以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1、図2及び図3を参照して、リクライニングシートの構成について説明する。図1は、本発明の一実施の形態におけるシートフレーム100の正面図であり、図2は、シートフレーム100の側面図であり、図3は、図2の反対側の側面を示したシートフレーム100の側面図である。なお、図1、図2及び図3では、理解を容易とするために、本体1を2点鎖線にて図示している。
リクライニングシートは、テレビを快適な着座姿勢で視聴するなどのために使用者の着座姿勢に合わせて、形状を変化させて使用する可動式の椅子であり、例えば、シートフレーム100にウレタンや革などの素地を被せて構成されるものである。
そのシートフレーム100は、図1、図2及び図3に示すように、本体1と、座フレーム2と、枕フレーム3と、背フレーム4と、座フレーム2を案内する座フレーム案内機構10と、背フレーム4の傾斜を制御する背フレーム制御機構20と、枕フレーム3の傾斜を制御する枕フレーム制御機構30とを備えている。
なお、座フレーム案内機構10、背フレーム制御機構20及び枕フレーム制御機構30に関しては、図4及び図5を参照して後述する。
本体1は、床面に載置されシートフレーム100を支えるための部材であり、図1、図2及び図3に示すように、床面に載置される台座5と、その台座5に回転可能に支持される回転台6と、その回転台6から立設され板状に構成された一対の側枠7とを備えている。
それら一対の側枠7の一の側枠7(図1左側の側枠7)には、図2に示すように、後述する座フレーム案内機構10及び背フレーム制御機構20が取着されている。また、他の側枠7(図1右側の側枠7)には、後述する座フレーム案内機構10及び枕フレーム制御機構30が取着されている。
また、側枠7には、図2及び図3に示すように、整備孔7aが貫通形成されており、その整備孔7aを利用することで、後述する座フレーム案内機構10の整備性の向上を図っている。なお、座フレーム案内機構10の整備性については、後述する。
座フレーム2は、使用者の尻をのせるための部材であり、図1、図2及び図3に示すように、中空のパイプから上面視(図1上下方向視、図2上下方向視および図3上下方向視)矩形の枠状に形成されると共に、後述する座フレーム案内機構10を介して側枠7に揺動可能に接続されている。
枕フレーム3は、使用者の頭部を支えるための部材であり、図1に示すように、正面視(図1紙面垂直方向視)Hの字形状に形成されると共に後述する枕フレーム制御機構30に接続されている。
また、枕フレーム3は、図1に示すように、中空のパイプから構成されると共に、互いに平行に配設される複数(本実施の形態では2本)の縦パイプ3aと、それら縦パイプ3aに対して直交しつつそれら複数(本実施の形態では2本)の縦パイプ3aを連結する連結パイプ3bと、連結軸3dとを備えている。
縦パイプ3aの下側(図1下側)端部には、連結パイプ3bの長手方向(図1左右方向)に沿って貫通形成される貫通孔が形成されており、その貫通孔は、後述する背フレーム4の縦パイプ4aから突設される枕揺動軸3cに回動可能に軸支されている。また、連結軸3dは、図3に示すように、枕揺動軸3cに対してシートフレーム100の前側(図3右側)に配設されると共に枕揺動軸3cに対して平行とされる軸であり、後述するヘッドレスト固定バー31が軸支されている。
背フレーム4は、使用者の背中を支えるための部材であり、図1に示すように、正面視(図1紙面垂直方向視)矩形の枠状に形成されると共に一対の側枠7に揺動可能に軸支されている。
また、背フレーム4は、中空のパイプから構成されると共に、互いに平行に配設される複数(本実施の形態では2本)の縦パイプ4aと、それら縦パイプ4aに対して直交しつつそれら複数(本実施の形態では2本)の縦パイプ4aを連結する連結パイプ4bと、縦パイプ4aに溶接され板状に構成される固定プレート4cと、その固定プレート4cから突出されると共に縦パイプ4aに溶接され軸状に構成される係合軸4dとを備えている。その係合軸4dは、図1及び図3に示すように、固定プレート4cと縦パイプ4aとに溶接されているので、取り付け強度を高く保つことができる。
複数(本実施の形態では2本)の縦パイプ4aの上側(図1上側)端部からは、図1に示すように、それぞれ軸状に構成された枕揺動軸3cが突設されており、それら枕揺動軸3cの突設方向は、後述する背フレーム制御機構20から枕フレーム制御機構30側(図1右側)へ向かっている。
例えば、それら枕揺動軸3cの突設方向が異なる場合には、枕フレーム3を縦パイプ3aと連結パイプ3bとに分解した状態で、縦パイプ4aの枕揺動軸3cに縦パイプ3aの貫通孔を挿入させる必要があり、特に、縦パイプ3aと連結パイプ3bとの接合を溶接にて行う場合には、縦パイプ3aの縦パイプ4aへの組付け作業と、縦パイプ3aと連結パイプ3bとの溶接作業とを並行して行う必要があるので、作業効率が悪化するという不具合がある。
これに対し、本実施の形態では、縦パイプ4aの枕揺動軸3cの突設方向が後述する背フレーム制御機構20から枕フレーム制御機構30側(図1右側)へ向かっているので、枕フレーム3および背フレーム4をそれぞれ一体とした状態であっても、枕フレーム3を枕フレーム制御機構30側から背フレーム制御機構20側へ向けて移動させることで、縦パイプ3aの貫通孔へ縦パイプ4aの枕揺動軸3cを挿入させることができる。
その結果、縦パイプ3a及び連結パイプ3bを溶接して枕フレーム3を組上げ且つ、縦パイプ4a及び連結パイプ4bを溶接して背フレーム4を組上げた後から、枕フレーム3を背フレーム4へ組み付けることができる。したがって、溶接作業と組付け作業とを別工程とすることで作業効率の向上を図ることができる。
また、背フレーム4は、図2及び図3に示すように、後述する揺動軸11dによって、側枠7に固定された後述する一対のプレート11へ縦パイプ4aの上側(図2及び図3上側)端部と下側(図2及び図3下側)端部との間の位置を揺動可能に軸支され、縦パイプ4aの下側の端部は、上述した座フレーム2に揺動可能に軸支されている。
よって、背フレーム4を側枠7に対して揺動可能とし、座フレーム2及び枕フレーム3を背フレーム4に対して揺動可能とすることができる。その結果、使用者の着座姿勢に合わせて、シートフレーム100の形状を変化させことができる。
加えて、上述したように、座フレーム2を案内する座フレーム案内機構10と、背フレーム4の傾斜を制御する背フレーム制御機構20と、枕フレーム3の傾斜を制御する枕フレーム制御機構30とを備えているので、シートフレーム100の形状を使用状況に応じて最適な形状に制御することができる。
次いで、図4を参照して、座フレーム案内機構10及び背フレーム制御機構20の構成について説明する。
図4(a)は、図2のIVaにて示した部分を拡大した座フレーム案内機構10及び背フレーム制御機構20の一部の部分拡大側面図であり、図4(b)は、図4(a)の矢印IVbから見た座フレーム案内機構10の一部を示した部分側面図であり、図4(c)は第2ローラ14の正面図である。
座フレーム案内機構10は、上述したように、座フレーム2を案内する機構であり、図4(a)及び図4(b)に示すように、座フレーム2の両側にそれぞれ配設されると共にプレート11と、ローラブラケット12と、第1ローラ13と、第2ローラ14とを備えている。
プレート11は、座フレーム案内機構10の基体部であり、2枚の平板を組み合わせた正面視(図1紙面垂直方向視)L字形状(図1参照)に構成されると共に、図4(a)に示すように、第1開口部11aと、第2開口部11bと、レール11cと、揺動軸11dとを備えている。
第1開口部11aは、後述するローラブラケット12を案内する開口であり、図4(a)に示すように、側面視(図4(a)紙面垂直方向視)円弧形状に構成されている。また、図4(b)に示すように、プレート11の厚さ寸法値(図4(b)左右方向寸法値)である板厚T1は、後述する第2ローラ14の溝14bの幅W2より小さな値とされており、第1開口部11aが後述する第2ローラ14の溝14bと係合可能に構成されている。
また、第1開口部11aの円弧の径方向の寸法値は、幅W1とされており、その幅W1は、後述する溝14bの直径D1(図4(c)参照)より小さく、第2ローラ14の直径D2(図4(c)参照)より大きな値とされている(D2<W1<D1)。
そのため、第2ローラ14の溝14bの上下に第1開口部11aが嵌合されるので、第2ローラ14の傾きを防止することができる。その結果、第2ローラ14の転動を円滑として、ローラブラケット12を介して第2ローラ14に連結される座フレーム2を円滑に案内することができる。
また、第1開口部11aの円弧形状の端部(図4(a)左側端部)は、第2ローラ14が挿通可能な大きさに開口されており、第2ローラ14を第1開口部11aへ組み付ける際に、その開口から第2ローラ14を挿通する構成とされている。
例えば、第1開口部11aの円弧形状の端部(図4(a)左側端部)が第2ローラ14を挿通可能な大きさに開口されていない場合には、第1開口部11aに溝14bを嵌合させるために、第2ローラ14を溝14bの部分で分割した構成とする必要がある。
この場合、第2ローラ14を構成する部品数が増えるので、製造の工数が増加して製造コストが嵩むという不具合がある。また、第2ローラ14の溝14bを複数の部品から形成するので、溝14bに剛性の低下が生じる。その結果、第2ローラ14が第1開口部11aを円滑に転動することが困難となるという不具合が生じる。
これに対し、本実施の形態では、第1開口部11aの円弧形状の端部(図4(a)左側端部)が第2ローラ14を挿通可能な大きさに開口されているので、第2ローラ14を一体の部材として構成しても、第2ローラ14の溝14bを第1開口部11aに嵌合させることが可能となる。そのため、第2ローラ14を一体の部材として構成することで、第2ローラ14を組み立てる工程を省略して、製造コストの削減を図ることができる。また、第2ローラ14が一体に構成されているので、剛性を容易に確保することができる。その結果、第2ローラ14を第1開口部11aに沿って円滑に転動させることができる。
第2開口部11bは、後述する第2支持軸12bが移動するための開口であり、図4(a)に示すように、側面視(図4(a)紙面垂直方向視)円弧形状に構成されている。
レール11cは、後述する第1ローラ13が転動するための突出部であり、図4(a)に示すように、側面視(図4(a)紙面垂直方向視)鉛直方向下側(図4(a)下側)へ凸の円弧形状に構成され、シートフレーム100の前側(図4(a)右側)の部分がシートフレーム100の後側(図4(a)左側)の部分よりもシートフレーム100の上側(図4(a)上側)に位置している。その結果、シートフレーム100が起立姿勢状態から寝姿勢状態へ変化される際に、シートフレーム100の急激な状態変化を防止することができる。その詳細については、図6及び図7を参照して後述する。
また、レール11cの両側端部における上面(図4(a)上面)は、シートフレーム100の前側(図4(a)右側)の上面が側面視(図4(a)紙面垂直方向)半径R2の曲率を有しており、シートフレーム100の後側(図4(a)左側)の上面が側面視(図4(a)紙面垂直方向)半径R1の曲率を有している。なお、レール11cの両側端部の間の部分の曲率は、半径R1及び半径R2より大きな曲率に設定されている。
加えて、半径R1及び半径R2は、後述する第2ローラ14の直径D1の1/2の大きさの値に設定されている。そのため、第1ローラ13がレール11cの上面(図4(a)上面)を転動して、レール11cの端部まで移動した際には、第1ローラ13の外周面である周面13aが、レール11cの上面に面接触されることで、第1ローラ13の移動が規制される。その結果、第1ローラ13の周面13aに作用する力を分散させることができるので、第1ローラ13の破損を防止することができる。
揺動軸11dは、背フレーム4(図4参照)を揺動可能に軸支する軸状体であり、プレート11(図3参照)を介して側枠7(図3参照)に固定されている。
ローラブラケット12は、図4(b)に示すように、2枚の平板を組み合わせた正面視(図4(b)紙面垂直方向視)L字形状に構成されると共にそれら2枚の平板の一方の平板が座フレーム2の下側(図4(b)下側)に配設され、他方の平板からは、円柱状に構成される第1支持軸12aと、その第1支持軸12aに平行とされると共に円柱状に構成される第2支持軸12bが突設されている。その第1支持軸12aは、図4(b)に示すように、第2支持軸12bに対して鉛直方向上側(図4(b)上側)に配設されている。
その第1支持軸12aは、後述する第2ローラ14を軸支した状態で上述した第1開口部11aに挿通される。また、第2支持軸12bは、上述した第2開口部11bに挿通された状態で、第1ローラ13が側枠7側(シートフレーム100の外側、図4(b)左側)から取り付けられている。即ち、側枠7とプレート11との間に第1ローラ13が配設されている。
第1ローラ13は、ボールベアリングの外輪の外側に強化プラスチックからなるリングをはめ込んで構成される部材であり、図4(a)及び図4(b)に示すように、ボールベアリングの内輪が第2支持軸12bに固定される転動体として構成されている。そのため、第1ローラ13は、第2支持軸12bの軸心方向(図4(b)左右方向)に対して移動不能とされている。
その第1ローラ13がレール11cの上面に接触しながら転動することで、座フレーム2をシートフレーム100(図2参照)の前後方向(図4(a)左右方向)に案内する。よって、例えば、レール11c上を第2支持軸12bが摺動する場合と比較して、座フレーム2を円滑に移動させることができる。
第2ローラ14は、第1ローラ13と同様にボールベアリングの外輪の外側に強化プラスチックからなるリングをはめ込んで構成される部材であり、図4(a)、図4(b)及び図4(c)に示すように、ボールベアリングの内輪が第1支持軸12aに固定される転動体として構成されている。そのため、第2ローラ14は、第1支持軸12aの軸心方向(図4(b)左右方向)に対して移動不能とされている。
その第2ローラ14は、外周面として構成される周面14aと、その周面14aに凹設され周方向に連続して延設される溝14bとを備えている。その溝14bは、図4(b)及び図4(c)に示すように、第1支持軸12aの軸心方向(図4(b)及び図4(c)左右方向)において、幅W2の寸法値に構成されている。ここで、上述したように、プレート11の厚さ寸法値(図4(b)左右方向寸法値)である板厚T1は、後述する第2ローラ14の溝14bの幅W2より小さな値とされており、第1開口部11aが後述する第2ローラ14の溝14bと係合可能に構成されている。
即ち、第2ローラ14の溝14bが第1開口部11aの外縁に係合されることで、ローラブラケット12が第1支持軸12aの軸心方向(図4紙面前後方向)へ移動することを規制することができる。
また、溝14bの底面と、第1開口部11aとの間には、空間が形成されており、第2ローラ14と第1開口部11aとが接触する部位は、溝14bの側面のみである。そのため、第2ローラ14には座フレーム2からの垂直荷重が作用しない。したがって、使用者の体重が荷重された状態においても、ローラブラケット12の案内を円滑に行うことができる。
一方、第1ローラ13は、レール11cの上面に当接されているので、使用者の体重による荷重を受ける。そのため、周面13aの転動の軌跡が曲がるとレール11cの上面と第1ローラ13の周面13aとが滑ることで振動が発生する。
これに対し、本実施の形態では、第2ローラ14にてローラブラケット12の第1支持軸12aの軸心方向(図4紙面前後方向)への移動を規制するので、周面13aの転動の軌跡を直線に近づけることができる。よって、レール11cの上面と第1ローラ13の周面13aとの滑りを低減して、振動の発生を抑制することができる。その結果、座フレーム2を円滑に移動させることができる。
また、第2ローラ14の直径は、直径D1の寸法値とされ、溝14bの底の直径は、直径D2の寸法値とされている。また、上述したように、第1開口部11aの幅W1が直径D1より小さく直径D2より大きく構成されるので、第2ローラ14の傾きを防止して、座フレーム2を円滑に案内することができる。
例えば、第2ローラ14を省略して第1ローラ13のみとした場合には、座フレーム2の重量および使用者の体重によって、座フレーム2がたわむことで、ローラブラケット12が傾く。そして、ローラブラケット12から突出される第2支持軸12bが第1ローラ13に対して傾くことで、第1ローラ13の第2支持軸12bに対する回転抵抗が増加するという不具合がある。
これに対し、本実施の形態では、ローラブラケット12から第1支持軸12aが突出され、その第1支持軸12aに第1開口部11aの縁部に嵌合される第2ローラ14が軸支されると共に第1支持軸12aが第2支持軸12bに対して鉛直方向上側(図4(b)上側)に配設されているので、座フレーム2の重量および使用者の体重によって、ローラブラケット12が傾くことを低減することができる。
よって、第2支持軸12bの第1ローラ13に対する傾きを低減して、第1ローラ13の第2支持軸12bに対する回転抵抗を低減させることができる。その結果、座フレーム2の移動を円滑とすることができる。
また、図4(a)に示すように、シートフレーム100の起立姿勢状態における第1ローラ13及び第2ローラ14は、第1開口部11a及び第2開口部11bの背フレーム4(図2参照)側(図2右側)に位置しており、シートフレーム100の側面視(図2紙面垂直方向視)において、整備孔7a(図2参照)に重なっている。
よって、シートフレーム100の組み立てや整備を行う場合に、作業者が整備孔7aから手を挿入して第1ローラ13及び第2ローラ14の着脱をおこなうことができる。即ち、プレート11を側枠7(図2参照)から取り外すことなく第1ローラ13及び第2ローラ14の着脱を行うことができるので、組み立て性および整備性の向上を図ることができる。
また、背フレーム制御機構20は、背フレーム4の傾斜を制御する機構であり、図4(a)に示すように、ガスシリンダ21と、背フレーム可動レバー22と、シリンダーブラケット23とを備えている。
ガスシリンダ21は、気体封入式の減衰装置であり、気体のシリンダ内の循環の規制が解除されると、全長が伸縮可能な状態(請求項1に記載の「ロック解除状態」に対応する。)とされ、気体のシリンダ内の循環が規制されると、全長が固定状態(請求項1に記載の「ロック状態」に対応する。)とされる装置である。そのガスシリンダ21は、常時、気体の循環が規制されており、気体の循環を可能とするためのボタンである規制解除ボタン21aが押されることで、気体の循環が可能となり、全長が伸縮可能とされる。
背フレーム可動レバー22は、シリンダーブラケット23にレバー軸22aによって軸支されており、レバー軸22aを中心として揺動可能とされている。そのレバー軸22aと使用者が握る部位との間の部位にて規制解除ボタン21aが押し込まれる。
即ち、梃子の原理を利用しているので、使用者は、規制解除ボタン21aを押し込むために、使用者が握る部分を規制解除ボタン21aのストローク量よりも大きく揺動させることができる。よって、背フレーム4の傾斜を調整する際に、大きな動作にて調整作業を行うことができるので、調整作業を容易とすることができる。
シリンダーブラケット23は、図4(a)に示すように、ストッパボルト23aによって、プレート11に軸着されている。また、ストッパボルト23aは、背フレーム可動レバー22が当接されることで、ストッパーとしての機能も有している。
一方、ガスシリンダ21の一端側(図2左側)が縦パイプ4a(図2参照)に軸支され、他端側(図2右側)がシリンダーブラケット23を介してプレート11へ揺動可能に軸支されている。また、上述した規制解除ボタン21aは、シリンダーブラケット23側のガスシリンダ21の端部、即ち、側枠7側(図2右側)に取り付けられており、使用者が着座した状態で背フレーム可動レバー22を揺動させることで、規制解除ボタン21aが押し込まれてガスシリンダ21の伸縮が調整される。
即ち、背フレーム4の傾きの制御は、プレート11及びシリンダーブラケット23を介して側枠7に取り付けられる背フレーム可動レバー22によっておこなわれる。
また、側枠7は、リクライニングシートに着座した使用者の腕を支える部位であり、シートフレーム100が起立姿勢状態から寝姿勢状態に姿勢を変化させた場合に、使用者の腕の位置が側枠7に対して変化しないように座フレーム2及び背フレーム4の移動が設定されている。
例えば、第1ローラ13または第2ローラ14にそれら第1ローラ13及び第2ローラ14の転動を規制する機構を取り付けることで、背フレーム4の傾斜を制御する場合には、背フレーム4がシートフレーム100の後ろ側(図2左側)に揺動されると、その機構自体がシートフレーム100(図2参照)の前側(図2右側)へ移動される。
即ち、その機構自体が側枠7に対して前側(図2右側)へ移動されるので、リクライニングシートに着座した使用者の腕の位置からその機構自体が遠ざかり、操作性が悪化するという不具合がある。
これに対し、本実施の形態では、規制解除ボタン21aがシリンダーブラケット23側のガスシリンダ21の端部に取り付けられ、その規制解除ボタン21aがプレート11に取り付けられた背フレーム可動レバー22の揺動よって押し込まれるので、座フレーム2がシートフレーム100(図2参照)の前側(図2右側)へ移動しても背フレーム可動レバー22の側枠7に対する位置が変化しない。
即ち、シートフレーム100が起立姿勢状態から寝姿勢状態に姿勢を変化させた場合に、使用者の腕の位置が側枠7に対して変化しないので、背フレーム制御機構20の操作性が、シートフレーム100の状態に依存することがない。よって、シートフレーム100の状態の変化による背フレーム制御機構20の操作性の悪化を防止することができる。
次いで、図5を参照して、枕フレーム制御機構30の構成について説明する。図5(a)は、図3のVaにて示した部分の一部を省略して拡大した枕フレーム制御機構30の部分拡大側面図であり、図5(b)は、図5(a)のVb―Vb線における枕フレーム制御機構30の断面を示した部分側面図である。
また、図5(c)は、ヘッドレスト固定バー31の一部を示した側面図であり、係合軸4dを2点鎖線にて示している。図5(d)は、解除アーム33の側面図である。なお、図5(a)に示す矢印は、枕フレーム3の揺動方向を示しており、図5(b)の矢印は、解除アーム33の揺動方向を示している。また、図5(c)では、理解を容易とするために、係合孔31bに対する位置が異なる状態(枕フレーム3起立姿勢状態および枕フレーム3寝姿勢状態)の係合軸4dをそれぞれ図示している。
枕フレーム制御機構30は、枕フレーム3の傾斜を制御する機構であり、図5(a)及び図5(b)に示すように、ヘッドレスト固定バー31と、連結バー32と、解除アーム33と、解除レバー34と、引張りバネ35とを備えている。
ヘッドレスト固定バー31は、図5(a)、図5(b)及び図5(c)に示すように、平板から長尺状(図1及び図3参照)に構成されると共に背フレーム4の外側(図5(b)右側)で縦パイプ4aに沿って配設され係合ピン31aと、係合孔31bとを備えている。
また、ヘッドレスト固定バー31は、平行に配設された一対の縦パイプ4a(図1参照)の外側(図1右側、図5(b)右側)に配設されている。例えば、ヘッドレスト固定バー31が一対の縦パイプ4aの内側に配設されている場合には、一対の縦パイプ4aの間の空間に緩衝材(ウレタンなどの発砲樹脂素材など、)を十分に充填することができないという不具合がある。
これに対して、本実施の形態では、ヘッドレスト固定バー31が一対の縦パイプ4a(図1参照)の外側(図1右側、図5(b)右側)に配設されているので、一対の縦パイプ4aの間の空間に緩衝材を十分に配設することができる。その結果、シートフレーム100によって構成されるリクライニングシートの座り心地を良好に保つことができる。
係合ピン31aは、後述する解除アーム33に対して係合または離脱される部材であり、図5(b)に示すように、先端部がフランジ形状に形成された軸状体として構成されている。
また、係合ピン31aは、図5(a)に示すように、ヘッドレスト固定バー31が組み付けられた状態において、ヘッドレスト固定バー31の揺動軸11d側(図5(a)下端側および図5(c)下端側)の端部から揺動軸11dに対して平行に突設されると共に後述する解除アーム33の切欠き部33aに緩嵌されている。
即ち、後述する解除アーム33は、係合ピン31aに緩嵌された状態において、係合ピン31aのフランジ形状に形成された先端部とヘッドレスト固定バー31との間に配設されている。よって、解除アーム33が係合ピン31aの軸心方向(図5(b)左右方向)へ移動すること防止することができる。
例えば、係合ピン31aを軸状体の周面に凹設される凹部として構成し、解除アーム33をその凹部に軸心を向けて直動する円柱状体として構成した場合には、軸状体が回転することで凹部が円柱状体の軸心の延長上に位置されると、その凹部へ円柱状体が挿入されることで、本体1に対する背フレーム4の揺動が規制され、挿脱されることで揺動の規制が解除されるという動作が可能である。
しかしながら、円柱状体が凹部に挿入された状態で、背フレーム4を揺動させる方向に大きな力が掛ると円柱状体が曲がる場合がある。この場合、円柱状体であるので、軸心を中心として回転することがあり、円柱状体の先端(凹部に挿入される部位)が凹部の移動軌跡上から外れる場合がある。この場合、凹部に円柱状体が挿入されることが不可能となり、背フレーム4の揺動を規制することができなくなるという不具合がある。
これに対し、本実施の形態では、解除アーム33は、係合ピン31aに緩嵌された状態において、係合ピン31aのフランジ形状に形成された先端部とヘッドレスト固定バー31との間に配設されているので、背フレーム4を揺動させる方向に大きな力が掛った場合であっても、解除アーム33が係合ピン31aの軸心方向(図5(b)左右方向)へ移動すること防止して、係合ピン31aに対する解除アーム33の切欠き部33aの嵌合を維持することができる。その結果、シートフレーム100の耐久性の向上を図ることができる。
また、係合ピン31aは、軸状体として構成されているので、長さを設定する場合には、軸状に形成された素材から所望する長さに切断することで軸心方向の長さを設定する。そのため、長さ方向の寸法の確保が容易である。
ここで、ヘッドレスト固定バー31の係合ピン31aが突設される面と、係合ピン31aのフランジ状に形成された先端部のヘッドレスト固定バー31側の面との間の距離(以下「係合ピン31aの嵌合長さ」と称す。)は、解除アーム33の板厚の2倍以上5倍未満に設定されている。
また、係合ピン31aと切欠き部33aとの係合又は離脱が繰り返し行われることにより、係合ピン31aまたは切欠き部33aが摩耗して摩耗屑が発生した場合であっても、切欠き部33aが切り欠かれた形状とされているので、摩耗屑や粉塵等が切欠き部33aに溜まって切欠き部33aが閉塞されることを防止することができる。
よって、枕フレーム3を繰り返し揺動させて摩耗屑や粉塵等が生じた場合であっても係合ピン31aを切欠き部33aに簡易に挿入できるので、シートフレーム100(図1参照)を長期間使用しても切欠き部33aと係合ピン31aとを確実に係合させることができる。即ち、シートフレーム100(図1参照)の耐久性の向上を図ることができる。
係合孔31bは、図5(a)から図5(c)に示すように、ヘッドレスト固定バー31に貫通形成され長円形状の開口を有する貫通孔であり、ヘッドレスト固定バー31が組み付けられた状態において、係合ピン31aに対してヘッドレスト固定バー31の長手方向における縦パイプ3a側(図5(a)上側および図5(c)上側)の部位(以下、「係合孔形成部」と称す。)に配設されている。また、係合孔31bの長径方向は、組み付け状態において、シートフレーム100(図3参照)の後ろ方向(図5(a)右側)に向かうほど係合ピン31aから離間している。
即ち、係合孔31bは、シートフレーム100(図3参照)が起立姿勢状態(図5及び図6参照)から寝姿勢状態へ(図7参照)へ状態変化させた場合に、係合軸4dがプレート11に対して描く軌跡の形状とほぼ同一の形状とされている。よって、係合孔31bは、起立姿勢状態から寝姿勢状態へ状態変化させる過程において係合軸4dの移動を規制することがない。
その係合孔形成部は、係合孔31bが形成されるので、係合孔形成部の幅W2がヘッドレスト固定バー31の部位で係合孔形成部と反対側の部位の幅W3より大きな値に設定されている。なお、幅W2及び幅W3は、ヘッドレスト固定バー31の長手方向に対して直交する方向における寸法値である。
また、図5(c)に示すように、係合孔31bには、上述した係合軸4dが遊嵌されており、枕フレーム3の揺動に伴って係合軸4dが係合孔31bの内部を移動する。また、係合孔31bの短径方向の幅は、係合軸4dの直径とほぼ同等の寸法値(係合軸4dが係合孔31b内部を移動できる程度の隙間を有する寸法値)に構成されている。よって、係合軸4dが主に移動できるのは、係合軸4dの長径方向のみである。
また、ヘッドレスト固定バー31が組み付けられた状態で、起立姿勢において、係合軸4dと揺動軸11dとの間に係合ピン31aが配設され、シートフレーム100を起立姿勢から寝姿勢に状態を遷移させると、係合軸4dは、揺動軸11dを中心として揺動し、ヘッドレスト固定バー31は、係合ピン31aを中心に揺動する。即ち、ヘッドレスト固定バー31の揺動半径より、係合軸4dの揺動半径が大きいので、縦パイプ4aが揺動軸11dを中心として揺動すると係合軸4dが係合ピン31aから離間する方向へ移動する。なお、ヘッドレスト固定バー31の動作の詳細は、図6、図7及び図8を参照して後述する。
連結バー32は、図5(a)に示すように、後述する解除アーム33と解除レバー34とを連結する部材であり、背フレーム4の外側(図5(b)右側)に配設されている。
解除アーム33は、プレート11に揺動可能に軸支されると共に係合ピン31aに係合または離脱されることでヘッドレスト固定バー31の揺動を規制またはその規制を解除する部材であり、図5(d)に示すように、側面視(図5(d))において揺動軸11dと離間する方向に凸となる弓形状に構成されると共に背フレーム4の外側(図5(b)右側)に配設されている。
また、解除アーム33は、切欠き部33aと、案内面33bと、アーム連結部33cとを備えている。切欠き部33aは、係合ピン31aが係合される部位であり、解除アーム33の一部を切り欠いて構成されている。即ち、係合ピン31aの軸心方向に位置がずれても嵌合可能な形状に構成されている。
例えば、解除アーム33を直線状に構成した場合には、解除アーム33の操作効率(力の増幅率)の観点からは、解除アーム33の長手方向を連結バー32に対して直交して配設するのが好ましく、この場合、解除アーム33の揺動の中心から解除アーム33に連結バー32が連結される部位までの距離を最も短くすることができる。
そして、揺動軸11dに解除アーム33の揺動の中心から解除アーム33に連結バー32が連結される部位(アーム連結部33c)を揺動軸11dに近接して配設すると、切欠き部33aが形成された部位が揺動軸11dから離間した状態となり、解除アーム33の配設にスペースが必要となるという不具合がある。
一方、解除アーム33が揺動されるので、その揺動軸に対する切欠き部33aの距離に変化がなければ切欠き部33aの位置を変更しても解除アーム33を揺動させるために必要な力に変化は生じない。
よって、本実施の形態では、解除アーム33を弓形状に構成することで揺動軸に対する距離を維持して切欠き部33aを揺動軸11d側へ近づけることで、解除アーム33の操作効率(力の増幅率)を維持しつつ解除アーム33を揺動軸11dに近接した状態とすることができる。その結果、解除アーム33の配設領域を小さくして、枕フレーム制御機構30の小型化を図ることができる。
ここで、上述したように、係合ピン31aの嵌合長さは、解除アーム33の板厚の2倍以上5倍未満に設定されているので、解除アーム33の組み付け位置が係合ピン31aの軸心方向(図5(b)左右方向)へずれた場合であっても、解除アーム33の切欠き部33aを係合ピン31aに嵌合させることができる。よって、解除アーム33の取り付け公差を大きくすることができるので、シートフレーム100の製造コストを削減することができる。
また、解除アーム33が係合ピン31aの軸心方向(図5(b)左右方向)へ曲がったとしても同様な理由で、解除アーム33の切欠き部33aを係合ピン31aに嵌合させることができる。よって、シートフレーム100が動かなくなることを防止して、シートフレーム100の製品寿命を長く設定することができる。
案内面33bは、切欠き部33aに連成される部位であり、延長面上に解除アーム33の揺動軸を含む平坦面として構成されている。また、アーム連結部33cは、上述した連結バー32と、後述する引張りバネ35が連結される部位である。なお、切欠き部33aは、後述する引張りバネ35の付勢力によって、係合ピン31aへ付勢されている。
解除レバー34は、枕フレーム3を揺動可能とするために係合ピン31aと切欠き部33aとの係合を解除するための部材であり、プレート11を介して側枠7に揺動可能に軸支されると共に、使用者が握持する部位であるハンドル部34aと、連結バー32に連結される部位であるレバー連結部34bとを備えている。
引張りバネ35は、コイルばねとして構成されており、アーム連結部33cを解除レバー34側(図5(a)左側)に付勢すると共に背フレーム4の外側(図5(b)右側)に配設されている。
上述したように、解除アーム33は、引張りバネ35によって、係合ピン31aに付勢されており、解除アーム33の切欠き部33aが係合ピン31aに係合されている。ここで、解除レバー34のハンドル部34aを引張りバネ35の付勢力に対向する方向へ使用者が操作することで、切欠き部33aの係合ピン31aへの係合が解除され、枕フレーム3が背フレーム4に対して揺動可能状態とされる。
例えば、ヘッドレスト固定バー31、連結バー32、解除アーム33及び引張りバネ35が背フレーム4の内側(図5(b)左側)に配設されている場合には、シートフレーム100にウレタンや革などの素地を被せてリクライニングシートとした状態においては、シートフレーム100の内側には緩衝材などが配設されているので、緩衝材などを取り除く必要があり、その分、手間がかかる。
これに対し、本実施の形態では、ヘッドレスト固定バー31、連結バー32、解除アーム33及び引張りバネ35が背フレーム4の外側(図5(b)右側)に配設されているので、シートフレーム100にウレタンや革などの素地を被せてリクライニングシートとした状態において、その素地の一部を開いて、ヘッドレスト固定バー31、連結バー32、解除アーム33及び引張りバネ35を外側から直接触ることができる。よって、緩衝材などを取り除く手間を省くことができるので、修理またはメンテナンスの手間を省いて、メンテナンスコストの低減を図ることができる。
次いで、図6、図7及び図8を参照して、シートフレーム100の一連の動作について説明する。図6、図7及び図8は、シートフレーム100の側面図であり、破線で囲ったX、破線で囲ったY及び破線で囲ったZにて示す部分を拡大して図示している。なお、図6は、シートフレーム100の起立姿勢状態を示しており、図7は、シートフレーム100の寝姿勢状態を示しており、図8は、シートフレーム100の就寝姿勢状態を示している。
図6、図7及び図8を参照して、シートフレーム100の形状変化における各構成の動作について説明する。リクライニングシートは、上述したように、テレビなどを快適な着座姿勢で視聴するために使用者の着座姿勢に合わせて、形状を変化させる可動式の椅子であり、具体的には、図6に示すように、シートフレーム100の状態を起立姿勢状態として、使用者が着座姿勢してテレビを視聴し、その後、使用者が体を横たえた状態でテレビを視聴するために、図7に示すように、シートフレーム100を寝姿勢状態とする。
この場合、テレビの視聴を継続するために、枕フレーム3の状態を起立姿勢状態と同様に立てた状態に維持する。これにより、使用者は、首を起こしてテレビの視聴を継続することができる。
その後、テレビの視聴を止めて就寝する場合には、枕フレーム3の状態を寝かせた状態とすることで、使用者が仰向け姿勢を取ることができる。また、一方、仰向け姿勢を取らずに、図6に示すように、再度着座姿勢とすることも可能である。
次いで、シートフレーム100の形状変化に伴う各構成の動きについて詳細に説明する。まず、シートフレーム100の起立姿勢状態について説明する。シートフレーム100の起立姿勢状態は、図6に示すように、第1ローラ13がレール11cの端部に当接され、側枠7に対して座フレーム2が最後部側(図6右側)に位置されている。その座フレーム2に対して背フレーム4及び枕フレーム3が直立状態(座フレーム2に対して起きている状態)に配置されている。
そして、係合ピン31aに解除アーム33の切欠き部33a(図5(d)参照)が係合され、引張りバネ35の付勢力によって、その係合が維持されている。また、係合軸4dは、係合孔31bの内部の領域の内の係合ピン31a側の領域に位置されている。なお、起立姿勢状態では、背フレーム制御機構20によって、シートフレーム100の姿勢状態が維持されている。
次に、シートフレーム100が上述した起立姿勢状態から、図7に示す寝姿勢状態に変化する動作について説明する。まず、使用者によって、背フレーム可動レバー22(図4参照)がレバー軸22aを中心として揺動されることでガスシリンダ21(図4参照)の規制解除ボタン21aが押される。その規制解除ボタン21aが押されるとガスシリンダ21が伸縮可能状態とされ、その結果、背フレーム4が揺動可能状態(請求項1に記載の「ロック解除状態」に対応する。)とされる。
その後、図7に示すように、背フレーム4が揺動軸11dを中心として揺動(図7垂直方向右回り方向への揺動)される(請求項1に記載の「前記揺動軸を中心に前記背フレームが前記本体の後方に揺動する」に対応する。)と、背フレーム4の下端がシートフレーム100の前側(図7左側)へ移動される。その移動に伴い第1ローラ13がレール11c上を転動され、座フレーム2がシートフレーム100の前側(図7左側)に揺動される。
また、ガスシリンダ21(図4参照)の伸縮には、減衰力が生じるので背フレーム4の揺動を減衰させて、背フレーム4の急激な動きを防止することができる。
また、上述したように、レール11cが側面視(図6及び図7紙面垂直方向視)直方向下側(図6及び図7下側)へ凸の円弧形状に構成され、シートフレーム100の前側(図6及び図7右側)の部分がシートフレーム100の後側(図6及び図7左側)の部分よりもシートフレーム100の上側(図6及び図7上側)に位置しているので、背フレーム4の傾斜角(鉛直方向に対する角度)が大きくなるにつれて、座フレーム2が鉛直方向上側(図6及び図7上側)へ移動される。
即ち、背フレーム4の傾斜角が大きくなり使用者の体重が背フレーム4にかかる状態にて、座フレーム2の上側への移動量が大きくなるので、背フレーム4の傾斜角が大きくなるにつれて背フレーム4を倒す負荷を大きくとることができる。
例えば、レール11cが直線形状に構成された場合には、背フレーム4の傾斜角によらず座フレーム2を移動させるための負荷が一定とされる一方、背フレーム4に使用者が体重を掛けると背フレーム4の傾斜角が大きくなるにつれて、背フレーム4にかかる使用者の体重の割合が増加する。そのため、背フレーム4の倒れる速度が増加して、使用者がリラックスした状態でシートフレーム100を使用することができないという不具合がある。
これに対し、本実施の形態では、レール11cが円弧形状に構成されているので、背フレーム4の傾斜角が大きくなるにつれて背フレーム4を倒す負荷を大きくとることができると共に背フレーム4の傾斜角の変化に伴う背フレーム4を倒す負荷の変化を2次曲線的な変化とすることができる。
よって、背フレーム4にかかる使用者の体重の割合が小さい時には、負荷の変化を小さくして、背フレーム4にかかる使用者の体重の割合が大きい時には、負荷の変化を大きくすることができる。そのため、背フレーム4の傾斜角の調整を使用者が背フレーム4に体重をかけることで容易におこなうことができる。その結果、使用者がリラックスした状態でシートフレーム100の調整をおこなうことができる。なお、ガスシリンダ21は、速度変化の度合いを抑えるための部材であり、速度を加速から減速、または、減速から加速へと変化させることはできないものである。
上述したように、第2ローラ14は、第1支持軸12aの軸心方向(図6及び図7紙面垂直方向)に移動不能とされると共に第1支持軸12aを介してローラブラケット12に軸支されており、その第2ローラ14の溝14bが第1開口部11aの外縁に嵌合されているので、ローラブラケット12がシートフレーム100の横方向(図1左右方向)に動くことを規制することができる。
また、第1ローラ13は、第2支持軸12bの軸心方向(図6及び図7紙面垂直方向)に移動不能とされると共に第2支持軸12bを介してローラブラケット12に軸支されているので、第1ローラ13のシートフレーム100の横方向への動きが規制される。
その結果、第1ローラ13が第1開口部11aの外縁を含む平面に沿って移動することができる。よって、第1ローラ13の転動の軌跡を直線に近づけることができるので、第1ローラ13の周面13a及びレール11cの上面の滑りを低減して座フレーム2の移動を円滑とすることができる。
また、第1ローラ13が第1開口部11aの外縁を含む平面に沿って移動されるので、第1ローラ13が蛇行してプレート11に当接されながらレール11c上を転動することを防止することができる。よって、第1ローラ13を円滑に転動させることができるので、背フレーム4の本体1に対する揺動が重くなることを防ぐことができる。
また、シートフレーム100の横方向(図1左右方向)へのローラブラケット12の動きが規制されるので、ローラブラケット12に取り付けられる座フレーム2がシートフレーム100の横方向(図1左右方向)へ動くことが規制される。よって、座フレーム2の移動に伴いシートフレーム100の横方向への座フレーム2のガタつきを防止することができる。その結果、座フレーム2の移動を円滑とすることができる。
また、上述したように、第1ローラ13と第2ローラ14とはローラブラケット12に軸支されると共に第2ローラ14の溝14bが第1開口部11aに嵌合されているので、ローラブラケット12の傾きを低減することができる。
そのため、第1ローラ13に対する第2支持軸12bの傾きを低減して、第1ローラ13と第2支持軸12bとの間の回転抵抗を低減することができる。その結果、座フレーム2の移動を円滑とすることができる。
また、座フレーム2の移動量は、レール11cの前側端部に第1ローラ13が当接されることで規制される。また、必ずしも座フレーム2を最大限に移動させる必要はなく、レール11cの端部まで移動させること無く任意の位置で停止させても良い。
そして、座フレーム2を停止させた後に、ガスシリンダ21(図4参照)の規制解除ボタン21aの押圧を解除して、ガスシリンダ21の全長を固定した状態(請求項1に記載の「ロック状態」に対応する。)とする。その結果、背フレーム4の動きが固定されて、シートフレーム100の状態が寝姿勢状態に固定される。
また、図7に示すように、縦パイプ4aの揺動の中心は揺動軸11dであり、ヘッドレスト固定バー31の揺動の中心は係合ピン31aである。そして、ヘッドレスト固定バー31は、連結軸3dにて軸支され、縦パイプ4aは、枕揺動軸3cにて軸支されている。
即ち、係合ピン31aと、係合軸4dと、連結軸3dと、枕揺動軸3cとを結んだ形状が四角形に構成され、枕フレーム3が枕揺動軸3c及び連結軸3dにて軸支されている。
よって、背フレーム4をシートフレーム100の後方側(図7右側)に寝かせていくと、上述した四角形が変形される。そのため、寝姿勢状態では、枕フレーム3が背フレーム4に対して起きた状態となる。なお、その寝姿勢状態では、係合軸4dが係合孔31bの内部で係合ピン31aから離間した側に移動されている。
次に、シートフレーム100が上述した寝姿勢状態から、図8に示す就寝姿勢状態に変化する動作について説明する。シートフレーム100の就寝姿勢状態とは、使用者が仰向けで首を寝かせた姿勢で体を横たえることができ、テレビの視聴を止めてそのまま就寝する場合に使用される状態のことである。
まず、使用者は、枕フレーム3を寝かせるべくレバー連結部34bを揺動させて連結バー32を介して解除アーム33を揺動させる。そして、係合ピン31aから切欠き部33a(図5(d)参照)が離間されることで、解除アーム33によるヘッドレスト固定バー31の揺動の規制が解除される。
ヘッドレスト固定バー31の揺動の規制が解除されると枕フレーム3が枕揺動軸3cを中心として揺動(図7垂直方向右回り方向への揺動)される(請求項1に記載の「前記揺動軸を中心に前記背フレームが前記本体の後方に揺動する」に対応する)。よって、ヘッドレスト固定バー31がシートフレーム100の後方(図8右側)へ引っ張られる。そのため、係合軸4dが係合孔31bの内部を係合ピン31aに近接する側へ移動され係合孔31bの外縁に当設されることで、枕フレーム3の揺動が停止される。
例えば、ヘッドレスト固定バー31の縦パイプ4aに対する揺動の規制をヘッドレスト固定バー31から突出される凸部を係合軸4dに当接させることでおこなう場合には、ヘッドレスト固定バー31が凸部を備えるので、その分、ヘッドレスト固定バー31の重量が増加して、ヘッドレスト固定バー31の揺動が重くなり、ヘッドレスト固定バー31を揺動させるために大きな力が必要になるという不具合がある。
これに対し、本実施の形態では、ヘッドレスト固定バー31に形成される貫通孔である係合孔31bの外縁に係合軸4dを当接させることで、ヘッドレスト固定バー31の揺動の規制をおこなうので、凸部が省略され替わりに貫通孔が形成された分、ヘッドレスト固定バー31を軽量とすることができる。その結果、ヘッドレスト固定バー31の重量の低減を図り、ヘッドレスト固定バー31を軽い力で揺動することができる。
例えば、従来品のように、係合軸4dを背フレーム4に対して揺動させることにより枕フレーム3の倒伏を規制する場合は、その係合軸4dと枕フレーム3とがヘッドレスト固定バー31を介して連結されているので、枕フレーム3を本体1の前方に揺動させて起立させると、枕フレーム3が背フレーム4に対して揺動すると共に、ヘッドレスト固定バー31が背フレーム4に対して移動し、更に、係合軸4dが背フレーム4に対して揺動して背フレーム4に当接する。
従って、この場合の可動部分としては、枕フレーム3が背フレーム4に対して揺動するための可動部分、ヘッドレスト固定バー31が背フレーム4に対して移動するための可動部分、および、係合軸4dが背フレーム4に対して揺動するための可動部分の3カ所が必須となり、それぞれに摩擦抵抗が発生する。
これに対し、本実施の形態におけるリクライニングシートによれば、係合軸4dは背フレーム4に固着されており、背フレーム4に対して揺動しないので、枕フレーム3が背フレーム4に対して揺動するための可動部分とヘッドレスト固定バー31が背フレーム4に対して移動するための可動部分との2カ所が必須となる。即ち、係合軸4dが背フレーム4に対して揺動するための可動部分を不要とすることができる。従って、その分、枕フレーム3を本体1の前方に揺動させるのに必要な力を少なくすることができるので、枕フレーム3を起立させる操作を円滑に行うことができる。
また、例えば、ヘッドレスト固定バー31の揺動の規制をヘッドレスト固定バー31から突出される凸部を縦パイプ4aに当接させることでおこなう場合には、縦パイプ4aが中空のパイプから構成されているので、凸部の側面と縦パイプ4aの側面とを面にて当接させるためには、凸部の凸出高さを少なくとも縦パイプ4aの半径寸法よりも長くする必要がある。
この場合、凸部が縦パイプ4aに当接されると、凸部の根元(ヘッドレスト固定バー31側の部位)と、縦パイプ4aが当接される凸部の部位が離れているほど、凸部の根元に大きな力が作用する。よって、凸部が折損しやすいという不具合がある。
これに対し、本実施の形態では、係合軸4dが縦パイプ4aに溶接されており、その溶接の肉盛りを縦パイプ4aの周方向へ延設すること(係合軸4dと縦パイプ4aとの間の隙間を埋めること)で、係合軸4dと縦パイプ4aとの溶接部位をヘッドレスト固定バー31側へ近づけることができる。
そのため、係合孔31bへ当接される係合軸4dの部位と、縦パイプ4aに溶接される係合軸4dの部位とを近づけることができるので、その縦パイプ4aに溶接される係合軸4dの部位に作用する力を小さくすることができる。
その結果、係合軸4dと縦パイプ4aとの接合強度および剛性を高めることができるので、シートフレーム100の製品寿命を長くすることができると共に、枕フレーム3の揺動が規制された時の節度感を向上させることができる。
また、切欠き部33a(図5(d)参照)による係合が解除された係合ピン31aは、案内面33bによって押圧される。よって、ヘッドレスト固定バー31のガタつきを防止することができる。
また、案内面33bは、切欠き部33a(図5(d)参照)に連成されているので、図8に示すシートフレーム100の就寝姿勢状態から、図6に示す起立姿勢状態に状態を変える場合には、背フレーム4を起すことで、係合ピン31aが案内面33bに案内されて、再び、切欠き部33aに係合される。よって、枕フレーム3が寝た状態でも起きた状態でも、背フレーム4を起立させることで、図6に示すように、シートフレーム100を起立姿勢状態とすることができる。
また、上述したように、案内面33bが切欠き部33a(図5(d)参照)に連成されているので、枕フレーム3のみを起こすことで、係合ピン31aが切欠き部33aに再度係合される。よって、シートフレーム100の状態を寝姿勢状態とすることができる。
案内面33bは、延長面上に解除アーム33の揺動軸を含む平坦面として構成されているので、係合ピン31aの案内面33bから切欠き部33aへ移送を円滑とすることができる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値(例えば、各構成の数量や寸法・角度など)は一例を示すものであり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記各実施の形態では、係合軸4dが固定プレート4cと縦パイプ4aとに溶接される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、係合軸4dを縦パイプ4aに貫通させて溶接しても良い。
この場合、縦パイプ4aに貫通孔が形成されるので、縦パイプ4aの周壁の2カ所で係合軸4dを固定して取り付け強度を確保することができると共に固定プレート4cを省略することができる。その結果、係合軸4dの取り付け強度を確保すると共にシートフレーム100の軽量化を図ることができる。
また、上記各実施の形態では、半径R2が第1ローラ13の直径の1/2と同等に構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、半径R2を第1ローラ13の直径の1/2より大きく設定すると共にレール11cの曲率を前側端部から後側端部に向かって徐々に大きな曲率としても良い。
この場合、第1ローラ13の移動を規制する負荷を徐々に大きくすることができる。そのため、座フレーム2を緩やかに停止させることができる。
また、上記各実施の形態では、第1支持軸12aが第2支持軸12bに対して鉛直方向上側に配設されている場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1支持軸12aが第2支持軸12bに対して鉛直方向下側かつ座フレーム2に対して鉛直方向下側に配設されても良い。
この場合、第2ローラ14を座フレーム2の下側に配設することができるので、使用者が座る座フレーム2の上側部分のスペースを確保することができる。その結果、使用者の着座スペースの拡大を図ることができる。また、使用者が座る座フレーム2の上側部分のスペースを確保することができるので、そのスペースに緩衝材を充填することで、リクライニングシートの快適性の向上を図ることも可能である。
また、上記各実施の形態では、第1ローラ13及び第2ローラ14がボールベアリングにて構成されている場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ニードルベアリングや、テーパーベアリングにて構成しても良い。
また、上記各実施の形態では、座フレーム案内機構10をレール11c上を第1ローラ13が転動し、第2ローラ14の溝14bが第2開口部11bの外縁に嵌合する構成とされている場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、レール11cをS極N極が交互に出現する電磁石として構成し、第1ローラ13をS極の磁石またはN極の磁石にて構成して組み合わせ、第2開口部11bの外縁と第2ローラ14を極性の異なる磁石にて構成しても良い。
この場合、レール11cの極性を背フレーム4の傾斜角度に応じて変化させることで、レール11cの電磁石の極性を変化させると、磁石の反発力と吸引力との組み合わせによって、レール11cと第1ローラ13とが非接触状態を保って座フレーム2を移動させることができる。
また、第2開口部11bの外縁と第2ローラ14を極性の異なる磁石にて構成することで、互いに反発力を生じさせることで、第2開口部11bと座フレーム2とが非接触状態を保って第2開口部11bに沿って座フレーム2を移動させることができる。