JP2010117546A - 光学フィルムの貼付装置および光学フィルムの貼付方法 - Google Patents

光学フィルムの貼付装置および光学フィルムの貼付方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光学フィルムを被着体に精度よく貼付可能な光学フィルムの貼付装置および光学フィルムの貼付方法を提供すること。
【解決手段】光学フィルムの貼付装置100は、光学フィルムとしての偏光板4の一方の短辺部が保持面からはみ出た状態で吸着保持されるフィルム保持部としてのフィルムステージ108と、偏光板4の平面的な中心を回転中心としてフィルムステージ108を回転させる回転機構としてのモーター110と、被着体としての液晶パネル3が載置される被着体保持部としてのパネルステージ103と、偏光板4を液晶パネル3の貼付開始位置に位置決めする配置機構と、回転自在に支持された貼付ローラー115と、貼付ローラー115により上記一方の短辺部の背面側から偏光板4が液晶パネル3に押圧された状態でパネルステージ103を貼付開始位置から少なくとも貼付終了位置まで移動させる移動機構と、を備えた。
【選択図】図4

Description

本発明は、光学フィルムの貼付装置および光学フィルムの貼付方法に関する。
液晶装置等の電気光学装置に装備される光学フィルムの貼付方法として、電気光学パネルに設けられたアライメントマークを基準として、該電気光学パネルと光学フィルムとしての偏光板とを貼り合わせる電気光学装置の製造方法が知られている(特許文献1)。
一方、上記特許文献1の電気光学装置の製造方法では、該電気光学パネルのアライメントマークと光学軸との相対的な位置関係においてばらつきを有する場合、該電気光学パネルの光学軸と偏光板の光学軸とが所定の位置関係となるように、精密に貼り合わせることが困難であるという課題を有している。
上記課題を解決する方法として、特許文献2または特許文献3には、光学軸の角度が既知のマスター偏光子(あるいはマスター偏光板)を基準として、電気光学パネルとしての液晶セルや光学フィルムとしての偏光板の光学軸を検出し、これに基づいて液晶セルと偏光板とを位置合わせして貼り合わせる技術や貼り合わせ装置の構成が開示されている。
具体的な光学軸の位置合わせ方法としては、マスター偏光子と液晶セルと偏光板とを透過する光の強度を計測することにより、光強度が最小または最大となるように液晶セルと偏光板との相対的な位置を調整している。
また、貼付装置として、電気光学装置におけるフラットパネルに対して粘着シートを貼り付ける貼付装置が知られている(特許文献4)。
上記貼付装置は、フラットパネルを載置するステージと、粘着部材を把持する把持手段とを有し、把持手段により粘着シートを把持させたままステージの移動に追従して押圧部材により、粘着シートをフラットパネルに押圧して貼り付ける構成となっている。
特開2000−221461号公報 特開平8−201801号公報 特開2003−107452号公報 特開2006−276589号公報
しかしながら、上記特許文献2や上記特許文献3では、少なくとも4回に亘って電気光学パネルと光学フィルムとの光学的な位置合わせが必要であり、光学フィルムの貼付における工数が掛かるという課題がある。
また、電気光学パネルと光学フィルムとを互いの光学軸を基準として貼り合わせる装置構成を特許文献4の貼付装置に導入し、電気光学パネルに対して光学フィルムを平面的に回転させた位置で貼り付ける場合、相互の外形を基準として貼付を行わないので、貼付時の位置ずれを防止する必要があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例の光学フィルムの貼付装置は、粘着面と非粘着面とを有する四角形の光学フィルムを板状の被着体の表面に貼り付ける光学フィルムの貼付装置であって、前記光学フィルムが吸着される保持面を有し、前記光学フィルムの一方の辺部が前記保持面からはみ出た状態で前記光学フィルムの前記非粘着面側が前記保持面に吸着保持されるフィルム保持部と、前記光学フィルムの外形を基準とした光学軸の所定の角度に対する実際の角度との差に基づいて、前記光学フィルムの平面的な中心を回転中心として前記フィルム保持部を前記保持面内で回転させる回転機構と、前記被着体が載置され吸着保持される載置面を有する被着体保持部と、前記被着体の表面に対して前記光学フィルムの前記粘着面が傾斜して対向するように前記フィルム保持部と前記被着体保持部とを配置して、前記光学フィルムの前記一方の辺部を前記被着体の貼付開始位置に位置決めする配置機構と、前記光学フィルムを前記被着体側に押圧可能であって、回転自在に支持された貼付ローラーと、前記貼付ローラーにより前記一方の辺部の背面側から前記光学フィルムが前記被着体に押圧された状態で前記被着体保持部を前記貼付開始位置から少なくとも貼付終了位置まで移動させる移動機構と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、外形に対する光学軸の角度が既知の光学フィルムをフィルム保持部の保持面に吸着させた状態で、回転機構により光学軸が所望の角度となるように回転させることができる。そして、配置機構により光学フィルムと被着体とを貼付開始位置に位置合わせし、互いの外形を基準として貼付ローラーにより貼付することができる。すなわち、光学軸の光学的な位置合わせを多用することなく、被着体に対して光学フィルムを精度よく貼り付けすることができる光学フィルムの貼付装置を提供することができる。
[適用例2]上記適用例の光学フィルムの貼付装置において、前記フィルム保持部は、前記光学フィルムが吸着保持される際に、前記光学フィルムの前記一方の辺部と交わる少なくとも1辺部が当接するガイド部を備えていることが好ましい。
この構成によれば、貼付開始位置に光学フィルムの一方の辺部と被着体とが位置合わせされた後に貼付ローラーにより貼付を行う際に、光学フィルムの一方の辺部と交わる少なくとも1辺部がガイド部によって案内されながら貼り付けられる。したがって、ガイド部により外形に対して所望の光学軸の角度に姿勢が制御された状態を保って光学フィルムを被着体の貼付することができる。すなわち、貼付時の被着体に対する光学フィルムのずれを防止して、より高い貼付位置精度を実現できる。
[適用例3]上記適用例の光学フィルムの貼付装置において、前記回転機構は、前記ガイド部を前記光学フィルムの平面的な中心を回転軸として回転させるとしてもよい。
[適用例4]上記適用例の光学フィルムの貼付装置において、前記フィルム保持部は、保持された前記光学フィルムの前記光学軸の角度を光学的に検出するための照射光が前記光学フィルムを透過可能な第1透過部が前記保持面に選択的に設けられているとしてもよい。
この構成によれば、光学フィルムを保持面に吸着保持した状態で外形に対する光学軸の角度を光学的に検出し、その結果に基づいて回転機構を駆動することにより光学フィルムの光学軸を所望の角度とすることができる。
[適用例5]上記適用例の光学フィルムの貼付装置において、前記光学フィルムが偏光体であり、前記被着体が液晶パネルであって、前記被着体保持部は、保持された前記液晶パネルの光学軸の角度を光学的に検出するための照射光が前記液晶パネルを透過可能な第2透過部が前記載置面に選択的に設けられ、前記配置機構により、前記フィルム保持部と前記被着体保持部とが傾斜して対向配置されたときに、光軸が前記第1透過部と前記第2透過部とを通過するように前記照射光を照射する光源と、前記光軸上であって前記第1透過部または前記第2透過部を臨む位置に設けられた受光部と、前記光源と前記受光部との間の前記光軸上であって、前記載置面に対して前記フィルム保持部の反対側に配置された光学軸方向が既知のマスター偏光子と、をさらに備えたことを特徴とする。
この構成によれば、マスター偏光子と液晶パネルと偏光体とを透過した照射光の強度を受光部で計測することにより、液晶パネルの光学軸に対して偏光体の光学軸が所望の角度となるようにさらに調整が可能となる。すなわち、偏光体自体と、液晶パネルと偏光体との2回の光学軸の検出と光学的な位置合わせにより、より高精度な偏光体の貼付を実現することが可能な光学フィルムの貼付装置を提供することができる。
[適用例6]本適用例の光学フィルムの貼付方法は、粘着面と非粘着面とを有する四角形の光学フィルムを板状の被着体の表面に貼り付ける光学フィルムの貼付方法であって、前記光学フィルムが吸着される保持面に対し、前記光学フィルムの一方の辺部が前記保持面からはみ出た状態で前記光学フィルムの前記非粘着面側を前記保持面に吸着保持するフィルム保持工程と、前記光学フィルムの前記粘着面と前記被着体の表面とが傾斜して対向するように配置して、前記光学フィルムの前記一方の辺部を前記被着体の貼付開始位置に位置決めする位置決め工程と、回転自在に保持された貼付ローラーを用いて、前記貼付開始位置に位置決めされた前記光学フィルムの前記一方の辺部から対向する他方の辺部まで背面側から前記光学フィルムを前記被着体側に押圧して貼り付ける貼付工程と、を備え、前記フィルム保持工程は、前記光学フィルムの外形を基準とした光学軸の所定の角度に対する実際の角度との差に基づいて、前記光学フィルムの平面的な中心を回転中心として前記光学フィルムを前記保持面内で回転させることを特徴とする。
この方法によれば、保持面に吸着保持された光学フィルムの光学軸を所定の角度とした上で、互いの外形を基準として貼付開始位置に位置合わせして被着体の表面に精度よく光学フィルムを貼付することができる。よって、互いの光学軸を基準として光学フィルムを被着体に貼り付ける場合に比べて、工数を低減して貼付することができる。
[適用例7]上記適用例の光学フィルムの貼付方法において、前記保持面は、前記光学フィルムが吸着保持される際に、前記光学フィルムの前記一方の辺部と交わる少なくとも1辺部が当接するガイド部を備え、前記貼付工程は、前記少なくとも1辺部が前記ガイド部に案内されながら、前記光学フィルムを前記被着体の表面に貼付することが好ましい。
この方法によれば、貼付時に光学フィルムの少なくとも1辺部がガイド部により案内されるので、所望の光学軸の角度を安定的に維持して光学フィルムを被着体に貼付することができる。すなわち、貼付時の光学フィルムのずれを防止し、高い位置精度で貼付することができる。
[適用例8]上記適用例の光学フィルムの貼付方法において、前記光学フィルムが前記保持面に吸着された状態で、前記光学フィルムの光学軸の前記実際の角度を光学的に検出する検出工程をさらに備えたことを特徴とする。
この方法によれば、検出工程で検出された光学軸の角度に基づいて所望の角度となるように光学フィルムを回転させ、位置合わせして被着体に貼付することができる。
[適用例9]上記適用例の光学フィルムの貼付方法において、前記光学フィルムが偏光体であり、前記被着体が液晶パネルであって、前記位置決め工程は、前記偏光体の前記粘着面と前記液晶パネルの表面とが傾斜して対向するように配置すると共に、前記偏光体に対して前記液晶パネルを挟んだ反対側に光学軸方向が既知のマスター偏光子をさらに対向配置して、前記偏光体と前記液晶パネルと前記マスター偏光子とを透過するように光を照射し、透過した光の強度を測定することにより前記偏光体の光学軸と前記液晶パネルの光学軸とが所定の配置となるように、前記偏光体と前記液晶パネルとの相対的な位置をさらに光学的に位置決めする工程を含むことが好ましい。
この方法によれば、マスター偏光子と液晶パネルと偏光体とを透過した照射光の強度を受光部で計測することにより、液晶パネルの光学軸に対して偏光体の光学軸が所望の角度となるようにさらに調整が可能となる。すなわち、偏光体自体と、液晶パネルと偏光体との2回の光学軸の検出と光学的な位置合わせにより、より高精度に偏光体を液晶パネルに貼付が可能な光学フィルムの貼付方法を提供することができる。
[適用例10]上記適用例の光学フィルムの貼付方法において、前記光学フィルムとしての前記偏光体は、偏光子と光学補償フィルムとを含むとしてもよい。
光学補償フィルムとしては、液晶パネルの視角特性や色付きを改善する位相差板などが挙げられる。すなわち、より優れた光学特性を有する液晶装置を製造することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
(実施形態1)
<液晶装置>
まず、本実施形態の光学フィルムの貼付装置および光学フィルムの貼付方法を適用する電気光学装置としての液晶装置について、図1〜図3を参照して簡単に説明する。図1は液晶装置の構成を示す概略図であり、同図(a)は分解斜視図、同図(b)は正面図である。
図1(a)に示すように、液晶装置10は、ガラス等の透明基板からなる一対の基板1,2と、一対の基板1,2により挟持された液晶層(図示省略)とを有する液晶パネル3を備えている。
液晶パネル3において、基板1は基板2よりも大きく、基板1の端子部1aが基板2の一方の辺部より突出するように、基板1と基板2とが接合されている。端子部1aの表面には、液晶層を駆動するための駆動用IC6と、外部電気回路との接続を図るフレキシブルな中継基板7とが平面実装されている。
基板2の表面2aには光学フィルムとしての偏光板4が貼り付けられる、また表面2aの反対側で裏面となる基板1の表面1bには同じく光学フィルムとしての偏光板5が貼り付けられる。
図1(b)に示すように、液晶装置10を正面から見ると、表示領域を含む所謂見切り領域は、表示領域の中心3cに対して上下および左右(X軸,Y軸方向)が均等割り振りされている。表示領域の中心3cの位置は、液晶パネル3のX軸方向における幅の中央となっている。
偏光板外形は、見切り領域を十分覆うように平面的な寸法が余裕を持って設定されている。また、液晶パネル3の外形のばらつきや偏光板4,5の貼付位置精度等を考慮して、液晶パネル3の長手方向の基準辺3aから距離x1の間隔が空くように、また短手方向の基準辺3bから距離y1の間隔が空くように、液晶パネル3よりも一回り小さく設定されている。
このような液晶装置10は、透過型であって、例えば、偏光板5の背面側に液晶パネル3を照明する照明装置(図示省略)を装備して用いられる。照明装置は、例えば光源としてLED、EL、冷陰極管などを用い、これらの光源からの光を液晶パネル3に向かって射出することができる導光板や拡散板、反射板などの構成を備えている。
なお、液晶装置10は、画素を構成する電極を駆動制御する手段として一方の基板側に例えば薄膜トランジスタなどのスイッチング素子を備えたアクティブ型や、画素を構成する電極が一対の基板1,2において互いに交差するように配置されるパッシブ型の液晶装置でもよい。また、透過型に限定されず、偏光板5が半透過反射タイプあるいは液晶パネル3の内面に反射層を有する反射型または半透過反射型の液晶装置でもよい。
次に、液晶装置10における光学設計について図2を参照して説明する。図2(a)および(b)は液晶装置の光学設計を示す模式図であり、同図(a)はノーマリーブラックの例、同図(b)はノーマリーホワイトの例を示すものである。
図2(a)に示すように、例えば、TN(Twist Nematic)型の液晶パネル3を挟んで偏光板4,5を対向配置する。偏光板4,5の光学軸(透過軸または吸収軸)は、平面的に同一方向となっている(このような配置をパラレルニコルと呼ぶ)。
液晶パネル3の光学軸は、液晶層における液晶分子をどのように配向させツイストさせるかによる。
同図(a)では、偏光板5の透過軸の方向と、液晶パネル3の一方の基板1における配向処理方向とが合致している。基板2の配向処理方向と基板1の配向処理方向とは直交している。
したがって、非駆動時において、偏光板5側から照射された光は、偏光板5により直線偏光に変換されて液晶パネル3に入射する。入射した直線偏光は、液晶層で90°旋光し基板2側から射出するも、偏光板4の透過軸と直交するためこれを透過することができない。このように、非駆動時において所謂黒表示状態となる表示モードをノーマリーブラックと呼ぶ。
これに対して、図2(b)に示すように、例えば、TN(Twist Nematic)型の液晶パネル3を挟んで透過軸が直交するように偏光板4,5を対向配置する(このような配置をクロスニコルと呼ぶ)。
同図(b)では、偏光板5の透過軸の方向と、液晶パネル3の基板1における配向処理方向とが合致している。基板2の配向処理方向と基板1の配向処理方向とは直交している。
したがって、非駆動時において、偏光板5側から照射された光は、偏光板5により直線偏光に変換されて液晶パネル3に入射する。入射した直線偏光は、液晶層で90°旋光し基板2側から射出する。射出された直線偏光は、偏光板4の透過軸に沿って振動しているのでこれを透過する。このように、非駆動時において所謂白表示状態となる表示モードをノーマリーホワイトと呼ぶ。
上記表示モードの構成は例示であって、これに限定されるものではない。例えば、液晶パネル3における液晶分子の配向を垂直配向とした場合には、偏光板4,5がクロスニコルのときにノーマリーブラックとなり、偏光板4,5がパラレルニコルのときにノーマリーホワイトとなる。
液晶装置10は、後述する本実施形態の光学フィルムの貼付装置および光学フィルムの貼付方法を用いて、液晶パネル3に偏光板4,5が貼り付けられており、表示モード(光学設計)に基づいて液晶パネル3に対して偏光板4,5が光学的に高い位置精度で配置されている。したがって、所望の光学特性(コントラストなど)が得られ高い表示品質を有する。
<光学フィルム>
次に、光学フィルムとしての偏光板について図3を参照して説明する。図3は偏光板の構成の1例を示す斜視図である。
図3に示すように、光学フィルムとしての偏光板は、複数の光学機能性フィルムが積層されたものであって、例えば、光学異方性を示す光学軸を有する偏光板と、偏光板の一方の表面を覆う保護フィルムと、偏光板の他方の表面に設けられた粘着層と、粘着層を覆う離型フィルムとを備えたものが挙げられる。このような構成を備えたものを偏光板と呼ぶこともあるが、粘着層がない場合などと区別するために、このような複数の光学機能性フィルムからなるものを偏光体と呼ぶこともある。
偏光板は、偏光子である偏光フィルムと、これを両面から支持する支持フィルムとからなる。偏光フィルムは、例えば1軸延伸されたPVA(ポリビニルアルコール)フィルムをヨウ素などの二色性色素で染色したものである。偏光フィルム単独では、水分や酸素などの影響を受けて偏光機能が低下するため、光学的に等方で高い透明性と耐久性とを兼ね備える支持フィルム、例えばTAC(トリアセテート)フィルムにより挟み込まれている。
保護フィルムは、偏光板の損傷や汚染を防止するために設けられ、例えば、自己粘着タイプならばポリエステルフィルムなどが好んで用いられている。偏光板の表面に表面反射を防止するためのアンチグレア処理などが施されている場合には、粘着処理が施されたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムが用いられることもある。
粘着層は、ガラスなどの基板の表面に偏光板を貼り付けることを想定して、アクリル系粘着材が好んで用いられている。
離型フィルムは、粘着層を保護するものであって、当然ながら被着体である液晶パネル3に貼り付ける前に除去される。また、離型処理が施されたPETフィルムが好んで用いられている。
これらの保護フィルムや離型フィルムは、上記したプラスチック樹脂材料を用いて加圧成形や押し出し成形などの方法により加工され、さらに、所定の厚みを有するフィルムとするために1軸あるいは2軸延伸されたものが用いられている。
<光学フィルムの貼付装置>
次に、本実施形態の光学フィルムの貼付装置について図4〜図6を参照して説明する。図4(a)は貼付装置の構成を示す概略側面図、同図(b)は真上から見た概略平面図、図5(a)はフィルム保持部を示す斜視図、同図(b)は保持面を示す平面図、図6(a)は被着体保持部の構成を示す斜視図、同図(b)は載置面を示す平面図である。
図4(a)に示すように、本実施形態の光学フィルムの貼付装置100は、光学フィルムとしての偏光板4(または偏光板5)の非粘着面側を吸着保持するフィルム保持部としてのフィルムステージ108と、被着体としての液晶パネル3を載置して吸着保持する被着体保持部としてのパネルステージ103と、偏光板4を液晶パネル3に押圧可能な貼付ローラー115とを備えている。
図4(a)および(b)に示すように、パネルステージ103とフィルムステージ108とは、貼付ローラー115を挟んで、細長い基台101の長手方向(Y軸方向)に沿って直線的に基台101上に配設されている。
具体的には、同図(b)に示すように、基台101上には、短手方向に並行し、長手方向(Y軸方向)に延在する一対のガイドレール102が設けられ、ガイドレール102上をY軸方向に移動可能な状態でパネルステージ103が設けられている。パネルステージ103を移動させる移動機構(図示省略)としては、空気圧や油圧を用いたシリンダーやボールネジとモーターとの組み合わせ等を用いることができる。
基台101の長手方向(Y軸方向)におけるほぼ中央部に一対のガイドレール102を跨いで一対の支持部104が設けられている。同図(a)に示すように、側面視で四角形の支持部104の上端のパネルステージ103側に貼付ローラー115が回転自在に支持されている。
貼付ローラー115は、支持部104の上端側から切り欠かれた溝に高さ方向(Z軸方向)の調整が可能な状態で取り付けられた軸受けにより、ガイドレール102を跨ぐように支持されている。軸受けはZ軸方向において、下方側に(ガイドレール102側に)バネ等の弾性部材で付勢されている。
フィルムステージ108は、同図(b)に示すように平面視でコの字型の受け部105に保持面が上方を向くように取り付けられている。受け部105は、支持部104側に延びた2本のアーム部105a,105bを有する。アーム部105a,105bはそれぞれ支持部104の壁面を貫通する回転軸105c,105dにより支持されている。受け部105は、回転軸105c,105dを中心にしてパネルステージ103側に回転させることができ、フィルムステージ108とパネルステージ103とを所定の角度で傾斜させ対向配置させることができるようになっている。
フィルムステージ108は、受け部105に取り付けられる平板状の基部106と、基部106の一方の面に取り付けられた保持部107と、基部の他方の面に取り付けられた回転機構としてのモーター110とを有する。
基部106は、受け部105に対して支持部104側(Y軸方向)に移動可能な状態で取り付けられている。また、受け部105の取付面に対してX軸方向とY軸方向の位置を微調整できる構成となっている。
すなわち、受け部105と、受け部105を回転可能に支持する支持部104と、基部106を受け部105に対して支持部104側に移動可能な構成は、パネルステージ103に対してフィルムステージ108を傾斜させ対向配置させると共に、液晶パネル3の貼付開始位置に偏光板4を位置決めする配置機構を構成するものである。
図5(a)に示すように、保持部107は、偏光板4の非粘着面を保持する保持面107aと、保持面107aと一体的に設けられ、保持面107aに保持される偏光板4の長辺側をガイド(案内)するガイド部109aと、偏光板4の短辺側をガイド(案内)するガイド部109bとが形成された突出部109とを有する。
図5(b)に示すように、フィルムステージ108は、保持面107aのガイド部109a,109bに沿って偏光板4を保持すると、偏光板4の一方の短辺部が保持面107aから突出するように保持面107aに対して突出部109が設けられている。保持面107aに対する突出部109の高さは、保持される偏光板4の厚みとほぼ同等か、それよりもやや小さい値となっている。
保持面107aには、偏光板4を吸着保持するための複数の吸着孔107bが設けられている。複数の吸着孔107bは、ガイド部109aに沿って偏光板4がスライドした場合でも、これを保持できるように、偏光板4の短辺方向に配列する吸着孔107bが流路で結ばれるとともに、それぞれ独立して吸着制御可能な状態で真空ポンプなどの減圧手段に接続されている。
モーター110は、保持面のほぼ中央付近の点111を中心に保持部107を回転させるように基部106に取り付けられている。なお、点111は、保持面107aに偏光板4を吸着保持したときに、偏光板4における平面的な中心と合致する位置となっている。
図6(a)に示すように、パネルステージ103は、立方体のステージであって、上面が液晶パネル3を載置する載置面103aとなっている。載置面103aには、液晶パネル3の長辺部を位置決めする2つの位置決めピン103b,103cと、同じく液晶パネル3の短辺部を位置決めする1つの位置決めピン103dが設けられている。また、液晶パネル3を吸着するための複数の吸着孔103eが設けられている。
図6(b)に示すように、液晶パネル3は、前述した長手方向の基準辺3aが位置決めピン103b,103cに当接するようにセットされる。また、短手方向の基準辺3bに対向する短辺部3dが位置決めピン103dに当接するようにセットされる。したがって、各位置決めピン103b,103c,103dの高さは、偏光板4の貼付に際して邪魔にならないように、当接する液晶パネル3の厚みを越えない程度の高さとなっている。
また、位置決めピン103dは短辺部3dに当接するため、貼付ローラー115に向かってパネルステージ103が移動し、貼付ローラー115により偏光板4を介して液晶パネル3が押厚されても、載置面103a上において液晶パネル3がパネルステージ103の移動方向と反対側に移動することを防止している。すなわち、貼付時の位置ずれを防止している。
載置面103aに設けられた複数の吸着孔103eは、互いに流路で結ばれて真空ポンプなどの減圧手段に接続される。
なお、パネルステージ103は、載置面103aに載置される液晶パネル3の厚みに応じて、載置面103aの高さ方向(Z軸方向)の位置が調整可能な機構を備えることが望ましい。また、載置面103aのX軸方向およびY軸方向の位置を微調整可能な機構を備えることが望ましい。
<光学フィルムの貼付方法>
次に、貼付装置100を用いた光学フィルムとしての偏光板の貼付方法について、図7〜図10を参照して説明する。図7は偏光板の貼付方法を示すフローチャート、図8は偏光板の外形に対する透過軸の方向を検出する方法を示す概略図、図9(a)〜(d)は偏光板の貼付方法を示す概略図、図10(a)および(b)は偏光板の位置決め方法を示す概略平面図である。
図7に示すように、本実施形態の偏光板の貼付方法は、偏光板4の外形に対する透過軸の方向を検出する検出工程(ステップS1)と、フィルムステージ108に偏光板4を吸着保持するフィルム保持工程(ステップS2)と、パネルステージ103に対してフィルムステージ108を傾斜させて対向配置する配置工程(ステップS3)と、液晶パネル3と偏光板4とを位置決めする位置決め工程(ステップS4)と、液晶パネル3に偏光板4を貼り付ける貼付工程(ステップS5)とを備えている。
図7のステップS1は、透過軸の検出工程である。ステップS1では、図8に示すように、例えば、光学軸である透過軸の方向が外形に対して既知であるマスター偏光子と、検出対象の偏光板とを互いの透過軸が直交するように対向配置する。マスター偏光子の背面側に光源を配置して、マスター偏光子と偏光板とを透過するように光を照射する。透過した光の強度を受光部で計測する。
マスター偏光子としては、光学軸の方向が予め既知の偏光板そのものを用いることができる。これ以外にも、一般的な偏光板よりも高い偏光度が得られるものが好ましく、例えばワイヤーグリッド偏光子、ブリュスター角を用いた石英積層板、プリズムなどを挙げることができる。
光源としては、可視光波長の光を直進性を有して射出するものが好ましく、例えば半導体レーザーやLEDを用いることができる。また、受光部としては、例えばマルチフォトメーターなどを用いることができる。
互いの外形を基準として対向配置されたマスター偏光子の透過軸と、偏光板の透過軸とが確実に直交していれば、マスター偏光子を透過して直線偏光に変換された光は検出対象の偏光板を透過しない。互いの透過軸が直交状態からわずかでもずれていると、直線偏光が偏光板をわずかに透過する。すなわち、透過した光の強度が最小となるようにマスター偏光子に対して偏光板を回転させることにより、偏光板の外形に対する透過軸の角度が設計値に対してどの程度ずれているかが判明する。このときのずれ量をΔθtとして検出する。このような検出方法によれば、複数の偏光板を実際の透過軸の角度に応じて分類あるいは所定の角度範囲を有するものに選別することが可能である。そして、ステップS2へ進む。
図7のステップS2は、フィルム保持工程である。ステップS2では、図5(b)に示すように、フィルムステージ108の保持面107aにおいて、長辺部と短辺部とがそれぞれ対応するガイド部109a,109bに当接するように偏光板4を吸着保持する。そして、ステップS1で得られた透過軸のずれ量Δθtの情報に基づいて、透過軸の角度が設計上の値となるように、点111を中心に保持部107を回転させる。つまり、透過軸の角度補正を行う。ずれ量Δθtは言い換えれば角度補正量Δθtである。当然ながら角度の補正方向は、ずれ方向と反対向きである。そして、ステップS3へ進む。
図7のステップS3は、配置工程である。ステップS3では、図9(a)に示すように、フィルムステージ108が設けられた受け部105を回転軸105d(105c)を中心にパネルステージ103側に回転させる。これにより、液晶パネル3に対して透過軸の角度補正がなされた偏光板4が所定の角度θで傾斜して配置される。
なお、図3に示したように、偏光板の粘着面は離型フィルムにより保護されている。したがって、粘着面に異物などが付着しないようにするには、配置工程によってフィルムステージ108に吸着保持された偏光板4とパネルステージ103に載置された液晶パネル3とが傾斜して対向配置された後に、離型フィルムを剥がすことが好ましい。離型フィルムを剥がす構成としては、粘着性のローラーを離型フィルムに接触させて巻き取る方法などが挙げられる。そして、ステップS4へ進む。
図7のステップS4は、位置決め工程である。ステップS4では、図9(b)に示すように、パネルステージ103とフィルムステージ108とを貼付ローラー115に向かって移動させ、偏光板4と液晶パネル3とを貼付開始位置に位置決めする。貼付開始位置は、フィルムステージ108から突出した偏光板4の一方の短辺部が貼付ローラー115により液晶パネル3側に押圧開始される位置である。
詳しくは、図10(a)に示すように、実際には、フィルムステージ108に保持された偏光板4は透過軸の角度補正がなされているため、平面的には偏光板外形基準に対して角度補正量Δθt分傾斜して配置される。その際には、偏光板4の平面的な中心を回転軸として角度補正がなされるので、液晶パネル3の基準辺3bから距離y1内側に入った偏光板外形の短辺部の中央が位置決め基準として用いられる。
位置決め基準は、例えば、CCDなどの撮像素子を備えたカメラによって認識する。そして、偏光板4の一方の短辺部が液晶パネル3の位置決め基準と当接するように、パネルステージ103を貼付ローラー115側に移動させると共に、フィルムステージ108をパネルステージ103側に向かって移動させる。偏光板4の一方の短辺部(粘着面側)が液晶パネル3の表面に当接した状態で貼付ローラー115に該短辺部の背面側を接触させる。
実際には、図9(b)に示すように、貼付開始位置は、パネルステージ103を上方から見ると貼付ローラー115により隠れてしまうので、偏光板4の一方の短辺部が液晶パネル3の上記位置決め基準において重なるように、予め受け部105におけるフィルムステージ108のX軸方向およびY軸方向の位置をパネルステージ103や貼付ローラー115に対して調整しておく。
なお、位置決め基準は、これに限定されず、図10(b)に示すように、偏光板外形基準のコーナ部を位置決め基準として採用してもよい。このようにすれば、液晶パネル3の基準辺3aから距離x1、基準辺3bから距離y1、内側に入った点を基準として視野角が狭いカメラでも容易に位置決め基準を認識することができる。そして、ステップS5へ進む。
図7のステップS5は、貼付工程である。ステップS5では、図9(c)および(d)に示すように、パネルステージ103を貼付開始位置から貼付終了位置まで移動させることにより、貼付ローラー115により偏光板4を液晶パネル3に押圧して貼付することができる。偏光板4は、フィルムステージ108に吸着保持されているものの、貼り付けの進行に伴って保持面107aをスライドしてゆく。すなわち、偏光板4はスライド可能な程度で複数の吸着孔107bにより真空吸着され、ガイド部109aにより長辺部がガイド(案内)され、液晶パネル3の表面に貼り付けられる。
また、偏光板4が液晶パネル3に対して所定の角度θを保った状態で貼り付けられるので、偏光板4の粘着面と貼付面との間に気泡を巻き込むことが防止されている。
上記実施形態1の貼付装置100を用いた偏光板4の貼付方法によれば、偏光板4と液晶パネル3のそれぞれの外形を基準としつつ、透過軸を設計上の方向に合致させ、高い位置精度で偏光板4を液晶パネル3の一方の表面に貼付することができる。
なお、液晶パネル3に偏光板4,5を貼り付ける順番は、偏光板4から始めることに限定されない。すなわち、偏光板5を先に貼り付けてもよい。また、偏光板4を液晶パネル3に貼り付けた後に、液晶パネル3の他方の表面に偏光板5を貼り付ける場合も、偏光板4の貼付方法を適用できることは言うまでもない。
(実施形態2)
<他の光学フィルムの貼付装置>
次に、本実施形態の他の光学フィルムの貼付装置について、図11〜図13を参照して説明する。図11(a)および(b)は実施形態2の偏光板の貼付装置を示す概略図、図12(a)および(b)は実施形態2のフィルム保持部を示す概略図、図13(a)および(b)は実施形態2の被着体保持部を示す概略図である。なお、上記実施形態1と同一の構成の部分には、同一の符号を付して説明を省略するものである。
図11(a)および(b)に示すように、本実施形態の光学フィルムとしての偏光板の貼付装置150は、上記実施形態1の貼付装置100に対して、以下の構成をさらに備えていることが異なっている。
具体的には、基台101上のパネルステージ103は、載置された液晶パネル3を臨む位置に設けられた光源152と、載置面と光源152との間の光軸上に設けられたマスター偏光子153と、光軸上において載置面に設けられた第2透過部としての孔103fとを有している。また、孔103fを臨む位置に設けられた受光部154を有している。
受け部105において保持面が上方に向くように配置されたフィルムステージ108に保持される偏光板4(偏光板5)を臨む位置に設けられた光源155と、フィルムステージ108と光源155との間の光軸上に設けられたマスター偏光子156と、光軸上においてフィルムステージ108に設けられた第1透過部としての孔107cとを有する。また、孔107cを臨む位置に設けられた受光部157を有している。
光源152,155は、前述したように照射光が直線性を有する、例えば半導体レーザーやLEDが好ましい。マスター偏光子153,156は、偏光板でもよいが、それよりも高い偏光度が得られる、例えばワイヤーグリッド偏光子、ブリュスター角を用いた石英積層板などが好ましい。受光部154,157は、例えばマルチフォトメーターを用いることができる。受光部は、2つの光源152,155に対応するように2つ設けずとも、1つの受光部を孔103fと孔107cとを臨む位置に移動可能な構成としてもよい。また、光源152,155と受光部154,157の配置を入替えてもよい。
図12(a)に示すように、フィルム保持部としてのフィルムステージ108の保持面107aに設けられた孔107cは、保持部107と基部106とに亘って、基部106側の開口が大きくなるように円錐台状に貫通している。また、図12(b)に示すように、偏光板4の平面的な中心に相当する保持部107の回転中心から外れた位置に設けられている。詳しくは、後述する偏光板の貼付方法において述べるが、パネルステージ103に対してフィルムステージ108を傾斜させて対向配置したときに、パネルステージ103に設けられた孔103fを臨む位置に孔107cを配置できるように、孔107cがフィルムステージ108に設けられている。
図13(a)に示すように、被着体保持部としてのパネルステージ103は、光源152と、マスター偏光子153とを内蔵している。載置面103aにおいて開口する孔103fは、載置される液晶パネル3の液晶層を臨むことが可能な位置に設けられている。言い換えれば、光源152から照射される光がマスター偏光子153を介して液晶パネル3の液晶層に入射するように構成されている。マスター偏光子153は光学軸(透過軸)の角度が調整可能な状態で光軸上に設けられている。
図13(b)に示すように、孔103fは、載置面103aの平面的な中心から外れる位置に設けられているが、好ましくは液晶層の平面的な中心がよい。
<他の光学フィルムの貼付方法>
次に、貼付装置150を用いた他の光学フィルムの貼付方法としての偏光板4の貼付方法について、図14および図15を参照して説明する。図14は実施形態2の偏光板の貼付方法を示すフローチャート、図15(a)および(b)は実施形態2の偏光板の貼付方法を示す概略図である。
図14に示すように、本実施形態の偏光板4の他の貼付方法は、フィルムステージ108に光学フィルムとしての偏光板4を吸着保持するフィルム保持工程(ステップS11)と、液晶パネル3が載置されたパネルステージ103に対してフィルムステージ108を傾斜させ対向配置する配置工程(ステップS12)と、液晶パネル3と偏光板4とを光学的に位置決めする光学位置決め工程(ステップS13)と、貼付開始位置に液晶パネル3と偏光板4とを位置決めする外形位置決め工程(ステップS14)と、液晶パネル3に偏光板4を貼り付ける貼付工程(ステップS15)とを備えている。
図14のステップS11は、フィルム保持工程である。ステップS11では、図15(a)に示すように、まず、保持面107aに偏光板4を吸着保持する。続いて、マスター偏光子156と偏光板4とを透過するように光源155から光を照射する。マスター偏光子156の透過軸は、予め保持される偏光板4の透過軸に対して直交するように設定されている。マスター偏光子156と偏光板4とを透過した光の強度を受光部157を用いて測定する。透過した光の強度が最小となるようにモーター110を駆動して保持部107を点111を中心に回転させる。これにより、偏光板4の外形に対する透過軸の角度が設計値に対してずれていても角度補正を行うことができる。
上記実施形態1の偏光板4の貼付方法では、予め光学的に透過軸の方向を検出した情報に基づいて偏光板4を回転させたが、本実施形態では、貼付直前に偏光板4ごとの透過軸の方向を光学的に検出して角度補正する点が異なる。装置の構成は複雑になるものの、都度、透過軸の角度補正を行うため、角度補正の設定を間違えるようなミスは撲滅できるという利点がある。そして、ステップS12へ進む。
図14のステップS12は、配置工程である。ステップS12では、液晶パネル3が載置されたパネルステージ103に対して、フィルムステージ108が所定の角度θで傾斜して対向配置されるように受け部105を回転させる。すなわち、上記実施形態1における配置工程(ステップS3)と同じである。そして、ステップS13へ進む。
図14のステップS13は、光学位置決め工程である。ステップS13では、図15(b)に示すように、光源152から射出されマスター偏光子153により直線偏光に変換された光が液晶パネル3に入射する。入射した直線偏光は、液晶パネル3の光学設計に基づいて射出され、フィルムステージ108に吸着保持された偏光板4に入射する。前述したように、表示モードがノーマリーブラックであれば、マスター偏光子はそれに対応した透過軸の方向に設定されている。したがって、孔107cを臨む光学軸上に配置された受光部154により、偏光板4を透過する光の強度を測定すれば、光学的に液晶パネル3と偏光板4とが適正な配置となっているかが分かる。偏光板4はすでに透過軸の角度補正がなされた状態でフィルムステージ108に吸着保持されているものの、液晶パネル3における光学軸は必ずしも液晶パネル3の外形に対して所定の方向となっているとは限らない。それゆえに、偏光板4を透過する光の強度を再度測定することにより、モーター110を駆動して保持部107を回転させ、透過軸をより適正な方向に微調整することが可能となる。なお、このとき、偏光板4の粘着面を覆う離型フィルムは剥がされている。そして、ステップS14へ進む。
図14のステップS14は、外形位置決め工程であり、上記実施形態1の位置決め工程(ステップS4)と同一である。すなわち、液晶パネル3の外形を基準とした位置決め基準に対して、保持面107aから突出した偏光板4の一方の短辺部を位置決めする。ほぼ同時に、液晶パネル3と偏光板4とを貼付開始位置に位置決めする。そして、ステップS15へ進む。
図14のステップS15は、貼付工程であり、上記実施形態1の貼付工程(ステップS5)と同一である。すなわち、パネルステージ103を貼付開始位置から貼付終了位置まで少なくとも移動させ、貼付ローラー115により偏光板4を液晶パネル3に押圧して貼り付ける。
以上に述べた上記実施形態2の偏光板4の貼付方法によれば、フィルム保持工程(ステップS11)で一旦透過軸の角度補正を行った後に、光学位置合わせ工程(ステップS13)で再び液晶パネル3に対して光学的に透過軸の方向を微調整できるので、より高精度に偏光板4を液晶パネル3の表面に貼付することが可能となる。また、光学位置合わせ工程(ステップS13)を偏光板4の離型フィルムを剥がした貼り付け直前で行うため、光の強度測定に対する離型フィルムの影響を排除できる。
上記実施形態1および上記実施形態2における偏光板4の貼付方法は、コントラストなどの光学特性が、液晶パネル3と偏光板4,5との透過軸のずれによって左右され易い所謂横電界型のFFS(Fringe Field Switching mode)方式やIPS(In Place Switching)方式の液晶装置10に適用することにより、高いコントラストを安定的に得られるという優れた効果を奏する。
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
(変形例1)上記実施形態1の貼付装置100および上記実施形態2の貼付装置150の構成は、これに限定されない。図16(a)および(b)は変形例のフィルム保持部を示す概略図である。例えば、フィルム保持部としてのフィルムステージ108において、保持部107と突出部109とを別体とし、保持部107に対して突出部109が回転駆動される構成としてもよい。
具体的には、図16(a)および(b)に示すように、保持部107の短辺側の近傍における保持面107aに点111を中心とする半径R2の円弧状の溝118を設ける。同じく、保持部107の長辺側の近傍における保持面107aに点111を中心とする半径R1の円弧状の溝119を設ける。これらの溝118,119に対して嵌合するように突出部109の長辺側と短辺側のガイド部にピン116,117を挿入する。
突出部109の短辺側の末端部の側面をロッド121と結合させ、ロッド121を伸縮可能なアクチュエーター120を設ける。アクチュエーター120によりロッド121を伸縮させれば、突出部109は、保持面107a内において、点111を中心に回転する。
このような構成にすれば、第1透過部としての孔107dを偏光板4の平面的な中心、すなわち、点111の位置に設けることができる。したがって、透過軸の光学的な検出を偏光板4のほぼ中心において行うことができる。
(変形例2)上記実施形態1および上記実施形態2において、光学的に偏光板4の透過軸を検出する方法は、マスター偏光子と偏光板4とをクロスニコルの状態に配置して行うことに限定されない。パラレルニコルの状態に配置しても検出は可能である。ただし、偏光板に付帯する保護フィルムや離型フィルムがわずかに光学異方性を示す場合は、透過する光の強度が最大になる透過軸の角度検出が難しい。
このような保護フィルムや離型フィルムのわずかな光学異方性を考慮すると、上記実施形態2における偏光板4の貼付方法では、フィルムステージ108に設けられた孔107cに対応する位置において保護フィルムや離型フィルムを切り欠いておくことが望ましい。これにより保護フィルムや離型フィルムの影響をまったく受けずに光学的な透過軸の位置合わせが可能となる。
(変形例3)上記実施形態1の偏光板4の貼付装置100およびこれを用いた貼付方法によれば、予め偏光板4を外形に対する透過軸の角度に応じて分類(層別)しておけば、分類された透過軸の角度の範囲における代表値を角度補正値として用いることができる。すなわち、一定の角度補正条件で続けて分類された偏光板4を貼付できるので、貼付作業が効率化される。
(変形例4)液晶パネル3に貼付される偏光板4,5の構成は、図3に示された構成に限定されない。例えば、液晶装置10の視角特性や色付きなどを改善するために位相差板(位相差フィルム)などの光学補償フィルムを偏光子に積層した偏光板の構成としても、上記実施形態1および上記実施形態2の偏光板4の貼付方法を適用することができる。
(変形例5)上記実施形態1の貼付装置100およびこれを用いた貼付方法を適用可能な電気光学装置は、液晶装置10に限定されない。例えば、発光装置としての有機EL装置やプラズマ装置などの表面に表面反射を低減するための微細な光学素子が形成された光学フィルムを貼り付ける場合にも適用可能である。
(変形例6)上記実施形態2の貼付装置150における光源と受光部とを備えた光学軸の検出機構の配置は、これに限定されない。例えば、パネルステージ103側とフィルムステージ108側の両方に設けずに、いずれか一方に設ける構成としても、相応の貼り付け位置精度を確保することができる。
液晶装置の構成を示す(a)は分解斜視図、(b)は正面図。 (a)は液晶装置の光学設計におけるノーマリーブラックの例を示す模式図、(b)はノーマリーホワイトの例を示す模式図。 光学フィルムとしての偏光板の構成の1例を示す斜視図。 (a)は貼付装置の構成を示す概略側面図、(b)は真上から見た概略平面図。 (a)はフィルム保持部を示す斜視図、(b)は保持面を示す平面図。 (a)は被着体保持部の構成を示す斜視図、(b)は載置面を示す平面図。 実施形態1の偏光板の貼付方法を示すフローチャート。 実施形態1の偏光板の外形に対する透過軸の方向を検出する方法を示す概略図。 (a)〜(d)は実施形態1の偏光板の貼付方法を示す概略図。 (a)および(b)は実施形態1の偏光板の位置決め方法を示す概略平面図。 (a)および(b)は実施形態2の偏光板の貼付装置を示す概略図。 (a)および(b)は実施形態2のフィルム保持部を示す概略図。 (a)および(b)は実施形態2の被着体保持部を示す概略図。 実施形態2の偏光板の貼付方法を示すフローチャート。 (a)および(b)は実施形態2の偏光板の貼付方法を示す概略図。 (a)および(b)は変形例のフィルム保持部を示す概略図。
符号の説明
3…被着体としての液晶パネル、4,5…光学フィルムとしての偏光板、100,150…貼付装置、103…被着体保持部としてのパネルステージ、103a…載置面、103f…第2透過部としての孔、107a…保持面、107c…第1透過部としての孔、108…フィルム保持部としてのフィルムステージ、109a,109b…ガイド部、110…回転機構としてのモーター、115…貼付ローラー、152…光源、153…マスター偏光子、154…受光部。

Claims (10)

  1. 粘着面と非粘着面とを有する四角形の光学フィルムを板状の被着体の表面に貼り付ける光学フィルムの貼付装置であって、
    前記光学フィルムが吸着される保持面を有し、前記光学フィルムの一方の辺部が前記保持面からはみ出た状態で前記光学フィルムの前記非粘着面側が前記保持面に吸着保持されるフィルム保持部と、
    前記光学フィルムの外形を基準とした光学軸の所定の角度に対する実際の角度との差に基づいて、前記光学フィルムの平面的な中心を回転中心として前記フィルム保持部を前記保持面内で回転させる回転機構と、
    前記被着体が載置され吸着保持される載置面を有する被着体保持部と、
    前記被着体の表面に対して前記光学フィルムの前記粘着面が傾斜して対向するように前記フィルム保持部と前記被着体保持部とを配置して、前記光学フィルムの前記一方の辺部を前記被着体の貼付開始位置に位置決めする配置機構と、
    前記光学フィルムを前記被着体側に押圧可能であって、回転自在に支持された貼付ローラーと、
    前記貼付ローラーにより前記一方の辺部の背面側から前記光学フィルムが前記被着体に押圧された状態で、前記被着体保持部を前記貼付開始位置から少なくとも貼付終了位置まで移動させる移動機構と、を備えたことを特徴とする光学フィルムの貼付装置。
  2. 前記フィルム保持部は、前記光学フィルムが吸着保持される際に、前記光学フィルムの前記一方の辺部と交わる少なくとも1辺部が当接するガイド部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの貼付装置。
  3. 前記回転機構は、前記ガイド部を前記光学フィルムの平面的な中心を回転軸として回転させることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルムの貼付装置。
  4. 前記フィルム保持部は、保持された前記光学フィルムの前記光学軸の角度を光学的に検出するための照射光が前記光学フィルムを透過可能な第1透過部が前記保持面に選択的に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学フィルムの貼付装置。
  5. 前記光学フィルムが偏光体であり、前記被着体が液晶パネルであって、
    前記被着体保持部は、保持された前記液晶パネルの光学軸の角度を光学的に検出するための照射光が前記液晶パネルを透過可能な第2透過部が前記載置面に選択的に設けられ、
    前記配置機構により、前記フィルム保持部と前記被着体保持部とが傾斜して対向配置されたときに、光軸が前記第1透過部と前記第2透過部とを通過するように前記照射光を照射する光源と、前記光軸上であって前記第1透過部または前記第2透過部を臨む位置に設けられた受光部と、前記光源と前記受光部との間の前記光軸上であって、前記載置面に対して前記フィルム保持部の反対側に配置された光学軸方向が既知のマスター偏光子と、をさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載の光学フィルムの貼付装置。
  6. 粘着面と非粘着面とを有する四角形の光学フィルムを板状の被着体の表面に貼り付ける光学フィルムの貼付方法であって、
    前記光学フィルムが吸着される保持面に対し、前記光学フィルムの一方の辺部が前記保持面からはみ出た状態で前記光学フィルムの前記非粘着面側を前記保持面に吸着保持するフィルム保持工程と、
    前記光学フィルムの前記粘着面と前記被着体の表面とが傾斜して対向するように配置して、前記光学フィルムの前記一方の辺部を前記被着体の貼付開始位置に位置決めする位置決め工程と、
    回転自在に保持された貼付ローラーを用いて、前記貼付開始位置に位置決めされた前記光学フィルムの前記一方の辺部から対向する他方の辺部まで背面側から前記光学フィルムを前記被着体側に押圧して貼り付ける貼付工程と、を備え、
    前記フィルム保持工程は、前記光学フィルムの外形を基準とした光学軸の所定の角度に対する実際の角度との差に基づいて、前記光学フィルムの平面的な中心を回転中心として前記光学フィルムを前記保持面内で回転させることを特徴とする光学フィルムの貼付方法。
  7. 前記保持面は、前記光学フィルムが吸着保持される際に、前記光学フィルムの前記一方の辺部と交わる少なくとも1辺部が当接するガイド部を備え、
    前記貼付工程は、前記少なくとも1辺部が前記ガイド部に案内されながら、前記光学フィルムを前記被着体の表面に貼付することを特徴とする請求項6に記載の光学フィルムの貼付方法。
  8. 前記光学フィルムが前記保持面に吸着された状態で、前記光学フィルムの光学軸の前記実際の角度を光学的に検出する検出工程をさらに備えたことを特徴とする請求項6または7に記載の光学フィルムの貼付方法。
  9. 前記光学フィルムが偏光体であり、前記被着体が液晶パネルであって、
    前記位置決め工程は、前記偏光体の前記粘着面と前記液晶パネルの表面とが傾斜して対向するように配置すると共に、前記偏光体に対して前記液晶パネルを挟んだ反対側に光学軸方向が既知のマスター偏光子をさらに対向配置して、前記偏光体と前記液晶パネルと前記マスター偏光子とを透過するように光を照射し、透過した光の強度を測定することにより前記偏光体の光学軸と前記液晶パネルの光学軸とが所定の配置となるように、前記偏光体と前記液晶パネルとの相対的な位置をさらに光学的に位置決めする工程を含むことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の光学フィルムの貼付方法。
  10. 前記光学フィルムとしての前記偏光体は、偏光子と光学補償フィルムとを含むことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載の光学フィルムの貼付方法。
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