JP2010117701A - 光学モジュール用レンズ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、熱可塑性透明樹脂本来の透明性、成形性を保持するとともに、はんだリフロー工程に耐え得る優れた耐熱性を有する光学モジュール用レンズを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の光学モジュール用レンズは、熱可塑性透明樹脂からなるレンズ状成形体の表面に、熱または光硬化性コート剤から形成された硬化層を有し、硬化層の厚みが1〜100μmであり、かつ、硬化層のTMA熱変形温度が300℃以上であり、下記式で表わされる硬化層の厚み率が、光学モジュール用レンズ中央部において、3〜15%の範囲にあることを特徴としている。硬化層の厚み率(%)=(硬化層の厚み/レンズの厚み)×100
【選択図】なし

Description

本発明は、光学モジュール用レンズに関する。詳しくは、本発明は、レンズ状成形体の表面に、耐熱性に優れた硬化性樹脂層を有する光学モジュール用レンズに関する。
近年の電子機器の製造においては、各種の電子部品、モジュールを小型化し、かつ生産性良く基盤上に実装するプロセスとして、はんだリフロー工程が多く採用されている。はんだリフロー工程では、はんだの溶融と接着のため、基盤上の電子部品は220〜270℃の高温で加熱される。そのため、電子モジュール、とくにカメラ、ライト等の光学モジュールに搭載されるレンズ、プリズムおよび透明カバーといった光学部品にも、はんだリフロー工程への耐久性が求められている。
これらの光学部品のうちレンズとしては、熱可塑性透明樹脂から射出成形等の成形方法で製造されたものが、ガラス製レンズに比べ、光学性能は同等ながら生産性に優れ、軽量であることからこれまで多く利用されてきた。しかし、これらの熱可塑性透明樹脂はその耐熱温度が低いため、それらからなるレンズははんだリフロー工程で大きな変形を生じる等、はんだリフロー時の熱に耐えることができなかった。したがって、熱可塑性透明樹脂からなり、かつリフロー工程に耐え得る光学モジュール用レンズが求められている。
例えば、特許文献1には、熱可塑性透明樹脂の1つであるノルボルネン系樹脂を電子線により架橋し、さらにその他の耐熱樹脂および無機粒子の添加により、リフロー工程での耐熱性を保持する方法が提案されている。しかしながら、この手法では、無機粒子を多量に混合するためノルボルネン系樹脂本来の透明性が損なわれるという問題がある。
また、特許文献2、3、4では、熱硬化性樹脂を用い耐リフロー性の光学モジュール用レンズを製造する方法が提案されているが、この手法では、樹脂の光学特性が低いため、また熱硬化性樹脂特有の硬化収縮のため、得られるレンズの光学性能が低下するという問題があった。
特開2008−088303号公報 特開2004−133328号公報 特開2004−294741号公報 特開2009−029140号公報
本発明は、熱可塑性透明樹脂本来の透明性、成形性を保持するとともに、はんだリフロー工程に耐え得る優れた耐熱性を有する光学モジュール用レンズを提供することを課題とする。
本発明の光学モジュール用レンズは、
熱可塑性透明樹脂からなるレンズ状成形体の表面に、
熱または光硬化性コート剤から形成された硬化層を有する光学モジュール用レンズであって、
硬化層の厚みが1〜100μmであり、かつ、硬化層のTMA熱変形温度が250℃以上(ただし、TMA熱変形温度は、熱機械分析装置を用いて、昇温速度5℃/分、印加加重500mNで圧縮試験を行ったときの熱変形温度を表す)であり、
下記式で表わされる硬化層の厚み率が、レンズ中央部において、3〜15%の範囲にあることを特徴とする光学モジュール用レンズ。
硬化層の厚み率(%)=(硬化層の厚み/レンズの厚み)×100
このような本発明の光学モジュール用レンズでは、前記熱可塑性透明樹脂が、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、前記熱可塑性透明樹脂が、ガラス転移温度(Tg)が120℃以上の環状オレフィン系樹脂であることも好ましい。
本発明の光学モジュール用レンズでは、前記コート剤が、シリコーン系コート剤、アクリル系コート剤、エポキシ系コート剤より選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。
本発明の光学モジュール用レンズでは、前記熱可塑性透明樹脂からなるレンズ状成形体の、下記式(1)で表されるレンズ状成形体の残留応力歪みが、レンズ中央部において80MPa以下であることが好ましい。
式(1):
レンズ状成形体の残留応力歪みの大きさ[MPa]=レンズ状成形体のレタデーション[nm]/(光弾性係数[cm2/N]×レンズ状成形体の中心部の厚み[mm])×10-8
本発明の光学モジュール用レンズでは、前記熱または光硬化性コート剤が、アクリル系光硬化性コート剤であることが好ましい。
本発明の光学モジュール用レンズは、携帯型情報通信機器のカメラモジュール用の撮像レンズであることが好ましく、また、LEDライトモジュール用の集光レンズであることも好ましい。
本発明によれば、熱可塑性透明樹脂を単に成形して製造した従来の光学モジュール用レンズと比較し、熱可塑性透明樹脂本来の透明性を保持し、はんだリフロー工程に耐え得る、より優れた耐熱性を有する光学モジュール用レンズを提供することができる。
図1は、製造例において製造した光学モジュール用レンズの概略図を示す。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の光学モジュール用レンズは、熱可塑性透明樹脂からなるレンズ状成形体の表面に、硬化層を有する。
レンズ状成形体
本発明に係るレンズ状成形体は、熱可塑性透明樹脂をレンズ形状に成形してなる。
[熱可塑性透明樹脂]
本発明で用いられる熱可塑性透明樹脂としては、レンズ形状に成形した際に透明性を有する熱可塑性樹脂を、特に限定なく用いることができ、具体的には光学用途に好適な環状
オレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリパラフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルフォスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などを挙げることができる。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは120〜350℃、さらに好ましくは140〜250℃、特に好ましくは150〜200℃である。ガラス転移温度が80℃未満などの低温の場合は、高温条件下での長期使用時に成形体が変形することがある。一方ガラス転移温度が高すぎると、樹脂の成形加工が困難になることがあり、また成形加工時の加熱温度を高くする必要が生じるため、熱によって樹脂が劣化する可能性がある。なお、本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、特に断りのない限りDSCにより求めたガラス転移温度(DSC−Tg)を意味する。
本発明においては、熱可塑性透明樹脂として、ガラス転移温度が高く、かつ光学特性、成形性、機械的特性に優れることから、これらのうち、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく用いられ、環状オレフィン系樹脂が特に好ましく用いられる。なお、本発明の目的を損なわない範囲で、上記樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種類以上併用することもできる。
(環状オレフィン系樹脂)
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、光学特性および成形性に優れれば特に限定しないが、好ましくはノルボルネン骨格を有する単量体を開環(共)重合し、さらに水素添加して得られる樹脂、ノルボルネン骨格を有する単量体単独で、もしくはα―オレフィンと付加(共)重合して得られる樹脂、芳香族オレフィンを付加(共)重合し、さらに水素添加して得られる樹脂が、耐熱性、機械的強度、加工性、透明性および生産性等に特に優れるため好適に用いられる
このような環状オレフィン系樹脂の例として、ノルボルネン骨格を有する単量体を開環(共)重合し、さらに水素添加して得られる樹脂としては、ARTON(JSR製)、ZEONEX、ZEONOR(日本ゼオン(株)製)等を挙げることができ、ノルボルネン骨格を有する単量体とα―オレフィンと付加(共)重合して得られる樹脂としてはAPEL(三井化学(株)製)、TOPAS(ポリプラスチックス(株)製)等を挙げることができ、芳香族オレフィンを付加(共)重合し、さらに水素添加して得られる樹脂としてはZEONEX E330R、E340R等を挙げることができるが、これらに限るものではない。
(ポリカーボネート樹脂)
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂は、光学特性および成形性に優れれば特に限定しないが、好ましくは、二価フェノールとカーボネート前駆体を反応させて得られる芳香族ポリカーボネート樹脂が用いられる。
このような芳香族ポリカーボネート樹脂として、例えば、二価フェノールとして2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)を主たる二価フェノール成分とし、カーボネート前駆体としてホスゲンを反応させることにより得られる芳香族ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
このようなポリカーボネート樹脂としては、例えば、パンライト(帝人化成(株)製)、Lexan(SABIC Innovative Plastics((株))製)、ユーピロン、ノバレックス(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)、カリバー(住友ダウ(株)製)、タフロン(出光興産(株)製)等が挙げられるが、これに限定され
るものではない。
(ポリエステル樹脂)
本発明で用いられるポリエステル樹脂は、光学特性および成形性に優れれば、特に限定しないが、好ましくは、フルオレン骨格を有するジオールで構成されたジオール成分(9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン骨格を有するジオールで構成されたジオール成分)と、例えばテレフタル酸のようなジカルボン酸成分とのエステル化反応により得られるポリエステル樹脂を含むことが好ましい。
このようなポリエステル樹脂は、複屈折が小さく、光学特性に優れ、かつ良好な成形性を有するため、光学部品として好適である。
このようなポリエステル樹脂としては、例えば OKP4(大阪ガスケミカル(株)製)等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明では、レンズ状成形体を形成する熱可塑性透明樹脂として、耐熱性に優れたものを用いることが好ましく、ガラス転移温度(Tg)が通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは140〜200℃の熱可塑性透明樹脂を用いることが好ましい。本発明では、これらのうちでも、ガラス転移温度(Tg)が120℃以上、好ましくは150〜200℃の環状オレフィン系樹脂を用いることが特に好ましい。
本発明で用いられる熱可塑性透明樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲において、さらに機械的特性、易成形性を付与するための機能性樹脂、および酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤などの添加剤を配合することができる。
「機能性樹脂」としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアクリレート、ABS等のオリゴマーもしくはポリマー;ブダジエンゴム、スチレンゴム、ブタジエン-スチレンゴム等のゴム状ポリマー、
オリゴマーおよびその水添体などが挙げられる。
「酸化防止剤」としては、例えば、フェノール系、リン系、硫黄系、ピペリジン系などの酸化防止剤が挙げられ、特に耐熱性に優れることからフェノール系の酸化防止剤が好ましい。
「紫外線吸収剤」としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、サリシレート系などの紫外線吸収剤が挙げられる。
「難燃剤」としては、例えば、臭素系、ホスファゼン系、リン酸エステル系、アンチモン系、イントメッセント系、無機水酸化物、シリコーン系などの難燃剤が挙げられる。
[レンズ状成形体の製造方法]
本発明で用いられるレンズ状成形体は、上記熱可塑性透明樹脂を、または上記熱可塑性樹脂と上記添加剤とを含有する樹脂組成物を、(1)直接射出成形するか、または(2)射出成形、溶融押出し成形、キャスティング法等で樹脂シートやペレットを作成し、さらに熱プレス転写すること(熱プレス成形)によって好適に製造することができる。
(1)射出成形
本発明で用いられる熱可塑性透明樹脂のレンズ状成形体は、上記環状オレフィン系樹脂を、または上記環状オレフィン系樹脂と上記添加剤とを含有する樹脂組成物を、射出成形することにより製造することができる。射出成形に用いられる射出成形機は、たとえば、
シリンダーの方式としてはインライン方式、プリプラ方式; 駆動方式としては油圧式、
電動式、ハイブリッド式; 型締め方式としては直圧式、トグル式; 射出方向としては横型、縦型などが挙げられる。
(2)熱プレス成形
本発明で用いられる熱可塑性透明樹脂のレンズ状成形体は、上記熱可塑性透明樹脂を、または上記熱可塑性透明樹脂と上記添加剤を含有する樹脂組成物を、上記射出成型または溶融押出し成型等により厚み0.3mm〜10mmのシート状や0.5〜5mm角のペレット状等に成型し、もしくは、上記熱可塑性透明樹脂または上記熱可塑性透明樹脂と上記添加剤を含有する樹脂組成物を溶媒に溶解させた樹脂溶液を、キャスティング法により厚み0.02〜0.3mmのシート状に成型した後乾燥させ、さらにそれらのシート状もしくはペレット状成型体を適当な金型内に入れ、プレス機によりレンズ状の金型形状を熱転写することにより製造することができる。
このように製造されたレンズ状成形体の残留応力歪みとしては、下記式(1)で表されるレンズ状成形体の残留応力歪みの大きさが、成形体中央部において、80MPa以下であることが好ましく、50MPa以下であることがさらに好ましい。
式(1):
レンズ状成形体の残留応力歪みの大きさ[MPa]=レンズ状成形体のレタデーション[nm]/(光弾性係数[cm2/N]×レンズ状成形体の中心部の厚み[mm])×10-8
熱可塑性透明樹脂からなる成形体の残留応力歪みを低くする方法としては、射出成形法であれば、例えば、シリンダー内の最高樹脂温度をDSC−Tg+160℃〜220℃の範囲で成形する方法が挙げられる。この温度範囲で成形した場合、残留応力歪みが小さく、コートして得られるレンズのリフロー工程前後の形状変化が15μm以下になり、優れた耐リフロー性を有するレンズが得られる。また、DSC−Tg+160℃以下では成形体の残留応力歪みが大きく耐リフロー性が低下することがあり、DSC−Tg+220℃以上では成形体が着色することがある。
また、熱プレス法成形法は通常の条件設定でも、このような残留応力歪が小さい成形法である。
硬化層
本発明の光学モジュール用レンズは、上述した熱可塑性透明樹脂からなるレンズ状成形体の表面に、熱または光硬化性コート剤から形成された硬化層を有する。
[熱または光硬化性コート剤]
硬化層を形成する熱または光硬化性コート剤としては、レンズ成形体上で熱および光により硬化して、耐熱性が高く透明な硬化層を形成できる熱、光硬化性樹脂組成物であれば特に限定されないが、好ましくは、シリコーン系コート剤、アクリル系コート剤、エポキシコート剤より選ばれるコート剤が用いられる。
特に、レンズ状成形体を構成する熱可塑性透明樹脂が環状オレフィン系樹脂である場合、レンズ状成形体とコート層の密着性、耐湿熱性に優れることから、光硬化型のアクリル系コート剤が好ましい。
本発明の光学モジュール用レンズでは、コート剤から形成された硬化層が、優れた耐熱性を有し、具体的には、硬化層のTMA熱変形温度が250℃以上であることが好ましい。ここで硬化層は、コート剤中の成分が硬化して形成された硬化樹脂を主体とした層である。TMA熱変形温度が250℃未満であると、光学モジュール用レンズの耐熱性の向上
の効果が十分でない。また、硬化層のTMA熱変形温度は、耐はんだリフロー性向上の観点から270℃以上あることがより好まく、300℃以上であることが特に好ましい。本発明において、TMA熱変形温度は、熱機械分析装置を用いて、昇温速度5℃/分、印加加重500mNで圧縮試験を行ったときの熱変形温度を表す。
硬化層(熱、光硬化樹脂)の屈折率は、レンズの透明性が損なわなければ特に限定されない。熱可塑性透明樹脂の光学特性の観点から1.35〜1.7の範囲が好ましい。
また本発明の熱または光硬化性コート剤(熱、光硬化性樹脂組成物)は、膜厚のコントロールや塗膜性など必要に応じて溶剤等で希釈して使用することもできる。希釈溶媒としては、上記の熱または光硬化性コート剤が溶解するものであれば何でも良いが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン等のケトン類、DMF、DMSO等の高極性溶媒、塩化メチレン、ジクロロエタン等のハロゲン化溶媒、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、THF等のエーテル系溶媒などが挙げられる。
本発明に係る熱または光硬化性コート剤およびその希釈液の粘度は、通常、1〜5000cp/25℃、好ましくは5〜2000cp/25℃、より好ましくは10〜1,000cp/25℃である。粘度が高すぎると、コート剤をレンズ成形体にコートする際に、塗布ムラやうねりが生じる。逆に、粘度が低すぎても、目標とする膜厚が得られにくい等の問題が生じる。
本発明に係る熱または光硬化性コート剤には透明性や耐熱性を損なわない限り、光増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱架橋剤、シランカップリング剤、塗面改良剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、帯電防止剤、界面活性剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、無機フィラー、ナノ無機粒子、老化防止剤、濡れ性改良剤等、公知の添加剤を必要に応じて配合しても良い。
(シリコーン系コート剤)
シリコーン系コート剤としては、シリコーンを含有している熱または硬化型コート剤であれば特に限定されないが、通常、アルキル基および/もしくはフェニル基含有のポリシ
ロキサンオリゴマーもしくはポリマーを含有するシリコーン系コート剤が用いられる。上記のようなシリコーン系コート剤は、良好なコート性と、硬化層が高いTMA熱変形温度を有するため優れるため好ましい。このようなシリコーン系コート剤の例として、信越化学工業製のシリコーン系コート剤である製品名KR−220L、KR242A、KR−271、KR−282、KR−300、KR−311、KC−89、KR−500、KR−212、KR−213、KR−9218、KR400、KR−251、KR-255、K
R-114A、KC-89、KR-300などがあげられるが、これに限定されるものでは
ない。
また、シリコーン系コート剤としては、パーヒドロポリジシラザン等を含むコート剤も高いTMA熱変形温度を有するため好ましい。そのような例として、クラリアント(株)製アクアミカなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
これらのシリコーン系コート剤には、その架橋反応促進のため、チタン、アルミニウム、パラジウム錯体のような金属系架橋促進剤、もしくはアミンのような塩基系架橋促進剤等の添加剤も含んでも良い。
(アクリル系コート剤)
アクリル系コート剤としては、アクリル系モノマーを含有している熱、光硬化性コート剤であれば特に限定されない。
本発明に係るアクリル系コート剤に含まれるアクリル系モノマーとしては、ラジカル重合性を有する1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する不飽和カルボン酸エステルモノ
マーが用いられる。
1つの(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系モノマーの例として、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチルビルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
これらのうちでは、特に、硬化層のTMA熱変形温度を向上させるため、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート等の環状骨格を有する(メタ)アクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレートのような短側鎖のメタクリレート等が好ましい。
また、2つの(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系モノマーの例として、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキルジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アク
リレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を3つ以上有するアクリル系モノマーとしては、3価以上の多価アルコールの(メタ)アクリレートが挙げられる。その具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールポリアクリレート等が挙げられる。
これらのアクリル系モノマーは、単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。特に、硬化層のTMA熱変形温度を上げるため、コート液の全アクリルモノマーを100部としたとき、(メタ)アクリロイル基を1つ有するモノマーを0〜50部、2つ以上有するモノマーを50〜100部以上含有することが好ましい。
また、本発明に係るアクリル系コート剤では、アクリル系モノマーとして、さらにポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエポキシ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリル(メタ)アクリレートのオリゴマーまたはポリマーにアクリロイル基を導入したマクロモノマーを用いてもよい。その際のアクリル系コート剤のマクロモノマーの含有量としては1〜40部が好ましい。
本発明に係るアクリル系コート剤の硬化は、コート剤に含まれるアクリル系モノマーがラジカル重合性に富むことを利用してなされる。すなわち、適当なラジカル発生剤が混合されたコート剤を熱可塑性透明樹脂からなるレンズ状の成形体に塗工後、ラジカル発生剤の分解によりラジカルを発生させ、アクリル系モノマーが重合反応することによりコート液が硬化する。ラジカル発生剤の分解の方法としては、加熱および光照射による分解反応が適応される。
加熱によるラジカルを発生する熱ラジカル発生剤としては、具体的にはジコハク酸パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジペンタフルオロプロピオニルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、2,2'−アゾビス(2−ア
ミジノプロパン)塩酸塩、4,4'−アゾビス(4−シアノワレリアン酸)、アゾビスイ
ソブチロニトリル等のアゾ化合物、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物が用いられる。また、金属イオン等の酸化還元反応によりそれらを活性化して用いてもよい。
また、光照射によりラジカルを発生する光ラジカル開始剤の具体例としては、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、 2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フル
オレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキ
シベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプ
ロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6
−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
これらのラジカル発生剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に係るアクリル系コート剤に用いられるラジカル発生剤の添加量は、通常、硬化液中のアクリル系モノマーに対し、0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。添加量が0.1重量%以下であると、硬化速度が遅く、また硬化層の機械的強度が充分でない。また添加量が10重量%以上であると、コート液の保存安定性が低下する。
このようなアクリル系コート剤の例として、JSR(株)性デソライト、オプスターなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
(エポキシ系コート剤)
本発明に係るエポキシ系コート剤としては、エポキシ基含有重合体もしくはオリゴマーを有するコート剤であればとくに限定されない。
好ましくは、硬化層のTMA熱変形温度を高くするため、下記式(A)で表される構成単位および下記式(B)で表される構成単位を、(式(A)で表される構成単位の量):(式(B)で表される構成単位の量)として、2:4〜2:70(モル比)の割合で含有し、シラノール当量が150〜20000であることを特徴とするエポキシ含有重合体が挙げられる。
Figure 2010117701
Figure 2010117701
(式(A)中、REはエポキシ基を含有する有機基、R3は非置換または置換の1価の炭化水素基、非置換または置換のアルコキシル基、またはヒドロキシル基を示し、*は重合体への結合部分を示し、mは1または2、lは0,1,または2である。式(B)中、R4
およびR5はそれぞれ独立に非置換または置換の1価の炭化水素基を示す。)
上記のエポキシ系コート剤の硬化剤として、公知公例のアミン系、酸無水物系もしくは金属系の硬化触媒が添加される。通常、エポキシコート剤に対する硬化触媒の添加量は、0.001重量%〜20重量%、好ましくは0.005重量%〜10重量%である。硬化
触媒が上記の範囲であると、効率よく速やかに硬化が進行し、かつ硬化液の保存安定性にも優れる。
このようなエポキシ系コート剤の例として、JSR(株)製ATS、AWSシリーズ等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
光学モジュール用レンズの製造
本発明において、熱可塑性透明樹脂からなるレンズ状成形体上に、光および熱硬化性コート剤からなる硬化層を形成する方法は特に限定されず、例えばレンズ状成形体の表面にコート剤を、溶液浸漬、溶液塗布、溶液噴霧等により塗工し、その後光および熱により硬化する方法が挙げられる。また、シート、ストランド、ペレット形状の熱可塑性透明樹脂の成形前駆体の表面に、上記手法により硬化層を形成した後、さらに、プレス成形、インプリント成形のような2次成形を行うことでレンズを得ても良い。これらの手法は、成形
方法やレンズ形状、用いる材料の種類などに応じて適宜選ぶことができる。
硬化層は、レンズ状成形体の少なくとも一方の面に設けられればよいが、両面、すなわちレンズ外周部全体に設けられることが、光学モジュール用レンズにリフロー耐熱性を付与する効果が高くより好ましい。
本発明の光学モジュール用レンズでは。上記熱または光硬化性コート剤により形成される硬化層の厚みについて、レンズの中心部分において、熱可塑性透明樹脂層の厚みに対する硬化層の厚みの割合で表わされる、硬化層の厚み率、すなわち下記式硬化層の厚み率が、通常3〜15%、好ましくは5〜12%、更に好ましくは5〜10%である。ここで、硬化層の厚みとは、硬化層がレンズ状成形体の両面に形成されている場合には、いずれか一方の面に形成された硬化層の厚みが上記範囲の厚み率を満たせばよく、好ましくは両面の硬化層の厚みがそれぞれ上記範囲の厚み率を満たすことが望ましい。
硬化層の厚み率(%)=(硬化層の厚み/レンズの厚み)×100
上記熱または光硬化性コート剤により形成される硬化層の厚み率が1%未満の場合、耐熱性向上の効果が小さく、耐はんだリフロー性が著しく低下する場合がある。また厚み率が15%を超えると、レンズの光学性能に与える影響が大きくなる。また、硬化層の厚みむらが小さいほうが耐熱性、熱変形、光学特性の点でより好ましい。
また、熱または光硬化性コート剤を用いて硬化層を形成する前に、レンズ状成形体と硬化層の密着性、親和性を高めるために、予め表面処理を実施しても良く、係る表面処理としては、例えば、プラズマ処理、コロナ処理、放射線処理、電子線処理、イトロ処理、酸処理、アルカリ処理等が挙げられる。
レンズ状成形体の表面に塗工した、熱または光硬化性コート剤の硬化条件は、用いる熱または光硬化性コート剤の種類により適宜選択することができる。
熱硬化性コート剤の場合、成形体の表面にコート剤を塗工した後、熱可塑性透明樹脂のTg−5℃以下の温度で硬化することが望ましい、より好ましくは、Tg−10℃以下である。硬化温度が上記温度以上であると、長時間の硬化により、成形体が少なからず変形するおそれがある。
また光硬化性コート剤の場合、適当な光照射装置にコート剤を塗工した成形体を入れて、光照射することにより硬化層が形成される。光照射は、空気下もしくは窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下のどちらでも良いが、過剰の酸素分子が光により発生したラジカル活性種の反応を阻害するため、不活性ガス雰囲気下で硬化を実施する方が好ましい。
また、光照射による硬化後、さらに硬化反応を促進するため、成形体を加熱してもよい。その加熱温度としては、熱可塑性透明樹脂のTg−5℃以下の温度で硬化することが望ましい、より好ましくは、Tg−10℃以下である。
また、熱、光硬化性コート剤からなる硬化層の、水分や揮発成分(残留溶媒やモノマーなど)除去や残留応力を緩和するための加熱工程を、硬化する前に実施しても良い、加熱工程は、着色を抑制するために窒素やアルゴンなどの不活性ガス下または、減圧下で行うのが好ましい。ここでの加熱温度は、たとえば50℃〜樹脂のガラス転移温度−5℃までの範囲であり、加熱時間については、たとえば10分〜3時間の範囲で実施することができる。
本発明の光学モジュール用レンズは、携帯電話、モバイルパソコンのような携帯型情報通信機器に搭載されるカメラモジュール用撮像レンズや、LEDライトモジュールの集光レンズなどに用いられるが、導光板等のレンズ以外の光学部品においても、同様の加工処理を実施することにより、その耐熱性を向上させることが可能である。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、得られたレンズ状成形体の耐はんだリフロー性、硬化層の厚み率、硬化層のTMA熱変形温度、レンズの応力歪みは、それぞれ以下のようにして測定あるいは評価した。
(1)耐はんだリフロー性
千住金属工業株式会社製リフロー炉(STR−2010N2M−III型)を用い下記の通りに実施した。
(温度設定)
リフロー温度設定について、JEDEC規格J-STD-020Dに準拠して以下の通りに設定した。
コンベア速度:25.3cm/min
各加温ゾーンの温度設定
第1ゾーン:305℃
第2ゾーン:240℃
第3ゾーン:240℃
第4ゾーン:245℃
第5ゾーン:318℃
(リフロー炉内の実側温度)
余熱領域(150℃〜200℃):100秒、
鉛フリーはんだ溶融温度(217℃)以上の温度領域:114秒
255℃以上の温度領域:34秒
最大温度:265℃
室温→最大温度までの加熱時間:5分05秒
鉛フリーはんだ溶融温度(217℃)→255℃までの昇温速度:1.4℃/秒
255℃→はんだ溶融温度(217℃)までの冷却速度:1.7℃/秒
(リフロー炉通過試験)
炉内の温度が安定した後、ガラスエポキシ基板上に成形体サンプルを乗せ、イミドテープでサンプルを固定し、成形体に直接熱がかかるようリフロー炉のコンベアに上向きに乗せ炉内を通過させた。この操作を3回実施した。
(試験評価)
リフロー炉を通過させた成型体サンプルを、形状測定器(Talor Hobson Precision製、Form Taly Surf Series 2)で成形体の形状変化を確認し、変化が大きいものを評価×(形状変化50μ以上)、変化が小さいもの(形状変化10〜50μ)を評価○、変化が非常に小さいもの(形状変化10μ以下)を評価◎とした。
(2)硬化層の厚み率測定
熱および光硬化樹脂を形成した成形体を、株式会社アルテコ製のエポキシ硬化剤(主剤
R-2007と硬化剤H-1004の2:1の混合物)中に沈めた後、一晩静置させてエポ
キシを硬化ささせ、成形体を含むサンプルブロックを調製した。このサンプルブロックを成形体中心部の断面が観察できるようにライカ(株)製試料トリミング装置(EM
TRIM型)を用いて切削し、断面観察用の試料を調製した。
この観察用試料を、JEOL(株)製SEM(JSM6360LA型)を用い、低真空

ード(真空度30Pa)、フィラメント加熱電流70μA、加速電圧15kVで30倍〜1000倍の倍率で観察、もしくはキーエンス(株)製デジタルマイクロスコープ(VHX−900型)を用い10〜100倍の倍率で観察し、レンズ中心部分における透明樹脂層の厚みと表面硬化層の厚み(一方の面の厚み)を計測し、下記式によりその硬化層の厚み率を求めた。
硬化層厚み率(%)=(硬化層の厚み/レンズの厚み)×100
(3)硬化層のTMA熱変形温度測定
熱および光硬化性コート剤もしくはその希釈溶液を、硬化後の厚みが50μ〜100μとなるように、PETフィルム上にアプリケーターを用いてキャスティングし硬化させた。PETフィルムから硬化層を剥離し、フィルム上の硬化物サンプルを得た。熱機械装置(TMA;Thermal Mechanical Analysis)/SS6100(セイコーインスツルメント社製)を用いて、5mm角に調製したサンプルを、25℃から500℃まで5℃/minで昇温しながら、印加荷重を500mNとして、面方向に圧縮試験を行った。該サンプルの収縮量を記録し、サンプルの軟化により収縮量が急激に増大し始める温度を接線法にて求め、その温度をTMA熱変形温度とした。
(4)複屈折位相差分布測定
王子計測機器(株)製の微小面積自動複屈折計(KOBRA−CCD/XY30P)を用いて得られた成形体の複屈折位相差分布を測定波長585.2nmにおいて分解能73.1μmと
なるように測定した。式1と光学レンズの中央部0.134mm^2のレタデーションの平均値、光弾性定数(F4520:3×10^−8cm^2/N)、中央部のレンズ厚み(0.59mm)より光学レンズの応力歪みを算出した。
式(1):
熱可塑性透明樹脂からなるレンズ状成形体の残留応力歪みの大きさ[MPa]=熱可塑性透明樹脂からなるレンズ状成形体のレタデーション[nm]/(熱可塑性透明樹脂の光弾性係数[cm2/N]×熱可塑性透明樹脂からなるレンズ状成形体の中心部の厚み[mm
])×10-8
[製造例1]
環状オレフィン系熱可塑性透明樹脂としてJSR(株)製ARTON-F4520(D
SC-Tg:160℃)を、射出成形機(ファナック社製S−200i 50B、シリン
ダー径22mm、ノズル径2.5mm、型締め50ton)を用い、図1に示すような、中心厚み0.59mmの光学モジュール用レンズを表1に示す成形条件で射出成形した。なお、計量時のスクリュー回転数は25rpm、背圧は65kgf/cm2、成形サイクルは50secで行った。樹脂温度はシリンダー内の最高樹脂温度を表す。また、成形条件
設定後30ショット成形を行い、その後に得られたレンズを製品とし、成形体(A)を得た。成形体(A)の中心部の残留歪は43MPaであった。
[製造例2]
製造例1において、樹脂温度が310℃となるようにシリンダー温度条件を変更した以外は、製造例1と同様にして、図1に示すような中心厚み0.59mmのレンズを表1に示す成形条件で射出成形した。成形条件設定後30ショット成形を行い、その後得られたレンズを製品とし、成形体(B)を得た。成形体(B)の中心部の残留歪は101MPaであった。
[製造例3]
環状オレフィン系熱可塑性透明樹脂としてJSR(株)製ARTON−D4540(DSC-Tg:128℃)を、製造例1と同様に、図1に示すような中心厚み0.59mm
のレンズを表1に示す成形条件で射出成形した。成形条件設定後30ショット成形を行い、その後得られたレンズを製品とし、成形体(C)を得た。
[製造例4]
環状オレフィン系熱可塑性透明樹脂として日本ゼオン(株)製ZEONOR-E48R
(DSC-Tg:139℃)を製造例1と同様に、図1に示すような中心厚み0.59m
mのレンズを表1に示す成形条件で射出成形した。成形条件設定後30ショット成形を行い、その後得られたレンズを製品とし、成形体(D)を得た。
[製造例5]
環状オレフィン系熱可塑性透明樹脂として三井化学(株)製APEL-5014ML(
DSC-Tg:135℃)を製造例1と同様に、図1に示すような中心厚み0.59mm
のレンズを表1に示す成形条件で射出成形した。成形条件設定後30ショット成形を行い、その後得られたレンズを製品とし、成形体(E)を得た。
[製造例6]
ポリカーボネート系熱可塑性透明樹脂として帝人化成(株)製PANLITE AD5

03(DSC-Tg:150℃)を製造例1と同様に、図1に示すような中心厚み0.5
9mmのレンズを表1に示す成形条件で射出成形した。成形条件設定後30ショット成形を行い、その後、得られたレンズを製品とし、成形体(F)を得た。
[製造例7]
フルオレン基含有ポリエステル系熱可塑性透明樹脂として、大阪ガスケミカル(株)製
ポリエステルOKP4(DSC-Tg:121℃)を製造例1と同様に、図1に示すよう
な中心厚み0.59mmのレンズを表1に示す成形条件で射出成形した。成形条件設定後30ショット成形を行い、その後得られたレンズを製品とし、成形体(G)を得た。
Figure 2010117701
[実施例1]
熱硬化性シリコーン系コート剤として信越化学工業(株)製KR−242A液と、硬化剤として信越化学工業(株)製D220液を95/5の重量比で混合した。得られた硬化液(以下、シリコーン液Aともいう)の硬化物のTMA熱変形温度は432℃であった。成形体(A)をシリコーン液Aに1s浸漬し、恒温機(ヤマト科学(株)製「WINDY
OVEN(WFO−450SD型)」(商品名))で150℃×2h硬化させた。硬化
後のシリコーン硬化層の厚み率は10.0%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例2]
光硬化性アクリル系コート剤として、1,9−ノナンジオールジアクリレートの30部、イソボルニルアクリレートの45部、トリメチロールプロパントリアクリレートの25部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの3部を混合調整した。得られた硬化液(以下、アクリル液Aともいう)の硬化物のTMA熱変形温度は264℃であった。成形体(A)をこのアクリル液Aに1s浸漬し、その後、UV露光機(岩崎電気(株)製US2−X0405型、光源250w水銀灯)でN2下積算光量が1000mJ/cm2となるように露光させた。硬化後のアクリル硬化層の厚み率は5.0%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例3]
実施例2において、光硬化性アクリル系コート剤として、1,9−ノナンジオールジアクリレートの30部、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートの45部、トリメチロールプロパントリアクリレートの25部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの3部を混合調整した硬化液(以下、アクリル液Bともいう)を使用した以外は同様にして成形体を得た。硬化後のアクリル硬化層の厚み率は6.8%であった。また、アクリル液Bの硬化物のTMA熱変形温度は411℃であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例4]
実施例2において、光硬化性アクリル系コート剤として、1,9−ノナンジオールジアクリレートの30部、1−アダマンチルメタアクリレートの45部、トリメチロールプロパントリアクリレートの25部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの3部を混合調整した硬化液(以下、アクリル液Cともいう)を使用した以外は同様にして成形体を得た。硬化後のアクリル硬化層の厚み率は5.1%であった。また、アクリル液Cの硬化物のTMA熱変形温度は311℃であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例5]
熱硬化性エポキシ系樹脂としてJSR(株)製AWS131−Aと硬化剤として川研ファインケム(株)製アルミキレートDの20%IPA溶液を98/2の重量比で混合した
。得られた硬化液(以下、エポキシ液Aともいう)の硬化物のTMA熱変形温度は363℃であった。このエポキシ液Aに成形体(A)を1s浸漬し、恒温機(ヤマト科学(株)製「WINDY OVEN(WFO−450SD型)」(商品名))で100℃×2h、ついで150℃×3h硬化させた。硬化後のエポキシ硬化層の厚み率は4.2%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例6]
実施例2において、成形体(A)の代わりに成形体(B)を使用した以外は、同様にして成形体を作成した。硬化後のアクリル硬化層の厚み率は5.1%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例7]
実施例3において、成形体(A)の代わりに成形体(B)を使用した以外は、同様にして成形体を作成した。硬化後のアクリル硬化層の厚み率は6.8%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例8]
実施例4において、成形体(A)の代わりに成形体(B)を使用した以外は、同様にして成形体を作成した。硬化後のアクリル硬化層の厚み率は5.0%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例9]
実施例1において、成形体(A)の代わりに成形体(C)を使用した以外は、同様にして成形体を作成した。硬化後のシリコーン硬化層の厚み率は8.8%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例10]
実施例2において、成形体(A)の代わりに成形体(C)を使用した以外は、同様にして成形体を作成した。硬化後のアクリル硬化層の厚み率は5.2%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例11]
実施例5において、成形体(A)の代わりに成形体(C)を使用した以外は、同様にして成形体を作成した。硬化後のエポキシ硬化層の厚み率は9.5%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例12]
実施例1において、成形体(A)の代わりに成形体(D)を使用した以外は、同様にして成形体を作成した。硬化後のシリコーン硬化層の厚み率は8.5%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例13]
実施例2において、成形体(A)の代わりに成形体(D)を使用した以外は、同様にして成形体を作成した。硬化後のアクリル硬化層の厚み率は5.3%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例14]
実施例5において、成形体(A)の代わりに成形体(D)を使用した以外は、同様にして成形体を作成した。硬化後のエポキシ硬化層の厚み率は4.1%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例15]
実施例1において、成形体(A)の代わりに成形体(E)を使用した以外は、同様にして成形体を作成した。硬化後のシリコーン硬化層の厚み率は9.3%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例16]
実施例2において、成形体(A)の代わりに成形体(E)を使用した以外は、同様にして成形体を作成した。硬化後のアクリル硬化層の厚み率は5.1%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例17]
実施例5において、成形体(A)の代わりに成形体(E)を使用した以外は、同様にして成形体を作成した。硬化後のエポキシ硬化層の厚み率は4.2%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例18]
実施例1において、成形体(A)の代わりに成形体(F)を使用した以外は、同様にして成形体を作成した。硬化後のシリコーン硬化層の厚み率は8.8%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例19]
実施例2において、成形体(A)の代わりに成形体(F)を使用した以外は、同様にして成形体を作成した。硬化後のアクリル硬化層の厚み率は5.1%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例20]
実施例5において、成形体(A)の代わりに成形体(F)を使用した以外は、同様にして成形体を作成した。硬化後のエポキシ硬化層の厚み率は4.1%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例21]
実施例1において、成形体(A)の代わりに成形体(G)を使用した以外は、同様にして成形体を作成した。硬化後のシリコーン硬化層の厚み率は9.3%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例22]
実施例2において、成形体(A)の代わりに成形体(G)を使用した以外は、同様にして成形体を作成した。硬化後のアクリル硬化層の厚み率は10.8%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[実施例23]
実施例5において、成形体(A)の代わりに成形体(G)を使用した以外は、同様にして成形体を作成した。硬化後のエポキシ硬化層の厚み率は4.4%であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表2に示す。
[比較例1]
成形体(A)に何の硬化樹脂も施さない、成形体(A)そのものの耐はんだリフロー試験の評価結果を表3に示す。
[比較例2]
成形体(B)に何の硬化樹脂も施さない、成形体(B)そのものの耐はんだリフロー試験の評価結果を表3に示す。
[比較例3]
成形体(C)に何の硬化樹脂も施さない、成形体(C)そのものの耐はんだリフロー試験の評価結果を表3に示す。
[比較例4]
成形体(D)に何の硬化樹脂も施さない、成形体(D)そのものの耐はんだリフロー試験の評価結果を表3に示す。
[比較例5]
成形体(E)に何の硬化樹脂も施さない、成形体(E)そのものの耐はんだリフロー試験の評価結果を表3に示す。
[比較例6]
成形体(F)に何の硬化樹脂も施さない、成形体(F)そのものの耐はんだリフロー試験の評価結果を表3に示す。
[比較例7]
成形体(G)に何の硬化樹脂も施さない、成形体(G)そのものの耐はんだリフロー試験の評価結果を表3に示す。
[比較例8]
実施例1において、シリコーン液Aをn−ブタノールで10倍に希釈した液(以下、シリコーン液Bともいう)を使用した以外は、同様にして成形体を得た。硬化後のシリコーン層の厚み率は1%以下であった。また、シリコーン液Bの硬化物のTMA熱変形温度は422℃であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表3に示す。
[比較例9]
実施例2において、アクリル液Aをメチルエチルケトンで10倍に希釈した液(以下、アクリル液Dともいう)を使用した以外は、同様にして成形体を得た。硬化後のアクリル層の厚み率は1%以下であった。また、アクリル液Dの硬化物のTMA熱変形温度は365℃であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表3に示す。
[比較例10]
実施例5において、エポキシ液Aをn−ブタノールで20倍に希釈した液(以下、エポキシ液Bともいう)を使用した以外は、同様にして成形体を得た。硬化後のエポキシ層の厚み率は1%以下であった。エポキシ液Bの硬化物のTMA熱変形温度は352℃であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表3に示す。
[比較例11]
実施例2において、光硬化性アクリル系コート剤として、ネオペンチルグリコールジアクリレートの15部、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートの10部、イソボルニルアクリレートの30部、トリメチロールプロパントリアクリレートの25部、分子量2000のポリウレタンオリゴマーのジアクリレート体の40部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの3部を混合した混合液を、メチルエチルケトンで70%に希釈調整した硬化液(以下、アクリル液Eともいう)を使用した以外は、同様にして成形体を得た。硬化後のアクリル層の厚み率は5.1%であった。また、アクリル液Eの硬化物のTMA熱変形温度は206℃であった。得られた成形体の耐はんだリフロー性の評価結果を表3に示す。
Figure 2010117701
Figure 2010117701
表2および表3に示す結果から明らかな通り、熱可塑性透明樹脂の成形体に、その硬化層のTMA熱変形温度が250℃以上の熱および光硬化樹脂からなる層を厚み率1%以上で形成することにより、成形体の透明性を損なうことなく、耐熱性が向上し、はんだリフロー試験において成形体の変形はなかった。一方、未積層の成形体、硬化層のTMA熱変形温度が250℃以上でも硬化層の厚み率が1%以下のもの、または硬化層の厚み率が1%以上でも硬化層のTMA熱変形温度が250℃以下のものは耐熱性が不充分であり、はんだリフロー試験において成形体が大きく変形した。
また、実施例2〜4、および実施例6〜8に示す通り、成形体(B)よりレンズ中心部の残留歪が小さい成形体(A)を用いることにより、より耐リフロー性が向上することがわかった。
本発明の光学モジュール用レンズは、透明性に優れるとともに耐熱性にも優れるため、携帯電話、モバイルパソコン等に携帯型情報通信機器に搭載されるカメラモジュール用の撮像レンズ、LEDライトモジュール等の集光レンズ等として好適に使用することができ、特に、はんだリフロー工程の耐熱性が求められる用途の光学モジュール用レンズとして好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 熱可塑性透明樹脂からなるレンズ状成形体の表面に、
    熱または光硬化性コート剤から形成された硬化層を有する光学モジュール用レンズであって、
    硬化層の厚みが1〜100μmであり、かつ、硬化層のTMA熱変形温度が250℃以上(ただし、TMA熱変形温度は、熱機械分析装置を用いて、昇温速度5℃/分、印加加重500mNで圧縮試験を行ったときの熱変形温度を表す)であり、
    下記式で表わされる硬化層の厚み率が、レンズ中央部において、3〜15%の範囲にあることを特徴とする光学モジュール用レンズ。
    硬化層の厚み率(%)=(硬化層の厚み/レンズの厚み)×100
  2. 前記熱可塑性透明樹脂が、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の光学モジュール用レンズ。
  3. 前記熱可塑性透明樹脂が、ガラス転移温度(Tg)が120℃以上の環状オレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学モジュール用レンズ。
  4. 前記コート剤が、シリコーン系コート剤、アクリル系コート剤、エポキシ系コート剤より選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学モジュール用レンズ。
  5. 前記熱可塑性透明樹脂からなるレンズ状成形体の、下記式(1)で表されるレンズ状成形体の残留応力歪みが、レンズ中央部において80MPa以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学モジュール用レンズ。
    式(1):
    レンズ状成形体の残留応力歪みの大きさ[MPa]=レンズ状成形体のレタデーション[nm]/(光弾性係数[cm2/N]×レンズ状成形体の中心部の厚み[mm])×10-8
  6. 前記熱または光硬化性コート剤が、アクリル系光硬化性コート剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学モジュール用レンズ。
  7. 前記光学モジュール用レンズが、携帯型情報通信機器のカメラモジュール用の撮像レンズであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学モジュール用レンズ。
  8. 前記光学モジュール用レンズが、LEDライトモジュール用の集光レンズであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学モジュール用レンズ。
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