JP2010121152A - クロムめっき浴の製造方法、及びめっき皮膜の形成方法 - Google Patents

クロムめっき浴の製造方法、及びめっき皮膜の形成方法 Download PDF

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Abstract

【解決手段】(A)クロム酸と有機酸とを、これらを含む水溶液中で混合し、上記有機酸によりクロム酸を還元して、6価のクロムイオンを含まない水溶液を調製する工程、(B)上記6価のクロムイオンを含まない水溶液に、pH調整剤を添加して、pHを1〜4に調整する工程、(C)更に、pH調整後の上記6価のクロムイオンを含まない水溶液に、クロム酸を添加して、3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとを含有する水溶液を調製する工程を含む方法により、3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとを含有するクロムめっき浴を製造する。
【効果】3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとの含有量(含有比)を所定の値に容易に、かつ確実に調整して、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴を製造することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、クロムめっき浴の製造方法、及びめっき皮膜の形成方法に関する。
クロムめっき浴には、3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとの双方を含有するクロムめっき浴が知られている。3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとを含むクロムめっき浴は、その特性を生かすためには、3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとの含有量(含有比)を所定の値に調整することが必要である。一般に、クロム酸を有機酸により、クロム酸の一部を還元して3価のクロムイオンとする方法により、このようなめっき浴が調製されるが、この方法でめっき浴を調製する場合、6価のクロムイオンから3価のクロムイオンへの還元の程度によって、3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとの含有量(含有比)が変化することになる。特に、これらクロム酸及び有機酸を水に溶解させる反応、及び上記還元反応の双方が発熱反応であるため、3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとの含有量(含有比)を所定の値に合わせるために、厳密な温度制御が要求される。
更に、6価のクロムイオンは、有害性が高いことから、これを取り扱う上では、十分な管理が必要である。特に、運搬上の漏洩を避けるためには、6価のクロムイオンを溶液の状態で運搬することは、可能な限り避けることが望ましい。
また、クロムめっき皮膜を備えるめっき皮膜を利用する分野においては、より優れた特性を有するクロムめっき皮膜が求められると共に、省資源、省エネルギーの観点から、工程の簡略化が求められている。
特公昭46−40761号公報 特開昭52−125427号公報 特開昭59−185794号公報 特開昭59−223143号公報 江口清一郎,「クロム酸−飽和ジカルボン酸浴における光沢クロムメッキの生成」,金属表面技術,Vol.19,No.11,p.451−456,1968 陣屋久、見崎吉成、田辺良美,「電析法による非晶質Crおよび非晶質Cr二元合金の作製」,金属表面技術,Vol.32,No.12,p.631−636,1981 江口清一郎、吉田徹,「シュウ酸浴から光沢クロムめっきを得るための組成および条件」,金属表面技術,Vol.33,No.6,p.272−277,1982 江口清一郎、森河努、横井昌幸,「シュウ酸浴におけるクロムめっきの浴電圧および被覆力」,金属表面技術,Vol.35,No.2,p.104−108,1984 森河努、江口清一郎,「シュウ酸浴からのクロムめっきの硬さ」,金属表面技術,Vol.37,No.7,p.341−345,1986 森河努、横井昌幸、江口清一郎、福本幸男,「硫酸クロム(III)−カルボン酸塩浴からのCr−C合金めっき皮膜の作製」,表面技術,Vol.42,No.1,p.95−99,1991 森河努、横井昌幸、江口清一郎、福本幸男,「硫酸クロム(III)−シュウ酸アンモニウム浴からの非晶質Cr−C合金めっき」,表面技術,Vol.42,No.1,p.100−104,1991 渡邊和夫,「装飾3価クロムめっき技術」,表面技術,Vol.56,No.6,p.320−324,2005
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとの双方を含有するクロムめっき浴を、3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとの含有量(含有比)を所定の値に容易に、かつ確実に調整して製造することができるクロムめっき浴の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、クロムめっき皮膜を備えるめっき皮膜を利用する分野、特に耐食性を要求されるクロムめっき皮膜を含むめっき皮膜の形成や、バレルめっきによるクロムめっき皮膜の形成において、より優れた特性を有するクロムめっき皮膜を形成することができ、また、めっき皮膜形成の工程の簡略化が可能となるめっき皮膜の形成方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、
(A)クロム酸と有機酸とを、これらを含む水溶液中で混合し、上記有機酸によりクロム酸を還元して、6価のクロムイオンを含まない水溶液を調製する工程、
(B)上記6価のクロムイオンを含まない水溶液に、pH調整剤を添加して、pHを1〜4に調整する工程、
(C)更に、pH調整後の上記6価のクロムイオンを含まない水溶液に、クロム酸を添加して、3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとを含有する水溶液を調製する工程
によって、3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとを含有するクロムめっき浴を製造することにより、3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとの含有量(含有比)を所定の値に容易に、かつ確実に調整して製造することができることを見出した。
また、本発明者は、基材上に単層又は複層からなるめっき皮膜において、このめっき皮膜を構成する単層の全部又は複層の一部若しくは全部として、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴、特に、上記製造方法により得られた3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴をクロムめっき浴として用いた電気めっきによりクロムめっき皮膜を形成すれば、耐食性を要求されるクロムめっき皮膜を含むめっき皮膜の形成や、バレルめっきによるクロムめっき皮膜の形成において、優れた特性を有するめっき皮膜を形成することができ、更には、めっき皮膜形成の工程の簡略化も可能となることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記のクロムめっき浴の製造方法、及びめっき皮膜の形成方法を提供する。
請求項1:
3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとを含有するクロムめっき浴の製造方法であって、
(A)クロム酸と有機酸とを、これらを含む水溶液中で混合し、上記有機酸によりクロム酸を還元して、6価のクロムイオンを含まない水溶液を調製する工程、
(B)上記6価のクロムイオンを含まない水溶液に、pH調整剤を添加して、pHを1〜4に調整する工程、
(C)更に、pH調整後の上記6価のクロムイオンを含まない水溶液に、クロム酸を添加して、3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとを含有する水溶液を調製する工程
を含むことを特徴とするクロムめっき浴の製造方法。
請求項2:
上記(A)工程において、クロム質量基準で60〜140g/Lのクロム酸と、50〜700g/Lの有機酸とを、両者の比を、
(有機酸)/(クロム酸)=1.5〜4.0(モル比)
として混合することを特徴とする請求項1記載のクロムめっき浴の製造方法。
請求項3:
上記(C)工程において、クロム質量基準で0.1〜40g/Lのクロム酸を添加することを特徴とする請求項1又は2記載のクロムめっき浴の製造方法。
請求項4:
上記(A)工程と(B)工程との間、上記(B)工程と(C)工程との間、及び上記(C)工程の後から選ばれる1又は2以上において、更に、
(D)上記水溶液に、導電塩、安定剤及びピット防止剤から選ばれる1種又は2種以上を添加する工程
を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のクロムめっき浴の製造方法。
請求項5:
基材上に単層又は2層以上の複数層からなるめっき皮膜を形成する方法であって、該めっき皮膜を構成する単層の全部又は複層の一部若しくは全部として、請求項1乃至4のいずれか1項記載の方法により得られた3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴を第1のクロムめっき浴として用いた電気めっきにより第1のクロムめっき皮膜を形成する工程を含むことを特徴とするめっき皮膜の形成方法。
請求項6:
基材上に単層又は2層以上の複数層からなるめっき皮膜を形成する方法であって、請求項5記載の方法により第1のクロムめっき皮膜を形成することによって3価のクロムイオンが減少した第1のクロムめっき浴に、水酸化クロム又は塩基性炭酸クロムを含むスラリーを添加することにより、3価のクロムイオンを補給すると共にpHの調整をおこない、上記めっき皮膜を構成する単層の全部又は複層の一部若しくは全部として、3価のクロムイオンが補給された第1のクロムめっき浴を用いた電気めっきにより第1のクロムめっき皮膜を形成することを特徴とするめっき皮膜の形成方法。
請求項7:
上記めっき皮膜を2層以上の複数層構成し、基材上に、ニッケルめっき皮膜を形成する工程と、該ニッケルめっき皮膜上に、上記第1のクロムめっき浴を用いた電気めっきにより第1のクロムめっき皮膜を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項5記載のめっき皮膜の形成方法。
請求項8:
自動車外装部材又は耐塩害部材の防食めっき皮膜を形成する方法であることを特徴とする請求項7記載のめっき皮膜の形成方法。
請求項9:
上記めっき皮膜を2層以上の複数層構成し、基材上に、上記第1のクロムめっき浴を用いた電気めっきにより第1のクロムめっき皮膜を形成する工程と、該第1のクロムめっき皮膜上に、金、白金、銀、ロジウム、及びその合金から選ばれる貴金属めっき皮膜を形成する工程とを含み、ニッケルめっき皮膜を形成する工程を含まないことを特徴とする請求項5記載のめっき皮膜の形成方法。
請求項10:
恒常的に人体と接触する部材の防食めっき皮膜を形成する方法であることを特徴とする請求項9記載のめっき皮膜の形成方法。
請求項11:
上記めっき皮膜を2層以上の複数層構成し、基材上に、上記第1のクロムめっき浴を用いた電気めっきにより第1のクロムめっき皮膜を形成する工程と、該第1のクロムめっき皮膜上に、上記第1のクロムめっき浴と異なる第2のクロムめっき浴を用いて第2のクロムめっき皮膜を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項5記載のめっき皮膜の形成方法。
請求項12:
上記めっき皮膜を2層以上の複数層構成し、基材上に、上記第1のクロムめっき浴と異なる第2のクロムめっき浴を用いて第2のクロムめっき皮膜を形成する工程と、該第2のクロムめっき皮膜上に、上記第1のクロムめっき浴を用いた電気めっきにより第1のクロムめっき皮膜を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項5記載のめっき皮膜の形成方法。
請求項13:
上記第2のクロムめっき浴が、クロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含む硬質クロムめっき浴であることを特徴とする請求項11又は12記載のめっき皮膜の形成方法。
請求項14:
基材上に、上記第1のクロムめっき浴を用いた電気めっきにより第1のクロムめっき皮膜を形成する工程と、該第1のクロムめっき皮膜上に、ニッケルめっき皮膜を形成する工程と、該ニッケルめっき皮膜上に、上記第1のクロムめっき浴を用いた電気めっきにより第1のクロムめっき皮膜を更に形成する工程を含むことを特徴とする請求項5記載のめっき皮膜の形成方法。
請求項15:
バレルめっきによりクロムめっき皮膜を形成する方法であって、請求項1乃至4のいずれか1項記載の方法により得られた3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴を第1のクロムめっき浴として用いた電気めっきによりクロムめっき皮膜を形成することを特徴とするめっき皮膜の形成方法。
本発明によれば、3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとの含有量(含有比)を所定の値に容易に、かつ確実に調整して、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴を製造することができる。
また、クロムめっき浴を調製する際、6価のクロムイオンを含まない水溶液を一旦調製することができることから、この6価のクロムイオンを含まない水溶液を調製して運搬し、運搬先において6価のクロムイオンを添加してやれば、クロムめっき浴運搬時の有害性の高い6価のクロムイオンの漏洩リスクを回避することができる。
更に、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴、特に、本発明のクロムめっき浴の製造方法により得たクロムめっき浴を用いて形成したクロムめっき皮膜を含むめっき皮膜は、耐食性を要求されるクロムめっき皮膜を含むめっき皮膜の形成や、バレルめっきによるクロムめっき皮膜の形成において、優れた特性を有するめっき皮膜を形成することができ、更には、めっき皮膜形成の工程の簡略化も可能である。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明においてクロムめっき浴は、3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとを含有するものである。
本発明において、このような3価のクロムイオン(Cr3+)と6価のクロムイオン(CrO4 2-)とを含有するクロムめっき浴は、
(A)クロム酸と有機酸とを、これらを含む水溶液中で混合し、上記有機酸によりクロム酸を還元して、6価のクロムイオンを含まない水溶液を調製する工程、
(B)上記6価のクロムイオンを含まない水溶液に、pH調整剤を添加して、pHを1〜4に調整する工程、
(C)更に、pH調整後の上記6価のクロムイオンを含まない水溶液に、クロム酸を添加して、3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとを含有する水溶液を調製する工程
により製造することができる。
まず(A)工程では、クロム酸(CrO3)と有機酸とを、これらを含む水溶液中で混合する。両者の混合により、クロム酸が溶解して生成した6価のクロムイオン(CrO4 2-)が、有機酸により、3価のクロムイオン(Cr3+)に還元される。有機酸は、クロム酸を還元し得るものであることが必要であり、有機酸としては、シュウ酸、マロン酸、蟻酸、グリシン、コハク酸、乳酸などが好適に用いられる。
この混合は、水溶液に添加したクロム酸(CrO3)由来の6価のクロムイオン(CrO4 2-)が、実質的に検出されなくなるまで実施される。混合の際の温度は、例えば10〜90℃とすることが好ましい。通常、溶解熱や反応熱により、水溶液の温度が上昇するが、必要に応じて、加熱、冷却することも可能である。混合時間は、温度や攪拌効率にもよるが、通常2〜50時間とすることができる。また、この(A)工程の完了時には、得られた水溶液の温度を室温程度(例えば10〜30℃)にすることが好ましい。
この(A)工程において、クロム酸の濃度は、クロム質量基準で60〜140g/L、特に80〜120g/Lとすることが好ましい。一方、有機酸の濃度は、50〜700g/L、特に、100〜400g/Lとすることが好ましい。また、クロム酸と有機酸との比[(有機酸)/(クロム酸)]は、1.5〜4.0(モル比)、特に2.5〜3.5(モル比)とすることが好ましく、特に、水溶液中の全てのクロム酸を還元するのに必要な最小量(即ち、当量)以上であることが好ましく、とりわけ当量であることが好ましい。例えば、有機酸がシュウ酸2水塩の場合、反応式は、
6(COOH)2・2H2O+2CrO3→Cr2(C243+6CO2+8H2
となり、この場合の当量は、(シュウ酸)/(クロム酸)=3(モル比)である。
なお、クロムめっき浴中、及びその製造中間品である水溶液中の6価のクロムイオンは、ヨウ化物を添加し、これを存在する6価クロムイオンでヨウ素に酸化し、生成したヨウ素をチオ硫酸塩溶液で定量するヨウ素−でんぷん反応で分析・定量することができ、3価のクロムイオンは、原子吸光法などで全クロムを定量し、6価クロムイオン分を差し引くことで分析・定量することができる。
次に、(B)工程では、(A)工程で得られた6価のクロムイオンを含まない水溶液に、pH調整剤を添加して、pHを1〜4、好ましくは1.8〜3.2に調整する。pH調整剤としては、アンモニア水や水酸化アルカリ(NaOH、KOH等)などを用いることができる。pH調整剤の添加は、(A)工程において添加したクロム酸を還元させた後、直ちに添加することが好ましい。後述する(D)工程を、(A)工程と(B)工程の間で実施する場合にあっては、(A)工程後、(D)工程を直ちに実施し、(D)工程後、直ちに(B)工程を実施することが好ましい。
次に、(C)工程では、(B)工程で得られたpH調整後の6価のクロムイオンを含まない水溶液に、クロム酸(CrO3)を添加して、3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとを含有する水溶液を調製する。この工程で添加されるクロム酸は、(A)工程で添加されるクロム酸の量より少ない量とされ、クロム酸の濃度は、クロム質量基準で0.1〜40g/L、特に5〜35g/Lとすることが好ましい。(C)工程でクロム酸が添加される際、(A)工程で得られた6価のクロムイオンを含まない水溶液中には、上述した有機酸とクロム酸との比において、クロム酸の還元に必要な当量より有機酸の量が若干多い場合にあっては、(C)工程で添加されるクロム酸を還元し得る有機酸が残留している場合があるが、(C)工程で添加されるクロム酸の量(濃度)は、(A)工程で添加される量(濃度)より少なく(低く)、また、残留している有機酸の量(濃度)も少なく(低く)、pHも調整されて還元反応がほとんど進行しなくなっているため発熱も少なく、この段階での還元反応は僅かであり、クロムめっき皮膜中、(C)工程で添加されるクロム酸のほとんど(実質的に全て)を、6価のクロムイオン(CrO4 2-)として作用させることができる。
この際の混合の際の温度は、例えば10〜90℃とすることが好ましい。必要に応じて、加熱、冷却することも可能である。混合時間は、温度や攪拌効率にもよるが、通常2〜50時間とすることができる。また、この(C)工程の完了時には、得られた水溶液の温度を室温程度(例えば10〜30℃)にすることが好ましい。
更に、上記クロムめっき浴の製造方法では、(A)工程と(B)工程との間、(B)工程と(C)工程との間、及び(C)工程の後から選ばれる1又は2以上において、更に、
(D)上記水溶液に、導電塩、安定剤及びピット防止剤から選ばれる1種又は2種以上を添加する工程
を実施することができる。
導電塩としては、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の硫酸塩が好ましく、導電塩としての硫酸塩の濃度は、クロムめっき浴中、硫酸イオン質量として20〜200g/L、特に30〜150g/Lであることが好ましい。
また、安定剤としては、ほう酸、クエン酸、メタンスルホン酸などが好ましく、安定剤の濃度は、クロムめっき浴中、5〜60g/L、特に10〜40g/Lであることが好ましい。
また、ピット防止剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性等の界面活性剤が用いられ、公知のピット防止剤を、通常適用される公知の濃度で添加することが可能である。このピット防止剤としての界面活性剤は、アニオン性界面活性剤が好ましく、この界面活性剤を含む市販のピット防止剤薬液としては、上村工業株式会社製 アサヒベース D−2(電気ニッケルめっき用ピット防止剤)などが挙げられる。
上述したような3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴は、基材上に単層又は複層からなるめっき皮膜を形成する際、めっき皮膜を構成する単層の全部又は複層の一部若しくは全部として、電気めっきによりクロムめっき皮膜を形成する場合に好適である。
このクロムめっきにおいては、クロムめっき用の従来公知の設備が使用できる。めっき用の陽極は、従来公知のものが使用でき、例えば、Pb−5%Sn、炭素、チタン上白金めっき陽極などが好適に使用できる。液の攪拌、濾過も適宜実施できる。特に、液温のばらつきを防止するためのめっき液の緩い攪拌を兼ねて、液濾過をすることが望ましい。
めっき温度は30〜70℃、特に40〜60℃が好ましい。陰極電流密度は1〜60A/dm2、特に5〜30A/dm2が好ましい。めっき方法としては、ラックめっきなどの他、電流中断があるバレルめっきなどでも可能である。めっき時間は、要求されるめっき膜厚に応じて、めっき時間を変化させることにより可能であり、めっき時間を長くして厚付けすることも可能である。めっき時間、めっき皮膜の膜厚は、被めっき物の用途にもよるが、めっき時間は通常2〜180分間、膜厚は0.1〜15μmである。
また、この方法によりクロムめっき皮膜を形成することによって3価のクロムイオンが減少したクロムめっき浴には、水酸化クロム又は塩基性炭酸クロムを含むスラリー(水スラリー)を添加することにより、3価のクロムイオンを補給すると共にpHの調整をおこなうことが好ましい。特に、減少した3価のクロムイオンを水酸化クロムにより補給すれば、3価のクロムイオンの他に水酸化物イオンが添加されるのみであるから、水酸化クロムを添加することで3価のクロムイオンを補給すると共にpHを調整してやれば、水酸化物イオンは中和されて水となるため、不要な成分を添加したり、必要な成分であってもその量を増加させたりすることがない。このように水酸化クロム又は塩基性炭酸クロムにより3価のクロムイオンを補給したクロムめっき浴を用いれば、クロムめっき皮膜の特性を変えることなく、安定してクロムめっき皮膜の形成を繰り返すことができる。また、6価のクロムイオンは、クロム酸を適宜必要量添加して補給すればよく、その他の成分、例えば、導電塩、安定剤、ピット防止剤なども、各々適宜必要量添加して補給すればよい。
このような3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴を用いたクロムめっき皮膜の形成は、以下のような場合に好適に適用できる。
(1)めっき皮膜を複層で構成し、複層の一部を形成する工程として、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴を用いて電気クロムめっきしてクロムめっき皮膜を形成すると共に、複層の一部を形成する工程として、ニッケルめっき皮膜を形成する場合に好適である。特に、基材上に、ニッケルめっき皮膜を形成し、ニッケルめっき皮膜上に、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴を用いた電気めっきによりクロムめっき皮膜を形成する場合に好適である。このようなめっき皮膜は、自動車外装部材又は耐塩害部材の防食めっき皮膜として有用である。この場合、クロムめっき皮膜の膜厚は通常0.1〜15μmとされる。
ABS素材などのプラスチックや金属素材上に形成される耐食性が要求される金属めっき分野では、複雑な多層めっき工程が施されるが、一般に、腐食を分散し、耐食性を向上させるためのマイクロポーラス(MP)ニッケルめっきが施され、このMPニッケルめっき皮膜上に、クロムめっきが施される。特に、自動車の外装めっき品には、寒冷地での凍結防止のために散布される塩化カルシウム等の凍結防止剤への耐腐食性(耐塩害性)が要求される。
自動車の外装めっきには、耐食性を向上させるために、3重のニッケルめっきを行っており、その最外層としてMPニッケルめっきが施され、その更に外層にクロムめっきが施される。これは、従来用いられているクロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含むクロムめっき浴から形成されたクロムめっき皮膜には、ある種のめっき欠陥であるクラックがあるため、腐食を分散して、これを解消するためにはMPニッケルめっきが必要であるためである。
また、従来用いられている3価のクロムイオンを含み、6価のクロムイオンを含まないクロムめっき浴から形成されたクロムめっき皮膜は、炭素の共析によりクラックは発生しないが、クロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含むクロムめっき浴から形成されたクロムめっき皮膜の表面に形成されるような酸化皮膜(クロメート皮膜)が存在しないため、クロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含むクロムめっき浴から形成されたクロムめっき皮膜よりも更に耐食性が低い。
これに対して、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴から形成されたクロムめっき皮膜は、皮膜表面に酸化皮膜が形成されることと、クラックフリーであることとの相乗効果により、MPニッケルめっきを形成しなくても十分な耐食性を得ることができる。その結果、めっき工程の簡略化が可能となり、かつ経済性も向上する。
また、基材上に、複層の一部を形成する工程として、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴を用いて電気クロムめっきしてクロムめっき皮膜を形成し、クロムめっき皮膜上に、ニッケルめっき皮膜を形成し、ニッケルめっき皮膜上に、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴を用いて電気クロムめっきして更にクロムめっき皮膜を形成する場合にも好適である。
めっき皮膜を複層で構成し、複層の一部を形成する工程として、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴を用いて電気クロムめっきしてクロムめっき皮膜を形成すると共に、複層の一部を形成する工程として、ニッケルめっき皮膜を形成して、耐食性のめっき皮膜を形成する場合、下地として、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴を用いて電気クロムめっきしてクロムめっき皮膜を、好ましくは0.3〜1μmの厚さで形成し、この上にピンホールをなくすために、より厚く、例えば、1μm以上、特に3〜20μmの厚さでニッケルめっき皮膜を形成し、更に、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴を用いて電気クロムめっきして更にクロムめっき皮膜を、好ましくは0.3〜0.8μmの厚さで形成することにより、耐食性を飛躍的に向上させることができる。
即ち、Cr−Ni−Crの積層めっき皮膜とすることで、素材にまず、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴を用いて耐食性の良好なクロムめっき皮膜を形成し、その上にニッケルめっき皮膜を厚く形成して、めっきピンホールなどの欠陥をなくし、更にその上に、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴を用いて耐食性の良好なクロムめっき皮膜を形成する。これにより、めっき皮膜の耐食性を主にクロムめっき皮膜、ピンホールの防止を主にニッケルめっき皮膜に担わせることで、耐食性が飛躍的に向上する。
(2)めっき皮膜を複層で構成し、複層の一部を形成する工程として、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴を用いて電気クロムめっきしてクロムめっき皮膜を形成すると共に、複層の一部を形成する工程として、貴金属めっき皮膜を形成し、ニッケルめっき皮膜を形成しない場合に好適である。特に、基材上に、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴を用いた電気めっきによりクロムめっき皮膜を形成し、このクロムめっき皮膜上に、金、白金、銀、ロジウム、及びその合金から選ばれる貴金属めっき皮膜を形成する場合に好適である。このようなめっき皮膜は、眼鏡の蔓、ボタン、指輪、イヤリング、ピアスなどの恒常的に人体と接触する部材(物品)の防食めっき皮膜として有用である。この場合、クロムめっき皮膜の膜厚は通常0.3〜0.8μmとされる。
装飾部品、特に人体に触れるような部品には、光沢外観や耐食性向上などのために、貴金属めっきが施され、その下地として、素材上に、通常ニッケルめっきが施される。しかしながら、このニッケルめっきは腐食されやすく、腐食によってニッケルイオンが漏れ出すと、ニッケルアレルギーの問題があると、人体の皮膚などにかぶれが生じることがある。
このようなニッケルめっきを実施せずに、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴によりクロムめっき皮膜を形成し、このクロムめっき皮膜上に貴金属めっきを施すと、このクロムめっき膜にはクラックがないので、耐食性が高く、素材の溶出が防止でき、また、ニッケルめっき皮膜を形成していないので、これにより引き起こされるニッケルアレルギーの問題も回避できる。また、めっき応力も小さく、加熱によってめっき硬度が低下しないので、耐熱性にも優れる。更に、クロムめっき皮膜上に、直接貴金属めっきを施すことができることも大きな利点である。
(3)めっき皮膜を複層で構成し、複層の一部を形成する工程として、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有する第1のクロムめっき浴を用いて電気クロムめっきしてクロムめっき皮膜を形成すると共に、複層の一部を形成する工程として、第1のクロムめっき浴と異なる第2のクロムめっき浴を用いて第2のクロムめっき皮膜を形成する場合に好適である。
特に、基材上に、上記第1のクロムめっき浴を用いた電気めっきにより第1のクロムめっき皮膜を、好ましくは0.3〜0.8μmの厚さで形成し、第1のクロムめっき皮膜上に、上記第1のクロムめっき浴と異なる第2のクロムめっき浴を用いて第2のクロムめっき皮膜を、好ましくは1〜200μmの厚さで形成する場合、又は
基材上に、上記第1のクロムめっき浴と異なる第2のクロムめっき浴を用いて第2のクロムめっき皮膜を、好ましくは1〜100μmの厚さで形成し、第2のクロムめっき皮膜上に、上記第1のクロムめっき浴を用いた電気めっきにより第1のクロムめっき皮膜を、好ましくは0.3〜5μmの厚さで形成する場合に好適である。
この第2のクロムめっき浴としては、クロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含む硬質クロムめっき浴が好適である。この場合、クロムイオン中の6価のクロムイオンの割合が90〜99%、特に93〜98%、3価のクロムイオンの割合は1〜10%、特に2〜7%であるものが好ましい。更に、この第2のクロムめっき浴は、クロムめっき浴用の公知の添加剤を含むものであってよい。
特に、硬質クロムめっきの下地として、第1のクロムめっき浴を用いて第1のクロムめっき皮膜を形成し、このクラックのないクロムめっき皮膜上に、第2のクロムめっき浴を用いて硬質クロムめっき皮膜を形成することで、耐食性に優れた良好な硬質のクロムめっき皮膜を形成することができる。
また、上記工程を逆にして、第2のクロムめっき浴を用いて形成した第2のクロムめっき皮膜上に、上記第1のクロムめっき浴を用いて第1のクロムめっき皮膜を形成してもよい。3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴により形成したクロムめっき皮膜は、硬度もより高いものとなることから、この場合、より耐磨耗性に優れた硬質のクロムめっき皮膜を形成することができる。更に、用途によっては、又はクロムめっき膜厚が比較的薄くてよい(例えば1〜5μm程度)場合には、上記第1のクロムめっき浴を用いてクロムめっき皮膜の全部を形成して硬質、かつ耐食性に優れたクロムめっき皮膜として用いることもできる。
(4)バレルめっきによる電気クロムめっきにより、クロムめっき皮膜を形成する場合に好適である。クロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含むクロムめっき浴を用いてバレルめっきを実施した場合、めっき中に電流中断があると、めっき外観不良(シミなど)が発生するので、電流中断がめっき中に起こるバレルめっきには使用できなかったが、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴を用いてバレルめっきを実施した場合、電流中断が起こるバレルめっき等のめっき方法によっても、外観不良等のめっき不良が発生しない。従って、バレルめっきにより良好な外観を有するクロムめっき皮膜を形成することができる。なお、この場合、クロムめっき皮膜の膜厚は通常0.01〜0.5μmとされる。
以下、実施例、比較例及び実験例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[調製実施例1]
無水クロム酸とシュウ酸とを、無水クロム酸(CrO3)150g/L、シュウ酸・2水和物を567g/Lとなるように水に混合して溶解させ、水溶液5Lを調製した、この時、発熱して85℃まで温度が上昇したが、放冷のみで冷却した。水溶液は、3時間攪拌して、無水クロム酸とシュウ酸との溶解・反応を完結させた。この段階で、水溶液の温度は室温となった。溶解・反応後の水溶液中の6価のクロムイオン(クロム酸)の濃度をヨウ素−でんぷん反応により測定したところ、検出されなかった。一方、反応後の水溶液中の3価のクロムイオン(Cr3+)の濃度を原子吸光光度法により測定したところ、クロム質量基準で78g/Lであり、混合した無水クロム酸中のクロム量に相当する量であった。
次に、上記水溶液に、硫酸アンモニウムを80g/L添加して攪拌混合し、更に、アンモニア水を用いて、pHを2.2に調整した。
次に、無水クロム酸(CrO3)を20g/Lとなるように添加して、溶解させた。この時、発熱して30℃まで温度が上昇した。水溶液は、1時間攪拌して、溶解を完結させた。溶解・反応後の水溶液中の6価のクロムイオン(クロム酸)の濃度を上記方法により測定したところ、クロム質量基準で10g/Lであり、2回目に添加した無水クロム酸中のクロム量に相当する量より僅かに減少していたものの、2回目に添加した無水クロム酸中のクロム量にほぼ相当する量であった。一方、反応後の水溶液中の3価のクロムイオン(Cr3+)の濃度を上記方法により測定したところ、クロム質量基準で78.4g/Lであり、1回目の測定量より僅かに増加していたものの、1回目の測定量にほぼ相当する量であり、1回目に添加した無水クロム酸中のクロム量にほぼ相当する量であった。
[調製比較例1]
無水クロム酸とシュウ酸とを、無水クロム酸(CrO3)170g/L、シュウ酸・2水和物を605g/Lとなるように水に混合して溶解させ、水溶液5Lを調製した、この時、発熱して88℃まで温度が上昇したが、放冷のみで冷却した。水溶液は、3時間攪拌して、無水クロム酸とシュウ酸との溶解・反応を完結させた。この段階で、水溶液の温度は室温となった。溶解・反応後の水溶液中の6価のクロムイオン(クロム酸)の濃度をヨウ素−でんぷん反応により測定したところ、クロム質量基準で5g/Lであった。一方、反応後の水溶液中の3価のクロムイオン(Cr3+)の濃度を原子吸光光度法により測定したところ、クロム質量基準で83.2g/Lであった。
次に、上記水溶液に、硫酸アンモニウムを80g/L添加して攪拌混合した。
次に、アンモニア水を用いて、pHを2.2に調整して、クロムめっき浴を得た。得られたクロムめっき浴の6価のクロムイオン(クロム酸)の濃度及び3価のクロムイオン(Cr3+)の濃度を上記方法により測定したところ、いずれも1回目の測定値から変化していなかった。
[調製比較例2]
無水クロム酸とシュウ酸とを、無水クロム酸(CrO3)170g/L、シュウ酸・2水和物を529g/Lとなるように水に混合して溶解させ、水溶液5Lを調製した、この時、発熱したが、冷凍機により冷却した結果、温度上昇は35℃までであった。水溶液は、4時間攪拌して、無水クロム酸とシュウ酸との溶解・反応を完結させた。この段階で、水溶液の温度は室温となった。溶解・反応後の水溶液中の6価のクロムイオン(クロム酸)の濃度をヨウ素−でんぷん反応により測定したところ、クロム質量基準で15g/Lであった。一方、反応後の水溶液中の3価のクロムイオン(Cr3+)の濃度を原子吸光光度法により測定したところ、クロム質量基準で72.8g/Lであった。
次に、上記水溶液に、硫酸アンモニウムを80g/L添加して攪拌混合した。
次に、アンモニア水を用いて、pHを2.2に調整して、クロムめっき浴を得た。得られたクロムめっき浴の6価のクロムイオン(クロム酸)の濃度及び3価のクロムイオン(Cr3+)の濃度を上記方法により測定したところ、いずれも1回目の測定値から変化していなかった。
以上の結果から、調製実施例1では、1回目に添加したクロム酸を最終的に得られるクロムめっき浴中の3価のクロムイオン、2回目に添加したクロム酸を最終的に得られるクロムめっき浴中の6価のクロムイオンとして、添加するクロム酸の量を、所望の3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの量に合わせて調製できることがわかる。
一方、調製比較例1では、添加したクロム酸の量が、調製実施例1で1回目と2回目で添加したクロム酸の総量と同量であるが、添加したクロム酸が過剰に3価のクロムイオンに還元されてしまった。また、調製比較例2も、添加したクロム酸の量が、調製実施例1で1回目と2回目で添加したクロム酸の総量と同量であるが、クロム酸の還元が十分になされていないため、調製実施例1より3価のクロムイオンの含有量が少なくなった。いずれの場合も、3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとの含有量(含有比)を所望の比率にするには、最適な反応温度と反応時間を試行錯誤により選定し、反応条件を厳密に管理する必要があり、煩雑な操作を伴うものである。これに対して、本発明のクロムめっき浴の製造方法によれば、3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとの含有量(含有比)を所定の値に容易に、かつ確実に調整できる。
[実施例1]
ポリ塩化ビニルで被覆しためっき槽に、鉛−5%錫陽極を設置し、調製実施例1で製造したクロムめっき浴1,000L中に、400dm2のめっき面積を有する下記めっき品物をめっき浴に入れ、48℃に加温し、陰極電流密度10A/dm2で8.5分間クロムめっきを行い、膜厚0.4μmのクロムめっき皮膜を形成した。
〔めっき物品〕
基材としてABS樹脂板を用い、この表面に以下の処理を順に施したもの
・クロム酸エッチング[上村工業株式会社製 ラクシュ CNN]
:65℃、10分間
・無電解ニッケルめっき[上村工業株式会社製 ラクシュ NFF]
:40℃、8分間、膜厚200nm
・硫酸銅電気銅めっき[上村工業株式会社製 ラクシュ EAB]
:陰極電流密度3A/dm2、25℃、25分間、膜厚15μm
・半光沢ニッケルめっき[上村工業株式会社製 ラクシュ ASB]
:陰極電流密度4A/dm2、53℃、20分間、膜厚15μm
・光沢ニッケルめっき[上村工業株式会社製 ラクシュ ANN]
:陰極電流密度4A/dm2、53℃、13分間、膜厚10μm
・マイクロポーラスニッケルめっき[上村工業株式会社製 ラクシュ AMC]
:陰極電流密度4A/dm2、53℃、3分間、膜厚2μm
[実施例2]
めっき物品を、マイクロポーラスニッケルめっきを施さなかったものとした以外は、実施例1と同様の方法で、クロムめっき皮膜を形成した。
[比較例1]
クロムめっき浴として、クロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含むクロムめっき浴を用い、以下の条件で実施した以外は、実施例1と同様の方法で、クロムめっき皮膜を形成した。
・クロムめっき[上村工業株式会社製 アサヒクロムNC]
:陰極電流密度10A/dm2、45℃、8.5分間、膜厚0.4μm
[比較例2]
めっき物品を、マイクロポーラスニッケルめっきを施さなかったものとした以外は、比較例1と同様の方法で、クロムめっき皮膜を形成した。
[実施例3]
めっき物品を、下記のものに変えた以外は、実施例1と同様の方法で、クロムめっき皮膜を形成した。
〔めっき物品〕
基材として軟鋼板を用い、この表面に以下の処理を順に施したもの
・半光沢ニッケルめっき[上村工業株式会社製 ラクシュ ASB]
:陰極電流密度4A/dm2、53℃、20分間、膜厚15μm
・光沢ニッケルめっき[上村工業株式会社製 ラクシュ ANN]
:陰極電流密度4A/dm2、53℃、13分間、膜厚10μm
・マイクロポーラスニッケルめっき[上村工業株式会社製 ラクシュ AMC]
:陰極電流密度4A/dm2、53℃、3分間、膜厚2μm
[実施例4]
めっき物品を、マイクロポーラスニッケルめっきを施さなかったものとした以外は、実施例3と同様の方法で、クロムめっき皮膜を形成した。
[比較例3]
クロムめっき浴として、クロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含むクロムめっき浴を用い、以下の条件で実施した以外は、実施例3と同様の方法で、クロムめっき皮膜を形成した。
・クロムめっき[上村工業株式会社製 アサヒクロムNC]
:陰極電流密度10A/dm2、45℃、8.5分間、膜厚0.4μm
[比較例4]
めっき物品を、マイクロポーラスニッケルめっきを施さなかったものとした以外は、比較例3と同様の方法で、クロムめっき皮膜を形成した。
〔耐食試験1〕
実施例1〜4及び比較例1〜4で形成しためっき皮膜について、JIS H 8502に準拠したCASS(キャス)試験を実施した。マイクロポーラスニッケルめっきを施したものに、クロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含むクロムめっき浴でクロムめっき皮膜を形成した比較例1及び3では、CASS試験6サイクル後に、著しい数のニッケルめっきの腐食がピットとして検出された。また、マイクロポーラスニッケルめっきを施さずに、クロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含むクロムめっき浴でクロムめっき皮膜を形成した比較例2及び4では、CASS試験6サイクル後に、比較例1及び3に比べて数は少ないが、大きな腐食が検出された。
一方、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含むクロムめっき浴を用いクロムめっき皮膜を形成した実施例1〜4では、マイクロポーラスニッケルめっきの有無にかかわらず、CASS試験6サイクル後に、腐食は検出されなかった。このように、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含むクロムめっき浴を用いクロムめっき皮膜を形成した場合、高い耐食性が得られ、更に、マイクロポーラスニッケルめっきを形成することがなくても、高い耐食性が得られることから、これにより、マイクロポーラスニッケルめっきの工程の省略も可能である。
〔耐食試験2〕
実施例1〜4及び比較例1〜4で形成しためっき皮膜について、めっき皮膜に塩化カルシウムとカオリンとの混合物(5mlの飽和塩化カルシウム水溶液に3gのカオリンを混合したもの)を塗布し、1週間放置する試験を実施した。クロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含むクロムめっき浴でクロムめっき皮膜を形成した比較例1〜4では、マイクロポーラスニッケルめっきの有無にかかわらず、かなり大きな著しい腐食が局所的に認められ、めっき素地の樹脂、鋼板が露出したものもあった。
一方、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含むクロムめっき浴を用いクロムめっき皮膜を形成した実施例1〜4では、マイクロポーラスニッケルめっきの有無にかかわらず、腐食は検出されなかった。3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含むクロムめっき浴を用いクロムめっき皮膜を形成した場合、例えば、融雪塩が用いられる環境下で使用される耐塩害部材のクロムめっき皮膜として高い耐食性を得ることができる。
[調製実施例2]
硫酸アンモニウム80g/Lの代わりに、硫酸ナトリウム150g/Lとほう酸10g/Lを用いた以外は、調製実施例1と同様にしてクロムめっき浴を得た。
[実施例5]
ポリ塩化ビニルで被覆しためっき槽に、鉛−5%錫陽極を設置し、調製実施例2で製造したクロムめっき浴1,000L中に、基材として、400dm2のめっき面積を有する装身具用銅金属素材をめっき品物としてめっき浴に入れ、48℃に加温し、陰極電流密度10A/dm2で20分間クロムめっきを行い、膜厚1μmのクロムめっき皮膜を形成した。
次に、形成したクロムめっき皮膜上に、以下の処理を施し、めっき皮膜を形成した。
・電気Auめっき[上村工業株式会社製 オールナ 535]
:陰極電流密度0.5A/dm2、25℃、5分間、膜厚1μm
[比較例5]
クロムめっき浴を、クロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含むクロムめっき浴を用い、以下の条件で実施した以外は、実施例5と同様の方法で、めっき皮膜を形成した。
・クロムめっき[上村工業株式会社製 アサヒクロムNC]
:陰極電流密度10A/dm2、45℃、8.5分間、膜厚0.4μm
[比較例6]
クロムめっき皮膜を形成する前に、以下の処理を施した以外は、実施例5と同様の方法で、めっき皮膜を形成した。
・ニッケルめっき[上村工業株式会社製 ナイスター 823]
:陰極電流密度4A/dm2、55℃、1.5分間、膜厚1μm
[比較例7]
クロムめっき皮膜を形成した後、電気Auめっきの前に、以下の処理を施した以外は、実施例5と同様の方法で、めっき皮膜を形成した。
・ニッケルめっき[上村工業株式会社製 ナイスター 823]
:陰極電流密度4A/dm2、55℃、1.5分間、膜厚1μm
[比較例8]
クロムめっきの代わりに、以下のニッケルめっきを施した以外は、実施例5と同様の方法でめっき皮膜を形成した。
・ニッケルめっき[上村工業株式会社製 ナイスター 823]
:陰極電流密度4A/dm2、55℃、1.5分間、膜厚1μm
〔耐食試験3〕
実施例5及び比較例5〜8で形成しためっき皮膜について、JIS H 8502に準拠したCASS(キャス)試験を実施した。クロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含むクロムめっき浴でクロムめっき皮膜を形成した比較例5では、CASS試験5サイクル後に、素材の腐食が検出された。また、ニッケルめっき皮膜を形成した比較例6〜8では、CASS試験5サイクル後に、金めっき表面に微量のニッケル化合物が認められた。
一方、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含むクロムめっき浴を用いてクロムめっき皮膜を形成した実施例5では、CASS試験5サイクル後に、腐食は検出されなかった。
更に、めっき皮膜を形成しためっき物品について、500℃、5分間加熱処理を実施した。ニッケルめっき皮膜を形成した比較例6〜8では、Auめっきの変色が認められた。これは、金めっき皮膜上に下地ニッケルが拡散して酸化物となり、変色したものと考えられる。一方、実施例5では変色は認められなかった。
以上の結果から、貴金属めっき下地のニッケルめっき皮膜は腐食しやすく、更に、従来の6価のクロムめっきでは、素材が腐食しやすいが、本発明では、ニッケルアレルギーの原因となるニッケルめっき皮膜を使用しなくても、素材の腐食が激減し、金めっき品物の耐食性が良好となることがわかる。
[実施例6]
ポリ塩化ビニルで被覆しためっき槽に、鉛−5%錫陽極を設置し、調製実施例1で製造したクロムめっき浴1,000L中に、基材として、400dm2のめっき面積を有する鉄鋼板をめっき品物としてめっき浴に入れ、48℃に加温し、陰極電流密度10A/dm2で8.5分間クロムめっきを行い、膜厚0.4μmのクロムめっき皮膜を形成した。
次に、形成したクロムめっき皮膜上に、以下の処理を施し、めっき皮膜を形成した。
・硬質クロムめっき(クロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含むめっき浴)[上村工業株式会社製 ユープロクロム CHC]
:陰極電流密度40A/dm2、60℃、120分間、膜厚50μm
[実施例7]
調製実施例1で製造したクロムめっき浴を用いたクロムめっきと、クロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含む硬質クロムめっき浴を用いたクロムめっきの順序を入れ替えた以外は、実施例6と同様の方法で、めっき皮膜を形成した。
[比較例9]
めっき物品に調製実施例1で製造したクロムめっき浴を用いたクロムめっきを及び硬質クロムめっきを実施せず、以下の処理を施した以外は、実施例6と同様の方法で、めっき皮膜を形成した。
・硬質クロムめっき(クロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含むめっき浴)[上村工業株式会社製 ユープロクロム CHC]
:陰極電流密度40A/dm2、60℃、120分間、膜厚50μm
[比較例10]
めっき物品に調製実施例1で製造したクロムめっき浴を用いたクロムめっきを実施せず、以下の処理を施した以外は、実施例6と同様の方法で、めっき皮膜を形成した。
・半光沢ニッケルめっき[上村工業株式会社製 ラクシュ ASB]
:陰極電流密度4A/dm2、53℃、20分間、膜厚15μm
・光沢ニッケルめっき[上村工業株式会社製 ラクシュ ANN]
:陰極電流密度4A/dm2、53℃、13分間、膜厚10μm
・硬質クロムめっき(クロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含むめっき浴)[上村工業株式会社製 ユープロクロム CHC]
:陰極電流密度40A/dm2、60℃、120分間、膜厚50μm
〔耐食試験4〕
実施例6,7及び比較例9,10で形成しためっき皮膜について、JIS H 8502に準拠したCASS(キャス)試験を実施した。クロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含む硬質クロムめっき浴でクロムめっき皮膜を形成した比較例9,10では、ニッケルめっき皮膜の有無にかかわらず、CASS試験5サイクル後のレイテリングNo.が9.0以下であった。
一方、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含むクロムめっき浴を用いクロムめっき皮膜を形成した実施例6,7では、CASS試験5サイクル後のレイテリングNo.が実施例6は9.8、実施例7は9.9であった。以上の結果から、本発明により耐食性が向上することがわかる。
[実施例8]
ポリ塩化ビニルで被覆しためっき槽に、鉛−5%錫陽極を設置し、調製実施例1で製造したクロムめっき浴1,000L中に、基材として、400dm2のめっき面積を有する鉄鋼板をめっき品物としてめっき浴に入れ、48℃に加温し、陰極電流密度10A/dm2で8.5分間クロムめっきを行い、膜厚0.4μmのクロムめっき皮膜を形成した。
次に、形成したクロムめっき皮膜上に、以下の処理を施し、めっき皮膜を形成した。
・半光沢ニッケルめっき[上村工業株式会社製 ラクシュ ASB]
:陰極電流密度4A/dm2、53℃、20分間、膜厚15μm
・光沢ニッケルめっき[上村工業株式会社製 ラクシュ ANN]
:陰極電流密度4A/dm2、53℃、13分間、膜厚10μm
更に、調製実施例1で製造したクロムめっき浴を用い、上記と同様の条件でクロムめっき皮膜を形成した。
[比較例11]
クロムめっき浴として、調整実施例1で製造したクロムめっき浴の代わりに、クロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含むクロムめっき浴を用い、以下の条件で実施した以外は、実施例8と同様の方法で、めっき皮膜を形成した。
・クロムめっき[上村工業株式会社製 アサヒクロム NC]
:陰極電流密度10A/dm2、45℃、8分間、膜厚0.4μm
〔耐食試験4〕
実施例8及び比較例11で形成しためっき皮膜について、JIS H 8502に準拠したCASS(キャス)試験を実施した。クロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含むクロムめっき浴でクロムめっき皮膜を形成した比較例11では、CASS試験3サイクル後のレイテリングNo.が9.0以下であった。
一方、3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含むクロムめっき浴を用いクロムめっき皮膜を形成した実施例8では、CASS試験3サイクル後のレイテリングNo.が10であった。以上の結果から、本発明の耐食性が優れることがわかる。
[実施例9]
調製実施例2で製造したクロムめっき浴を用い、バレルめっき装置に金属素材(ニッケルめっきを施したボルト)を入れ、平均電流密度を4A/dm2として、48℃で、60分間、金属素材上にバレルめっきにてクロムめっき皮膜を形成した。
[比較例12]
クロムめっき浴として、以下のクロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含むクロムめっき浴を用いた以外は、実施例9と同様の方法で、クロムめっき皮膜を形成した。
・クロムめっき[上村工業株式会社製 アサヒクロム NC]
実施例9で得られたクロムめっき皮膜では、外観が良好なクロムめっき皮膜が得られたが、比較例12で得られたクロムめっき皮膜では、クロムめっき皮膜に白いシミや白曇りやめっき焼けが見られ、外観不良のめっきとなった。以上の結果から、本発明のバレルめっきにより良好な外観のめっき皮膜を形成できることがわかる。
[実験例1]
調製実施例1と同様の方法で調製しためっき液5Lを用い、2dm2の金属板に電流密度10A/dm2で50時間電解した。めっき液pHは水酸化クロムスラリー(10%水酸化クロム含有)を用い、2時間毎にpH2.2に調整した。3価クロムイオン濃度減少に応じて、初期の3価クロムイオン濃度になるように上記水酸化クロムスラリーを補給した。この間にこのスラリーは840gを要した。上記のように補給を行うと、建浴当初の組成には変化が認められなかった。この場合、50時間電解後も建浴当初と同一のめっき概観及びめっき物性が得られた。更に、連続して電解を実施したが、500時間電解後も同様であり、外観、物性は良好であった。
[実験例2]
調製実施例1と同様の方法で調製しためっき液5Lを用い、2dm2の金属板に電流密度10A/dm2で50時間電解した。めっき液pHはアンモニア水を用い、3価クロムイオン濃度は硫酸クロムを使用して調整し、2時間毎にpH2.2に調整し、3価クロムイオンを補給した。3価クロムイオン濃度減少に応じて、初期の3価クロムイオン濃度になるように硫酸クロムを補給した。この間にアンモニア水は606g必要であった。また35%硫酸クロム液は453gを要した。このように調製すると、電解50時間で初期の建浴組成濃度の9.5%だけ硫酸アンモニウム濃度が増加していた。この場合、50時間後にめっき外観に白い曇りが局所的に発生した。更に、100時間後には白い曇りと黒い部分が局所的に発生した。

Claims (15)

  1. 3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとを含有するクロムめっき浴の製造方法であって、
    (A)クロム酸と有機酸とを、これらを含む水溶液中で混合し、上記有機酸によりクロム酸を還元して、6価のクロムイオンを含まない水溶液を調製する工程、
    (B)上記6価のクロムイオンを含まない水溶液に、pH調整剤を添加して、pHを1〜4に調整する工程、
    (C)更に、pH調整後の上記6価のクロムイオンを含まない水溶液に、クロム酸を添加して、3価のクロムイオンと6価のクロムイオンとを含有する水溶液を調製する工程
    を含むことを特徴とするクロムめっき浴の製造方法。
  2. 上記(A)工程において、クロム質量基準で60〜140g/Lのクロム酸と、50〜700g/Lの有機酸とを、両者の比を、
    (有機酸)/(クロム酸)=1.5〜4.0(モル比)
    として混合することを特徴とする請求項1記載のクロムめっき浴の製造方法。
  3. 上記(C)工程において、クロム質量基準で0.1〜40g/Lのクロム酸を添加することを特徴とする請求項1又は2記載のクロムめっき浴の製造方法。
  4. 上記(A)工程と(B)工程との間、上記(B)工程と(C)工程との間、及び上記(C)工程の後から選ばれる1又は2以上において、更に、
    (D)上記水溶液に、導電塩、安定剤及びピット防止剤から選ばれる1種又は2種以上を添加する工程
    を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のクロムめっき浴の製造方法。
  5. 基材上に単層又は2層以上の複数層からなるめっき皮膜を形成する方法であって、該めっき皮膜を構成する単層の全部又は複層の一部若しくは全部として、請求項1乃至4のいずれか1項記載の方法により得られた3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴を第1のクロムめっき浴として用いた電気めっきにより第1のクロムめっき皮膜を形成する工程を含むことを特徴とするめっき皮膜の形成方法。
  6. 基材上に単層又は2層以上の複数層からなるめっき皮膜を形成する方法であって、請求項5記載の方法により第1のクロムめっき皮膜を形成することによって3価のクロムイオンが減少した第1のクロムめっき浴に、水酸化クロム又は塩基性炭酸クロムを含むスラリーを添加することにより、3価のクロムイオンを補給すると共にpHの調整をおこない、上記めっき皮膜を構成する単層の全部又は複層の一部若しくは全部として、3価のクロムイオンが補給された第1のクロムめっき浴を用いた電気めっきにより第1のクロムめっき皮膜を形成することを特徴とするめっき皮膜の形成方法。
  7. 上記めっき皮膜を2層以上の複数層構成し、基材上に、ニッケルめっき皮膜を形成する工程と、該ニッケルめっき皮膜上に、上記第1のクロムめっき浴を用いた電気めっきにより第1のクロムめっき皮膜を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項5記載のめっき皮膜の形成方法。
  8. 自動車外装部材又は耐塩害部材の防食めっき皮膜を形成する方法であることを特徴とする請求項7記載のめっき皮膜の形成方法。
  9. 上記めっき皮膜を2層以上の複数層構成し、基材上に、上記第1のクロムめっき浴を用いた電気めっきにより第1のクロムめっき皮膜を形成する工程と、該第1のクロムめっき皮膜上に、金、白金、銀、ロジウム、及びその合金から選ばれる貴金属めっき皮膜を形成する工程とを含み、ニッケルめっき皮膜を形成する工程を含まないことを特徴とする請求項5記載のめっき皮膜の形成方法。
  10. 恒常的に人体と接触する部材の防食めっき皮膜を形成する方法であることを特徴とする請求項9記載のめっき皮膜の形成方法。
  11. 上記めっき皮膜を2層以上の複数層構成し、基材上に、上記第1のクロムめっき浴を用いた電気めっきにより第1のクロムめっき皮膜を形成する工程と、該第1のクロムめっき皮膜上に、上記第1のクロムめっき浴と異なる第2のクロムめっき浴を用いて第2のクロムめっき皮膜を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項5記載のめっき皮膜の形成方法。
  12. 上記めっき皮膜を2層以上の複数層構成し、基材上に、上記第1のクロムめっき浴と異なる第2のクロムめっき浴を用いて第2のクロムめっき皮膜を形成する工程と、該第2のクロムめっき皮膜上に、上記第1のクロムめっき浴を用いた電気めっきにより第1のクロムめっき皮膜を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項5記載のめっき皮膜の形成方法。
  13. 上記第2のクロムめっき浴が、クロムイオンとして、主として6価のクロムイオンを含み、少量の3価のクロムイオンを含む硬質クロムめっき浴であることを特徴とする請求項11又は12記載のめっき皮膜の形成方法。
  14. 基材上に、上記第1のクロムめっき浴を用いた電気めっきにより第1のクロムめっき皮膜を形成する工程と、該第1のクロムめっき皮膜上に、ニッケルめっき皮膜を形成する工程と、該ニッケルめっき皮膜上に、上記第1のクロムめっき浴を用いた電気めっきにより第1のクロムめっき皮膜を更に形成する工程を含むことを特徴とする請求項5記載のめっき皮膜の形成方法。
  15. バレルめっきによりクロムめっき皮膜を形成する方法であって、請求項1乃至4のいずれか1項記載の方法により得られた3価のクロムイオン及び6価のクロムイオンの双方を含有するクロムめっき浴を第1のクロムめっき浴として用いた電気めっきによりクロムめっき皮膜を形成することを特徴とするめっき皮膜の形成方法。
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