以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。以下、本発明に係る画像形成装置をプリント機能、コピー機能、ファクシミリ送受信機能等を有するデジタル複合機に適用した形態について、その実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
<装置構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例としてのデジタル複合機を用いて構築される画像処理システムの構成例を示す模式図である。図1において、1はデジタル複合機、2、3は外部コンピュータ、4はインターネットファクシミリ装置(インターネットFAX装置)、5はファクシミリ装置である。
デジタル複合機1は、プリント機能、コピー機能の他に、画像データをファックスで送受信する機能(ファクシミリ機能)及び/又は画像データをインターネットFAXで送受信する機能(インターネットFAX機能)を有する。このデジタル複合機1には、通信網を介して各種の外部機器が接続されている。例えば、ローカルな通信網として敷設されている通信ネットワークLNには、パーソナルコンピュータ(PC)等の外部コンピュータ2が接続されおり、図に示していないゲートウェイ等を介して接続されているインターネット網INには外部コンピュータ3及びインターネットFAX装置4が接続されている。また、公衆電話回線網PNを介して外部のファクシミリ装置5が接続されている。
以下、このデジタル複合機1の構成及び動作について説明する。図2は、図1のデジタル複合機の構成例を示す概略ブロック図で、図3は、図2のデジタル複合機におけるタッチパネル及びキー操作部の一例を示す外観図である。
図2で例示するデジタル複合機1は、タッチパネル10、パネル制御部11、記録部12、読取部13、フォーマット変換部14、画像記憶部15、画像処理部16、符号化/復号部17、メイン制御部18、制御用メモリ19、キー操作部20、LAN(Local Area Network)制御部21、制御用バッファ22、網制御部(NCU:Network Control Unit)23、モデム24、及びUSB(Universal Serial Bus)インターフェース(I/F)25を備えている。また、デジタル複合機1は、穴あけ(パンチ)やステープル処理などを行う後処理装置を備えてもよく、以下、この後処理装置を備えた形態を挙げて説明する。
メイン制御部18はCPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)などで構成される。制御用メモリ19は、ROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等の不揮発性メモリなどで構成される。制御用メモリ19内にはメイン制御部18から読み出し可能なように、プログラム(ファームウェア)と各種設定データとが格納されている。このうち少なくとも各種設定データは書き換え可能なメモリに格納されている。また、これらのプログラムや各種設定データは、後述する画像記憶部15の構成例としてのハードディスクに記憶してもよい。また、制御用バッファ22はRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリで構成される。
上述のプログラムは、本発明に係る後述のプレビュー画像の生成や表示に係る命令をはじめ、ファクシミリ画像や電子メール等の生成・送信・受信等に係る命令、原稿の読み取りに係る命令、印刷に係る命令、原稿の読み取り及び印刷(つまりコピー)に係る命令などを、メイン制御部18が他の部位に対して行うためのものである。このプログラムは、メイン制御部18により、制御用バッファ22上に展開され、制御用バッファ22を一時保存(作業)用のデータ領域として、後述の各種設定データを適宜参照しながら実行される。
読取部13は、CCD(Charge Coupled Device)を利用したスキャナで、原稿を所定の解像度のRGB(R:赤、G:緑、B:青)のビットマップ画像として読み取り、読み取ったRGBの画像データ(ドットイメージデータ)を画像処理部16に出力する。画像処理部16は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などで構成され、対象となる画像データに対して様々な画像処理を施す。画像処理の例については後述する。上述のASICには符号化/復号部17等の他の部位も組み込んでよい。
画像記憶部15は、ハードディスク等で構成され、読取部13で読み取り画像処理部16を経た画像データや、LAN制御部21やNCU23等を介して外部から受信した画像データなどを記憶する。画像記憶部15に画像データを記憶する際には、符号化/復号部17で符号化したデータを記憶することもできる。また、画像記憶部15は、画像処理部16での画像処理中に発生する中間データの一時的な保存も行ってもよい。
符号化/復号部17は、画像データを符号化により圧縮すると共に、符号化画像データを元の画像データに復号(伸張)する。例えば、符号化/復号部17は原稿を読み取った画像データの符号化、その符号化データの復号、外部から受信した符号化画像データの復号などを行う。符号化/復号部17では、ファイリングで一般的に使用されているJPEG(Joint Photographic Experts Group)や、ファクシミリ通信で一般に使用されているMH(Modified Huffman)、MR(Modified READ)、及びMMR(Modified Modified READ)など、用途に応じた符号化方式を用いることができる。また、符号化方式として、IPファクシミリ通信ではMHを採用することができ、インターネットファクシミリ通信ではMH、MR、MMRの他にJPEGやJBIG(Joint Bi-level Image Experts Group)を採用することができる。
フォーマット変換部14は、読み取られた画像データや外部から受信した画像データを、PDF(Portable Document Format)、GIF(Graphics Interchange Format)、TIFF(Tag Image File Format)等の所定のファイルフォーマットに変換する。
記録部12は、電子写真方式やインクジェット方式などの印刷方式を採用したプリンタ装置を備え、画像記憶部15に記憶された画像データなどを、記録用紙に記録(つまり印刷)する。また、USB I/F25は、USBメモリ等のUSB機器に接続するためのI/Fであり、画像記憶部15に記憶された原稿読み取り後の画像データ等をUSB機器に出力したり、USB機器からファイルを読み込んだりする。
モデム24は、ファクシミリ通信が可能なファクシミリモデムから構成されており、電話回線と接続され、またNCU23と直接的に接続されている。NCU23は、電話回線と接続され、回線の制御を行う。すなわち、NCU23は、アナログの公衆電話回線網(PSTN)との回線の閉結及び開放の動作を行うハードウェアであり、必要に応じてモデム24を公衆電話回線網と接続する。このような構成により、画像記憶部15に記憶された画像データを外部へファクシミリ送信することや、電話回線からファクシミリ画像データを受信して、画像記憶部15に記憶したり記録部12で直接印刷したりすることが可能となる。
LAN制御部21は、LANと接続され、インターネット経由による電子メールデータの通信及びインターネットFAXの通信を行う。インターネットFAXは、LANインターフェース等を用いてLAN等のコンピュータネットワークを介して、電子メールを送受信するものである。
タッチパネル10又はキー操作部20は、原稿の読み取り処理、画像データ送信、印刷等の処理の中から所望の処理を選択するための操作、その処理を開始するための操作、各処理を実行する際に必要となる設定を行うための操作(選択操作又は入力操作)などを受け付ける。この設定としては、例えば印刷時の印刷枚数の設定、カラー/モノクロの設定、縮小率や拡大率の設定、穴あけ(パンチ)やステープルの設定、ファクシミリ画像や電子メールの送信時の相手先情報の設定など、様々挙げられる。
キー操作部20は、操作するために必要なキー群を備えている。タッチパネル10は、表示部とタッチセンサ等の操作受付部とを有する。タッチパネル10は、パネル制御部11によってその表示制御及び操作受け付けの制御がなされる。つまり、パネル制御部11は、タッチパネル10における表示部の表示制御や操作受付部の操作受付制御を行う。
タッチパネル10の表示部には、現在の動作状態や設定情報(例えば送信先等)などが表示される。この表示は、GUI(Graphical User Interface)画像を表示させるように、パネル制御部11が制御することで実現される。GUIにより、ユーザ操作に応じてその表示及び操作受付位置を変更することができる。各GUI及びその画像は、パネル制御部11の内部メモリ又は制御用メモリ19に、読み出し可能に格納しておけばよい。また、表示部としては、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなど、様々な表示形式の表示装置を採用することができる。
タッチパネル10上で受けたユーザ操作はパネル制御部11で解釈され、操作信号としてメイン制御部18に伝送される。キー操作部20で受けたユーザ操作は、キー操作部20自身で解釈され、操作信号としてメイン制御部18に伝送される。メイン制御部18は、このようにして得た操作信号に応じた命令を他の部位に発することで、ユーザ操作に応じた処理を他の部位に実行させる。なお、表示装置及び操作部が一体となったタッチパネル10を挙げて説明したが、タッチパネル10の代わりに単に表示装置のみを設けてもよく、その場合、キー操作部20のみでユーザ操作を受け付ける。
タッチパネル10及びキー操作部20は、図3で例示するような操作パネル30として構成してもよく、操作パネル30は、各種ハードウェアキーを備えるキー操作部31(キー操作部20に相当する)と、液晶ディスプレイ及びタッチセンサにより構成されるタッチパネル32(タッチパネル10に相当)とにより構成される。以下、図1の構成においてタッチパネル10及びキー操作部20の代わりにタッチパネル32及びキー操作部31を当てはめて、本発明の詳細について説明する。
キー操作部31は、ハードウェアキーとして、数値入力のためのテンキー31a、入力した設定値をクリアするためのクリアキー31b、入力した各種設定を全解除するための全解除キー31c、コピー開始、送信開始等の指示を受付けるスタートキー31dの他、プリント機能、送信機能、及びコピー機能を切替える機能切替キー31e,31f,31g、並びに、ユーザによる設定を受付けるシステム設定キー31hを備えている。
上述した構成例のデジタル複合機1における動作例について説明する。
<原稿読み取り動作>
原稿読み取り動作は、読み取った原稿の画像データを画像記憶部15に記憶(ファイリング)する場合、読み取った原稿の画像データを外部に送信する場合、読み取った原稿の画像データを印刷する場合(つまりコピーする場合)などに行われる。
原稿読み取りを必要とするような処理を行うユーザ操作が操作パネル30で受け付けられたとき、メイン制御部18は、読取部13、画像記憶部15、画像処理部16、及び符号化/復号部17などに指示を行い、次に説明するような処理を実行させる。
読取部13は、原稿台又は自動原稿送り装置に載置された原稿の画像を光学的に読み取り、読み取った結果であるRGB画像データ(RGBのビットマップデータ)を画像処理部16に渡す。画像処理部16は、そのRGB画像データに対して、A/D変換、シェーディング補正、γ補正などの各種画像処理(以下、原稿画像処理という)を実行する。ここで、シェーディング処理は、読取部13の照明系・結像系・撮像系で生じる各種歪みを取り除く処理である。
原稿画像処理としては、A/D変換、シェーディング補正、γ補正に続き、原稿判別処理、領域分離処理を実行するとよい。原稿判別処理は、入力された画像データ(ここではγ補正後の画像データ)から、原稿の種別を判別する処理と原稿がカラー原稿であるのか白黒原稿であるのかを判別する処理とを含む。原稿の種別としては、例えば文字原稿、印刷写真原稿、それらが混在した文字印刷写真原稿などが挙げられる。画像処理部16は、これらの原稿判別処理及び白黒/カラー原稿判別処理の結果として、判別信号(以下、原稿判定データという)を出力する。領域分離処理とは、入力された画像データ(ここではγ補正後の画像データ)の各画素がどのような種類の領域に属するのかを判定する処理であり、例えば、各画素が黒文字の領域、色文字の領域、網点の領域などのいずれの領域に属する画素であるのかを判定する処理である。画像処理部16は、この判定結果として領域分離データを出力する。なお、この領域分離処理は、上述の原稿判別処理及び白黒/カラー判別処理の結果に基づき実行してもよい。
原稿判定データ及び領域分離データは、対応する画像データ(原稿画像処理後の画像データ)に関連付けられて、画像記憶部15に記憶される。このとき、符号化/復号部17で原稿判定データ及び領域分離データを符号化した後、各符号化データを対応する画像データと関連付けて画像記憶部15に記憶する。なお、画像記憶部15へ記憶する際の符号化は必須ではないが、以下の説明では符号化した状態で画像データが記憶されるものとして説明する。原稿読み取り動作以外の動作についても同様とする。
<印刷動作>
上述した原稿読み取り動作により、読み取った原稿の画像データのファイリングまでは完了する。次に、読み取った原稿の画像データを印刷する場合(つまり原稿をコピーする場合)の印刷動作について説明する。印刷を必要とするような処理を行うユーザ操作が操作パネル30で受け付けられたとき、メイン制御部18は、記録部12、画像記憶部15、画像処理部16、及び符号化/復号部17などに指示を行い、次に説明するような処理を実行させる。なお、メイン制御部18は、例えばコピー操作がなされたときには読取部13への指示(原稿読み取り指示)も行うことになる。
また、デジタル複合機1は、印刷時に、スタンプ、日付(又は日時)、頁番号などの付加情報を画像データに付加することが可能に構成されていてもよく、以下、このような付加が可能な構成を挙げて説明する。このような付加の指示があった場合には、メイン制御部18が画像処理部16を制御する。画像データに付加された付加情報は付加画像であると言える。付加情報は制御用メモリ19に記憶され、必要に応じて読み出される。勿論、元々付加情報を付加画像のデータとして格納しておいてもよい。また、付加情報を複数、制御用メモリ19に格納しておくと共に、付加設定情報を制御用メモリ19に格納しておくとよい。この付加設定情報としては、画像データに対して付加する位置(以下、付加位置という)を示す情報を少なくとも含み、複数の付加情報が格納されている場合にはそのいずれを選ぶかの情報も含むものとする。また、後処理装置でのパンチやステープル処理を実行する指示があった場合には、メイン制御部18はこの後処理装置も制御する。
符号化/復号部17は、画像記憶部15から印刷対象の画像データとそれに対応する原稿判定データ及び領域分離データとを読み出して復号し、画像処理部16に渡す。画像処理部16は、復号後の画像データ(RGB画像データ)に対して各種画像処理(以下、印刷用画像処理という)を実行する。印刷用画像処理としては、以下にその概略を説明するように、画質調整処理、二色化処理、色補正処理、黒生成/下色除去処理、空間フィルタ処理、変倍処理、出力階調補正処理、及び中間調生成処理などが挙げられる。黒生成/下色除去処理、空間フィルタ処理、及び中間調生成処理は、領域分離データが示す各種領域に応じた処理となる。
画質調整処理としては、復号後の画像データから下地の検出を行って下地除去を行う。また、画質調整処理としては、操作パネル30によりユーザ設定された設定情報に基づいて、下地除去後の画像データについてRGBの調整(カラー調整、赤み青みといった全体のカラー調整)、明るさの調整、及び鮮やかさの調整も行う。このとき、原稿判定データが示す原稿種別に応じた調整を行ってもよい。
色補正処理としては、画質調整処理後のRGBデータから、RGBの補色であるCMY(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー)を構成要素とするCMYデータを生成し、色再現性を高める処理を行う。黒生成/下色除去処理としては、色補正後のCMYデータから黒(K)データを生成する黒生成処理と、元のCMYデータから黒生成で得たKデータを差し引いて新たなCMYデータを生成する下色除去処理とを行う。空間フィルタ処理としては、これら4色のデータであるCMYKデータに対して強調処理や平滑化処理を行う。画像データを二色(例えば赤と黒)で出力する二色カラーモードが選択された場合には、二色化処理が実行される。二色化処理としては、RGBデータから指定の二色(この場合、赤色と黒色)を表現するCMYデータに変換する処理を行う。二色カラーモードの場合、黒生成/下色除去処理は二色化処理後のCMYデータに対して実行され、空間フィルタ処理も実行されるが、色補正処理は実行されない。
変倍処理としては、空間フィルタ処理後のCMYKデータに対し、操作パネル30でユーザ操作により設定された印刷倍率に基づいて画像拡大処理又は画像縮小処理を行う。印刷倍率とは、読み取られ記憶された画像データが示す画像に対する印刷後の画像の倍率である。勿論、印刷倍率はユーザ操作により得られた倍率に限らず、印刷倍率に対する操作がなかった場合にはデフォルト設定の倍率となる。出力階調補正処理としては、CMYKデータに対し、記録用紙等の記録媒体に出力するための出力γ補正処理を行う。中間調生成処理としては、出力階調補正処理後のCMYKデータに対して、誤差拡散処理やディザ処理により、画像を出力するための階調再現処理を行う。出力階調補正処理や中間調生成処理では、例えば文字領域とそれ以外で処理内容を異ならせるなど、原稿判定データが示す原稿種別に応じた処理を行ってもよい。
中間調生成処理後のCMYKデータは記録部12に渡される。付加情報を付加する場合について説明する。付加情報についても印刷データの変倍率に応じて変倍処理を施す方法と、付加情報は印刷データの変倍率に関係なく変倍処理を施さない方法とがある。まず、付加情報も変倍処理する場合には、メイン制御部18が付加情報及び付加位置を示す情報を読み出して、メイン制御部18又は画像処理部16が必要に応じて画像データに変換し、変倍処理の前にこの付加情報の画像データを画像処理部16に渡す。なお、この変換は元々付加画像データが格納されている場合には必要ない。続いて、画像処理部16が、付加情報の画像データを、変倍処理前の画像データである付加先の画像データに対し上記付加位置に合成すればよい。
付加情報を変倍処理しない場合には、メイン制御部18が付加情報及び付加位置を示す情報を読み出して、メイン制御部18又は画像処理部16が必要に応じて画像データに変換する。この例では変換によりCMYKデータとなる。なお、この変換は元々付加画像データが格納されている場合には必要ない。続いて、画像処理部16が、付加情報の画像データを、変倍処理後の画像データである付加先の画像データ(出力階調補正処理又は中間調生成処理の対象となる上述のCMYKデータ)に対し上記付加位置に合成すればよい。
いずれの場合にも、画像処理部16が付加情報を付加した状態の中間調生成処理後のCMYKデータを出力することができる。なお、デジタル複合機1では、付加情報やその付加位置は、次に説明するプレビュー表示を行いながら操作パネル30によりユーザ設定可能とする。
記録部12は、このようにして画像処理部16で印刷用画像処理が施された画像データ(この例ではCMYKの画像データ)を受け取り、電子写真方式やインクジェット方式などによりハードコピー(プリントアウト)する。そして、ここで印刷された用紙に対して、後処理装置が必要に応じてパンチやステープル処理を実行する。なお、ここで説明した印刷動作の対象データは、読取部13で読み取られた画像データに限ったものではなく、例えば、外部記録媒体やネットワーク接続されたPCなどから事前に転送され画像記憶部15に記憶された画像データ(画像ファイル)についても、同様に適用できる。ファクシミリ受信し画像記憶部15に記憶された画像データの印刷動作については後述する。
<印刷する画像データのプレビュー表示動作>
次に、原稿読み取りの結果として画像記憶部15に記憶された画像データを、印刷前にタッチパネル32でプレビュー表示する動作(プレビュー表示動作)について説明する。デジタル複合機1は、印刷対象となった画像データについてプレビュー表示(サムネイル表示)を可能にする構成を有する。このプレビュー表示動作は、プレビュー表示を必要とするような処理を行うユーザ操作が操作パネル30で受け付けられたときに行われる。例えば、原稿読み取り後の画像データに対して印刷実行前にまずプレビュー表示を行う設定になっているときなどにも、プレビュー表示動作がなされる。
メイン制御部18は、画像記憶部15、画像処理部16、符号化/復号部17、及びパネル制御部11などに指示を行い、次に説明するような処理を実行させる。なお、メイン制御部18は、例えば原稿をコピーする操作がなされたときには読取部13への指示(原稿読み取り指示)も行うことになる。
符号化/復号部17は、画像記憶部15からプレビュー対象の画像データとそれに対応する原稿判定データ及び領域分離データとを読み出して復号し、画像処理部16に渡す。画像処理部16は、復号後の画像データ(RGB画像データ)に対して各種画像処理(以下、プレビュー用画像処理という)を実行する。プレビュー用画像処理としては、以下にその概略を説明するように、画質調整処理、二色化処理、色補正処理、空間フィルタ処理、変倍処理、及び出力階調補正処理などが挙げられる。空間フィルタ処理及び出力階調補正処理は、領域分離データが示す各種領域に応じた処理となる。
ここでの画質調整処理は、印刷用画像処理での画質調整処理と同様である。色補正処理としては、タッチパネル32の表示特性に基づいて、画質調整処理後の画像データ(RGBデータ)をR′G′B′データに変換する処理を行う。空間フィルタ処理としては、このR′G′B′データに対して強調処理や平滑化処理を行う。
変倍処理としては、空間フィルタ処理後のR′G′B′データに対し、印刷倍率に応じた画像拡大処理/画像縮小処理を施し、さらにそのR′G′B′データの画素数をタッチパネル32の画素数(表示解像度)に変換する処理を行うと共に、操作パネル30でユーザ操作により設定されたプレビュー表示倍率に基づいて画像拡大処理や画像縮小処理を行う。プレビュー表示倍率とは、例えば2倍、4倍等の固定倍率であって、プレビュー表示時の画像の倍率である。勿論、プレビュー表示倍率はユーザ操作により得られた倍率に限らず、プレビュー表示倍率に対する操作がなかった場合にはデフォルト設定の倍率となる。
画像処理部16に設けたプレビュー画像生成部16aは、主にこのようなプレビュー表示用の変倍処理によりプレビュー表示用の画像(プレビュー画像)を生成する。
ここで、付加情報を付加する場合のプレビュー画像について説明する。デジタル複合機1では、出力対象の画像データに付加情報を付加して出力する場合、パネル制御部11が、付加情報を示す付加情報画像を表示させる制御を行う。そのため、プレビュー画像生成部16aが、このような付加情報画像を生成し出力対象の画像データから生成したプレビュー画像に合成することで、付加情報画像付きのプレビュー画像を生成する。
付加情報は、印刷倍率に応じて変倍処理を行って印刷対象の画像データと共に出力することができ、また印刷倍率に応じた変倍処理を行った後の印刷対象の画像データに付加して出力することもできる。まず、付加情報も変倍処理して出力する場合には、メイン制御部18が付加情報の付加位置及び付加情報(又は付加情報の大きさ)を示す情報を読み出して、変倍処理の前に画像処理部16に渡す。続いて、プレビュー画像生成部16aが、この付加情報(又は付加情報の大きさ)から付加情報を示す付加情報画像のR′G′B′データを生成し、変倍処理前の画像データである付加先の画像データに対し上記付加位置に合成する。そして、付加情報画像を付加後のR′G′B′データに対し印刷倍率に応じた画像拡大処理/画像縮小処理を施すとよい。
付加情報を変倍処理しない場合には、メイン制御部18が付加情報の付加位置及び付加情報(又は付加情報の大きさ)を示す情報を読み出して画像処理部16に渡す。続いて、プレビュー画像生成部16aがこの付加情報(又は付加情報の大きさ)から付加情報を示す付加情報画像のR′G′B′データを生成し、印刷倍率に応じた画像拡大処理/画像縮小処理後のR′G′B′データに対し上記付加位置に合成し、付加後のR′G′B′データの画素数をタッチパネル32の画素数(表示解像度)に変換する処理を行うと共に、操作パネル30でユーザ操作により設定されたプレビュー表示倍率に基づいて画像拡大処理や画像縮小処理を行うとよい。
また、後処理装置においてパンチやステープル処理を施す場合には、印刷対象となる画像データ(及び付加情報の付加情報画像データ)から生成したプレビュー画像に、パンチ穴やステープル等の後処理を示す画像(便宜上、「付加情報画像」と呼ぶ)のデータを、パンチ位置やステープル位置に合成して出力するとよい。このような処理により、画像データのプレビュー表示時に、画像形成する用紙の仕上がり状態を表示させることができる。
出力階調補正処理としては、付加情報画像付きのプレビュー画像のR′G′B′データに対し、タッチパネル32で画像データを表示するための出力γ補正処理を行う。出力階調補正処理では、例えば文字領域とそれ以外で処理内容を異ならせるなど、原稿判定データが示す原稿種別に応じた処理を行ってもよい。
二色化処理は、画像データを例えば赤と黒の二色で出力する二色カラーモードが選択された場合のみに実行される。二色化処理としては、画質調整処理後のRGBデータから指定の二色(この場合、赤色と黒色)を表現するCMYデータに変換する処理を行う。生成されたCMYKデータは、後段の色補正処理において、タッチパネル32の表示特性に基づいてR′G′B′データに変換される。
プレビュー画像生成部16aで生成され出力階調補正処理されたR′G′B′データは、タッチパネル32に渡される。パネル制御部11は、このR′G′B′データに対応する画像をGUI画像に組み込んで表示させる制御を、タッチパネル32に対して行い、タッチパネル32でこのGUI画像を表示する。ユーザは、付加情報や後処理を示す付加情報画像を含むプレビュー表示された画像を確認して、このまま印刷を実行するか中止するか、或いは付加情報を削除するか、或いは後処理を止めるか、付加位置の変更(又は付加情報の変更)や後処理の位置の変更などを実行するかなどを判断して、それに応じた操作を行うことができる。
なお、ここで説明したプレビュー表示動作の対象データは、読取部13で読み取られた画像データに限ったものではなく、例えば、外部記録媒体やネットワーク接続されたPCなどから事前に転送され画像記憶部15に記憶された画像データ(画像ファイル)についても、同様に適用できる。ファクシミリ受信し画像記憶部15に記憶された画像データのプレビュー表示動作については後述する。
<原稿読み取り・プレビュー表示・印刷についての補足>
プレビュー表示動作について印刷動作と別個に説明したが、まず印刷動作として出力階調補正処理を施した後の画像データ(CMYKデータ)を、タッチパネル32の表示特性に基づいてR′G′B′データに変換し、タッチパネル32の画素数(表示解像度)に合わせた変換処理及びプレビュー表示時の縮小/拡大率に応じた変倍処理を行って、タッチパネル32に表示してもよい。印刷動作がある程度完了しておりプレビュー表示後の印刷動作が素早く完了できるため、例えばコピー操作がなされたときに事前にプレビュー表示を行うような設定となっている場合などに有用である。このような処理は、付加情報や後処理を示す付加情報画像を付加してプレビュー表示する場合にも適用できる。
また、原稿読み取り動作として、符号化した画像データと原稿種別データと領域分離データとを対応付けて画像記憶部15に格納する例を挙げ、この例に基づき印刷動作時やプレビュー表示動作についても説明した。この代替方法として、読取部13で読み込んだ画像データのみを対象として符号化して、一旦、画像記憶部15に格納しておいてもよい。この場合、印刷動作時やプレビュー表示動作時に、画像記憶部15から読み出し符号化/復号部17で復号した画像データに対して、画像処理部16が原稿種別判別処理や領域分離処理を施すように構成すればよい。また、このような代替方法は、後述するファクシミリ送信やインターネットFAX送信等の画像データ送信時にも適用することができる。
<ファクシミリ受信した画像データの印刷動作>
次に、ファクシミリ通信により受信した画像データの印刷動作について説明する。メイン制御部18は、モデム24でファクシミリ通信要求を検知したときに、記録部12、画像記憶部15、画像処理部16、NCU23、及びモデム24などに指示を行い、次に説明するような処理を実行させる。
まず、モデム24及びNCU23は、通信手続きを行いながら送信元から送信されてくる画像データ(圧縮画像データ)を順次受信し、受信した圧縮画像データの伸張を行うと共に、必要に応じて回転処理(送信方向を回転させる処理)や解像度変換処理などを実行して、画像処理部16に渡す。
ファクシミリ通信により受信した画像データは白黒2値であるので、画像処理部16では、伸張等の処理を行った画像データ(Kデータ)に対して、特に処理を施さず、そのまま記録部12に渡される。記録部12は、この画像データを受け取り、電子写真方式やインクジェット方式などにより印刷を実行する。また、ファクシミリ通信によって受信した画像データに対しても、上述した付加情報を付加した後に印刷することもできる。
モノクロ画像でのファクシミリ受信について説明したが、カラーのファクシミリ画像(RGBデータ)を受信した際には、画像処理部16がここで説明したファクシミリ受信用画像処理をこのRGBデータに対して実行するなどすればよい。
<ファクシミリ受信した画像データのプレビュー表示動作>
ファクシミリ通信により受信した画像データのプレビュー表示動作について、同画像データの印刷動作に基づき簡単に説明する。このプレビュー表示動作は、受信した画像データを事前に確認してから印刷を実行するような事前設定やユーザ操作があったときなどに行われる。このプレビュー表示動作では、画像処理部16が、伸張等の処理を施した後の画像データに対して、付加情報の付加や後処理を施す場合にはその付加情報や後処理を示す付加情報画像の画像データを合成した後に、さらにタッチパネル32の画素数(表示解像度)に合わせた変換処理及びプレビュー表示時の縮小/拡大率に応じた変倍処理を行い、変倍処理後の画像データがタッチパネル32に表示されることになる。ユーザは、このプレビュー表示された画像を確認して、印刷を実行するか破棄するかや付加情報や後処理の内容や必要性を判断して、印刷又は破棄の操作や、付加情報や後処理の内容の変更の操作を行うことができる。
<ファクシミリ送信動作>
次に、読み取った原稿の画像データをファクシミリ送信する場合の送信動作について説明する。ファクシミリ画像データは、タッチパネル32又はキー操作部31でのユーザ操作により設定された相手先(送信先)情報に対して送信される。相手先情報(この例では電話番号)は制御用メモリ19に記憶され、必要に応じて読み出される。通常、相手先情報は、アドレス帳データとして複数の相手先の情報が閲覧可能に且つ選択可能に格納されているか、或いは送信前に直接入力される。
ファクシミリ送信を実行するためのユーザ操作が操作パネル30で受け付けられたとき、メイン制御部18は、画像記憶部15、画像処理部16、符号化/復号部17、NCU23、及びモデム24などに指示を行い、次に説明するような処理を実行させる。なお、メイン制御部18は、例えば原稿をファクシミリ送信する操作がなされたときには読取部13への指示(原稿読み取り指示)も行うことになる。なお、画像記憶部15に記憶された画像データについてプレビュー表示を実行しながら、送信対象の画像データを選択し、その画像データについてファクシミリ送信を開始することも可能である。
符号化/復号部17は、印刷対象の画像データとそれに対応する原稿判定データ及び領域分離データとを画像記憶部15から読み出して復号し、画像処理部16に渡す。画像処理部16は、復号後の画像データ(RGB画像データ)に対して各種画像処理(以下、ファクシミリ送信用画像処理という)を実行する。ファクシミリ送信用画像処理としては、以下にその概略を説明するように、画質調整処理、空間フィルタ処理、変倍処理、出力階調補正処理、及び中間調生成処理などが挙げられる。空間フィルタ処理及び中間調生成処理は、領域分離データが示す各種領域に応じた処理とすればよいが、領域分離データを用いなくてもよい。さらに、ファクシミリ送信に伴う原稿読み取り動作では、読み取った画像データに対する領域分離処理やその領域分離データの符号化及び記憶を実行しなくてもよい。
画質調整処理としては、復号後の画像データを、マトリクス係数を用いてKデータに変換する。このとき、原稿判定データが示す原稿種別に応じたマトリクス係数を用いてもよい。空間フィルタ処理としては、このKデータに対して強調処理や平滑化処理を行う。変倍処理としては、空間フィルタ処理後のKデータに対し、操作パネル30で設定された送信解像度又はデフォルト設定の送信解像度に応じて画像拡大処理や画像縮小処理を行う。出力階調補正処理としては、変倍処理後のKデータに対し、例えば送信先における記録用紙等の記録媒体に出力することを目的とした出力γ補正処理を行う。実際には、送信先の機器を考慮した出力γ補正でなく一般的な機器に対する出力γ補正を行えばよい。中間調生成処理としては、出力階調補正処理後のKデータに対して、例えば誤差拡散処理により二値化を行う。出力階調補正処理や中間調生成処理では、原稿判定データが示す原稿種別に応じた処理を行ってもよい。
モノクロ画像でのファクシミリ送信について説明したが、カラー画像でのファクシミリ送信の際には、画像処理部16が上述のファクシミリ送信用画像処理において、画質調整処理として、復号後の画像データを、マトリクス係数を用いてカラー伝送用のL*a*b*データに変換する処理を行い、その後の処理をこのL*a*b*データについて行うなどすればよい。
中間調生成処理後の画像データは、必要に応じて回転処理が施され、符号化/復号部17でファクシミリ送信時の圧縮形式で圧縮符号化されて、画像記憶部15に一時的に保存される。モデム24は、NCU23を介して設定された送信先との送信手続きを行い、送信先との通信を確立した段階(送信可能な状態にした段階)で、この一時的に保存されている符号化されたKデータを読み出し、圧縮形式の変更などの必要な処理の後に公衆回線網を介して送信先に順次送信する。
そして、デジタル複合機1は、送信対象の画像データにも、付加情報を付加して送信することが可能に構成できる。この例のように画像データを外部へ送信する際には、付加情報として、スタンプ、日付(日時)、頁番号の他に、送信元情報(発信元情報)も付加情報を付加することが可能となっている。ここで、画像データ送信時に付加する送信元情報には、送信者の名称の情報、送信元の電話番号の情報、送信元の電子メールアドレスの情報のいずれか1又は複数を含むとよい。また、付加情報としては、画像データ送信時には送信先の情報(相手先の情報)なども付加してもよい。
付加情報を付加してファクシミリ送信する場合には、次のような合成処理を行えばよい。メイン制御部18が付加情報及び付加位置を示す情報を読み出して、メイン制御部18又は画像処理部16が画像データに変換し、画像処理部16が、変換後の画像データ(付加情報の画像データ)を、変倍処理後の画像データである付加先の画像データに対し上記付加位置に合成すればよい。デジタル複合機1では、付加情報の画像データを付加する位置は、次に説明するプレビュー表示を行いながら操作パネル30によりユーザ設定可能とする。この合成後の画像データは、上述した出力階調補正処理や回転処理や圧縮処理などが施された後に、送信先に送信されることになる。
<ファクシミリ送信する画像データのプレビュー表示動作>
デジタル複合機1は、ファクシミリ送信等で送信対象となった画像データについてプレビュー表示を可能にする構成を有する。このプレビュー表示動作は、送信前の画像データを事前に確認してから送信を実行するような事前設定やユーザ操作があったときなどに行われる。ファクシミリ送信対象となる画像データのプレビュー表示動作について、同画像データのファクシミリ送信動作に基づき説明する。プレビュー表示動作においてはメイン制御部18はパネル制御部11への指示も行う。
このプレビュー表示動作では、画像処理部16が、画質調整処理、及び空間フィルタ処理(及び変倍処理)まではファクシミリ送信時と同じ処理を行い、プレビュー画像生成部16aによるプレビュー画像生成処理を実行し、出力階調補正処理として画像データを表示するための出力γ補正処理を行うとよい。このプレビュー画像生成処理として、プレビュー画像生成部16aは、送信解像度に応じた画像拡大処理/画像縮小処理を施した画像データに対して、タッチパネル32の画素数(表示解像度)に合わせた変換処理及びプレビュー表示時の縮小/拡大率に応じた変倍処理を行うことでプレビュー画像のデータを生成する。なお、このプレビュー表示動作では、空間フィルタ処理は実行されなくてもよく、また中間調生成処理は実行されない。
プレビュー画像生成部16aで生成され出力階調補正処理されたR′G′B′データは、タッチパネル32に渡される。パネル制御部11は、このR′G′B′データに対応する画像をGUI画像に組み込んで表示させる制御を、タッチパネル32に対して行い、タッチパネル32でこのGUI画像を表示する。
付加情報を付加して送信する場合のプレビュー画像について説明する。付加情報は、送信解像度に応じた変倍処理を行った後の画像データに付加して出力する。より具体的には、メイン制御部18が付加情報の付加位置及び付加情報を読み出して画像処理部16に渡す。続いて、プレビュー画像生成部16aがこの付加情報から付加情報を示す付加情報画像のR′G′B′データを生成し、送信解像度に応じた画像拡大処理/画像縮小処理後のR′G′B′データに対し上記付加位置に合成すればよい。なお、ファクシミリ送信等の画像データ送信時には後処理について特に考慮しなくてよい。
このようにして付加情報画像が合成された画像データは、上述したプレビュー表示時の出力階調補正処理(画像データを表示するための出力γ補正処理)が施された後に、パネル制御部11によりGUI画像に組み込まれてタッチパネル32に表示されることになる。ユーザは、この付加情報画像を含むプレビュー表示された画像を確認して、このままファクシミリ送信を実行するか中止するか、或いは付加情報を削除するか、付加位置の変更(又は付加情報の変更)などを実行するかなどを判断して、それに応じた操作を行うことができる。
<インターネット経由による画像データの送信動作>
次に、読み取った原稿の画像データを、インターネット経由による電子メール又はインターネットFAXで送信する場合の送信動作について説明する。このようなインターネット経由での送信で対象となる画像データについても、タッチパネル32又はキー操作部31でのユーザ操作により設定されて制御用メモリ19に格納された送信先情報(この例では電子メールアドレス)に対して送信される。
インターネット経由による送信に係るユーザ操作が操作パネル30で受け付けられたとき、メイン制御部18は、フォーマット変換部14、画像記憶部15、画像処理部16、符号化/復号部17、及びLAN制御部21などに指示を行い、次に説明するようなインターネット経由による送信処理を実行させる。なお、メイン制御部18は、例えば原稿をインターネット経由で送信する操作がなされたときには読取部13への指示(原稿読み取り指示)も行うことになる。
符号化/復号部17は、印刷対象の画像データとそれに対応する原稿判定データ及び領域分離データとを画像記憶部15から読み出して復号し、画像処理部16に渡す。画像処理部16は、復号後の画像データ(RGB画像データ)に対して各種画像処理(以下、インターネット送信用画像処理という)を実行する。インターネット送信用画像処理としては、ファクシミリ送信用画像処理において説明した、画質調整処理、空間フィルタ処理、変倍処理、出力階調補正処理、及び中間調生成処理などが挙げられる。
また、カラー画像での送信の際の画像処理もファクシミリ送信用画像処理と同様であり、画像処理部16がインターネット送信用画像処理において、画質調整処理として、復号後の画像データを、マトリクス係数を用いてカラー伝送用のL*a*b*データに変換する処理を行い、その後の処理をこのL*a*b*データについて行うなどすればよい。
符号化/復号部17は、インターネット送信用画像処理後の画像データを符号化(圧縮)して、圧縮ファイルを得る。この圧縮は、原稿1頁単位で行われる。次いで、フォーマット変換部14が、これらの圧縮ファイルを1つのファイルに変換し、このファイルを、例えばMIME(Multipurpose Internet Mail Extension)に従ってマルチパートメールに添付する。ここまでの処理により、読み取られた画像データは電子メールのフォーマットに変換される。この電子メールは、LAN制御部21によりLANインターフェースを介してSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)等のメール転送プロトコルを用いて、インターネット経由で送信先に送信される。
ここで、インターネットファクシミリ送信の場合、符号化/復号部17が例えばMHのようなファクシミリ専用の圧縮形式で圧縮し、フォーマット変換部14が得られた頁単位の圧縮ファイルを例えば1つのTIFFファイルに変換すればよい。また、電子メールに添付ファイルとして添付するだけの送信の場合(所謂scan to e-mailによる送信の場合)、符号化/復号部17が例えばJPEGのような圧縮形式で圧縮し、フォーマット変換部14が得られた頁単位の圧縮ファイルを例えば1つのPDFファイルに変換すればよい。
また、デジタル複合機1は、送信対象の画像データがインターネット経由で送信する画像データであっても、ファクシミリ送信画像データの場合と同様に、付加情報を付加して送信することが可能となっている。付加情報の付加処理としては、ファクシミリ送信時について説明した合成処理を実行すればよく、上述した出力階調補正処理、圧縮処理、フォーマット変換処理などが施された後に、電子メールとして送信先のアドレスに送信されることになる。
<インターネット経由で送信する画像データのプレビュー表示動作>
ファクシミリ送信時のプレビュー表示について説明したのと同様に、デジタル複合機1は、インターネット経由で送信する対象となった画像データも、タッチパネル32でプレビュー表示可能に構成することができる。
このプレビュー表示動作では、ファクシミリ送信時のプレビュー表示について説明したのと同様に、画像処理部16が、画質調整処理、及び空間フィルタ処理(及び変倍処理)まではインターネット送信用画像処理と同じ処理を行い、プレビュー画像生成部16aによるプレビュー画像生成処理を実行し、出力階調補正処理として画像データを表示するための出力γ補正処理を行うとよい。プレビュー画像生成部16aで生成され出力階調補正処理されたR′G′B′データは、タッチパネル32に渡され、パネル制御部11によりGUI画像に組み込まれてタッチパネル32に表示されることになる。また、付加情報画像の付加についても、ファクシミリ送信時のプレビュー表示についての説明が援用できる。
<本発明に係る、画像データ印刷前のプレビュー表示の説明>
以上、コピー時について印刷前のプレビュー表示動作を説明したように、本発明に係るデジタル複合機1では、読取部13で例示したスキャナ装置で読み取られ印刷対象となった画像データについて、画像記憶部15から読み出してそのプレビュー画像を生成するプレビュー画像生成部16aを有する。プレビュー画像生成部16aで生成されたプレビュー画像は、メイン制御部18の制御によりタッチパネル32に送られ、パネル制御部11によりGUI画像に組み込んで表示する制御がなされ、タッチパネル32に表示される。このように、タッチパネル32は、印刷対象の画像データをプレビュー表示する表示部の一例である。
そして、本発明に係るデジタル複合機1では、原稿束別処理モードが操作部により選択可能になっている。この操作部は、タッチパネル32或いは、タッチパネル32及びキー操作部31で例示できる。
ここで、原稿束別処理モードは、1つの印刷ジョブとして、印刷条件がそれぞれ設定された複数のサブジョブを実行するモードである。これら複数のサブジョブは、原稿読み取り対象の複数の原稿束のそれぞれに対応するサブジョブである。そして、印刷実行前には、これらサブジョブに対応する画像データをまとめて1つのファイルとして、一時的に画像記憶部15に記憶され、記録部12により印刷実行時に読み出される。つまり、1つの印刷ジョブにより1つのファイルが生成される。このように、原稿束別処理モードでは、原稿束毎に原稿読み取り処理を行って原稿束毎のサブジョブデータを得て、原稿束毎に設定された印刷条件に基づいて1つのファイルが生成され、印刷処理が実行される。
そして、本発明の主たる特徴として、次の表示制御部を有する。この表示制御部は、原稿束別処理モード中にプレビュー画像を表示させる場合(つまり原稿束別処理モードが選択され且つプレビュー画像を表示する設定になっている場合)に、各サブジョブで読み取った画像データのそれぞれから、先頭頁の画像データを縮小してサムネイル画像を生成し、生成した各サブジョブに対応するサムネイル画像をプレビュー画像として並べて、表示部(タッチパネル32で例示)に表示させる。
このように、本発明でプレビュー表示されるサムネイル画像は、原稿束の先頭頁の画像データを縮小した画像であり、原稿束の数だけ生成される。なお、生成されたサムネイル画像を全て表示するか否かは、表示領域の関係もあるため、任意に決めておけばよい。
上記表示制御部における処理のうち、サムネイル画像を生成しそれらサムネイル画像を並べてプレビュー画像を生成するまではプレビュー画像生成部16aが実行し、その後の処理はパネル制御部11が実行するなどすればよい。つまり、原稿束別処理モード中のプレビュー表示時に、プレビュー画像生成部46aが各サブジョブの先頭頁(つまり各原稿束の先頭頁)の画像データを縮小したサムネイル画像を生成し、それらを並べてプレビュー画像としてパネル制御部11に渡し、パネル制御部11がそのプレビュー画像をタッチパネル32の画面に組み込んで表示させる制御を、タッチパネル32に対して行えばよい。
本発明は、このような構成により、複数のサブジョブを一つのジョブとして取り扱う原稿束別処理モード中に、読み取った原稿をプレビュー表示するに際し、簡単に各サブジョブでの設定を確認することが可能となる。
また、上述したように、印刷対象の画像データに付加情報を付加して出力することや、印刷対象の画像データを記録用紙に印字してその記録用紙に後処理を施すことも可能としてもよい。その場合、デジタル複合機1では、メイン制御部18の制御に基づきパネル制御部11が、付加情報や後処理を示す付加情報画像をタッチパネル32に表示させる制御を行う。そのため、プレビュー画像生成部16aが、このような付加情報画像を生成し、印刷対象の画像データから生成したプレビュー画像(上述のサムネイル画像に相当)に合成することで、付加情報画像付きのプレビュー画像を生成する。合成位置は、付加情報の付加位置又は後処理を施す位置に相当するプレビュー画像の位置となる。このように印刷対象となる画像データに付加情報(スタンプ、日付、頁番号等)なを付加して出力する場合やパンチやステープルといった後処理を記録媒体に施して出力する場合にも、画像形成の最終状態を確認することが可能になる。
なお、印刷前のプレビュー表示について説明したが、ファクシミリ送信時やインターネット経由の画像データ送信時についてプレビュー表示動作を説明したように、印刷対象だけではなく送信対象となった画像データ(つまり印刷以外の出力対象となった画像データ)についても同様の処理を行うことも可能である。この場合、原稿束別処理モードは、1つの送信ジョブとして、原稿読み取り対象の複数の原稿束のそれぞれに対応する複数のサブジョブであって、送信条件がそれぞれ設定された複数のサブジョブを実行するモードとなる。
さらに、原稿読み取りを前提として説明したが、印刷対象や送信対象の画像データは、読取部13で例示したスキャナ装置から入力された画像データに限ったものではなく、USB I/F25に接続されるUSBメモリで例示した着脱可能な記憶装置から入力された画像データ、LAN又は回線で例示した通信回線から入力された画像データ、画像記憶部15で例示した記憶装置から読み出された画像データであってもよい。この場合、原稿束別処理モードは、1つの出力ジョブとして、出力対象の複数の束のそれぞれに対応する複数のサブジョブであって、出力条件がそれぞれ設定された複数のサブジョブを実行するモードとなる。
<プレビュー表示の具体例>
以下、図4〜図13を参照し、原稿束別処理モード中のプレビュー表示の流れについて、その具体例を挙げながら説明する。以下の例では主にコピー時の印刷を例に挙げるが、上述したように、ファクシミリ受信時の印刷、USBメモリ等から読み取った画像データの印刷、ファクシミリ送信、インターネットFAX送受信時等でも同様に適用することは可能である。
図4は、図2及び図3で説明したデジタル複合機の標準画面の例を示す図である。図4では、標準画面として、デジタル複合機1においてタッチパネル32に表示されるGUI画像の一例(GUI画像40とする)を示している。標準画面のGUI画像40は、デジタル複合機1の電源がONになったりリセットされたときにタッチパネル32に表示される。このGUI画像40では、デジタル複合機1の動作モードを選択するために、コピーモード選択キー41、イメージ送信モード選択キー42、ドキュメントファイリングモード選択キー43が表示されており、GUI画像40ではコピーモードが選択されている状態を示す。
コピーモードでは、コピーを行うための各種の条件設定が可能となっている。例えば、片面・両面コピーの設定を行うための両面コピーキー、パンチやステープルの後処理の設定を行うための仕上げキー、その他コピー時の詳細設定を行うための特別機能キー44、スキャナによって読み取られた画像や外部機器から入力された画像やHDD等の記憶装置に記憶された画像の仕上がり状態を確認するためのプレビュー確認キー45、パンチ処理やステープル処理などの仕上げ処理(後処理)を設定するための仕上げキー等を備えている。ユーザは、タッチパネル32を使用してプレビュー確認キー45を操作することによって、この時点で原稿読み取りされた画像データのプレビューを表示させることが可能になっている。なお、キー42やキー43を選択することで、イメージ送信モードやドキュメントファイリングモードへ移行するが、このとき、各モードに応じた各種設定が可能なように各モードでの設定用のGUI画像が表示される。
図5は、図4のGUI画像において、コピー時の詳細設定を行う特別機能キーを選択した際に表示されるGUI画像の一例を示す図で、図6は、図5のGUI画像において、矢印キーを選択した際に表示されるGUI画像の一例を示す図である。なお、個々に説明しないが、図5及び図6を含む後述の図では、OKキーを表示しており、OKキーの押下後はその設定を保存するなどして前の画面に戻るなどすればよい。
図5で示すGUI画像46では、とじしろ、中とじなどの各種設定項目が選択可能に表示されていると共に、設定項目が多く存在するため、矢印キー47が表示されている。この矢印キー47の選択により、図6のGUI画像48のように他の設定項目が選択可能に表示される。GUI画像48には、他の設定項目として、ビルドジョブキー50等が選択可能に表示されていると共に、GUI画像46へ戻るための矢印キー49も表示されている。ビルドジョブキー50を押下することで、ビルドジョブモード(原稿束別処理モード)に移行することが可能になっている。勿論、原稿束別処理モードへの移行は、初期画面などの他の画面上での操作により実行可能にしておいてもよい。
図7は、図6のGUI画像において、ビルドジョブキーを選択した際に表示されるGUI画像の一例を示す図で、図8は、図7のGUI画像の表示中に、スタートキーを押下した際に表示されるGUI画像の一例を示す図である。
図7で示すGUI画像51は、図6のビルドジョブキー50が選択されることにより表示され、これにより原稿束別処理モードへ移行し、「原稿をセットして印刷設定を行った後、スタートキーを押して下さい」と、操作を促す表記を行う。このとき、GUI画像51においてビルドジョブモードであることを表示しておいてもよい。
図7で示すGUI画像51では、図4のGUI画像40と同様に、カラー/モノクロを設定するためのカラーモード設定キー52、コピー濃度を設定するためのコピー濃度設定キー53、印刷倍率を設定するための倍率設定キー54、印刷用紙を設定するための用紙設定キー55が、選択可能に表示されている。また、GUI画像51では、その他、原稿を原稿台で読み取るか自動原稿送り装置(ADF)で読み取るかを設定するための読取方法設定キーや、両面コピー/片面コピーのいずれを実行するかを設定するための両面設定キー56や、スタンプの種類や位置の設定やステープル・パンチ等の後処理を設定するための仕上げ設定キー57などが、選択可能に表示されている。なお、読取方法設定キーは、ビルドジョブモードの場合、自動(つまりADF)が選択されることが多く、以下、ADFでの読み取りを前提として説明するが、一枚一枚原稿台で読み取る原稿束があってもよい。
ユーザはまず第1の原稿束をADFにセットし、このような各キーによりその原稿束についての印刷設定(印刷条件の設定)を行い、設定後、スタートキーを押下する。これにより、その原稿束の読み取りが開始される。そして、読み取られた画像データは、設定された印刷条件に基づき縮小/拡大や割り付けや色変換(例えばカラーからモノクロへの変換)などが施され、そのサブジョブに対する画像データとして関連付けて画像記憶部15に記憶される。
さらに、プレビュー画像生成部16aが、その画像データに対して、先頭頁のサムネイル画像を生成し、同じくそのサブジョブに関連付けて画像記憶部15に一時的に記憶させる。後の確認にも使用する可能性があるため、先頭頁だけではなく他の頁についてもサムネイル画像を生成しておくとよい。なお、ここで説明しているビルドジョブモードでは、確認が必要な場合が多いため、プレビュー表示を行うことを前提として説明しているが、プレビュー表示を行うか否かもユーザ選択可能にしておいてもよい。
第1の原稿束の読み取りを完了した段階で、図8で示すGUI画像60のように、次の原稿束があるか否かを問う画像を表示させる。GUI画像60には、はいキー61といいえキー62とが選択可能な状態で含まれており、いいえキー62が選択されたときには、それまでの原稿束だけ(ここでの例では第1の原稿束のみ)で次に説明するプレビュー表示を実行する。
一方、はいキー61が選択された場合には、図7のGUI画像51を再び表示して、次の原稿束に対して、原稿束をADFにセットさせ、印刷設定を行わせ、スタートキーを押下させる。これにより、この原稿束についても、先頭頁(及び他の頁)のサムネイル画像が生成され、記憶される。なお、以前の原稿束についてのプレビュー画像(先頭頁のサムネイル画像、及び好ましくはこの時点で他の頁のサムネイル画像)の生成が終了していなかった場合にも、通常、原稿束を読み取り中に処理を完了することができる。
このようにして、ユーザが望む全ての原稿束の読み取りが完了し、いいえキー62が選択された段階で(全ての先頭頁のサムネイル画像が完成していない場合にはそれを待って)、プレビュー画像生成部16aが、各原稿束(つまり各サブジョブ)に対応する画像データの先頭頁のサムネイル画像を画像記憶部15から読み出して、それらを並べてプレビュー画像を生成し、パネル制御部11がタッチパネル32にそれを表示させる。
このような処理により、図9のGUI画像70で例示するような画面が表示される。図9は、図8のGUI画像において、いいえキーを選択した際に表示されるGUI画像の一例を示す図で、図2及び図3のデジタル複合機において、原稿束別処理モード中にプレビュー表示した画面の一例を示す図である。
図9で示すGUI画像70は、図8のGUI画像60においていいえキー62を選択した際に表示される。GUI画像70では、プレビュー画像生成部16aが印刷対象の各サブジョブの画像データから上述のごとく生成した各サムネイル画像71〜73がパネル制御部11によりタッチパネル32にプレビュー表示されている。なお、ここでは、3つの原稿束(つまり3つのサブジョブ)が含まれる例を説明しているが、この数はこれに限ったものではない。
例えば、サブジョブ1,3の印刷条件がカラー印刷で、サブジョブ2の印刷条件がモノクロ印刷であった場合には、サブジョブ1の先頭頁のサムネイル画像71、サブジョブ3の先頭頁のサムネイル画像73がカラー表示され、サブジョブ2の先頭頁のサムネイル画像72がモノクロ表示されることになる。その他、スタンプや頁番号等の付加情報や後処理の内容がそれぞれのサブジョブで異なれば、それに応じたサムネイル画像が表示できることになる。なお、一般的に、パンチやステープルといった後処理は全てのサブジョブ(つまり全ての原稿束)で共通の設定であることが多い。
このように、本発明では、原稿束別処理モード中に、読み取った原稿をプレビュー表示する際に、各サブジョブ1〜3の先頭頁のサムネイル画像71〜73を並べて表示させるため、簡単に且つ短時間で各サブジョブ1〜3での設定を確認することが可能となる。
なお、上述したように、生成された先頭頁のサムネイル画像を全て表示するか否かは、表示領域の関係もあるため、任意に決めておけばよい。例えば、図9のようなサムネイル画像の大きさで表示させる場合に4つ以上のサブジョブ(4つ以上の原稿束)が存在した場合、GUI画像70において、次のサブジョブ群の先頭頁を表示させるためのキーを選択可能に表示しておけばよい。しかし、サブジョブの数(つまり原稿束の数)に応じて、決められた表示領域に収まるように、各サブジョブの先頭頁のサムネイル画像を生成して、全てのサブジョブのサムネイル画像を上記表示領域に全て並べて表示させることが好ましい。
また、GUI画像70には、実際にコピー処理を開始(印刷処理を開始)するためのコピー開始キー77も選択可能に表示されている。ユーザは各サムネイル画像71〜73を確認して、問題ないと判断したときに、このコピー開始キー77を選択することで、実際に全てのサブジョブの印刷を実行することができる。
また、このようなサムネイル画像71〜73の一覧表示と共に、各サブジョブの画像データについて頁別のプレビュー表示も実行可能なように構成しておくことが好ましい。このような構成例について、図10も併せて参照して説明する。図10は、図9のGUI画像において、サブジョブ2を選択して頁別プレビューキー74を選択した際に表示されるGUI画像の一例を示す図である。
GUI画像70には、各サブジョブの先頭頁以外の頁をプレビューで確認させるための頁別プレビューキー74が選択可能に含まれている。まず、ユーザが確認したいサブジョブのサムネイル画像(例えばサムネイル画像72)を選択し、この頁別プレビューキー74を選択することで、図10で例示するGUI画像80が表示される。
このGUI画像80には、選択されたサムネイル画像(この例ではサムネイル画像72)のみがプレビュー表示されると共に、表示しているサムネイル画像72の頁を変更するために、現頁を示す情報82と共に、頁切換キー81が表示されている。また、先頭頁のサムネイル画像72はGUI画像70において既にユーザが確認済みであるため、先頭頁ではなく、その次の頁又は最終頁のサムネイル画像をGUI画像80で最初に表示させてもよい。
頁切換キー81には、そのサブジョブの最初の頁を表示するためのトップ頁(先頭頁)移動キー、そのサブジョブの現頁の前の頁を表示するための前頁移動キー、そのサブジョブの現頁の次の頁を表示するための次頁移動キー、及びそのサブジョブの最後の頁を表示するためのラスト頁(最終頁)移動キーが含まれる。サムネイル画像72は、このように頁毎に表示され、ユーザは頁切換キー81を適宜操作することによって、そのサブジョブの画像データの任意の頁のプレビュー画像(サムネイル画像)を表示させることができる。
また、GUI画像80には、図9のGUI画像70に戻るための全サブジョブプレビューキー(全サムネイル表示キー)78を選択可能に表示しておくことが好ましい。ユーザはこのキー78を選択することで、図9のサムネイル表示を再度確認することができる。
また、頁別プレビューキー74の表示を行わなくてもサムネイル画像71〜73のうち一つを選択(又は2回連続して選択)することで、図10のGUI画像80のような頁別のプレビュー表示画面に移行するような処理を採用してもよい。
ここで例示したように、表示制御部は、各サブジョブに対応する先頭頁のサムネイル画像のそれぞれを、操作部で選択可能に表示させておき、操作部により表示中のサムネイル画像の一つが選択された場合(又はこの選択がなされ且つ頁別プレビューキー74が選択された場合)、選択されたサムネイル画像に対応する原稿束の先頭頁(又は次頁又は最終頁)の画像データをプレビュー画像として、表示部に表示させることが好ましい。この先頭頁(又は次頁)の画像データは、実際の画像データそのものでもよいが、先頭頁以外のサムネイル画像の生成について述べたように、それを縮小したサムネイル画像であることが好ましい。
このように、原稿束別処理モード中のプレビュー表示時には、まず原稿束毎の先頭頁を並べてサムネイル表示を行っており、これによりユーザは大まかな確認が可能となり、さらにユーザが細かなところまで知りたい場合には、そのサムネイル画像にタッチしただけ(又はタッチして頁別プレビューキー74を選択するだけ)で、その頁のプレビュー表示を行うことができる。
また、GUI画像80にも、実際にコピー処理を開始(印刷処理を開始)するためのコピー開始キー77も選択可能に表示しておくとよい。ユーザがサムネイル画像及びその先頭頁以外の頁を確認して、問題ないと判断したときに、このコピー開始キー77を選択することで、実際に全てのサブジョブの印刷を実行することができる。
次に、実際の設定内容を確認できる構成について図11を参照して説明する。図11は、図9のGUI画像において、サブジョブ2を選択して設定確認キーを選択した際に表示されるGUI画像の一例を示す図である。
ユーザは、サムネイル画像71〜73での確認や頁別のサムネイル画像の確認だけでなく、実際の設定内容を確認したいことがある。従って、図9のGUI画像70や図10のGUI画像80には、設定確認キー75を選択可能に表示することが好ましい。
GUI画像70においては、サブジョブのいずれかのサムネイル画像を選択し、設定確認キー75が選択されたときに、図11で例示するGUI画像83を表示することができる。GUI画像83には、カラー/白黒(モノクロ)、片面/両面、とじ代などの各設定内容が表示されている。
また、GUI画像83は、サムネイル画像72を選択後に設定確認キー75を選択して表示させたものであるため、ここで表示されている設定内容はサブジョブ2についてのものとなる。しかし、他のサブジョブ1,3の設定内容も確認や変更したいことも考えられるため、各サブジョブの設定内容を表示させるためのタブ84a,84b,84cが選択可能に表示されている。また、GUI画像83には、元の画面に戻るための戻るキー88が選択可能に表示されている。
ここで例示したように、表示制御部は、サブジョブ毎(原稿束毎)の先頭頁のサムネイル画像と共に、原稿束毎の印刷条件を確認するための設定確認キーを操作部により選択可能に、表示部に表示させることが好ましい。また、サムネイル画像71〜73のいずれかを選択してから設定確認キー75を選択する例を示したが、いずれのサムネイル画像も選択されずに設定確認キー75が選択された場合には、全てのサブジョブについての設定内容を表示させるなどすればよい。
また、GUI画像83では、さらにこの画面で設定を変更できるように、カラー選択ラジオボタン85a、白黒選択ラジオボタン85b、片面選択ラジオボタン86a、両面選択ラジオボタン86b、とじ代入力領域87が表示されている。これにより、原稿束別処理モード中に、読み取った原稿をプレビュー表示するに際し、簡単に各サブジョブでの設定を変更することが可能になる。また、GUI画像83には、ボタン85a等により変更した設定を生かして元の画面に戻るための再設定キー89とが選択可能に表示されている。
また、GUI画像83では設定内容確認画面で設定が変更可能になっている例を挙げたが、設定が変更可能でない設定内容確認画面が表示される例においても、ユーザは、サムネイル画像71〜73での確認や頁別のサムネイル画像の確認時に、実際の設定内容を変更したいことがある。
従って、図9のGUI画像70や図10のGUI画像80には、再設定キー76を選択可能に表示することが好ましい。ユーザは、GUI画像70においてサムネイル画像71〜73のいずれかを選択した状態で、或いはGUI画像80が表示された状態において、再設定キー76を操作することにより、選択又は表示中のサムネイル画像の印刷条件(後処理や付加情報の付加処理の設定も含む)を再設定するためのGUI画像を表示させることができる。そして、再設定画面を使用してそのサムネイル画像に対応するサブジョブについてのみ、印刷条件を再設定し、再設定した印刷条件に基づくサムネイル画像71〜73を表示させることができる。
ここで例示したように、表示制御部は、サブジョブ毎(原稿束毎)の先頭頁のサムネイル画像と共に、原稿束毎の印刷条件を変更するための変更キー(再設定キー76)を操作部により選択可能に、表示部に表示させることが好ましい。これにより、原稿束別処理モード中に、読み取った原稿をプレビュー表示するに際し、簡単に各サブジョブでの設定を変更することが可能になる。また、サムネイル画像71〜73のいずれかを選択してから(選択されたGUI画像80となってから)再設定キー76を選択する例を示したが、いずれのサムネイル画像も選択されずに再設定キー76が選択された場合には、全てのサブジョブについての設定内容を変更できるような画面を表示させるなどすればよい。
次に、頁別プレビューの図10とは異なる例を、図12を参照して説明する。図12は、図9のGUI画像において、サブジョブ2を選択して頁別プレビューキーを選択した際に表示されるGUI画像の他の例を示す図である。
図12で例示するGUI画像90は、図9のGUI画像70において、サブジョブ2を選択して頁別プレビューキー74が選択されたときに表示される。GUI画像90には、選択されたサブジョブについて、先頭頁以外の頁を表示させるための頁移行キー91a,91bが選択可能に表示されている。ユーザは、頁移行キー91a,91bを選択することで、そのサブジョブ内の頁移行が可能になる。例えば図12では先頭頁の次の頁のサムネイル画像72aが表示されている。また、同時に、次又は前の原稿束の先頭に表示を移動させるキーも選択可能に表示しておいてもよく、例えば図10の現頁を示す情報82と頁切換キー81のような表示を採用してもよい。
ここで例示したように、表示制御部は、選択されたサムネイル画像に対応する原稿束の先頭頁の画像データと共に、その原稿束の他の頁を表示させるための頁移行キーを操作部により選択可能に、表示部に表示させることが好ましい。また、最初に先頭頁のサムネイル画像71〜73を表示する段階で各サムネイル画像71〜73のそれぞれの近隣に頁移行キー91a,91bのような頁移行キーを選択可能に表示させるようにしてもよい。
なお、頁別プレビューキー74を図9のGUI画像70に表示させない場合には、上述したように、サムネイル画像71〜73のうち一つを選択(又は2回連続して選択)することで、図12のGUI画像90を表示させればよい。
また、図12のGUI画像90における頁別プレビューキー74は、現在頁別のプレビューが可能になっていないサムネイル画像71,73を頁別表示させるためのキーである。つまり、サムネイル画像71,73いずれかが選択されてこの頁別プレビューキー74が選択されたときに、そのサムネイル画像71,73についても項別のプレビューを可能に頁移行キーを表示させ、次頁以降の表示も可能となる。なお、GUI画像90においても、設定確認キー75や再設定キー76やコピー開始キー77を選択可能に表示しておくとよい。
次に、印刷(画像形成)対象となる原稿画像を読み取ってプレビュー表示するときの流れについて、図13を参照しながら説明する。図13は、図2及び図3のデジタル複合機において、原稿束別処理モード中にプレビュー表示する際の処理の一例を説明するためのフロー図である。ここでは、原稿束別処理モード中であり且つプレビュー表示は行うようになっていることを前提に説明する。
まず、メイン制御部18は、読取部13において原稿台又はADFに原稿がセットされているかを確認し(ステップS1)、セットされたときに(ステップS1でYESとなったときに)、印刷条件の設定のユーザ操作を受け付け、その設定を反映させる(ステップS2)。
そして、メイン制御部18は読み取り動作開始の指示(例えばスタートキーの押下操作)を待ち(ステップS3)、指示を受けたときに原稿読み取りを読取部13に対して指示する(ステップS4)。これにより、読取部13では原稿の読み取りを開始する。続いて、メイン制御部18は、プレビュー画像生成部16aに指示して、読み取った画像データによるサムネイル画像の生成処理を実行させる(ステップS5)。
次に、メイン制御部18は、図8のGUI画像60を表示させてユーザ操作を待ち、そのユーザ操作に基づき、次の原稿束があるか否かを判定する(ステップS6)。次の原稿束があった場合には、次の原稿束についてステップS1〜S5を繰り返す。次の原稿束がないと判定できた時点で(ステップS6でNOとなったときに)、メイン制御部18は、パネル制御部11及びプレビュー画像生成部16aに指示して、各原稿束についての先頭頁のサムネイル画像を並べてプレビュー画面を生成し、タッチパネル32に表示させる(ステップS7)。この処理により、例えば図9のGUI画像70が表示される。
GUI画像70が表示された状態で、メイン制御部18はサムネイル画像71〜73のいずれかが選択され、且つ頁別プレビューキー(選択されたサムネイル画像の束の各頁を表示させるキー)74が選択されたか否かを判定する(ステップS8)。ここで頁別プレビューキー74の選択があった場合には、メイン制御部18は、パネル制御部11及びプレビュー画像生成部16aに指示して、その束のプレビュー画面を生成して表示させる(ステップS9)。この処理により、例えば図10のGUI画像80が表示される。
一方、ステップS8でNOの場合又はステップS9の処理後に、メイン制御部18は、サムネイル画像の選択を伴う再設定キー76の選択があったか否かを判定し(ステップS10)、なかった場合にはコピー開始キー77の選択があったか否かを判定し(ステップS11)、コピー開始キー77の選択があった場合には印刷処理を実行する(ステップS12)。
ステップS11でNOの場合には、ステップS10へ戻るか、或いはステップS8へ戻ればよい。ステップS10でYESの場合には、メイン制御部18が、パネル制御部11を制御して再設定画面を表示させ、ユーザからの再設定操作を待って、その操作に基づき再設定(選択のサムネイル画像のサブジョブについての再設定)を実行する(ステップS13)。次に、メイン制御部18は、プレビュー画像生成部16aに指示を出し、再設定されたサブジョブのサムネイル画像を再生成させ(ステップS14)、ステップS7へ戻る。
以上、本発明に係る原稿束別処理モード中のサムネイル表示について説明したが、上述した説明では、いずれの原稿束もADFの読み取り可能枚数を超えないことを前提としている。しかし、実際には超えることもある。例えば、ADFでの読み取り可能枚数が100枚であったとすると、一つの原稿束の上限が100枚になり、101枚以上の原稿束について同じ印刷条件を適用したいときがある。
このような場合、例えば200枚に対して同じ印刷条件で印刷させたいときには、2つの原稿束について同じ印刷条件のまま原稿読み取り処理を実行すればよい。この場合、これら2つの原稿束それぞれの先頭頁のサムネイル画像が一覧表示されることになる。一方で、このような表示を避けたい場合には、原稿読み取り後に、「同じ印刷条件で引き続き印刷させたい原稿は残っていますか?」などと表示させ、「はい」と入力された場合には、最初の100枚と次の100枚とを1つのサブジョブとして取り扱うように構成しておけばよい。この場合、この1つのサブジョブで、ADF読み取り限度枚数を超える大量原稿の処理が可能となる。
以上、デジタル複合機1を挙げて、本発明の原稿束別処理モード中のプレビュー表示(サムネイル表示)について説明したが、本発明は、このような画像形成装置におけるプレビュー表示方法としての形態も採り得る。つまり、このプレビュー表示方法は、操作部が、原稿束別処理モードの選択を受け付けるステップと、操作部が、プレビュー画像を表示する操作を受け付けるステップと、表示制御部が、原稿束別処理モード中にプレビュー画像を表示させる場合に、各サブジョブで読み取った画像データのそれぞれから、先頭頁の画像データを縮小してサムネイル画像を生成し、生成した各サブジョブに対応するサムネイル画像をプレビュー画像として並べて、表示部に表示させるステップと、を含む。他の応用例については説明した通りである。
1…デジタル複合機、2,3…外部コンピュータ、4…インターネットFAX装置、10,32…タッチパネル、11…パネル制御部、12…記録部、13…読取部、14…フォーマット変換部、15…画像記憶部、16a…プレビュー画像生成部、17…符号化/復号部、18…メイン制御部、19…制御用メモリ、20,31…キー操作部、21…LAN制御部、22…制御用バッファ、23…NCU、24…モデム、25…USB I/F、30…操作パネル。