JP2010117041A - 冷却部材、及びその製造方法 - Google Patents

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潤一 寺木
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Abstract

【課題】伝熱部材と冷媒導入管とを強固に接合された冷却部材、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】冷却部材15は、伝熱部材7の溝部1に冷媒導入管13を挿入し、押型11で冷媒導入管13を溝部1に押付けることにより、冷媒導入管13を溝部1の内周面17に密接するよう塑性変形させたものである。伝熱部材7の溝部1は、楕円形に沿った内周面17の曲率中心Oを溝口3の内方に位置させている。また、冷却部材15は、上記の楕円形の長径の向きを溝口3の幅方向に一致させている。このため、内周面17の断面が従来の円弧に沿う形状である場合に比較して、オーバーハング量を増大できるので、伝熱部材7と冷媒導入管13とを強固に接合できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、伝熱部材の溝部に冷媒導入管を圧入して成る冷却部材、及びその製造方法に関する。
伝熱部材の溝部にパイプ等を接合する技術が、下記の特許文献に開示されている。伝熱部材の溝部に冷媒導入管を圧入して成る冷却部材を製造する場合、図4(a)に示すように、伝熱部材101の表面103に溝口105を開放した溝部107に、冷媒導入管109を進入させる。続いて、押型111を用いて冷媒導入管109を溝部107に押付け、同図(b)に示すように、冷媒導入管109を溝部107の内周面113に密接するよう塑性変形させる。これにより、溝口105の幅Aよりも冷媒導入管109の幅を拡大させ、伝熱部材101と冷媒導入管109とを接合することができる。
溝口105の内周面113は、その幅方向の断面を概ね円弧に沿う形状としている。例えば、冷媒導入管109に捩れ方向の外力が加わることがある。この外力の大きさが伝熱部材101と内周面113との摩擦力を超えると、冷媒導入管109が伝熱部材101に対して回転するという不具合が起こる。押型111が冷媒導入管109を押付ける力を増すだけでは、上記の摩擦力を増大するのに限度がある。
また、上記のように塑性変形した冷媒導入管109が伝熱部材101の溝部107から離脱しないよう両者の接合を強化するには、溝口105の幅Aと内周面113の全幅Bとの差を2で除したオーバーハング量を大きくすることが望ましい。しかしながら、冷媒導入管109が溝口105を通過して溝部107へ挿入できるようにするには、溝口105の幅Aが冷媒導入管109の直径φよりも広くなければならない。このため、幅Aと全幅Bとの差を大きくするのは難しく、オーバーハング量が制限されるので、伝熱部材101と冷媒導入管109との接合を強化できないという問題がある。
特開2007−218439号公報 特開2005−90794号公報 特開平10−79586号公報
本発明は、伝熱部材と冷媒導入管とを強固に接合された冷却部材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するため、伝熱部材の表面に溝口を開放した溝部に、冷媒導入管を圧入した冷却部材であって、前記溝部は、前記溝口の内方に中心を定め、かつ前記溝口の幅方向に長径の向きを一致させた長円形に沿う内周面を有し、前記冷媒導入管は、前記内周面に密接する周曲部と、前記溝口を塞ぐ面状部とを備えることを特徴とする。また、本発明は、前記長円形が楕円であることを特徴とする。
また、本発明は、溝口の内方に中心を定め、かつ前記溝口の幅方向に長径の向きを一致させた長円形に内周面の形状を沿わせた溝部を有する伝熱部材に対して、前記溝部に冷媒導入管を挿入し、前記冷媒導入管を前記溝部に押付ける押型で、前記冷媒導入管を前記内周面に密接するよう塑性変形させることを特徴とする。また、本発明は、前記長円形が楕円であることを特徴とする。
本発明に係る冷却部材の製造方法によれば、伝熱部材の溝部に冷媒導入管を挿入し、冷媒導入管を押型で溝部に押付けることにより、冷媒導入管を溝部の内周面に密接するよう塑性変形させることができる。また、溝部の内周面は、溝口の内方に中心を定めた長円形に沿う形状であるので、以上の方法によって製造された冷却部材は、溝部の内周面に密接した冷媒導入管に捩れ方向の外力が加わっても、伝熱部材と内周面との摩擦力に大きく依存することなく、冷媒導入管が伝熱部材に対して回転するのを阻止することができる。
しかも、本発明に係る冷却部材は、上記の長円形の長径の向きを溝口の幅方向に一致させているので、長円形の長径と溝口の幅との寸法差は、内周面の断面が従来の円弧に沿う形状である場合に比較して大きくなる。このため、冷却部材に溝部を成形する段階で、オーバーハング量を増大するのに有利であり、伝熱部材と冷媒導入管との接合を強化することができる。特に、上記の長円形が楕円である場合、オーバーハング量を後述の手順で定量的に決定できるという利点がある。
本発明に係る冷却部材、及びその製造方法の実施形態について説明する。図1(a)は、溝部1の溝口3を表面5に開放された伝熱部材7と、溝部1に対向する平坦な押圧面9を有する押型11と、溝部1に挿入された冷媒導入管13を示している。押型11は図に表れていないプレス機械のラムに型工具として取付けられている。このプレス機械が押型11を矢印P方向に動作させる過程で、冷媒導入管13を同図(b)に示すよう塑性変形させることにより、冷却部材15を製造することができる。詳しくは以下に述べる。
図2に示すように、溝部1は、その内周面17の曲率中心Oを溝口3の内方に位置させている。2つの角部19,21は、溝口3の幅方向に長径の向きを一致させた長円形に沿って湾曲する内周面17と、溝口3の内側面23とが隣接する箇所である。同図は、上記の長円形の例として楕円を表しているが、溝部1の内周面17は、幾何学的中心軸の向きを溝口3の幅方向に一致させた放物線に沿う形状であっても良い。
内周面17の周長は、角部19から角部21に及ぶ内周面17の長さを意味するが、本実施例では、角部19から表面5までの厚みEと、角部21から表面5までの厚みEが加算されるものとする。従って、内周面17の周長がLのとき、A+L+2E<πGとなり、溝口3の幅Aに内周面17の周長を加算した長さ(A+L)は、冷媒導入管13の外周(πG)よりも短くなる。
Figure 2010117041
表1はA〜Gの寸法を示している。以下で寸法の単位は総て[mm]であるとする。A〜Gの寸法を算定する手順について、冷媒導入管13の直径が9.52で±0.08の誤差を含む場合を例に説明する。先ず、溝口3の幅Aが冷媒導入管13の直径の最大値9.60以上になるようにA=9.7±0.1とする。溝口3の幅Aの最大値Amax =9.8である。最大値Amax と楕円の長径である内周面17の全幅Bの最小値Bmin との差を2で除したオーバーハング量が少なくとも0.4(Aの約4%)となるように、式1に基づきBmin =10.6を算出する。伝熱部材7に溝部1が成形されるときの誤差を±0.1と見積もれば、Bの値を10.7±0.1と定めることができる。
Figure 2010117041
続いて、厚みE=0.44であると仮定し、2つの角部19,21の両方に接する楕円の短径を変化させたときの内周面17の周長の計算値を求める。図3は、楕円の短径の半分に相当する半短径を横軸に表し、内周面17の周長の計算値を縦軸に表したグラフである。冷媒導入管13の外周(πG)の最小値は約29.7であるので、この最小値よりも内周面17の周長が短くなる条件は、楕円の半短径が同図の破線で仕切った値以下になることである。例えば、πG<29のときはC<4となる。
冷却部材15の製造方法は次の通りである。図面は特に断らない限り図1(a),(b)を参照する。最初に、伝熱部材7の溝部1に挿入された冷媒導入管13を押型11で溝部1に押付けることにより、塑性変形する冷媒導入管13を溝部1の内周面17に密接させ、冷媒導入管13に周曲部25と面状部27が成形される。周曲部25は、溝部1の内周面17に倣って冷媒導入管13が楕円形に塑性変形した部位である。面状部27は、押型11の押圧面9に倣って冷媒導入管13が略平坦な形状に塑性変形した部位である。
ここまでの工程で、面状部27は溝部1の溝口3に没入しない。これは、溝口3の幅に内周面17の周長を加算した長さが、冷媒導入管13の外周よりも短い分、冷媒導入管13の一部が伝熱部材7の表面5から突出するためである。また、溝部1の曲率中心Oは溝口3よりも伝熱部材7の内方に位置している。このため、上記のように冷媒導入管13が溝部1の内周面17に密接した時点で、冷媒導入管13の幅が溝口3よりも広くなり、伝熱部材7と冷媒導入管13との接合が完了する。
以上の方法によって製造された冷却部材15は、溝部1の内周面17に密接した冷媒導入管13に捩れ方向の外力が加わっても、伝熱部材7と内周面17との摩擦力に大きく依存することなく、冷媒導入管13が伝熱部材7に対して回転するのを阻止することができる。
また、冷却部材15は、上記の楕円形の長径の向きを溝口3の幅方向に一致させているので、楕円形の長径と溝口3の幅との寸法差は、内周面17の断面が従来の円弧に沿う形状である場合に比較して大きくなる。このため、冷却部材15に溝部1を成形する段階で、オーバーハング量を増大するのに有利であり、伝熱部材7と冷媒導入管13との接合を強化することができる。しかも、上記の例で厚みEを0.44に設定したことにより、伝熱部材7の溝口3の物理的強度を高くすることができる。
また、冷却部材15のリサイクルを行うには、周曲部25と面状部27が成形された冷媒導入管13を伝熱部材7から離脱させ、両者を分別する必要がある。この場合、冷媒導入管13の内部に、冷媒導入管13が膨張する程度に高圧の圧搾空気を供給すれば、冷媒導入管13の断面を円形に復帰させ、冷媒導入管13を溝部1の溝口3から容易に抜き取ることができる。
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。
本発明は、パワーモジュール等の発熱する電気部品を冷却するための冷却部材を製造するのに有益な技術である。
(a)は本発明の実施形態に係る冷却部材の製造方法の工程例を示す断面図、(b)はその方法で製造された冷却部材の断面図。 本発明の実施形態に係る冷却部材の製造方法に適用した伝熱部材の溝部の寸法に冷媒導入管を対比させた説明図。 本発明の実施形態に係る冷却部材の製造方法に適用した伝熱部材の溝部の半短径を横軸に表し、その内周面の周長の計算値を縦軸に表したグラフ。 (a)は従来例の冷却部材を製造する工程を示す断面図、(b)はその方法によって製造された冷却部材の例を示す断面図。
符号の説明
1…溝部、3…溝口、5…表面、7…伝熱部材、11…押型、13…冷媒導入管、15…冷却部材、17…内周面17、25…周曲部、27…面状部。

Claims (4)

  1. 伝熱部材の表面に溝口を開放した溝部に、冷媒導入管を圧入した冷却部材であって、前記溝部は、前記溝口の内方に中心を定め、かつ前記溝口の幅方向に長径の向きを一致させた長円形に沿う内周面を有し、前記冷媒導入管は、前記内周面に密接する周曲部と、前記溝口を塞ぐ面状部とを備えることを特徴とする冷却部材。
  2. 前記長円形が楕円であることを特徴とする請求項1に記載の冷却部材。
  3. 溝口の内方に中心を定め、かつ前記溝口の幅方向に長径の向きを一致させた長円形に内周面の形状を沿わせた溝部を有する伝熱部材に対して、前記溝部に冷媒導入管を挿入し、前記冷媒導入管を前記溝部に押付ける押型で、前記冷媒導入管を前記内周面に密接するよう塑性変形させることを特徴とする冷却部材の製造方法。
  4. 前記長円形が楕円であることを特徴とする請求項3に記載の冷却部材の製造方法。
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