JP2010121203A - 複合構造物及びその作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明においては、エアロゾルデポジション法を用いて、セラミックスや金属の多孔質材料の表面に緻密な脆性材料の構造物を形成させる複合構造物の形成方法、および当該方法で形成した構造物を提供する。
【解決手段】 本発明では、エアロゾルデポジション法により脆性材料微粒子を前記多孔質材料に噴射して表面気孔内に進入させることで、表面気孔内部に前記脆性材料微粒子の圧粉体様構造物を形成させる工程と、脆性材料微粒子を前記多孔質基材の外表面上に噴射して衝突させることで、外表面上に前記脆性材料微粒子の構成材料からなる緻密様構造物を形成させる工程と、からなるエアロゾルデポジション法が提供できる。この方法により、少なくとも前記基材の一部に形成された前記構造物と前記基材との複合構造物であって、前記基材は多孔質材料であり、前記構造物は前記多孔質材料の表面を覆うとともに、多孔質材料の表面気孔の内部は脆性材料微粒子の圧粉体構造物が存在することを特徴とする複合構造物が提供される。
【選択図】 図2

Description

多孔質基材上にエアロゾルデポジション法により緻密質脆性材料構造物を作製する方法及び多孔質基材と緻密質脆性材料構造物との複合構造物に関する。
基材表面に脆性材料の緻密な構造物を加熱工程なしに形成する方法として、エアロゾルデポジション法と呼ばれる手法が特許文献1に開示され且つ広く認知されている。
このエアロゾルデポジション法は、脆性材料などの微粒子をガス中に分散させたエアロゾルをノズルから金属やガラス、セラミックスやプラスチックなどの基材に向けて噴射し、該基材に微粒子を衝突させ、この衝突の衝撃により脆性材料微粒子を変形や破砕を起さしめてこれらを接合させ、基材上に微粒子の構成材料からなる構造物をダイレクトで形成させることを特徴としており、特に加熱手段を必要としない常温で構造物が形成可能であり、焼成体と同等の機械的強度を保有する緻密な構造物を得ることができる。
非特許文献1には、エアロゾルデポジション法に用いる基板の表面粗さが構造物形成に影響することが開示されている。具体的には、セラミック基材の表面平均粗さ(Ra)が56nmでは製膜できず、表面平均粗さ(Ra)が142nmで製膜が可能とあり、更に表面平均粗さ(Ra)が376nmでは製膜は可能であるが、膜の厚さを10μm以上とすると剥離が生じることが報告されている。
特許文献2には、セラミック微粒子を用いたガスデポジション法により平均気孔径11μmの多孔質基材上に予め触媒層として平均粒径2μmの粉末を20μmコートした基材に対して膜を形成させることの開示がある。
特許文献3には、孔や空隙をもつ金属基体に予めスプレー法、スクリーン印刷法、スリップキャスト法などのスラリー塗布法、または無電解めっき法や共析めっき法などで多孔質材を充填して孔や空隙を封止し、封止した金属気体の表面にエアロゾルデポジション法などで電池要素となる薄膜を形成させる開示がある。
特許文献4には、多孔質支持体中に充填材を含浸させて表面を研磨し、この上にエアロゾルデポジション法などで薄膜機能構造体を形成させ、後に充填剤を除去する工程の開示がある。充填材を多孔質支持体に含浸させる方法としては真空含浸法、溶融含浸法、ディッピング法などが開示され、充填材としては樹脂材料、低融点ガラス、低融点合金、無機塩などが開示されている。
WO01/027348 特開2000−58084 特開2004−127635 特開2003−317740
独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構の委託業務に係る成果報告書 タイトル:平成13年度〜平成15年度成果報告書 <先導フェーズ> エネルギー有効利用基盤技術先導研究開発衝撃結合効果を利用した窯業プロセスのエネルギー合理化技術に関する研究開発
非特許文献1に開示されるように、さまざまな表面粗さのセラミック基材にエアロゾルデポジション法を適用させる場合、基材表面粗さが100nmを上回るような場合は製膜が可能であったが、セラミック焼成体に一般的に存在する表面の微小な凹凸、ポアの影響を受けてエアロゾルデポジション法の製膜条件が限定されたり、緻密な構造物を得ることができないという問題があった。また比較的大きなポアが表面に存在する場合は、その部位のセラミック膜形成が不能であったり、ポア部分とポアでない平坦な基材表面とで形成された膜厚が不均一となり製膜後に膜が剥離しやすくなるなどの不具合があった。すなわちある程度の構造物面積において、膜厚がほぼ均一で緻密な膜を全面に亘って確保することが困難であった。このようにセラミック基材上へエアロゾルデポジション法で構造物を形成させる場合は、構造物形成可否および構造物の性状が基材の表面状態に大きく影響を受けることが知られている。特に表面状態が非常に複雑、例えば大きな表面気孔を有する多孔質基材上にエアロゾルデポジション法により緻密な構造物を形成する、あるいは構造物を形成すること自体がほとんどできなかった。
特許文献2では、空気極であるLSM多孔質基材上にLSM/YSZからなる触媒層をコートした後でガスデポジション法によりYSZ電解質層を形成している。LSM/YSZ層は基材の表面気孔だけでなく、基材全面を覆うように形成される。
特許文献3では、基材の孔や空隙の封止処理としてスプレー法またはめっき法などを採用している。
特許文献4では、樹脂などを充填材として多孔質支持体の孔を封止した後で、別途表面を研磨する工程を設けている。さらに、最終的には充填材を除去するための工程も必要である。
特許文献2、特許文献3では共に多孔質基材上にエアロゾルデポジション法で構造物を形成する前に、予め表面気孔を封止することで平坦化させることが開示されている。
しかしながら、封止工程はペーストを塗布したり、無電解めっき等の方法であり、表面気孔のみを選択的に封止することはできず、表面気孔以外の基材上にも封止工程で被膜が形成されてしまうという問題があった。エアロゾルデポジション法で製膜された構造物と封止工程で形成された被膜とが良好な密着性を有したとしても、封止工程で形成された被膜と基材との密着性が悪ければ、最終的にはエアロゾルデポジション法で形成された構造物も基材から剥離してしまうことになる。例えば、特許文献2ではLSM空気極上にLSM/YSZ触媒層を20μm形成しており、さらにその上にYSZ電解質をエアロゾルデポジション法で形成している。よってYSZ電解質とLSM/YSZ触媒層との密着性が良好であったとしても、LSM空気極とLSM/YSZ触媒層との界面で剥離してしまう可能性があり、基材との密着性が良好であるというエアロゾルデポジション法のメリットを生かすことができない。
また、特許文献2、特許文献3の封止工程はいずれも加熱が必要であった。工程として加熱を必要とする場合、次工程に進む前に冷却する工程がさらに必要となり、工程数が増加し、製品作製にかかる時間が長くなりコストがかかると言う問題があった。
本発明の態様は、上記課題を解決するためになされたもので、すなわちエアロゾルデポジション法を用いて、セラミックスや金属の多孔質基材の表面に緻密な脆性材料の構造物を密着性よく形成させる方法およびこの方法で形成した多孔質基材と脆性材料構造物との複合構造物を提供する。
上記目的を達成するために本発明では、多孔質基材上にエアロゾルデポジション法により緻密様脆性材料構造物が形成された複合構造物の製造方法であって、前記多孔質基材は三次元網目構造状の連続気孔を有し、且つ、前記多孔質基材の表面であって前記緻密質脆性材料構造物との界面を形成する表面は前記連続気孔と連通する表面気孔を有するものであり、前記表面気孔に選択的に脆性材料微粒子の圧粉体様構造物を形成させる第一の工程を行い、その後に、エアロゾルデポジション法により前記脆性材料微粒子を噴射し、表面気孔に選択的に脆性材料微粒子の圧粉体様構造物が形成された前記多孔質基材の表面に前記脆性微粒子を衝突させることで、前記多孔質基材の表面に前記脆性材料微粒子と同じ構成材料からなる緻密様脆性材料構造物を形成させる第二の工程を行なうことを特徴とする複合構造物の製造方法
を提供できる。
ここで三次元網目構造連続気孔とは、例えばセラミックスや金属の粒子粉体を焼成して、粒子同士の接触点を化学的に結合させてネック形成させ、ある程度強度を持たせたバルク多孔体とさせたものにおける内部の隙間のことを指す。
多孔質基材の表面は表面気孔の存在により凹凸が大きいため、そのままではエアロゾルデポジション法によって構造物を形成することが困難である。そこで予め表面気孔に選択的に脆性材料微粒子の圧粉体様構造物を形成させておくことで、基材の表面は多孔質材料と脆性材料微粒子とが表面に現れた疑似平面を形成することができ、表面粗さを小さくすることが可能になる。これにより該擬似平面上にエアロゾルデポジション法の適用が可能となる。圧粉体様構造物とは、加熱せずに単に粉体を物理的に押し固めただけの構造物であって、圧粉体様構造物を形成する微粒子それぞれが独立しており、焼成によるネック形成のような化学的結合による一体化が起こっていない状態を指す。このような圧粉体様構造物を前記多孔質基材の表面気孔に選択的に形成しているため、基材表面は、表面気孔以外の部分と、圧粉体様構造物が形成された表面気孔の部分とで擬似平面となっている。したがって、その後でエアロゾルデポジション法を適用すると、たとえ表面気孔内部の構造物が上述のように単に粉体を物理的に押し固めただけの圧粉体様構造物であったとしても、その上に良好な緻密様構造物を形成することができる。さらに、エアロゾルデポジション法で形成された緻密様構造物は、前記表面気孔以外の前記多孔質基材自体の表面との間で、エアロゾルデポジション法特有の良好な密着性を示すことができる。
圧粉体様構造物を表面気孔に形成する方法のひとつとして、例えば、多孔質材料の表面に粒径数μm以下の微粒子粉体を乾燥状態でふりかけ、振動等により表面気孔に十分に進入させ、その後表面に付着した余分な微粒子を風力等で吹き飛ばす方法などが適用できる。
多孔質材料の表面気孔を封止する方法としては、表面に微細な粒子からなるペーストやスラリーを塗布して焼成する方法が従来から採用されているが、それらの方法では表面気孔のみを選択的に封止することはできなかった。また、加熱や焼成などの肯定が必要となりコストおよび時間がかかってしまう。本発明では上述のような非常に簡便な工程により孔のみを選択的に封止することができるため、封止により形成された擬似平面上にエアロゾルデポジション法を適用した際に、多孔質基材の表面気孔以外の基材表面と、エアロゾルデポジション法で形成された構造物とが強固に接合するため多孔質基材と緻密様構造物との密着性が向上する。また、加熱や焼成のようなコスト及び時間のかかる方法を用いる必要もないためより好ましい。
本発明における複合構造物の製造方法の他の好ましい態様においては、前記第一の工程が、エアロゾルデポジション法を用いて前記脆性材料微粒子を噴射し、前記多孔質基材の表面に前記脆性材料微粒子を衝突させることで、前記表面気孔に選択的に前記脆性材料微粒子の圧粉体様構造物を形成させる工程である。
通常エアロゾルデポジション法で形成される脆性材料の構造物は、衝突による衝撃で原料微粒子が破砕・変形をおこすため結晶子のサイズが十〜数十nmと小さく、緻密で強度が高い、いわゆる強固な脆性材料の膜である。しかしながらここでは、エアロゾルデポジション法で形成される構造物とは、通常のエアロゾルデポジション法では忌避され、膜としての利用価値が認められていなかった圧粉体様構造を指している。微粒子を吹き付けて多孔質基材の表面気孔に微粒子を進入させ、表面気孔に選択的に積極的に圧粉体様構造物を堆積させる。この圧粉体様構造物が表面気孔を塞ぐことで、多孔質基材の表面は疑似平面を有することとなる。これに引き続いてこの上にいわゆる通常のエアロゾルデポジション法による緻密様構造物形成が行われ、多孔質基材上への緻密膜形成が達成される。なお、圧粉体様構造物が形成される製膜条件では、表面気孔以外の基材表面に緻密様構造物が形成されることはない。また、圧粉体様構造物は表面気孔に選択的に形成されるため、表面気孔以外の基材表面にはほとんど形成されない。仮に表面気孔以外の基材表面に圧粉体様構造物が一部付着したとしても、その後の緻密様構造物の製膜条件を適用することで、不要な圧粉体様構造物は除去される、または、脆性材料微粒子の衝突による衝撃により破砕変形を起こしその一部は緻密様構造物に取り込まれる。その結果、圧粉体様構造物が選択的に表面気孔に形成され、その上に緻密様構造物が形成された複合構造物が形成される。圧粉体様構造物の形成と、緻密様構造物の形成とを、同じエアロゾルデポジション法を用いることで、工程のさらなる単純化が行え、より好ましい。
本発明における複合構造物の形成方法のさらに好ましい形態においては、前記圧粉体様構造を形成させる工程における微粒子噴射速度は、前記緻密様構造を形成させる工程における微粒子噴射速度よりも遅いことを特徴とする。
エアロゾルデポジション法で緻密な構造物を形成させず、圧粉体様構造を形成させるための一つの効果的条件は、微粒子速度を低下させることである。エアロゾルデポジション法で構造物を形成するためには、50m/sから450m/sの速度で脆性材料微粒子を噴射させて基材に衝突させなければならない。逆に50m/s未満では圧粉体様構造物となることが知られている。緻密様構造が形成できる微粒子速度の製膜条件で多孔質基材上に脆性材料微粒子を吹き付けた場合、局所的に見れば、表面気孔上では、微粒子速度が減速するため微粒子の破砕変形が起こらず圧粉体様構造物の堆積が進展する。一方で、表面気孔以外の基材表面では微粒子速度は減速しないため、微粒子は破砕変形を起こし、最終的には緻密様構造の形成が進展する。表面気孔と、表面気孔以外の基材表面とで製膜状態が異なるため、基材全面に亘って緻密様構造物を得ることができない。または、仮に基材全面に亘って緻密様構造物が形成できたとしても、表面気孔と表面気孔以外の基材表面とで膜厚のばらつきが大きくなる。従って、まず微粒子速度を低下させて、緻密様構造物形成が起こらない条件で多孔質基材に脆性材料微粒子を衝突させ、表面気孔に圧粉体様構造物を選択的に形成させることで、多孔質基材の表面を、表面気孔以外の多孔質基材表面(骨材)と、脆性材料微粒子の圧粉体様構造物とが散在した疑似平面を形成させ、この後に、製膜条件を緻密様構造物の形成に合わせた、いわゆる通常のエアロゾルデポジション法に切り替えて構造物形成を行うことで、より均質で膜厚精度に優れた緻密様構造物形成が達成できる。したがって、エアロゾルデポジション法により微粒子噴射速度を変えて製膜するだけで、従来エアロゾルデポジション法では構造物を形成することができなかった多孔質基材上にも、その表面気孔を圧粉体様構造物で封止することで緻密な構造物を形成することが可能となった。
本発明における複合構造物の形成方法の他の好ましい形態においては、前記第一の工程における前記多孔質基材の表面に前記脆性材料微粒子が衝突する際の衝突角度が、前記第二の工程における前記多孔質基材の表面に前記脆性材料微粒子が衝突する際の衝突角度よりも小さいことを特徴とする。
エアロゾルデポジション法では、緻密様構造物を形成させる場合に、その緻密度と構造物形成速度がエアロゾルの衝突角度に大きく依存する。微粒子が衝突面に垂直に衝突した場合、構造物形成速度は最大となるが、緻密度はやや低下する。角度が浅くなるにしたがい、構造物形成速度が徐々に低下し、また緻密度は徐々に上昇するが、やがて形成が行われなくなる。この特徴を活かして、圧粉体構造を形成させる場合に、多孔質基材との角度を適当に調整することで、緻密様構造物形成を抑止させるとともに、表面気孔に微粒子を選択的に進入させ、圧粉体様構造物を形成することが可能となる。
本発明における複合構造物の形成方法の他の好ましい態様においては、前記第1の工程は、少なくとも前記表面気孔に脆性材料微粒子の圧粉体様構造物を形成させる工程を行なった後に、さらに前記多孔質基材の表面であって前記表面気孔以外の部分に形成された圧粉体様構造物を除去する工程を行なうものであり、前記圧粉体様構造物を除去する工程がエアロゾルデポジション法により脆性材料微粒子を噴射し、前記圧粉体様構造物が形成された前記多孔質基材の表面に前記脆性微粒子を衝突させることで行なわれるものであることを特徴とする。
圧粉体様構造物の形成過程において、形成方法によっては表面気孔のみを選択的に封止することが難しく、表面気孔以外の場所にも圧粉体様構造物が形成されてしまう場合も考えられる。特に基材表面積が大きい場合など、微粒子を溶媒と混合したスラリーを基材表面にスプレー法、ディップ法などで適用し、乾燥させる方法が簡便であるが、これらの方法では表面気孔のみを選択的に封止することは困難である。このような場合にも、その後エアロゾルデポジション法を適用することで、噴射された微粒子により表面気孔以外の基材表面に形成された圧粉体様構造物を除去することができる。なお、乾燥は溶媒が除去されれば良く、常温か、加熱する場合には微粒子同士が焼成などで化学的に結合する温度よりも低い温度とすればよい。また、圧粉体様構造物は表面気孔を塞ぐことができればよく、できるだけ薄いことが望ましい。圧粉体様構造物の厚さが十分に薄ければ、エアロゾルデポジション法による緻密様構造物形成工程で噴射された脆性材料微粒子により表面気孔以外の基材表面に形成された余分な圧粉体様構造物を除去することが可能であり最終的には表面気孔のみが選択的に圧粉体様構造物で封止された構造を得ることができる。また、圧粉体様構造物が比較的厚い場合にはブラシなどで予め表面気孔以外の基材表面に形成された圧粉体様構造物を除去しておくことが望ましい。
本発明における複合構造物の形成方法の他の好ましい態様においては、前記表面気孔の平均気孔径が4μm以上である。
エアロゾルデポジション法で用いられる脆性材料微粒子の平均粒子径は0.1〜5μmであるが、構造物形成の主体となる。すなわち衝突により効果的に破砕・変形が生じる微粒子の径はサブミクロンの平均粒子径をもったものである。従って構造物形成を効果的に行う場合は、サブミクロン領域に粒子径を持つ原料を用いる。多孔質基材の表面気孔の平均気孔径が1μm程度かそれを下回る場合は、脆性材料微粒子は孔内部に進入しにくく、多孔質基材上にエアロゾルデポジション法を適用した場合、表面気孔を封止せずとも緻密様構造物が基材全面に亘って形成される。一方、平均気孔径が4μm以上となると、表面気孔の存在により表面の粗さが大きくなり、表面気孔を封止しなければ、基材全面に亘ってエアロゾルデポジション法で緻密様構造物を形成することができなくなる。よって、本発明は、平均気孔径が4μm以上の多孔質基材に緻密な構造物を形成させるときに特に好適な方法であり、このとき圧粉体様構造物の形成を好適に採用できる。なお圧粉体様構造物の形成時間が必要以上に長くならないことや、表面に現れる圧粉体様構造物のみの領域が大きくなりすぎ、緻密様構造物と多孔質基材との密着性が保てないことなどの観点から、多孔質材料の表面気孔の平均気孔径の最大値は50μmを超えないことが望ましい。
本発明における複合構造物の形成方法の他の好ましい態様においては、前記第一の工程における脆性材料微粒子と前記第二の工程における脆性材料微粒子とが同一の主成分である。
圧粉体様構造物と緻密体様構造物との主成分を同一とすれば、圧粉体様構造物と緻密体様構造物との界面で密着性が向上するため好ましい。
本発明における複合構造物の形成方法の他の好ましい態様においては、前記第一の工程における脆性材料微粒子と前記第二の工程における脆性材料微粒子とが異なる主成分である。
緻密様構造物が、ある要求特性を満たすことを求められている場合、緻密様構造物自身は緻密度や膜厚が均一であることが望ましい。そのため、圧粉体様構造物を緻密様構造物とは異なる主成分の材料で形成することによって、緻密様構造物は擬似平面状に均一な膜厚で形成されるため、要求特性を満たすことができ好ましい。
さらには、エアロゾルデポジション法で第一の工程において、圧粉体様構造物を形成する場合、第二の工程で採用する材料に比較して、緻密様構造物が形成されにくい材料を選択することが考えられる。この場合は、エアロゾルデポジション法による圧粉体様構造形成に際する構造物形成条件の選択の幅が広がり、工程の構築がより容易になり、好適である。
本発明における複合構造物の形成方法の他の好ましい態様においては、前記第一の工程における前記脆性材料微粒子には、前記多孔質基材の主成分が含まれる。
圧粉体様構造物を形成する微粒子の主成分を多孔質基材との主成分を同一とすれば、圧粉体様構造物と多孔質基材との界面で密着性が向上するため好ましい。
このように、脆性材料の組成はその必要とされる機能に応じて任意に選択することができる。
本発明の態様によれば、エアロゾルデポジション法で作製することが従来困難であったセラミックスや金属の多孔質基材の表面に緻密な脆性材料の構造物が形成された複合構造物を作製することが可能となる。
本発明の一実施例による複合構造物の断面SEM観察像である。 本発明の一実施例による複合構造物の断面SEM観察像である。 本発明の一実施例による構造物の圧粉体様構造部分の断面SEM観察像である。 本発明の一実施例による構造物の圧粉体様構造から緻密様構造への遷移部分の断面SEM観察像である。 本発明の一実施例による構造物の緻密様構造部分の断面SEM観察像である。 本発明の一実施例による複合構造物を示す模式図である。 本発明の一実施例による複合構造物を示す模式図である。 本発明の一実施例による複合構造物を示す模式図である。 本発明の一実施例によるエアロゾルデポジション法装置である。 比較例による複合構造物の破断面の断面SEM観察像である。
エアロゾルデポジション法の説明を行う。
一般的にエアロゾルデポジション法は、脆性材料などの微粒子をガス中に分散させたエアロゾルをノズルから基材に向けて噴射し、金属やガラス、セラミックスやプラスチックなどの基材に微粒子を衝突させ、この衝突の衝撃により脆性材料微粒子を変形や破砕を起さしめてこれらを接合させ、基材上に微粒子の構成材料からなる構造物をダイレクトで形成させることを特徴としており、特に加熱手段を必要としない常温で構造物が形成可能であり、焼成体と同等の機械的強度を保有する緻密な構造物を得ることができる。脆性材料微粒子が変形や破砕を起こしていることは、微粒子と形成された構造物との結晶子サイズの比較を行い、後者が前者に比較して小さくなっていることから知ることができる。結晶子サイズの同定にはX線回折を用いることができる。
続いて本発明にかかる用語の説明を行う。
本明細書において、「表面気孔」とは、多孔質基材の表面に位置するくぼみであり、多孔質基材が連続気孔を有する場合は、この表面気孔を通じて多孔質基材の厚み方向にガス透過特性を有する。本発明においては、多孔質基材上の構造物が形成させる面においては少なくとも連続気孔を有する。
また「緻密様構造物」とは、エアロゾルデポジション法により形成された構造物であって、複合構造物の断面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察した場合、構造物において、その原料となる脆性材料微粒子の形をとどめていないと明快に判断できる部位を差す。具体的には図2の多孔質基材表面に接合している構造物の状態を指し、図5のような構造物を指す。
また「圧粉体様構造物」とは、脆性材料微粒子が物理的に押し固められただけの構造物のことで、複合構造物の断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察した場合、その原料となる脆性材料微粒子の形が明快に確認される部位を差す。具体的には図2の多孔質基材の表面気孔に見られる構造物を指し、図3のような構造を指す。なお圧粉体様構造物は脆弱なために、走査型電子顕微鏡での観察サンプル作製の折に、サンプルに水中超音波洗浄などを施すと微粒子が水中に分散して散逸する恐れがあるため、サンプル作製には注意が必要である。
このように圧粉体様構造物は、微粒子同士が物理的に接触している状態であり、比較的強固に接触している場合は、ファンデルワールス力や静電引力、水分による架橋引力などが構造を保たせる力となっている。微粒子同士が化学的には結びついていないため、水中での超音波振動など外力を与えると容易に崩壊する。
また「エアロゾル」とは、ヘリウムガスやアルゴンガスのような不活性ガス、窒素ガス、酸素ガス、乾燥空気、水素ガス、有機ガス、フッ素ガス、これらを含む混合ガスなどのガス中に、構造物となる脆性材料の微粒子を含ませて分散させた状態を指す。一部凝集体を含む場合もあるが、微粒子は単独で分散している状態が好ましい。エアロゾルのガス圧力と温度は任意であるが、ガス中の微粒子濃度は、ガス圧を1気圧、温度を摂氏20度に換算した場合に、基材に衝突させる際に0.0003mL/L〜10mL/Lの範囲にあることが構造物の形成にとって好ましい。
また「平均気孔径」は平均細孔径とも言われ、その測定には、エタノールや水中に多孔質材料を浸せきして、裏面側からガス圧を印加してそのガス通過圧力を測定することで孔径を計測するバブルポイント法を用いることができる。本発明においては、多孔質基材の表面気孔の平均気孔径は4μm以上の場合を含む。平均気孔径がこれより十分大きくても問題ないが、実質的には平均気孔径は50μm未満が好ましい。
本発明の複合構造物の形成方法により作製された複合構造物を図1から図5に示す。図1の俯瞰写真から、多孔質基材の表面が緻密様構造物で被覆されていることがわかる。この緻密様構造物はエアロゾルデポジションにより形成されている。図2では、多孔質基材の表面気孔径は、約20μmである。多孔質基材表面は緻密様構造物で覆われており、表面気孔内部には圧粉体様構造物が形成されている。
本発明に係る複合構造物の一態様を図6に示す。
複合構造物10は多孔質基材101の表層に脆性材料微粒子材料からなる圧粉体様構造物102が表面気孔に存在し、同じく脆性材料微粒子材料からなる緻密様構造物103が最表層に存在する。この圧粉体様構造物102、緻密様構造物103はエアロゾルデポジション法を用いて形成することができる。多孔質基材101はセラミックス焼成体や金属が利用できる。
本発明に係る複合構造物の別の一態様を図7に示す。
複合構造物20は母材となる多孔質基材201の一面側に、表層を形成する多孔質材料202が配置されており、この表層を形成する多孔質材料202の表層に脆性材料微粒子材料からなる圧粉体様構造物203が表面気孔に存在し、同じく脆性材料微粒子材料からなる緻密様構造物204が最表層に存在する。この圧粉体様構造物203、緻密様構造物204、はエアロゾルデポジション法を用いて形成することができる。多孔質基材201、多孔質材料202はセラミックス焼成体や金属が利用できる。
ここで、多孔質基材または多孔質材料を形成する材料や脆性材料微粒子には様々な材料を選択することができる。また、この方法で形成された複合構造物の好適な利用例としては、固体酸化物形燃料電池が挙げられる。例えば多孔質基材または多孔質材料としてのセラミック焼成体には、固体酸化物形燃料電池に使われる燃料極や空気極材料が挙げられ、具体的にはランタンマンガナイト、ランタンコバルタイト、サマリウムコバルタイト、及びこれらにストロンチウムやカルシウム、マグネシウムなどを添加して電子伝導特性を改善した複合酸化物、イットリア安定化ジルコニア、スカンジア安定化ジルコニア、セリア系電解質に酸化ニッケルを混合させた複合酸化物などが挙げられる。
また脆性材料微粒子としては、酸化物イオン伝導体、電子伝導体、ガス透過膜材料などが挙げられ、具体的には、ランタンガレート、セリア系電解質、イットリア安定化ジルコニア、スカンジア安定化ジルコニア、これらの特性を改善するために各種ドーパントを添加した複合酸化物などが挙げられる。そのほか、ゼオライトやシリカなどが利用できる。もちろんこれらに限られるものではなく、緻密様構造物により気体や液体を隔てる役割を果たす材料として様々利用できる。これらを用いて、例えば燃料電池用電解質や、ガス分離膜などを形成することが好適である。脆性材料微粒子から形成された構造物は、緻密様構造物においてガス分子を透過させない役割を果たす。燃料電池材料として例えば脆性材料微粒子に酸素イオン導電性物質を利用する場合は、多孔質材料側に存在する圧粉体様構造物が、ガスと空気極や燃料極などの電極材料と、酸素イオン導電性物質からできた電解質層などの構造物、及びガスとの三相界面の表面積を増やす効果があり、構造物中に電解質を取り込む量を多くすることができ、好適である。またエアロゾルデポジション法で形成する構造物は1〜数μmまでの比較的薄い膜として獲得することができるため、酸素イオン伝導の抵抗を小さくすることができ、好適である。
本発明の係る複合構造物の別の一態様を図8に示す。
複合構造物30は、多孔質基材301の表層に脆性材料微粒子材料からなる圧粉体様構造物302が表面気孔に存在し、同じく脆性材料微粒子材料からなる緻密様構造物303が最表層に存在する。さらに緻密様構造物303の表面には多孔質構造層305が接合して配置されている。この圧粉体様構造物302、緻密様構造物303はエアロゾルデポジション法を用いて形成することができる。多孔質基材101はセラミックス焼成体や金属が利用できる。多孔質構造層305はスラリーコートによるセラミックス焼成法やゾルゲル法、溶射法などが利用でき、セラミックスや金属の材料が適用できる。
多孔質基材と、圧粉体様構造物と、緻密様構造物との複合構造物の表面に多孔質層を形成させた用例を具体的に述べると、空気極多孔質基材上にエアロゾルデポジション法により電解質構造物を形成し、この上に多孔質の燃料極を形成した燃料電池、ガス分離膜が挙げられる。この手法により、非常に薄いガス分離膜を多孔質材料中に埋め込むことができるために、ガス透過、分離が効率的に行える。
次に本発明の複合構造物を形成させる実施例を記載する。
図9に示すエアロゾルデポジション装置を用いて、平均気孔径が約10μmの焼成法で形成したセラミック製多孔質基材408上に、平均粒径が0.5μmのランタンカルシウムクロマイト材料を原料脆性材料微粒子として、エアロゾルデポジション法により構造物形成を行った。ノズル幅10mm、ノズルスリット幅0.8mmの矩形開口を持つノズル406を採用した。ガスとして窒素ガスを用い、真空ポンプ409にて構造物形成室405内の圧力を500〜1000Paに調整した。ガス流量を2L/minとして、ガスソース401よりエアロゾル発生器403へガス配管402を通じてガスを導入して、エアロゾル発生器403で原料脆性材料微粒子を窒素ガスに分散させたエアロゾルを発生させた。エアロゾルはエアロゾル搬送管404を通ってノズル406に搬送され、ノズル406の開口から多孔質基材408に向けて脆性材料微粒子を噴射して、多孔質基材408の表面気孔に微粒子を進入させ、表面気孔を脆性材料微粒子の圧粉体からなる圧粉体様構造で封止する工程を施した。このとき、アクチュエータ407を用いて多孔質基材408をノズル406に対して揺動させて、構造物を形成させたい所望の面積にエアロゾルが衝突するようにした。この結果、多孔質基材の表面気孔は脆性材料微粒子の圧粉体様構造物で埋められ、多孔質基材表面は擬似的に平面に近い状態となった。
続いて窒素ガス流量を8L/minとして、多孔質基材408に向けて脆性材料微粒子を噴射して、この擬似的平面上に脆性材料微粒子の構成材料からなる緻密様構造物を形成した。この工程により、圧粉体様構造物の一部は脆性材料微粒子衝突の衝撃を受けて、一部が除去されるとともに一部が構造化を起こし、図1、図2に見られるように脆性材料微粒子の圧粉体様構造物が表面気孔にのみ選択的に形成され、圧粉体様構造物と緻密様構造物とが連続して存在する構造を得た。図1では表面気孔を有する多孔質基材表面に緻密様構造物が形成された状態が観察される。図2では、その最表面部が拡大して示されており、表面気孔には圧粉体様構造物が形成され、その上に脆性材料微粒子からなる緻密様構造物が形成されていることが見て取れる。ここで、最表層部では緻密様構造物、気孔部内部に向かって圧粉体様構造物と連続的に変化していることがわかる。図1、2に見られるように、緻密様構造物の厚みは2μm程度であり、多孔質基材の表面気孔の気孔径よりも薄い厚みとなっている部分も存在する。
この多孔質基材の表面気孔径を走査型電子顕微鏡写真から判定し、少なくとも4μm上の径を有する開孔部が至るところに存在していることがわかった。大きなものでは表面気孔の径は30μmを超えていた。
図2の構造を達成するには、圧粉体様構造物を形成させる工程において、多孔質基材の表面気孔以外の表面に構造物が形成されない程度の微粒子衝突速度を選択することで、表面気孔への脆性材料微粒子進入による圧粉体様構造物形成のみを選択的に実行できるため、多孔質基材表面の擬似平面化をより簡便に達成できることとなり、好適である。多孔質基材としては、セラミック材質の適用の他に金属材質が考えられるが、この場合は特に構造物形成がされやすいため、上述の制御は有効になる。
またこの工程において、エアロゾルの衝突角度を変えながら脆性材料微粒子進入を行わせると、表面気孔への圧粉体様構造物の充填具合が高まるためにより好適となる。
上記複合構造物を形成することで、圧粉体様構造物近傍ではガスの移動が可能となり、緻密様構造物においてはガスの透過を阻止することが可能となる。従って構造物全体の構成厚みに比較して実効的なガスバリア層厚みを小さくすることができ、構造物にイオン伝導性材料を用いれば、燃料電池やガス分離膜、ガスセンサなどのイオン伝導機能を向上させることができる。また構造物に電子伝導材料を用いれば、ガス分子からの電子の授受とその構造物形成厚み方向の電子伝導距離を極力小さくすることでき、好適である。緻密様構造物と多孔質基材との密着性が確保できる程度に多孔質基材の表面気孔の径や気孔率を大きくすることでさらにこれらの機能を向上させることができ、好適である。
上記工程は連続して行うことが可能であるため、工程簡略化において好適である。
多孔質基材は必ずしもすべて連続気孔を有している必要はなく、構造物を形成したい面が多孔質構造となっていれば適用できる。例えば緻密構造と多孔質構造の複合された基材のうち、多孔質構造部のみに選択的に構造物形成を行うことができる。
また多孔質基材にガスを流すなどの利用を行う場合や、その通気性を考慮して、構造物形成面の多孔質度とそれ以外の部分の多孔質度を任意に調整することが可能である。
また圧粉体様構造物を形成させる工程は、別途異なる方法で行うことができる。例えば、同じ微粒子材料や異なる微粒子材料を多孔質基材表面から擦り込むことや、これら微粒子材料を溶媒に分散させたスラリー状のものに浸せきさせたり、表面から吸引させるなどして微粒子材料の圧粉体様構造物を表面気孔に充填させ、乾燥させるなどの工程が考えられる。
比較例
平均粒子径が2μmのセラミック微粒子を焼成して作製した開口部の平均気孔径が1μmの多孔質基材上に、図9に示すエアロゾルデポジション装置を用いて、平均粒径が0.5μmの原料脆性材料微粒子を用いて、構造物形成を。ノズル幅6mm、ノズルスリット幅1.2mmの矩形開口を持つノズルを採用した。ガスとして窒素ガスを用い、真空ポンプ409にて構造物形成室405内の圧力を500〜1000Paに調整した。流量を10L/minとして、エアロゾル発生器で原料脆性材料微粒子を窒素ガスに分散させたエアロゾルを発生させた。
その結果、図10に示すように脆性材料からなる緻密様構造物が多孔質基材上をそのままカバーするように形成され、基材との界面付近から膜表面までが緻密な構造物であることが確認された。表面気孔径が脆性材料微粒子の径とほぼ同じであるため、表面気孔に圧粉体様構造物が形成されることなく緻密様構造物がダイレクトに形成される。
本発明の複合構造物の産業上の用途として、多孔質構造体と緻密構造体の積層構造からなる固体電解質形燃料電池、またイオン伝導膜を利用したガスセンサ、ガス分離膜構造体・イオンポンプ、端部封止された多孔質構造体などが挙げられる。
10…複合構造物、101…多孔質基材、102…圧粉体様構造物、103…緻密様構造物、40…エアロゾルデポジション装置、401…ガスソース、402…ガス配管、403…エアロゾル発生器、404…エアロゾル搬送管、405…製膜チャンバー、406…ノズル、407…アクチュエータ、408…セラミック製多孔質材料、409…真空ポンプ

Claims (10)

  1. 多孔質基材上にエアロゾルデポジション法により緻密様脆性材料構造物が形成された複合構造物の製造方法であって、
    前記多孔質基材は三次元網目構造状の連続気孔を有し、且つ、前記多孔質基材の表面であって前記緻密質脆性材料構造物との界面を形成する表面は前記連続気孔と連通する表面気孔を有するものであり、
    前記表面気孔に選択的に脆性材料微粒子の圧粉体様構造物を形成させる第一の工程を行い、
    その後に、
    エアロゾルデポジション法により前記脆性材料微粒子を噴射し、表面気孔に選択的に脆性材料微粒子の圧粉体様構造物が形成された前記多孔質基材の表面に前記脆性微粒子を衝突させることで、前記多孔質基材の表面に前記脆性材料微粒子と同じ構成材料からなる緻密様脆性材料構造物を形成させる第二の工程を行なうことを特徴とする複合構造物の製造方法。
  2. 前記第一の工程が、エアロゾルデポジション法を用いて前記脆性材料微粒子を噴射し、前記多孔質基材の表面に前記脆性材料微粒子を衝突させることで、前記表面気孔に選択的に前記脆性材料微粒子の圧粉体様構造物を形成させることを特徴とする請求項1に記載の複合構造物の製造方法。
  3. 前記第一の工程における脆性材料微粒子の噴射速度は、前記第二の工程における脆性材料微粒子の噴射速度よりも遅いことを特徴とする請求項2に記載の複合構造物の形成方法。
  4. 前記第一の工程における前記多孔質基材の表面に前記脆性材料微粒子が衝突する際の衝突角度が、前記第二の工程における前記多孔質基材の表面に前記脆性材料微粒子が衝突する際の衝突角度よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の複合構造物の製造方法。
  5. 前記第1の工程は、少なくとも前記表面気孔に脆性材料微粒子の圧粉体様構造物を形成させる工程を行なった後に、さらに前記多孔質基材の表面であって前記表面気孔以外の部分に形成された圧粉体様構造物を除去する工程を行なうものであり、
    前記圧粉体様構造物を除去する工程がエアロゾルデポジション法により脆性材料微粒子を噴射し、前記圧粉体様構造物が形成された前記多孔質基材の表面に前記脆性微粒子を衝突させることで行なわれるものであることを特徴とする請求項1に記載の複合構造物の製造方法。
  6. 前記表面気孔の平均気孔径が4μm以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の複合構造物の形成方法。
  7. 前記第1の工程における脆性材料微粒子と前記第二の工程における脆性材料微粒子とが同一の主成分であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の複合構造物の製造方法。
  8. 前記第1の工程における脆性材料微粒子と前記第二の工程における脆性材料微粒子とが異なる主成分であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の複合構造物の製造方法。
  9. 前記第1の工程における前記脆性材料微粒子には、前記多孔質基材の主成分が含まれることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の複合構造物の形成方法。
  10. 請求項1乃至9に記載の製造方法を用いて作製された複合構造物。
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