JP2010117634A - ワイヤグリッド偏光子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 光の進行方向における金属細線の厚さが大きいワイヤグリッド偏光子、及びそのワイヤグリッド偏光子を簡易に作製でき、しかも、その偏光子がウエハーサイズを越える大きさであっても作製することのできるワイヤグリッド偏光子の製造方法を提供すること。
【解決手段】 光透過性支持体1の表面上に、複数の細い直線状の凸部2を、それらが互いに平行に一定のピッチPで並ぶように形成する。そして凸部2の上面に上部金属層4を形成するばかりでなく、凸部2の側面全体および側方にも、側部金属層5を上部金属層4に連接して形成し、上部金属層4と側部金属層5とによって金属細線6を構成する。上部金属層4および側部金属層5は、例えば、斜め方向から蒸着法またはスパッタリング法によって金属材料を堆積させることによって形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】 光透過性支持体1の表面上に、複数の細い直線状の凸部2を、それらが互いに平行に一定のピッチPで並ぶように形成する。そして凸部2の上面に上部金属層4を形成するばかりでなく、凸部2の側面全体および側方にも、側部金属層5を上部金属層4に連接して形成し、上部金属層4と側部金属層5とによって金属細線6を構成する。上部金属層4および側部金属層5は、例えば、斜め方向から蒸着法またはスパッタリング法によって金属材料を堆積させることによって形成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、液晶表示装置、液晶プロジェクタ、光ピックアップ、および光通信装置などに好適に用いられるワイヤグリッド偏光子及びその製造方法に関するものである。
ワイヤグリッド偏光子は、入射光のうち、特定の向きの直線偏光成分を効率よく透過させるとともに、それに直交する直線偏光成分を効果的に反射する偏光子である。このため、ワイヤグリッド偏光子は、吸収型の偏光子と異なり、透過光ばかりでなく、反射光も利用できる偏光子である。
図11は、従来の基本的なワイヤグリッド偏光子100の構造を示す斜視図および部分拡大断面図である。ワイヤグリッド偏光子100では、透明基板101の上に、多数の直線状の金属細線102が、互いに平行に一定のピッチ(隣り合う2本の細線の中心間の距離)Pで並んでいる。図11に細線と破線で示したように、光の入射面は、通常、金属細線102の長手方向に垂直な面である。ワイヤグリッド偏光子100にピッチPよりも十分に長い波長の光を入射させると、偏光方向が金属細線102の長手方向に平行な偏光成分(TE偏光)はワイヤグリッド偏光子100によって反射されやすく、偏光方向が長手方向に垂直な偏光成分(TM偏光)はワイヤグリッド偏光子100を透過しやすい。
ワイヤグリッド偏光子100の性能を決める最も重要な因子は、金属細線102のピッチPと入射光の波長λとの関係である。ピッチPが波長のほぼ1/2以下である範囲で、図11に示した素子は偏光子として機能する。ピッチPが波長のほぼ2倍より大きい範囲では、図11に示した素子は回折格子として機能する。ピッチPが波長のほぼ1/2倍〜2倍である範囲では、反射特性と透過特性が著しく変化する。これは、「レイリー共鳴」として知られており、入射光が図11に示した素子を通過するときに高次の回折光が生じることによって起こる。レイリー共鳴が起こる波長の前後において、ワイヤグリッド偏光子としての性能は著しく低下する。
従って、図11に示した素子をワイヤグリッド偏光子100として用いるためには、レイリー共鳴が起こるのを避けるために、金属細線102のピッチPは入射光の波長の1/2以下にすることが必要である。例えば、波長が400〜800nmである可視光を偏光分離するためには、ピッチPは400nm/2=200nm以下であることが求められる。
その他に、ワイヤグリッド偏光子100の性能を決める要因として、金属細線102のピッチP、ピッチPに対する金属細線102の幅Wの比率W/P、光の透過方向における金属細線102の厚さT、および金属細線を構成する金属材料の種類などがある。RCWA法(Rigorous Coupled Wave Analysis法)に基づくシミュレーション計算を実行するソフトウェアツールなどを用いると、これらの諸量に基づいてワイヤグリッド偏光子100の性能を推測することができる。そこで、これらの諸量をパラメータとして様々なシミュレーション計算を行い、所望の偏光特性が得られる金属細線102のピッチP、幅W、および厚さTなどを決定する設計方法が広く用いられている。
一般的な傾向としては、ピッチPが小さい方が、とくに短波長領域においてTM偏光の透過率が向上する。Pが一定であれば、金属細線102の厚さTが大きい方が、透過光の偏光度が大きくなる。また、金属細線102の幅Wが小さい方が、TM偏光の透過率が大きくなる。金属材料としては、反射率が大きい金属、例えばアルミニウムや銀などを用いることが望ましい。
通常の使用目的では、ワイヤグリッド偏光子100として、透過光の偏光度、すなわち透過光全体に占めるTM偏光の割合が大きく、しかも、TM偏光の透過率が大きい偏光子が望まれる。金属細線102のピッチPが一定であるとすると、このためには、金属細線102の厚さTが大きいか、幅Wが小さいことが望ましいので、幅Wに対する厚さTの比T/W、すなわち金属細線102の断面のアスペクト比をある程度以上に大きくする必要が生じる。
例えば、図12は、金属細線102のピッチPが200nm、幅Wが100nmであり、金属の材料がアルミニウムであるワイヤグリッド偏光子100において、厚さTを200nm(アスペクト比を2)とした場合と、Tを50nm(アスペクト比を0.5)とした場合とを、シミュレーション計算によって比較した結果を示すグラフである。計算は、RCWA法に基づいてワイヤグリッド偏光子の偏光特性をシミュレーション計算するソフトウェアツールDiffractMOD(商品名;RSOFT社製)を用いて行った。これによると、厚さTが50nmである偏光子では、全般に透過光の偏光度が不十分であり、とくに短波長領域において、透過光の偏光度とTM偏光の透過率とがともに著しく低下し、実用に耐え得る性能が得られない。一方、厚さTが200nmである偏光子では、透過光の偏光度が大きく、短波長領域において若干小さいものの、TM偏光の透過率も可視光領域全体の平均では70%程度であり、ほぼ満足できる性能が得られる。
さて、ワイヤグリッド偏光子の作製には、通常、半導体素子の製造に用いられるのと同様の、フォトリソグラフィ法およびエッチング法が用いられる。この際、何らかの目的で、透明基板にも多数の直線状の凸部が互いに平行に一定のピッチで並んだ周期的な表面構造(以下、グリッド構造と略記することがある。)が形成されることがある。図13は、そのような2つの例(a)および(b)を示す断面図である。
後述の特許文献1には、図13(a)に示すワイヤグリッド偏光子110の製造方法が提案されている。この製造方法では、まず、図13(a−1)に示すように、透明基板111の上に平行な導電素子112のアレイを形成する。導電素子112のアレイは、例えば、金属膜上に電子ビームリソグラフィなどによってレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして反応性イオンエッチングによって金属膜を選択的にエッチングすることによって形成する。
次に、図13(a−2)に示すように、導電素子112をマスクとして用いて透明基板111を反応性イオンエッチングまたはイオンビームエッチングによってエッチングして、導電素子112の下部にリブ113を形成する。
特許文献1には、リブ113を設ける目的として、導電素子112がリブ113によって支持される構造を形成することによって、リブ113が形成されていない図13(a−1)の構造に比べて、導電素子112の下部の媒質の実効的な屈折率が小さくなり、ワイヤグリッド偏光子110でレイリー共鳴が起こる波長がより短くなり、短波長領域におけるTM偏光透過率が向上すると説明されている。
また、後述の特許文献2には、図13(b)に示すように、リフトオフ法によるワイヤグリッド偏光子120の作製方法が示されている。この作製方法では、まず、図13(b−1)に示した、一方の表面にウェーブ形状の微細な凹部121aおよび凸部121bを有する透明樹脂基板121を用意する。透明樹脂基板121は、例えば、ウェーブ形状の微細凹凸を有するスタンパーが取り付けられた金型を用いて、ポリカーボネート樹脂を射出成形法によって成形することによって作製する。スタンパーの微細凹凸のサイズは、例えば、凹部121aを基準とした凸部121bの高さが270nm、ピッチが300nmである。
そして、この透明樹脂基板121の微細凹凸面全体に、図13(b−1)に示すように、真空蒸着法、スパッタリング法、または化学気相成長法(CVD)などによって、ポリスチレンなどからなるマスキング層122を形成する。
次に、図13(b−2)に示すように、透明樹脂基板121の凹部121aに形成されたマスキング層122を残しつつ、凸部121bに形成されたマスキング層122を除去し、凸部121bの表面を露出させる。このマスキング層122の選択的な除去は、逆スパッタリング法や物理的エッチング法などを用いて行う。
次に、図13(b−3)に示すように、真空蒸着法、スパッタリング法、またはCVD法などによって、透明樹脂基板121の表面全体にわたって、アルミニウムや銀などの金属層123を形成する。
次に、マスキング層122が可溶な溶媒、例えば、ポリスチレン層であればイソプロピルアルコールなどの溶媒に透明基板121を浸漬し、マスキング層122とともに凹部121aに堆積した金属層123を除去し、図13(b−4)に示すように、凸部121bに堆積した金属層123のみを残す。この際、超音波を照射して、超音波による振動によって、凹部121aと凸部121bの中間で金属層123を切断するのがよい。
以上のようにして、透明樹脂基板121の表面の凸部121bのみに金属層123が形成され、凹部121aにおいては基板121の表面が露出した構造のワイヤグリッド型偏光子120が得られる。特許文献2には、このようにして、明るく、また偏光特性に優れたワイヤグリッド型偏光子120を容易に作製することが可能であると述べられている。
特許文献2の作製方法によれば、表面にウェーブ形状の微細凹凸121aおよび121bを有する透明樹脂基板121を用いることにより、フォトリソグラフィ法を用いずにワイヤグリッド型偏光子120を作製することができるので注目される。また、後述の特許文献3には、同様に表面にウェーブ形状の微細凹凸を有する透明基板を用い、斜め方向から金属材料を堆積させることによって、フォトリソグラフィ法を用いずにワイヤグリッド型偏光子を作製する方法が提案されている。
また、後述の特許文献4には、透明基板の上部に複数の直線状の凹凸構造が形成されており、凸部の上面及び/又は側面に接して導電体が設けられているワイヤグリッド偏光子が提案されている。図14は、特許文献4の図9〜11に示されているワイヤグリッド偏光子130a〜130cの構造を示す断面図である。
図14(a)は、凸部132の上面から側面の一部(上部)にかけて上部導電体層134と側部導電体層135aとが連設されている偏光素子130aを示し、図14(b)は、凸部132の側面の一部(上部)にのみ側部導電体層135bが形成されている偏光素子130bを示している。特許文献4には、偏光素子130aの上部導電体層134および側部導電体層135aは、凸部132の上方からスパッタリング法やCVD法などによって導電体材料を堆積させることによって形成すると記されている。また、偏光素子130bは、偏光素子130aと同様に上部導電体層134および側部導電体層135aを形成した後、研磨などによって上部導電体層134を除去することで形成すると記されている。
図14(c)は、凸部132の側面全面に側部導電体層135cが形成されている偏光素子130cを示している。特許文献4には、側部導電体層135cは、凹凸構造の全面に無電解メッキなどにより導電体層を形成し、その後、指向性の高い、非等方性エッチング(例えば、反応性イオンエッチング)を用いて、凸部132の上面と凹部133の底面に堆積した導電体層を選択的に除去することによって形成すると記されている。
特許文献4の主旨は、側部導電体層135bや135cのように、透明基板131の表面に直交する方向に主面をもつ導電体層によって、ワイヤグリッド偏光子を構成することにある。凸部132の上面に形成される上部導電体層134は、無用で、TM偏光の透過率を低下させる邪魔なものとみなされている。従って、ワイヤグリッド偏光子130bおよび130cの例のように、作製工程の途中で形成される上部導電体層134は、最終的には研磨や非等方性エッチングによって除去されるのが原則である。ワイヤグリッド偏光子130aのように上部導電体層134が残されている場合でも、それは偏光子を構成する導電体層として上部導電体層134を活用しようという意図からではなく、除去する手間を惜しんでのことに過ぎない。実際、特許文献4には、偏光素子130bでは、上部導電体層134を除去することによって、偏光素子130aに比べて挿入損失が向上すると述べられている。また、上部導電体層134の幅を最適化するといった記述は全くない。同様なワイヤグリッド偏光子は、後述の特許文献5にも提案されている。
ワイヤグリッド偏光子では、金属細線のピッチPが小さいほど、レイリー共鳴が起こる波長が短くなるばかりでなく、短波長領域におけるTM偏光の透過率も向上する。従って、ピッチPは小さいことが望ましい。しかし、ピッチPが小さくなると金属細線の形成が難しくなる。結局、製造の容易さを重視すると、ピッチPは、波長が400〜800nmである可視光に対してレイリー共鳴が起こらない大きさ、つまり400nm/2=200nm程度に定めざるを得ない。
この場合、図12を用いて説明したように、金属細線102の幅Wが100nmであり、金属細線102の厚さTが200nm(アスペクト比が2)である場合には、透過光の偏光度が大きく、短波長領域を除けば、TM偏光の透過率も満足できる大きさである。しかし、短波長領域におけるTM偏光の透過率をさらに向上させるには、幅Wを小さくするか、または、厚さTを大きくする必要があり、いずれにしても、金属細線102の断面のアスペクト比T/Wはさらに大きくなる。
既述したように、ワイヤグリッド偏光子の製造には、通常、特許文献1のように、リソグラフィ法とエッチング法とが用いられる。この場合、高いアスペクト比をもつ金属細線の作製には高い加工精度が必要になり、アスペクト比が大きくなるほど、製造時に発生する面内加工ばらつきが大きくなったり、長い加工時間が必要になったりするなどの問題が発生し、製造コストが上昇する。
また、半導体素子の製造に用いられる半導体プロセスは、適用できる基板サイズがウエハーと同じ程度のサイズまでに限定される。従って、半導体プロセスは、ウエハーサイズを越える大面積のワイヤグリッド偏光子、例えば、大きな画面の液晶表示装置などに用いることのできるワイヤグリッド偏光子の作製には対応できず、大面積のワイヤグリッド偏光子の作製は困難であるのが実情である。
特許文献2〜5には、表面に複数の直線状の微細な凹凸構造が形成された透明基板を用いて、ワイヤグリッド偏光子を作製する方法が提案されている。とくに、特許文献2、3および5は、フォトリソグラフィ法などの微細加工方法を用いずに、金属細線を形成する方法が提案されている点で注目される。しかし、特許文献2および3のように、ウェーブ形状の凹凸構造を有する基板に金属細線を形成した場合、高いアスペクト比をもつ金属細線を形成することはできない。
特許文献4および5では、断面が矩形状の凹凸構造の凹部や凸部側面に薄膜状の導電体を堆積させることによって、透明基板の表面に直交する方向に主面をもつ導電体層を形成し、これを金属細線として用いてワイヤグリッド偏光子を構成する例が示されている。この方法では、高いアスペクト比を有する金属細線を容易に形成できる利点がある。しかし、導電体層の成膜膜厚が、ワイヤグリッド偏光子を構成する金属細線の幅になるので、金属細線の幅を大きくするには、導電体層を成膜する際の膜厚を厚くするしかなく、成膜できる膜厚によってワイヤグリッド偏光子の設計が制約される。
一方、作製工程の途中で凸部の上面に形成される上部導電体層は無用なものとみなされ、わざわざ手間をかけて除去されるのが原則である。偏光子を構成する導電体層として上部導電体層を活用しようという意図や提案は、特許文献4および5には示されていない。このため、凹凸構造に厚さむらのない導電体層を形成する工程と、凸部の上方および凹部底面に形成された導電体層を選択的に除去する工程が必要になり、製造工程が多く複雑になることでコスト高になる。また、導電体層を形成する際の導電体層の膜質や膜厚のばらつきと、導電体層の一部を選択的に除去する際のばらつきが二重に重なるため、導電体層の均一性が低下する。特に大面積のワイヤグリッド偏光子を形成する際に、導電体層の均一性を確保することが困難になる。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、光の透過方向における金属細線の厚さが大きいワイヤグリッド偏光子、及びそのワイヤグリッド偏光子を簡易に作製でき、しかも、その偏光子がウエハーサイズを越える大きさであっても作製することのできるワイヤグリッド偏光子の製造方法を提供することにある。
即ち、本発明は、
複数の細い直線状の凸部が互いに平行に一定のピッチで並んでいる表面構造を有する 光透過性支持体と、
前記凸部の上面に配置された、細い直線状の上部金属層と、
前記凸部の側面全体及び側方に、前記上部機能性材料層に連接して配置され、前記上 部金属層とともに金属細線を構成し、光の透過方向における厚さが前記上部金属層より も大きい、細い直線状の側部金属層と
からなる、ワイヤグリッド偏光子に係わるものである。
複数の細い直線状の凸部が互いに平行に一定のピッチで並んでいる表面構造を有する 光透過性支持体と、
前記凸部の上面に配置された、細い直線状の上部金属層と、
前記凸部の側面全体及び側方に、前記上部機能性材料層に連接して配置され、前記上 部金属層とともに金属細線を構成し、光の透過方向における厚さが前記上部金属層より も大きい、細い直線状の側部金属層と
からなる、ワイヤグリッド偏光子に係わるものである。
また、
光透過性支持体の表面に、複数の細い直線状の凸部が互いに平行に一定のピッチで並 んでいる表面構造を形成する工程と、
前記凸部の上面、並びに側面全体及び側方に、それぞれ、細い直線状の上部金属層並 びに側部金属層を形成する工程と
を有する、ワイヤグリッド偏光子の製造方法に係わるものである。
光透過性支持体の表面に、複数の細い直線状の凸部が互いに平行に一定のピッチで並 んでいる表面構造を形成する工程と、
前記凸部の上面、並びに側面全体及び側方に、それぞれ、細い直線状の上部金属層並 びに側部金属層を形成する工程と
を有する、ワイヤグリッド偏光子の製造方法に係わるものである。
本発明のワイヤグリッド偏光子では、光透過性支持体の表面に、複数の細い直線状の凸部が互いに平行に一定のピッチで並ぶように形成されている。そして、前記凸部の上面に細い直線状の上部金属層が配置されているばかりでなく、前記凸部の側面全体及び側方にも、前記上部金属層に連接して細い直線状の側部金属層が配置され、前記上部金属層と前記側部金属層とによって金属細線が構成されている。
前記金属細線は中身のつまった真の金属細線ではなく、その実体は前記凸部の上面と側面とを被覆する薄い金属層にすぎない。しかしながら、後に実施例で示すように、本発明者は、この中身のない金属細線が、中身のつまった金属細線と同様に機能して、ワイヤグリッド偏光子を構成できることを発見した。前記金属細線の機能が完全に定量的に明らかになっているわけではないが、金属と光の相互作用が、金属の表面を占めている自由電子の働きによって起こることを考えると、ワイヤグリッド偏光子を構成する金属細線の中身がつまっている必要がないことは当然のことと考えられる。従って、前記上部金属層及び前記側部金属層の膜厚としては、光が透過してしまわない程度の厚さがあれば十分であると考えられる。
前記金属細線の有効な幅は、前記凸部の幅に、側方にはみ出して形成される2つの前記側部金属層の成膜膜厚を加算した大きさになる。また、前記金属細線の有効な厚さは、前記光透過性支持体の表面に垂直な方向における前記凸部の厚さに、前記上部金属層の成膜膜厚を加算した大きさになる。この場合、前記凸部の厚さを大きくすることによって、前記上部金属層の成膜膜厚が薄くても、前記金属細線の有効厚さを大きくすることができる。このため、前記金属細線は、その有効厚さと同じ厚さを有する、中身のつまった金属細線よりも、はるかに容易に形成することができる。従って、本発明のワイヤグリッド偏光子では、光の透過方向における金属細線の有効厚さが大きいワイヤグリッド偏光子を、従来のワイヤグリッド偏光子に比べてはるかに容易に作製できる。この結果、短波長領域におけるTM偏光の透過率を改善することができ、可視光領域で実用上十分な透過光の偏光度及びTM偏光の透過率を得ることができる。
この際、前記金属細線のピッチは、前記凸部の並びのピッチと同じになる。このように、本発明のワイヤグリッド偏光子では、その性能を決定する要因である前記金属細線のピッチおよび寸法が、予め形成されている前記凸部のピッチ、幅、および厚さと、前記上部金属層および前記側部金属層の成膜膜厚などの成膜条件とによって定まる。このため、前記金属細線の形成に際してフォトリソグラフィなどの微細加工方法が不要であり、その大きさがウエハーサイズを越える大きさであっても作製することができる。また、前記上部金属層及び前記側部金属層の成膜膜厚を薄くすることにより、成膜時間の短縮や膜厚のばらつきの縮小を可能とし、歩留まりを向上させることができる。
本発明のワイヤグリッド偏光子の製造方法は、本発明のワイヤグリッド偏光子を製造するための工程を有し、予め形成する前記凸部のピッチ、幅、及び厚さと、前記上部金属層及び前記側部金属層の成膜膜厚などの成膜条件とによって、前記金属細線のピッチおよび寸法を定めることができる。このため、前記金属細線の形成に際し、成膜工程のみを行えばよく、フォトリソグラフィ手段などの大がかりな設備を要する微細加工工程が不要である。従って、簡易に、生産性よく、低コストで、本発明のワイヤグリッド偏光子を製造することができる。また、ワイヤグリッド偏光子が、フォトリソグラフィなどの微細加工方法を適用できない、ウエハーサイズを越える大きさであっても、製造することができる。
本発明のワイヤグリッド偏光子において、隣り合う前記凸部間の凹部底面に前記光透過性支持体が露出しており、前記金属細線によって光が反射され、前記凹部底面を通って光が透過するのがよい。
また、前記光透過性支持体の前記表面構造が、前記光透過性支持体の主部を構成する材料とは異なる材料によって形成されているのがよい。前記光透過性支持体の前記表面構造と前記主部とで材料を使い分けることによって、多様な材質の前記主部を用いて、本発明のワイヤグリッド偏光子を形成することができる。例えば、前記光透過性支持体の前記主部として有機樹脂フィルムを用いれば、軽量で、フレキシブルで、耐衝撃性のあるワイヤグリッド偏光子を作製することができる。また、前記凸部の構成材料として熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂を用い、モールドに形成された凹凸構造をナノインプリント法によって転写すれば、フォトリソグラフィなどの微細加工技術を用いずに、容易に、生産性よく凸部を形成することができる。
また、前記上部金属層の厚さが前記ピッチの1/5以上であるのがよい。
また、前記上部金属層及び前記側部金属層の材料が、ケイ素Si及び/又は銅Cuを添加したアルミニウムAl、又は、パラジウムPd及び/又は銅Cuを添加した銀Agであるのがよい。前記上部金属層及び前記側部金属層を構成する材料は、光を反射しやすい材料が好ましく、例えば、アルミニウムや銀がよい。ただし、純アルミニウムを用いて成膜を行うと、成膜粒子の粒径が数10nm程度に大きくなり、nmサイズの金属細線を形成する場合には、ラインエッジに凹凸を生じたり、アルミニウム膜の膜質が場所ごとに変化したりする原因になることがある。このようなばらつきは、アルミニウム膜の光反射率を低下させ、ワイヤグリッド偏光子の偏光特性を劣化させる原因になる。
こういった場合には、アルミニウムに対してケイ素及び/又は銅を微量(例えば、0.5〜1質量%)添加した材料を用いることによって、成膜粒子の粒径を小さくし、金属細線のラインエッジに生じる凹凸や、アルミニウム膜の膜質の場所ごとの変化を小さく抑え、アルミニウム膜の光反射率を高くすることができる。また、構成材料として銀を用いる場合にも、同様の現象が生じた場合には、銀に対してパラジウム及び/又は銅を微量(例えば、0.5〜1質量%)を添加した材料を用いることが有効である。構成材料としてその他の金属を用いる場合にも、大きな成膜粒子の発生を抑えるために、微量の別材料を添加した材料を用いることが望ましい。
また、液晶表示装置を構成する偏光素子として用いられるのがよい。この際、液晶セルを構成する吸収型偏光子の代替として用いてもよいが、バックライト装置を構成する偏光分離素子として用いられると、反射型偏光子の特徴を生かすことができるので、とくに好ましい。本発明のワイヤグリッド偏光子を偏光分離素子として用いると、バックライトから入射してくる光のうち、TM偏光成分を液晶表示パネル側へ透過させるとともに、TE偏光成分をバックライト側へ反射する。バックライト側へ戻されたTE偏光は、バックライト部での散乱や反射などによって偏光状態が解消され、通常の光として偏光分離素子に戻ってくる。このうち、TM偏光成分は液晶表示パネル側へ透過し、TE偏光成分はバックライト側へ再度反射される。このサイクルを繰り返すことにより、バックライトから出射された光をTM偏光として利用する効率を高めることができる。
本発明のワイヤグリッド偏光子の製造方法において、前記光透過性支持体の前記表面に垂直な方向から前記凸部の配列方向へ所定の角度θだけ傾いた所定の方向から、前記凸部の上面及び側方にかけて金属材料を堆積させることによって、隣り合う前記凸部間の凹部底面に前記金属材料を実質的に堆積させることなく、前記上部金属層及び前記側部金属層を形成するのがよい。
この際、前記所定の方向から所定の期間成膜した後、前記表面に垂直な方向に関して前記所定の方向と左右対称の方向から所定の期間成膜する一連の工程を、必要回数繰り返して行うのがよい。また、前記上部金属層及び前記側部金属層の厚さの増加に対応して、前記所定の角度θを徐々に小さくしていくのがよい。
或いはまた、前記光透過性支持体の前記表面に金属材料を堆積させた後、エッチバックすることにより、隣り合う前記凸部間の凹部底面に堆積した前記金属材料を除去し、かつ、前記凸部の上面及び側方にかけて堆積した前記金属材料の一部を残して、前記上部金属層及び前記側部金属層を形成するのがよい。
また、前記光透過性支持体の前記表面に、前記光透過性支持体の主部を構成する材料とは異なる材料によって前記凸部を形成するのがよい。
この際、
凹凸パターンが形成されたモールドを作製する工程と、
前記凸部の構成材料に前記モールドを押し当て、前記凹凸パターンを転写して前記凸 部を形成する工程と
を有するのがよい。
凹凸パターンが形成されたモールドを作製する工程と、
前記凸部の構成材料に前記モールドを押し当て、前記凹凸パターンを転写して前記凸 部を形成する工程と
を有するのがよい。
詳しくは、
前記光透過性支持体の前記表面に、前記凸部の構成材料として樹脂層を配置する工程 と、
前記樹脂層に前記モールドを押し当て、前記樹脂層を前記凹凸パターンに相補的な形 状に成形する工程と、
前記成形中、及び/又は前記成形後、前記樹脂層を硬化させ、前記凸部を形成する工 程と、
前記モールドを剥離させる工程と
を有するのがよい。
前記光透過性支持体の前記表面に、前記凸部の構成材料として樹脂層を配置する工程 と、
前記樹脂層に前記モールドを押し当て、前記樹脂層を前記凹凸パターンに相補的な形 状に成形する工程と、
前記成形中、及び/又は前記成形後、前記樹脂層を硬化させ、前記凸部を形成する工 程と、
前記モールドを剥離させる工程と
を有するのがよい。
この際、前記樹脂層として紫外線硬化性樹脂層を塗布法又は印刷法によって配置し、紫外線透過性のモールドによって成形後、前記モールドを通して紫外線を照射して前記紫外線硬化性樹脂層を硬化させるのがよい。
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に具体的かつ詳細に説明する。
実施の形態1
実施の形態1では、主として、請求項1〜3および請求項5、6に記載したワイヤグリッド偏光子と、請求項9〜12に記載したワイヤグリッド偏光子の製造方法との例について説明する。
実施の形態1では、主として、請求項1〜3および請求項5、6に記載したワイヤグリッド偏光子と、請求項9〜12に記載したワイヤグリッド偏光子の製造方法との例について説明する。
図1は、実施の形態1に基づくワイヤグリッド偏光子10の構造を示す断面図および部分拡大図である。ワイヤグリッド偏光子10では、光透過性支持体1の表面上に、複数の細い直線状の凸部2が互いに平行に一定のピッチPで並ぶように形成されている。この例では光透過性支持体1と凸部2とは同じ材料からなり、例えば、ガラス板の表面にフォトリソグラフィと反応性イオンエッチングとによって凸部2が形成されている。
凸部2の上面には、細い直線状の上部金属層4が配置され、凸部2の側方にも、細い直線状の側部金属層5が上部金属層4に連接して配置されている。これら、上部金属層4と側部金属層5とによって金属細線6が構成され、ワイヤグリッド偏光子10が形成されている。上部金属層4および側部金属層5は斜め方向から蒸着法またはスパッタリング法によって金属材料を堆積させることによって形成される。金属材料は、光を反射しやすい材料が好ましく、例えば、アルミニウムや銀がよい。ただし、純アルミニウムや純銀を用いて成膜を行うと、成膜粒子の粒径が大きくなり過ぎる場合には、既述したように、アルミニウムに対しては、ケイ素及び/又は銅を微量(例えば、0.5〜1質量%)添加し、銀に対しては、パラジウム及び/又は銅を微量(例えば、0.5〜1質量%)を添加する。
金属細線6は中身のつまった真の金属細線ではなく、実体は凸部2の上面と側面とを被覆する薄い金属層にすぎない。しかしながら、既述したように、本発明者は、この中身のない金属細線6が、中身のつまった真の金属細線と同様に、ワイヤグリッド偏光子10を構成できることを発見した。ここでは、金属細線6を中身のつまった金属細線と同様に考えることができると仮定して、ワイヤグリッド偏光子10の性能を決める諸量について検討する。以下、説明を簡単にするために、入射光を光透過性支持体1の表面に垂直に入射させる場合を考えることにする。
図1から明らかなように、金属細線6のピッチは、凸部2の並びのピッチPと同じになる。また、部分拡大図に示したように、金属細線6の有効な幅Wは、凸部2の幅Wgに、側方にはみ出して形成される2つの側部金属層5の成膜膜厚Tsを加算した大きさになる。
W=Wg+2Ts
また、金属細線6の有効な厚さTは、光が金属細線6間を通り抜ける際に、透過方向において感じる金属細線6の厚さである。部分拡大図から、これは、光の透過方向における側部金属層5の厚さに等しい。ただし、側部金属層5の厚さと言っても、その実体は、光の透過方向において側部金属層5が占めている幅である。図1に示すように、側部金属層5は凸部2の側面全面および上部金属層4の側方に設けられているので、金属細線6の有効な厚さTは、光の透過方向における凸部の厚さ(凹部3の底面を基準とする、凸部2の高さ)Tgに上部金属層4の成膜膜厚Tuを加算した大きさになる。
T=Tg+Tu
W=Wg+2Ts
また、金属細線6の有効な厚さTは、光が金属細線6間を通り抜ける際に、透過方向において感じる金属細線6の厚さである。部分拡大図から、これは、光の透過方向における側部金属層5の厚さに等しい。ただし、側部金属層5の厚さと言っても、その実体は、光の透過方向において側部金属層5が占めている幅である。図1に示すように、側部金属層5は凸部2の側面全面および上部金属層4の側方に設けられているので、金属細線6の有効な厚さTは、光の透過方向における凸部の厚さ(凹部3の底面を基準とする、凸部2の高さ)Tgに上部金属層4の成膜膜厚Tuを加算した大きさになる。
T=Tg+Tu
上記のように、ワイヤグリッド偏光子10では、金属細線6の有効厚さTは、上部金属層4の膜厚Tuに、光の透過方向における凸部2の厚さTgを加算した大きさになる。従って、図11に示した従来の基本的なワイヤグリッド偏光子100のように、光の透過方向における金属細線102の厚さTを金属層の膜厚のみで実現する素子に比べて、凸部2の厚さTgの分だけ上部金属層4の膜厚Tuを薄くすることができ、容易に作製することができる。この際、凸部2の側面全面に側部金属層5が形成されるので、特許文献3に提案されているワイヤグリッド偏光子130a(図14(a)参照。)のように、凸部132の側面の一部(上部)にのみ側部導電体層135aが形成される素子に比べて、凸部2の側面をより有効に利用することができる。また、特許文献3または4に提案されているワイヤグリッド偏光子のように、金属細線を側部金属層のみで実現する素子(図14(c)参照。)に比べて、上部金属層4の膜厚Tuの分だけ凸部2の厚さTgを薄くすることができるので、凸部2の作製が容易になる。
また、金属細線6の幅Wは、凸部2の幅Wgと2つの側部金属層5の膜厚Tsとを加算した大きさになるので、凸部2の幅Wgを適切に選択することによって、側部金属層5の膜厚Tsとは独立に、金属細線6の幅Wを所定の大きさに定めることができる。従って、ワイヤグリッド偏光子10は、特許文献3または4に提案されているワイヤグリッド偏光子のように、金属細線の幅が側部金属層の成膜膜厚と同じ大きさに決まってしまう素子(図11(c)参照。)に比べて、設計の自由度がはるかに大きく、作製が容易になる。
以上に説明したように、ワイヤグリッド偏光子10では、光の透過方向における金属細線の有効厚さが大きく、金属細線6の幅Wが所望の大きさであるワイヤグリッド偏光子を、従来公知のワイヤグリッド偏光子に比べてはるかに容易に作製できる。この結果、短波長領域におけるTM偏光の透過率などを改善することができ、可視光領域で実用上十分な透過光の偏光度及びTM偏光の透過率を得ることができる。
しかも、ワイヤグリッド偏光子10の性能を決める諸量が、予め形成されている凸部2のピッチP、幅Wg、および厚さTgと、上部金属層4の成膜膜厚Tuおよび側部金属層5の成膜膜厚Tsなどの成膜条件によって定まるので、金属細線6の形成に際してリソグラフィなどの微細加工方法が不要である。従って、その大きさがウエハーサイズを越える大きさであっても作製することができる。また、上部金属層4および側部金属層5の成膜膜厚を薄くすることにより、成膜時間の短縮や膜厚のばらつきの縮小を可能とし、歩留まり向上につながる。
図2は、ワイヤグリッド偏光子10によって得られる透過光の偏光度およびTM偏光の透過率を、シミュレーション計算によって求めた結果を示すグラフである。計算は、既述した、RCWA法に基づいてワイヤグリッド偏光子の偏光特性をシミュレーション計算するソフトウェアツールDiffractMOD(商品名;RSOFT社製)を用いて行った。計算では凸部2のピッチPが200nm、凸部2の幅Wgが40nm、凸部2の厚さTgが200nm、上部金属層4の成膜膜厚Tuが40nm、側部金属層5の成膜膜厚Tsが30nmであり、金属細線6の幅W=Wg+2Ts=100nm、有効厚さT=Tu+Tg=240nmであるとし、上部金属層4および側部金属層5の材料がアルミニウムであるとした。また、凸部2の材料の屈折率は1.56であるとした。この屈折率は、ナノインプリント用樹脂材料として一般に用いられている紫外線硬化性樹脂PAK01(商品名;東洋合成工業社製)の屈折率である。これは、凸部2の材料として上記紫外線硬化性樹脂などを用いることを想定してのことである。
図2に示すように、ワイヤグリッド偏光子10では、上部金属層4の成膜膜厚Tuが40nm(ピッチPの1/5)と小さい値であるにもかかわらず、短波長領域においてTM偏光の透過率が低下することなく、可視光領域全体にわたってフラットなTM偏光透過率が得られる。また、ワイヤグリッド偏光子10の透過光の偏光度およびTM偏光の透過率は、図11を用いて説明した従来のワイヤグリッド偏光子100において金属細線の厚さを200nmとした場合と比較して、同等以上の性能が得られることがわかる。
図3は、ワイヤグリッド偏光子10の作製工程のフローを示す断面図である。
まず、図3(a)に示すように、光透過性支持体1を用意する。光透過性支持体1はガラス板や有機樹脂板である。この表面に、例えばフォトリソグラフィと反応性イオンエッチングとによって、複数の細い直線状の凸部2が互いに平行に一定のピッチPで並んでいる表面構造を形成する。
次に、図3(b)に示すように、斜め方向から蒸着法またはスパッタリング法によって金属材料を堆積させることによって、凸部2の上面、並びに一方の側面全面および側方に、選択的に上部金属層4および側部金属層5aを形成する。
金属材料を出射する蒸着源またはターゲットは、光透過性支持体1の表面に垂直な方向から、凸部2の配列方向へ所定の角度θだけ傾いた方向に配置する。角度θは、凸部2が作る影に、隣り合う凸部2間の凹部3の底面がちょうど収まり、凹部3の底面に金属材料が堆積することのない角度とする。別の言い方をすると、凸部2の最下部と凹部3との境界の位置Aから、凹部3を挟んで隣り合う凸部2の上端の角Bを見上げる方向に蒸着源またはターゲットを配置する。すなわち、角度θは次式
θ=arc tan((P−Wg)/Tg)
で与えられる。
θ=arc tan((P−Wg)/Tg)
で与えられる。
角度をθよりも大きくすると、凸部2の最下部に金属材料が堆積しない領域が生じる。逆に、角度をθよりも小さくすると、凹部3の底面の一部に金属材料が堆積する。角度をθとすることで、凹部3の底面に金属材料を実質的に堆積させることなく、凸部2の上面および一側面の全領域に選択的に、それぞれ細い直線状の上部金属層4および側部金属層5aを形成することができる。
実際の成膜では、散乱などによって単純な直線運動では考えられない振る舞いをする成膜粒子も現れてくる。このような複雑な現象に対処するために、所定の角度θの前後に角度を少し変えて成膜したワイヤグリッド偏光子10をいくつか試作し、断面の透過電子顕微鏡(TEM)解析などによって凹部3への金属材料の堆積状況を観察して、求める特性に最も近い特性が得られる成膜角度を選ぶことが望ましい。なお、上記「凹部3の底面に金属材料を実質的に堆積させず」の「実質的に堆積させず」とは、「散乱などによって凹部3の底面に少量の金属材料が堆積するとしても、TM偏光の透過を妨げ、ワイヤグリッド偏光子10の性能を本質的に変化させてしまうほどの堆積はない」という意味である。
上記のようにして所定の方向から所定の期間成膜した後、図3(c)に示すように、表面に垂直な方向に関して前記所定の方向と左右対称の方向から所定の期間成膜する。このようにして、凸部2の上面および左右反対側の一側面に選択的に、それぞれ細い直線状の上部金属層4および側部金属層5bを形成する。
この後、図3(b)および図3(c)に示した一連の工程を、必要回数繰り返して行い、図3(d)に示すように、凹部3の底面に金属材料を実質的に堆積させることなく、凸部2の上面および両側方に選択的に、それぞれ細い直線状の上部金属層4および側部金属層5を形成する。
この際、凸部2の最下部近辺の側面では、成膜が進行すると、上部金属層4および側部金属層5の成膜膜厚の増加にともない、上部金属層4および側部金属層5が作る影に入り、金属材料が入射して来ない領域が次第に大きくなる。側部金属層5の膜厚のうち、凸部2の最下部近辺の側面に形成される側部金属層5の膜厚が、上部側面に形成される側部金属層5の膜厚に比べて小さいのはこのためである。上部金属層4が作る影の影響を小さくするには、上部金属層4および側部金属層5の膜厚の増加に対応して、成膜角度を初期の値から徐々に小さくしていくのがよい。
図1の拡大図に示したように、斜め方向から成膜を行うと、側部金属層5が形成されるため、金属細線6の幅Wは、2つの側部金属層5の膜厚分2Tsだけ、凸部2の幅Wgよりも大きくなる(W=Wg+2Ts)。従って、凸部2の幅Wgは、成膜後に金属細線6の間に必要な隙間が残るように、側部金属層5の膜厚Tsを考慮して設定する(Wg=W−2Ts)。
上部金属層4の膜厚Tuと側部金属層5の膜厚Tsとの間には下記の関係がある。
Ts=Tu×tanθ
θ一定の下で上部金属層4の膜厚Tuを大きくしようとすると、これにつれて側部金属層5の膜厚Tsも大きくなるので、結果的に凸部2の幅Wgをより狭めることが必要になり、凸部2の形成が困難になる場合がある。このような場合には、凸部2の高さTgをできるだけ大きくするのがよい。このようにすると、成膜角度θを小さくすることができるので、凸部2の側方に堆積する金属材料を減らすことができ、側部金属層5の膜厚Tsを小さく抑えたまま、上部金属層4の膜厚Tuを大きくすることができる。
Ts=Tu×tanθ
θ一定の下で上部金属層4の膜厚Tuを大きくしようとすると、これにつれて側部金属層5の膜厚Tsも大きくなるので、結果的に凸部2の幅Wgをより狭めることが必要になり、凸部2の形成が困難になる場合がある。このような場合には、凸部2の高さTgをできるだけ大きくするのがよい。このようにすると、成膜角度θを小さくすることができるので、凸部2の側方に堆積する金属材料を減らすことができ、側部金属層5の膜厚Tsを小さく抑えたまま、上部金属層4の膜厚Tuを大きくすることができる。
図4は、ワイヤグリッド偏光子10の作製工程で用いられる成膜方法を示す説明図である。図4(a)は、図3(b)および(c)に対応しており、光透過性支持体1の傾斜角度を変えることによって、成膜角度を変える方法を示している。図4(b)は、コリメータ12によって成膜粒子の運動方向を制御することによって、成膜角度を設定する方法を示している。この方法によれば、凸部2の両側面にそれぞれ側部金属層5aおよび側部金属層5bを同時に形成することができる。
図5は、ワイヤグリッド偏光子10の作製工程で用いられる成膜方法を示す別の説明図である。先述したように、成膜が進行すると、上部金属層4および側部金属層5の成膜膜厚の増加にともない、凸部2の最下部近辺の側面には、上部金属層4および側部金属層5が作る影に入り、金属材料が入射して来ない領域が次第に大きくなる。この影響を小さくするには、上部金属層4および側部金属層5の膜厚の増加に対応して、成膜角度を初期の値から徐々に小さくしていくのがよい。図5は、その際の変化を示しており、成膜の進行(a)→(b)→(c)→(d)→(e)とともに、成膜角度をθa→θb→θc→θd→θe(θa>θb>θc>θd>θe)と変えていくことを示している。
以上に説明したように、本実施の形態のワイヤグリッド偏光子10の製造方法では、予め形成する凸部2のピッチ、幅Wg、および厚さTgと、上部金属層4の膜厚Tu、側部金属層5の膜厚Ts、および成膜角度θなどの成膜条件によって、ワイヤグリッド偏光子の性能を支配する諸量を定めることができる。とくに、上部金属層4および側部金属層5の形成に際し、成膜工程のみを行えばよく、フォトリソグラフィなどの微細加工工程が不要である。従って、フォトリソグラフィなどの微細加工方法を適用できない、ウエハーサイズを越える大きさであっても、簡易に、生産性よく、低コストで、ワイヤグリッド偏光子10を製造することができる。
実施の形態2
実施の形態2では、主として、請求項4に記載したワイヤグリッド偏光子、および請求項14〜17に記載したワイヤグリッド偏光子の製造方法の例について説明する。
実施の形態2では、主として、請求項4に記載したワイヤグリッド偏光子、および請求項14〜17に記載したワイヤグリッド偏光子の製造方法の例について説明する。
図6は、実施の形態2に基づくワイヤグリッド偏光子の構造を示す断面図である。ワイヤグリッド偏光子20aおよび20bでは、光透過性支持体の凸部が、光透過性支持体の主部21を構成する材料とは別の材料によって形成されている。図6(a)は、凸部22だけが別材料である例を示し、図6(b)は、光透過性支持体の上部23と凸部24とが別材料である例を示している。
これらの例のように、光透過性支持体の主部と凸部とで材料を使い分けることによって、多様な材質の光透過性支持体主部21を用いて、ワイヤグリッド偏光子20を形成することができる。例えば、光透過性支持体主部21として有機樹脂フィルムを用いれば、軽量で、フレキシブルで、耐衝撃性のあるワイヤグリッド偏光子を作製することができる。
また、凸部22または24の構成材料として紫外線硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を用い、モールドに形成された凹凸構造をナノインプリント法によって転写すれば、容易に、生産性よく、フォトリソグラフィなどの微細加工技術を用いずに凸部22または24を形成することができる。
図7は、実施の形態2に基づくワイヤグリッド偏光子の作製工程のフローの一部を示す断面図である。この例では凸部22をナノインプリント法によって形成する。
まず、図7(a)に示す、凹凸パターンが形成されたモールド63を別途作製する。モールド63の作製方法は限定されるものではないが、例えば、フォトリソグラフィと反応性イオンエッチングによって形成する。一方、光透過性支持体主部21の表面に、凸部22の構成材料として樹脂層61を配置する。この樹脂層61として、例えば、紫外線硬化性樹脂層を塗布法または印刷法によって形成する。
次に、図7(b)に示すように、樹脂層61にモールド63を押し当て、モールド63の凹凸パターンに凹凸嵌合する形状に成形された樹脂層62を形成する。
そして成形中、及び/又は成形後に、樹脂材料を硬化させ、凸部22を形成する。この際、樹脂材料として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、図7(c)に示すように、紫外線透過性のモールド63によって成形後、波長が300〜400nm程度の紫外線をモールド63を通して照射して、紫外線硬化性樹脂層を硬化させるのがよい。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、アクリレート系やエポキシ系の紫外線硬化性樹脂を用いることができる。紫外線硬化性樹脂を用いると、室温下で硬化処理を行うので、温度変化による寸法の変化がない利点がある。
樹脂材料として熱可塑性樹脂を用いる場合には、モールド63を押し当てる前に樹脂層61をガラス転移温度以上の温度に加熱して熱可塑性樹脂を軟化させておき、この状態でモールド63を押し当てて成形し、その後、ガラス転移温度以下の温度に冷却して硬化させた後、モールド63を剥離させる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂やポリカーボネート(PC)樹脂を用いる。
モールド63は、何度も繰り返して用いることができるので、光透過性支持体主部21に比べて小型でよい。従って、半導体微細加工技術を用いて精密に作製することができる。また、モールド63を、外周面に凹凸パターンが形成されたローラー形にすれば、このローラー形のモールド63を回転させながら樹脂層61に押し当てることによって、凹凸パターンを転写することができ、大面積の光透過性支持体主部21に対しても効率よく凸部22を形成することができる。
その他、上部金属層4および側部金属層5、並びにその作製方法などは、実施の形態1に基づくワイヤグリッド偏光子10と同様であるので、重複を避け、説明を省略する。
実施の形態3
実施の形態3では、請求項13に記載したワイヤグリッド偏光子の製造方法によって作製されるワイヤグリッド偏光子の例、および実施の形態1の変形例に相当するワイヤグリッド偏光子の例について説明する。
実施の形態3では、請求項13に記載したワイヤグリッド偏光子の製造方法によって作製されるワイヤグリッド偏光子の例、および実施の形態1の変形例に相当するワイヤグリッド偏光子の例について説明する。
図8は、実施の形態3に基づくワイヤグリッド偏光子の構造を示す断面図である。図8(a)および図8(b)にそれぞれ示すワイヤグリッド偏光子30および40は、凸部2の側面に膜厚がほぼ一定の側部金属層35および45が形成されている点が実施の形態1に基づくワイヤグリッド偏光子10と異なっているのみで、ワイヤグリッド偏光子10と同様の機能が得られる。ワイヤグリッド偏光子30および40は、凸部2が設けられた光透過性支持体1の表面全体に金属材料を堆積させた後、エッチバックすることにより、凹部3の底面に堆積した金属材料を除去し、かつ、凸部2の上面および側方にかけて堆積した金属材料の一部を残して、上部金属層4および側部金属層35または45を形成することによって得ることができる。金属材料を堆積させる方法としては、異方性の小さい成膜ができるCVD法が好ましい。
以下、本発明の実施例について説明する。本実施例では、実施の形態1で説明したワイヤグリッド偏光子10を作製し、透過光の偏光度およびTM偏光の透過率を実測した。ただし、本発明が下記実施例に何ら限定されるものでないことは言うまでもない。
図9は、本実施例で作製したワイヤグリッド偏光子10の断面の一部を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した観察像である。このワイヤグリッド偏光子10の作製では、まず、紫外線硬化性樹脂からなる光透過性支持体1の表面上に、ナノインプリント法によって凸部2を形成した。次に、凸部2の上面および側方に、アルミニウムAlに1質量%のケイ素Siおよび0.5質量%の銅Cuを添加したAl合金からなる上部金属層4および側部金属層5をそれぞれ配置し、金属細線6を形成した。上部金属層4および側部金属層5は、斜め方向(θ=37°)からのスパッタリングによって形成した。なお、上部金属層4および側部金属層5の一部の上に積層されている黒い層は白金Pt層であり、また、その上部に積層されている灰色の厚い層はカーボンC層である。これらは、断面のTEM観察を行うために付加的に形成した層で、本来のワイヤグリッド偏光子10では形成しない層である。
ワイヤグリッド偏光子10の性能を決める諸量は下記の通りである。
ピッチP=約206nm、
凸部2の厚さTg=201〜206nm、
凸部2の幅Wg=約69nm(最大84.5nm)、
上部金属層4の成膜膜厚Tu=約50nm、
側部金属層5の成膜膜厚Ts=約29nm、
金属細線6の幅W=Wg+2Ts=約151nm、
金属細線6の有効な厚さT=Tu+Tg=251〜265nm
ピッチP=約206nm、
凸部2の厚さTg=201〜206nm、
凸部2の幅Wg=約69nm(最大84.5nm)、
上部金属層4の成膜膜厚Tu=約50nm、
側部金属層5の成膜膜厚Ts=約29nm、
金属細線6の幅W=Wg+2Ts=約151nm、
金属細線6の有効な厚さT=Tu+Tg=251〜265nm
図10は、ワイヤグリッド偏光子10によって得られた透過光の偏光度を示すグラフ(a)、並びに偏光の透過率および反射率を示すグラフ(b)である。図10に示す実測データから、上部金属層4および側部金属層5からなる金属細線6は、中身のつまった真の金属細線ではなく、実体は凸部2の上面と側面とを被覆する薄い金属層にすぎないにもかかわらず、中身のつまった真の金属細線と同様にワイヤグリッド偏光子を構成できることがわる。この結果、上部金属層4の成膜膜厚Tuが50nm(ピッチPの1/4)と、従来のワイヤグリッド偏光子の金属細線に比べて極めて薄い膜厚であるにもかかわらず、実用上十分な偏光特性を有するワイヤグリッド偏光子10を得ることができた。すなわち、偏光度は、短波長領域を除き、可視光領域で95%以上である。また、TM偏光の透過率は、短波長領域において低下することなく、可視光領域全体にわたってフラットで、平均約80%と大きい。また、TM偏光の反射率は、平均約8%と小さく、TE偏光の反射率は平均約70%と大きい。
上記の実測データは、図2に示したシミュレーション計算の結果に近い特性になっている。ただし、TM偏光透過率は、シミュレーション計算の結果より大きい値が得られており、一方、偏光度は、特に短波長領域においてシミュレーション計算の結果より小さい値が得られている。この実測データとシミュレーション計算の結果との傾向の違いの原因は、今のところ不明である。
以上に説明したように、ワイヤグリッド偏光子10では、金属細線6の有効厚さTを、上部金属層4の膜厚Tuに、光の透過方向における凸部2の厚さTgを加算した大きさとすることができる。従って、凸部2の厚さTgを大きくすることによって、上部金属層4の膜厚Tuが薄くても、金属細線6の有効厚さTが大きいワイヤグリッド偏光子10を、従来のワイヤグリッド偏光子100に比べてはるかに簡易に作製できる。この結果、短波長領域におけるTM偏光の透過率を改善することができ、可視光領域で実用上十分な透過光の偏光度およびTM偏光の透過率を得ることができる。しかも、ワイヤグリッド偏光子10の性能を決める諸量が、予め形成されている凸部2のピッチP、幅Wg、および厚さTgと、上部金属層4の成膜膜厚Tuおよび側部金属層5の成膜膜厚Tsなどの成膜条件によって定まるので、金属細線6の形成に際してリソグラフィなどの微細加工方法が不要である。従って、その大きさがウエハーサイズを越える大きさであっても作製することができる。また、上部金属層4および側部金属層5の成膜膜厚を薄くすることにより、成膜時間の短縮や膜厚のばらつきの縮小を可能とし、歩留まり向上につながる。
以上、本発明を実施の形態および実施例に基づいて説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
本発明のワイヤグリッド偏光子は、液晶表示装置、液晶プロジェクタ、光ピックアップ、および光通信装置などに用いられ、とくに、液晶表示装置のバックライト装置を構成する偏光分離素子として有用である。
1…光透過性支持体、2…凸部、3…凹部、4…上部金属層、
5、5a、5b…側部金属層、6…金属細線、10…ワイヤグリッド偏光子、
11…蒸着源またはターゲット、12…コリメータ、
20a、20b……ワイヤグリッド偏光子、21…光透過性支持体主部、22…凸部、
23…光透過性支持体上部、24…凸部、30、40、50…ワイヤグリッド偏光子、
35、45、55…側部金属層、61…樹脂層、62…成形された樹脂層、
63…モールド、100…ワイヤグリッド偏光子、101…透明基板、
102…金属細線、110…ワイヤグリッド偏光子、111…透明基板、
112…導電素子、113…リブ、120…ワイヤグリッド偏光子、
121…透明樹脂基板、121a…凹部、121b…凸部、122…マスキング層、
123…金属層123、130a〜130c…ワイヤグリッド偏光子、
131…透明基板、132…凸部、133…凹部、134…上部導電体層、
135a〜135c…側部導電体層、P…金属細線のピッチ、W…金属細線の幅、
T…金属細線の厚さ
5、5a、5b…側部金属層、6…金属細線、10…ワイヤグリッド偏光子、
11…蒸着源またはターゲット、12…コリメータ、
20a、20b……ワイヤグリッド偏光子、21…光透過性支持体主部、22…凸部、
23…光透過性支持体上部、24…凸部、30、40、50…ワイヤグリッド偏光子、
35、45、55…側部金属層、61…樹脂層、62…成形された樹脂層、
63…モールド、100…ワイヤグリッド偏光子、101…透明基板、
102…金属細線、110…ワイヤグリッド偏光子、111…透明基板、
112…導電素子、113…リブ、120…ワイヤグリッド偏光子、
121…透明樹脂基板、121a…凹部、121b…凸部、122…マスキング層、
123…金属層123、130a〜130c…ワイヤグリッド偏光子、
131…透明基板、132…凸部、133…凹部、134…上部導電体層、
135a〜135c…側部導電体層、P…金属細線のピッチ、W…金属細線の幅、
T…金属細線の厚さ
Claims (17)
- 複数の細い直線状の凸部が互いに平行に一定のピッチで並んでいる表面構造を有する 光透過性支持体と、
前記凸部の上面に配置された、細い直線状の上部金属層と、
前記凸部の側面全体及び側方に、前記上部機能性材料層に連接して配置され、前記上 部金属層とともに金属細線を構成し、光の透過方向における厚さが前記上部金属層より も大きい、細い直線状の側部金属層と
からなる、ワイヤグリッド偏光子。 - 隣り合う前記凸部間の凹部底面に前記光透過性支持体が露出している、請求項1に記載したワイヤグリッド偏光子。
- 前記金属細線によって光が反射され、前記凹部底面を通って光が透過する、請求項2に記載したワイヤグリッド偏光子。
- 前記光透過性支持体の前記表面構造が、前記光透過性支持体の主部を構成する材料とは異なる材料によって形成されている、請求項1に記載したワイヤグリッド偏光子。
- 前記上部金属層の厚さが前記ピッチの1/5以上である、請求項1に記載したワイヤグリッド偏光子。
- 前記上部金属層及び前記側部金属層の材料が、ケイ素Si及び/又は銅Cuを添加したアルミニウムAl、又は、パラジウムPd及び/又は銅Cuを添加した銀Agである、請求項1に記載したワイヤグリッド偏光子。
- 液晶表示装置の偏光素子として用いられる、請求項1に記載したワイヤグリッド偏光子。
- 前記液晶表示装置のバックライト装置を構成する偏光分離素子として用いられる、請求項7に記載したワイヤグリッド偏光子。
- 光透過性支持体の表面に、複数の細い直線状の凸部が互いに平行に一定のピッチで並 んでいる表面構造を形成する工程と、
前記凸部の上面、並びに側面全体及び側方に、それぞれ、細い直線状の上部金属層並 びに側部金属層を形成する工程と
を有する、ワイヤグリッド偏光子の製造方法。 - 前記光透過性支持体の前記表面に垂直な方向から前記凸部の配列方向へ所定の角度θだけ傾いた所定の方向から、前記凸部の上面及び側方にかけて金属材料を堆積させることによって、隣り合う前記凸部間の凹部底面に前記金属材料を実質的に堆積させることなく、前記上部金属層及び前記側部金属層を形成する、請求項9に記載したワイヤグリッド偏光子の製造方法。
- 前記所定の方向から所定の期間成膜した後、前記表面に垂直な方向に関して前記所定の方向と左右対称の方向から所定の期間成膜する一連の工程を、必要回数繰り返して行う、請求項10に記載したワイヤグリッド偏光子の製造方法。
- 前記上部金属層及び前記側部金属層の厚さの増加に対応して、前記所定の角度θを徐々に小さくしていく、請求項11に記載したワイヤグリッド偏光子の製造方法。
- 前記光透過性支持体の前記表面に金属材料を堆積させた後、エッチバックすることにより、隣り合う前記凸部間の凹部底面に堆積した前記金属材料を除去し、かつ、前記凸部の上面及び側方にかけて堆積した前記金属材料の一部を残して、前記上部金属層及び前記側部金属層を形成する、請求項9に記載したワイヤグリッド偏光子の製造方法。
- 前記光透過性支持体の前記表面に、前記光透過性支持体の主部を構成する材料とは異なる材料によって前記凸部を形成する、請求項9に記載したワイヤグリッド偏光子の製造方法。
- 凹凸パターンが形成されたモールドを作製する工程と、
前記凸部の構成材料に前記モールドを押し当て、前記凹凸パターンを転写して前記凸 部を形成する工程と
を有する、請求項14に記載したワイヤグリッド偏光子の製造方法。 - 前記光透過性支持体の主部の表面に、前記凸部の構成材料として樹脂層を配置する工 程と、
前記樹脂層に前記モールドを押し当て、前記樹脂層を前記凹凸パターンに相補的な形 状に成形する工程と、
前記成形中、及び/又は前記成形後、前記樹脂層を硬化させ、前記凸部を形成する工 程と、
前記モールドを剥離させる工程と
を有する、請求項15に記載したワイヤグリッド偏光子の製造方法。 - 前記樹脂層として紫外線硬化性樹脂層を塗布法又は印刷法によって配置し、紫外線透過性のモールドによって成形後、前記モールドを通して紫外線を照射して前記紫外線硬化性樹脂層を硬化させる、請求項16に記載したワイヤグリッド偏光子の製造方法。
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- 2008-11-14 JP JP2008291932A patent/JP2010117634A/ja active Pending
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