以下、添付図面を参照して、本発明による椅子を実施するための形態を説明する。しかし、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではない。なお、以下の各図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
以下の説明においては、前後上下左右等の向きは、特に記載がなければ、水平な床面(椅子設置面)F上に設置した状態の椅子1に、正規姿勢で着座した着座者の正面側を「前」、その逆側を「後」とし、上下左右も着座者から見た向きと同一とする。着座者が正規姿勢で着座したとき、椅子1の座3は後述する使用位置P1にあり、特に記載がなければ、座3の説明で用いる向きは使用位置P1での向きと同一とする。図中において、矢印UPは上方を示し、矢印FRは前方を示し、矢印LHは左方を示す。
<椅子全体>
図1は、本発明の一実施形態における椅子を前外側から見た斜視図である。図2は、椅子を側方側から見た図である。図3は、椅子の骨組み構造を示す斜視図である。図4は、椅子の構成を示す分解斜視図である。
図1、図2に示すように、本実施形態の椅子1は、座面3aを形成する座3を、座面3aを上方に向けた使用位置(着座位置、図1参照)P1と、使用位置P1に対して前端部を上方に移動させた跳ね上げ位置(格納位置、図2参照)P2と、の間で回動可能とした、座跳ね上げ式の椅子1である。
図1~図3に示すように、椅子1は、座3と、座3の後方に位置し着座者の背中を受ける背凭れ4と、座3および背凭れ4を支持する支持構造体7と、支持構造体7に支持されるとともに座3を回動させる座回動機構15と、を備えている。
支持構造体7は、左右方向(椅子1の幅方向)に離間して配置される左右一対の脚体2を備えている。以下の説明において、左右一対の脚体2を左右脚体2と言うことがある。座3および座回動機構15は左右脚体2の間に配置されている。背凭れ4は、座3の後方で左右脚体2の間に配置されている。
<支持構造体>
図1に示すように、支持構造体7は、座3および背凭れ4を支持する。支持構造体7は、椅子1の幅方向に離間する一対の脚体2と、これら一対の脚体2どうしを幅方向に連結する枢軸(連結部材)61と、枢軸61の軸方向両側に取り付けられる枢軸支持体62と、を備えている。
図1~図3に示すように、左右脚体2は、接地面Fに設置される。左右脚体2の各々は、脚構成部201と、肘掛5を構成する連結杆部30とを有している。
脚構成部201は、互いに前後方向に離間して上下方向に延びる前脚20および後脚25と、これらを連結する支持部材35と、を備えている。
前脚20および後脚25は、各々の上下中間部の間に設けられた上記支持部材35を介して互いに連結されている。本願における「中間」とは、対象部品の両端間の中央に限らず、両端間の内側にある部位を含む。椅子1が接地面F上に起立するとき、椅子1の前後方向は椅子1の奥行方向となる。前後方向前側は奥行方向手前側に相当し、前後方向後側は奥行方向奥側に相当する。
左右脚体2のそれぞれに設けられた左右支持部材35は、座3の左右側部および背凭れ4の左右側部をそれぞれ支持する部材である。左右支持部材35は、使用位置P1における座3の前端部(図2の前端位置P3参照)よりも後方に位置し、座3の前端部側を跳ね上げ可能とするべく座3を回動可能に支持している。左右支持部材35は、座3の後端部(図2の後端位置P4参照)よりも前方に位置している。
また、左右支持部材35および座3の回動中心軸線C1は、座3の前後方向中央よりも後方に位置している。左右支持部材35は、使用位置P1にある座3の座面3a(図1)よりも下方に位置している。
図5は、椅子を幅方向に複数並べた状態を示す前面図である。
図1~図3に示すように、左右支持部材35の幅方向外側には、幅方向に並ぶ椅子1どうしを連結可能とする連結機構17が設けられている。連結機構17は、図5に示すように、幅方向一側(着座者の右側)に設けられる第1連結部材18と、幅方向他側(着座者の左左側)に設けられる第2連結部材19と、を備えている。
第1連結部材18は、図5に示すように、右側支持部材35の外側部中央から幅方向外側に突出する凸部18bと、凸部18bの外側に設けられた係合部18aと、からなる。
第2連結部材19は、図3に示すように、左側支持部材35の外側部中央から幅方向外側に突出する凹部19bと、凹部19bの外側に設けられた被係合部19aとからなる。凹部19bの形状は、凸部18bの形状に対応する。
図5に示すように、凸部18bは、隣り合う他の椅子1の凹部19bに挿入され、係合部18aが被係合部19aに係合することで、第1連結部材18と第2連結部材19とが接続されて、椅子1どうしの水平移動での離脱を規制する。第1連結部材18および第2連結部材19の各々は、例えばポリアセタール等の合成樹脂材料により一体形成されている。
このような連結機構17により、例えば劇場、ホールの空きスペースおよび体育館等において、左右方向で隣り合う椅子1どうしを連結した状態で接地面F上の規定箇所に設置することができる。
図3、図4に示すように、前脚20および後脚25は、互いに椅子1の前後方向に離間して上下方向に延びている。前脚20および後脚25は、それぞれ長さ方向に直交する断面で矩形状(長方形状)の断面形状を有する脚杆を構成している。前脚20および後脚25の上端部は、座3よりも上方に延びており、連結杆部30により互いに連結されている。連結杆部30は、肘掛け5を構成している。
例えば、連結杆部30は、前脚20および後脚25の連結杆部30近傍の部位とともに、アルミダイキャスト等により一体成型されている。前脚20および後脚25の残余の部位は、例えば角形鋼管に曲げ加工を施して形成されている。
図3に示すように、前脚20の鋼管部分2Bの上下方向中間部に位置する下傾斜部23bと、後脚25の鋼管部分2Cの上部とは、支持部材35を介して互いに連結されている。
図4に示すように、支持部材35は、幅方向と直交する板状をなし、前後方向視で前脚20と重なるように配置される側壁部36と、側壁部36の後縁部から幅方向内側に突出する後壁部37と、側壁部36の内側中央部に位置するとともに幅方向内側に突出する筒状の枢軸支持部32と、を備えている。
さらに支持部材35は、背凭れ4の背凭れ支持フレーム8を支持する前下締結部38および後下締結部39を備えている。
前下締結部38は、前脚20よりも後方であるとともに支持部材35の枢軸支持部32の前方に隣接し、側壁部36に対して垂直に設けられている。前下締結部38は、背凭れ支持フレーム8を構成する背フレーム本体(第1のフレーム部材)8aの傾斜に沿って上側が後傾しており、前脚20の側面よりも幅方向内側に位置する前面の全体が背フレーム本体8aの前下締結プレート8a1に対向している。これら左右の前下締結部38によって、背フレーム本体8aの各下端部8a3が、左右脚体2の幅方向内側においてそれぞれ支持されている。
後下締結部39は、後脚25の側面から幅方向内側に向けて突出しており、上記前下締結部38よりもさらに幅方向内側に位置している。後下締結部39は、背凭れ支持フレーム8を構成するサポートフレーム(第2のフレーム部材)8bの傾斜に沿って上側が前傾しており、その後面全体がサポートフレーム8bの後下締結プレート8b1の前面に対向している。
これら一対の前下締結部38および後下締結部39によって、背フレーム本体8aおよびサポートフレーム8bの各下端部8a3,8b3が、脚体2の前後異なる位置にそれぞれ支持されることで、背凭れ支持フレーム8と支持構造体7との締結部分に集中する荷重を、支持構造体7の前後に分散させることができる。
支持部材35は、例えば、前脚20および後脚25に対して溶接により設けられている。具体的に、側壁部36の前縁部は、前脚20の上下中間部の後面側に溶接等により結合され、前脚20に支持されている。後壁部37の内側縁部は、後脚25の上下中間部の前縁部に溶接等により結合され、後脚25に支持されている。
図1~図4を参照し、前脚20および後脚25は、少なくとも支持部材35および座3よりも下方において、互いに前後方向に離間した杆状をなしている。前脚20および後脚25の各々の下端側の接地端部21,26は、それぞれ接地面Fに当接する部分である。前脚20は、図2に示すように、使用位置P1にある座3の前端位置P3と、回動中心軸線C1との間に位置している。前脚20の接地端部21は、できるだけ前方に接地位置を設けるために、接地面Fに沿って前方に延びている。
前脚20は、接地端部21の後端部21bから上方へ鉛直方向に沿って延びる前脚鉛直杆部23を備えている。前脚20における接地端部21および前脚鉛直杆部23を含む部位は、図2に示す側面視でL字状に形成されている。前脚20の接地端部21に至る部位を前脚鉛直杆部23としたので、図2に示すように、使用していない座3が跳ね上げ位置P2にある収納状態において、収納時の座3の裏面3Bと前後方向で同等あるいは若干前方となる位置に前脚鉛直杆部23が位置することとなり、椅子1の前方に広さを確保することができる。これにより、着座者の下肢が動く領域から前脚20が退避し、椅子1の前方を歩行しやすくなる。
図2を参照し、後脚25は、支持部材35を結合する上下中間部から下後方へ、側面視で傾斜して直線状に延びている。後脚25の下端側の接地端部26は、使用位置P1にある座3の後端位置P4よりも後方の領域に配置されている。後脚25の接地端部26は、後傾する背凭れ4の上後端位置P5と同等の前後方向位置に配置されている。
左右肘掛け5は、例えば連結杆部30により構成されている。連結杆部30の上面は、着座者の前腕を載せる肘載せ面5aを形成している。左右肘掛け5は、それぞれ同側の支持部材35の上方に離間して配置されている。これにより、左右肘掛け5の下方に空間が形成され、椅子1を運搬する際等に作業者が肘掛け5を把持しやすい。また、脚体2の軽量化も図られる。
左右肘掛け5は、左右連結杆部30に装着されるパッド部材等を含んでもよい。連結杆部30を含む成型部分2Aは、アルミ合金等の金属材料に限らず、合成樹脂材料で形成してもよい。
枢軸61は、図3、図4に示すように、左右脚体2よりも幅方向内側に配置され、軸線C1を軸中心とし、幅方向に沿って直線状に延びている。枢軸61は、幅方向に離間して配置された左右脚体2どうしを連結する。枢軸61の両端側は、後述する背凭れ支持フレーム8における左右空間K1内にそれぞれ位置しており、後述する枢軸支持体62を介して左右連結杆部30に接続されている。枢軸61は、長さ方向両端側にそれぞれ設けられた固定プレート51を介して、枢軸支持体62に固定されている。
枢軸61は、両端側に設けられた各枢軸支持体(連結部材支持体)62を介して、左右脚体2における各支持部材35の内側にそれぞれ取り付けられている。枢軸支持体62は、支持部材35の側壁部36の内面側に対してボルト等を用いて固定されている。枢軸支持体62は、軸線C1を中心とした有底円筒状をなす支持本体62Aを有し、支持本体62Aの一端側が幅方向内側(左側座回動機構15)に向けて開放するように配置されている。
枢軸支持体62は、支持本体62Aの外周面から前方に突出するように屈曲形成された前方締結部62Bを有している。前方締結部62Bは、支持部材35の前下締結部38に対して所定の間隔をおいて対向し、前下締結部38との間に形成される隙間に背フレーム本体8aの下端部8a3が挿入された状態で組み立てられる。
枢軸61の端部は、固定プレート51を枢軸支持体62内に挿入させた状態で、枢軸支持体62に対し、例えばボルト等を用いて固定的に支持されている。
図6は、脚体と枢軸との連結部分の構造を拡大して示す斜視図である。
具体的に枢軸支持体62は、図4、図6に示すように、支持本体62Aの幅方向外側の端部から径方向に張り出すとともに軸回りに等間隔に配置された3つの固定部62C(図4では2つのみ図示)を有しており、各固定部62Cのボルト挿入穴に挿入されるボルト62bを介して支持部材35にねじ止めされている。枢軸支持体62により、支持部材35に対する枢軸61の接触面積が増えるので、枢軸61を左右脚体2に対して安定して取り付けることができる。
枢軸61における枢軸支持体62よりも幅方向内側の部位には、軸方向視半円状の第1ギア64が固定されている。第1ギア64は、半円状の外周部に軸線C1を中心とするギア部を形成している。第1ギア64の軸方向視平面側には、当該第1ギア64の逆回転を阻止する平板状の抑え部材64Aが取り付けられており、内側に枢軸61が挿通された状態で半円状のギア部64aの両端を連結している。
<背凭れ>
図1~図4に示すように、背凭れ4は、座3の後方で後上方に向けて傾斜し、着座者の背中を受けて後方から支える。背凭れ4は、下部側ほど後方に凸の湾曲形状をなしている。背凭れ4の下部の湾曲形状は、着座者の腰部の湾曲に沿うように形成されており、着座者の腰部のサポート性を高めている。背凭れ4の下部は、左右脚体2の前後異なる位置にそれぞれ固定されて支持されている。
背凭れ4は、支持構造体7に支持される背凭れ支持フレーム8(図3)と、背凭れ支持フレーム8に支持され、着座者の背中を受ける張材(背当部材)9と、背凭れ支持フレーム8に支持される背板10(図3)と、を備えている。
背凭れ4は、図4に示す背凭れ支持フレーム8に、図1に示すメッシュ状の張材9を張設して構成され、張材9の前面側に背当面4aが形成されている。背板10は、背凭れ支持フレーム8の内側に取り付けられ、背凭れ支持フレーム8とともに張材9によって覆われる。
図3、図4に示すように、背凭れ支持フレーム8は、前後方向視で下方に開放するU字状の背フレーム本体(第1のフレーム部材)8aと、背フレーム本体8aの左右辺の下部を下後方から支持する左右一対のサポートフレーム(第2のフレーム部材)8bと、左右サポートフレーム8bの下端部どうしのを連結する連結フレーム8cと、を備えている。背フレーム本体8a、左右サポートフレーム8bおよび連結フレーム8cの各々は、例えば円形鋼管に曲げ加工を施して形成されている。
背フレーム本体8aは、背凭れ4の後傾角度に沿って上下方向に長さを有し、起立している。U字状をなす背フレーム本体8aは、左右に離間した一対の側部8A1と、これら側部8A1の上部どうしを連結する上部連結部8A2と、を有している。背フレーム本体8aは、上部連結部8A2側の方が下端部8a3よりも後方に位置するように傾斜している。
背フレーム本体8aに対する左右サポートフレーム8bの並び位置は、背凭れ4の湾曲形状に沿っている。本実施形態において、左右サポートフレーム8bの各々は、椅子1の前後方向において背フレーム本体8aよりも後方に位置するとともに、幅方向内側で隣り合う状態で背フレーム本体8aに対して固定されている。
左右サポートフレーム8bの各々は、背フレーム本体8aの側部8A1と隣り合うとともに側部8A1に沿って上下方向に延在する上傾斜部(延在部)8B1と、上傾斜部8B1の下部から屈曲部qを経て下後方へ傾斜する下傾斜部8B2と、を有している。上述したように、サポートフレーム8bの下傾斜部8B2は、上傾斜部8B1に対して所定の角度で傾斜しており、背フレーム本体8aの下端部8a3から後方へ向かって離間している。
一方、上傾斜部8B1は、その少なくとも一部が、背フレーム本体8aの側部8A1に対して溶接等により結合されている。上述したように、背フレーム本体8aおよび左右サポートフレーム8bのそれぞれの下端部8a3,8b3は、互いに前後方向(椅子1の奥行方向)に離間しており、これらの間に形成される空間K1(図4)よりも上方において、上傾斜部8B1の全体あるいはその一部が背フレーム本体8aに溶接されて固定されている。下傾斜部8B2の下端部8b3は、背フレーム本体8aに対して固定されている部位よりも後方に位置するように傾斜している。これにより、背フレーム本体8aに対する左右サポートフレーム8bによるサポート力を得ることができる。
本実施形態では、例えば、左右サポートフレーム8bにおける上傾斜部8B1の長さは下傾斜部8B2のよりも大であり、上傾斜部8B1をその長さ方向全体にわたって背フレーム本体8aに固定しておくことで、背フレーム本体8aに対する左右サポートフレーム8bのサポート力をより高めることができ、背フレーム本体8aにかかる着座者からの荷重を支えることができる。
連結フレーム8cは、図2に示すように、背フレーム本体8aよりも後方に倒れた傾斜姿勢をなし、図3、図4に示すように前方に開放するU字状に形成されている。連結フレーム8cは、左右に離間した前端部8C1と、これらを連結する連結部8C2と、を有している。連結フレーム8cの左右の前端部8C1は、左右サポートフレーム8bの下傾斜部8B2の下端部8b3に溶接等により結合されている。連結フレーム8cの連結部8C2は、背凭れ4の下端部の湾曲形状に沿うように後方へ湾曲している。
このような背凭れ支持フレーム8は、支持構造体7に支持されている。背凭れ支持フレーム8は、背フレーム本体8aおよび左右サポートフレーム8bの各下端部8a3,8b3が、左右脚体2の各支持部材35にそれぞれ固定されて支持されている。
具体的に、背フレーム本体8aの左右の下端部8a3には、前下締結プレート8a1が溶接等により固定されている。前下締結プレート8a1は、組み立て時に、左右脚体2の支持部材35の前側に設けられた前下締結部(被支持部)38に対向する部位であって、前下締結部38に対し、前上方から斜めに螺着されたボルト8a2により締結固定されている。
左右サポートフレーム8bの下傾斜部8B2における下端部8b3には、後下締結プレート8b1が溶接等により固定されている。後下締結プレート8b1は、組み立て時に、左右脚体2の支持部材35に設けられた後下締結部(被支持部)39に対向する部位であって、支持部材35の内面35b側から幅方向内側に突出する後下締結部39に対して、後上方から斜めに螺着されたボルト8b2により締結固定されている。
このような背凭れ支持フレーム8は、左右に跨る背フレーム本体8aおよび連結フレーム8cにより、左右脚体2どうしを連結する連結部材としても機能する。
背板10は、背フレーム本体8aによって囲まれた領域内に配置された板状部材からなり、連結フレーム8cの湾曲形状、つまり背凭れ4の下端部の湾曲形状に沿うように後方へ湾曲している。背板10は、左右の側部中央に設けられた各係合部10aが、左右サポートフレーム8bの上端部に係合されているとともに、下端側に設けられた複数の連結部10bに挿入されるばねによって、連結フレーム8cに固定されている。
<座回動機構>
図4、図6に示すように、各座回動機構15は、座3を枢軸61に取り付けるための座支持部材65と、座支持部材65内に収容された反力調整機構16と、一対の軸受部材72と、をそれぞれ備えている。図4、図6では、着座者から見て椅子1の右側の座回動機構15等を示しており、以下、図4、図6に示す右側の構成を参照して説明を行い、左側の構成は左右対称のものとしてその説明は省略する。
図7は、座支持部材の要部構成を示す斜視図である。
座支持部材65は、枢軸支持体62よりも幅方向内側に配置され、座3を下側から支持する。座支持部材65は、枢軸支持体62に対して回動可能に係合する座フレーム枢支部65aと、座フレーム枢支部65aの幅方向内側に隣接する反力調整機構収容部65cと、反力調整機構収容部65cから前方に向かって延びるフレーム延出部65bと、を備えている。
座フレーム枢支部65aは、図4に示すように、例えば軸線C1中心の円筒壁の上下を部分的に切り欠いた突片状の態様をなし、枢軸支持体62の内周側に挿入されて配置されている。座フレーム枢支部65aは、枢軸支持体62に対して回動可能に支持されている。枢軸支持体62の内周側には、座3の使用位置P1および跳ね上げ位置P2の各々において座フレーム枢支部65aに周方向で係合するストッパ62aが設けられており、このストッパ62aにより、座3の回動が使用位置P1および跳ね上げ位置P2の間に制限され、かつ座3の回動が使用位置P1および跳ね上げ位置P2において規制される。
反力調整機構収容部65cは、図6に示すように、上方に開放する断面コ字状の容器形状をなし、内側に内部空間K2が形成されている。反力調整機構収容部65cは、幅方向に離間した一対の側壁部65fと、座使用状態においてこれら左右側壁部65fの下部どうしを連結する下壁部65gと、を有して構成され、座3側に開口する凹部形状とされている。
左右側壁部65fの各後方側端部(後端部)65pは、それぞれ後方へ向かうにしたがって互いに近接し、鋭角をなすように接続されることで後端側が細くなっている。後方側は平面視V字形状をなし、開口65e側が前後中央部位よりも幅方向へ広がりにくい構造になっている。これにより、内部空間K2内に収容された各部材の位置関係を良好に保つことができる。
左右側壁部65fの前方側端部どうしは、フレーム延出部65bとの境界に設けられたリブ71を介して接続されている。そして、これら一対の側壁部65f、下壁部65gおよびリブ71によって囲まれた領域に形成される内部空間K2に、反力調整機構16が収容されている。
フレーム延出部65bは、上方に開放する台形状の断面を有して、反力調整機構収容部65cの前方に延びている。フレーム延出部65bは、幅方向に離間した一対の側壁部65hと、これら左右側壁部65hの下部どうしを連結する下壁部65jと、一対の側壁部65hの前端どうしを連結する前壁部65kと、を有して構成されている。さらにフレーム延出部65bは、その先端側近傍に、座3への係合機能を有する係合部65mを有している。
フレーム延出部65bは、反力調整機構収容部65cのうち、幅方向外側の側壁部65f側に寄って設けられている。一対の側壁部65hと下壁部65jとによって囲まれた内側空間には複数のリブ71が所定の間隔で配置されており、細長く延在するフレーム延出部65bの強度が確保された構成となっている。
座支持部材65は、座3に対して座支持部材65を固定するための固定部76,77を有している。第1固定部76は、反力調整機構収容部65cにおける幅方向内側の側壁部65fの後方側に位置し、当該側壁部65fよりも幅方向内側(他方の座支持部材65側)に向かって延出するとともに中央にボルト挿通孔78を有した矩形板状をなす。第2固定部77は、反力調整機構収容部65cとフレーム延出部65bとの境界付近であって、フレーム延出部65bと幅方向内側で隣り合う位置に設けられ、中央にボルト挿通孔78を有している。
座支持部材65は、フレーム延出部65bの係合部65mが座3側の係合孔75s(図3)内に挿入されて係合した状態で、上記固定部76,77の各ボルト挿通孔78内に挿通されるボルトを介して座3に固定されている。
本実施形態の座支持部材65は、図4、図7に示すように、反力調整機構収容部65cのうち枢軸61と交差する部位に、枢軸61を支持するためのU字状の軸受部65dを有している。軸受部65dは、左右側壁部65fの上記該当部位にそれぞれ形成され、枢軸61の一部を内部空間K2に挿通させた状態で支持する。
軸受部65dには、前後方向であって、両側の内壁から枢軸61側に向けて突出する一対の被係合部(第1規制手段)65nが形成されている。各被係合部65nの下面65n1は、座支持部材65の上面65n2に対して略平行している。
図8は、幅方向内側から座支持部材を見た図である。
図8に示すように、軸受部65dには、枢軸61の端部側が挿入される。図6に示すように枢軸61の端部には、軸方向に所定の間隔をおいて一対の軸受部材72が取り付けられており、各軸受部材72のそれぞれを座支持部材65の各軸受部65dに挿入させることで枢軸61と一対の座支持部材65とが組み付けられている。
図9は、軸受部材の構成を示す斜視図である。
図9に示すように、軸受部材72は、2つの軸受構成材73が組み合わされてなる。軸受構成材73の形状は互いに等しく、軸線Cを介して対象的に組み合わされている。
軸受構成材73は、図9に示すように、軸線Cを中心とする半円形状であって、枢軸61の外径とほぼ等しい寸法で形成された枢軸保持凹部73aを有している。軸受構成材73は、他方の軸受構成材73の枢軸保持凹部73aとともに、枢軸61長さ方向の一部における軸回り全体を部分的に覆っている。
軸受構成材73は、さらに、軸線Cよりも下方において軸方向における厚さ方向両側から径方向外側へ張り出す一対の張り出し部73bと、これら一対の張り出し部73bどうしの間に形成される第1係合溝73fと、一対の張り出し部73bの上方に設けられ且つ弾性変形可能な弾性係合部(第1規制手段)73cと、弾性係合部73cよりも上方に設けられ且つ外側(前後方向)に突出する一対の係合凸部(第2規制手段)73dと、これら一対の係合凸部73dどうしの間に形成される第2係合溝73gと、他方の軸受構成材73に対する固定部73eと、を有している。
固定部73eは、一方の側面側から他方の軸受構成材73側に向かって突出するとともにその先端が厚さ方向に屈曲したL字形状とされている。一対の軸受構成材73は、互いの枢軸保持凹部73aによって円形が形成されるように枢軸61の外周側から組み合わされるとともに、それぞれの固定部73eどうしを係合させることで互いに固定され、枢軸61に対して取り付けられている。
弾性係合部73cは、一対の張り出し部73bの上端側から係合凸部73d側へ向かって上方に延出している。図8に示すように、軸受部材72が座支持部材65の軸受部65d内へ挿入される際、軸受部材72の各弾性係合部73cは、軸受部65dの内側に突出する一対の被係合部65nによって枢軸保持凹部73a側へ弾性変形され、一対の被係合部65nを通過した後に元の形状に復帰することで各被係合部65nの下面65n1に係合する。座支持部材65の各被係合部65nは、軸受部材72の上方への抜け止めとして機能する。
軸受部材72は、図9に示した張り出し部73bおよび係合凸部73dの間に形成された各係合溝73f,73g内に、軸受部65dを構成するの左右側壁部65fの一部を挿入させた状態で座支持部材65に保持されている。これにより、軸線Cに沿う方向で、張り出し部73bどうしおよび係合凸部73dどうしが、軸受部65dを形成する左右側壁部65fの一部をそれぞれ挟み込み、左右側壁部65fに係止する。張り出し部73bは、軸受部65dの底部側の側壁に係止する。係合凸部73dは、軸受部65dの被係合部65nに係止する。
このように、軸受部材72の一部が、軸受部65dの周囲の左右側壁部65fに係止することによって、軸受部材72の軸線C方向への移動が規制され、座支持部材65に対する軸受構成材73の位置決めがなされている。軸受部材72は、反力調整機構収容部65cの軸受部65d内にその全体が収容され、軸受部材72の上面72aが反力調整機構収容部65cの上面65n2と一致している。
反力調整機構16は、図3に示すように、支持構造体7に対して、座3を枢軸61の軸回りに上方へ回動するように付勢する機構であって、座支持部材65の内部空間K2内に配置されている。反力調整機構16は、内部空間K2のうち、枢軸61よりも後方であって後端において互いに接続された後方側端部65pどうしの間、もしくはその近傍に配置されていることが好ましい。
図10は、座回動機構の要部構成を示す上面図であって被操作部の変位前の状態「第1位置」を示す図である。
図10に示すように、反力調整機構16は、渦巻ばね(付勢部材)66と、被操作部67と、第2ギア68と、枢軸61に取り付けられた第1ギア64と、により構成されている。
図11は、幅方向内側から座支持部材を見た断面図である。
渦巻ばね66は、図10に示すように、幅方向に長さを有する被操作部67の一方の端部67b側に配置され、図11に示すように、当該被操作部67を中心として渦巻状に構成されている。渦巻ばね66の径方向内側端部66aは、被操作部67に形成された端部保持孔67cに挿入保持され、相対回転不能に係止されている。渦巻ばね66の径方向外側端部66bは、反力調整機構収容部65cの下壁部65j側に設けられた凸部65tに相対回転不能に係止されている。
第2ギア68は、渦巻ばね66よりも幅方向内側に配置され、被操作部67に一体回転可能に支持されている。第2ギア68は、外周部にギア部68aを形成している。第2ギア68のギア部68aは、図10に示す「第1位置」において第1ギア64のギア部64aに噛み合っている。
図12は、座回動機構における被操作部の変位後の状態「第2位置」を示す図である。
被操作部67は、枢軸61よりも後方の位置において当該枢軸61と平行に配置されている。被操作部67は、反力調整機構収容部65cの左右側壁部65fに対して相対的に回転可能に支持されている。また、本実施形態において被操作部67は、長さ方向に沿って、枢軸61に装着された第1ギア64に対して第2ギア68が噛み合う「第1位置:図10」と、ギア64,68どうしの噛み合いが解除される「第2位置:図12」との間で変位可能に支持されている。
被操作部67は、その長さ方向における他方の端部67aが、座支持部材65の幅方向内側となる側壁部65fに形成された挿通孔65u(図7)から幅方向内側(他方の座支持部材65側)へ向けて突出しており、外部に露呈するこの端部67aが作業者によって操作される。
被操作部67の長さ方向反対側の端部67bは、図10に示す「第1位置」から図12に示す「第2位置」に変位したときに、座支持部材65の幅方向外側の側壁部65fの内面側に設けられたU字状の凹部からなる操作部回転規制部65r(図7)内に挿入される。端部67bの軸回りには軸線Cを介して互いに対向する一対の回転規制面67b1が形成されており、被操作部67が「第2位置」に変位された際、これら回転規制面が操作部回転規制部65rの内面65r1に係止することで、渦巻ばね66の付勢力が畜力される方向とは反対の方向(座3を付勢する方向)へ被操作部67が回転してしまうのを阻止することができる。
係る構成において、渦巻ばね66に畜力されたばね力により第2ギア68が回転すると、第2ギア68が第1ギア64の外周を転動し、座3を使用位置P1から跳ね上げ位置P2に回動させる。渦巻ばね66には、座3が跳ね上げ位置P2にあるときにも座3を跳ね上げ方向に付勢可能な初期ばね力が付与されている。渦巻ばね66は、着座者により座3が使用位置P1に降ろされたとき、上記初期ばね力からさらにばね力を畜力し、着座者が起立した場合には座3を跳ね上げ位置P2まで回動させる。
座3の跳ね上げ速度を調整する場合には、まず、被操作部67を椅子1の幅方向外側に向かって押し込むことで、第1ギア64に対する第2ギア68の噛み合いを解除し、変位後の「第2位置」において被操作部67を渦巻ばね66を縮径させる方向(図11の矢印で示す反時計回り)に回すことで、渦巻ばね66をねじる。渦巻ばね66をねじった状態のまま被操作部67を軸方向内側に引き元の「第1位置」に戻し、再び第2ギア68を第1ギア64に噛み合わせることにより、渦巻ばね66に対して所望の付勢力(反力)を畜力することができる。このようにして、座3に対する付勢力を調整することで、座3の跳ね上げ速度を調整することが可能である。
本実施形態において、図3に示すように、一対の座支持部材65の上方への開口65eは、例えば、座3を構成する座本体75により閉塞される。
座支持部材65には、図7に示すように、上方に向けて突出する複数の突出部74が設けられており、これら複数の突出部74が座本体75の係止孔75bにそれぞれ挿入されて、座3に対する座支持部材65の位置決めがなされている。
<座>
図13は、座本体の構成を上面側から見たときの斜視図である。図14は、座本体の構成を下面側から見たときの斜視図である。図15は、一対の座回動機構と座本体との接続構造を示す斜視図である。
図1、図3に示すように、座3は、平面視矩形状の厚板状をなしている。座3は、上述した一対の座支持部材65上に配置される座本体75と、クッション材3bおよび表皮材3cとを含んで構成され、座本体75上に取り付けられたクッション材3bの周囲が表皮材3cで覆われている。例えば、クッション材3bとしてモールドウレタン、表皮材3cとしてスラブウレタン等が用いられる。
図3に示すように、座3は、支持構造体7に対して、左右に離間して配置された一対の座回動機構15を介して回動可能に支持されている。
図12に示すように、座本体75の後端部75dは、座3が使用位置P1にある状態で上面75aの法線方向から見たとき、後方に凸の湾曲形状をなし、背凭れ4の下部の平面視の湾曲形状に沿うように形成されている。座本体75の左右側部75cどうしは、前端部75e側へいくほど幅方向外側に広がっている。前端部75eの幅方向両側には、一対の係合孔75sが形成されており、これら各係合孔75s内に上述した座支持部材65の係合部65mが挿入されて係合する。
図13に示すように、左右側部75cの後端部75d側には、下面75f側に開口する支持体収容凹部75gが形成されている。図14に示すように、支持体収容凹部75gの内側には、上述した枢軸支持体62の一部が挿入されて収容される。支持体収容凹部75gは、枢軸支持体62の円筒形状に合わせてその上面(凹部の底面)が円弧状とされている。
図12に示すように、座本体75には、左右側部75cよりも幅方向内側となる位置に、一対の伸縮部75hが互いに幅方向に離間して形成されている。一対の伸縮部75hは、座本体75の中央付近を含む後方寄りに位置し、座本体75の前後方向に直線状に延在しているとともに、幅方向に沿う断面形状が波型形状に形成されている。本実施形態では、伸縮部75hの前後に形成された一対の開口75jによって伸縮部75hが周囲の部位から部分的に分離されているため、上方からの着座荷重を受けて各伸縮部75hが幅方向に伸びることによって、座本体75の下面75fにおける、各伸縮部75hの間の領域は、より大きく下方に撓むことができる。このことによって、適度なクッション性が得られるようになっている。
図13に示すように、座本体75の後端部75d側には、下方に向けて凸状をなす後方凸部75kが形成されており、一対の伸縮部75hの配置間隔に亘って幅方向に延びている。座本体75に左右座支持部材65が固定された状態でこれらの間に後方凸部75kが位置し、支持構造体7に対する座3の幅方向での位置決めがなされている。また、座本体75の下面75fを後方凸部75kによって隠すことができるので、椅子1の後方側から見たときの見栄えをよくすることができる。
また、図14、図15に示すように、座本体75の下面75fには枢軸61に当接可能な突出ブロック部(当接部)75mが形成されている。突出ブロック部75mは、着座者が座3に着座した際に枢軸61に当接する部位である。
突出ブロック部75mは、一対の伸縮部75hの後方に位置するとともに各伸縮部75hの間で幅方向に延在し、下面75fから離れる方向へ突出している。突出ブロック部75mは、使用位置P1の状態で着座者が座3に着座していないときは、図15に示すように、枢軸61から離れていて当接していない。着座者が座3に着座したときの荷重によって、上記一対の伸縮部75hが伸びることによって、座本体75の下面75fにおける、各伸縮部75hの間の突出ブロック部75mが下方に移動することで、枢軸61に当接するようになっている。
突出ブロック部75mは、枢軸61の外形に沿った断面半円形状の凹部からなり、着座者が座3に着座した際に、凹部の当接面75pが枢軸61の外周面に当接することで伸縮部75hの撓みが規制され、座3が枢軸61に支持される。突出ブロック部75mの当接面75pを枢軸61の外形に沿った曲面とすることで、枢軸61に対する突出ブロック部75mの接触面積を増やすことができ、座本体75の下面75fにの一部に荷重が集中するのを防ぐことができる。
一対の伸縮部75hによって座3のクッション性を確保するとともに、突出ブロック部75mによって伸縮部75hが必要以上に伸びることを規制することによって、着座者の荷重によって左右座支持部材65、特に、座本体75の幅方向中央近傍の領域の下方への撓みによって、座支持部材65における左右一対の側壁部65fのうち、幅方向内側方のものが幅方向内側へ変形するのを防ぐことができる。
以上述べた座3は、使用位置P1(図1参照)において、上面に形成した座面3aを略水平にして配置される。座3は、その後部に配置された幅方向に沿う軸線C1を中心に、使用位置P1から前端部を上方に移動させるように回動する。上述した座回動機構15の反力調整機構16は、座3を使用位置P1から跳ね上げ位置P2へ回動させる向きに付勢することから、このばね力によって、座3は、前上がりに起立した跳ね上げ位置P2(図2参照)に変化する。回転の中心となる軸線C1が座3の後部に配置されているとともに、軸線C1よりも後部に反力調整機構16が収容されているため、小さいばね力で座3を回動させることができる。
座3の使用位置P1において、跳ね上げ位置P2側と反対側への回動は、座回動機構15に設けたストッパ62a(図4参照)によって規制される。ストッパ62aは、使用位置P1にある座3に着座者が着座したとき、着座荷重によるモーメントと反対回りのモーメントが生じるように、座3の下方への回動規制を行う。また、座3の跳ね上げ位置P2における使用位置P1側と反対側への回動も、上記ストッパ62aによって規制される。
<椅子の組み立て方法>
次に、本実施形態の椅子の組み立て方法について図4を参照しつつ説明する。
本実施形態の椅子1を組み立てるにあたり、まず、支持構造体7を組み立てる。
支持構造体7を組み立てる場合には、まず、図4に示すように、枢軸61の一端側であって、着座者から見て椅子1の右側となる端部側に、軸方向に所定の間隔をおいて一対の軸受部材72と、第1ギア64を取り付ける。このとき、右側座支持部材65の各軸受部65dに対応する位置となるように、一対の軸受部材72を軸方向に所定の間隔をあけて取り付ける。また、これら一対の軸受部材72のうち、軸方向内側の軸受部材72の近傍に第1ギア64を取り付ける。
続けて同様に、枢軸61の他端側にも左側座支持部材65に対応する位置に、一対の軸受部材72、第1ギア64を取り付ける。
また、一対の座支持部材65のそれぞれの内部空間K2に渦巻ばね66、第2ギア68、被操作部67を配置する。このとき、被操作部67の一端側を座支持部材65のうち椅子1の幅方向内側となる側壁部65fに形成された挿通孔65uから外部(幅方向内側)へ向けて突出させておく。
次に、内部空間K2に渦巻ばね66等が配置された一対の座支持部材65を、枢軸61に対して軸方向に互いに所定の間隔をおいて取り付ける。例えば、右側座支持部材65を取り付ける場合には、枢軸61の軸方向一端側に取り付けられている一対の軸受部材72を、当該右側座支持部材65の一対の軸受部65dのそれぞれに挿入させて取り付ける。
続けて、左側座支持部材65も同様に枢軸61に対して取り付ける。
次に、支持構造体7の枢軸61に対して一対の座回動機構15を介して座3を取り付ける。このとき、各座回動機構15における座支持部材65の内部空間K2を閉塞するようにして、各座支持部材65の開口65e側に座3を配置してこれらを連結させることにより、枢軸61に対して座3を取り付ける。
次に、枢軸61の軸方向両側の端部に枢軸支持体62をそれぞれ取り付ける。このとき、枢軸61の両端部に設けられた一対の固定プレート51のそれぞれに枢軸支持体62をねじ止めする。
次に、枢軸61の両端部に枢軸支持体62を介して脚体2をそれぞれ接続することで、左右脚体2どうしを連結し、支持構造体7を得る。
次に、支持構造体7に対して別途組み立てておいた背凭れ4を取り付ける。このとき、背凭れ支持フレーム8における背フレーム本体8aおよびサポートフレーム8bの各下端部8a3,8b3を、前後の締結部38,39の各々に対して締結する。
次に、各座回動機構15の被操作部67を操作することにより、渦巻ばね66による座3に対する付勢具合を調整する。このようにして、本実施形態の椅子1を組み立てる。
なお、支持構造体7に対して座3を先に取り付けたが、支持構造体7、座3および背凭れ4の組み立て順番は適宜変更が可能である。
本実施形態の椅子は、座本体75の下面75f側における、左右座支持部材65によって支持されている部位の間に、枢軸61に当接可能な突出ブロック部75mが形成されているので、着座荷重によって座3が下方へ弾性変形した際に枢軸61の外周上部に当接する。これにより、座3の下方への過剰な変形が抑制され、座3を支持する一対の座支持部材65が変形するのを抑制することができる。座支持部材65の内部空間K2には座回動機構15が収容されているため、座支持部材65の変形を抑制することで、座回動機構15における各部材の動作に与える影響を少なくすることができ、座のスムーズな回動を長期的に維持することができる。
また、突出ブロック部75mは、座本体75の下面75fから枢軸61に向けて突出しているため、当接面75pを枢軸61の外形に合わせて適宜設定することができる。これにより、座本体75を枢軸61に対してより確実に当接させることができる。
また、座本体75の下面75fから突出ブロック部75mが所定の高さで突出していることで、座3と枢軸61との間隔が広い場合でも、座3の弾性変形量を大きくすることなく枢軸61に当接させることができる。また、座本体75の下面75fのうち突出ブロック部75m以外の部位が枢軸61に当接することがなく、突出ブロック部75mがある程度厚さを有することから当接箇所の強度が高められてるため、長期的な使用によって座本体75の下面75fに劣化が生じるのを防ぐことができる。
また、座本体75には、下面75fのうち一対の座支持部材65によって支持されている部位の間であるとともに突出ブロック部75mの幅方向両外側に、下面75fの幅方向への伸縮を惹起する一対の伸縮部75hが形成されており、使用時に、上方からの着座荷重を受けて各伸縮部75hがそれぞれ伸びて座本体75が下方に弾性変形することで、座3に適度なクッション性を付与することができるので、着座者が臀部に底付感を感じにくく、良好な座り心地が得られる。
さらに、伸縮部75hは、突出ブロック部75mよりも幅方向外側に配置されているので、突出ブロック部75mが枢軸61当接した状態においても伸縮することができる。したがって、座本体75の過剰な弾性変形を抑制しつつ、着座感を損なうことがない。
また、本実施形態では、各座支持部材65の左右側壁部65fは枢軸61よりも後方における後方側端部65pどうしが接続されてV字形状とされていることにより、着座荷重によって座3が下方へ弾性変形した場合でも、これに伴って座支持部材65の座3側の開口65eが幅方向へ広がりにくくなっている。座支持部材65がその開口65eが幅方向へ広がるように変形した場合、それに伴って渦巻ばね66が変形して所望とする付勢力を得ることができないことが考えられるとともに、第1ギア64に対する第2ギア68の噛み合い位置がずれて付勢力に基づく動力がうまく伝達されず、座3を所望のスピードで回動させることができないことが考えられる。このため、座支持部材65の変形を防ぐ構成とすることにより、内部に収容されている座回動機構15に与える影響を抑えることができる。
さらに、本実施形態では、座支持部材65の幅方向内側に位置する側壁部65f側に座3に対する固定部76,77を設けたことにより、座本体75の下面75fに対する座支持部材65の幅方向内側の支持位置が固定されるので、着座荷重によって弾性変形する座3に起因して座支持部材65の開口65eが幅方向に広がるのをさらに抑制することができる。
また、座支持部材65の左右側壁部65fのそれぞれには、開口65e側の上面65n2のうち、枢軸61および渦巻ばね66が配置されている部位の前後に一対の突出部74が設けられており、座本体75の下面75fに形成された対応する係止孔75bのそれぞれに係止した構成となっているため、座本体75の下面75fに対する座支持部材65の位置決めを容易に行うことができるとともに、座支持部材65の左右側壁部65fの幅方向への位置が固定されるので、開口65eが幅方向内側へ広がるのをより抑制することができる。
以上述べたように、本実施形態の構成によれば、座3が幅方向に離間する一対の座支持部材65を介して、支持構造体7に支持される椅子において、着座荷重に起因する座3の下方への弾性変形が、左右座支持部材65およびその中に収容される座回動機構15の各部材の作動に与える影響を小さくすることのできる椅子1を提供することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
また、座回動機構15は上述した構成に限られず、他の付勢手段を用いてもよい。
例えば、渦巻ばね66に代えて、ねじりコイルばね、圧縮ばね、引っ張りばねのいずれかを採用してもよいし、圧縮ばねと傾斜カムを組み合わせてもよい。
また、一対の座支持部材65のそれぞれに座回動機構15を設けた構成となっているが、いずれか一方の座支持部材65にのみ座回動機構15を設けた構成としてもよい。
また、支持構造体7が枢軸支持体62を備えていなくてもよく、例えば、枢軸61の内周空間における幅方向の両端部の近傍に、予め溶着等の手段によってねじ座をそれぞれ固着させておき、これらねじ座を介して枢軸61を左右脚体2に連結した構成としてもよい。
また、上記実施形態では、枢軸61の断面形状が円形であるが、非円形であってもよい。この場合、枢軸61の外周面に対して相対回動不能に係合するブッシュ等を座支持部材65の軸受部65dとの間に枢軸61と同心にして配置することが好ましい。さらに、突出ブロック部75mの当接面75pの形状を、枢軸61の外形に沿った形状にしておくことが好ましい。
また、上述した実施形態では、左右サポートフレーム8bが背凭れ支持フレーム8よりも後方に位置しているが、背凭れ支持フレーム8よりも前方に位置する構成であってもよい。