左右(内外方向)に出し入れ可能なピストンロッドを有し、クランプアーム65a,65bを開閉する左右一対の開閉用ジャッキ66a,66bと、基盤プレート63a,63bに取り付けられ、各ピストンロッドを出し入れしてクランプアーム65a,65bを下方に押圧可能な左右4対計8個のクランプ用ジャッキ67a〜67hと、から主に構成されている。
この基盤プレート63a,63bの外端の四隅には、図33で示した市販のH鋼クランプジャッキの移動用キャスター63c’とは相違し、L字状のブラケットを介して把持するH鋼の下端フランジの上面を走行可能に取り付けられた移動用キャスター63cが設けられており、形鋼クランプジャッキ62を通常とは天地を逆に取り付けてもアンクランプ時に落下するおそれがない。また、基盤プレート63a,63bの上面には、把持するH鋼の縁に沿って走行可能な横ズレ防止用車63dが基盤プレート63a,63bの外端の四隅に軸支されており、2枚の基盤プレート63a,63bの間隔は、支持プレート64a,64bとの固定間隔により把持するH鋼の幅に応じて調整可能となっている。このため、形鋼クランプジャッキ62をH鋼にセットする際には、基盤プレート63a,63bの支持プレート64a,64bへの固定を一旦フリーの状態にしておき、左右の幅を縮めながらH鋼の下端フランジ上に移動用キャスター63cを載置するようにセットでき、移動用キャスター63cが、セット時に邪魔にならないようになっている。
また、支持プレート64a,64bには、これらに跨るように2枚のクレビスプレート64c,64dが垂設されており、これらのクレビスプレート64c,64dの間は複数の平板で補強され、形鋼クランプジャッキ62の揚重や移動の際に利用される吊下げ金物64eも設けられている。
クランプアーム65a,65bは、上板部65c(65d)、側板部65e(65f)、下板部65g(65h)からなる断面略コの字状に形成され、この側板部が開閉用ジャッキ66a,66bのピストンロッドの先端に長穴65i(65j)を介して上下移動がフリーの状態で連結されており、開閉用ジャッキ66a,66bのピストンロッドで押圧されることにより、側板部65e(65f)の縁に軸支された複数の開閉用車65kが基盤プレート63a,63bに取り付けられた車受けピース69a,69b,69c,69dと基盤プレート63a,63bとの間を滑走することによりクランプアーム65a,65bが開閉し、クランプ用ジャッキ67a〜67hでクランプアーム65a,65bの下板部65g(65h)を内側から押圧して、クランプアーム65a,65bを押し下げ、上板部65c(65d)と基盤プレート63a,63bとの間でH鋼(梁41又はインナーガイド5b)の下端フランジを把持するように構成されている。
開閉用ジャッキ66a,66b及びクランプ用ジャッキ67a〜67hは、クランプ圧油を流入させることにより、開閉用ジャッキ66a,66bを閉じる方向に作動させ、閉じたときのジャッキ内の圧力上昇により油圧シーケンス弁を開放し、クランプ用ジャッキ67a〜67hのピストンロッドを突出させてH鋼をクランプする。そして、クランプ解除圧油を流入させることにより、クランプ用ジャッキ67a〜67hのピストンロッドを引っ込め、このときのジャッキ内の圧力上昇で油圧シーケンス弁を開放し、開閉用ジャッキ66a,66bを開く方向に作動させるよう構成されているので、1系統の油圧ポンプユニットでこれら複数のジャッキを制御することができる。なお、図中の油圧ホース口68aは、クランプ側、油圧ホース口68bは、アンクランプ側である。
以上のように、本実施の形態に係るスライド移動手段6の構成を説明したが、本発明のスライド移動手段は、移動架構体4を水平にスライド移動できるものであればこれらの構成に限られず、特に、形鋼クランプジャッキ62を移動用キャスター63cがH鋼の下端フランジに乗っかる構成で説明したが、形鋼クランプジャッキ62’がアンクランプ状態でも落下しない構成であればよい。
このようなスライド移動手段6は、移動架構体4をスライド移動させる能力があれば1台設置するだけでも構わないが、本実施の形態では、図9及び図10に示したように、発進構台3の前端に当たる3通り〜4通り間のスパンの床スラブ32上に、A〜Cの各通りに沿って2台直列に計6台設けられている。このとき、図9に示すように、反力架台60は、水平ジャッキ61と形鋼クランプジャッキ62の2台に1台づつの計3台に統合しても構わない。
(スライド移動手段の動作及び制御)
次に、スライド移動手段の動作及び制御について説明する。図37は、2台直列に設置したスライド移動手段の制御システムの概要を表すイメージ図、図38は、2台直列に設置したスライド移動手段の制御動作の一例を示す説明図である。
本実施の形態に係るスライド移動手段の制御システムの概要は、図37に示すように、各スライド移動手段6の水平ジャッキ61及び形鋼クランプジャッキ62の油圧を制御するポンプユニット63をコントロールボックス64内に格納された制御プログラム(荷重、ストローク数値、及びスライド距離の表示、ジャッキの速度調整、各数値が管理基準値を超えた場合の緊急停止処置などがプログラムされている)で制御して、集中制御盤65のモニターに表示させて、集中的に管理・制御するシステムである。
この制御システムを用いて、本実施の形態に係るスライド移動手段では、図9、図10に示したように、移動架構体4のA〜Cの通り毎に、2台直列に配置して、それら2台のスライド移動手段(No.1とNo.2)の動作を、図38に示すように、半サイクルづつずらして、制御することにより移動架構体4を連続的にスライド移動させる。しかし、一般に、静止摩擦係数と動摩擦係数とでは、静止摩擦係数の方が大きく、移動開始時に一番大きな力が必要となる。そこで、本実施の形態では、移動開始時においては、スライド移動手段6のチャック(形鋼クランプジャッキ62)を固定した状態で2台の水平ジャッキ61を同時に低速(微速)で半サイクル動作させるように制御する。即ち、クランプ用ジャッキ67a〜67hでクランプアーム65a,65bの下板部65g(65h)を内側から押圧して、クランプアーム65a,65bを押し下げ、上板部65c(65d)と基盤プレート63a,63bとの間でH鋼の下端フランジを把持しながら、ピストンロッド61bが伸びきった状態でセットした2台のスライド移動手段6(No.1及びNo.2)の水平ジャッキ61を、ピストンロッド61bがジャッキ本体61aに半分収納されるまで低速(微速)で縮めていく。続いて、一方のスライド移動手段6(No.1)の水平ジャッキ61を引き続きピストンロッド61bが完全にジャッキ本体61a内に収容されるまで通常速度で動作させ、他方のスライド移動手段6(No.2)は、チャック(形鋼クランプ62)を開放してピストンロッド61bが逆に全部伸びきるまで通常速度で動作させるように制御する。そして、次に、一方のスライド移動手段6(No.1)のチャックを開放して水平ジャッキ61を伸ばすと共に、他方のスライド移動手段6(No.2)のチャックを固定しながら水平ジャッキ61を縮めて移動架構体4を引張ってスライド移動させる。後は、図38で示すように、No.1とNo.2のスライド移動手段6を交互に通常速度で動作させていき、移動架構体4に取り付けられたガイド梁5aが独立柱2に当接する直前で、一旦、これらNo.1とNo.2のスライド移動手段6を停止させ、移動架構体4のスライド移動をストップさせる。そして、下方への鉛直変位量を確認し、下方変位防止材5dを撤去した後、再び、2台を同時に低速動作させて移動架構体4を所定の位置までスライド移動させるように制御する。
このように、2台のスライド移動手段を交互に動作させることにより、移動架構体4を連続的にスライド移動させることができるため、作業時間あたりのスライド移動距離を伸ばすことができ作業効率が向上する。そのため、饋電停止可能時間が90分程度しかないような場合であっても移動架構体を2スパン又はそれ以上移動させることができ、工期の大幅な短縮が可能となり、コストダウンも図ることができる。また、いずれかのスライド移動手段のチャック(形鋼クランプジャッキ62)で移動架構体4のH鋼(移動架構体4の最下層に接合した梁41、又は、それに取り付けられたインナーガイド5b)を把持していることになり、移動架構体4に慣性力がつきすぎて所定の移動方向から外れてしまうようなことがなく、地震や電源が落ちたりするような突発的な事故等が発生した場合であっても移動架構体4のスライド移動を停止させることができ、後述の架構体移動工程中常に逸走防止を図ることができる。
そして、スライド移動開始時の一番大きな力が必要な時には、直列配置した2台のスライド移動手段(即ち、全てのスライド移動手段)を同時に低速運転し、移動架構体4に慣性力がついたら、通常速度の交互運転に切り換えるので、無駄がなく、コストパフォーマンスを最適にすることができる。そのため、更なるコストダウンを図ることができる。
(4)架構体移動工程
次に、架構体移動工程について図11〜図14を主に用いて説明する。図11は、同工法の架構体移動工程の移動途中の状態を概略立面図で表す説明図、図12は、同工程の移動途中の状態を概略平面図で表す説明図、図13は、同工程の移動完了状態を概略立面図で表す説明図、図14は、同工程の移動完了状態を概略平面図で表す説明図である。
この架構体移動工程は、発進構台3の床スラブ32の前端付近に設置したスライド移動手段6により移動架構体4を発進構台3からプラットホーム1a上空に略水平に迫り出して所定スパンだけ所定の移動方向(鉄骨構造物1の平面形状に沿ったカーブ状)にスライド移動させる工程である。
図11及び図12は、移動架構体4のガイド梁5aが独立柱2の滑り材22に当接する直前の状態を表しており、このように、移動架構体4は発進構台3から迫り出すようにスライド移動するので、発進構台3上にある移動架構体4の5通り〜7通り間のスパンが重しとなって、前端部である7通り〜8通り間のスパンが片持ち状態で迫り出すことになる。そのため、移動架構体4は、前端部に下方変位を生じるが、この下方変位が想定値より大きくなりすぎると安全上好ましくない。そのため、図11及び図12に示す状態になると、本実施の形態に係る架構体移動工程では、前述のように、一旦、スライド移動手段6の動作を停止させて、この下方変位量を集中制御盤65(図37参照)のモニター上、及び目視により確認する。そして、異常がなければ、下方変位防止材5dを撤去して再びスライド移動手段6により移動架構体4の移動を開始する。
図39は、架構体移動工程において移動架構体の前端部が独立柱に当接している状態を部分拡大して表す側面図、図40は、同状態を表す斜視図である。移動架構体4の前端部が5と通りの独立柱2の上に差し掛かると、図39、40に示すように、ガイド梁5aの傾斜面50が独立柱2の滑り材22の傾斜面22aと摺接することで移動架構体4の前端部が斜め上方に案内されると共に、移動架構体4の前端部の下方変位を修正しながら移動架構体4の荷重の一部を当該独立柱2が支持するようになる。また、独立柱2の水平ガイド24のガイド面でインナーガイド5bの平面形状に沿って移動架構体4の水平移動方向を所定の移動方向へ案内する。次に、移動架構体4の前端部が5通りの独立柱2を通過すると、取り外した下方変位防止材5dを再び所定の位置に取り付け直す。そして、5通りの独立柱2に差しか掛かった時と同様に、6通りの独立柱2の直前で一旦移動架構体4のスライド移動を停止した後、図13及び図14に示すように、6通りの独立柱2上に移動架構体の8通りの柱40が来るまで移動させる。このように、スライド移動手段6の構成や制御方法を改良することで、1作業日(1饋電停止時間内)で一気に2スパン移動させることができるため、作業日数を大幅に短縮することができる。
[仮止め冶具]
次に、架構体移動工程終了時に移動架構体を独立柱に仮固定する仮止め冶具について図41を用いて説明する。
図41は、架構体移動工程終了時の仮固定の一例を側面図で示す説明図である。図中の符号7は、仮止め冶具を示し、この仮止め冶具7は、頑丈な棒材(パイプ材などの線条材)7aの両端に3次元の自在継手7bを介して油圧クランプである市販のH鋼クランプジャッキ7c(前述の形鋼クランプジャッキ62より小型で構わない)が取り付けられたものである。図示するように、仮止め冶具7は、一方のH鋼クランプジャッキ7cで独立柱2の梁接合ブラケット21の上端フランジ又は下端フランジを把持させると共に、他端のH鋼クランプジャッキ7cで移動架構体4の最下層の柱40の第2ブラケット40bを把持させることで、移動架構体4を独立柱2に固定する機能を有している。このように仮止め冶具7で移動架構体を独立柱2に仮固定することにより、次の移動工程を開始するまでの間に地震が発生したような場合であっても移動架構体4が所定の位置からズレないようにすることができる。
なお、この仮止め冶具7は、独立柱設置工程において、独立柱2を建て付ける前に、梁接合ブラケット21に一方のH鋼クランプジャッキ7cで把持させて取り付けておけば仮止め冶具7を個別に揚重する手間が省けるので好ましい。また、独立柱毎に4つの仮止め冶具7で矩形(ひし形状)に仮固定することで、あらゆる方向からの揺れに強くなるため好ましい。
(5)架構体増設工程
次に、架構体増設工程について図15、図16を用いて説明する。図15は、同工法の架構体増設工程を概略立面図で表す説明図、図16は、同工程を概略平面図で表す説明図である。この架構体増設工程は、図15、図16に示すように、(4)架構体移動工程において移動架構体4が移動することによりできた発進構台3の2〜3通り間上の空きスペースで、鉄骨構造物1の上空ブロック1bの内、独立柱設置エリアの上空となる4〜5通りの1スパン分の2節目〜3節目の柱・梁及び1節目の梁を移動架構体4に増設する工程である。この増設は、(3)架構体組立工程と同様にタワークレーンTCを使用し、通常通り鉄骨構造物1の4〜5通りの2節目〜3節目の柱及び梁の建方を行い、2節目の柱40の第2ブラケット40bの間に4〜5通りの1節目の梁41を取り付け、1節目の梁41と2節目の梁42との間に剛性を上げるためブレス45も取り付ける。
(6)増設・移動工程
次に、増設・移動工程について図17〜図23を用いて説明する。図17は、同工法の増設・移動工程のうち最初(1回目)の移動工程の移動完了状態を概略立面図で表す説明図、図18は、同移動工程の移動完了状態を概略平面図で表す説明図、図19は、増設・移動工程のうち1回目の増設工程を概略立面図で表す説明図、図20は、同増設工程を概略平面図で表す説明図、図21は、増設・移動工程のうち2回目の移動工程を概略立面図で表す説明図、図22は、同移動工程を概略平面図で表す説明図、図23は、増設・移動工程のうち2回目の増設工程を概略立面図で表す説明図である。この増設・移動工程は、図17〜図23に示すように、(4)架構体移動工程、(5)架構体増設工程と同様に増設・移動を、移動架構体4の前端部が鉄骨構造物1の端、即ち、本実施の形態では8通りに到達するまで、鉄骨構造物1のスパンに応じて所定回(図示実施形態では2回)繰り返す工程である。
先ず、図17及び図18に示すように、(5)架構体増設工程で4〜5通りのスパンを増設した移動架構体4を、前述のスライド移動手段6で移動架構体4の前端部が7通りの独立柱2上に到達するまで(4)架構体移動工程と同様にスライド移動させる。
次に、図19及び図20に示すように、発進構台3の2〜3通り間上の空きスペースで、上空ブロック1bの3〜4通りの2節目〜3節目の柱・梁を(5)架構体増設工程と同様にタワークレーンTCを用いて移動架構体4に増設する。そして、2節目の柱40の第2ブラケット40b間に1節目の梁41を(5)架構体増設工程と同様に取り付けるわけであるが、3〜4通りの1節目の梁は発進構台3として既に建方を完了しているので問題となる。しかし、この1節目の梁を移動架構体4に取り付けないとすると、移動架構体4の剛性が低下してスライド移動に耐えられなくなるだけでなく、前述のように、スライド移動手段6の形鋼クランプジャッキ62が把持するフランジ部分(又はインナーガイド5bを取り付けるフランジ部分)がなくなるためスライド移動させることができなくなる。そこで、本実施の形態に係る増設・移動工程では、仮梁Kとして本設の1節目の梁と同じ形状の梁を取り付け、更に、ブレス45及びインナーガイド5b、下方変位防止材5dも前述のように取り付ける。
続いて、図21及び図22に示すように、前述のスライド移動手段6で移動架構体4の前端部が8通りの独立柱2の上に到達するまで、即ち、鉄骨構造物1本設の正規の取付位置まで(4)架構体移動工程と同様にスライド移動させる。このように、鉄骨構造物1が1〜8通りの7スパンであれば、これでこの増設・移動工程は完了するわけであるが、建設する鉄骨構造物の長手方向(桁行き方向)のスパンに応じて移動架構体の前端が、鉄骨構造物の端である正規の取付位置に到達するまで適宜、増設・移動工程を所定回繰り返すことになる。
そして、移動架構体4の移動完了後、図23に示すように、発進構台3より上方、即ち、2節目の柱・梁、3節目の柱・梁の1〜3通りの2スパン分を、従来工法によりタワークレーンTCを用いて、通常通り建方工事を行って増設する。このとき、前述の増設工程と相違して、移動させるわけではないので、最下層の柱間に仮梁を取り付けたり、ブレスを取り付けたりする必要はない。
(7)柱接合工程
次に、柱接合工程について図24を主に用いて説明する。図24は、同工法の柱接合工程を概略立面図で表す説明図である。図24に示すように、この柱接合工程は、移動架構体4を固定するため、移動架構体4の最下層である2節目の柱40を独立柱2と構造設計に応じた接合方法により接合する工程である。このような柱同士は、一般的に、溶接接合とされるので、溶接接合で接合する場合で説明する。
図42は、本実施の形態に係る柱接合部分を拡大して示す部分断面図である。図42に示すように、独立柱2と移動架構体4の最下層の柱40は、これらの柱と同材からなる(工場等で柱材製造時にそれらを輪切りにして作成しておく)ジョイントスペーサSを介して溶接接合し、柱40の直下に取り付けたインナーガイド5bと、独立柱2の天端に設けた滑り材22とは、嵌め殺しにする。しかし、ジョイントスペーサSを嵌め込むのに邪魔なインナーガイド5bなどのガイド部材5は撤去しておく。このジョイントスペーサSは、後から柱40と独立柱2との間に嵌め込むので、嵌め込み易い2〜4分割とし、柱40及び独立柱2とそれぞれ突き合わせの完全溶け込み溶接を行う(即ち、柱を1周する溶接線が2本できる)。よって、図に示すように、柱40の柱本体とインナーガイド5b、独立柱2の柱本体20と滑り材22との間に、溶接箇所の裏あて用として裏あてプレートPL1、PL2をそれぞれ設けておくことが好ましい。なお、これらの溶接は、現場において手溶接又は半自動溶接等で行う。
(スライド移動手段・ガイド部材撤去)
また、図24に示すように、移動架構体4の移動完了後において、この柱接合工程と並行するか、又は開始前、場合によっては柱接合工程完了後に、不要となったガイド部材5、スライド移動手段6、独立柱2のガイド取付ブラケット23(水平ガイド24を含む)、仮梁K、及びブレス45を撤去する。このとき、柱接合前の仮止め用として、エレクションピース等で前記柱40と独立柱2とを連結していた場合は、柱溶接後に不要となったエレクションピース等もガス切断器や切断砥石(サンダー)等で切断除去する。
鉄骨構造物1の平面形状が例として挙げた円弧状ではなく矩形状であり、移動架構体4の所定の移動方向が直線状のスライド移動である場合は、前記のように、インナーガイド5bがないので、図43に示すような柱接合部分となる。図43は、変形例に係る柱接合部分を拡大して示す部分断面図である。図43に示すように、図42で示した嵌め殺しにするインナーガイド5bの代わりにガイド用プレートPL3が設けられており、ジョイントスペーサSの高さは、図42に示す場合よりインナーガイド5bがガイド用プレートPL3に置き替った分小さくなっている。また、第2ブラケット40bは、インナーガイド5bのように柱接合前に取り外すことができないので、溶接線が交差しないように第2ブラケット40bの溶接箇所には予めスカラップが設けられている。このように、ジョイントスペーサSの高さを変更することで、柱のレベル調整が可能となっているので、独立柱2の天端レベルが基礎杭1cのレベルの不陸などにより不揃いとなっている場合も、これらの独立柱2の天端レベルを架構体移動工程前に計測しておき、滑り材22の厚さを変更したり高さ調整用のプレートなどを挿入したりするなどして、ジョイントスペーサSの高さで最終的に調整するようにすれば、建方精度が向上するため更に好ましい。
(8)梁盛替工程
次に、梁盛替工程について図25を主に用いて説明する。図25は、同工法の梁盛替工程を概略立面図で表す説明図である。この梁盛替工程は、移動架構体4の最下層の柱40の第2ブラケット40b間に取り付けた所定階(本実施の形態では2階)直下(1節目)の梁41を最終取付高さ、即ち、独立柱2の梁接合ブラケット21の間に盛り替える工程である。移動架構体4に取り付けた1節目の梁41を全て1本1本、チェーンブロック、ホイスト、ウィンチ等の下降装置で降ろして盛り替えても構わないが、この梁盛替工程は、重量物落下の危険を伴う危険作業であるため、既存施設が使用されない夜間の饋電停止時間内に行う必要があり、1本ずつ盛り替えると工期が長くなり、建設コストが嵩んでしまうという問題がある。そこで、本実施の形態に係る梁盛替工程では、移動架構体4の最下層の柱40の下部に取り付けた梁41をその上に設置したデッキプレート又は合成床板と共にフロアごと一斉に下降させて本設梁41の正規の取り付け高さ(位置)である独立柱2の梁接合ブラケット21間に取り付け直すフロアダウン工程とする。
(フロアダウン工程)
このフロアダウン工程では、先ず、(7)柱接合工程と並行して、又は柱接合工程完了後、所定階の梁42の上に掛け渡した支持台等を用いて下降装置8を所定階の梁42に支持させるように設置する。また、(2)発進構台構築工程で説明したようにプラットホーム上家1dを撤去する必要がある場合には、このときプラットホーム上家1dを撤去しておく。次に、この下降装置8で巻き上げ、巻き降ろし可能なPC鋼より線などの高張力鋼線からなるケーブル8aを、下降させる1節目の梁41に重心を考慮してバランスよく連結(緊結)する。そして、柱40の第2ブラケット40bに留め付けていたハイテンションボルトを全て取り外し、下降装置8でケーブル8aを巻き降ろして1節目の梁41を正規の取り付け高さである独立柱2の梁接合ブラケット21間に下降させて、梁接合ブラケット21にハイテンションボルトで、前記と同様に本締めまで完了させる。その後、不要となった第2ブラケット40bをエレクションピースと同様に切断除去する。
[下降装置]
この下降装置8は、図25に示すように、所定階の梁42に支持される複数の油圧ジャッキ80と、この油圧ジャッキ80の油圧を制御する複数のポンプユニット81と、これら複数のポンプユニット81を集中制御する図示しない制御手段とからなり、この制御手段で複数のポンプユニット81を制御して、移動架構体4の柱40間に取り付けた1節目の梁41をフロアごと傾かないように同時に下降させるように構成されている。本実施の形態では、この油圧ジャッキ80には、700kNの巻き上げ能力を有するセンターホールジャッキが採用されている。
このように移動架構体4の梁をフロアごと一斉に下ろすフロアダウン工程とすることで、梁を1本ずつ降ろして盛り替える手間が省けると共に、フロアダウン又は梁盛替工程における重量物を下降させて取り付け直すという危険作業を1作業日(1饋電停止時間)内に完了させることができ、大幅に工期を短縮することができる。その上、制御手段で集中制御するので下降の精度を平面上のズレで10mm以下にすることができる。よって、梁と柱の接合クリアランス以内となるので、ハイテンションボルトの挿入等も容易となるだけでなく、下降時に梁と柱のブラケット(第2ブラケット40bや梁接合ブラケット21)とが接触する虞も少なくなり、作業の安全性も向上する。
このフロアダウン工程が終了した段階は、建方工事が終了した状態となるので、当然、その後は、床スラブのコンクリート打設、耐火被覆、壁やカーテンウォールの設置など従来工法により通常通り鉄骨構造物1を仕上げる。
以上のように、この発明の一実施の形態に係る鉄骨構造物の建方工法を説明したが、この建方工法を適用して構築することのできる鉄骨構造物は、例として挙げた鉄骨構造物1の平面形状に限られず、平面形状が移動方向に長い矩形状のものでも適用して構築することができる。要するに、既存施設上空に掛け渡される上空ブロックを所定階以上に有する鉄骨構造物であればよい。また、柱・梁、基礎杭との接合方法は、一例を示したものであり、当然、構築する建物の構造設計に応じた接合方法で行うものである。説明中の滑り材、水平ガイド、スライド移動手段、ガイド部材、仮止め冶具、下降装置等も、一例を示したものであり、特許請求の範囲に記載した範囲内で他の既知の手段や装置等を適宜採用可能であることは云うまでも無い。また、図で示した、形状等もあくまでも一例を挙げたものであり、適宜変更可能である。
既存施設上空に掛け渡される上空ブロックを所定階以上に有する鉄骨構造物の一例として挙げる鉄骨構造物の概略構成を示す立面図である。 同上の鉄骨構造物の概略構成を示す平面図である。 本発明の実施の形態に係る鉄骨構造物の建方工法の事前準備を概略立面図で表す説明図である。 同上の工程を概略平面図で表す説明図である。 同工法の独立柱設置工程を概略立面図で表す説明図である。 同上の工程を概略平面図で表す説明図である。 同工法の発進構台構築工程を概略立面図で表す説明図である。 同上の工程を概略平面図で表す説明図である。 同工法の架構体組立工程を概略立面図で表す説明図である。 同上の工程を概略平面図で表す説明図である。 同工法の架構体移動工程の移動途中の状態を概略立面図で表す説明図である。 同上の工程の移動途中の状態を概略平面図で表す説明図である。 同上の工程の移動完了状態を概略立面図で表す説明図である。 同上の工程の移動完了状態を概略平面図で表す説明図である。 同工法の架構体増設工程を概略立面図で表す説明図である。 同上の工程を概略平面図で表す説明図である。 同工法の増設・移動工程のうち1回目の移動工程の移動完了状態を概略立面図で表す説明図である。 同上の工程の移動完了状態を概略平面図で表す説明図である。 同工法の増設・移動工程のうち1回目の増設工程を概略立面図で表す説明図である。 同上の工程を概略平面図で表す説明図である。 同工法の増設・移動工程のうち2回目の移動工程を概略立面図で表す説明図である。 同上の工程を概略平面図で表す説明図である。 同工法の増設・移動工程のうち2回目の増設工程を概略立面図で表す説明図である。 同工法の柱接合工程を概略立面図で表す説明図である。 同工法の梁盛替工程(フロアダウン工程)を概略立面図で表す説明図である。 本実施の形態に係る独立柱の天端付近を表す斜視図である。 本実施の形態に係る移動架構体下部の発進構台前端付近を示す部分拡大立面図である。 本実施の形態に係るインナーガイドの平面形状の概略を示す見上げ図である。 本実施の形態に係るガイドレール及び下方変位防止材を主に示す斜視図である。 本実施の形態に係るスライド移動手段全体を表す側面図である。 本実施の形態に係る水平ジャッキを表す側面図である。 同上の水平ジャッキの平面図である。 市販のH鋼クランプジャッキの通常使用状態を示す正面図である。 本実施の形態に係る形鋼クランプジャッキを表す側面図である。 (a)は、同上の形鋼クランプジャッキのクランプ時(把持状態)を表す底面図。 (b)は、同上の形鋼クランプジャッキのアンクランプ時(開放状態)を表す底面図である。 (a)は、同上の形鋼クランプジャッキのクランプ時(把持状態)を表す正面図。 (b)は、同上の形鋼クランプジャッキのアンクランプ時(開放状態)を表す正面図である。 実施の形態に係るスライド移動手段の制御システムの概要を表すイメージ図である。 実施の形態に係るスライド移動手段の制御動作の一例を示す説明図である。 架構体移動工程において移動架構体の前端部が独立柱に当接している状態を表す部分拡大側面図である。 同上の状態を表す斜視図である。 架構体移動工程終了時の仮固定の一例を側面図で示す説明図である。 本実施の形態に係る柱接合部分を拡大して示す部分断面図である。 同上の柱接合部分の変形例を示す部分断面図である。
符号の説明
1 鉄骨構造物
1a プラットホーム(既存施設)
1b 上空ブロック
1d プラットホーム上家(既存施設)
2 独立柱
22 滑り材
23 ガイド取付ブラケット
24 水平ガイド
3 発進構台
4 移動架構体
5 ガイド部材
5a ガイド梁
5b インナーガイド
5c ガイドレール
5d 下方変位防止材
6 スライド移動手段
61 水平ジャッキ
62 形鋼クランプジャッキ(形鋼クランプ)
7 仮止め冶具
7a 棒材
7b 自在継手
7c H鋼クランプジャッキ(油圧クランプ)
8 下降装置
8a ケーブル
80 油圧ジャッキ
81 ポンプユニット

Claims (9)

  1. 既存施設上空に掛け渡される上空ブロックを所定階以上に有する鉄骨構造物を構築する鉄骨構造物の建方工法であって、
    前記上空ブロックの下方となる前記既存施設内の所定エリアにおいて、前記鉄骨構造物の1節目から前記所定階の床高を頂部が越える節までの柱を複数本、間隔をおいて独立柱として立設する独立柱設置工程と、
    前記所定エリア外において、前記鉄骨構造物の一部及び/又は仮設の鉄骨構造物を前記所定階直下の梁まで架構し、前記所定階の床のコンクリートを打設して発進構台を構築する発進構台構築工程と、
    該発進構台の前記所定階の床上の移動方向前端付近にスライド移動手段を設置すると共に、このスライド移動手段の上方、且つ、前記発進構台上において、前記所定エリア上空に設置する前記上空ブロックの一部を前記発進構台より遠い方から所定スパン分だけ移動架構体として組み立て、組み立てた移動架構体の下方に位置する前記所定階直下の複数の梁を当該移動架構体の最下層の複数の柱下部間に取り付ける架構体組立工程と、
    前記移動架構体の下方に設置した前記スライド移動手段により前記移動架構体を前記発進構台から前記既存施設上空に略水平に迫り出して所定スパンだけ所定の方向にスライド移動させる架構体移動工程と、
    前記発進構台上において、前記架構体移動工程により移動させた前記移動架構体の移動方向後端側に前記上空ブロックの一部を次の架構体移動工程の移動スパン分だけ増設すると共に、この増設スパン下方に位置する前記所定階直下の複数の梁を当該増設スパンの最下層の複数の柱下部間に取り付ける架構体増設工程と、
    前記架構体増設工程と前記架構体移動工程とを必要に応じて繰り返し、前記移動架構体を増設しながら最終取付位置まで移動させて前記上空ブロックを架構する増設・移動工程と、
    該増設・移動工程において架構した前記上空ブロックの最下層の複数の柱を前記複数の独立柱の上部と接合する柱接合工程と、
    前記移動架構体の最下層の複数の柱下部間に取り付けた前記所定階直下の複数の梁を最終取付高さに盛り替える梁盛替工程と、を有することを特徴とする鉄骨構造物の建方工法。
  2. 前記スライド移動手段は、水平ジャッキと、該水平ジャッキ先端に取り付けられた形鋼クランプとを有することを特徴とする請求項1に記載の鉄骨構造物の建方工法。
  3. 前記水平ジャッキは、前記発進構台の前記所定階の床上に設置された反力架台に連結され、前記形鋼クランプは、前記移動架構体の最下層に取り付けられた形鋼を把持するようにセットされていることを特徴とする請求項2に記載の鉄骨構造物の建方工法。
  4. 前記架構体移動工程において、前記スライド移動手段は、前記形鋼クランプを作動させて前記移動架構体の最下層に取り付けられた前記形鋼を把持している最中に前記水平ジャッキを引っ張り動作させ、この水平ジャッキで引っ張ることにより前記移動架構体をスライド移動させることを特徴とする請求項3に記載の鉄骨構造物の建方工法。
  5. 前記スライド移動手段を移動方向に沿って少なくとも2台以上直列に設置し、
    前記架構体移動工程において、これら直列に設置した複数のスライド移動手段の動作を所定時間だけずらして作動させ、前記移動架構体を連続移動させることを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載の鉄骨構造物の建方工法。
  6. 前記架構体移動工程において、前記移動架構体の移動開始時には、前記直列に設置した複数の移動手段を同時に作動させ、前記移動架構体が動き始めたら前記直列に配置した複数の移動手段の動作を所定時間だけずらして作動させることを特徴とする請求項5に記載の鉄骨構造物の建方工法。
  7. 前記架構体移動工程において、前記移動架構体を所定スパンだけスライド移動させた後、次の架構体移動工程まで仮止め冶具により前記独立柱の柱に前記移動架構体を仮固定することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の鉄骨構造物の建方工法。
  8. 前記仮止め冶具は、棒材と、該棒材の両端に自在継手を介して取り付けられた油圧クランプと、からなることを特徴とする請求項7に記載の鉄骨構造物の建方工法。
  9. 前記独立柱設置工程において、前記独立柱の梁接合ブラケットに前記仮止め冶具の一端を取り付けてから前記独立柱の建方を行うことを特徴とする請求項7又は8に記載の鉄骨構造物の建方工法。
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